文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
・信頼性の高いネットワーク、付加価値の高い商品・サービスの提供を通じ、世界中の人々に感動、安心、幸せ、感謝の笑顔をお届けできるような企業を目指してまいります。
・全てのステークホルダーの皆さまの満足度を高めるTCS(トータル・カスタマー・サティスファクション)活動を推進してまいります。
・キャッシュ・フローを重視し、株主・投資家の皆さまにとって魅力ある企業となるべく努力してまいります。
・効率的な設備投資と各種経費削減の徹底等により、財務体質の健全化に努めてまいります。
・情報管理・コンプライアンス遵守を徹底し、リスク管理体制の整備強化を推進してまいります。
・地球環境との調和を重視し、人間性あふれる豊かな社会をつくるため、省エネルギー・省資源、リサイクル、グリーン購入等、積極的に環境保全活動に取り組んでまいります。
・安全で快適な情報通信サービスの提供を通じ、あらゆる社会経済活動を支えていくことをサステナビリティ活動の基本とし、豊かなコミュニケーション社会の発展に積極的に貢献してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
通信業界においては、競合各社によるモバイルと固定通信のセット型割引サービスの販売開始等もあり市場の同質化が進む一方で、MVNO各社による格安SIMサービス等の普及が急速に拡大する等、事業環境が大きく変化しております。また、競争軸も、これまでの通信分野から、その周辺、さらには通信以外の分野も含む広い領域にシフトしており、従来の通信会社に加え異業種との競争の時代に入っております。今後、あらゆる産業分野が関わるIoTが進展すると、この動きはより一層加速すると思われます。
このような事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現していくため、以下のとおり2016年度からの3年間における新たな中期目標を策定しております。
■事業運営方針
「お客様体験価値を提供するビジネスへの変革」
あらゆるお客様接点において、お客様の期待を超える体験価値を提供するビジネスへと変革してまいります。
■事業戦略
「国内通信事業の持続的成長」に加えて、新たな成長軸の確立に向けて「au経済圏の最大化」と「グローバル事業の積極展開」を目指してまいります。
■財務目標(目標とする経営指標)
持続的な利益成長と株主還元強化の両立を目指してまいります。
2016年度から2018年度に向けての中期目標は以下のとおりです。
(利益成長目標)
・連結営業利益 CAGR(年平均成長率) 7%
・au経済圏流通総額 2兆円超
・成長に向けたM&A 3年間累計 5,000億円規模
(株主還元目標)
・配当性向は、従来の「30%超」から「35%超」へ
・成長投資とのバランスにより、自己株式取得を実施
・自己株式数は、発行済株式総数の5%を目安とし、超過分は消却。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループは新たな事業戦略に沿って、持続的な成長に向けた取り組みを以下のとおり進めてまいります。
■国内通信事業の持続的成長
当社の事業基盤である国内通信事業においては、「ID×ARPA」の最大化による持続的成長を目指してまいります。「ID×ARPA」の最大化に向けては、「au」に加え、au回線を中心としたMVNOの活用により、当社グループの「モバイルID数」の増加を目指してまいります。主力サービスの「au」においては、お客様の体験価値向上を通じて、「au」をお客様から選んでいただけるブランドに高めてまいります。
■au経済圏の最大化
「通信とライフデザインの融合」の実現に向けて、従来の通信サービスに加え、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを拡充することで、国内通信事業の基盤を生かしながら、相乗効果を発揮し、「au経済圏」の拡大を目指してまいります。
また、「Wowma!」等のコマース事業や「au WALLETカード」等の決済事業の拡大により、流通額の最大化を図るとともに、「auでんき」等エネルギービジネスの拡大や金融事業の確立、教育事業への参入等により、お客様に多様なライフデザインサービスの提案を続けることで、「au経済圏」の最大化を図ってまいります。
■グローバル事業の積極展開
ミャンマーやモンゴル等、新興国の通信事業においては、当社がこれまで国内外で培った事業経験と技術力を生かし、同国の経済や産業の発展及び国民生活の向上に貢献するとともに、当社のグローバル事業における柱となるよう注力してまいります。
また、データセンターをはじめとした法人向けICTビジネスにおいても、継続して基盤強化を行い、グローバル事業の拡大を図ってまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
また、現時点では必ずしもリスクとして認識されない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
なお、当社は、これらのリスクによる問題発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適時適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意ください。
(1)他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化
日本の情報通信市場は、通信事業者が提供するサービス等の同質化やMVNO各社による格安SIMサービス等の普及が進み、通信事業者は新たな収益の確保に向けて通信以外のサービスへ事業領域を拡大しており、各社の事業戦略は異業種との競争も見据えた大きな転換期にあります。さらに、IoTや人工知能(AI)等のテクノロジーの発展もあり、情報通信市場の事業環境は大きく変化しています。
このような状況の下、他の事業者や他の技術との競争、市場や事業環境の急激な変化により、主に以下の事項に不確実性が存在し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループの期待通りの需要が存在するかどうか
・当社グループの期待通りに契約数を維持拡大できるかどうか
・新規事業への参入等により期待通りの収入をあげられるかどうか
・競争激化に伴う料金値下げによる通信料収入の低下、販売コミッションやお客様維持コストの増大
・契約者のサービス利用頻度が下がることによる通信料収入の低下
・不測の事態が発生した場合であってもネットワーク及びコンテンツの品質等がお客様の満足度を維持できるかどうか
・他の事業者と比較して、常により魅力のある端末やコンテンツ等の商品、サービスを提供できるかどうか
・物販事業拡大に伴う商品不具合への対応
・端末の高機能化等に伴う端末価格の上昇、販売コミッションの増加
・迷惑メール、主にスマートフォンのセキュリティ脆弱性がもたらす脅威によるお客様満足度の低下や防止対応コストの増加
