第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、東日本大震災から約半年が経過した2011年11月にチャレンジ2020ビジョンを策定し、当社グループが将来に向かって成長、発展する絵姿と、そこに至る道筋を明らかにした。その中で、当社グループは今後ともお客さま・社会・時代のニーズに応え、「豊かで潤いのある生活」「競争力ある国内産業」「環境に優しい安心できる社会」の実現に貢献していくとともに、企業の社会的責任を自覚し、地域と共生を図りながら、透明で公正な経営を行うことにより、グループの持続的成長を図っていくこととしている。一方、2016年4月の電力小売全面自由化に引き続き、2017年4月にはガス小売全面自由化が始まり、当社グループを取り巻く環境が大きく変化している。

こうした環境変化を踏まえ、2017年10月に東京ガスグループ2018-20年度経営計画「GPS2020」を策定した。これは、ガス(Gas)&電気(Power)に、お客さまのニーズに合ったサービス(Service)を組み合わせて、さまざまな手段で国内外のお客さまへ(Global)お届けする(GPS×G)という計画であり、この「GPS2020」を確実に実現することで、2020年代の当社グループのさらなる発展・飛躍を確かなものとしていく。

<お客さまとの絆の強化と新たな価値提供>

家庭用分野については、ガス事業を通じて築き上げた1,167万件のお客さまとの信頼の絆を活かし、最適なエネルギーをご提供することにより、2020年度までに220万件のお客さまへ当社グループの電気をお届けすることを目指す。また、当社グループだからこそできる、暮らしの最適提案により、「生活まわりで困ったときには東京ガス」と想起いただけるよう、お客さま一人ひとりのライフステージに応じた生活まわりのメニューを幅広く準備する。また、GPS(Gas&Power+Service)を首都圏のお客さまに広くお届けできるよう、周辺ガス事業者さまやLPガス事業者さまとの連携も深めていく。

業務用・工業用分野については、導管延伸・ローリー供給による天然ガスの普及拡大を進め、ガスコージェネレーションシステム等の導入による省エネ・省CO2・省コスト等、エネルギーソリューションのほか、当社グループ各社と連携し、大口電力の供給も展開していく。また、お客さまのニーズに沿ったエネルギーサービスの提案や、基地・パイプライン建設等のエンジニアリング事業も積極的に展開し、当社グループを選んでいただけるよう努めていく。

不動産事業については、「保有地における賃貸事業」を基本コンセプトに、都心部を中心としたオフィス・住宅の賃貸事業を展開する。賃貸事業に適した良質な資産形成に向け、2020年代のさらなる事業拡大を目指す。

海外事業については、国内外で培ったLNGバリューチェーンに関わる経験を活かし、エリア毎の特性に応じた事業を深化・拡大させつつ、「LNGと言えば東京ガス」というポジションを高めていく。国際的な天然ガスのマーケット構造の変化の中、海外事業ポートフォリオにおいて中下流事業の割合を高めていき、安定的な収益基盤の構築を目指す。急速な経済成長の中、天然ガス需要の高まりやLNG輸入の拡大が見込まれる東南アジアの国々において中下流事業に取り組むほか、天然ガスインフラ整備へも貢献し、当社グループの存在感を高めていく。

<重点戦略を支える経営基盤強化>

原料調達・製造分野については、自由化等の環境変化によりLNG需要変動の可能性が増す中、調達の多様化を図ることで調達の柔軟性を高めていく。また、LNG共同基地におけるシナジー効果を活かした最適な基地運用を継続し、より競争力のある設備形成を図る。

電源開発については、販売ストックの成長に合わせ、2020年度300万kW規模の自社電源確保を目指す。また、2020年代前半に再生可能エネルギー電源40万kWの獲得も目指す。

デジタル化、イノベーションの取り組みについては、地域密着の営業体制や技術力といった強みを活かしながら、IoT・AI・モバイル化やビッグデータ活用等、デジタル技術の効果的な導入に向けて取り組むとともに、お客さまのニーズに合ったサービスや情報をお届けできるよう、デジタル基盤の整備も進めていく。また、これまでの「ガスエネルギー」を中心とした研究開発から、「幅広いエネルギー革新的技術」を中心とした「オープンイノベーション」型の研究開発へとシフトし、国内外の先進的なベンチャー企業等と協業して新たな技術を吸収し、イノベーションを創出していく。

導管分野については、自由化時代における新生ガス導管事業者として、透明性・中立性・公平性を確保するとともに、天然ガスの普及拡大の前提となる安全・安定供給の確保に向け、保安対策や地震防災対策を継続していく。また、託送料金の低減に向け、さらなる経営効率化を図るとともに、導管網拡充と需要獲得を進めてガス輸送量を拡大していく。

 

当社グループは、以上のような取り組みを通じて、「安心・安全・信頼」を確かなものとし、今後とも企業価値・株主価値をさらに高め、株主の皆さま、お客さまのご期待にお応えできるよう努めていく。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

株式会社の支配に関する基本方針について

 当社は、チャレンジ2020ビジョンの策定を踏まえ、平成24年1月31日開催の取締役会において、以下のとおり「当社グループの経営理念および経営の支配に関する基本方針」の改定を決議した。

 

当社グループは、首都圏を中心に1000万件超のお客さまへ安全かつ安定的に都市ガスを供給するとともに、ガス、熱、電力等各種エネルギーやそれらの付加価値のベストミックスをお客さまへ提供し、「快適な暮らしづくり」と「環境に優しい都市づくり」に貢献するなど、極めて公益性の高い事業を展開しており、お客さま、株主の皆さまをはじめ、社会から常に信頼を得て発展し続けることを経営理念としている。

