(1)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、海運業界を取りまく大きな事業環境の変化に対応し持続的な成長を可能とするための経営基盤の再構築を目指し、長期の経営方針と平成29年度から創立100周年を迎える平成31年度までの3か年中期経営計画「『飛躍への再生』 Value for our Next Century」を策定しました。
長期経営方針としては以下の2つの重要テーマを掲げています。
◆ 高品質なサービスと顧客基盤に立脚した安定収益基盤と成長分野を擁する総合海運・物流企業グループ
◆ 高度なリスク管理・ガバナンス体制により、環境変化に対応しながら企業価値を持続的に創造する企業
グループ
また、目標とする経営指標につき、長期的・中期的な観点においてそれぞれ以下のとおり設定しました。
長期的な目標(平成32年代半ば)
◆ ROA(経常損益ベース)6% / ROE二桁台の達成
◆ 自己資本4,000億円 - コンテナ船事業統合による事業安定性への効果を検証し、再設定を予定
◆ 配当方針 - 安定配当方針への復帰
中期経営計画での目標
◆ 平成29年度以降3年間 - 黒字化継続
◆ 基盤となる安定型事業のROA(経常損益ベース)6%の達成と同事業規模の拡大
◆ 自己資本比率 20%半ばに向けた積上げ
◆ 配当方針 – 財務体質改善と事業基盤の安定化を最優先とし、早期の復配を目指す
(2)会社の対処すべき課題
長期経営方針に掲げた企業体を目指すにあたり、「ポートフォリオ戦略転換」、「経営管理の高度化と機能別戦略の強化」、「ESGの取組み」を3つの重要課題に掲げ、創立100周年を迎える平成31年までに達成するべく、グループ一丸となって取り組んでいます。各課題の詳細及び進捗状況は次のとおりです。
① ポートフォリオ戦略転換
ポートフォリオ戦略転換では、安定収益型事業の徹底的強化・拡大として、
◆ 安定収益型 中長期契約の充実・拡大
◆ コンテナ船事業統合の完遂
◆ 市況影響型事業の縮減
◆ コスト削減の徹底的実施
を行うこととし、成長に向けた次代の中核事業の育成として
◆ 物流・完成車物流・エネルギーバリューチェーン事業の育成
◆ 技術革新・ビジネスモデル変革による新サービス・市場の創出
に取り組むこととしています。平成29年度においては、重量物船事業の売却を実施する一方で、フィリピン・チリでの完成車物流サービスの開始、ガーナ沖FPSO事業への参画、マレーシア・テナガ社発電用石炭COA獲得による安定収益基盤拡充など目標達成に向けた取組みを行ってきました。
② 経営管理の高度化と機能別戦略の強化
ポートフォリオ戦略転換を支える体制整備として、事業リスク・リターン管理の運用を開始しました。新たな事業評価指標「“K” VaCS」(注1)及び「“K” RIC」(注2)の活用に向けた準備を行うとともに、機能別戦略強化として、当社グループの力を結集した徹底的な顧客基盤の強化を行う、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)強化に向け、国内外グループ会社を含めた取組みを進めています。また、技術革新追及の一つとして、船舶の最適運航支援システム「K-IMS」の搭載を開始しました。ビジネスモデル変革に向けた取組みとして、日本初のLNG燃料フェリー就航及び国内における船舶向けLNG燃料供給事業への参画に向けた検討を開始するなど、公表時に掲げた取組みを着実に進めています。
(注1) 「“K” VaCS」 = “K” LINE Value after Cost of Shareholders’equity
株主資本コストを意識した当社独自の経済的付加価値を示す収益指標
(注2) 「“K” RIC」 = “K” LINE Return on Invested Capital
資本コストを意識した企業価値向上を図る当社独自の効率性指標
③ ESGの取組み
ESGの取組みでは、ユニット統括制強化・リスクマネジメント強化などの取組みを進める一方、環境への取組みでも、平成28年より2年連続でCDP気候変動Aリストへ選定されるなど、当社の積極的な活動が評価されています。ガバナンスへの取組み、環境への取組みは経営計画を実行していく上で、重要な取組みと考えており、当社グループは、環境・安全・ガバナンス体制整備に引き続き尽力してまいります。
◆環境対策とCSR
当社グループは重大海難事故ゼロの維持を命題として、『統合船舶運航・性能管理システム“K-IMS”』の開発・導入やエネルギーマネジメントシステムの構築等により、世界トップクラスの安全運航の維持に取り組んでいます。
また、当社グループは事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章にその決意を掲げ、これに基づく環境マネジメントシステムにより、具体的な環境保全活動並びに数値目標を定め、その達成状況を基に改善を図っていくなど、環境保全のためのさまざまな取組みを行っています。例えば、省エネ型荷役機器導入や燃料節減によるCO2排出量削減、運航船のバラスト水管理のための処理装置の搭載、低硫黄燃料使用によるSOx排出量削減、NOx排出低減のための排ガス再循環装置搭載などの環境保全対策を実施しています。これらの取組みが評価され、平成29年にはCDP2017気候変動及びサプライヤー気候変動において2年連続でAリストに選定されました。また、事業以外でも会社遊休地を利用した里山保全活動など環境保護活動を積極的に実施しています。
