(1)業績
当連結会計年度における我が国の経済は、政府・日銀による金融緩和や経済対策を背景として、企業業績や雇用情勢が改善する等景気回復の兆しが見られたものの、消費税率の引き上げや円安による影響等、先行き不透明な状況で推移した。
また、我が国のエネルギー市場では、電力・ガスシステム改革の骨格が固まる等方向性が徐々に明らかになりつつある。
このような経済情勢及び経営環境の下、当社グループは、「エネルギーと未来のために 東京ガスグループがめざすこと。~チャレンジ2020ビジョン~」(以下、「チャレンジ2020ビジョン」)の実現に向けて、「LNGバリューチェーンの高度化」(付加価値の増大・エリアの拡大)を進めている。
こうした懸命な取り組みもあり、発電向け需要の増加等によりガス販売量が対前期で増加したこと、及び円安影響等に伴う原料費調整による売上単価増等により都市ガス売上高が増加したことに加え、電力販売の増加等によりその他エネルギー売上高が増加したこと等から、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ180,431百万円増加し、2,292,548百万円となった(前期比8.5%増)。
一方、経営効率化の一層の推進を図り、費用の抑制に最大限の努力を重ねてきたものの、ガス販売量の増加及び円安影響等からガス原材料費が増加したことに加え、電力販売の増加等に伴いその他エネルギーに関わる費用が増加した結果、営業費用は、前連結会計年度に比べ174,722百万円増加し、2,120,794百万円となった(前期比9.0%増)。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ5,709百万円増加し、171,753百万円となり(前期比3.4%増)、経常利益は168,169百万円(前期比5.4%増)となった。また、当連結会計年度は固定資産売却益6,134百万円、投資有価証券売却益5,062百万円を特別利益に、海外上流事業等の減損損失30,987百万円、投資有価証券評価損622百万円、固定資産圧縮損505百万円を特別損失に計上し、法人税等を計上した結果、当期純利益は95,828百万円となった(前期比11.6%減)。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
① 都市ガス
家庭用需要については、前連結会計年度に比べ0.9%増加した。
また、業務用需要が3.3%減少したものの、工業用需要が12.5%増加、他事業者向け供給が3.3%増加したため、ガス販売量合計では5.5%増加し、15,541百万m3となった。ガス販売量が前期を上回ったことに加え、原料費調整による売上単価増等により、売上高は1,640,907百万円となり、前連結会計年度に比べ135,709百万円増加した(前期比9.0%増)。
営業費用については、ガス販売量の増加及び円安影響等によるLNG価格上昇から原材料費が増加したこと等により131,237百万円増加し(前期比9.7%増)、セグメント利益は157,152百万円と前連結会計年度に比べ4,472百万円増加した。
② 器具及びガス工事
売上高は204,961百万円と前連結会計年度に比べ16,749百万円減少した(前期比7.6%減)。営業費用については12,143百万円減少し(前期比5.7%減)、セグメント利益は3,029百万円と前連結会計年度に比べ4,605百万円減少した。
③ その他エネルギー
売上高は408,257百万円と前連結会計年度に比べ50,688百万円増加した(前期比14.2%増)。営業費用については、52,706百万円増加し(前期比16.2%増)、セグメント利益は30,511百万円と前連結会計年度に比べ2,017百万円減少した。
④ 不動産
売上高は25,939百万円と前連結会計年度に比べ2,377百万円減少した(前期比8.4%減)。営業費用については、1,059百万円減少し(前期比4.7%減)、セグメント利益は4,383百万円と前連結会計年度に比べ1,317百万円減少した。
⑤ その他
売上高は226,241百万円と前連結会計年度に比べ26,847百万円増加した(前期比13.5%増)。営業費用については、19,015百万円増加し(前期比10.1%増)、セグメント利益は19,527百万円と前連結会計年度に比べ7,832百万円増加した。
(注)1 本書面では、特に記載のある場合を除き、ガス量はすべて1m3当たり45メガジュール換算で表示している。
2 消費税等については税抜方式を採用している。
なお、参考のため、セグメント別の売上高及び構成比を示す。
|
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
|
都市ガス |
1,505,198 |
65.1 |
1,640,907 |
65.5 |
|
器具及びガス工事 |
221,710 |
9.6 |
204,961 |
8.2 |
|
その他エネルギー |
357,569 |
15.5 |
408,257 |
16.3 |
|
不動産 |
28,316 |
1.2 |
25,939 |
1.0 |
|
その他 |
199,394 |
8.6 |
226,241 |
9.0 |
|
合計 |
2,312,189 |
100.0 |
2,506,307 |
100.0 |
|
調整額 |
(200,071) |
― |
(213,759) |
― |
|
連結 |
2,112,117 |
― |
2,292,548 |
― |
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上に対し、減価償却費の計上等があったものの、有形固定資産の取得等により、現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ22,585百万円
減少し、当連結会計年度末には128,333百万円となった(前期末比15.0%減)。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において223,225百万円となった。
これは、税金等調整前当期純利益の計上(147,251百万円)に対し、法人税等の支払(50,515百万円)があったものの、減価償却費が計上(138,635百万円)されたこと等によるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて17,768百万円の収入の減少となる(前期比7.4%減)。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において184,838百万円となった。
これは、固定資産の売却による収入(13,209百万円)等があったものの、日立LNG基地をはじめとする有形固定資産の取得による支出(180,097百万円)及び無形固定資産の取得による支出(25,313百万円)等により資金が減少したことによるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて50,798百万円の支出の減少となる(前期比21.6%減)。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において67,741百万円となった。