当社は、この経営理念および中長期の経営戦略に基づき、長期に安定した経営を行うとともに、お客さま、株主の皆さま、その他のステークホルダーの皆さまに対し安定的かつバランスの取れた利益の配分を行うことにより、着実な企業価値の向上を実現していくことを経営の基本方針としている。株主さまへの還元については、別に定める「剰余金の配当等の決定に関する方針」に基づいて実施していく。

 

当社は上場会社であり、当社株式の大量取得を目的とする買付けや買収提案が行われることも考えられるが、その場合に応じるか否かは、最終的には当社の株主さま全体のご意思に基づき決定されるべきものと考えている。しかしながら、株式の大量買付行為の中には、その目的・方法等からみて企業価値ひいては株主共同の利益を著しく毀損するおそれがあるものがあり、当社はこうした大量買付行為を不適切であると判断する。判断にあたっては、買付者の事業内容や将来の事業計画、並びに過去の投資行動等から、当該買付行為または買収提案による当社企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に検討していく。

当社としては、不適切な大量買付行為に対する最大の防衛策は「企業価値の向上」であると考えている。現在のところ、当社は具体的な買収の脅威にさらされておらず、いわゆる「買収防衛策」を予め導入することはしないが、市場動向等を常に注視し、当社株式を大量に取得しようとする者が出現した場合には、直ちに当社として最も適切と考えられる措置を講じていく。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

(1) 事故・災害等

① 原料調達支障

天然ガスをはじめとする都市ガス原料の大半を海外からの輸入に頼っているため、原料輸入先のカントリーリスクやガス田・LNG液化基地でのトラブル、LNG船の運航途上でのトラブル、東京湾での入港規制等により原料が長期にわたり調達できない場合には、都市ガスの供給に支障を及ぼす可能性がある。当社は6カ国13プロジェクトからLNGを輸入し、調達先の多様化を進めるとともに、自社管理LNG船等を活用した柔軟な配船を行う等、安定的かつ柔軟なLNG調達に取り組み、原料調達リスクの分散を進めている。

② 自然災害

都市ガスの製造・供給設備を事業活動の基盤としている装置産業であるため、主要設備は阪神・淡路大震災、東日本大震災クラスの大地震でも十分耐えられる構造となっており、さらに二次災害を防止するための緊急対策等を実施している。また、内閣府想定の大規模地震災害に備えた事業継続計画(BCP・・・Business Continuity Plan)の策定をはじめ、地震、台風、津波等の自然災害に対する非常事態対応体制の整備及び定期的な訓練を実施する等、災害の影響を最小限に止める対策を実施している。しかし、大規模な自然災害が発生した場合、LNG基地等の製造設備や導管等の供給設備等に損害を受け、都市ガスの供給に支障を及ぼす可能性があり、その復旧対応に伴う費用が収支に影響を与える可能性がある。

③ 都市ガス及び電力の製造・供給に伴う事故及び供給支障

お客さまの生活や産業を支える都市ガス及び電力の供給を行っているため、ガスの大規模供給支障事故に備えたBCPの策定をはじめ、各種保安対策を計画的に実施するとともに、非常事態対応体制を整備し、定期的な訓練を実施する等事故・供給支障の防止に取り組んでいる。しかし、都市ガスの製造・供給に伴う大規模な漏洩・爆発事故や供給支障が発生した場合には、その直接的損害に止まらず、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性がある。また、電力の供給支障が発生した場合には、その対応に伴う損害が発生する可能性がある。

④ 不測の大規模停電

関東エリアで不測の大規模停電が発生した場合に備えて、BCPの策定をはじめ影響を最小限に止める対策を実施している。さらに、系統電源からの電力供給が停止した場合には、停電によるガス需要減も見込まれるとともに、自家用発電設備で製造設備を稼働することが可能なため、停電時にも一定量のガス送出が可能となっている。しかし、ガスの需要量や製造・供給設備の状況によってはガスの製造・供給に支障を及ぼす可能性がある。

なお、当社のLNG基地は仮に1つのLNG基地が停止しても、他のLNG基地からバックアップが可能であり、ほぼ必要なガスの製造・供給が可能となっている。

⑤ 都市ガスの保安確保・ガス機器等製品品質上の問題

都市ガス供給上の保安責任を負うことから、お客さまへの定期保安点検の体制強化・点検内容の拡大や安全機器への取り替え促進等の安全強化策を実施している。また、連結子会社や協力企業等を通して安全機能を持つガス機器を販売している。しかし、都市ガス供給に関わる事故やガス機器等に起因する事故が発生した場合には、その対応に伴う直接・間接の損害が発生する可能性がある。

⑥ 他社の都市ガス事故に起因する風評被害

 他社における都市ガス事故が都市ガス業界全体の信頼に重大な影響を及ぼし、有形無形の損害を被る事態が発生する可能性がある。

(2) 市場リスク

① 市場価格・金利の変動

所有する不動産・株式・年金資産等の市場価格等が変動したり、運用計画が未達成となった場合に損失を受ける可能性がある。また、有利子負債については金利変動により支払利息が増加する可能性がある。ただし、当社の有利子負債は大部分が長期の固定金利で調達しているため、金利変動による影響は限定的である。