平成27年3月には、様々な環境問題に取り組むべく環境指針『“K”LINE 環境ビジョン2050』を策定し、持続可能な社会と美しい海を次の世代へと伝えるため、「CO2排出量の半減」、「新エネルギーへの転換」、「生態系保護」、「大気汚染防止」の4つを重要な取り組むべきテーマとして定めました。
平成29年6月には、当社グループ全体で環境マネジメントを推進するための体制「DRIVE GREEN NETWORK」を構築し、運用を開始しました。これは当社グループ全体で日常業務の中に環境の課題を見出し、取り組むことで、グループ全体として持続可能な社会の実現を目指しています。
重要課題を解決するモデルとして、「環境フラッグシップの建造と実証」を創立100周年(平成31年)におけるマイルストーンに掲げています。平成28年2月には、究極の省エネと環境保全対応を追求した環境フラッグシップ”DRIVE GREEN HIGHWAY”が竣工しました。本船では竣工以来、船舶用SOxスクラバー(排ガス浄化装置)システムの実証試験を重ねてきましたが、これによる大気汚染物質の排出抑制効果が国際基準に適合していることが認められ、平成29年1月、船籍国であるパナマ共和国の承認を取得しました。
平成31年のもう1つのマイルストーンとして掲げた「当社運航船の輸送単位あたりのCO2排出量を平成23年比で10%削減」という目標は、平成27年実績で達成し、新たなマイルストーンとして「平成42年までにCO2排出量25%削減(平成23年比)」という目標を設定しました。平成29年2月、この新目標が「パリ協定」の「2℃目標」を達成するために科学的に根拠ある水準であることが認められ、国際的イニシアチブ「Science Based Target Initiative(SBTイニシアチブ)」の認証を取得しました。
「CO2排出量削減」への取組みとして、国内外主要連結グループ会社の燃料消費や電気使用量などの環境負荷データを、環境データ集計システムを通じて収集・集計を行っています。平成29年において当社及び連結子会社の事業に伴う温室効果ガスの排出量は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)13,417,625トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)25,019トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)1,516,445トンという結果となりました。今後も、グループ全体の環境負荷を把握すると同時に、グループ各社での自主的な取組みを促し、必要に応じて追加施策を実施すべく、環境パフォーマンスの見える化に取り組んでまいります。さらに、年間の実績データは、第三者機関によるデータ精査と保証を受けた上で、社外へ開示しステークホルダーからの評価を次の施策に活かしながら、継続的な改善を図ってまいります。
そのほかにCSRとして、ステークホルダーエンゲージメントの強化及び本船見学会やボランティア活動などによるコミュニティー参画推進を行い社会面でも貢献すべく取り組んでまいります。
◆ コーポレートガバナンスの強化
グループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制のより一層の明確化・強化や重要方針の決定に向けた取締役会モニタリング体制の強化等を実行してきました。リスクマネジメントでは、危機管理委員会とその下部組織(コンプライアンス委員会・安全運航推進委員会・経営リスク委員会・災害対策委員会)がグループのリスク管理にあたり、重要な投資については、投資委員会がその審議にあたる体制としています。
◆ 株主還元の方針
当社は経営計画の主要課題である持続的成長のために、設備投資や企業体質の充実・強化に必要な内部留保の確保などを勘案しつつ、安定的な配当を実施し、株主の皆様への利益還元を最大化することを重要課題と位置づけています。しかしながら、平成29年4月に発表しました中期経営計画において、財務体質の改善と事業基盤の安定化を当期の最優先課題と捉えており、誠に遺憾ながら期末配当については無配とさせていただきます。
次期の配当については、当面は財務体質改善と事業基盤安定化を最優先とし、現時点では未定とさせていただきます。
(3)コンプライアンスの徹底
当社は、公正取引委員会による立入検査を受けて以降、外部専門家の協力を得て、各種コンプライアンス強化策を策定・実施していますが、これらの強化策を今後もより一層推進することにより、再発の防止に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
当社グループは、国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。
① 為替レートの変動
当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
② 燃料油価格の変動
燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
③ 金利の変動
当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入に依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。
資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入の一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
④ 公的規制