これは、長期借入れによる収入(29,359百万円)及び社債の発行による収入(20,000百万円)があったものの、自己株式の取得による支出(40,132百万円)、長期借入金の返済による支出(30,891百万円)、配当金の支払(24,774百万円)及び社債の償還による支出(20,000百万円)があったこと等によるものである。
また、これは、前連結会計年度に比べて58,546百万円の支出の増加となる(前期比636.7%増)。
当社グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も少なくない。
また、都市ガス事業が、外部顧客に対する売上高及び営業費用の大半を占めており、当該セグメントが当社グループの生産、受注及び販売活動の中心となっている。
このため、以下は都市ガス事業について記載している。
(1) 生産実績
最近2連結会計年度のガスの生産実績は次のとおりである。
|
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
ガス(千m3) |
14,667,474 |
15,460,524 |
(2) 受注状況
ガスについては、その性質上受注生産は行わない。
(3) 販売実績
ガスは、導管を通じて直接需要家に販売しているが、一部については他ガス事業者向け供給を行っている。
① ガス販売実績
最近2連結会計年度のガスの販売実績は次のとおりである。
|
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
数量(千m3) |
金額(百万円) |
数量(千m3) |
金額(百万円) |
|
|
家庭用 |
3,450,082 |
569,694 |
3,482,030 |
590,544 |
|
その他 |
11,285,023 |
935,504 |
12,058,488 |
1,050,362 |
|
計 |
14,735,105 |
1,505,198 |
15,540,518 |
1,640,907 |
|
期末需要家件数(千件) |
11,111 |
11,263 |
||
(注)1 当連結会計年度において、東京電力㈱に対する販売実績は連結損益計算書の売上高の10%以上を占める
が、守秘義務を負っているため、販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合を記載していな
い。
② ガス料金(当社)
平成23年4月1日、藤岡市・高崎市ガス企業団のガス事業を譲り受け、企業団のガス料金表を「群馬南地区」として引き継ぎ、平成24年2月13日、群馬南地区の熱量変更に伴い、一般ガス供給約款の変更を行った。群馬南地区の変更後のガス料金表は、同一熱量でガス料金が等価となるように設定した。
平成24年3月8日、群馬南地区を除く料金地区で料金改定を実施し、ガス料金の引下げに伴う供給約款の変更を行った。本改定において、熊谷地区を東京地区等に統合したため、料金地区は東京地区等、鴻巣中南部地区、群馬地区、群馬南地区の4地区となった。
平成24年10月1日、「地球温暖化対策のための税」導入に伴い、同年12月1日を実施日として全ての料金地区における一般ガス供給約款の変更を行った。
平成25年12月10日、群馬地区、群馬南地区を除く料金地区で料金改定を実施し、ガス料金の引下げに伴う一般ガス供給約款の変更を行った。本改定において、鴻巣中南部地区を東京地区等に統合したため、現在の料金地区は東京地区等、群馬地区、群馬南地区の3地区となった。
平成26年4月1日、消費税増税に伴い、同年4月1日を実施日として全ての料金地区における一般ガス供給約款の変更を行った。同時に群馬地区、群馬南地区で料金改定を実施し、ガス料金の引下げに伴う一般ガス供給約款の変更を行った。
なお、一般ガス供給約款以外の料金として、選択約款による料金や、大口需要家向け料金がある。
<一般ガス供給約款料金表(税込)と原料費調整制度における調整額>
1.東京地区等
平成26年4月1日実施 [45MJ]
|
区分 |
料金表A(円) |
料金表B(円) |
料金表C(円) |
料金表D(円) |
料金表E(円) |
料金表F(円) |
|
月間使用量
20m3まで |
同 20m3超 80m3まで |
同 80m3超 200m3まで |
同 200m3超 500m3まで |
同 500m3超 800m3まで |
同 800m3超
|
|
|
基本料金(1ヶ月当たり) |
745.20 |
1,026.00 |
1,198.80 |
2,062.80 |
6,382.80 |
12,430.80 |
|
基準単位料金(1m3当たり) |
165.78 |
151.74 |
149.58 |
145.26 |
136.62 |
129.06 |
平成26年4月から平成27年3月までのガス料金については、原料費調整制度に基づき、以下のとおり単位料金の調整を行った。
|
料金適用月 |
単位料金調整額(円/㎥) |
|
料金適用月 |
単位料金調整額(円/㎥) |
|
平成26年4月 |
+3.23 |
|
10月 |
+3.06 |
|
5月 |
+5.68 |
|
11月 |
+2.44 |
|
6月 |
+6.47 |
|
12月 |
+2.09 |
|
7月 |
+6.03 |
|
平成27年1月 |
+3.23 |
|
8月 |
+5.16 |
|
2月 |
+5.94 |
|
9月 |
+4.37 |
|
3月 |
+9.36 |
2.群馬地区
平成26年4月1日実施 [43.14MJ]
|
区分 |
料金表A(円) |
料金表B(円) |
料金表C(円) |
|
月間使用量26m3まで |
同 26m3超522m3まで |
同 522m3超 |
|
|
基本料金(1ヶ月当たり) |
745.20 |
1,269.62 |
7,470.98 |
|
基準単位料金(1m3当たり) |
130.20 |
110.03 |
98.15 |
平成26年4月から平成27年3月までのガス料金については、原料費調整制度に基づき、以下のとおり単位料金の調整を行った。
|
料金適用月 |
単位料金調整額(円/㎥) |
|
料金適用月 |
単位料金調整額(円/㎥) |
|
平成26年4月 |
+2.29 |
|
10月 |
+2.13 |
|
5月 |
+3.11 |
|
11月 |
+1.88 |
|
6月 |
+3.36 |
|
12月 |
+1.80 |
|
7月 |
+3.20 |
|
平成27年1月 |
+2.13 |
|
8月 |
+2.87 |
|
2月 |
+3.03 |
|
9月 |
+2.54 |
|
3月 |
+4.18 |
3.群馬南地区
平成26年4月1日実施 [43.14MJ]
