第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) 経営環境

平成29年度のわが国経済は、海外情勢を巡る不透明感が漂う中でも、輸出や企業の設備投資が堅調に推移し、期中に景気拡大期間が戦後2番目の長さに到達するなど、緩やかな景気回復が続いた。
 一方、エネルギーに関しては、国内における人口減少や工場の海外移転等による需要の減少に加えて、電力・ガス小売全面自由化により、市場の競争は激しさを増している。また、原油価格や世界のLNG需給など、LNG調達環境の不確実性などのリスクも高まっている。

(2) 経営方針・経営戦略等

こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」として、天然ガス・電力・LPGなどのエネルギーとその周辺サービスや都市開発・材料・情報等のエネルギー以外の様々な商品・サービスを通じて、「お客さま価値」「社会価値」「株主さま価値」「従業員価値」の創造を目指す。そして、電力・ガス小売全面自由化等の政策動向に的確に対応するとともに、積極的な成長投資や継続的な経営効率化を進めていく。また、持続的な成長を実現することが最大の経営課題であると認識し、平成29年3月、長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020「Going Forward Beyond Borders」を策定した。さらに本年3月には、本ビジョンで描く未来像の実現に向けて、グループ一丸となって取り組む決意を表明すべく、新グループブランド「Daigasグループ」を導入した。
 当社グループは、本ビジョン・計画に沿って、社会、地域、お客さまの発展に貢献し、時代を超えて選ばれ続ける革新的なエネルギー&サービスカンパニーとなることを目指し、積極的に事業活動を進めていく。

(3) 経営指標

① 収益性、成長性

ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)、EBITDA(注)の向上を目標に掲げる。

(注) 営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益

② 財務健全性

連結自己資本比率50%程度、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)0.7程度を継続的に目指していく。

③ 株主さまへの還元

安定配当の継続を基本に据えながら、短期的な利益変動要因を除いて連結配当性向30%以上を目指す。

(4) 対処すべき課題

長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020の実現に向け、以下のとおり、課題に取り組む。

①  国内・海外エネルギー事業
a  安定的、経済的な原料調達、上流(開発・生産)・液化事業の推進

多数の生産者から分散して調達することにより、天然ガス等の原料の安定確保に努めるとともに、契約価格指標の多様化により、市場競争力を高める原料調達を目指す。
 また、天然ガスの安定調達と収益獲得のため、現在取り組んでいる液化事業・ガス田等のプロジェクトの遂行や、新規権益の取得等を進め、上流事業を着実に推進していく。

b  競争力のある電源の確保

国内外での新規電源(天然ガス火力発電・再生可能エネルギー発電・石炭火力発電等)の開発、卸電力市場からの調達等を通じて、競争力のある電源ポートフォリオを構築するとともに、海外IPP(卸電力)事業の強化を図る。

c  安定供給と保安の確保

ガス製造・供給設備、発電設備等の維持・増強・改修、地震・津波対策等に継続的に取り組む。また、万一のガス漏れ等の緊急時への対応を引き続き行い、お客さま先の保安の確保に努めていく。

 

d  国内外におけるマーケタービジネスの拡大

燃料電池等のガスコージェネレーションシステムやガス冷暖房の普及等を通じた天然ガスの利用拡大に加えて、電力・LPG販売の拡大に取り組む。また、住ミカタ・サービスなどのライフサポートサービス、建物・設備の管理やメンテナンスといったエネルギー周辺サービスを拡充し、これらを総合的にご提供することで、お客さまの快適な生活の実現やビジネスの発展に貢献していく。さらに、㈱CDエナジーダイレクトや㈱エネアークの事業活動及び各地のエネルギー事業者との連携等を通じ、国内で幅広くマーケタービジネスを拡大していく。
  海外でも、ガス・電力・エネルギーサービス事業の運営や新規案件の開発等に着実に取り組む。

e  エネルギーインフラ開発、エンジニアリング事業の拡大

国内外において、LNG基地等の新規エネルギーインフラ開発を拡大していく。また、LNGの導入等を検討しているお客さまに対し、これまでの事業展開で培ったノウハウを活かし、ニーズに応じたソリューションを提案することでエンジニアリング事業を拡大していく。

f  公正で効率的なガス導管事業の推進

託送供給の中立性・透明性の確保や利便性の向上を図りつつ、都市ガス需要の維持・拡大に継続的に取り組む。

②  ライフ&ビジネス ソリューション事業

エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、都市開発・材料・情報等の事業で、固有の強みを活かした商品・サービスを提供することで、国内外のお客さまの快適・便利・健康の実現をサポートし、お客さまの豊かな暮らしやビジネスの発展に貢献していく。