・新周波数対応による基地局建設やデータトラフィック急増に伴うネットワークコストの増加
・当社の必要に応じた周波数を獲得できるかどうか
・新たな高速データ無線技術による競争激化
・通信方式、端末、ネットワーク、ソフトウェア等における特定技術への依存による影響
・無料通話アプリ等の拡大に伴う音声通話料収入の縮小
・他の電気通信事業者との接続料金値上げの可能性
・異業種との提携、通信と電力等のその他商品とのセット販売、MNO、MVNO事業者の新規参入、他事業者の事業領域の拡大等の事業環境の変化に伴う競争の激化
(2)通信の秘密及び顧客情報(個人情報・法人情報)の保護
当社は電気通信事業者として通信の秘密の保護を遵守するとともに、顧客情報保護に関して、情報セキュリティ委員会を設置して内部からの情報漏洩防止、及び外部ネットワークからの不正侵入の防止に関わる全社的対応策の策定及び実施に取り組んでおります。
また、「KDDI行動指針」の制定、「KDDIセキュリティポリシー」及び「KDDIプライバシーポリシー」の制定、「顧客情報保護ハンドブック」の配布、企業倫理委員会の設置等、KDDIグループとしてコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。
さらに、顧客情報を管理している顧客情報システムの利用権限の管理、利用監視の強化、アクセスログの保存、社内データの持ち出しや業務パソコンから外部メモリーへのコピーの禁止等、技術的、組織的、人的の観点から各種安全管理措置を強化しております。
これらの啓発活動として、当社全社員に対しては継続的に通信の秘密及び顧客情報の保護に関する教育を行い、また、業務委託先、特に販売店であるauショップに対しても、店舗業務の改善、監査、並びに教育を徹底し、管理強化を図っております。
ただし、将来において情報の漏洩が発生しないという保証はありません。情報の漏洩が発生した場合、当社グ ループのブランドイメージや信頼性の失墜、莫大な補償を伴う可能性があり、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来的に通信の秘密及び顧客情報保護体制の整備のため、更なるコストが増加する可能性があります。
(3)自然災害・事故等
当社グループは音声通信、データ通信等のサービスを提供するために、国内外の通信ネットワークシステム及び通信機器等に依存しております。当社グループは自然災害・事故等によるサービスの停止、中断等のリスクを可能な限り低減するため、ネットワークの信頼性向上とサービス停止の防止対策に取り組んでおります。しかし、ネットワークシステムや通信機器の障害などによるサービスの停止や大規模な誤請求・誤課金、販売代理店の閉鎖や物流の停止に伴う商品・サービスの提供機会損失等が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信頼性の失墜、顧客満足度の低下により財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループのサービスの提供が停止する主な事由として以下のものが考えられます。
・地震及び津波、台風、洪水等の自然災害やそれに伴う有害物質の飛散等の2次災害
・感染症の流行
・戦争、テロ、事故その他不測の事態
・電力不足、停電
・コンピューターウィルス、サイバーアタック、ハッキング
・オペレーションシステムのハード、ソフトの不具合
・通信機器等の製品やサービスに係る欠陥
(4)電気通信等に関する法規制、政策決定等
電気通信をはじめ、電気事業や金融事業等に関する法律、規制の改廃または政策決定等が、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループのブランドイメージや信頼性に悪影響を与える社会的問題を含め、こうした法規制や政策決定等に対して当社グループは適切に対応していると考えておりますが、将来において適切な対応ができなかった場合には、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、今後の競争政策の在り方について、総務省等における様々な審議会や研究会や意見募集等を通じて、他の電気通信事業者等との公正競争を有効に機能させるための措置の必要性を訴えておりますが、この取り組みに関わらず結果として当社の競争優位性が相対的に損なわれた場合にも、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
電気通信等に関する法律、規制の改廃または政策決定や当社グループの競争優位性等の観点で、以下の電気通信をはじめ、電気事業や金融事業等の政策決定等に限らず、不確実性が存在しています。
・事業者間接続料金の算定方式、会計制度の見直し
・指定電気通信設備制度、禁止行為規制の見直し
・ユニバーサルサービス制度の見直し
・MNO、MVNO等による移動通信事業への新規事業者参入
・周波数割当て制度の見直し
・電波利用料制度の見直し
・電波の健康への影響に関する規制
・NTT東・西の固定電話網のIP網への移行に関するルール
・NTT東・西、NTTグループの事業の在り方に関する規制
・消費者保護に関するルールの見直し
・有害サイト等の増加等によるインターネットに対する規制
・携帯電話の利用に対する規制
・携帯電話の料金その他の提供条件に関するルール
・インターネットのサービス品質計測及び広告表示に関するルール
・電気小売に関するルール
・金融事業に関するルール
(5)公的規制
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障、さまざまな政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止法、特許、消費者、租税、為替、環境、労働、金融等の法規制の適用を受けております。これらの規制が強化された場合や当社グループ及び業務委託先等において規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。
(6)訴訟・特許
当社グループの商品、技術またはサービスに関して、知的財産権を含む各種権利等の侵害を理由とする訴訟が提訴され、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の確保・育成
当社グループは、技術革新に即応すべく全社をあげて人材育成に注力しておりますが、期待通りの効果が出るまで一定の期間を要することがあります。また、将来的に人材投資コストが増加する可能性があります。
(8)退職給付関係
当社グループは、確定給付企業年金制度(基金型)及び退職一時金制度(社内積立)を設けており、なお、連結子会社の一部においては確定拠出年金制度を設けております。定期的に退職給付債務の将来予測に基づく資産運用方針、運用機関の見直しを行っておりますが、今後、当社グループの年金資産の運用利回り低下により年金資産の時価が下落した場合、または、退職給付債務を計算する上での前提条件(割引率、人員構成、昇給率等)が大幅に変更になった場合に損失が発生する可能性があります。