|
区分 |
料金表A(円) |
料金表B(円) |
料金表C(円) |
|
月間使用量23m3まで |
同 23m3超233m3まで |
同 233m3超 |
|
|
基本料金(1ヶ月当たり) |
745.20 |
907.20 |
2,527.20 |
|
基準単位料金(1m3当たり) |
121.67 |
114.73 |
107.80 |
平成26年4月から平成27年3月までのガス料金については、原料費調整制度に基づき、以下のとおり単位料金の調整を行った。
|
料金適用月 |
単位料金調整額(円/㎥) |
|
料金適用月 |
単位料金調整額(円/㎥) |
|
平成26年4月 |
+2.29 |
|
10月 |
+2.13 |
|
5月 |
+3.11 |
|
11月 |
+1.88 |
|
6月 |
+3.36 |
|
12月 |
+1.80 |
|
7月 |
+3.20 |
|
平成27年1月 |
+2.13 |
|
8月 |
+2.87 |
|
2月 |
+3.03 |
|
9月 |
+2.54 |
|
3月 |
+4.18 |
(注)1 ガス料金は、ガスメーター1個についての基本料金と従量料金(単位料金×ガスご使用量)の合計で算定され
る。なお、お客さまのガスご使用量に応じて自動的に料金表のA表からF表(群馬地区及び群馬南地区の場合はA 表からC表)を適用する。
2 ガス料金が支払期限日(支払義務発生日の翌日から30日)を経過した後に支払われる場合は、支払期限日の翌日から支払日までの日数に応じて1日当たり0.0274%の率で算定した延滞利息が発生する。
3 「税込」とは、消費税法の規定により課される消費税及び地方税法の規定により課される地方消費税に相当す
る金額を含む金額をいう。なお、平成26年4月以降の料金表は消費税率8%で算定されている。
4 原料費調整制度は、為替レートや原油価格等の変化による原料価格の変動を迅速にガス料金に反映させるため、LNG・LPGの価格変動に応じ単位料金を調整する制度である。
当社グループは、東日本大震災から約半年が経過した平成23年11月にチャレンジ2020ビジョンを策定し、当社グループが将来に向かって成長・発展する絵姿と、そこに至る道筋を明らかにした。その中で、当社グループは今後ともお客さま・社会・時代のニーズに応え、「豊かで潤いのある生活」「競争力ある国内産業」「環境に優しい安心できる社会」の実現に貢献していくとともに、企業の社会的責任を自覚し、地域と共生を図りながら、透明で公正な経営を行うことにより、グループの持続的成長を図っていくこととしている。
チャレンジ2020ビジョンを、ホップ(2012~2014年度)、ステップ(2015~2017年度)、ジャンプ(2018~2020年度)に区切ると、ホップ期間の3年間は原料調達、インフラ整備、エネルギーソリューションの各分野においてさまざまな取り組みを精力的に進め、順調にその第一歩を踏み出すことができた。
そしていよいよ本年度からステップ期間に入るが、昨年10月にはその3年間の主要施策として以下の3点を決定した。今後、当社グループは、グループの総力を結集しこれらの課題に大胆かつスピーディーにチャレンジしていく。
<総合エネルギー事業の進化>
原料調達分野において、調達先・価格指標・仕向地などのさらなる多様化の推進、LNGの共同調達・融通・販売における国内外のプレーヤーとの柔軟な連携、米国天然ガス市場価格を指標としたシェールガス由来のLNG調達などの取り組みを通じて、原料価格の低減を図る。
製造・供給分野においては、日立基地2号LNGタンク、茨城幹線の建設により増大する天然ガス需要にお応えするとともに供給インフラ全体の安定性向上を図る。また、経年ガス管対策の加速、地震時にガス管の健全性の確認から供給再開までを遠隔で行う新システムの導入などにより安全かつ安定的な供給体制を構築する。
エネルギーソリューション分野においては、電力小売全面自由化に合わせて、家庭用や業務用のお客さまに電気をお届けするとともに、より一層競争力ある電源ポートフォリオの構築を目指す。また、住宅・設備、情報・通信等様々な業界の皆さまとのパートナーシップを通じて付加価値を創造する。さらには、ガスと電気を組み合わせた最適なエネルギーソリューションをご提案するとともに、エネファームやコージェネレーションといった分散型電源を活用したスマート化の推進を図っていく。
<グローバル展開の加速>
北米などのガス田権益の取得や、中小規模LNGプロジェクトへの参画など上流事業における参入形態の多様化を図り、さらなる拡大を目指す。また、東南アジアや北米地域において、当社グループの総合エネルギー事業に関わる技術・ノウハウを活かし、エネルギーインフラ構築やエネルギーソリューションに貢献するとともに、現地エネルギー会社とのアライアンスなどを通じて、現地におけるバリューチェーン展開にも取り組んでいく。
<新たなグループフォーメーションの構築>
グループ内に分散する人材、技術・ノウハウといった経営資源を集約し事業の育成・強化を図るとともに、新たな事業分野においては、アライアンスにより外部から取得するなど、規模・範囲の拡大を行う。
また、経営資源の集中によるグループ力強化に向け、グループ内では発展が難しい機能や、外部とのアライアンスにより成長が見込める機能について、事業としての方向性を整理していく。
加えて、グローバル展開を加速していくため、海外拠点を新設・増強し人員規模も拡大するなど、海外拠点を拡充する。
さらには、新たなグループフォーメーションのもとで、効率的かつ総合力が発揮できる経営管理システムのあり方、また、一人ひとりが活き活きと仕事をし、活躍できる人事システムのあり方を検討の上、実施していく。
以上のような施策を推進するうえでその根幹となるのが保安である。お客さまの安心・安全を確かなものとし、社会からより一層の信頼をいただけるよう、今後も保安の強化にまい進していく。
なお、当社は、平成27年4月28日の取締役会において、「剰余金の配当等の決定に関する方針」に基づき、平成27年度における自己株取得枠を340億円又は50百万株とし、その取得期間を平成27年4月30日から平成28年3月31日までとする旨の決議を行った。
当社グループは、今後とも企業価値・株主価値をさらに高め、株主の皆さま、お客さまのご期待にお応えできるよう努めていく。
株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、チャレンジ2020ビジョンの策定を踏まえ、平成24年1月31日開催の取締役会において、以下のとおり「当社グループの経営理念および経営の支配に関する基本方針」の改定を決議した。
当社グループは、首都圏を中心に1000万件超のお客さまへ安全かつ安定的に都市ガスを供給するとともに、ガス、熱、電力等各種エネルギーやそれらの付加価値のベストミックスをお客さまへ提供し、「快適な暮らしづくり」と「環境に優しい都市づくり」に貢献する等、極めて公益性の高い事業を展開しており、お客さま、株主の皆さまをはじめ、社会から常に信頼を得て発展し続けることを経営理念としている。
