第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

増減額/増減率

売上高(億円)

15,091

17,294

2,202 / 14.6%

営業損益(億円)

△157

410

568 /  - %

経常損益(億円)

△285

549

835 /  - %

当期純損益(億円)

△1,788

573

2,362 /  - %

 

為替レート

\82.31/US$

\99.79/US$

\17.48/US$

船舶燃料油価格

US$662/MT

US$610/MT

△US$52/MT

 

当期における世界経済は、先進国で景気回復が進んだ一方、新興国では中国の成長率低下や投資の弱まりにより景気が減速しました。米国では財政問題を巡る政治の混乱や寒波の影響により一時的に景気が減速する局面もありましたが、平成24年から続く金融・住宅市場や雇用の回復が個人消費の増加をもたらし、緩やかな景気回復が進みました。欧州では債務危機の後遺症による景気低迷が続いていましたが、年後半に持ち直しが見られました。

但し、一部の国では引き続き雇用環境・金融環境が厳しい状況にあるため、力強さを欠いた回復となりました。中国では過剰投資や不動産価格の上昇が問題となる中、政府はインフラ投資を基軸とするこれまでの高成長から安定成長への転換を目指し、成長率はやや低下しました。わが国では、大幅な金融緩和によって円安・株高が進行しました。輸出が伸び悩む中、円安による輸入額の増加により、平成25年は過去最大の貿易赤字となりましたが、好調な個人消費と公共投資により景気の回復が進みました。

 

 海運市況については、前期比で回復が見られたものの、全体としては厳しい環境が継続しました。ドライバルク船市況は、船腹供給面で新造船竣工数が前期比で大幅に減少し、貨物需要面で西豪州の鉄鉱石出荷量が過去最高を更新するなど、全体的に荷動きが活発でした。タンカー市況では原油船(VLCC)市況が夏場の低需要期に落ち込み、11月にはアジア諸国の原油在庫積み増しの動きを受けて一時高騰したものの、旧正月以降低迷しました。コンテナ船市況は、大型コンテナ船の大量竣工により需給環境が悪化し、運賃水準は下落しました。

 

 当期の対ドル平均為替レートは、前期比\17.48/US$円安の\99.79/US$となりました。当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$52/MT下落してUS$610/MTとなりました。

 

 以上の結果、売上高1兆7,294億円、営業利益410億円、経常利益549億円、当期純利益573億円となりました。

 

 なお、セグメント毎の売上高、セグメント損益(経常損益)及び概況は次のとおりです。

上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

増減額/増減率

不定期専用船事業

7,320

8,369

1,049 / 14.3%

△247

571

819 /  - %

コンテナ船事業

6,082

7,153

1,071 / 17.6%

△112

△145

△32 /  - %

フェリー・内航事業

544

558

13 /  2.4%

12

22

9 / 74.4%

関連事業

1,280

1,372

91 /  7.2%

107

111

4 /  3.7%

その他

144

145

1 /  0.8%

24

45

21 / 86.9%

 

(注1)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。

(注2)当連結会計年度より一部船舶の耐用年数を変更しております。

詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (セグメント情報等)」をご覧ください。

 

① 不定期専用船事業

<ドライバルク船>

ドライバルク船部門については、中国の経済成長率が鈍化傾向にあるものの、資源価格の軟化を背景に鉄鉱石や石炭などの主要ドライバルク貨物は堅調な荷動きを見せ、ケープサイズ船の傭船料は7月頃から上昇し、9月には一時4万ドル台/日を記録しました。中小型ドライバルク船は、夏場にかけて穀物輸送需要の減退により市況が一時下落したものの、ケープサイズ船の市況上昇による市場心理への影響や、秋口の穀物出荷などの荷動きに下支えされ、前期を上回る水準で推移しました。

ドライバルク船の当期部門損益は、鉄鋼原料船、木材チップ船、電力炭船等の長期契約による安定的な収益に加え、前期に実施した事業改革による損益改善効果と市況回復により、黒字化を達成しました。

 

