第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の経済及び情報サービス産業における事業環境は以下のとおりであります。

我が国の経済は、消費税率引上に伴う駆込需要の反動などの影響がみられたものの、企業収益が改善を続け、設備投資も増加基調にあるなど、緩やかな回復を続けております。また、景気の先行きにつきましても、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクに留意する必要があるものの、基調的には緩やかに回復していくとみられております。

我が国の情報サービス産業においては、金融機関、製造業において、これまで抑制していたシステムの更改プロジェクトやグローバル展開に対応するためなどのIT投資が進み、市場は緩やかな回復をみせております。一方、保守・運用コストの削減ニーズ、価格競争の厳しさは依然として続くものとみられております。

海外の経済は、一部地域に弱さがみられるものの、緩やかに回復しております。また、景気の先行きにつきましても、アメリカの金融政策正常化に向けた動きや欧州の政府債務問題及び原油価格下落の影響、地政学的リスク等について留意する必要があるものの、緩やかな回復が続くとみられております。

海外の情報サービス産業においては、アメリカ市場では主に企業部門におけるIT投資が増加基調にあります。また、欧州市場ではイタリアは短期的にはIT支出の回復は期待できない状況であるものの、ドイツ・イギリスのIT市場は成長基調にあります。

 

[経営施策の取組状況]

このような状況のもと、当社グループは、グローバルで多様なITサービスを効率的に提供する企業グループへと進化し、「Global Top 5(売上高1.5兆円超)」「EPS 200円」を実現するべく、平成24年度~平成27年度の中期経営計画を策定し、注力分野である「新規分野拡大・商品力強化」、「グローバルビジネスの拡大・充実・強化」、「全体最適の追求」に取り組んでおります。

具体的な取組については、以下のとおりであります。

 

・「新規分野拡大・商品力強化」

近年の環境変化や情報通信技術の変化による参入機会を捉え、市場成長率以上に売上を拡大するとともに、最新技術を最大限活用し、お客様のニーズを先取りしたこれまでにない市場を創出するリマーケティングを推進。なお、当連結会計年度の具体的な取組については[事業活動の取組状況]をご覧ください。

開発作業の徹底的な自動化により、開発の高度化、スピード化を実現する生産技術革新と、情報社会の方向性を踏まえて今後の重要技術を見極めた戦略的R&Dを推進。なお、当連結会計年度の具体的な取組については「6研究開発活動」をご覧ください。

・「グローバルビジネスの拡大・充実・強化」

当社グループ及びNTTグループとのシナジーを発揮することで、営業力とサービス提供力の強化を図り、各地域におけるビジネスの拡大・充実・強化を推進。また、各地域拠点を活かし、お客様のグローバル市場への進出をサポート。なお、当連結会計年度の具体的な取組については[事業活動の取組状況]<グローバルビジネス>をご覧ください。

・「全体最適の追求」

管理業務に要するコストをスコープに、業務の標準化・効率化・集約化をはじめ、組織の再編・統合やリソースの流動化と最適配置に着実に取り組むことで、グループ全体の管理費等の削減を推進。

 

[事業活動の取組状況]

お客様のグローバル市場への進出の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でのビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応した多様なITサービスの拡大と安定的な提供に努めました。

セグメント別の取組については、以下のとおりであります。

 

<パブリック&フィナンシャル>

・マイナンバー対応ビジネスへの取組において、中核となる新規システムや国の既存システムの更改など複数の案件を受注。また、民間分野においても新規ビジネスの検討を進め、その一例としてスマートフォンを使用してマイナンバー収集・登録を行う「番号収集代行サービス」の実証実験を実施。この実証実験も踏まえ、書面又は電子的手段でのマイナンバーの収集・保管・提出を支援する企業向けマイナンバーサービスの実現を目指す。