(3) 事業遂行に伴うリスク

 ① 既存事業に関するリスク

イ 原料費の変動

主として都市ガスの原料としているLNGの調達先との契約更改・価格交渉の動向によっては、収支に影響を及ぼす可能性がある。また、LNGは原油価格に連動して価格が決定されるため、原油価格の変動が収支に影響を及ぼす可能性があることに加え、ドル建ての売買契約になっているため、円の対ドル為替レート変動が収支に影響を及ぼす可能性がある。

さらに、長期契約のLNGプロジェクトからの調達量を上回る需要増、出荷基地・輸送上のトラブルの発生、新規LNGプロジェクトの供給開始遅延等が生じ、スポットLNGを調達する場合、スポット市況により、収支に影響を及ぼす可能性がある。

一方、原料費が変動しても「原料費調整制度」により、最大5ヶ月後にはガス料金に転嫁される。ただし、変動幅が基準原料価格の160%を超過した場合には超過分は未回収となる。また、会計年度を越えてガス料金に反映される場合には、年度収支に原料費の未回収・過回収による影響が及ぶ可能性がある。

ロ 法令・制度・国及び地方自治体のエネルギー政策の変更

 ガス事業法・電気事業法・会社法・金融商品取引法その他の法令や制度及び国・地方自治体のエネルギー政策に基づいて事業を遂行しているため、それらが変更された場合には、影響を受ける可能性がある

ハ 天候変動によるガス販売量の変動

 当社の連結売上高の過半が都市ガスの販売によるものであるため、猛暑や暖冬等の異常気象が発生した場合には、給湯・暖房用を中心とする家庭用ガス販売量やビル空調を中心とする業務用ガス販売量が変動し、収支に影響を及ぼす可能性がある。

ニ 競合激化による需要の減少

当社は、環境性・効率性・快適性の高いガス設備の導入や販売体制の強化をはじめとする営業強化に積極的に取り組んでいるが、ガス小売全面自由化により、他企業との競合が激化したり、原油価格の変動等によりLNGそのものが他エネルギーとの競争力を失う場合には、需要が減少し、収支に影響を及ぼす可能性がある。

ホ 既存需要の減少

不況による設備の稼動減や省エネ活動の進展及び産業構造の変化等により工業用・商業用の既存ガス需要の一部が減少する可能性がある。また、世帯人員の減少・生活形態の変化や省エネ機器の普及等により家庭用の既存需要の一部が減少する可能性がある。

ヘ コールセンターへの電話不通

 当社はお客さまからのお問い合わせの大部分を電話により受け付けているため、コールセンターへの電話が不通となった場合には、お客さまへの対応が広範囲にわたり停滞し、当社グループのブランドイメージの毀損等有形無形の損害が発生する可能性がある。

ト 技術開発の遅延

環境性に優れ、安全性の高い新商品・新技術の開発を進めているが、それらを適時に開発・実用化できない場合には、他エネルギーとの競合力を失い、事業遂行に影響を及ぼす可能性がある

② 海外事業展開に伴うリスク

チャレンジ2020ビジョンで掲げた海外事業の拡大に向けてグローバル展開を加速するが、特にLNG権益やガス田の取得等の上流事業に関しては、原油・ガス価格及び外国為替相場の変動が収支に影響を及ぼす可能性がある。また、海外拠点機能を拡大するが、各国固有の法規制や商習慣への対応等により、拠点の運営の停滞や費用負担の増加、新規事業開拓の遅延が発生する可能性がある。

③ 新市場開拓の遅延

家庭用燃料電池「エネファーム」や太陽光・太陽熱等の再生可能エネルギーを組み入れたサービス等の普及に取り組み、新市場を開拓していくが、国及び地方自治体のエネルギー政策の変更等の環境変化によっては、新市場の開拓が遅延し、事業戦略の変更を迫られたり、投資が未回収となる可能性がある。

④ 投資未回収

チャレンジ2020ビジョンで掲げた「LNGバリューチェーンの高度化」等に向けた大規模投融資が継続する。当社は設備投資、出資、融資及び債務保証に関する案件に対しては投資評価委員会において採算性及びリスク評価を行い、その結果を踏まえて経営会議若しくは取締役会に付議する等、総合的な経営判断の下に投資を決定している。しかし、パイプラインやLNG基地建設等の安定供給基盤の強化や、電力事業、エネルギーサービス事業、ガス田の開発等の海外事業やLNG輸送事業、IT投資等の既存事業の基盤整備及び保有不動産の活用に係わる大規模投資が、その後の経済情勢の変化等によっては、適切に回収されない、又は所期の成果を生み出せず収支に影響を与える可能性がある。

(4) 情報管理・システム運用に関するリスク

① 個人情報の流出

 公益事業としての業務を遂行するためにお客さまの個人情報を収集・管理しているため、グループ全体を対象とした情報セキュリティ推進体制を構築し、情報セキュリティ教育や自主検査を実施するとともに、その構築・運用状況を内部監査により確認し、必要な改善を行う体制を整備する等、個人情報の流出防止に取り組んでいる。しかし、お客さまの個人情報が外部へ流出した場合には、対応に要する直接的な費用に止まらず、被害が深刻なお客さまからの信頼の毀損等有形無形の損害が発生する可能性がある。

② ITシステムの停止・動作不良

業務を遂行するためにITシステムを使用しているため、不測の事態でも業務への影響を最小限に止めるよう、対障害性・耐災害性に優れた堅牢なデータセンターの設置、各種セキュリティ対策及び定期的な訓練の実施等システムの安定稼動に必要な対策を実施している。しかし、これら業務に関する基幹ITシステムが停止した場合や動作不良を起こした場合には、お客さまへの対応が停滞するばかりでなく、当社グループのブランドイメージの毀損等有形無形の損害が発生する可能性がある。

