当期におけるわが国経済は、原油価格の緩やかな上昇を背景に世界経済が持ち直しの動きを見せる中、企業の設備投資や輸出、生産が好調に推移するなど、回復基調が続いた。
こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してきた。
当期の売上高は、ガス事業で原料費調整制度によって都市ガスの販売単価が低めに推移したことなどにより、前期に比べて1,381億6千5百万円減(△10.5%)の1兆1,838億4千6百万円となった。経常利益は、ガス事業で原料価格の変動が都市ガス販売単価に反映されるまでのタイムラグによる影響が前期に比べて縮小したことなどにより、387億9百万円減(△28.7%)の962億7千6百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、230億5千3百万円減(△27.3%)の612億7千1百万円となった。
セグメントの業績を示すと次のとおりである。
ガス取付メーター数は、前期末に比べて0.8%増の733万8千戸となった。
ガス販売量は、前期に比べて8.0%増の86億9千4百万m3となった。このうち、家庭用ガス販売量は、冬場の気温・水温が前年に比べて低く推移し給湯・暖房需要が増加したことなどにより、前期に比べて0.9%増の21億1千1百万m3となった。
業務用その他のガス販売量については、工業用における需要開発等、商業用及び公用・医療用における空調需要の増加等により、前期に比べて10.5%増の65億8千3百万m3となった。
売上高は、原料費調整制度によって都市ガス販売単価が低めに推移したことなどにより、前期に比べて1,461億7千万円減(△15.4%)の8,023億3千1百万円となった。セグメント利益は、原料価格の変動が都市ガス販売単価に反映されるまでのタイムラグによる影響が前期に比べて縮小したことなどにより、前期に比べて476億円減(△49.7%)の481億2千3百万円となった。
売上高は、電力事業の増収等により、前期に比べて25億9千2百万円増(+1.3%)の2,090億2千6百万円となった。セグメント利益は、電力事業の減益等により、前期に比べて67億7千6百万円減(△23.5%)の220億7千5百万円となった。
売上高は、豪州におけるゴーゴンプロジェクトの生産開始等により、前期に比べて39億3千万円増(+21.0%)の226億3千2百万円となった。セグメント利益は、北海油田における持分法による投資利益の増加等により74億7千7百万円(前期は2億7千7百万円の損失)となった。
売上高は、材料ソリューション事業の減収等により、前期に比べて41億2百万円減(△1.9%)の2,176億円となった。セグメント利益は、不動産事業の増益等により、前期に比べて15億7千9百万円増(+8.4%)の204億1千4百万円となった。
(注) 1 上記のセグメント別売上高、セグメント損益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでいる。
2 本報告書では、ガス量はすべて1m3当たり45MJ(メガジュール)で表示している。
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べて424億5千4百万円減少して1,669億1千2百万円となった。
税金等調整前当期純利益が減少したこと、未払消費税等が減少したことなどにより、当期において営業活動の結果得られた資金は1,488億1百万円となり、前期に比べて1,330億1千7百万円の収入の減少となった。
有形固定資産の取得による支出や長期貸付けによる支出が減少したことなどにより、当期において投資活動に使用した資金は1,375億2千7百万円となり、前期に比べて66億7千1百万円の支出の減少となった。
社債の償還による支出が減少したこと、社債の発行による収入が増加したことなどにより、当期における財務活動は505億3千万円の支出となり、前期に比べて401億8千5百万円の支出の減少となった。
以上の3つのキャッシュ・フローに現金及び現金同等物に係る換算差額を合計した当期の連結キャッシュ・フローは、マイナスの424億5千4百万円となった。
当社グループにおいては、ガス事業セグメントにおいて当社及び名張近鉄ガス㈱等が営むガス販売が、生産・販売活動の中心となっている。また、当該セグメント以外のセグメントが生産・販売する製品やサービスは広範囲かつ多様であり、受注形態をとらないものも多い。
このため、以下は、ガス事業セグメントにおけるガス販売について記載している。
(ガス)
当連結会計年度における生産実績は次のとおりである。
|
製品 |
生産量(千m3) |
前期比(%) |
|
ガス |
8,895,511 |
+8.9 |