当社は、この経営理念及び中長期の経営戦略に基づき、長期に安定した経営を行うとともに、お客さま、株主の皆さま、その他のステークホルダーの皆さまに対し安定的かつバランスの取れた利益の配分を行うことにより、着実な企業価値の向上を実現していくことを経営の基本方針としている。株主さまへの還元については、別に定める「剰余金の配当等の決定に関する方針」に基づいて実施していく。
当社は上場会社であり、当社株式の大量取得を目的とする買付けや買収提案が行われることも考えられるが、その場合に応じるか否かは、最終的には当社の株主さま全体のご意思に基づき決定されるべきものと考えている。しかしながら、株式の大量買付行為の中には、その目的・方法等からみて企業価値ひいては株主共同の利益を著しく毀損するおそれがあるものがあり、当社はこうした大量買付行為を不適切であると判断する。判断にあたっては、買付者の事業内容や将来の事業計画、並びに過去の投資行動等から、当該買付行為又は買収提案による当社企業価値・株主共同の利益への影響を慎重に検討していく。
当社としては、不適切な大量買付行為に対する最大の防衛策は「企業価値の向上」であると考えている。現在のところ、当社は具体的な買収の脅威にさらされておらず、いわゆる「買収防衛策」を予め導入することはしないが、市場動向等を常に注視し、当社株式を大量に取得しようとする者が出現した場合には、直ちに当社として最も適切と考えられる措置を講じていく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 事故・災害等
① 原料調達支障
天然ガスをはじめとする都市ガス原料の大半を海外からの輸入に頼っているため、原料輸入先のカントリーリスクやガス田・LNG液化基地でのトラブル、LNG船の運航途上でのトラブル、東京湾での入港規制等により原料が長期にわたり調達できない場合には、都市ガスの供給に支障を及ぼす可能性がある。当社は5カ国11プロジェクトからLNGを輸入し、調達先の分散化を進めるとともに、自社管理LNG船等を活用した柔軟な配船を行う等、安定的かつ柔軟なLNG調達に取り組み原料調達リスクの分散を進めている。
② 自然災害
都市ガスの製造・供給設備を事業活動の基盤としている装置産業であるため、阪神・淡路大震災クラスの大地震でも都市ガスの製造・供給を継続できるよう設備耐震対策、二次災害を防止するための緊急対策等を実施している。また、内閣府想定の大規模地震災害に備えた事業継続計画(BCP・・・Business Continuity Plan)の策定をはじめ、地震、台風、津波等の自然災害に対する非常事態対応体制の整備及び定期的な訓練を実施する等、災害の影響を最小限に止める対策を実施している。しかし、大規模な自然災害が発生した場合、LNG基地等の製造設備や導管等の供給設備等に損害を受け、都市ガスの供給に支障を及ぼす可能性があり、その復旧対応に伴う費用が収支に影響を与える可能性がある。
③ 都市ガス及び電力の製造・供給に伴う事故及び供給支障
お客さまの生活や産業を支える都市ガス及び電力の供給を行っているため、ガスの大規模供給支障事故に備えたBCPの策定をはじめ、各種保安対策を計画的に実施するとともに、非常事態対応体制を整備し、定期的な訓練を実施する等事故・供給支障の防止に取り組んでいる。しかし、都市ガスの製造・供給に伴う大規模な漏洩・爆発事故や供給支障が発生した場合には、その直接的損害に止まらず、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性がある。また、電力の供給支障が発生した場合には、その対応に伴う損害が発生する可能性がある。
④ 不測の大規模停電
当社のLNG基地は信頼性の高い受電系統を配しており、LNG基地への電力供給が停止する可能性は低いと考えられる。また、関東エリアで不測の大規模停電が発生した場合に備えて、BCPの策定をはじめ影響を最小限に止める対策を実施している。さらに、系統電源からの電力供給が停止した場合には、停電によるガス需要減も見込まれるとともに、自家用発電設備で製造設備を稼働することが可能なため、停電時にも一定量のガス送出が可能となっている。しかし、ガスの需要量や製造・供給設備の状況によってはガスの製造・供給に支障を及ぼす可能性がある。
なお、当社のLNG基地は仮に1つのLNG基地が停止しても、他のLNG基地からバックアップが可能であり、ほぼ必要なガスの製造・供給が可能となっている。
⑤ 都市ガスの保安確保・ガス機器等製品品質上の問題
都市ガス供給上の保安責任を負うことから、お客さまへの定期保安点検の体制強化・点検内容の拡大や安全機器への取り替え促進等の安全強化策を実施している。また、連結子会社や協力企業等を通して当社ブランドのガス機器等を販売していることから、高度な安全機能を持つガス機器の開発を進めている。しかし、都市ガス供給に関わる事故やガス機器等に起因する事故が発生した場合には、その対応に伴う直接・間接の損害が発生する可能性がある。
⑥ 他社の都市ガス事故に起因する風評被害
他社における都市ガス事故が都市ガス業界全体の信頼に重大な影響を及ぼし、有形無形の損害を被る事態が発生する可能性がある。
(2) 市場リスク
① 市場価格・金利の変動
所有する不動産・株式・年金資産等の市場価格等が変動した場合に損失を受ける可能性がある。また、有利子負債については金利変動により支払利息が増加する可能性がある。ただし、当社の有利子負債は大部分が長期の固定金利で調達しているため、金利変動による影響は限定的である。
(3) 事業遂行に伴うリスク
① 既存事業に関するリスク
イ 原料費の変動
都市ガス原料であるLNGの調達先との契約更改・価格交渉の動向によっては、収支に影響を及ぼす可能性がある。また、LNGは原油価格に連動して価格が決定されるため、原油価格の変動が収支に影響を及ぼす可能性があることに加え、米ドル建ての売買契約になっているため、円の対米ドル為替レート変動が収支に影響を及ぼす可能性がある。
さらに、長期契約のLNGプロジェクトからの調達量を上回る需要増、出荷基地・輸送上のトラブルの発生、新規LNGプロジェクトの供給開始遅延等が生じ、スポットLNGを調達する場合、スポット市況により、収支に影響を及ぼす可能性がある。
一方、原料費が変動しても「原料費調整制度」により、最大5ヶ月後にはガス料金に転嫁される。ただし、変動幅が基準原料価格の160%を超過した場合には超過分は未回収となる。また、会計年度を越えてガス料金に反映される場合には、年度収支に原料費の未回収・過回収による影響が及ぶ可能性がある。
ロ 法令・制度・国及び地方自治体のエネルギー政策の変更
ガス事業法・会社法・金融商品取引法その他の法令や制度及び国・地方自治体のエネルギー政策に基づいて事業を遂行しているため、それらが変更された場合には、影響を受ける可能性がある。
ハ 天候変動によるガス販売量の変動