なお、都市ガスの製造・供給調整に関するITシステムは、独自にバックアップシステムの整備及び自営無線の整備等の安全対策が施されているため、IT障害により都市ガスの製造・供給へ大きな影響が及ぶ可能性は低いものとなっている。

(5) 企業の社会的責任に関するリスク

① コンプライアンス違反

コンプライアンスは業務運営の基盤であるため、社長を委員長とする経営倫理委員会を設置し、同委員会が策定する基本方針の下に、グループ全体でコンプライアンス向上の取組みを実施し、法令・企業倫理・社会的規範の遵守の周知徹底や、その状況等を内部監査により確認する等コンプライアンスの推進に取り組んでいるが、法令・定款に照らして不適切な行為、情報開示における不適切な対応、若しくは企業倫理・社会的規範に反する行為等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用に止まらず、社会的信用の問題等有形無形の損害が発生する可能性がある。

② 新たな環境規制等への対応

 新たな環境関連法規制への対応、または環境改善のための追加的な義務が発生した場合には、事業運営に影響を及ぼしたり、収支に影響を及ぼす可能性がある。

③ 不十分なCS・お客さま対応

 CS(お客さま満足)の向上を経営上の重要課題と位置付けているため、社長を委員長とするお客さま満足度向上委員会が策定する基本方針の下に、グループ全体でCSの向上を進めているが、不適切なお客さま対応等が発生した場合には、当社グループのブランドイメージの毀損による企業競争力の低下をはじめ有形無形の損害が発生する可能性がある

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

① 経営成績等の状況の概要

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 概要

当連結会計年度における我が国の経済は、雇用環境や所得環境の改善、海外経済の回復による輸出や生産の持ち直し等、緩やかに回復している。そうした状況に伴い、個人消費や民間設備投資も持ち直すなど、経済の好循環が実現しつつある。

そのような経済環境の中、平成28年4月の電力小売全面自由化に続く平成29年4月のガス小売全面自由化、第4次産業革命における技術革新などエネルギー事業を取り巻く環境は大きく変化した。そうした中、当社グループは、総合エネルギー事業化とグローバル化によって、国内外のお客さまにお届けする付加価値を増大し、引き続き当社グループを選んでいただけるよう、さまざまな施策に積極的に取り組んできた。

このような経済情勢や環境変化の下、都市ガスの販売について、他事業者向け供給の供給先減により販売量は減少したものの、原油価格上昇影響に伴う原料費調整による売上単価増があったため都市ガス売上高が増加したこと等により、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ190,259百万円増加し、1,777,344百万円となった(前期比12.0%増)。

一方、営業費用については、経営効率化の一層の推進を図り、費用の抑制に最大限の努力を重ねてきたものの、原油価格上昇影響から都市ガス原材料費が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ132,322百万円増加し、1,661,041百万円となった(前期比8.7%増)。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ57,937百万円増加し、116,302百万円となり(前期比99.3%増)、経常利益は111,546百万円(前期比100.3%増)となった。これに加え、特別利益として固定資産売却益3,403百万円、投資有価証券売却益3,049百万円、特別損失としてLNG販売事業のうち内航船事業出荷設備等の減損損失3,213百万円を計上し、法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は74,987百万円となった(前期比41.1%増)。

② 売上高

 売上高は、前連結会計年度比12.0%増の1,777,344百万円となった。ガス販売量が前連結会計年度を下回ったものの、原油価格上昇影響に伴う原料費調整による売上単価増があったため、都市ガス売上高が前連結会計年度比10.5%増加し、さらに電力売上高も50.0%増加した。

③ 営業費用及び営業利益

 売上原価、供給販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度比8.7%増の1,661,041百万円となった。

 原油価格上昇影響から都市ガス原材料費が増加したこと等により、売上原価は前連結会計年度比14.5%増の1,203,991百万円となった。経営効率化の一層の推進を図り、諸経費及び人件費等の抑制に最大限の努力を重ねた結果、供給販売費及び一般管理費は、退職給付に係る数理計算上の差異の費用処理額の減等により、前連結会計年度比4.1%減の457,050百万円となった。

 この結果、営業利益は前連結会計年度比99.3%増の116,302百万円となった。

④ 営業外損益及び経常利益

 営業外損益純額は、前連結会計年度の△2,678百万円から、△4,756百万円となった。

 営業外収益の合計は、前連結会計年度の14,293百万円から、13,057百万円となった。これは、持分法による投資利益が前連結会計年度比1,090百万円減の2,493百万円となったことが主な要因である。

 営業外費用の合計は、前連結会計年度の16,971百万円から、17,813百万円となった。これは、雑支出が前連結会計年度比1,471百万円増の4,364百万円となったことが主な要因である。

 こ結果、経常利益は前連結会計年度比100.3%増の111,546百万円となった。

⑤ 特別損益

 特別損益純額は、前連結会計年度の13,322百万円から、3,239百万円となった。

 特別利益の合計は、前連結会計年度の15,730百万円から、6,452百万円となった。これは、前連結会計年度に6,610百万円計上した固定資産売却益が3,403百万円であったこと、及び前連結会計年度に9,120百万円計上した投資有価証券売却益が3,049百万円であったことが要因である。