(ガス)
ガス販売については、その性質上受注生産は行わない。
(ガス)
製造所から導管により直接お客さまに販売しているが、一部については卸供給を行っている。
当連結会計年度における販売実績は次のとおりである。
|
項目 |
数量(千m3) |
金額(百万円) |
||||
|
|
家庭用 |
2,111,229 |
(+0.9) |
297,240 |
(△12.8) |
|
|
ガス販売量 |
業務用その他 |
6,583,149 |
(+10.5) |
320,424 |
(△23.5) |
|
|
|
計 |
8,694,378 |
(+8.0) |
617,664 |
(△18.7) |
|
|
ガス取付メーター数 |
|
7,338千戸 |
(+0.8) |
|
||
|
1戸当たり月平均使用量 |
|
109.5 |
m3 |
(+7.4) |
|
|
(注) 1 ( )内数値は前期比(%)である。
2 セグメント間取引を含んでいる。
供給約款料金に対しては、ガス料金改定(平成27年1月1日実施)後の下記の料金表が適用される。また、原料費調整(スライド)制度により、調整の必要がある場合は、下記の基準単位料金に代えて調整単位料金が適用される。なお、供給約款料金以外の料金として選択約款料金及び個別の交渉に基づく大口需要家向けの料金がある。
ガス料金は基本料金及び従量料金の合計とし、各月の使用量に応じてA・B・C・D・E・F・G・Hのいずれかの料金表が適用される。
|
月間使用量区分 |
料金表A |
料金表B |
料金表C |
料金表D |
料金表E |
料金表F |
料金表G |
料金表H |
|
|
(月間使用量20m3まで) |
(月間使用量20m3超50m3まで) |
(月間使用量50m3超100m3まで) |
(月間使用量100m3超200m3まで) |
(月間使用量200m3超350m3まで) |
(月間使用量350m3超500m3まで) |
(月間使用量500m3超1,000m3まで) |
(月間使用量1,000m3超) |
||
|
基本料金 |
税 込 |
745.20 |
1,337.40 |
1,595.90 |
2,021.90 |
3,423.90 |
3,738.90 |
6,818.90 |
7,138.90 |
|
基準単位料金 |
税 込 |
191.14 |
161.53 |
156.36 |
152.10 |
145.09 |
144.19 |
138.03 |
137.71 |
(注) 1 基本料金は、ガスメーター1個についての料金であり、従量料金は、使用量に基準単位料金又は調整単位料金を乗じて算定する。
2 延滞利息制度
ガス料金の支払いが支払期限日(検針日の翌日から30日目)を経過した場合に、その経過日数に応じて1日当たり0.0274%(年率約10%)の率で算定した延滞利息が発生する。
原料費調整(スライド)制度とは、LNGやLPG等の原料価格の変動に応じて、ガス料金の基準単位料金を調整するしくみである。
平成28年4月から平成29年3月は、上記(a)料金表の基準単位料金に対し、次のとおりの調整を行った調整単位料金が適用された。
|
検針月 |
1m3当たり調整額 |
|
平成28年4月 |
△28.00 |
|
〃 5月 |
△30.45 |
|
〃 6月 |
△34.03 |
|
〃 7月 |
△37.18 |
|
〃 8月 |
△41.03 |
|
〃 9月 |
△44.27 |
|
〃 10月 |
△44.88 |
|
〃 11月 |
△44.36 |
|
〃 12月 |
△43.22 |
|
平成29年1月 |
△42.08 |
|
〃 2月 |
△40.51 |
|
〃 3月 |
△38.76 |
最近2事業年度における原料の受入量、払出量及び在庫量の推移は次のとおりである。
|
原料名 |
平成27年度 |
平成28年度 |
||||
|
受入量 |
払出量 |
期末在庫量 |
受入量 |
払出量 |
期末在庫量 |
|
|
LNG(千t) |
6,761 |
6,742 |
562 |
7,053 |
7,381 |
234 |
平成28年度のわが国経済は、原油価格の緩やかな上昇を背景に世界経済が持ち直しの動きを見せる中、個人消費に改善の遅れがあるものの、円安・株高が進み、企業の設備投資や輸出、生産が好調に推移するなど、底堅い回復基調が続いた。今後、米国の財政政策の動向や中国経済の減速などの下振れリスクには留意が必要だが、政府による経済対策が本格化するなど、内需の下支えもあって、引き続き回復基調が続くことが見込まれる。
一方、エネルギーに関しては、国内における人口減少や工場の海外移転等による需要の減少に加えて、平成28年4月の電力小売全面自由化に続き、平成29年4月からはガス小売も全面自由化された。また、原油価格や世界のLNG需給など、LNG調達環境の不確実性などのリスクも高まっている。
こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」として、天然ガス・電力・LPGなどのエネルギーとその周辺サービスや都市開発・材料・情報等のエネルギー以外の様々な商品・サービスを通じて、「お客さま価値」「社会価値」「株主さま価値」「従業員価値」の創造を目指す。そして、電力・ガス小売全面自由化等の政策動向に的確に対応するとともに、積極的な成長投資や継続的な経営効率化を進めていく。また、持続的な成長を実現することが最大の経営課題であると認識し、平成29年3月、長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020「Going Forward Beyond Borders」を策定した。
本ビジョン・計画に沿って、社会、地域、お客さまの発展に貢献し、時代を超えて選ばれ続ける革新的なエネルギー&サービスカンパニーとなることを目指し、積極的に事業活動を進めていく。
経営指標としては、収益性、成長性の観点から、ROE(自己資本当期純利益率)、ROA(総資産当期純利益率)、EBITDA※1の向上を目標に掲げるとともに、財務健全性の観点から、連結自己資本比率50%程度、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)0.7程度を継続的に目指していく。
株主さまへの還元については、安定配当の継続を基本に据えながら、短期的な利益変動要因を除いて連結配当性向30%以上を目指す。
※1 営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益
長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020の実現に向け、以下のとおり、課題に取り組む。
多数の生産者から分散して調達することにより、天然ガス等の原料の安定確保に努めるとともに、契約価格指標の多様化により、市場競争力を高める原料調達を目指す。
また、天然ガスの安定調達と収益獲得のため、現在取り組んでいる液化事業・ガス田等のプロジェクトの遂行や、新規権益の取得等を進め、上流事業を着実に推進していく。
国内外での新規電源(天然ガス火力発電・石炭火力発電・再生可能エネルギー発電等)の開発、卸電力市場からの調達等を通じて、競争力のある電源ポートフォリオを構築するとともに、海外IPP(卸電力)事業の強化を図る。
ガス製造・供給設備、発電設備等の維持・増強・改修、地震・津波対策等に継続的に取り組む。また、万一のガス漏れ等の緊急時への対応を引き続き行い、お客さま先の保安の確保に努めていく。
燃料電池等のガスコージェネレーションシステムやガス冷暖房の普及等を通じた天然ガスの利用拡大に加えて、電力・LPG販売の拡大に取り組む。また、住ミカタ・サービスなどのライフサポートサービス、建物・設備の管理やメンテナンスといったエネルギー周辺サービスを拡充し、これらを総合的にご提供することで、お客さまの快適な生活の実現やビジネスの発展に貢献していく。さらに、各地のエネルギー事業者との連携等を通じ、国内で幅広くマーケタービジネスを拡大していく。
海外でも、ガス・電力・エネルギーサービス事業の運営や新規案件の開発等に着実に取り組む。
平成29年4月から新しい制度によるガス導管事業の運用がスタートしたことを踏まえ、託送供給の中立性・透明性の確保や利便性の向上を図りつつ、都市ガス需要の維持・拡大に継続的に取り組む。
エネルギー事業で培った技術と知見を基盤に、都市開発・材料・情報等の事業で、固有の強みを活かした商品・サービスを提供することで、国内外のお客さまの快適・便利・健康の実現をサポートし、お客さまの豊かな暮らしやビジネスの発展に貢献していく。
「大阪ガスグループCSR憲章」に基づき、当社グループ全体のCSR水準を一層高めることでESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営を実践し、国内外における当社グループのサプライチェーンに関わる皆さまとともに、お客さまや社会からのさらなる信頼獲得に努めていく。
具体的には、天然ガスへの燃料転換、高効率な設備や再生可能エネルギーの導入等により、お客さま先や自らの事業活動におけるCO2排出削減の取り組みを一層拡大する。また、国際規範に則った人権や労働・安全衛生への取り組みや、ダイバーシティ、情報セキュリティ対策などを推進する。
燃料電池をはじめとするガス機器・設備の更なる高効率化とコストダウン、新たな材料やIoT活用などの情報に関する技術開発、資源開発・発電・水素をはじめとした温暖化対策技術等の分野におけるエンジニアリング技術の活用を推進する。