海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。
当社グループは、自動車・車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、欧州その他海外の競争法当局による調査の対象になっており、平成30年2月には欧州委員会から制裁金3,910万ユーロを支払うことを内容とする決定を受けました。また、北米において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。
⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等
当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。
環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、平成27年3月には“K” LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、全社一丸となっての長期取組み方針を定めました。
安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わるすべての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。
⑥ 競争環境等
当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑦ 自然災害の発生
自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また強毒性新型インフルエンザが発生し世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害またはその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用または応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。
⑧ 取引先の契約不履行
当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部または全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑨ 投資計画の未達成
当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑩ 船舶の売却等による損失
当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化や船舶の技術革新による陳腐化に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑪ 固定資産の減損損失
当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑫ 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月21日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における連結売上高は1兆1,620億25百万円(前期比1,318億33百万円の増加)、営業利益は72億19百万円(前期は460億37百万円の営業損失)、経常利益は19億62百万円(前期は523億88百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は103億84百万円(前期は1,394億78百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
このうち営業損益・経常損益の主な改善要因は、自社要因と外部要因に区分されます。自社要因は、主に平成27年度と平成28年度に実施した不定期専用船事業におけるドライバルク船を中心とした構造改革及び平成28年度に計上したコンテナ船事業の事業再編関連損失引当金の影響額253億円並びにコンテナ船事業を中心としたコスト削減額196億円の合計449億円です。外部要因は、コンテナ船の市況変動額119億円などを中心とした95億円です。この結果、対前期比で544億円の改善となり、営業損益及び経常損益が黒字に転換しました。
また、当期から持分法適用の範囲に含めましたコンテナ船事業統合会社OCEAN NETWORK EXPRESSの持分法による投資損失額は71億円でしたが、人員出向料等の戻入れを加味した同社に関連する実質的な影響額は、41億円の損失でした。
中期経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標」をご参照ください。
中期経営計画では、平成29年度以降3年間の黒字化継続を目標に掲げていますが、上述の通り営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の全段階での黒字化を達成しました。重要な指標の1つとしている自己資本比率については、20%半ばの目標に対し、当連結会計年度末で21%となり、前期末同様の結果となりました。これは、当期株主資本は増額したものの、円高進行により為替換算調整勘定が減少したことなどによるものです。また、安定収益型事業の積上げは、マレーシア・テナガ社発電用石炭COA契約を獲得するなど継続して基盤強化に取り組んでおり、同安定収益型事業では、平成31年度での経常利益300億円超及びROA6%の達成に向けて順調に推移しています。当連結会計年度末では約270億円の安定収益を確保し、ROAについても前期比0.4%増の5.4%となりました。事業ポートフォリオ戦略については、コンテナ船事業統合の完遂、そして重量物船事業の売却や市況連動型の高コスト船隊の縮減に取り組んだ上、より選択と集中を図り、資産効率を高めるため、非コア事業資産の処分、そしてコンテナ船事業スピンオフ後の手持ち現預金水準の見直しなどに取り組んでいく所存です。また、次代の中核事業となる分野への取組みも進んでいます。経営管理の高度化と事業ポートフォリオ戦略の連携を強化し、今後更に中期経営計画の戦略推進を加速させてまいります。