 特別損失の合計は、前連結会計年度の2,408百万円から、3,213百万円となった。これは、前連結会計年度に2,408百万円計上した減損損失が3,213百万円となったことが要因である。

⑥ 税金等調整前当期純利益、法人税等(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)並びに親会社株主に帰属する当期純利益

 税金等調整前当期純利益は、特別利益の減少及び特別損失の増加があったものの、経常利益の増加により、前連結会計年度比66.3%増の114,784百万円となった。法人税等は、同163.8%増の39,484百万円となった。

 以上の結果から、親会社株主に帰属する当期純利益は同41.1%増の74,987百万円となった。

 売上高に対する当期純利益率は、前連結会計年度の3.3%から0.9ポイント増加し、4.2%となった。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の115円09銭から、164円12銭となった。

(注) 当社は、平成29年10月1日付で普通株式5株につき1株の割合で株式併合を行った。前連結会計年度の期首に当該株式併合が行われたと仮定して、1株当たり当期純利益を算定している。

⑦ セグメント情報

イ 都市ガス

 ガス販売量は、前連結会計年度比1.0%減の15,568百万m3となった。家庭用需要は、前連結会計年度と比較して冬場が低気温であった影響で給湯需要が増加したこと等により、前連結会計年度比3.0%増の3,570百万m3となった。業務用需要は、前連結会計年度と比較して夏場の高気温により空調需要が増加したこと等により、同0.5%増の2,722百万m3となった。工業用需要は、ほぼ前期並みの7,290百万m3となった。また、他ガス事業者向け供給は、供給先の減少等により、同11.8%減の1,985百万m3となった。

 [平成29年度連結ガス販売量]

 

29年度

28年度

増減

増減率

(%)

お客さま件数

千件

11,678

11,536

142

1.2

ガス

販売量

家庭用

百万m3

3,570

3,466

104

3.0

 

業務用

百万m3

2,722

2,709

13

0.5

 

工業用

百万m3

7,290

7,293

△3

△0.0

百万m3

10,012

10,002

10

0.1

他事業者向け供給

百万m3

1,985

2,252

△267

△11.8

合計

百万m3

15,568

15,720

△152

△1.0

平均気温

15.7

16.3

△0.6

(注)1 お客さま件数は、当社の供給区域内の平成30年3月末都市ガス取り付けメーター数

2 業務用は、商業用、公用及び医療用

3 ガス販売量は45MJ(メガジュール)/m3

4 平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したもの

 

 都市ガス売上高は、ガス販売量が前連結会計年度を下回ったものの、原料費調整による売上単価増等により、前連結会計年度から108,798百万円(10.5%)増の1,148,859百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の57.5%から56.7%となった。経営効率化の一層の推進を図り、費用の抑制に最大限の努力を重ねてきたものの、原油価格上昇影響から都市ガス原材料費が増加したこと等により、営業費用は前連結会計年度から68,680百万円(7.1%)増加し、1,032,219百万円となった。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ40,118百万円(52.4%)増加し、116,639百万円となった。

ロ 電力

 電力販売量は、前連結会計年度比15.8%増の14,656百万kWhとなった。

 [平成29年度連結電力販売量]

 

29年度

28年度

増減

増減率

(%)

電力

販売量

小売

百万kWh

4,569

2,254

2,315

102.7

卸他

百万kWh

10,087

10,400

△313

△3.0

合計

百万kWh

14,656

12,654

2,002

15.8

 

 電力売上高は、前連結会計年度から72,912百万円(50.0%)増加し、218,684百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の8.1%から10.8%となった。営業費用は前連結会計年度から67,750百万円(47.9%)増加し、209,068百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ5,161百万円(115.9%)増加し、9,615百万円となった。

ハ 海外

 海外売上高は、前連結会計年度から9,617百万円(30.1%)増加し、41,554百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の1.8%から2.1%となった。営業費用は前連結会計年度から5,240百万円(16.9%)増加し、36,332百万円となった。持分法による投資利益は、2,479百万円と前連結会計年度比1,079百万円(30.3%)減少した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ3,298百万円(74.9%)増加の、7,700百万円となった。

 

ニ エネルギー関連

 エンジニアリングソリューション、リキッドガス、LNG販売、ガス器具、ガス工事及び建設等の売上で構成されるエネルギー関連売上高は、LNG販売売上高及びエンジニアリング売上高の増加等により、前連結会計年度から21,309百万円(4.6%)増加し、480,879百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の25.4%から23.7%となった。営業費用は前連結会計年度から21,330百万円(4.8%)増加し、467,108百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ22百万円(0.2%)減少し、13,770百万円となった。

ホ 不動産

 不動産売上高は、前連結会計年度から926百万円(2.2%)増加し、42,331百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の2.3%から2.1%となった。営業費用は前連結会計年度から811百万円(2.4%)増加し、34,360百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ115百万円(1.5%)増加し、7,970百万円となった。

ヘ その他

 情報処理サービス、船舶及びクレジット・リース等の売上で構成されるその他売上高は、前連結会計年度から3,624百万円(4.1%)増加し、92,706百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の4.9%から4.6%となった。営業費用は前連結会計年度から1,905百万円(2.2%)増加し、87,805百万円となった。持分法による投資利益は、13百万円と前連結会計年度比12百万円(45.2%)減少した。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ1,709百万円(53.3%)増加し、4,915百万円となった。

 なお、参考のため、セグメント別の売上高及び構成比を示す。

 

 