持続的な成長の実現に向け、人材の多様性を高め、新しい価値を生み出せる人材の育成を進めていく。また、健康で強靭な当社グループであり続けるために、生産性が高く、創造性豊かな働き方を促進する働き方改革に一層積極的に取り組んでいく。
グループの内部統制システムの運用状況の確認及び評価を継続的に行い、所要の措置を講じることにより、実効性の高い内部統制を行っていく。これらの仕組みのもと、以上の課題に対処するとともに、「大阪ガスグループ企業理念」を実践し、持続的成長に向けて不断の努力を続けていく。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
国内外における経済、金融、社会情勢、景気の悪化等による、売上高の減少や資金調達の不調、共同事業者、
取引先の倒産、人口減少や工場の海外移転等
大規模な自然災害、テロ、事故の発生、新型インフルエンザ等感染症の大規模な流行
環境・社会・ガバナンスに関する国際規範や、ガス事業法、電気事業法、会社法、金融商品取引法や環境・
労働安全衛生・人権に関する法令等、国内外の規範、政策、法令、制度等の変更
あらゆる事業分野における、他事業者との競争激化
ガスの製造、供給や料金に関するシステム等、基幹的なITシステムの停止、誤作動
当社グループが取り扱う商品・サービスに関する品質上のトラブルが発生した場合における、対応に要する
費用の支出や社会的信用の低下
当社グループが保有するお客さま情報、技術情報をはじめとする、業務上取り扱う重要情報の社外流出
法令等に反する行為が発生した場合における、社会的信用の低下及び費用の発生
原油価格、為替相場の変動、調達先との契約更改や価格交渉の動向等による原燃料費の変動※
※LNG価格の変動については、原料費調整制度の適用によりガス販売価格に反映して概ね相殺することが可能だが、反映までのタイムラグや、原料調達先の構成により影響を受ける可能性がある。
ガス、電力の原燃料であるLNG等の、調達先の設備や操業等に関するトラブル
自然災害や事故等による、ガスの製造、供給に関するトラブル
自然災害や事故、燃料調達トラブル等による、発電、電力の供給に関するトラブル
ガスの消費機器、設備に関する重大なトラブル
当社グループが事業を行っている国における政策、規制の実施や変更、経済社会情勢の悪化、技術的問題等の要因によるプロジェクトの遅延・中止や採算の悪化等の事業環境の変化
当社グループは、以上のリスクに備え、為替、原料等のデリバティブ、災害保険等の各種保険、基幹ITシステムのセキュリティ向上、コンプライアンスや情報管理の徹底、業務執行状況の適切な把握と監督、保安、災害対策、事業継続計画の策定・見直し等によって、リスク発生時の業績への影響を低減するように努める。
該当事項なし。
当社において、研究開発は最も重要な成長戦略の一つである。保安の確保・向上はもちろんのこと、業務の効率化や設備関連費用の低減、需要家サービスの向上、更にはクリーンエネルギー=天然ガスの効率的な利用の拡大を目指して、様々な新技術の研究開発、実用化に積極的に取り組んでいる。
当社は、コア技術として、石炭・石油から都市ガスを製造していた時代からの触媒・材料技術、LNG気化器・PC(プレストレスト・コンクリート)型LNGタンク・LNG冷熱発電・LNG受入基地等の設計・建設技術、天然ガスコージェネレーション・燃料電池・燃焼技術等のエネルギー利用技術等を保有しており、各々の分野で研究開発を進めている。
最近では、有機材料・活性炭等各種材料の開発、情報通信技術等、エネルギー分野にとどまらず、ライフ&ビジネス ソリューション分野への取組みを進めている。
知的財産分野では、保有特許分析等に基づく戦略的な知的財産戦略を展開している。また、当社保有技術と外部の保有技術を積極的に融合・活用することにより、開発の加速と効率化、新規技術・商品開発の創出を図る「オープンイノベーション」活動を積極的に推進している。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は103億7千4百万円で、各セグメント別の研究目的・主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりである。
当社は、ガスの製造、供給及び拡販に寄与する研究開発を行っている。
ガス製造分野では、安定操業・安定供給を確保するためのLNG基地製造設備の建設・診断・評価技術に取り組んでいる。
ガスの輸送・供給分野では、保安レベルの維持・向上や災害発生時の迅速な復旧、非開削工法・検査・修繕技術等ガス導管の建設・保全費用の低減を目指した研究開発を行っている。また、需要家サービス向上のため「スマートメーター」の開発へも積極的に取り組んでいる。