業績等の概要
(1)業績
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (平成29年3月期) |
当連結会計年度 (平成30年3月期) |
増減額 (増減率) |
|
売上高 |
1,030,191 |
1,162,025 |
131,833 |
(12.8%) |
営業利益又は営業損失(△) |
△46,037 |
7,219 |
53,256 |
( - ) |
経常利益又は経常損失(△) |
△52,388 |
1,962 |
54,351 |
( - ) |
親会社株主に帰属する当期純利益又は 親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
△139,478 |
10,384 |
149,863 |
( - ) |
当連結会計年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)における世界経済は、一部地域における地政学的緊張の高まりなどがあったものの、全体として堅調に推移しました。平成30年に入り米国による鉄鋼・アルミニウム関連品への輸入制限、中国製品への追加関税賦課、また、それを受けた中国による米国からの輸入品目に対する高率関税を課す対抗措置の発表など、世界経済への影響懸念を残す形となりました。
米国経済は、良好な雇用・所得環境による堅調な個人消費、労働供給の増加による良好な企業業況により景気の拡大が継続しました。一方、欧州では輸出入は堅調に推移し、堅調な景気拡大が継続したものの、平成30年に入りユーロ高により拡大傾向に鈍化が見られる結果となりました。
中国経済は、輸出は世界経済の回復を背景に拡大し、良好な雇用・所得環境のもと、個人消費も若干減速気味ながらも安定的に拡大するなど、1年を通して堅調な成長傾向を維持しました。
新興国では、資源価格の上昇を背景とした資源国経済の回復、インド経済の持ち直し、ASEAN諸国の内需回復などにより、総じて好調に展開しました。
国内では、生産活動が緩やかに回復しており、輸出も堅調に推移しました。また、雇用・所得環境の改善から国内経済も総じて緩やかな回復を見せました。
一方で海運業を取りまく事業環境は、コンテナ船では1年を通して東西航路での荷況が堅調に推移し、運賃市況も回復基調にありましたが、需給バランスの本格改善には至りませんでした。ドライバルク船においては、大型船は中国向け鉄鉱石・原料炭の荷動きの伸長により歴史的低水準からの回復基調を維持し、中・小型船においても穀物や石炭などの堅調な荷動きを背景に市況は緩やかな回復を継続しました。当社グループでは、前々期及び前期の2期にわたり競争力強化への取組みとして行った構造改革の効果に加えて、継続したコスト削減の実施、配船効率化などの収支改善策に取り組んでまいりました。燃料油価格の上昇や円高の進行などマイナス影響もありましたが、前期比で業績は改善し、3期振りに営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の全段階での黒字化を達成しました。なお、為替レートと燃料油価格が経常利益に与えた影響は以下のとおりです。
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
影響額 |
為替レート |
¥109/US$ |
¥111/US$ |
¥2/US$安 |
16億円 |
燃料油価格 |
US$265/MT |
US$349/MT |
US$84/MT高 |
△68億円 |
<為替の推移(¥/US$)> <消費燃料油価格の推移(US$/MT)>
また、当連結会計年度の事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
増減額 (増減率) |
||
コンテナ船 |
売上高 |
518,954 |
598,473 |
79,519 |
( 15.3%) |
セグメント損益 |
△31,488 |
3,366 |
34,854 |
( - ) |
|
不定期専用船 |
売上高 |
456,541 |
521,156 |
64,615 |
( 14.2%) |
セグメント損益 |
△9,476 |
3,202 |
12,678 |
( - ) |
|
海洋資源開発 |
売上高 |
19,420 |
7,472 |
△11,948 |
(△61.5%) |
及び重量物船 |
セグメント損益 |
△5,119 |
△965 |
4,154 |
( - ) |
その他 |
売上高 |
35,274 |
34,922 |
△352 |
(△1.0%) |
セグメント損益 |
2,518 |
3,341 |
823 |
( 32.7%) |
① コンテナ船セグメント
[コンテナ船事業]