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

都市ガス

1,040,061

57.5

1,148,859

56.7

電力

145,772

8.1

218,684

10.8

海外

31,937

1.8

41,554

2.1

エネルギー関連

459,570

25.4

480,879

23.7

不動産

41,405

2.3

42,331

2.1

その他

89,082

4.9

92,706

4.6

合計

1,807,828

100.0

2,025,015

100.0

調整額

△220,743

△247,670

連結

1,587,085

1,777,344

 

(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について

事業推進上の外部リスク要因

① 気温変動リスク

 当社グループの年度売上高の過半が都市ガスの販売によるもので、その販売量は気温の影響を受ける。家庭用においては、主なガスの利用目的は給湯・暖房であるため、暖冬の場合にはガスの販売量が減少し減収・減益要因となる。業務用においては、主な利用目的が空調であるため、夏場においては気温が低い場合、冬場においては気温が高い場合に、それぞれガス販売量が減少し減収・減益要因となる。

 当連結会計年度の平均気温(※)は上期で21.2℃、下期で10.3℃(通期で15.7℃)だったが、翌連結会計年度の平均気温は通期で15.9℃を想定している。

 (※)平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したもの。

② 原料購入価格変動リスク

 当社が供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受ける。また、ドル建てのLNG価格は原油価格に連動して決定されるため、国際原油価格市場の変動リスクも受ける。

ただし、原料購入価格が変動しても変動分について最大5ヶ月遅れ(注1)でガス料金に反映する「原料費調整制度(注2)」が適用されるため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生するが、中長期的には収支への影響は軽微である。

 為替及び原油価格の変動が翌連結会計年度の売上総利益に与える影響額は、以下のとおりである。

  為替:1円/ドルの円安により、約900百万円減

  原油価格:1ドル/バレルの価格上昇により、約1,000百万円減

  翌連結会計年度見通しにおける年平均為替相場と原油価格は、当連結会計年度が110.85円/ドル、57.03ドル/バレルであったのに対し、それぞれ110.00円/ドル、65.00ドル/バレルを想定している。

 (注) 1 ガス料金への反映は、契約により5ヶ月遅れではない場合もある。

2 調整の上限がある。

③ 金利変動リスク

 当社の有利子負債は、長期・短期ともに概ね固定金利であるため、借入れ期間中の金利変動リスクは軽微である。しかし、借換え時等においては金利変動のリスクを受ける可能性がある。

④ 株価変動リスク

 当社の保有する株式は、業務上必要な企業との関係を維持するためのものが大部分である。そのうちマーケットリスクにさらされる可能性があるのは、上場株式の株価である。これら株式の扱いについては、管理規則を設けている。

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 連結キャッシュ・フロー

 

営業活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)

投資活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)

財務活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

259,738

△247,162

△16,651

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

238,734

△204,873

△70,899

 

 当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上に対し、減価償却費の計上等があったものの、有形固定資産の取得等により、現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4,295百万円減少し、当連結会計年度末には128,271百万円となった(前期末比3.2%減)。

イ 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において259,738百万円となった。

 これは、税金等調整前当期純利益の計上(114,784百万円)に対し、法人税等の支払(22,312百万円)等があったものの、減価償却費が計上(161,093百万円)されたこと等によるものである。

 また、これは、前連結会計年度に比べて21,004百万円の収入の増加となる(前期比8.8%増)。

ロ 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において247,162百万円となった。

 これは、投資有価証券の売却及び償還による収入(5,021百万円)等があったものの、製造・供給体制整備のための設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出(177,671百万円)及び無形固定資産の取得による支出(27,638百万円)等により資金が減少したことによるものである。

 また、これは、前連結会計年度に比べて42,289百万円の支出の増加となる(前期比20.6%増)。

ハ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において16,651百万円となった。

 これは、長期借入れによる収入(60,471百万円)及び社債の発行による収入(20,000百万円)等があったものの、長期借入金の返済による支出(62,065百万円)及び配当金の支払(25,187百万円)があったこと等によるものである。

 また、これは、前連結会計年度に比べて54,248百万円の支出の減少となる(前期比76.5%減)。

② 資産、負債及び純資産

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から104,452百万円(4.7%)増加し、2,334,721百万円となった。総資産利益率(ROA)は、前連結会計年度末の2.4%から3.3%に上昇した。

③ 固定資産

 有形固定資産は、田町プロジェクトの建設が進んだこと等により、前連結会計年度末から21,097百万円(1.5%)増加し、1,413,246百万円となった。製造設備は既存設備の減価償却が進んだものの、LNG基地の増強があったことにより、前連結会計年度末から1,182百万円増加し、236,334百万円となった。供給設備は既存設備の減価償却が進んだものの、古河~真岡幹線等の導管網の増強があったことにより、前連結会計年度末から20,376百万円増加し、560,216百万円となった。その他の設備は海外上流事業の稼働開始による増加等があったものの、既存資産の減価償却が進んだことにより、前連結会計年度末から9,921百万円減少し406,221百万円となった。建設仮勘定は、古賀~真岡幹線の事業供用に伴う供給設備への振替等があったものの、田町プロジェクトや清原スマートエネルギーセンターへの設備投資が増加したこと等により、前連結会計年度末から10,839百万円増加し、157,913百万円となった。

 無形固定資産は、既存設備の減価償却が進んだものの、ソフトウェア投資があったことにより、前連結会計年度末から14,207百万円(17.9%)増加し、93,422百万円となった。