当社の連結売上高の過半が都市ガスの販売によるものであるため、猛暑や暖冬等の異常気象が発生した場合には、給湯・暖房用を中心とする家庭用ガス販売量やビル空調を中心とする業務用ガス販売量が変動し、収支に影響を及ぼす可能性がある。
二 競合激化による需要の減少
当社は、環境性・効率性・快適性の高いガス機器の投入や販売体制の強化をはじめとする営業強化に積極的に取り組んでいるが、他エネルギー企業との競合が激化したり、原油価格の変動等によりLNGそのものが他エネルギーとの競争力を失う場合には、需要が減少し、収支に影響を及ぼす可能性がある。
ホ 既存需要の減少
不況による設備の稼動減や省エネ活動の進展及び産業構造の変化等により工業用・商業用の既存ガス需要の一部が減少する可能性がある。また、世帯人員の減少・生活形態の変化や省エネ機器の普及等により家庭用の既存需要の一部が減少する可能性がある。
ヘ コールセンターへの電話不通
当社はお客さまからのお問い合わせの大部分を電話により受け付けているため、コールセンターへの電話が不通となった場合には、お客さまへの対応が広範囲にわたり停滞し、当社グループのブランドイメージの毀損等有形無形の損害が発生する可能性がある。
ト 技術開発の遅延
環境性に優れ、安全性の高い新商品・新技術の開発を進めているが、それらを適時に開発・実用化できない場合には、他エネルギーとの競合力を失い、事業遂行に影響を及ぼす可能性がある。
② 海外事業展開に伴うリスク
チャレンジ2020ビジョンで掲げた海外事業の拡大に向けてグローバル展開を加速するが、特にLNG権益やガス田の取得等の上流事業に関しては、原油・ガス価格及び外国為替相場の変動が収支に影響を及ぼす可能性がある。また、海外拠点機能を拡大するが、各国固有の法規制や商習慣への対応などにより、拠点の運営の停滞や費用負担の増加、新規事業開拓の遅延が発生する可能性がある。
③ 新市場開拓の遅延
家庭用燃料電池「エネファーム」や太陽光・太陽熱等の再生可能エネルギーを組み入れたサービス等の普及に取り組み、新市場を開拓していくが、国及び地方自治体のエネルギー政策の変更等の環境変化によっては、新市場の開拓が遅延し、事業戦略の変更を迫られたり、投資が未回収となる可能性がある。
④ 投資未回収
チャレンジ2020ビジョンで掲げた「LNGバリューチェーンの高度化」等に向けた大規模投融資が継続する。当社は設備投資、出資、融資及び債務保証に関する案件に対しては投資評価委員会において採算性及びリスク評価を行い、その結果を踏まえて経営会議若しくは取締役会に付議する等、総合的な経営判断の下に投資を決定している。しかし、パイプラインやLNG基地建設等の安定供給基盤の強化や、電力事業、エネルギーサービス事業、ガス田の開発等の海外事業やLNG輸送事業、IT投資等の既存事業の基盤整備及び保有不動産の活用に係わる大規模投資が、その後の経済情勢の変化等によっては、適切に回収されない、又は所期の成果を生み出せず収支に影響を与える可能性がある。
(4) 情報管理・システム運用に関するリスク
① 個人情報の流出
公益事業としての業務を遂行するためにお客さまの個人情報を収集・管理しているため、グループ全体を対象とした情報セキュリティ推進体制を構築し、情報セキュリティ教育や自主検査を実施するとともに、その構築・運用状況を内部監査により確認し、必要な改善を行う体制を整備する等、個人情報の流出防止に取り組んでいる。しかし、お客さまの個人情報が外部へ流出した場合には、対応に要する直接的な費用に止まらず、深刻なお客さまからの信頼の毀損等有形無形の損害が発生する可能性がある。
② ITシステムの停止・動作不良
お客さま受付及びガス料金の計算等の業務でITシステムを使用しているため、不測の事態でも業務への影響を最小限に止めるよう、対障害性・耐災害性に優れた堅牢なデータセンターの設置、各種セキュリティ対策及び定期的な訓練の実施等システムの安定稼動に必要な対策を実施している。しかし、これら業務に関する基幹ITシステムが停止した場合や動作不良を起こした場合には、お客さまへの対応が停滞するばかりでなく、当社グループのブランドイメージの毀損等有形無形の損害が発生する可能性がある。
なお、都市ガスの製造・供給調整に関するITシステムは、独自にバックアップシステムの整備及び自営無線の整備等の安全対策が施されているため、IT障害により都市ガスの製造・供給へ大きな影響が及ぶ可能性は低いものとなっている。
(5) 企業の社会的責任に関するリスク
① コンプライアンス違反
コンプライアンスは業務運営の基盤であるため、社長を委員長とする経営倫理委員会を設置し、同委員会が策定する基本方針の下に、グループ全体でコンプライアンス向上の取組みを実施し、法令・企業倫理・社会的規範の遵守の周知徹底やその状況等を内部監査により確認する等コンプライアンスの推進に取り組んでいる。しかし、法令・約款に照らして不適切な行為、情報開示における不適切な対応、若しくは企業倫理・社会的規範に反する行為等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用に止まらず、社会的制裁を受ける等有形無形の損害が発生する可能性がある。
② 新たな環境規制等への対応
新たな環境関連法規制への対応、または環境改善のための追加的な義務が発生した場合には、事業運営に影響を及ぼしたり、収支に影響を及ぼす可能性がある。
③ 不十分なCS・お客さま対応
CS(お客さま満足)の向上を経営上の重要課題と位置付けているため、社長を委員長とするお客さま満足度向上委員会が策定する基本方針の下に、グループ全体でCSの向上を進めているが、不適切なお客さま対応等が発生した場合には、企業競争力の低下や、当社グループのブランドイメージの毀損をはじめ有形無形の損害が発生する可能性がある。
該当する事項はない。
当社グループは、研究開発を経営戦略の一つとして位置付け、技術開発本部を中心として、主に以下の観点から取り組んでいる。
・省エネ性・環境調和性等低炭素社会の実現に貢献する天然ガス利用の高度化
・新しい事業機会の創出
・天然ガス事業基盤の拡充(効率的な製造・貯蔵・輸送・供給システムの構築等)
研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでい
る。
当連結会計年度の研究開発費総額は9,432百万円である。
主な研究開発活動は、次のとおり主力事業であるガス事業を中心に行われており、8,305百万円である。
(1) 環境技術と天然ガス利用の高度化
① 当社は、パナソニック㈱と共同で、停電時に家庭用燃料電池「エネファーム」が運転停止中でも、自立起動して発電し、停電時使用可能コンセントを通じて家庭内に電力を供給できる新たな「停電時発電機能」を備えたオプション品を開発した。本製品により、使用電力が700W以下の場合は、停電時に最長約4日間に渡って電力を使用することが可能となる。また、本製品の自立起動用電源ユニットに内蔵された蓄電池からの供給分も合わせて、停電時に最大1200Wの電力を約2時間使用することが可能となる。