・バチカン図書館と初期契約を締結したバチカン図書館デジタルアーカイブ事業において、同館所蔵の貴重な手書文献を当社が構築したデジタルアーカイブシステムによりデジタル画像化し、同館のウェブサイトにて公開開始。

・日本のインフラソリューションを輸出する一環として、ベトナム政府に続き、ミャンマー政府より日本国内における貿易手続・通関システム「NACCS(注1)」及び「CIS(注2)」のノウハウ等を活用した同国の貿易手続・通関システムであるミャンマー版NACCS/CISの開発を受注。

・損害保険会社の生命保険参入を支援する共同利用型システム「SCRUM」のホスト更改及びお客様の合併に伴うSCRUMへのシステム統合開発についてサービスを開始。

 

<エンタープライズITサービス>

・当社がパートナー事業者(インテグレータ)としてプロジェクトを推進してきた東京電力㈱のスマートメーター運用管理システムを活用したサービスが順次提供開始。遠隔での電力量検針や通電状況確認により利用者の利便性向上や停電復旧の迅速化、検針業務の効率化を実現。他電力会社においても、同様のシステム構築プロジェクトを推進。さらに、電力広域的運営推進機関の電力システム改革推進に向けた「スイッチング支援システム」を受注。平成28年4月より始まる電力の小売全面自由化に向けてプロジェクトを推進。

・小売業界における、実店舗やECサイト(注3)等の販売チャネルを連携して利用者の行動に合わせた購買機会を提供するオムニチャネル化への対応を支援。㈱マツモトキヨシホールディングスのスマートフォンアプリ「マツモトキヨシ公式アプリ」を構築。同社戦略の推進に向け、様々な情報の配信を可能とした。また、大手小売業者のオムニチャネル構想において、コンセプトづくりから、業務プロセス策定、システム構築までを行うプロジェクトを支援。ネットと実店舗の融合により、お客様自主商品の統一的な販売をはじめ各種の新サービスの実現をお客様とともに目指す。

 

<ソリューション&テクノロジー>

・実店舗・自社/他社ECサイトを含む様々な販売チャネルを統合し一元管理することで、全てのチャネルで同じ商品・サービスの利用を可能とする「BizXaaSオムニチャネル」を提供開始。また、㈱三陽商会が目指す次世代型eコマース(注4)の実現に向けて、同サービスを採用した実店舗とECサイトの融合・外部Webサイトとの情報共有を行う「SANYOオムニチャネル基盤システム」を構築開始。

・㈱NTTドコモが提供するクラウド型のメールサービス「ドコモメール」において、スマートフォンをはじめとしたモバイル端末のデータ保管に利用するクラウドストレージを用いたインフラを構築。ストレージ容量を随時拡張でき、日本最大級のペタバイト(注5)クラスのクラウドストレージを実現。

 

<グローバルビジネス>

・当社グループ会社を通じて、ドイツの自動車メーカーであるDaimler AGと、グローバルにおけるERPシステムの保守運用、追加システム開発の戦略パートナーとして、複数年契約を締結し、サービスを提供中。これまで各国のITベンダーがそれぞれ実施していた、Daimler AGの各種ERPシステムの運用・保守業務、追加システム開発を、Daimler AGが新たに設置したインド、トルコ、アメリカのIT関連サポート拠点「シェアードサービスセンター」と連携し、当社グループが担当。これにより、Daimler AGにおける当該業務の効率化及びサービス品質向上に貢献。本受注は、当社グループにおける自動車業界向けの取組が評価されたものであり、今後も当社グループ一体となり、グローバルにおける自動車業界向けの事業拡大をさらに推進。

・次世代基盤技術と高い専門性を用いたサービスを促進するため、ドイツSAP SE( Systems Applications Products Societas Europaea )とGlobal Services Partnershipを締結。これにより当社グループ全体がSAPサービスパートナーの一員となり、SAPビジネス分野におけるグループ会社のさらなる連携強化やグローバルでの競争力向上、最先端技術等の価値提供を図る。また、こうしたSAPの取組に対し、米国HfS Research の「HfS SAP Services Blueprint Report 2014 」において、当社が最上位の「Winner's Circle」評価を獲得。