<油送船・LNG船>

油送船部門について、原油船(VLCC)市況は、夏場の不需要期に低迷したものの、11月以降本格的な需要期を迎え、中国を始めとしたアジア諸国が原油在庫の積み増しを手配すると荷動きが活発化し一時的に高騰しました。しかし、中国の旧正月明けから再び低迷することとなりました。製品船については、期初は高水準で推移したものの、6月以降総じて上値の重い展開が続きました。このような市況環境のもと、減速航行による燃料費削減やプール運航による運航効率の改善などに引き続き努め、前期比大幅に損益は改善しましたが、部門全体としては、損失を計上しました。LNG船部門については、日本及び韓国の電力向け需要が堅調に推移したものの、欧州では景気後退の影響などによりLNG輸入量が減少し、世界的なLNGの海上荷動き量は前年と同程度に留まりました。短期・中期貸船市況は、上期は高水準で推移したものの、下期には新造船の竣工が相次ぎ、市況は徐々に下落しました。部門損益は、長期輸送契約による安定収益を確保し、前期と同水準の利益を計上しました。

 

<自動車船>

自動車船部門については、円安環境下でも変わらない各自動車メーカーの地産地消方針、出荷拠点の分散化が影響して、日本出し完成車輸送台数は減少傾向にありました。この変化に対応すべく、アジア域内をはじめとした三国間輸送、欧州出し中国向け等の復航貨物を積極的に取り込んでいく体制を整え、新たな商機確保に努めました。その結果、損益は前期比で大きく改善しました。

 

② コンテナ船事業

主要トレードの荷動きは北米航路・欧州航路とも安定的に推移しました。アジア域内は中国経済の影響、タイ政情不安等の不安要因はあったものの、欧米先進国の景気回復もあり、順調に推移しました。南北航路は成長鈍化、通貨下落の悪影響が懸念されたものの堅調に推移しました。運賃水準は、大型コンテナ船の竣工に伴いキャパシティが増加したため需給環境が悪化し、これに対し減便や減速航行等を行い船腹需給の改善に努めましたが全航路において下落しました。特に大型コンテナ船の投入が相次いだ欧州航路と、それに伴い従来の欧州航路船転配の影響を受けた南北航路では大幅に運賃が下落しました。このような事業環境のもと、北米航路で新たに協調配船を行う等アライアンスの拡大によるサービス網の競争力強化や燃料費削減に取組みましたが、当期において損失を計上しました。

 

③ フェリー・内航事業

 フェリー事業については、貨物、旅客ともに輸送量が増加し、前期比で増収増益となりました。内航事業については、エネルギー輸送が一時の活況から落ち着いたことにより減収となりましたが、配船効率の向上により増益となり、フェリー・内航事業セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。

 

④ 関連事業

 不動産事業については、賃貸オフィスマーケットが緩やかに回復しつつある中、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル(株)は低い空室率を保ち、堅調な業績を維持しました。一方で、客船事業については、集客数を伸ばし、前期比で損益を改善させたものの、損失を計上しました。その他曳船、商社等の業績は総じて堅調に推移し、これらを含めた関連事業セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。

 

⑤ その他

 主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業、造船業などがありますが、当期は前期比増益となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ205億円減少し、1,801億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動によって得られた資金は942億円(前年同期比152億円の収入増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が717億円、減価償却費が839億円となった一方、関係会社株式売却損益が217億円、為替差損益が156億円となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動によって支出された資金は1,198億円(前年同期比156億円の支出増)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出が228億円、船舶を中心とした有形及び無形固定資産の取得による支出が1,838億円となった一方、同有形及び無形固定資産の売却による収入が782億円となったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動によって支出された資金は70億円(前年同期は1,387億円の収入)となりました。これは主に長期借入れによる収入が1,596億円となった一方、長期借入金の返済による支出が1,172億円、短期借入金の純減額が317億円、社債の償還による支出が250億円となったことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載したとおり、5つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社毎に異なっているため、それらをセグメント毎に金額、数量で示しておりません。

(1) セグメントの売上高

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

前年同期比(%)

不定期専用船事業(百万円)

836,996

114.3

コンテナ船事業(百万円)

715,390

117.6

フェリー・内航事業(百万円)

55,805

102.4

関連事業(百万円)

137,207

107.2

その他(百万円)