③  経営基盤
a  ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営の実践

「DaigasグループCSR憲章」に基づき、当社グループ全体のCSR水準を一層高めることでESGに配慮した経営を実践し、国内外における当社グループのサプライチェーンに関わる皆さまとともに、お客さまや社会からの更なる信頼獲得に努めていく。
 具体的には、天然ガスへの燃料転換、高効率な設備や再生可能エネルギーの導入等により、お客さま先や自らの事業活動におけるCO2排出削減の取り組みを一層拡大する。また、国際規範に則った人権や労働・安全衛生への取り組みや、ダイバーシティ、情報セキュリティ対策等を推進する。

b  イノベーション・技術開発の推進
IoTやAIなど最先端のデジタル技術やアイデアを活用したサービスの提供による新たな価値創造に取り組む。

また、燃料電池をはじめとするガス機器・設備の更なる高効率化とコストダウン、新たな材料や情報処理に関する技術開発、温暖化対策技術等の分野におけるエンジニアリング技術の活用を推進する。

c  人材・組織の強化

持続的な成長の実現に向け、人材の多様性を高め、新しい価値を生み出せる人材の育成を進めていく。また、健康で強靭な当社グループであり続けるために、生産性が高く、創造性豊かな働き方を促進する働き方改革に一層積極的に取り組んでいく。

(5) おわりに

グループの内部統制システムの運用状況の確認及び評価を継続的に行い、所要の措置を講じることにより、実効性の高い内部統制を行っていく。これらの仕組みのもと、以上の課題に対処するとともに、「Daigasグループ企業理念」を実践し、持続的成長に向けて不断の努力を続けていく。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) 当社グループの事業全体に関するリスク

①  経済金融社会情勢、景気等の変動、市場の縮小

国内外における経済、金融、社会情勢、景気の悪化等による、売上高の減少や資金調達の不調、共同事業者、
 取引先の倒産、人口減少や工場の海外移転等

②  為替、調達金利の変動
③  大規模な災害、事故、感染症等の発生

大規模な自然災害、テロ、事故の発生、新型インフルエンザ等感染症の大規模な流行

④  各種国際規範、政策、法令、制度等の変更

環境・社会・ガバナンスに関する国際規範や、国内外の規範・政策・法令・制度等の変更

⑤  競争の激化

あらゆる事業分野における、他事業者との競争激化

⑥  基幹ITシステムの停止、誤作動

ガスの製造、供給や料金に関するシステム等、基幹的なITシステムの停止、誤作動

⑦  取扱商品・サービスの品質に関するトラブル

当社グループが取り扱う商品・サービスに関する品質上のトラブルが発生した場合における、対応に要する
 費用の支出や社会的信用の低下

⑧  情報漏洩

当社グループが保有するお客さま情報、技術情報をはじめとする、業務上取り扱う重要情報の社外流出

⑨  コンプライアンス違反

法令等に反する行為が発生した場合における、社会的信用の低下及び費用の発生

 

(2) 当社グループの主要な事業に関するリスク

①  国内エネルギー事業
a  気温、水温の変動によるエネルギー需要への影響
b  原燃料費の変動

為替相場、原油価格等の変動、調達先との契約更改や価格交渉の動向等による原燃料費の変動

c  原燃料調達に関するトラブル

ガス、電力の原燃料であるLNG等の、調達先の設備や操業等に関するトラブル

d  ガスの製造、供給に関するトラブル

自然災害や事故等による、ガスの製造、供給に関するトラブル

e  発電、電力の供給に関するトラブル

自然災害や事故、燃料調達トラブル等による、発電、電力の供給に関するトラブル

f  ガス消費機器、設備に関するトラブル

ガスの消費機器、設備に関する重大なトラブル

g  他事業者との競合激化及びそれに伴う消費者の事業者選択
②  海外エネルギー事業

当社グループが事業を行っている国における政策、規制の実施や変更、経済社会情勢の悪化、技術的問題等の要因によるプロジェクトの遅延・中止や採算の悪化等の事業環境の変化