 

 (注1) NACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)

輸出入申告や船・航空機の入出港手続等の行政手続と、輸出入手続に関連する民間業務を処理する官民共同利用の電子申請システムです。

 (注2) CIS(Customs Intelligence Database System)

輸出入の通関実績や輸出入者情報を一元的に蓄積し、通関審査に活用する情報システムです。

 (注3) ECサイト

オンラインショップなどと呼ばれることも多い、インターネット等を利用した電子商取引のサービスを提供するWebサイトの通称です。

 (注4) eコマース

インターネットをはじめとする、コンピューター・ネットワーク上での電子化された商取引のことです。

 (注5) ペタバイト

情報量の単位の一つで、ギガバイトの1,000,000倍のことです。

 

上記の取組に加え、東日本大震災被災地域における継続的復興支援策として設立した「石巻BPOセンタ」において、当初目標であった100名の雇用創出を達成し、125名体制となりました。今後も雇用創出の取組を継続し、長期に渡る雇用の確保・拡大を進めてまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度における業績につきましては、以下のとおりとなりました。

 

・受注高

1,429,117百万円

(前年度比

2.1%増)

 

 

 

 

・売上高

1,511,812百万円

(同

12.5%増)

・営業利益

84,013百万円

(同

34.2%増)

・経常利益

77,909百万円

(同 

25.4%増)

・税金等調整前当期純利益

73,995百万円

(同

36.4%増)

・当期純利益

32,144百万円

(同 

38.0%増)

 

 

当連結会計年度における業績をセグメント別に区分しますと、次のとおりであります。

なお、セグメント利益につきましては、税金等調整前当期純利益ベースの数値であります。

 

[パブリック&フィナンシャル]

当社単体における新規顧客開拓及び既存大規模システムの規模拡大等による増収に加え、不採算案件の減少に伴い、売上高及びセグメント利益ともに増加しました。

この結果、売上高は739,169百万円(前年度比2.4%増)、セグメント利益は64,125百万円(同15.1%増)となりました。

 

[エンタープライズITサービス]

当社単体における通信分野向けの減少はあるものの、ユーティリティ及び流通分野向け等による増収に加え、不採算案件の減少等により、売上高及びセグメント利益ともに増加しました。

この結果、売上高は281,849百万円(前年度比0.9%増)、セグメント利益は11,432百万円となりました。

 

[ソリューション&テクノロジー]

当社単体における既存案件の反動減等により、売上高、セグメント利益ともに減少しました。

この結果、売上高は176,539百万円(前年度比1.4%減)、セグメント利益は6,844百万円(同20.3%減)となりました。

 

[グローバルビジネス]

連結拡大影響及び既存子会社の規模拡大、為替影響等により売上高は増加、セグメント損失は減少しました。

この結果、売上高は464,505百万円(前年度比47.7%増)、セグメント損失は7,704百万円(同21.5%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ43,630百万円増加し、250,843百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は183,880百万円で、前連結会計年度に比べ50,644百万円減少しました。

これは主に、前受金の受取が減少したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は157,137百万円で、前連結会計年度に比べ32,549百万円減少しました。

これは主に連結子会社の取得による支出の減少等によるものであります。

以上の結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは26,742百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ18,095百万円減少しました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に係る資金収支は17,296百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ36,641百万円増加しました。

これは主に、長期借入れによる収入が大きかったこと等によるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 平成26年4月1日
 至 平成27年3月31日)
(百万円)

前年同期比
(%)

パブリック&フィナンシャル

208,009

△6.0

エンタープライズITサービス

84,668

△25.2

ソリューション&テクノロジー

17,983

△17.7

グローバルビジネス

2,302

△55.1

その他

996

67.2

合計

313,960

△13.3

 