14,584

100.8

計(百万円)

1,759,984

114.5

調整額(百万円)

(30,531)

合計(百万円)

1,729,452

114.6

(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 前事業年度及び当事業年度の営業実績(提出会社)

  部門別営業収益及び構成比

部門

前事業年度

(自 平成24年4月1日

至 平成25年3月31日)

当事業年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

海運業

 

 

 

 

不定期専用船部門

452,559

40.3

455,849

37.0

油送船/LNG船部門

146,485

13.1

151,478

12.3

定期船部門

514,938

45.9

615,276

50.0

その他

7,151

0.6

7,084

0.6

その他事業

1,036

0.1

970

0.1

1,122,171

100.0

1,230,658

100.0

(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

  当社は平成26年3月31日、新たな中期経営計画「STEER FOR 2020」を発表しました。

“STEER”とは、目指す針路に向かって船の舵を取ることを意味します。2020年3月期に目指す姿に向けて大きく舵を切っていくとの思いを込めて名付けたこの計画のもと、当社が今後どのような方向に進んでいくのかにつき、説明します。

 

■ 事業環境認識とメインテーマ「変革を通じた確かな成長」

現在、先進国を中心とする景気回復に伴い世界の海上荷動きは拡大し、船腹需給は改善しつつありますが、船の種類によって改善には時差があり、また、引き続き存在する過剰造船設備に鑑みれば、市場環境の構造的な好転にはなお年月を要すると考えられます。一方で「シェール革命」に代表される新たな物流、またその影響も含めたLNGの長距離輸送需要の急速な拡大は、我々に全力で取り組むべき商機をもたらしています。

このような事業環境認識に基づき、当社は新中期経営計画「STEER FOR 2020」を策定し、右肩上がりの海運市況の上昇を前提とする経営とは一線を画し、新たな物流機会を捉えて長期的な安定利益を積み上げていく方向に大きく舵を切っていきます。新中期経営計画のメインテーマである「変革を通じた確かな成長」には、こうした意味が込められています。

 

■ 全体戦略「3つの変革」

I. 事業ポートフォリオの変革

高い成長が見込まれ、長期安定利益を獲得できるビジネスに、大胆かつ迅速に経営資源を投入します。その中心となるのは資源・エネルギー分野であり、中でも世界最大級のプレゼンスを擁する当社のLNG船事業と、新たな事業領域として開拓している海洋事業に積極的な設備投資を行います。

 

II. 事業モデルの変革

日々マーケットと対峙する在来の海運業においては、市況変動の影響を抑制し、市況水準にかかわらず確実に利益をあげられる体制の構築を目指します。このため、特にドライバルク船・油送船において、営業サイドで中長期契約比率を増やし、調達サイドでは短期傭船比率を増やすことにより、市況変動に対する耐性を高めた柔軟な船隊を作り上げます。

このような収益構造のもとで確実に利益をあげていくには、トレードの最適な組み合わせによって効率的な配船を行うことと、顧客ニーズに応えて付加価値を提供し得る輸送分野に注力することが不可欠になります。シンガポールを始め、世界最適地に展開した事業拠点、そして多様な船種と輸送ノウハウを活かして、これを実現していきます。

 

III. 事業領域の変革

当社はこれまで世界各地へ海運業の水平展開を進めてきましたが、海上輸送の上流又は下流といった垂直方向への事業領域の拡大にも目を向けていきます。既に、コンテナターミナル事業では強力なパートナーと提携し、今後の事業拡大の基盤を整備しました。原油・LNG等のエネルギーの輸送から上流に踏み込んだ海洋事業もこの方向性にあるものであり、積極的に拡大していきます。

 

■ 経営基盤の再強化

以上述べてきた計画を実行するにあたり、これらを支える経営基盤の再強化にも取り組んでいく必要があります。中でも、先に公正取引委員会によって発表されたとおり自動車輸送に関連する独占禁止法違反行為(注)が存在したこと、また、当社がリーマンショック以降の市況悪化期に過大な市況エクスポージャーを持ってしまったことに鑑み、コンプライアンスの再強化とトータル・リスク・コントロールの徹底は喫緊の課題として取り組んでおります。また、海運会社のコアコンピタンスである安全運航の再構築とビジネス・インテリジェンスの高度化も、当社の持続的成長を根底で支えるものであり、継続して取り組んでいきます。