(9)減損会計
当社グループは、当連結会計年度において、一部の通信設備を含む資産については、収益性の低下に伴い将来の投資額の回収が見込めなくなったため、減損損失を計上しております。なお、将来において、保有する固定資産等の使用状況等によっては、さらに損失が発生する可能性があります。
(10)電気通信業界の再編及び当社グループの事業再編
国内外における電気通信業界の再編は、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、将来的に当社グループにおいて事業の再編を行う可能性もありますが、この再編が当社グループに好影響を与えるかどうかの保証はありません。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
■業界動向と当社の状況
日本の情報通信市場は、通信事業者が提供するサービス等の同質化やMVNO各社による格安SIMサービス等の普及が進み、通信事業者は新たな収益の確保に向けて通信以外のサービスへ事業領域を拡大しており、各社の事業戦略は異業種との競争も見据えた大きな転換期にあります。さらに、IoTや人工知能(AI)等のテクノロジーの発展もあり、情報通信市場の事業環境は大きく変化しています。
このような状況の下、当社は、お客さまにお選びいただける企業となるため、「お客さま視点」と「革新」をキーワードに、お客さまの期待を超える「お客さま体験価値を提供するビジネスへの変革」を加速しています。
国内では、通信領域においてスマートフォン・タブレットの普及やIoTに対する取り組みの強化、様々なデバイスの連携による新たな体験価値の創造等への取り組みを本格的に推進し、「auお客さま数(ID)×ARPA」の最大化による国内通信事業の持続的成長を目指していきます。また、「au」に加え、UQコミュニケーションズ株式会社、株式会社ジュピターテレコム、ビッグローブ株式会社においてMVNO事業を推進しており、当社グループの「モバイルID数」の拡大を図っていきます。
当期は、昨年7月に、お客さまによりご満足いただけるよう、データ通信のご利用方法に応じた料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」の提供を開始しました。多くのお客さまにご好評をいただき、当期末には680万契約を突破しました。さらに、昨年8月には、IoT領域におけるリーディングカンパニーである株式会社ソラコムを連結子会社化しました。これまで培ったIoT/M2Mにおける知見や顧客基盤を活用し、新たなIoTビジネスを創出していきます。また、次世代移動通信システム「5G」については、2020年のサービス化を目指して、幅広いパートナー企業と連携し、技術検証の加速と5Gを活用した新たなサービスの創出を推進していきます。
非通信領域においては、「通信とライフデザインの融合」を目指し、従来の通信サービスに加え、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育等のライフデザインサービスを拡充することで、お客さまへの新しい価値提案を積極的に進めています。本年1月には、外国語教育のリーディングカンパニーである株式会社イーオンホールディングス(以下「イーオンHD」)を連結子会社化し、教育事業に参入しました。また、「Wowma!」等のコマース事業や「au WALLET カード」等の決済事業の拡大により、流通額の増加を図るとともに、「auでんき」等エネルギービジネスの拡大や金融事業の確立等により、お客さまに多様なライフデザインサービスの提案を続けることで、「au経済圏」の最大化を図っていきます。
海外では、新興国における通信事業として、連結子会社のKDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.がミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で行っているミャンマー通信事業がグローバル事業の柱となるように注力していきます。また、モンゴル国内携帯電話契約者シェアNO.1の総合通信事業者MobiCom Corporation LLCにおいては、LTEサービス導入を契機に、さらなる成長を目指しています。これら新興国での事業に加え、欧州中心のデータセンターをはじめとした法人向けICTビジネスにおいても、継続して基盤強化を行い、グローバル事業の拡大を図っています。
■連結業績
|
|
|
|
(単位:百万円) |
||
|
|
|
2017年3月期 自 2016年4月1日 至 2017年3月31日 |
2018年3月期 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%)
|
|
|
|||||
|
|
|||||
|
|
売上高 |
4,748,259 |
5,041,978 |
293,718 |
6.2 |
|
|
売上原価 |
2,669,678 |
2,821,803 |
152,125 |
5.7 |
|
|
売上総利益 |
2,078,582 |
2,220,175 |
141,593 |
6.8 |
|
|
販売費及び一般管理費 |
1,173,562 |
1,271,215 |
97,653 |
8.3 |
|
|
その他の損益(△損失) |
5,202 |
9,241 |
4,039 |
77.7 |
|
|
持分法による投資利益 |
2,755 |
4,592 |
1,837 |
66.7 |
|
|
営業利益 |
912,976 |
962,793 |
49,816 |
5.5 |
|
|
金融損益(△損失) |
△11,562 |
△7,950 |
3,612 |
- |
|
|
その他の営業外損益 |
△5,517 |
305 |
5,822 |
- |
|
|
税引前当期利益 |
895,897 |
955,147 |
59,250 |
6.6 |
|
|
法人所得税費用 |
253,282 |
293,951 |
40,669 |
16.1 |
|
|
当期利益 |
642,615 |
661,196 |
18,581 |
2.9 |
|
|
親会社の所有者 |
546,658 |
572,528 |
25,870 |
4.7 |
|
|
非支配持分 |
95,957 |
88,668 |
△7,289 |
△7.6 |
当期の売上高は、モバイル通信料収入の増加に加え、「au経済圏」の最大化に向けたエネルギー事業、コマース事業、決済事業などのライフデザイン事業の拡大による収入の増加や、ミャンマー通信事業の収入の増加等により、5,041,978百万円(前年同期比 6.2%増)となりました。
営業利益は、コマース事業、決済事業における費用や、マーケティングコスト等が増加したものの、売上高の増加により、962,793百万円(同 5.5%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加等により、572,528百万円(同 4.7%増)となりました。
b.セグメント別の状況
|
パーソナルセグメント |