当社の当期積高(往航)は、北米航路においては前期比2%の減少、欧州航路は同10%の増加となりました。アジア航路では前期比3%増加しましたが、南北航路では同8%減少し、往航全体及び復航も含めた年間総積高は前期並みとなりました。平成29年度通期の運賃市況は、需給バランスの本格改善とはならなかったものの、回復基調にあり、当初の想定は下回ったものの前期実績を上回りました。その結果、前期比で増収となり、また邦船3社によるコンテナ船統合会社の設立費用を計上したものの、前期比で損失は縮小しました。
[物流事業]
国内における物流需要は、陸送と倉庫・通関事業を中心に堅調に推移し、増収増益となりました。国際物流においては、航空機部品及び半導体等を中心とした日本発着航空貨物の取扱量増加、地域に根差したサービスや、バイヤーズコンソリデーションの拡大により、前期比で収益は拡大しました。その結果、物流事業全体では前期比で大幅に増収増益となりました。
以上の結果、コンテナ船セグメント全体では、前期比で増収となり黒字に転換しました。
② 不定期専用船セグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、既発注の新造船供給圧力が残るなか、中国向け鉄鉱石・原料炭の荷動きの伸長に伴い、季節的要因も相まって主要5航路平均レートが日額3万ドル台と高騰する場面も見られるなど、振れ幅はあったものの総じて改善基調で推移しました。中・小型船市況についても、旺盛な石炭・穀物需要に加え、それ以外のマイナーバルクの荷動きもあり、緩やかな上昇基調を維持しました。解撤量が前年比で大きく減少したことで船腹調整の動きは鈍化し、輸送需要が供給の伸びを上回った結果、需給ギャップは縮小方向に向かいました。当社グループでは、運航コストの削減や効率的配船に努めた結果、前期比で増収となり黒字に転換しました。
[自動車船事業]
当期の完成車荷動きは、アジア出し中近東・中南米・アフリカなどの資源国向け貨物が引き続き低調に推移したものの、欧州出し北米向けや欧州域内貨物の積み取りが好調に推移した結果、当社グループの総輸送台数は前期比で約14.6%の増加となりました。当社グループでは輸送台数の増加を図る一方で配船及び運航効率の改善に継続的に取り組み、前期比で増収増益となりました。
[エネルギー資源輸送事業(液化天然ガス輸送船事業・油槽船事業・電力炭船事業)]
LNG船、大型原油船、LPG船、電力炭船ともに、中長期の期間傭船契約のもとで順調に稼働しましたが、一部市況の影響を受ける契約については軟化したマーケットの影響を受け、エネルギー資源輸送事業全体では、前期比で減収減益となりました。
[近海・内航事業]
近海・内航事業では、近海部門においては、貨物量の落ち込みが見られたものの運賃は回復傾向にあり、内航部門については、貨物量が堅調に推移し、それぞれ収支は改善しました。その結果、近海・内航事業全体では、前期比で増収増益となりました。
以上の結果、不定期専用船セグメント全体では、前期比で増収となり黒字に転換しました。
③ 海洋資源開発及び重量物船セグメント
[海洋資源開発事業(エネルギー関連開発事業・オフショア支援船事業)]
ドリルシップ(海洋掘削船)は順調に稼働し、長期安定収益の確保に貢献しましたが、オフショア支援船事業においては、海洋資源開発の停滞により軟調な市況が継続しました。海洋資源開発事業全体では、前期比で減収となりましたが、為替の影響もあり損失は縮小しました。
[重量物船事業]
当社は平成29年7月に公表しました「連結子会社の異動を伴う出資持分譲渡に関するお知らせ」に記載のとおり、当該事業を担うSAL Heavy Lift GmbHの全出資持分につきましてSALTO Holding GmbH & Co. KGに譲渡いたしました。
以上の結果、海洋資源開発及び重量物船セグメント全体では、前期比で減収となりましたが、損失は大幅に縮小しました。
④ その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業、不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期の業績は前期比で減収増益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,580億72百万円となり、前連結会計年度末より12億80百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費等により、当連結会計年度は11億67百万円のプラス(前連結会計年度は439億19百万円のマイナス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶の取得による支出等により、当連結会計年度は228億13百万円のマイナス(前連結会計年度は248億81百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入等により、当連結会計年度は222億39百万円のプラス(前連結会計年度は264億36百万円のプラス)となりました。
生産、受注及び販売の状況
当社グループは、海運業を中核とする海運事業グループであり、コンテナ船事業、不定期専用船事業、海洋資源開発及び重量物船事業を行っています。この他、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等を展開しています。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)の実績は、下記のとおりです。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
||