 

当社グループは、以上のリスクに備え、為替、原料等のデリバティブ、災害保険等の各種保険、基幹ITシステムのセキュリティ向上、コンプライアンスや情報管理の徹底、業務執行状況の適切な把握と監督、保安、災害対策、事業継続計画の策定・見直し等によって、リスク発生時の業績への影響を低減するように努める。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) 経営成績の分析

①  概要

当期におけるわが国経済は、海外情勢を巡る不透明感が漂う中でも、輸出や企業の設備投資が堅調に推移し、緩やかな回復基調が続いた。

こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してきた。

当期の売上高は、ガス事業で原料費調整制度に基づき販売単価が高めに推移したことや、電力事業で販売量が増加したことなどにより、前期に比べて1,123億円増(+9.5%)の1兆2,962億円となった。経常利益は、ガス事業で原料価格の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる影響(注)が前期に比べて縮小したことや海外エネルギー事業の減益等により、191億円減(△19.9%)の770億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、上流事業で減損損失を計上したことなどにより、235億円減(△38.4%)の377億円となった。

(注) 原料価格の変動が原料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでには、一定の時間差があるため、一時的な増減益要因となる。当期・前期は一時的な増益要因となっている

 

②  売上高

売上高は、ガス事業で原料費調整制度に基づき販売単価が高めに推移したことや、電力事業で販売量が増加したことなどにより、前期に比べ1,123億円増(+9.5%)の1兆2,962億円となった。当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占める国内エネルギー・ガス事業セグメントの売上高は、前期に比べて601億円増(+6.6%)の9,714億円となった。

ガス供給件数は、前期末に比べて4.2%減599万6千戸となり、ガス販売量は、前期に比べて1.3%減85億8千万m3となった。 

ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、冬場の気温・水温が前年に比べて低く推移し、給湯・暖房需要が増加したことなどにより、前期に比べて2.7%増21億6千9百万m3となった。業務用等のガス販売量は、工業用における一部の発電設備の自社電源化(注)等により、前期に比べて2.6%減64億1千2百万m3となった。

(注) 発電燃料であるガスの取扱いを業務用ガス販売から自社利用に変更。

ガス機器・サービス販売の状況を見ると、家庭用のガス機器・サービスについては、給湯、暖房、調理等の機器・設備に加え、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」等の商品の開発および販売拡大に努めた。

平成30年2月、「エネファーム」の累計販売台数が8万台を突破した。また、平成30年4月、発電効率53.5%(総合効率87%)を実現した「エネファームtype S」の新商品を発売した。この商品では、スマートスピーカーを経由した音声操作等の新たな機能やサービスを利用できる。

平成29年4月、水まわり設備やエアコンなどの住まいのトラブルに対し、何度でも駆けつけるサービス等を定額で提供する「住ミカタ・プラス」を開始した。平成30年4月、定額のサービスに水まわり設備の点検や部屋の照度確認等を行う「住まいるチェック」を追加するとともに、追加料金が必要なオプションサービスとして、災害時の避難グッズのご提供及び消費期限の管理等を行う「まもリュック」等を開始した。

業務用のガス機器・サービスについては、コージェネレーションシステム、冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉、バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めるとともに、エンジニアリング力を活用し、お客さまのニーズに応じた高付加価値のソリューションの提供に努めた。

 

平成29年4月、発電効率52%(総合効率90%)を実現した小形業務用燃料電池を発売し、小規模の飲食店や病院、福祉施設等の熱需要が比較的少ない施設向けに営業活動を展開した。

LPG事業については、平成29年10月、事業基盤の拡大とコスト競争力の強化を目指し、当社と伊藤忠エネクス株式会社が各50%を出資する㈱エネアークを発足させ、関東・中部・関西地区のLPGの卸売・小売事業を統合した。また、平成30年4月、各地区において事業活動を行っていた複数のLPG販売会社を、地区ごとに統合した。