パーソナルセグメントでは、国内における個人のお客さまを対象に、主に「au」ブランドによるモバイル通信サービスの提供、様々な種類のスマートフォン・タブレット等マルチデバイスの販売に加え、固定通信サービスとして、インターネット、電話、TVサービスが快適にご利用いただける「auひかり」ブランドのFTTHサービスや、CATVサービス等を提供しています。また、当社グループが提供するマルチネットワークにWi-Fiを有機的に組み合わせることで、高品質な社会インフラを効率的に作り上げ、シームレスな通信環境を提供しています。
当期は、通信領域において、引き続き「auスマートバリュー」の拡販及び連結子会社のUQコミュニケーションズ株式会社、株式会社ジュピターテレコム、ビッグローブ株式会社によるMVNO事業の推進により、当社グループの「モバイルID数」の拡大に努めています。新料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」については順調に契約数を拡大し、当期末には680万契約を突破しました。また、本年3月1日より、動画配信サービスや高画質4K・8K映像、VR等の高速・大容量インターネットのニーズに応えるべく、次世代超高速インターネットサービス「auひかり ホーム10ギガ」「auひかり ホーム5ギガ」の提供を開始しました。本年3月28日には4G LTEのネットワークにおいて、上り通信速度最大112.5Mbps※1の高速データ通信サービスを東名阪の一部エリア※2で提供を開始する等、さらなるお客さま体験価値の向上に取り組んでいます。
非通信領域においては、「通信とライフデザインの融合」を目指し、お客さまとauをつなぐ最大のタッチポイントであるauショップを活用した物販サービス「au WALLET Market」やエネルギー事業の推進等、「au経済圏」の最大化に取り組んでいます。また、教育市場においても連結子会社のイーオンHDにてICTを活用したサービスを提供していきます。
パーソナルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
※1 ご利用地域やご利用端末によって最大通信速度が異なります。また、通信速度は技術規格上の最大値であり実使用速度を示すものではありません。お客さまのご利用環境、回線の状況等により低下する場合があります。
※2 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の一部エリアとなります。対象エリアは今後順次拡大予定です。なお、ご利用の機種によって、対応する周波数帯の都合上、ご利用可能なエリアが異なる場合があります。
■業 績
|
|
|
(単位:百万円) |
||
|
|
2017年3月期 自 2016年4月1日 至 2017年3月31日 |
2018年3月期 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%) |
|
|
||||
|
|
||||
|
売上高 |
3,632,969 |
3,899,605 |
266,635 |
7.3 |
|
営業利益 |
711,087 |
732,931 |
21,844 |
3.1 |
当期の売上高は、モバイル通信料収入及びエネルギー事業収入等の増加により、3,899,605百万円(前年同期比 7.3%増)となりました。
営業利益は、エネルギー事業における電力小売販売原価や顧客獲得増加に伴うマーケティングコスト等が増加したものの、売上高の増加により、732,931百万円(同 3.1%増)となりました。
|
バリューセグメント |
バリューセグメントでは、「通信とライフデザインの融合」を目指し、「au経済圏」の最大化と新規事業領域でのビジネス拡大に向け、コマース・金融・決済・エンターテインメント等の付加価値サービスを提供し、様々な取り組みを推進しています。
当期は、引き続き「auスマートパスプレミアム」及びコマース事業・決済事業の強化により、付加価値ARPA、流通総額の拡大に努めています。「auスマートパスプレミアム」は、「学割キャンペーン」や「三太郎の日」における会員限定特典の提供等により順調に会員数を拡大し、本年3月には400万会員を突破しました。コマース事業では、今後市場拡大が予想されるライブコマース領域への参入に向け、本年3月に動画メディア事業を展開する株式会社エブリーとの資本業務提携を行いました。金融事業では、お客さまの資産形成のサポートを目的に、株式会社大和証券グループ本社との合弁によるKDDIアセットマネジメント株式会社を発足させました。決済事業では、「au WALLET カード」の発行枚数が順調に増加し、本年3月にはau WALLET決済の流通額が1兆円を突破しました。
また、様々なベンチャー企業との連携による新事業創出の取り組みも加速しています。本年3月には医療・介護の現場におけるIT化支援を目的に、ソーシャル医療介護連携プラットフォームを提供する株式会社日本エンブレースと資本業務提携を行いました。
バリューセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
■業 績
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2017年3月期 自 2016年4月1日 至 2017年3月31日 |
2018年3月期 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%) |
|
|
||||
|
|
||||
|
売上高 |
451,058 |
521,736 |
70,678 |
15.7 |
|
営業利益 |
95,894 |
103,986 |
8,092 |
8.4 |
当期の売上高は、「auスマートパス・auスマートパスプレミアム」の収入の増加に加え、コマース事業の収入の増加や、「au WALLET プリペイド・クレジットカード」などの決済事業の収入等の増加により、521,736百万円(前年同期比 15.7%増)となりました。
営業利益は、コマース事業や決済事業等の費用が増加したものの、売上高の増加により、103,986百万円(同 8.4%増)となりました。
*2019年3月期より当セグメントの名称を「バリュー」から「ライフデザイン」へ変更いたします。
|
ビジネスセグメント |
ビジネスセグメントでは、大企業から中小企業まで幅広い法人のお客さまを対象に、スマートフォン・タブレット等のモバイル端末の提供や、ネットワーク・アプリケーション・クラウド型サービス等の多様なソリューションを提供しています。また、中小企業のお客さまについては、連結子会社のKDDIまとめてオフィスグループによる地域に密着したサポート体制を全国規模で構築しています。
当期は、モノとインターネットがつながるIoT時代の到来を踏まえ、ガス、水道等のスマートメーター、物流やウェアラブル等、多種多様な分野でIoTを活用できるように、法人のお客さま向けに、低消費電力・広域で廉価なIoT通信を実現するセルラーLPWA通信サービス「KDDI IoT通信サービス LPWA※ (LTE-M)」の提供を本年1月に開始しました。