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
コンテナ船 |
518,954 |
50.4 |
598,473 |
51.5 |
不定期専用船 |
456,541 |
44.3 |
521,156 |
44.9 |
海洋資源開発及び重量物船 |
19,420 |
1.9 |
7,472 |
0.6 |
その他 |
35,274 |
3.4 |
34,922 |
3.0 |
合計 |
1,030,191 |
100.0 |
1,162,025 |
100.0 |
当社(川崎汽船㈱)の営業収益実績(参考)
提出会社のセグメント別営業収益の実績は、下記のとおりです。
区分 |
前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
||
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
(コンテナ船) |
411,200 |
51.4 |
471,841 |
51.3 |
(不定期専用船) |
387,627 |
48.5 |
448,307 |
48.7 |
(海洋資源開発及び重量物船) |
- |
- |
1 |
0.0 |
海運業収益 |
798,828 |
99.9 |
920,149 |
100.0 |
(その他) |
555 |
0.1 |
386 |
0.0 |
その他事業収益 |
555 |
0.1 |
386 |
0.0 |
合計 |
799,383 |
100.0 |
920,536 |
100.0 |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年度に比べ12.8%増収の1兆1,620億25百万円となりました。報告セグメント別では、運賃市況が回復基調にあったコンテナ船が、前年度に比べ15.3%増収の5,984億73百万円となりました。
不定期専用船は、ドライバルク事業では大型船市況が改善基調で推移し、自動車船事業では総輸送台数の増加がありました。エネルギー資源輸送事業では中長期の期間傭船契約のもとで順調に稼働しましたが、一部市況の影響を受ける契約については軟化したマーケットの影響を受けました。これらの結果、前年度に比べ14.2%増収の5,211億56百万円となりました。
海洋資源開発及び重量物船は、ドリルシップ(海洋掘削船)は順調に稼働しましたが、オフショア支援船事業においては、海洋開発の停滞により軟調な市況が継続しました。重量物船事業では、当該事業を担うSAL Heavy Lift GmbHの全出資持分をSALTO Holding GmbH & Co. KGに譲渡しました。これらの結果、前年度に比べ61.5%減収の74億72百万円となりました。
その他は前年度に比べ1.0%減収の349億22百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、荷動きが堅調に推移したことによる運航経費の増加などにより、前年度の1兆7億44百万円から825億55百万円増加し、1兆832億99百万円(前年度比8.2%増)となりました。営業収入に対する売上原価の比率は3.9ポイント減少して93.2%となりました。販売費及び一般管理費は39億78百万円(前年度比5.3%)減少し、715億6百万円となりました。
③ 営業利益
売上総利益の増加により、前年度の460億37百万円の営業損失に対し72億19百万円の営業利益となりました。
④ 営業外収益(費用)
受取利息・配当金から支払利息を差し引いた純額は、受取配当金の増加により、31億67百万円の損失(前年度は38億22百万円)となり損失が縮小しました。また15億41百万円の為替差損(前年度は40億6百万円)、46億1百万円の持分法による投資損失(前年度は31億55百万円の持分法による投資利益)を計上しました。これらが主要因となり、営業外損益は52億56百万円の損失(前年度は63億51百万円)となりました。
⑤ 税金等調整前当期純利益
固定資産の売却などにより特別利益は353億31百万円となりました。また主に減損損失と独占禁止法関連損失などにより特別損失は201億6百万円となりました。営業利益の発生の影響とあわせ、税金等調整前当期純利益は171億88百万円(前年度は1,312億26百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。
⑥ 法人税等
法人税等は、主として米国に所在する連結子会社における米国の連邦法人税率変更の影響により、前年度の61億42百万円から19億29百万円減少し42億13百万円となりました。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、'K' LINE (India) Shipping Private Limitedなどの非支配株主に帰属する当期純利益が増加し、前年度の21億9百万円に対し、25億90百万円となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の1,394億78百万円の親会社株主に帰属する当期純損失に対し、103億84百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。1株当たり当期純利益は、前年度の1,488.23円の1株当たり当期純損失に対し、111.13円の1株当たり当期純利益となりました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのコンテナ船事業や不定期専用船事業の運営に関わる海運業費用です。この中には港費・貨物費・燃料費などの運航費、船員費・船舶修繕費などの船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業やターミナル関連事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に1,011億5百万円の設備投資を実施しました。