② 当社は、パナソニック㈱と共同で、家庭用燃料電池「エネファーム」の戸建向け新製品を開発した。新製品はシステムの簡素化等により部品点数を現行品と比較して約15%削減したことや、主要デバイスである発電を行うスタックの構成の見直し等により、低コスト化を実現した。また、現行品では別付けのオプション品にて提供していた、停電時発電継続機能を燃料電池ユニットに内蔵した機種を新たに開発した。さらに、これまで以上に様々な設置スペースに柔軟に対応するため、貯湯ユニットはバックアップ熱源機との一体型と別置型の2種類を開発した。
都市ガス以外の事業については、当該事業を営む連結子会社が中心となって、商品化開発等を行っている。器具及びガス工事事業に係る研究開発費は1,052百万円、その他エネルギー事業に係る研究開発費は8百万円、その他の事業に係る研究開発費は66百万円である。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 概要
当社グループは、都市ガス、器具及びガス工事、その他エネルギー、不動産並びにその他の5つの事業を行っている。
都市ガス売上高の増加等により、連結売上高は増加した。
発電向け需要の増加等によりガス販売量が増加したこと、及び円安影響等によるLNG価格上昇等からガス原材料費が増加したこと、並びに電力販売の増加等に伴いその他エネルギーに関わる費用が増加したものの、費用の抑制に最大限の努力を重ねてきたこと等により、営業利益は増益となった。
上記により、前連結会計年度に比べ経常利益も増益となったが、当連結会計年度においては、固定資産売却益及び投資有価証券売却益を特別利益に計上したものの、減損損失等を特別損失に計上したため、当期純利益は減益となった。
② ガス販売量
当連結会計年度の家庭用需要は、お客さま件数が増加した影響等により、前連結会計年度比0.9%増の3,482百万m3となった。業務用需要は、前年同期と比較して上期は気温が低く推移し、下期は気温が高く推移した影響で空調需要が減少したこと等により、同3.3%減の2,750百万m3となった。工業用需要は、一部既存設備の稼働減はあったものの、発電向け需要が増加したこと等により、同12.5%増の7,235百万m3となった。また、他ガス事業者向け供給は、供給先事業者の需要増により、同3.3%増の2,074百万m3となった。これらの結果、当連結会計年度のガス販売量は前連結会計年度と比べ5.5%増加し15,541百万m3となった。
③ 売上高
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比8.5%増の2,292,548百万円となった。ガス販売量が前連結会計年度を上回ったことに加え、円安影響等に伴う原料費調整による売上単価増により都市ガス売上高が前連結会計年度比9.0%増加したことに加え、電力販売の増加等によりその他エネルギー売上高も14.2%増加した。
④ 営業費用及び営業利益
売上原価、供給販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度比9.0%増の2,120,794百万円となった。
ガス販売量の増加及び円安影響等からガス原材料費が増加したこと、並びに電力販売の増加等に伴いその他エネルギーに関わる費用が増加したこと等により、売上原価は前連結会計年度比12.0%増の1,668,041百万円となった。経営効率化の一層の推進を図り、諸経費及び人件費等の抑制に最大限の努力を重ねた結果、供給販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比0.8%減の452,752百万円となった。
この結果、営業利益は前連結会計年度比3.4%増の171,753百万円となった。
⑤ 営業外損益及び経常利益
営業外損益純額は、前連結会計年度の△6,431百万円から、△3,584百万円となった。
営業外収益の合計は、前連結会計年度の16,582百万円から、17,542百万円となった。これは、専用設備料収入が前連結会計年度比2,382百万円増の2,944百万円となったことが主な要因である。
営業外費用の合計は、前連結会計年度の23,013百万円から、21,126百万円となった。これは、為替差損が前連結会計年度比3,078百万円減の2,561百万円となったことが主な要因である。
この結果、経常利益は前連結会計年度比5.4%増の168,169百万円となった。
⑥ 特別損益
特別損益純額は、前連結会計年度の△1,263百万円から、△20,918百万円となった。
特別利益の合計は、前連結会計年度の1,074百万円から、11,197百万円となった。これは、前連結会計年度に1,074百万円であった固定資産売却益の計上が6,134百万円になったこと、及び投資有価証券売却益5,062百万円の計上があったことが主な要因である。
特別損失の合計は、前連結会計年度の2,337百万円から、32,115百万円となった。これは、前連結会計年度に2,337百万円であった減損損失が海外上流事業等における計上により30,987百万円となったこと、及び投資有価証券評価損622百万円並びに固定資産圧縮損505百万円の計上があったことが要因である。
⑦ 税金等調整前当期純利益、法人税等(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)並びに当期純利益
税金等調整前当期純利益は、経常利益増加に加え、特別利益が増加したものの、特別損失増加の影響を受け、前連結会計年度比7.0%減の147,251百万円となった。法人税等は、同4.3%増の50,603百万円となった。
以上の結果から、当期純利益は同11.6%減の95,828百万円となった。
売上高に対する当期純利益率は、前連結会計年度の5.1%から0.9ポイント減少し、4.2%となった。1株当たりの当期純利益金額は、前連結会計年度の43円10銭から、39円15銭となった。
⑧ セグメント情報
イ 都市ガス
都市ガス売上高は、ガス販売量が前年を上回ったことに加え、円安影響等に伴う原料費調整による売上単価増等により、前連結会計年度から135,709百万円(9.0%)増の1,640,907百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の65.1%から65.5%となった。経営効率化の一層の推進を図り、諸経費及び人件費等の抑制に最大限の努力を重ねたものの、ガス販売量の増加、及び円安影響等によるLNG価格上昇に伴い原材料費が増加したこと等により、営業費用は前連結会計年度から131,237百万円(9.7%)増加し、1,483,755百万円となった。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ4,472百万円(2.9%)増加し、157,152百万円となった。
ロ 器具及びガス工事