(注)

平成26年3月18日、公正取引委員会より特定自動車運送業務の取引に関連して、複数の事業会社に対し排除措置命令及び課徴金納付命令がなされた旨の発表がありました。本件は当社を含めた関係事業者に対し、独占禁止法違反の行為があったとして平成24年9月6日に同委員会の立入調査を受けていたものです。当該発表においては、当社についても独占禁止法に違反する行為があった旨の言及がありますが、当社は上記立入調査より前に違反のある行為を取り止めていたこと、及び同委員会に対し課徴金減免制度の適用を申請し、これが認められたこと等から、上述の命令のいずれも受けておりません。なお、当社連結子会社の日産専用船株式会社は課徴金減免制度の適用を申請し、課徴金の減額を認められましたが、排除措置命令及び課徴金納付命令を受けております。

当社グループは米国、欧州その他海外の競争法当局による調査の対象にもなっており、これら調査には引き続き全面的に協力しております。また、他船社と完成自動車車両の海上輸送サービスの価格調整等を行ったとして、当社グループに損害賠償及び対象行為の差止め等を求める集団訴訟が米国等において提起されています。

4【事業等のリスク】

当社グループの主たる事業である海上輸送の分野において、世界各国の経済情勢やテロ・戦争その他の政治的、社会的な要因、自然現象・災害、及び伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱等により、予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において、事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

この他に当社グループの事業活動や業績、株価及び財務状況等において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。

 

(1) 海運市況の変動

当社グループの主たる事業分野である海運業の運賃・傭船市況は、世界各国の景気動向や商品市況、政治・社会的な要因及び自然現象・災害等の影響、海上荷動き量や船腹供給量等の増減を受けた船腹需給の不均衡等の影響により、大きく変動する可能性があります。当社グループは、海運市況の変動リスク耐性を高めるため中長期契約等の安定利益の確保及び運航コスト削減に努めておりますが、大幅な市況下落は当社グループの損益に悪影響を及ぼします。

 

(2) 為替レートの変動

当社グループの事業では、売上のうち、米ドル建ての海上運賃収入が多くを占めております。費用についても、船舶資本費、燃料費、海外における荷役費・一般管理費等、米ドル・現地通貨建ての費用があります。費用のドル化を進めるとともに、通貨ヘッジ取引を行い、米ドルの為替レート変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、外貨建て収入が費用を上回っていることにより、他の通貨に対する円高(特に米ドルに対する円高)は当社グループの損益に悪影響を及ぼします。また、海外子会社が保有する船舶資産やそれにかかわる負債等、外貨建てのものを有するため、円建ての連結貸借対照表においては、換算時の為替レートにより、元の現地通貨における市場価値が変わらなかったとしても、計上する換算価値が影響を受ける可能性があります。

なお、為替変動の影響額は、通貨ヘッジ取引の影響を含め、1米ドル当たり1円の変動で連結経常利益が年間約21億円変動します。

 

(3) 船舶燃料油価格の変動

当社グループの事業では、船舶運航のための燃料の調達が不可欠なものとなっております。燃料費については、燃料ヘッジ取引により調達コストの平準化・削減に努めておりますが、その上昇は当社業績へ悪影響を及ぼします。船舶燃料油の市場価格は概ね原油価格に連動しており、世界の景気動向、産油地域の情勢、米国を中心とする在庫水準、投機資金の流入等により影響を受ける可能性があります。

なお、船舶燃料油価格変動の影響額は、燃料ヘッジ取引の影響を含め、1トン当たり1米ドルの変動で連結経常利益が年間約2億円変動します。

 

(4) 金利の変動

  当社グループの事業では、船舶等の新設や更新のために、継続的な設備投資を行っております。有利子負債の削減に努めていますが、運転資金及び設備資金は主として外部借入れにて行っております。固定金利での借入れや金利スワップ取引により金利の固定化を進めていますが、変動金利で調達している資金については、金利の変動の影響を受けます。また、金利の変動により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。