様々なパートナー企業との協業ビジネスを推進し、株式会社野村総合研究所との合弁で設立したお客さまのデジタル変革の戦略策定から実行までスピーディに実現するKDDIデジタルデザイン株式会社が本年1月より事業を開始しました。また、本年2月19日には、サイバーセキュリティ分野のリーディングカンパニーである株式会社ラックとの合弁でネットワークからセキュリティまで一元的に支援するKDDIデジタルセキュリティ株式会社を設立しました。
今後も、法人のお客さまのビジネスの発展・拡大に一層貢献し、お客さまから真の事業パートナーとしてお選びいただけることを目指して、事業の変革に取り組んでいきます。
ビジネスセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
※「Low Power, Wide Area」の略。少ない電力で広いエリアをカバーする無線通信技術の総称です。
■業 績
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2017年3月期 自 2016年4月1日 至 2017年3月31日 |
2018年3月期 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%) |
|
|
||||
|
|
||||
|
売上高 |
710,170 |
749,971 |
39,801 |
5.6 |
|
営業利益 |
76,053 |
84,467 |
8,414 |
11.1 |
当期の売上高は、通信料収入が減少しているものの、ソリューション収入や端末販売収入等の増加により、749,971百万円(前年同期比 5.6%増)となりました。
営業利益は、端末販売原価や通信設備使用料等が増加したものの、売上高の増加により、84,467百万円(同 11.1%増)となりました。
|
グローバルセグメント |
グローバルセグメントでは、ミャンマーをはじめとする海外のコンシューマビジネスに積極的に取り組むとともに、法人のお客さまに対しては、接続性の高いデータセンター「TELEHOUSE」を核としたICTソリューションをワンストップで提供しています。さらに、世界600以上の通信事業者との間で音声及びデータビジネスを展開しています。
当期は、コンシューマビジネスにおいて、サービス向上に向けたエリア拡大や高速化等の積極的な設備投資を行っています。ミャンマーのモバイル通信事業においては、1.8GHz帯のLTEサービスにおけるキャリアアグリゲーション※1技術の導入により、最高速度300Mbps※2を実現しました。
また、データセンター事業においては、TELEHOUSE EUROPEのデータセンター「TELEHOUSE London Docklands」にて、構内配線で直接接続する「AWS Direct Connect」の提供開始を本年2月に発表しました。これにより、お客さまは、近接性が高く、低遅延でセキュアなクラウド環境の構築が実現可能となりました。
グローバルセグメントにおける、当期の業績概要等は以下のとおりです。
※1 複数の周波数帯域を同時に使い、束ねてデータ通信を行うことで、受信時の最大通信速度を引き上げます。
※2 ベストエフォート型サービスです。記載の速度は技術規格上の最大値であり、実使用速度を示すものではありません。エリア内であってもお客さまのご利用環境、回線の状況等により通信速度が低下する場合があります。
■業 績
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2017年3月期 自 2016年4月1日 至 2017年3月31日 |
2018年3月期 自 2017年4月1日 至 2018年3月31日 |
比較増減
|
増減率 (%) |
|
|
||||
|
売上高 |
277,204 |
248,702 |
△28,503 |
△10.3 |
|
営業利益 |
24,157 |
31,907 |
7,750 |
32.1 |
当期の売上高は、ミャンマー通信事業の収入の増加や、「TELEHOUSE」のデータセンター事業収入の増加があったものの、前期より実施している採算性の低い事業の整理による収入減少等により、248,702百万円(前年同期比 10.3%減)となりました。
営業利益は、主にミャンマー通信事業やデータセンター事業による利益創出により、31,907百万円(同 32.1%増)となりました。
*社名及び商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標です。
c. 財政状態の状況
|
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
|
2017年3月期 |
2018年3月期 |
比較増減 |
増減率 (%) |
|
|
非流動資産 |
4,297,800 |
4,423,306 |
125,505 |
2.9 |
|
|
流動資産 |
1,966,025 |
2,151,249 |
185,224 |
9.4 |
|
資産合計 |
6,263,826 |
6,574,555 |
310,729 |
5.0 |
|
|
|
非流動負債 |
1,333,201 |
1,005,498 |
△327,704 |
△24.6 |
|
|
流動負債 |
1,081,491 |
1,437,800 |
356,309 |
32.9 |
|
負債合計 |
2,414,692 |
2,443,298 |
28,605 |
1.2 |
|
|
資本合計 |
3,849,133 |
4,131,257 |
282,124 |
7.3 |
|
(資産)
非流動資産は、繰延税金資産が減少したものの、その他の長期金融資産やのれんの増加等により、4,423,306百万円(前期末比 2.9%増)となりました。
流動資産は、現金及び現金同等物が減少したものの、営業債権及びその他の債権の増加等により、2,151,249百万円(同 9.4%増)となりました。
(負債)
非流動負債は、その他の長期金融負債の減少等により、1,005,498百万円(同 24.6%減)となりました。
流動負債は、営業債務及びその他の債務の増加等により、1,437,800百万円(同 32.9%増)となりました。
なお、有利子負債残高は、前連結会計年度末から33,034百万円減少し、1,118,616百万円となりました。
(資本)
資本は、利益剰余金の増加等により、4,131,257百万円(同 7.3%増)となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末を0.7ポイント上回る57.4%となりました。
また、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は、前連結会計年度末の0.32倍から、0.30倍へ低下しました。
② キャッシュ・フローの状況
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
2017年3月期 |
2018年3月期 |