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、製造原価(販売価格)によっております。

3 金額には、消費税等を含んでおりません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年4月1日

 至 平成27年3月31日)

前年同期比

受注高

(百万円)

期末受注残高

(百万円)

受注高

(%)

期末受注残高

(%)

パブリック&フィナンシャル

628,475

1,008,592

△12.2

△2.4

エンタープライズITサービス

270,371

85,758

△11.0

0.5

ソリューション&テクノロジー

49,585

13,191

28.4

164.0

グローバルビジネス

479,461

248,321

40.5

14.0

その他

1,224

13.1

合計

1,429,117

1,355,863

2.1

1.1

 

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 ANSER、CAFISなど利用量に見合う料金をいただくサービスについては、受注高に含めておりません。

3 金額には、消費税等を含んでおりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 平成26年4月1日
 至 平成27年3月31日)
(百万円)

前年同期比
(%)

パブリック&フィナンシャル

722,066

2.5

エンタープライズITサービス

276,455

1.5

ソリューション&テクノロジー

62,490

△6.6

グローバルビジネス

449,046

50.3

その他

1,754

38.8

合計

1,511,812

12.5

 

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

各販売先における販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。

3 金額には、消費税等を含んでおりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

国内IT投資は、ITインフラ統合など案件拡大の傾向もあるものの、保守・運用コストの削減ニーズは依然としてあり、全般的には投資に対する慎重姿勢は継続しております。

一方、新興国市場を中心にグローバルIT投資は堅調な推移が見込まれており、お客様のグローバル市場への進出も引き続き加速していることから、当社としてもグローバル市場でのビジネス拡大を図る必要があります。

また、国内ITサービス市場は、お客様や社会のニーズが多様化・高度化しており、システムを所有せず必要に応じて利用するサービス、価格低減や納期短縮への期待に合致するサービス等に対する需要が増加しております。システムインテグレーションに頼ったビジネス構造ではなく、市場の変化に対応した多様なITサービスの拡大が課題となっております。

当社グループは、資本提携等を通じ急速に規模を拡大してまいりました。拡大した規模を活かすために、ガバナンスの強化を図った上で、グループ全体最適の視点から、さらにリソースの効率的な活用、シナジーの創出を実現していく必要があります。

 

当社グループはこのような課題に対し、平成24年度~平成27年度の中期経営計画を以下のとおり策定し、取り組んでおります。

 

・新規分野拡大・商品力強化

お客様からの価格低減への期待に対し、クラウドやAMOなどのITコスト削減ソリューションの拡大に取り組むとともに、より高度で複雑な業務へのIT適用を期待するお客様の要望に対し、ビジネス・アナリティクスやコア業務BPOなど、提供するサービスの高度化・多様化を図ります。さらに、M2Mクラウドやロボティクス事業などの新規事業開拓や、既存事業における成長やシェア拡大が見込める分野へのリソース流動などにより、当社収益の持続的な成長に繋がるような事業の拡充を目指します。

また、ソフトウェア開発自動化などに代表されるソフトウェア生産技術の向上や、大学等と連携した先端技術の研究開発など、新規分野拡大・商品力強化のための積極投資も進めます。

 

・グローバルビジネスの拡大・充実・強化

お客様のグローバル市場への進出のサポートや、拡大が見込める海外市場の取り込みのため、空白地域へのカバレッジの拡大を目指します。また、既に拠点を保有している地域においては、NTTデータグループ及びNTTグループとのシナジーを発揮することによるビジネスの拡大・充実・強化を図ります。

 

・全体最適の追求

グローバルレベルでの業務の標準化・効率化・集約化、グループ会社や組織の再編・統合を通じた規模を活かした経営の効率化に向けて取り組みます。また、激変する環境に対応した事業ポートフォリオに合わせて、リソース配分を行い、さらなる成長を促進します。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものであります。

 