 また、投資その他の資産は、海外上流事業等への投資が増加したことにより、前連結会計年度末から45,049百万円(15.6%)増加し、334,505百万円となった。

④ 流動資産

 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から24,100百万円(5.1%)増加し、493,547百万円となった。受取手形及び売掛金は、前連結会計年度末と比べ21,994百万円増加し、216,234百万円となった。

⑤ 固定負債

 当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末から41,485百万円(5.3%)増加し、829,959百万円となった。長期借入金は、前連結会計年度末から31,928百万円増加し、358,680百万円となった。また、その他固定負債は、前連結会計年度末から29,922百万円増加し、61,572百万円となった。一方、社債は、前連結会計年度末から19,999百万円減少し、294,998百万円となった。

⑥ 流動負債

 当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から27,341百万円(8.3%)増加し、356,328百万円となった。その他流動負債は、前連結会計年度末から33,533百万円増加し、179,376百万円となった。また、未払法人税等は、前連結会計年度末から10,237百万円増加し、30,237百万円となった。一方、支払手形及び買掛金は、前連結会計年度末から15,594百万円減少し、80,819百万円となった。流動比率は、前連結会計年度末の142.7%から138.5%に下落した。

⑦ 有利子負債

 社債の増加等に伴い、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ11,344百万円(1.6%)増加し、724,940百万円となった。有利子負債比率は、前連結会計年度末の32.0%から31.1%に下落した。

⑧ 純資産

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ35,626百万円(3.2%)増加し、1,148,433百万円となった。これは、退職給付に係る調整累計額の減少等によりその他の包括利益累計額が8,131百万円減少したものの、株主資本については、剰余金の配当25,187百万円、自己株式の市場買付6,999百万円等による減少に対し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上74,987百万円等による増加が大きく、42,660百万円増加したこと等によるものである。自己資本比率は、前連結会計年度末の49.4%から48.7%に下落し、自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度末の4.8%から6.7%に上昇した。負債資本倍率(D/Eレシオ)は、前連結会計年度末の0.65から0.64へと下落した。

 

(生産、受注及び販売の実績)

 当社グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も少なくない。また、都市ガス事業が外部顧客に対する売上高及び営業費用の大半を占めており、当該セグメントが当社グループの生産及び販売活動の中心となっている。

 このため、以下は都市ガス事業について記載している。

(1) 生産実績

 最近2連結会計年度のガスの生産実績は次のとおりである。

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

ガス(千m3)

15,660,767

15,457,733

 

(2) 受注実績

 ガスについては、その性質上受注生産は行わない。

(3) 販売実績

 ガス販売実績

 ガスは、導管を通じて直接需要家に販売しているが、一部については他ガス事業者向け供給を行っている。

 最近2連結会計年度のガスの販売実績は次のとおりである。

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

数量(千m3)

金額(百万円)

数量(千m3)

金額(百万円)

家庭用

3,466,389

455,262

3,570,045

483,256

その他

12,253,262

584,798

11,997,606

665,602

15,719,651

1,040,061

15,567,651

1,148,859

 

② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 事業全体およびセグメントごとの経営成績等

 平成29年度の連結営業利益は1,163億円、連結経常利益は1,115億円となり、いずれも対前期比較でほぼ倍増という大幅な増益となった。

 増益となった主な要因は、①他事業者向け供給で供給先減少があったものの、冬場の低気温の影響で販売単価の高い家庭用を中心にガス販売量が増加したことにより都市ガスセグメントで粗利が改善したこと、②年金数理計算上の差異が317億円減少したことにより人件費が大幅に減少したこと、である。なお、例年大きな利益変動要因であるスライドタイムラグ(*)については、平成29年度の原油価格が前年同様に緩やかながらも上昇基調にあったため、ほぼ前年並みとなった。

  主なセグメント別に分析すると、都市ガスセグメントでは上述のように家庭用を中心としたガス販売量の増加、および年金数理計算上の差異の減少等によりセグメント利益が改善(前期比+401億円、52.4%の増益)した。電力セグメントでは電力小売りの件数獲得に取組んだ結果、お客さま件数が順当に伸び、前期比+52億円、115.9%の増益となった。また豪州の上流プロジェクトの本格稼働により海外セグメントも前期比+33億円、74.9%の増益となった。

 全体として、チャレンジ2020ビジョン及び東京ガスグループ2018-20年度経営計画「GPS2020」の実現に向けたこれまでの取組みが、着実に成果を挙げつつあるものと評価している。

(*)原油価格や為替レートの変動に伴う原材料費の変動が、原料費調整制度によりガス売上高に反映   されるまでの時期ずれにより発生する年度毎の利益変動

 

② 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資および投融資向けの資金である。

 平成29年度は、営業活動によるキャッシュ・フロー2,597億円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは△2,471億円であり、投資活動に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内で賄うことができた。

 東京ガスグループ2018-20年度経営計画「GPS2020」の実行初年度である2018年度は、スタートダッシュの年であるとともに、2020年代に至る成長戦略の達成・実現に向けた準備の年である。

 そのため各分野で新たな投資・取組みを実行していくが、その原資確保のために、資金が不足する場合には主に社債・長期借入金で対応していく方針である。

 なお、短期運転資金は主に短期借入金・コマーシャルペーパーで賄っていく方針である。

 

③ 経営計画上の客観的な指標等

 当社は、チャレンジ2020ビジョンの策定を踏まえ、平成24年1月31日開催の取締役会において、以下のとおり当社グループの「財務方針」を決議した。

 チャレンジ2020ビジョンに基づき、持続的成長に向け積極的な原資投入を行うとともに、投資・資本効率性、財務体質、株主配分にも留意し、長期的な企業価値向上に資するバランスのとれた財務戦略を実現していく。