器具及びガス工事売上高は、前連結会計年度から16,749百万円(7.6%)減少し、204,961百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の9.6%から8.2%となった。営業費用は前連結会計年度から12,143百万円(5.7%)減少し、201,932百万円となり、セグメント利益は、同4,605百万円(60.3%)減少し、3,029百万円となった。
ハ その他エネルギー
エネルギーサービス、液化石油ガス、電力、産業ガス及びLNG販売の売上で構成されるその他エネルギー売上高は、電力販売売上の増加等により、前連結会計年度から50,688百万円(14.2%)増加し、408,257百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の15.5%から16.3%となった。営業費用は前連結会計年度から52,706百万円(16.2%)増加し、377,746百万円となり、セグメント利益は、同2,017百万円(6.2%)減少し、30,511百万円となった。
ニ 不動産
不動産売上高は、前連結会計年度から2,377百万円(8.4%)減少し、25,939百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の1.2%から1.0%となった。営業費用は前連結会計年度から1,059百万円(4.7%)減少し、21,556百万円となり、セグメント利益は、同1,317百万円(23.1%)減少し、4,383百万円となった。
ホ その他
建設、情報処理サービス、船舶、クレジット・リース及び海外等の売上で構成されるその他売上高は、前連結会計年度から26,847百万円(13.5%)増加し、226,241百万円となった。セグメント間売上消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の8.6%から9.0%となった。営業費用は前連結会計年度から19,015百万円(10.1%)増加し、206,714百万円となり、セグメント利益は、同7,832百万円(67.0%)増加し、19,527百万円となった。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
事業推進上の外部リスク要因
① 気温変動リスク
当社グループの年度売上高の過半が都市ガスの販売によるもので、その販売量は気温の影響を受ける。家庭用においては、主なガスの利用目的は給湯・暖房であるため、暖冬の場合にはガスの販売量が減少し減収・減益要因となる。業務用においては、主な利用目的が空調であるため、夏場においては気温が低い場合、冬場においては気温が高い場合に、それぞれガス販売量が減少し減収・減益要因となる。
当連結会計年度の平均気温(※)は上期で21.2℃、下期で10.9℃(通期で16.0℃)だったが、翌連結会計年度の平均気温は通期で15.8℃を想定している。
(※)平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気
温を平均したもの。なお、平成26年12月2日に「東京」の気温観測地点が大手町から北の丸公園に
移転されたことを踏まえ、移転日以前の気温については北の丸公園試験観測データをもとに、各月
分の気温を算出。
② 原料購入価格変動リスク
当社が供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受ける。また、ドル建てのLNG価格は原油価格に連動して決定されるため、国際原油価格市場の変動リスクも受ける。
ただし、原料購入価格が変動しても変動分について最大5ヶ月遅れ(注1)でガス料金に反映する「原料費調整制度(注2)」が適用されるため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生するが、中長期的には収支への影響は軽微である。
為替及び原油価格の変動が翌連結会計年度の売上総利益に与える影響額は、以下のとおりである。
為替:1円/ドルの円安により、約1,100百万円減
原油価格:1ドル/バレルの価格上昇により、約1,800百万円減
翌連結会計年度見通しにおける年平均為替相場と原油価格は、当連結会計年度が109.76円/ドル、90.35ドル/バレルであったのに対し、それぞれ120.00円/ドル、60.00ドル/バレルを想定している。
(注) 1 ガス料金への反映は、契約により5ヶ月遅れではない場合もある。
2 調整の上限がある。
③ 金利変動リスク
当社の有利子負債は、長期・短期ともに概ね固定金利であるため、借入れ期間中の金利変動リスクは軽微である。しかし、借換え時等においては金利変動のリスクを受ける可能性がある。
④ 株価変動リスク
当社の保有する株式は、業務上必要な企業との関係を維持するためのものが大部分である。そのうちマーケットリスクにさらされる可能性があるのは、上場株式の株価である。これら株式の扱いについては、管理規則を設けている。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 連結キャッシュ・フロー
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営業活動による |
投資活動による |
財務活動による |
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当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
223,225 |
△184,838 |
△67,741 |
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前連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) |
240,993 |
△235,636 |
△9,195 |
イ 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度から17,768百万円減少し223,225百万円となった。売上債権の増減額が2,355百万円と前連結会計年度に比べ33,107百万円増加したことに加え、減損損失が30,987百万円と前連結会計年度に比べ28,650百万円増加したものの、仕入債務の増減額が△7,305百万円と前連結会計年度に比べ33,276百万円減少したことに加え、たな卸資産の増減額が△12,008百万円と前連結会計年度に比べ17,550百万円減少したことがキャッシュ・フローの減少の主な要因となっている。
ロ 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の△235,636百万円から△184,838百万円となった。固定資産の売却による収入は、前連結会計年度の1,761百万円から13,209百万円となった。また、長期貸付金の回収による収入は、前連結会計年度の10,576百万円から6,485百万円となった。一方、日立LNG基地をはじめとする有形固定資産の取得による支出は、前連結会計年度の△172,600百万円から△180,097百万円となった。また、無形固定資産の取得による支出は、前連結会計年度の△72,011百万円から△25,313百万円となった。