(1) 価格低下圧力に関するリスク

景況感や企業収益の悪化等によるお客様のIT投資抑制傾向は、コストへの要求やIT投資効果への評価の厳格化となって、当社グループの扱うシステムやサービスの販売価格低下圧力につながり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競争激化に関するリスク

当社グループの主要な事業領域は、情報サービス産業の中で有力な成長分野であると目されており、ハードウェアベンダ等がビジネスの主軸に移してきております。また、急成長するインドや中国といった新興国の情報サービス企業が、グローバル競争をもたらしつつあります。これからのマーケットの成長には先行き不透明な部分があり、競合会社の積極参入による競争激化が当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 社会・制度の変化に関するリスク

当社グループの事業は、電力や通信といった社会基盤、税や各種規制といった法制度等、さまざまな要因の影響下にあります。これらの要因は当社グループが関与し得ない理由によって大きく変化する可能性があり、このような変化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 海外事業に関するリスク

当社グループは事業戦略の一環として海外市場での事業拡大を進めており、海外事業の当社グループにおける存在感は拡大しております。当社グループの海外事業は、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣の相違、労使関係、国際政治など、さまざまな要因の影響下にあり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) システム障害リスク

当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものもあります。これらにおいて障害が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) システム構築リスク

当社グループの主力事業であるシステムインテグレーション事業では、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っております。当初想定していた見積りからの乖離や、開発段階においてプロジェクト管理等に問題が発生した場合、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは業務遂行の一環として、個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これらの情報について紛失、漏洩等が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) コンプライアンスに関するリスク

当社グループは企業倫理の確立による健全な事業活動を基本方針とする「グローバル・コンプライアンス・ポリシー」を制定し、コンプライアンス推進体制を構築するとともに、役員・社員への教育啓発活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令などに抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 人材確保に関するリスク

当社グループの成長と利益は、専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人材の確保・育成に大きく影響されます。こうした優秀な人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 技術革新に関するリスク

当社グループが属する情報サービス産業では、不連続な技術環境の変化が生じることがあります。当社グループでは、先端技術や基盤技術等の多様な技術動向の調査・研究開発に努めておりますが、予想を超える革新的な技術の進展への対応が遅れた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 知的財産権に関するリスク

当社グループが事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利につき、当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品又はサービスを提供できなくなる可能性があります。また、当社グループの事業が他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性があります。いずれの場合も当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 親会社の影響力

当社の親会社である日本電信電話㈱(NTT)は、当期末現在、当社の議決権の54.2%を保有している大株主であります。当社はNTT及びその他の子会社から独立して業務を営んでおりますが、重要な問題については、NTTとの協議、もしくはNTTに対する報告を行っております。このような影響力を背景に、NTTは、自らの利益にとって最善であるが、その他の株主の利益とはならないかもしれない行動をとる可能性があります。

 

(13) 大規模災害や重大な伝染病等に関するリスク

当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものもあることから、行政のガイドラインに準拠した事業継続のための体制整備や防災訓練を実施しています。しかしながら、大規模な災害や重大な伝染病等が発生した場合には、事業所及びそれらのシステム並びに従業員の多くが被害を受ける可能性があり、その結果として、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下するおそれがあるほか、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされるなど、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

日本電信電話㈱(NTT)と当社を含むNTTグループ企業の間で、NTTが行う基盤的研究開発の成果の使用権を得るための契約、及び、相互の自主・自律性を尊重しつつ、NTTグループ全体の利益の最大化を通じて、グループ各社の利益を最大化することを目的としたグループ経営にかかわる契約、を引き続き締結しております。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループの研究開発については、中期経営計画の基本方針である「新規分野拡大・商品力強化」に向けて、「ソフトウェア工学」・「先進技術」・「IT基盤技術」を重点分野とし、技術開発を推進いたしました。