比較増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,161,074 |
1,061,405 |
△99,669 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△637,225 |
△633,847 |
3,378 |
|
フリー・キャッシュ・フロー ※ |
523,849 |
427,558 |
△96,291 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△485,784 |
△453,168 |
32,616 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△3,545 |
△163 |
3,381 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
34,520 |
△25,773 |
△60,294 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
192,087 |
226,607 |
34,520 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
226,607 |
200,834 |
△25,773 |
※ フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益955,147百万円、減価償却費及び償却費546,815百万円、法人所得税の支払302,783百万円、営業債権及びその他の債権の増加219,125百万円等により1,061,405百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出361,102百万円、無形資産の取得による支出199,776百万円等により633,847百万円の支出となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較し96,291百万円減少し、427,558百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払219,885百万円、自己株式の取得による支出150,000百万円、社債発行及び長期借入による収入95,000百万円、負債性金融商品の取得による支出95,000百万円等により、453,168百万円の支出となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較し、25,773百万円減少し、200,834百万円となりました。
③ 営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
パーソナル |
3,899,605 |
7.3 |
|
バリュー |
521,736 |
15.7 |
|
ビジネス |
749,971 |
5.6 |
|
グローバル |
248,702 |
△10.3 |
|
その他 |
105,273 |
11.9 |
|
セグメント間の内部売上高 |
△483,308 |
- |
|
合計 |
5,041,978 |
6.2 |
(注)1.金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループにおける重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
モバイル通信料収入の増加に加え、「au経済圏」の最大化に向けたエネルギー事業、コマース事業、決済事業などのライフデザイン事業の拡大による収入の増加や、ミャンマー通信事業の収入の増加等により5,041,978百万円(前年同期比 6.2%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 25.売上高」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
コマース事業、決済事業における費用や、マーケティングコスト等の増加により4,093,018百万円(同 6.5%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 26.費用の性質別内訳」をご参照ください。
(その他の収益及びその他の費用)
雑支出の減少等により、9,241百万円の利益(同 77.7%増)となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 27.その他の収益及びその他の費用」をご参照ください。
(持分法による投資利益)
持分法適用関連会社の株式会社エナリスにおける持分法による投資利益の増加等により、4,592百万円(同 66.7%増)となりました。
(営業利益)
以上の結果、営業利益は962,793百万円(同 5.5%増)となりました。なお、営業利益率は、19.1%(同 0.1ポイント減)となりました。
(金融収益及び金融費用)
前連結会計年度は、支払利息10,872百万円、為替差損2,128百万円の計上等により、11,562百万円の損失となりましたが、当連結会計年度は支払利息9,701百万円、受取配当金2,479百万円の計上等により、7,950百万円の損失となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 28.金融収益及び金融費用」をご参照ください。
(その他の営業外損益)
前連結会計年度は、関係会社株式売却損5,535百万円、持分変動利益18百万円の計上により、5,517百万円の損失となりましたが、当連結会計年度は、関係会社売却益305百万円の計上により、305百万円の益となりました。内訳につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29.その他の営業外損益」をご参照ください。
(法人所得税費用)
課税所得の増加等の影響により293,951百万円(同 16.1%増)となりました。なお、2018年3月期の法人税等負担率は30.8%となりました。法人所得税費用に関する詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 16.繰延税金及び法人所得税」をご参照ください。
(非支配持分に帰属する当期利益)
主にUQコミュニケーションズ株式会社の利益減少等の影響により、88,668百万円(同 7.6%減)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
上記の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は572,528百万円(同 4.7%増)となりました。
なお、報告セグメントの売上と営業利益の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