国内エネルギー・電力事業セグメントの売上高は、低圧電気供給件数の増加に伴う電力販売量の増加などにより、前期に比べて46.7%増1,577億円となった。

低圧電気供給件数は、前期末に比べて103.1%増61万9千件となり、電力販売量は、前期末に比べて22.4%増109億5千1百万kWhとなった。

平成29年10月、千葉県市原市においてバイオマス発電所(発電設備容量5万kW)を運営する市原バイオマス発電㈱に出資した(出資比率39%)。同発電所は、平成32年10月の営業運転開始を予定している。

平成30年3月、北海道寿都郡寿都町及び磯谷郡蘭越町において風力発電所(発電設備容量3万kW)を運営する尻別風力開発㈱の株式95%を取得し、子会社とした。同発電所は、平成33年2月の営業運転開始を予定している。

平成30年4月、当社と中部電力株式会社が各50%を出資し、首都圏において電力・ガスの販売等を行う㈱CDエナジーダイレクトを設立した。同社は、事業活動を通じて、ご家庭のお客さまには快適で便利な暮らしを、法人のお客さまには経済性や環境性に優れたビジネスソリューションを提供していく。

海外エネルギー事業セグメントの売上高は、前期に比べて0.3%減225億円となった。

平成21年9月に参画した、豪州北西部における天然ガスの生産・開発事業であるゴーゴンプロジェクト(権益保有比率1.25%)は、平成29年3月、3つの液化系列全てでLNG生産を開始し、稼働している。同プロジェクトは年間1千5百万トンのLNG生産能力を有している。

新日鉄住金エンジニアリング株式会社と共同出資するタイ国現地法人NS-OG Energy Solutions (Thailand) Ltd.社(出資比率30%)は、タイ国において、コージェネレーションシステムを活用した省エネルギーやコストダウン等の提案に努めている。平成29年11月、Honda Automobile (Thailand)社のプラチンブリ工場向けにエネルギー供給を開始した。

ライフ&ビジネス ソリューション事業セグメントの売上高は、前期に比べて0.3%増2,089億円となった。

都市開発事業を展開する大阪ガス都市開発㈱は、当期中に「アーバネックス深川住吉」をはじめとする4物件の賃貸マンションを取得し、資産の拡充に努めた。また、「ジ・アーバネックス神戸山本通」をはじめとする4物件の分譲マンションが竣工した。

情報ソリューション事業を展開する㈱オージス総研は、平成29年10月、販売・購買、在庫管理等の基幹業務システム導入等のコンサルティングサービスを提供する㈱アグニコンサルティングの全株式を取得した。

材料ソリューション事業を展開する大阪ガスケミカル㈱は、石炭化学技術等を基盤として、ファイン材料、炭素材製品、保存剤等、付加価値の高い材料等の開発及び販売拡大に努めた。 

 

③  売上原価、供給販売費及び一般管理費

売上原価は、原材料費が増加したことなどにより、前期に比べて1,292億円増(+17.4%)の8,744億円となった。供給販売費及び一般管理費は、ガス小売自由化関連のシステム開発に伴う委託作業費が増加したことなどにより、前期に比べて22億円増(+0.7%)の3,436億円となった。

 

④  営業損益

国内エネルギー・ガス事業セグメントでは、営業利益は、原料価格の変動が都市ガス販売単価に反映されるまでのタイムラグによる影響が前期に比べて132億円縮小したことなどにより、前期に比べて132億円減(△24.2%)の416億円となった。

国内エネルギー・電力事業セグメントでは、営業利益は、低圧電気供給件数の増加に伴う電力販売量の増加などにより、前期に比べて45億円増(+28.0%)の205億円となった。

 

海外エネルギー事業セグメントでは、営業損失は、北米IPPプロジェクトの持分売却に伴う損失計上に加えて、前期にフリーポートプロジェクトで一時的な収益を計上した反動などにより、45億円(前期は66億円の利益)となった。

ライフ&ビジネス ソリューション事業セグメントでは、営業利益は、ほぼ前期並みの186億円となった。

以上の結果、営業利益は前期に比べ、191億円減(△19.7%)の781億円となった。

 