家庭用ガス利用分野では、小型で高効率な燃料電池を用いた家庭用コージェネレーションシステムやスマートコンロ等の家庭用ガス機器の開発に加え、ガス機器へIoT(Internet of Things)を活用する先進的な技術開発にも取り組んでいる。また、燃料電池・太陽光電池・蓄電池・空調等の組み合わせで戸建住宅全体の快適性と省エネルギーを両立する「スマートエネルギーハウス」に取り組むとともに、実験集合住宅(NEXT21)では、環境に優しい集合住宅に向けて、エネルギー融通、デマンドレスポンス、逆潮流等の居住実験を進めている。
業務用・産業用ガス利用分野では、様々なニーズに応えるバーナ・工業炉の開発や、ガスコージェネレーションシステム・ガスヒートポンプを用いた空調機等、省エネルギーに貢献する機器の更なる高効率化、遠隔モニタリングを活用した省エネ支援サービス向けのシステム開発等、エネルギービジネスの推進を図るための商品開発を実施している。お客さまのコージェネレーションやガス空調等によるデマンドレスポンス実証事業に参加し、ガス機器の持つ電力需給ひっ迫対策の可能性検証や、将来的なネガワット取引のノウハウ蓄積にも取り組んでいる。
また、当社が保有する技術を活用し、今後普及が見込まれる燃料電池自動車に燃料を供給する水素ステーション等に導入可能な水素製造装置の商品化開発、バイオガス等の新エネルギーに関する研究開発にも取り組んでいる。
当セグメントにおける研究開発費は77億2千8百万円である。
大阪ガスリキッド㈱は、産業ガスや水素オンサイト事業の需要拡大に繋がるシステム技術や新商品の開発、冷熱を利用した各種樹脂・食品原料の低温粉砕に関する技術開発を行っている。当セグメントにおける研究開発費は1億1百万円である。
Jacobi Carbons AB及び水澤化学工業㈱を含む大阪ガスケミカルグループでは、炭素材料・光電子材料・活性炭・保存剤・無機吸着剤等に係る研究開発を、㈱KRIはナノ材料や次世代電池等の先進材料・新エネルギーに係る研究開発を、オージス総研グループではソフトウェア及び情報システムに係る研究開発を行っている。当セグメントにおける研究開発費は25億4千4百万円である。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当期におけるわが国経済は、原油価格の緩やかな上昇を背景に世界経済が持ち直しの動きを見せる中、企業の設備投資や輸出、生産が好調に推移するなど、回復基調が続いた。
こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してきた。
当期の売上高は、ガス事業で原料費調整制度によって都市ガスの販売単価が低めに推移したことなどにより、前期に比べて1,381億円減(△10.5%)の1兆1,838億円となった。経常利益は、ガス事業で原料価格の変動が都市ガス販売単価に反映されるまでのタイムラグによる影響が前期に比べて縮小したことなどにより、387億円減(△28.7%)の962億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、230億円減(△27.3%)の612億円となった。
売上高は、前期に比べ1,381億円減(△10.5%)の1兆1,838億円となった。当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占めるガス事業セグメントの売上高は、前期に比べて1,461億円減(△15.4%)の8,023億円となった。
ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、冬場の気温・水温が前年に比べて低く推移し給湯・暖房需要が増加したことなどにより、前期に比べて0.9%増の21億1千1百万m3となった。業務用ガス販売量は、工業用における需要開発等、商業用及び公用・医療用における空調需要の増加等により、前期に比べて11.0%増の60億9千4百万m3となった。他ガス事業者向けのガス販売量は、前期に比べて4.3%増の4億8千9百万m3となった。これらの結果、ガス販売量は、前期に比べて8.0%増の86億9千4百万m3となった。
ガス機器販売の状況を見ると、家庭用のガス機器については、給湯、暖房、調理等の機器・設備に加え、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」等の商品の開発及び販売拡大に努めた。