当社グループは、運転資金及び設備投資については、自己資金及び借入金等により資金調達することとしております。このうち、借入金等による資金調達に関しては、通常の運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は固定金利の長期借入金及び社債で調達することを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金等を含む有利子負債の残高は1,118,616百万円、現金及び現金同等物の残高は200,834百万円となっております。
流動性リスクとその管理方法につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記32.金融商品」に記載しております。
c.経営上の財務目標の達成状況について
当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現していくため、2016年度からの3年間における新たな中期目標を策定しており、利益成長目標として、「連結営業利益 CAGR(年平均成長率) 7%」を掲げております。
当連結会計年度においては、「国内通信事業の持続的成長」に加えて、新たな成長軸の確立に向けて「au経済圏の最大化」と「グローバル事業の積極展開」を進めたことにより、利益成長目標の達成に向け着実に進捗しており、引き続き取り組んでまいります。
(3)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
① 連結の範囲
ワイヤレスブロードバンドサービスを行っているUQコミュニケーションズ(株)(以下「UQ」)については、議決権の32.3%を所有しているため、日本基準においては持分法を適用しておりました。一方、当社はUQの筆頭株主であること、UQの取締役会の構成員の過半数であり、代表権は当社からの取締役が有していること、また、UQの事業活動は当社に大きく依存していることから、当社は取締役会等を通じてUQにパワーを有しております。よって、IFRSの適用にあたり、UQ設立当初から実質的に支配していると判定し、子会社として連結しております。
上記の影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べて資産合計が124,064百万円増加、負債合計が14,791百万円減少、資本合計が138,855百万円増加しております。また、売上高が44,893百万円増加、営業利益が54,616百万円増加しております。
② 収益認識
当社グループが携帯端末の代理店に対して支払う手数料のうち、携帯端末の販売に関する部分について、日本基準では発生時に費用として認識しておりましたが、IFRSでは携帯端末の販売時点で、手数料の将来発生見込額を収益から控除しております。なお、これに伴い、期末の棚卸資産の評価にあたって、IFRSでは、手数料の将来発生見込額を正味実現可能価額の金額に反映させております。
この影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べて売上高が107,282百万円減少し、売上原価、販売費及び一般管理費が1,856百万円増加しております。
③ のれん(関連会社に対する投資を含む)
当社グループは、日本基準では効果が発現すると合理的に見積られる期間にわたって規則的にのれんを償却しておりましたが、IFRSではのれんを償却せずに毎期減損テストを行っております。同様に、持分法で会計処理されている投資に関連するのれんは、日本基準では効果が発現すると合理的に見積られる期間にわたって規則的に償却しておりましたが、IFRSでは規則的な償却はせずにのれんを含む関連会社に対する投資全体について、減損している客観的証拠がある場合、減損テストを実施しています。
この影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が28,487百万円減少しております。
④ 有形固定資産の減価償却
有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、日本基準では主として定率法を採用しておりましたが、IFRSでは減価償却方法の見直しを行い、定額法を採用しております。
この影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べて売上原価、販売費及び一般管理費が4,610百万円増加しております。
当社は、2018年1月22日付で、株式会社イーオンホールディングス(以下「イーオンHD」)の全株式を、同社株主から取得しました。この結果、イーオンHD及び同社の連結子会社は、同日付で当社の連結子会社となりました。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.企業結合」に記載しております。
当社グループは、ネットワーク、AI・IoT・コネクティッド、セキュリティ、サービス・アプリケーションの各技術分野において、実用的な研究開発と先端的・長期的な研究開発の両面で進めてまいりました。この結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、20,132百万円となりました。なお、当社グループで行っております研究開発活動は各セグメントに共通するものであり、各セグメントに関連づけて記載しておりません。
研究開発活動の主なトピックスをご紹介します。
1.ネットワーク
次世代の移動通信システムである5Gや、今後一層の増加が予想されるデータトラヒックをより効率的に伝送するためのネットワーク技術に関する研究開発を推進しております。
5Gの時代には、それを支えるネットワーク技術や光ファイバー伝送技術の革新が不可欠となります。例えばモバイル通信の大容量化には、無線基地局を収容する光アクセス回線の大容量化が必要です。加えて、より広い無線周波数帯域を使うことができる高周波数帯の利用が不可欠です。しかし、周波数が高くなるほど大気伝搬時の減衰が大きく、電波の直進性も強くなるため、遠くには届きにくくなります。そのため、サービスエリアを小さくし、多数の基地局を設置する必要があり、設置制約の少ない小型、軽量、省電力の基地局が求められます。また、5Gの実用化に向け、その特徴を生かした様々なユースケースの実現性を、実証実験を通して検証する必要があります。
2017年9月に、光ファイバー1芯で伝送することができる伝送容量の世界記録(毎秒2.15ペタビット)を大幅に更新し、毎秒10.16ペタビットの光ファイバー伝送実験に成功しました。これは114の空間多重を可能とするマルチコアマルチモード光ファイバー技術を用いています。10ペタビットは1億人が同時に100メガビットの通信を可能とするスピードです。この技術は、より低遅延で高速な5Gのモバイル通信システムを支え、新しい体験やサービスをお客様に提供するキー技術として期待されます。