さらに、日本電信電話㈱(NTT)との研究開発連携により、基盤的研究開発テーマについてはその成果を活用し、当社のリソースを応用的研究開発テーマに重点配分しております。

当連結会計年度の研究開発費は12,911百万円であり、主な取組及び成果は、以下のとおりであります。

なお、研究開発の成果は、パブリック&フィナンシャル、エンタープライズITサービス、ソリューション&テクノロジー及びグローバルビジネスに共通して適用可能であるため、セグメント別に分計はしておりません。

 

(ソフトウェア工学に関する取組)

ソフトウェア開発自動化ツール(TERASOLUNA(注1))を適用可能案件には全て適用するという方針を推進するため、普及展開のための専門の支援組織を倍増。既存システムの仕様解析を自動化する「TERASOLUNA Reengineering」は、約30 のプロジェクトに適用。開発自動化ツール「TERASOLUNA ViSC v1.6」については、80以上のプロジェクトに適用を拡大。また、TERASOLUNAの自動化ツール群を連動させる「TERASOLUNA Suite」は200以上のプロジェクトに適用し、高品質かつ高速なシステム開発を実現。

(先進技術に関する取組)

機械翻訳エンジン「多言語統計翻訳プラットフォーム」(NTTが開発)を採用した技術文書の翻訳サービスを実用化。また、社会福祉法人東京聖新会、一般社団法人ユニバーサルアクセシビリティ評価機構と連携し、高齢者施設でコミュニケーションロボットによる介護支援サービスの実証を開始。

(IT基盤技術に関する取組)

オープンソースソフトウェア(OSS)(注2)の活用を加速するため、主導的立場でOSS開発コミュニティの活動を推進。企業の大量データ処理のニーズに応えるため、ミッションクリティカル(注3)なシステム向け機能を自主開発してOSSのソースコードに反映。Hadoop(注4)プロジェクトで国内初のコミッタ(主要開発者)を輩出。

また、これまで集積したOSS活用ノウハウを動員し、大規模システムへのOSSデータベースの適用実績を拡大。PostgreSQL(注5)データベースの大規模システムへの適用事例を「PostgreSQLカンファレンス2014」にて発表。

 

また、情報社会の近未来展望とITに関する技術トレンドを予測し活用する取組である「NTT DATA Technology Foresight(注6)」の講演や展示を、ITpro EXPO等の国内イベントに加え、全英オープンゴルフやGartner Symposiumなど海外イベントで実施いたしました。さらに、トレンド情報を用いてお客様と共に新たなビジネス創出を目指す新施策「共創ワークショップ」を6件、「お客様向けプライベートセミナー」を67件実施するとともに、最新版のトレンド「NTT DATA Technology Foresight 2015」を公開いたしました。

 

加えて、海外拠点におけるR&D強化の一環として、ドイツ政府が産学連携で推進するIndustrie 4.0(注7)コンセプト実現に向けたプロジェクトの一つであるAIMEに参画し、先進技術活用による製造ラインの効率化に向けた研究開発を開始いたしました。

 

(注1) TERASOLUNA(テラソルナ)

当社の数多くのシステム開発で培ってきたプロジェクト管理、開発プロセス、フレームワーク等の技術を組み合わせ、システム開発を包括的にサポートするソリューションです。

(注2) オープンソースソフトウェア(OSS)

ソースコードを無償で公開し、誰でも改良・再配布が行えるようにしたソフトウェアのことです。

 

(注3) ミッションクリティカル

業務の遂行やサービスに必要不可欠であり、障害や誤作動などが許されないことです。

(注4) Hadoop

OSSとして公開されている、大規模データを効率的に分散処理・管理するためのソフトウェア基盤のことです。

(注5) PostgreSQL

OSSとして公開されている、多機能で高性能なデータベース管理システムのことです。

(注6) NTT DATA Technology Foresight

情報社会の近未来展望(情報社会トレンド)とITに関する技術トレンドです。政治・経済・社会・技術の4つの観点で実施するITに関連する動向の網羅的調査と、国内外の有識者へのヒアリング・議論を通じて導出しています。