平成28年4月、更に高い発電効率とコンパクト化を実現した「エネファームtype S」(固体酸化物形燃料電池)の新商品を発売した。また、この商品を導入されたお客さまを対象(太陽光発電に係る国の余剰電力買取制度を利用されている場合を除く。)として、お客さま宅で使われなかった電力(余剰電力)の買い取りを開始した。この商品は、「平成28年度省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)」の「資源エネルギー庁長官賞」を受賞した。
平成28年5月、ガス小売全面自由化に向けて、お客さまとの接点やつながりを更に強化するために、住まい全般の設備に関するお困りごとにワンストップで対応する「住ミカタ・サービス」を開始した。また、平成29年4月、住まいのトラブルに対し何度でも駆けつけるサービス等を提供する「住ミカタ・プラス」を開始した。
業務用のガス機器については、コージェネレーションシステム、「GHP XAIR(エグゼア)Ⅱ」等の冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉、バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めるとともに、エンジニアリング力を活用し、お客さまのニーズに応じた高付加価値のソリューションの提供に努めた。
LPG・電力・その他エネルギー事業セグメントの売上高は、前期に比べて1.3%増の2,090億円となった。
平成28年4月、産業ガス・LNG・LPG等の販売事業を展開してきた㈱リキッドガス及びその傘下会社を、会社分割等により事業分野ごとに再編した。
電力事業については、各地の火力発電設備、風力発電設備、太陽光発電設備が引き続き順調に稼働した。
平成28年4月、電力小売全面自由化を契機に、電力小売事業に参入し、低圧電気需給契約に基づく供給を開始した。平成29年3月末時点の供給件数は30万5千件となっている。
平成28年10月、福島ガス発電㈱の株式20%を取得し、福島県・相馬港における天然ガス火力発電事業に参画した。同社が所有・運営を計画する「相馬港天然ガス火力発電所(仮称)」は、天然ガスを燃料とする59万kWのコンバインドサイクル方式発電設備(周波数50Hz)2基で構成され、平成32年春の商業運転開始を目指している。
海外エネルギー事業セグメントの売上高は、前期に比べて21.0%増の226億円となった。
平成29年2月、米国メリーランド州におけるセントチャールズ天然ガス火力発電所(発電容量72.5万kW、事業会社の当社グループ持分25%)が完工し、商業運転を開始した。
平成29年3月、米国ニュージャージー州において稼働中の天然ガス火力発電事業であるショアプロジェクト(発電所の発電容量72.5万kW)の事業会社の持分20%を取得し、同発電事業に参画した。
また、米国ペンシルベニア州における天然ガス火力発電事業であるフェアビュープロジェクトの事業会社の持分50%を取得し、同発電事業に参画した。発電所(発電容量105万kW)は現在建設中であり、平成32年春の商業運転開始を目指している。
ライフ&ビジネス ソリューション事業セグメントの売上高は、前期に比べて1.9%減の2,176億円となった。
都市開発事業を展開する大阪ガス都市開発㈱は、当期中に「アーバネックス本町」をはじめとする8物件の賃貸マンションを取得し、資産の拡充に努めた。また、「ジ・ アーバネックス芦屋Owners」をはじめとする4物件の分譲マンションが竣工した。
情報ソリューション事業を展開する㈱オージス総研は、企業情報システムのコンサルティング・設計・開発・運用や、データセンター・クラウドサービス等、総合的なITサービスの提供に努めた。
材料ソリューション事業を展開する大阪ガスケミカル㈱は、石炭化学技術等を基盤として、ファイン材料や炭素材製品等、付加価値の高い材料の開発及び販売拡大に努めた。
売上原価は、前期に比べて696億円減(△8.5%)の7,451億円となった。供給販売費及び一般管理費は前期に比べて191億円減(△5.3%)の3,414億円となった。
ガス事業セグメントでは、営業利益は、前期に比べて476億円減(△49.8%)の480億円となった。
LPG・電力・その他エネルギー事業セグメントでは、営業利益は、前期に比べて80億円減(△27.1%)の216億円となった。
海外エネルギー事業セグメントでは、営業利益は、前期に比べて23億円増(+54.5%)の66億円となった。
ライフ&ビジネス ソリューション事業セグメントでは、営業利益は、前期に比べて19億円増(+11.0%)の198億円となった。
以上の結果、営業利益は前期に比べ、494億円減(△33.7%)の972億円となった。
営業外収益は、前期に比べて42億円増の141億円となった。これは持分法による投資利益を計上したことなどによるものである。
営業外費用は、前期に比べて64億円減の151億円となった。これは持分法による投資損失が減少したことなどによるものである。