2017年10月には、大容量のモバイル無線信号波形をデジタル信号に変換することなく、直接光ファイバーで高品質に伝送可能な光ファイバー伝送実験に成功しました。今回達成した通信速度は毎秒63ギガビットで、5Gで想定される最大通信速度毎秒20ギガビットの3倍以上となります。また、開発した技術により、基地局設備の大幅な小型・省電力化が可能となり、これまで以上に基地局数が増大する5Gの大容量・高品質なモバイル通信サービスを支える技術として期待されます。
2018年3月、沖縄セルラースタジアム那覇の観客席に28GHz帯の実験システムを用いたエリアを構築し、50台の5Gタブレット端末に対して4K高精細映像を同時に配信する実証実験に成功しました。スタジアムにおけるエンターテインメント高度化の実現に向けて、スポーツ観戦、コンサート映像など高精細な大容量映像の、大型スクリーンやモバイル端末へのリアルタイム伝送による、新たな体験価値の提供が期待されています。既存のモバイル通信では実現が困難であった、多数の観客に向けた大容量映像の同時配信が5Gを活用することで可能となります。
2.AI・IoT・コネクティッド
多種多様な分野で活用が期待されるIoTや、車の自動運転を実現するAI技術、安全な自動運転を支える遠隔制御技術等のコネクティッドにおける研究開発に取り組んでおります。
IoT普及の壁となっている電源・コスト・エリアの課題を解消し、適用範囲を格段に広げる可能性を秘めているLPWA(Low Power Wide Area)が注目されております。 当社では、LPWAの各方式を活用した様々な実証実験を行い、ユースケースの有効性や、電力消費量、電波の浸透などを検証し、お客さまに最適なIoT通信の提供を目指します。また、AI・コネクティッドでは、自動運転の最高レベルである完全自動運転を実現するために、自律的な走行に加え、合流や追い越しでの他車両との協調が不可欠です。これを実現するため、深層学習を使ったAIによる制御が注目されていますが、他車両への配慮が必要な運転シーンへ対応させる学習方式の確立が課題となっております。また、バスやタクシーなどが自動運転化されていく時代において、無人運転を実現するためには、走行状態を監視して危険が生じた際に、遠隔にて車両制御を実施することが必須となります。
2017年8月、富士山御殿場口登・下山道ならびに御殿場口のハイキングコースに設置したLPWA搭載のIoTセンサーを活用して、通過した人数を30分単位でウェブ上で確認できる取り組みを実施しました。これまでも、人数カウンターを登・下山道に設置し登下山者数を把握する取り組みは実施されていましたが、データの確認には設置場所まで行く必要がありました。しかし、LPWA搭載のIoTセンサーを導入することで、遠隔から30分単位でデータを確認することができ、利便性の向上と確認作業の効率化が期待されます。
2017年10月に、“ゆずりあうクルマ”を実現するAI技術の開発に成功しました。本技術により現在、実用化が進められている自動運転技術で難しいとされている合流シーン等に対しても、他車両の行動を察知し、人間のあうんの呼吸のような“ゆずりあい”により、スムーズな自動運転を可能とします。今後、自動運転技術の実用化範囲が、高速道路から一般道へ、同一車線追随から車線変更、合流、すれ違いへと高度な対応が必要となる中で、中心的な技術になりうるものと考えています。
2017年12月には、日本で初めて一般公道における遠隔制御型自動運転システムの実証を実施し、レベル4 (無人運転)自動運転に成功しました。本実証実験は、運転席を無人の状態とした上で、事前に構築した高精度地図をもとに車を自動走行させ、危険を察知した場合に緊急停止などを行う遠隔制御を実施しました。
3.セキュリティ
安心・安全な情報通信社会の実現のため、プライバシー保護技術やデータの改ざんを困難にする仕組みであるブロックチェーン技術に関する研究開発に取り組んでおります。
情報通信社会の発展に欠かせないIoTですが、生活を便利で豊かにしてくれる一方で、脅威となった事例が報告されており、セキュリティ確保の重要性が高まっています。例えば消費者はどのようなデータが集められどのように利用されているかがわからず、気付かないうちに個人情報が漏えいしてしまうリスクがあり、プライバシー保護技術の強化が課題となっております。また、安心・安全な情報通信を実現する技術の一つとして期待されているブロックチェーンにおいては、「スマートコントラクト」が注目され、取引プロセスの自動化により不正防止等にも寄与すると期待されております。
2017年7月に、総務省「IoTデバイス/プラットフォーム等の連携技術の確立と相互接続検証に向けた研究開発」を受託しました。具体的には、情報流通のトレーサビリティ、情報の真正性保証、情報転送の低遅延化等の機能を、異なるプラットフォーム間においても実現する「PPM(Privacy Policy Manager)の高機能化」と「プラットフォーム間連携技術」を開発・評価します。
2017年9月には、国内で初めてEnterprise Ethereum(企業用途向けブロックチェーンのアプリケーションプラットフォーム)を活用した「スマートコントラクト」の実証実験を開始しました。本実証では、ブロックチェーン技術を活用し、携帯電話の店頭修理申し込みから完了までの工程における、リアルタイムな情報共有及びオペレーション効率化の可能性を検証しました。
4.サービス・アプリケーション
端末・料金・ネットワークの同質化が進む中、お客様に選んでいただける企業となるために、「お客様視点」と「革新」をキーワードに、マルチメディア、ヒューマンインタフェース、ライフデザインへのサービス提供基盤などを創出し、お客様の期待を超える「お客様体験価値」の提供を目指していきます。この中で、VR(仮想現実)など生活に新しい価値をもたらすようなサービスやアプリケーションを創出する技術の研究開発に取り組んでおります。
2017年10月に、世界で初めて、撮影しながらリアルタイムで自由視点VR映像を制作できるシステムの開発に成功しました。本技術は、あらゆる視点からの映像視聴を可能とする自由視点技術に、複数のカメラから撮影された人物を3次元コンピュータグラフィクモデルとして合成することによって実現します。本技術を活用することで、コンサートなどライブイベントの開催と同時に、大型スクリーンやヘッドマウントディスプレイ、モバイル端末を介した任意のアングルでのライブ視聴が可能となります。これにより、遠隔からのイベント視聴において新たな体験価値を提供できると考えております。
2018年3月には、20周年を迎えたハロー! プロジェクトと共同で、新しい音楽視聴体験である音のVRコンテンツを制作しました。今までのVRは360度見たい方向の映像は見られるものの、どこを向いても音の聞こえ方に変化はありませんでしたが、音のVRは、音が発生している位置がはっきりして、気になる対象をズームすればそこから発生している音にもズームしてより大きく聴こえます。本技術により、スマートフォンなどに表示される360度の映像と音に対し、視聴者は見たい・聞きたい部分に、自由自在にズームすることにより、該当箇所の音と映像が体感的に合致したインタラクティブ視聴体験が可能になります。ライブ会場において音のVRを活用しながら観客が特定メンバーの声を楽しむなど、音と映像の新たな体験価値を提供するツールとなることが期待されます。