 

(5) 公的規制

  当社グループの主たる事業分野である外航海運業では、設備の安全性や船舶の安全運航のために、国際機関及び各国政府の法令、船級協会の規則等様々な公的規制を受けております。また、その他の事業分野も含め、事業を展開する各国において、事業・投資の許可をはじめ、運送、通商、独占禁止、租税、為替規制、環境、各種安全確保等の法規制の適用を受けております。これらの規制を遵守するためコスト増加となる可能性があり、当社グループの活動が制限され、事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 平成26年3月18日、公正取引委員会より特定自動車運送業務の取引に関連して、複数の事業会社に対し排除措置命令及び課徴金納付命令がなされた旨の発表がありました。本件は当社を含めた関係事業者に対し、独占禁止法違反の行為があったとして平成24年9月6日に同委員会の立入調査を受けていたものです。当該発表においては、当社についても独占禁止法に違反する行為があった旨の言及がありますが、当社は上記立入調査より前に違反のある行為を取り止めていたこと、及び同委員会に対し課徴金減免制度の適用を申請し、これが認められたこと等から、上述の命令のいずれも受けておりません。なお、当社連結子会社の日産専用船株式会社は課徴金減免制度の適用を申請し、課徴金の減額を認められましたが、排除措置命令及び課徴金納付命令を受けております。

 当社グループは米国、欧州その他海外の競争法当局による調査の対象にもなっており、これら調査には引き続き全面的に協力してまいります。また、他船社と完成自動車車両の海上輸送サービスの価格調整等を行ったとして、当社グループに損害賠償及び対象行為の差止め等を求める集団訴訟が米国等において提起されています。これらの調査・訴訟による金額的な影響は現時点で合理的に予測することが困難であるため、当社グループの業績に与える影響は不明です。

 

(6) 船舶の運航

  当社グループは、「安全運航と海洋・地球環境の保全」を企業理念に掲げ、独自の「MOL安全管理制度」を確立し、船員教育や訓練システムを充実させて事故を起さないよう万全の体制をとっております。しかしながら、常時約900隻(短期傭船等を含む)の船舶を世界中に運航しており、万一洋上で不慮の事故、特に油濁事故及びそれに起因する海洋汚染が起こった場合は事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは運航する船舶への海賊・テロ行為について対策を講じておりますが、万一襲撃を受けた場合は事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  なお、平成25年6月17日にインド洋で発生しました当社運航のコンテナ船“MOL COMFORT(エムオーエル コンフォート)" 破断事故につきましては、三菱重工業株式会社、日本海事協会、当社による三者検討会議に加え司法判断を仰ぐことにより原因究明に全力を挙げておりますが、原因の特定には時間を要することから、予防的な安全強化策として、当社が運航する同型船6隻に対して船体強度を大幅に引き上げる船体構造の強化工事を実施いたしました。

 

(7) 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し、将来において繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合、或いは税制変更等による税率の変更があった場合、繰延税金資産を取崩し、税金費用を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(8) 投資有価証券における評価損の影響

当社グループは、投資有価証券のうち時価のあるものについて、期末最終営業日の市場価格による時価評価を行っております。その結果、株式市況の変動等により投資有価証券評価損を計上し、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(9) 船舶等の売却等における影響

当社グループは、海運市況の動向や船舶の技術革新による陳腐化、又は公的規制の変更等による使用制限等により、保有する船舶を売却する場合や傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。また、海運市況の悪化に伴い、保有する船舶の固定資産の収益性が低下し、減損損失を計上する可能性があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

 なお、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに

記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。また、将来の予測等に関する記述は、現時点で入手された情報に基づき合理的と判断した予想であり、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されております。従い、実際の業績は、見通しと異なる結果となる可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、今後のコンテナターミナル事業の更なる強化・拡大を目指し、カナダの大手ファンド、Brookfield Asset Management Inc.と戦略的提携を結ぶことに合意しました。本提携に関連し、当社は連結子会社であるInternational Transportation Inc.の株式の一部をBrookfield Asset Management Inc.の運営ファンドであるBIF II TP Aggregator (Delaware), L.P.へ譲渡することを決定し、平成26年1月17日に契約を締結しています。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、主に船舶を対象に、以下の3点を基本方針としています。