③ 財務政策
当社グループの事業維持・拡大を支える低コストで安定的な資金の確保を重視しています。長期の資金需要に対しては金融機関からの長期借入金を中心に、社債発行、新株発行により調達しています。短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャル・ペーパー(CP)発行により調達し、一時的な余資は安定性・流動性の高い金融資産で運用しています。また、キャッシュマネージメントシステム等を利用して、国内・海外グループ会社の余剰資金を有効活用しています。
流動性の確保としまして、CP発行枠600億円、金融機関との当座貸越契約に基づき設定された借入極度枠430億円に加え、国内金融機関と800億円の複数年のコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要に備えています。
当社は国内2社の格付機関から格付を取得しており、平成30年6月21日0時現在の発行体格付は、日本格付研究所(JCR)「BBB」、格付投資情報センター(R&I)「BBB-」となっています。また、短期債格付(CP格付)についてはJCR「J-2」、R&I「a-2」をそれぞれ取得しています。
(3)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前年度末比34億43百万円減少し1兆417億66百万円となりました。流動資産は、受取手形及び営業未収金の増加等により、前年度末比153億3百万円増加し3,964億26百万円となりました。
固定資産は前年度末比187億46百万円減少し6,453億39百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、主に船舶の減少等により、前年度末比434億34百万円減少し4,829億53百万円となりました。投資その他の資産は、主に投資有価証券の増加等により、前年度末比249億47百万円増加し1,586億40百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末比10億55百万円減少し7,986億72百万円となりました。長期借入金やリース債務等が増加したものの、事業再編関連損失引当金の減少等により、流動負債は2,831億42百万円となり、固定負債は5,155億29百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末比23億88百万円減少し、2,430億94百万円となりました。純資産のうち株主資本は、主に利益剰余金が113億53百万円増加したことにより、2,006億88百万円となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が100億94百万円減少したことを主な要因として、前年度末比127億0百万円減少し163億21百万円となりました。
当社は、連結子会社であるSAL Heavy Lift GmbH(以下、SAL社)の全出資持分をSALTO Holding GmbH & Co. KGに平成29年7月27日付で譲渡いたしました。
1.持分譲渡の理由
当社は中期経営計画「 Value for Our Next Century - Action for Future -」にて、重量物船事業については抜本的な構造改革を検討することとしておりましたが、同事業の将来の経済性を検討した結果、当社が保有する全出資持分をSALTO Holding GmbH & Co. KGに譲渡することが最適と判断いたしました。
2.譲渡先の名称
SALTO Holding GmbH & Co. KG
3.譲渡の時期
条件成立日 :平成29年7月25日
譲渡実行日 :平成29年7月27日
4.譲渡する子会社の概要
(1) 名称 SAL Heavy Lift GmbH
(2) 住所 Brooktorkai 20, 20457 Hamburg, Germany
(3) 代表者の役職・氏名 Executive Chairman Yutaka Nakagawa
(4) 資本金 155,458,544ユーロ
(5) 事業の内容 重量物船の保有・重量物貨物輸送
5.譲渡出資持分、譲渡価額及び譲渡前後の出資持分の状況
(1) 譲渡前の出資持分 155,458,544ユーロ
(議決権の数:155,458,544個)
(議決権所有割合:100%)
(2) 譲渡出資持分 155,458,544ユーロ
(議決権の数:155,458,544個)
(3) 譲渡価額 譲渡先との取決めにより、公表を控えさせていただきます。
(4) 譲渡後の出資持分 -ユーロ
(議決権の数:-個)
(議決権所有割合:-%)
当社グループは、輸送技術の革新、安全輸送の徹底及び環境保全等に関する研究開発に取り組んでおり、他社と共同による船舶の省エネ化・環境対策に資する技術の高度化研究を通じ、省エネ・環境対策技術の保有を目指しています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は31百万円であり、特定のセグメントに帰属しない全社費用として、報告セグメントには含まれていません。