⑤  営業外損益、経常利益

営業外収益は、前期に比べて13億円増154億円となった。これは受取配当金が増加したことなどによるものである。

営業外費用は、前期に比べて13億円増165億円となった。これは子会社株式売却損を計上したことなどによるものである。

この結果、営業利益に営業外損益を加えた経常利益は、前期に比べて191億円減(△19.9%)の770億円となった。

 

⑥  特別損益

当期においては、特別利益の発生はない。

特別損失は、前期に比べて65億円増112億円となった。これは減損損失(注) が増加したことなどによるものである。

(注) 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 e 連結損益計算書関係」の「※4 減損損失」を参照。

 

⑦  親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて235億円減(△38.4%)の377億円となった。1株当たり当期純利益(注)は、前期の147.29円に対し、当期は90.71円となった。

(注) 当社は、平成29年10月1日を効力発生日として普通株式5株を1株とする株式併合を行っている。前期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定している。 

 

⑧  収益性、成長性に関する経営指標

当社グループは、「中期経営計画2020」における2020年度計画として、連結ROE(自己資本利益率)については7.0%、連結ROA(総資産利益率)については3.5%、連結EBITDA(注)については2,000億円をそれぞれ収益性、成長性の経営指標として掲げている。

当期においては、連結ROE(自己資本利益率)は3.8%、連結ROA(総資産利益率)は2.0%、連結EBITDA(注)は1,671億円となった。

これらの経営指標の推移を踏まえながら、当社グループは引き続き収益性、成長性の向上に努めていく。

(注) 営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益 

 

(注) 1  上記のセグメント別売上高、セグメント損益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでいる。

2  本報告書では、ガス量はすべて1m3当たり45MJ(メガジュール)で表示している。

 

 

(2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①  キャッシュ・フロー

当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて199億円増1,687億円の収入となった。これは、税金等調整前当期純利益658億円が前期に比べて257億円減少したものの、法人税等の支払額264億円が前期に比べて160億円減少したこと、未払消費税等の増減額48億円が前期に比べて166億円増加したことなどによるものである。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて270億円支出減1,104億円の支出となった。これは、有形固定資産の取得による支出730億円が前期に比べて103億円減少したこと、関係会社株式の取得による支出153億円が前期に比べて174億円減少したことなどによるものである。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて10億円支出増515億円の支出となった。これは、長期借入金の返済による支出483億円が前期に比べて296億円増加したこと、社債の発行による収入がなく前期に比べて100億円減少したこと、社債の償還による支出がなく前期に比べて357億円減少したことなどによるものである。

 

以上の活動の結果に、現金及び現金同等物に係る換算差額と連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額を加えた当期のキャッシュ・フローは41億円のプラスとなり、前期に比べて466億円の収入の増加となった。

なお、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期に比べて41億円増の1,710億円となった。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、社債、借入金及び自己資金を財源としながら、ガス事業の基盤である本支供給管等の品質向上投資や、国内エネルギー、海外エネルギー、ライフ&ビジネス ソリューションへの成長投資を行っていく。

 

②  資産・負債及び純資産

当期末の総資産は1兆9,052億円となり、前期に比べて186億円増加した。これは、流動資産が売上債権及びたな卸資産等の増加により前期に比べて325億円増加したこと、固定資産が有形固定資産の減少等により138億円減少したことなどによるものである。

当期末の負債は8,764億円となり、前期に比べて182億円減少した。

当期末の純資産は1兆287億円となり、前期に比べて369億円増加した。これは、株主資本が利益剰余金の増加等により前期に比べて166億円増加したこと、その他の包括利益累計額が退職給付に係る調整累計額の増加等により前期に比べて210億円増加したことなどによるものである。

以上の結果、当期末の自己資本比率は52.5%となり、前期に比べて1.4ポイント増加した。

 

③  財務政策

当社グループは、平成29年3月に策定した長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020「Going Forward Beyond Borders」において経営指標を定めた。財務健全性指標としては、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)0.7程度、連結自己資本比率50%程度を中長期的に維持していくことを掲げている。

当社グループはこれまで、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入によるグループ全体の資金効率向上策、フリーキャッシュフローを活用した有利子負債の削減や自己株式取得等の投下資本効率向上策の実施のほか、事業遂行上の様々なリスクに起因する収益変動をヘッジするための財務リスクマネジメント等の取組みを通じて、財務健全性の維持・向上を図ってきた。