ハ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の△9,195百万円から△67,741百万円となった。長期借入れによる収入は、前連結会計年度の69,547百万円から29,359百万円となった。また、社債の発行による収入は、前連結会計年度の35,000百万円から20,000百万円となった。一方、長期借入金の返済による支出は、前連結会計年度の△20,552百万円から△30,891百万円となった。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末から22,585百万円減少し、128,333百万円となった。
② 資産、負債及び純資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から80,846百万円(3.7%)増加し、2,257,662百万円となった。総資産利益率(ROA)は、前連結会計年度の5.2%から4.3%に下落した。
③ 固定資産
有形固定資産は、日立LNG基地をはじめとするガス製造設備建設が進んだこと等により、前連結会計年度末から69,492百万円(5.8%)増加し、1,264,979百万円となった。製造設備はLNG基地の増強があったものの既存設備の減価償却が進んだことにより、前連結会計年度末から6,891百万円減少し、174,760百万円となった。供給設備は既存設備の減価償却が進んだものの導管網の増強があったことにより、前連結会計年度末から1,471百万円増加し、479,060百万円となった。その他の設備は既存資産の減価償却が進んだものの、エネルギーサービス設備の稼働開始による増加等があったことにより、前連結会計年度末から6,312百万円増加し326,424百万円となった。建設仮勘定は、日立LNG基地をはじめとする製造・供給体制整備のための設備投資が増加したこと等により、前連結会計年度末から69,437百万円増加し、223,821百万円となった。
無形固定資産は、海外上流事業における減損損失の計上があったものの、海外投資関連等の増加があったこと等により、前連結会計年度末から3,114百万円(2.4%)増加し、135,441百万円となった。
また、投資その他の資産は、投資有価証券残高の増加等に伴い前連結会計年度末から10,773百万円(4.1%)増加し、275,480百万円となった。
④ 流動資産
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から2,533百万円(0.4%)減少し、581,761百万円となった。有価証券は前連結会計年度末と比べ34,990百万円減少し、43,010百万円となった。一方、現金及び預金は前連結会計年度末と比べ13,514百万円増加し、86,493百万円となった。
⑤ 固定負債
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末から9,827百万円(1.3%)増加し、784,193百万円となった。長期借入金は前連結会計年度末から29,670百万円増加し、339,214百万円となった。一方、社債は前連結会計年度末から23,798百万円減少し、312,697百万円となった。
⑥ 流動負債
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から13,249百万円(3.6%)増加し、386,206百万円となった。1年以内に期限到来の固定負債は前連結会計年度末から6,941百万円増加し、58,020百万円となった。また、その他流動負債は前連結会計年度末から4,241百万円増加し、153,208百万円となった。流動比率は、前連結会計年度末の156.7%から150.6%となった。
⑦ 有利子負債
設備投資等の実施に伴い、当連結会計年度末の有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ16,916百万円(2.4%)増加し、730,739百万円となった。有利子負債比率は、前連結会計年度末の32.8%から32.4%に下落した。
⑧ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ57,770百万円(5.6%)増加し、1,087,262百万円となった。これは、自己株式の市場買付39,999百万円、剰余金の配当24,757百万円等があったものの、当期純利益の計上95,828百万円等により株主資本が28,576百万円増加したこと、並びに為替換算調整勘定及びその他有価証券評価差額金残高の増加等によりその他の包括利益累計額が29,152百万円増加したこと等によるものである。自己資本比率は前連結会計年度末の46.5%から47.4%に上昇し、自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度末の11.2%から9.2%に下落した。
(4) 財務方針について
当社は、チャレンジ2020ビジョンの策定を踏まえ、平成24年1月31日開催の取締役会において、以下のとおり
当社グループの「財務方針」を決議した。
チャレンジ2020ビジョンに基づき、持続的成長に向け積極的な原資投入を行うとともに、投資・資本効率性、財務体質、株主配分にも留意し、長期的な企業価値向上に資するバランスのとれた財務戦略を実現していく。
① 投資・資本効率性
投資に伴うリスク及び採算性に留意し個別の投資判断を行うとともに、投資効率の維持・向上及び株主資本の有効活用に努める。
具体的にはROA(総資産利益率)・ROE(自己資本利益率)を主要経営指標と位置付け、2020年度における目標を、ROAは4%程度、ROEは8%程度と定め上記の実現を図る。
② 財務体質
現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した最適な資本構成の実現に努める。
具体的には、D/Eレシオ(負債資本倍率)を主要経営指標と位置付け、2020年度に至るまで各年度0.8倍程度を目標と定め上記の実現を図る。
③ 株主配分
創出されるキャッシュ・フローを、新たな成長に向けた「LNGバリューチェーンの高度化」に資する投資に
振り向けるとともに、株主の皆さまに経営の成果を適切・タイムリーに配分する。
具体的には、配当に加え、消却を前提とした自社株取得を株主還元策の一つとして位置付け、総分配性向
(連結当期純利益に対する配当と自社株取得の割合)の目標を、2020年度に至るまで各年度6割程度とする。
また、配当については、安定配当を維持しつつ、中長期の利益水準を総合的に勘案し、成長に合わせて緩や
かな増配を実現していく。
n年度総分配性向=((n年度の年間配当金総額)+(n+1年度の自社株取得額))÷n年度連結当期純利益