1.環境保全・省エネルギーの技術で、経済性との両立が期待できるもの

2.安全性・信頼性の向上に寄与するもの

3.新しい輸送技術・輸送システムに関するもの

具体的には、「船舶」、「コンテナ・物流」、「新輸送技術」、「その他」の4分野について、主に当社技術部及び海上安全部の各部門がそれぞれの研究開発テーマに取り組んでおります。

近年は省エネ・環境対策技術の開発に特に力を入れております。当連結会計年度における主たる研究開発としては、次世代貨物船構想の展開、改良型省エネ装置の開発、排ガス煤塵除去装置の開発、船舶バラスト水処理装置の開発、パワープラントの燃焼状態改善による燃費向上の研究、燃料油性状の評価手法の研究などが挙げられます。

また技術研究所では、世界各地で補油された燃料油や船内で使用される機器潤滑油の性状を継続的に分析することで、低質油や潤滑油劣化に起因する機関事故の防止に成果を上げております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は219百万円となっております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財務戦略

①資金調達の方針

当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております

また、金利変動リスクや為替変動リスク等の市場リスクを把握し、過度に市場リスクに晒されないように金利固定化比率や借入通貨構成を金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、リスクを許容範囲に収めるようにしております。

 

資金調達の多様性

当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。

運転資金並びに船隊整備に必要な設備資金は、直接・間接調達に加え、従来より船主からの傭船といった手法も活用し、有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船腹の整備を行っております。

直接調達については、2014年4月にユーロ米ドル建取得条項付転換社債型新株予約権社債計5億米ドル(期間4年及び6年)を発行しました。また、2014年6月に国内普通社債296億円(期間10年)を発行し、2014年6月24日現在の国内普通社債発行残高合計は1,401億円となっております。その他、コマーシャル・ペーパー(CP)による調達を行っております。

円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、2014年6月24日現在の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「A-」、日本格付研究所(JCR)「A」、ムーディーズ(Moody's)「Baa3」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより「a-1」/「J-1」を取得しております。

当社は1,000億円の社債発行登録や1,000億円のCP発行枠を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする銀行借入により、運転資金需要や設備資金需要にも迅速に対応できるものと考えております。

更に、国内金融機関から300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性補完にも備えております。

 

グループ資金の効率化

当社及び主要国内子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。

 

(2) 損益状況

 売上高は、前連結会計年度に比べ14.6%増収の1兆7,294億円となりました。主にコンテナ船事業とドライバルク船の荷動きの増加により、前期比2,202億円の増収となりました。

 経常損益は、コンテナ船事業の損失が拡大したものの、円安の進行と燃料油価格の低下に加え、特に不定期専用船事業において前期に実施した事業改革により船隊コスト競争力が強化され損益が改善した結果、前連結会計年度に比べ835億円増益の549億円と黒字へ転換しました。不定期専用船事業は、ドライバルク船の市況が改善したことに加え油送船部門でプール運航による運航効率の改善等に努め損益を改善したことから、前期比で819億円増益の571億円の黒字となりました。コンテナ船事業においては、アライアンスの拡大によるサービス網の競争力強化や燃料費削減をはじめとしたコスト削減等に取組んだものの、大型コンテナ船の竣工増による需給環境の悪化に伴い市況が下落し、前期比で32億円の減益の145億円の赤字となりました。

 当期純損益は、573億円の黒字となりました。前期には事業改革費用を計上したことと繰延税金資産の一部を取崩し法人税等調整額に計上したことに対し、当期はコンテナ船事業において関係会社株式の売却益を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ2,362億円の増益となりました。

 

(3) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,000億円増加し、2兆3,646億円となりました。これは主に船隊整備に伴う投資により船舶及び建設仮勘定が増加し、また投資有価証券が増加したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ360億円増加し、1兆5,811億円となりました。これは主に長期借入金が増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ1,640億円増加し、7,835億円となりました。これは主に利益剰余金、繰延ヘッジ損益及び為替換算調整勘定が増加したことによるものです。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、4.0%増加し、28.7%となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。