平成24年度からトレンド情報の公開を開始し、毎年更新しています。

(注7) Industrie 4.0

製造業の新たな技術革新に向けてドイツ政府と産業界の共同連携プロジェクトで提唱されたコンセプトのことです。

 

以上の研究開発活動を中心に、知的財産の形成の視点から成果の保護・活用を推進いたしました。当連結会計年度における新たな特許の出願公開は57件、登録公報発行は68件となっており、将来に向けた技術競争力の強化と知的財産権に関わるリスクの低減に努めるとともに、自社特許の活用を実施してきました。また、知的財産権の研修を実施するなど、今後の知的財産活動の推進に必要な教育・啓発活動にも積極的に取り組みました。

なお、当社グループにおいて特記すべき研究開発活動については、連結財務諸表を提出する当社のみが行っております。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高の状況

売上高は、連結拡大影響や海外を中心とした既存子会社の規模拡大等により、1,511,812百万円と前連結会計年度に比べて168,039百万円12.5%の増加となりました。

② 営業利益の状況

売上原価は、不採算案件の減少はあるものの、連結拡大影響や海外を中心とした既存子会社の規模拡大等により、1,147,302百万円と前連結会計年度に比べて116,089百万円11.3%の増加となりました。また、売上原価率は、上記不採算案件の減少等の影響により、76.7%から75.9%と0.9ポイントの改善となりました。

販売費及び一般管理費は、連結拡大影響や海外を中心とした既存子会社の規模拡大等により、280,495百万円と前連結会計年度に比べて30,520百万円12.2%の増加となりました。

以上の結果、営業利益は84,013百万円と前連結会計年度に比べて21,430百万円34.2%の増加となりました。

③ 経常利益の状況

営業外損益は、為替差益の減少等により、△6,104百万円と前連結会計年度に比べて5,674百万円の減少となりました。

以上の結果、経常利益は77,909百万円と前連結会計年度に比べて15,756百万円25.4%の増加となりました。

④ 当期純利益の状況

特別損益は、固定資産減損損失及び関係会社再編損等の減少により、△3,913百万円と前連結会計年度に比べて3,980百万円50.4%の増加となりました。

法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額の合計は、40,416百万円と前連結会計年度に比べて11,260百万円38.6%の増加となりました。

以上の結果、当期純利益は32,144百万円と前連結会計年度に比べて8,857百万円38.0%の増加となりました。

 

(2) 当連結会計年度末の財政状態の分析

総資産は、保有投資有価証券の時価評価に伴う増加等により、1,822,837百万円と前連結会計年度末に比べて132,896百万円7.9%の増加となりました。

また、負債は、借入金の増加等により、1,016,631百万円と前連結会計年度末に比べて36,510百万円3.7%の増加となりました。

純資産は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加や、保有投資有価証券の時価評価に伴う増加等により、806,205百万円と前連結会計年度末に比べて96,386百万円13.6%の増加となりました。

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

② 資金調達

当連結会計年度においては、長期借入金の他、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーによる資金調達を行いました。

なお、当社は低利かつ安定的な資金調達に資するため、国内の2つの格付機関から長期債とコマーシャル・ペーパーの格付けを取得しております。コマーシャル・ペーパーの発行枠は、150,000百万円を保有しており、現金及び現金同等物の代替となる資金流動性を十分確保しています。

また、当社グループでは、グループキャッシュマネジメントシステムを導入しており、当連結会計年度末時点で、その対象は国内の子会社63社となっております。グループ資金を当社に集中するとともに、各社の必要資金は当社が貸し付けることで、資金効率の向上と支払利息の低減を図っております。

 

 

 

 

 

この有価証券報告書に掲載されているサービス及び商品等は、当社あるいは各社等の登録商標又は商標です。