この結果、営業利益に営業外損益を加えた経常利益は、前期に比べて387億円減(△28.7%)の962億円となった。
当期においては、特別利益の発生はない。
特別損失は、前期に比べて99億円減の46億円となった。これは減損損失(注) が減少したことなどによるものである。
(注)「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 f 連結損益計算書関係」の「※5 減損損失」を参照。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて230億円減(△27.3%)の612億円となった。連単倍率は、前期に比べて0.11ポイント上昇し、1.12となった。1株当たり当期純利益は、前期の40.53円に対し、当期は29.46円となった。
(注) 上記のセグメント別売上高、営業利益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでいる。
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて1,330億円減の1,488億円の収入となった。これは、税金等調整前当期純利益915億円が前期に比べて312億円減少したこと、未払消費税等の減少額117億円が前期に比べて113億円増加したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて66億円支出減の1,375億円の支出となった。これは、有形固定資産の取得による支出834億円が前期に比べて264億円減少したこと、長期貸付けによる支出51億円が前期に比べて26億円減少したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて401億円支出減の505億円の支出となった。これは、社債の償還による支出357億円が前期に比べて174億円減少したこと、社債の発行による収入100億円が前期に比べて100億円増加したことなどによるものである。
以上の活動の結果に、現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた当期のキャッシュ・フローは424億円のマイナスとなり、前期に比べて890億円の収入の減少となった。
なお、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期に比べて424億円減の1,669億円となった。
当期末の総資産は1兆8,865億円となり、前期に比べて568億円増加した。これは、固定資産が投資有価証券の増加等により前期に比べて913億円増加したこと、流動資産が現金及び預金の減少等により前期に比べて345億円減少したことによるものである。
当期末の負債は8,947億円となり、前期に比べて7億円増加した。
当期末の純資産は9,918億円となり、前期に比べて560億円増加した。これは、株主資本が利益剰余金の増加等により前期に比べて402億円増加したこと、その他の包括利益累計額が退職給付に係る調整累計額の増加等により前期に比べて150億円増加したことなどによるものである。
以上の結果、当期末の自己資本比率は51.0%となり、前期に比べて1.4ポイント増加した。
当社グループは、平成29年3月に策定した長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020「Going Forward Beyond Borders」において経営指標を定めた。財務健全性指標としては、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)0.7程度、連結自己資本比率50%程度を中長期的に維持していくことを掲げている。
当社グループはこれまで、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入によるグループ全体の資金効率向上策、フリーキャッシュフローを活用した有利子負債の削減や自己株式取得等の投下資本効率向上策の実施のほか、事業遂行上の様々なリスクに起因する収益変動をヘッジするための財務リスクマネジメント等の取組みを通じて、財務健全性の維持・向上を図ってきた。
当期においては、有利子負債は前期に比べて264億円減少する一方、利益剰余金の増加により自己資本は増加し、連結D/E比率は0.56、連結自己資本比率は51.0%となっており、財務健全性を維持している。
今後も長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020の実現に向け、資金効率・資本効率のさらなる向上や財務リスクマネジメントなどに積極的に取り組んでいく。