当期においては、有利子負債は前期に比べて368億円減少する一方、利益剰余金の増加により自己資本は増加し、連結D/E比率は0.50、連結自己資本比率は52.5%となっており、財務健全性を維持している。

今後も長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020の実現に向け、資金効率・資本効率の更なる向上や財務リスクマネジメントなどに積極的に取り組んでいく。

 

(生産、受注及び販売の状況)

当社グループにおいては、国内エネルギー・ガス事業セグメントにおいて当社及び名張近鉄ガス㈱等が営むガス販売が、生産・販売活動の中心となっている。また、当該セグメント以外のセグメントが生産・販売する製品やサービスは広範囲かつ多様であり、受注形態をとらないものも多い。

このため、以下は、国内エネルギー・ガス事業セグメントにおけるガス販売について記載している。

(1) 生産実績

(ガス)

当連結会計年度における生産実績は次のとおりである。

 

製品

生産量(千m3)

前期比(%)

ガス

8,806,063

△1.0

 

 

 

(2) 受注状況

(ガス)

ガス販売については、その性質上受注生産は行わない。

 

(3) 販売実績

(ガス)

製造所から導管により直接お客さまに販売しているが、一部については卸供給を行っている。

当連結会計年度における販売実績は次のとおりである。

項目

数量(千m3)

金額(百万円)

 

家庭用

2,168,541

(+2.7)

306,822

(+3.2)

ガス販売量

業務用等

6,411,503

(△2.6)

349,842

(+9.2)

 

8,580,044

(△1.3)

656,664

(+6.3)

ガス供給件数

 

5,996千戸

(△4.2)

 

 

(注) 1  (  )内数値は前期比(%)である。

2  セグメント間取引を含んでいる。

 

(4) 生産、受注及び販売等に関する特記事項

  ガス料金(当社)

  平成29年4月1日から平成30年3月31日までの適用料金

供給約款料金に対しては、ガス料金改定(平成27年1月1日実施)後の下記の料金表が適用される。また、原料費調整(スライド)制度により、調整の必要がある場合は、下記の基準単位料金に代えて調整単位料金が適用される。なお、供給約款料金以外の料金として選択約款料金及び個別の交渉に基づく大口需要家向けの料金がある。

 

(a) 料金表(供給約款料金)

ガス料金は基本料金及び従量料金の合計とし、各月の使用量に応じてA・B・C・D・E・F・G・Hのいずれかの料金表が適用される。

 

月間使用量区分

料金表A

料金表B

料金表C

料金表D

料金表E

料金表F

料金表G

料金表H

(月間使用量20m3まで)

(月間使用量20m3超50m3

まで)

(月間使用量50m3超100m3

まで)

(月間使用量100m3超200m3まで)

(月間使用量200m3超350m3まで)

(月間使用量350m3超500m3まで)

(月間使用量

500m3超1,000m3

まで)

(月間使用量1,000m3超)

基本料金
(1ヶ月当たり)(円)

745.20

1,337.40

1,595.90

2,021.90

3,423.90

3,738.90

6,818.90

7,138.90

基準単位料金
(1
m3当たり)(円)

191.14

161.53

156.36

152.10

145.09

144.19

138.03

137.71

 

(注) 1  基本料金は、ガスメーター1個についての料金であり、従量料金は、使用量に基準単位料金又は調整単位料金を乗じて算定する。

2  延滞利息制度

ガス料金の支払いが支払期限日(検針日の翌日から30日目)を経過した場合に、その経過日数に応じて1日当たり0.0274%(年率約10%)の率で算定した延滞利息が発生する。

 

 

(b) 原料費調整(スライド)制度

原料費調整(スライド)制度とは、LNGやLPG等の原料価格の変動に応じて、ガス料金の基準単位料金を調整するしくみである。

平成29年4月から平成30年3月は、上記(a)料金表の基準単位料金に対し、次のとおりの調整を行った調整単位料金が適用された。

 

検針月

1m3当たり調整額
(円/m3)<税込>

平成29年4月

△36.83

〃   5月

△35.00

〃   6月

△34.21

〃   7月

△33.68

〃   8月

△32.81

〃   9月

△32.11

〃   10月

△31.76

〃   11月

△32.29

〃   12月

△32.64

平成30年1月

△33.25

〃   2月

△33.42

〃   3月

△32.98

 