イ 投資・資本効率性

 投資に伴うリスクおよび採算性に留意し個別の投資判断を行うとともに、投資効率の維持・向上および株主資本の有効活用に努める。

 具体的にはROA(総資産利益率)・ROE(自己資本利益率)を主要経営指標と位置付け、2020年度における目標を、ROAは4%程度、ROEは8%程度と定め上記の実現を図る。

ロ 財務体質

 現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した最適な資本構成の実現に努める。

 具体的には、D/Eレシオ(負債資本倍率)を主要経営指標と位置付け、2020年度に至るまで各年度0.8倍程度を目標と定め上記の実現を図る。

ハ 株主配分

 創出されるキャッシュ・フローを、新たな成長に向けた「LNGバリューチェーンの高度化」に資する投資に振り向けるとともに、株主の皆さまに経営の成果を適切・タイムリーに配分する。

 具体的には、配当に加え、消却を前提とした自社株取得を株主還元策の一つとして位置付け、総分配性向(連結当期純利益に対する配当と自社株取得の割合)の目標を、2020年度に至るまで各年度6割程度とする。

 また、配当については、安定配当を維持しつつ、中長期の利益水準を総合的に勘案し、成長に合わせて緩やかな増配を実現していく。

n年度総分配性向=((n年度の年間配当金総額)+(n+1年度の自社株取得額))÷n年度連結当期純利益

 

(注) 平成29年10月5日発表の「東京ガスグループ2018-20年度経営計画GPS2020」において、2020年度のD/Eレシオは0.9程度と想定している。

 

 上記の各主要経営指標に連結営業キャッシュ・フローを加えた指標につき、参考までに2017年度実績との比較表を以下に示す。2018年度以降も引き続き、上記財務方針を実現していく。

 

 

2017年度実績

2020年度の姿

(2020ビジョン、GPS2020)

連結営業キャッシュ・フロー(*)

2,403億円

2,800億円

ROE

6.7%

8%程度

ROA

3.3%

4%程度

D/Eレシオ

0.64

0.9程度

総分配性向

60.2%

60%程度

(*)連結営業キャッシュ・フロー=親会社株主に帰属する当期純利益+減価償却費+長期前払費用償却費

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当する事項はない。

 

5【研究開発活動】

   当社グループは、研究開発を経営戦略の一つとして位置付け、基盤技術部を中心として、主に以下の観点から取り組んでいる。

・省エネ性・環境調和性等低炭素社会の実現に貢献する天然ガス利用の高度化

・新しい事業機会の創出

・天然ガス事業基盤の拡充(効率的な製造・貯蔵・輸送・供給システムの構築等)

   研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでいる。

   当連結会計年度の研究開発費総額は7,436百万円である。

   主な研究開発活動は、主力事業である都市ガス事業を中心に行われており、7,385百万円である。

   当連結会計年度における具体的な研究成果は、以下のとおりである。

 

(1) 環境技術と天然ガス利用の高度化

 三浦工業㈱、大阪ガス㈱、東邦ガス㈱及び当社は、「ベンチュリサクション技術」を採用することで、換算蒸発量1,200kg/hのボイラでは日本で初めて低圧ガス(最高圧力2.5kPa、最低圧力1.0kPaの都市ガス)に使用可能な「ガス焚き小型貫流蒸気ボイラSQ-1200ZL」を共同で開発した。各社は、本製品を平成29年8月から提案し、三浦工業が平成29年10月より販売している。小型貫流蒸気ボイラは、省スペース性に優れ、取り扱いについては「ボイラー技士」の資格が不要という特長があり、ビルにおける空調・給湯用途から工場における生産用途まで、幅広い分野で利用されている。これまで、換算蒸発量1,200kg/hのボイラには中圧ガス(最高圧力0.3MPa、最低圧力0.1MPaの都市ガス)の供給が必要だったが、「ベンチュリサクション技術」を採用することで、低圧ガスにも使用できる製品を実現した。これにより、低圧ガスのお客さまにも幅広くご利用頂くことが可能となる。

 

(2) 天然ガス事業基盤の拡充

   ㈱NTTドコモ(以下「ドコモ」)と当社は、低消費電力通信技術「eDRX」対応LTE通信端末(以下「eDRX対応通信端末」)に係る国内初の実証実験を平成29年11月9日より開始した。本実証は、当社が新たに設置する試験用ガスメーターを対象に実施する。本eDRX対応通信端末は、ドコモが当社、大阪ガス㈱、東邦ガス㈱、NTTテレコン㈱の4社の協力を得てガススマートメーター向けに新たに開発したもので、パナソニック システムソリューションズ ジャパン㈱が供給しており、検針など通信頻度が低い業務を前提とした通信端末である。基地局から送信されるデータの受信タイミングを長周期に設定しておくことにより、これまでと比べ90%以上の省電力化が可能となるため、電池駆動による10年以上の稼働が期待できる。ドコモと当社は平成30年12月31日まで実証試験を行い、本実証を通じて得られたeDRX対応通信端末の消費電力削減効果と通信システムの性能、検針業務効率化の検証を行う。

 

   都市ガス以外の事業については、当該事業を営む連結子会社が中心となって、商品化開発等を行っている。エネルギー関連事業に係る研究開発費は51百万円である。