 

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

 

5 【研究開発活動】

当社において、研究開発は最も重要な成長戦略の一つである。保安の確保・向上はもちろんのこと、業務の効率化や設備関連費用の低減、需要家サービスの向上、更にはクリーンエネルギー=天然ガスの効率的な利用の拡大を目指して、様々な新技術の研究開発、実用化に積極的に取り組んでいる。

当社は、コア技術として、石炭・石油から都市ガスを製造していた時代からの触媒・材料技術、LNG気化器・PC(プレストレスト・コンクリート)型LNGタンク・LNG冷熱発電・LNG受入基地等の設計・建設技術、天然ガスコージェネレーション・燃料電池・燃焼技術等のエネルギー利用技術等を保有しており、各々の分野で研究開発を進めている。

有機材料・活性炭等各種材料の開発、情報通信技術等、エネルギー分野にとどまらず、ライフ&ビジネス ソリューション分野への取組みを進めている。

知的財産分野では、保有特許分析等に基づく戦略的な知的財産戦略を展開している。また、当社保有技術と外部の保有技術を積極的に融合・活用することにより、開発の加速と効率化、新規技術・商品開発の創出を図る「オープンイノベーション」活動を積極的に推進している。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は97億8百万円で、各セグメント別の研究目的・主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりである。

(国内エネルギー・ガス)

当社は、ガスの製造、供給及び拡販に寄与する研究開発を行っている。

ガス製造分野では、安定操業・安定供給を確保するためのLNG基地製造設備の建設・診断・評価技術に取り組んでいる。
  ガスの輸送・供給分野では、保安レベルの維持・向上や災害発生時の迅速な復旧、非開削工法・検査・修繕技術等ガス導管の建設・保全費用の低減を目指した研究開発を行っている。また、需要家サービス向上のため「スマートメーター」の開発へも積極的に取り組んでいる。

家庭用ガス利用分野では、小型で高効率な燃料電池を用いた家庭用コージェネレーションシステムやスマートコンロ等の家庭用ガス機器の開発に加え、ガス機器へIoT(Internet of Things)を活用する先進的な技術開発にも取り組んでいる。また、燃料電池・太陽光電池・蓄電池・空調等の組み合わせで戸建住宅全体の快適性と省エネルギーを両立する「スマートエネルギーハウス」に取り組むとともに、実験集合住宅(NEXT21)では、環境に優しい集合住宅に向けて、エネルギー融通、デマンドレスポンス、逆潮流等の居住実験を進めている。

業務用・産業用ガス利用分野では、様々なニーズに応えるバーナ・工業炉の開発や、ガスコージェネレーションシステム・ガスヒートポンプを用いた空調機等、省エネルギーに貢献する機器の更なる高効率化、遠隔モニタリングを活用した省エネ支援サービス向けのシステム開発等、エネルギービジネスの推進を図るための商品開発を実施している。お客さまのコージェネレーションシステムを活用しVPP(Virtual Power Plant)実証や調整力公募に参加し、ガス機器で創出するネガワット価値の取引のノウハウ蓄積にも取り組んでいる。

また、当社が保有する技術を活用し、水素ステーション等に導入可能な低コストでコンパクトな水素製造装置の商品化開発、バイオガス等の再生可能エネルギー活用に関する研究開発にも取り組んでいる。

大阪ガスリキッド㈱は、産業ガスや水素オンサイト事業の需要拡大に繋がるシステム技術や新商品の開発、冷熱を利用した各種樹脂・食品原料の低温粉砕に関する技術開発を行っている。

当セグメントにおける研究開発費は75億1百万円である。

(ライフ&ビジネス ソリューション)

Jacobi Carbons AB及び水澤化学工業㈱を含む大阪ガスケミカルグループでは、炭素材料・光電子材料・活性炭・保存剤・無機吸着剤等に係る研究開発を、㈱KRIはナノ材料や次世代電池等の先進材料・新エネルギーに係る研究開発を、オージス総研グループではソフトウェア及び情報システムに係る研究開発を行っている。当セグメントにおける研究開発費は22億6百万円である。