(1)業績
当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
|
|
(単位:億円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
22,723 |
19,238 |
△3,484 |
△15.3% |
|
売上原価 |
20,095 |
17,367 |
△2,728 |
△13.6% |
|
販売費及び一般管理費 |
2,138 |
2,052 |
△85 |
△4.0% |
|
営業利益 |
489 |
△180 |
△670 |
- |
|
経常利益 |
600 |
10 |
△590 |
△98.3% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
182 |
△2,657 |
△2,839 |
- |
|
平均為替レート |
120.78円/US$ |
108.76円/US$ |
12.02円 円高 |
|
平均消費燃料油価格 |
US$298.66/MT |
US$253.75/MT |
US$44.91 安 |
(概況)
当連結会計年度は、海運市況が歴史的水準にまで落ち込み、その影響を大きく受けた一年でした。コンテナ船部門では船腹過剰状態の継続により運賃市況が低迷し、ドライバルク部門では船舶の解撤の進展と荷動きの増加により需給ギャップは縮小傾向にありますが、低迷する市況の大幅な改善には至りませんでした。こうした厳しい事業環境は継続しているものの、下期を境に荷況は徐々に回復傾向にあり、コンテナ船部門においてスポット運賃は緩やかに回復し、ドライバルク部門においても市況は大底を打ち、改善傾向にあります。リキッド部門では、前期好調であったタンカー市況が新造船の供給圧力を主因として軟化しました。非海運事業の航空運送事業では、上期に運賃が下落し厳しい状況が続きましたが、下期に荷動きが活発化しました。物流事業では、取扱量を伸ばしましたが、事業環境は厳しく利益率が低下しました。
これらの結果、当期の業績につきましては、売上高1兆9,238億円、営業損失180億円、経常利益10億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、第2四半期にコンテナ船・ドライバルカー・貨物航空機で合計約2,000億円の減損損失及び契約損失引当金を計上したこと等により、2,657億円の損失計上となりました。
なお、為替レートと消費燃料油価格の変動は以下のとおりです。
|
|
|
(注) 為替レート・消費燃料油価格とも、当社社内値です。
<セグメント別概況>
当連結会計年度のセグメント別概況は以下のとおりです。
|
(単位:億円) |
|
|
売上高 |
経常利益 |
||||||
|
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減額 |
増減率 |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減額 |
||
|
一般貨物 輸送事業 |
定期船事業 |
7,063 |
5,859 |
△1,204 |
△17.1% |
△3 |
△127 |
△123 |
|
航空運送事業 |
911 |
819 |
△91 |
△10.1% |
15 |
26 |
10 |
|
|
物流事業 |
4,965 |
4,613 |
△351 |
△7.1% |
118 |
76 |
△42 |
|
|
不定期専用船事業 |
9,022 |
7,177 |
△1,845 |
△20.5% |
465 |
△41 |
△507 |
|
|
その他事業 |
不動産業 |
97 |
94 |
△3 |
△3.5% |
33 |
120 |
86 |
|
その他の事業 |
1,470 |
1,466 |
△4 |
△0.3% |
△0 |
△14 |
△14 |
|
<定期船事業>
コンテナ船部門では、第1四半期にスポット運賃が史上最低水準まで下落しましたが、韓国船社破綻の影響や荷動きの増加により需給バランスが改善し、北米・欧州航路では市況の緩やかな回復が見られました。中南米航路でも需給バランスが改善しましたが、アジア航路は船舶の大型化による供給過剰により厳しい市況が続きました。
サービス面では、当社の参加するG6アライアンスでは大きな航路改編はありませんでしたが、需要に見合ったサービスの合理化を進め、一部で休航を実施するなどして競争力の維持に努めました。
コスト面では、積載効率・燃費効率に優れた新造大型船の投入、既存船舶の改造による燃料消費量の削減や効率的な配船により、引き続き船費や運航費の削減に努めました。さらに、効率的なコンテナ運用により粗利の極大化を目指すEAGLEプロジェクトをより進めて、一層のコスト削減・粗利向上に努めることで回復半ばである市況への耐性を高めました。国内・海外コンテナターミナルの総取扱量は前年比で増加しましたが、定期船事業全体ではコンテナ船運賃の低迷により前連結会計年度比で減収となり損失を計上しました。
なお、昨年10月の発表のとおり、邦船3社による定期コンテナ船事業の統合(海外ターミナル事業を含む)を決定し、準備を進めています。新合弁会社は平成30年4月にサービスを開始する予定です。
<航空運送事業>
航空運送事業は、効率的なオペレーションに努めるとともに、輸送品質の向上やマーケット需要への迅速な対応に取り組みました。上期は運賃下落や円高の影響もあり厳しい状況が続きましたが、下期は往復航とも荷動きが活発化し、機材の発注をキャンセルしたことに伴う為替差益の計上もあり、前連結会計年度比減収増益となりました。
<物流事業>
航空貨物取扱事業・海上貨物輸送事業ともに販売拡大戦略のもと大きく取扱量を伸ばしましたが、中国を中心にアジアでは厳しい事業環境が継続し、航空貨物取扱事業の粗利が低下しました。ロジスティクス事業では、米州における内陸輸送の仕入れ環境の改善が見られなかったことや、アジア新興国での経済成長鈍化の影響を受け力強さに欠けました。内航輸送事業の荷動きは好調に推移しましたが、物流事業全体の業績は、前連結会計年度比減収減益となりました。
<不定期専用船事業>
自動車輸送部門では、原油を含む資源価格の下落を背景に、主に資源国向けの輸送需要が伸び悩み、輸送台数は前期を下回り輸送効率が悪化しました。このような厳しい状況下、引き続き減速航海を徹底するなど運航費の削減に努めるとともに、解撤売船や返船を行うなど輸送効率の改善に努めました。グループ会社では世界初となるLNG燃料船が就航し、環境負荷低減に努めています。自動車物流部門では、中国やインドを中心とした既存事業は概ね順調に推移しており、次の成長市場とみなされるケニアやベトナムにおいて現地企業と完成車物流会社の共同設立に合意しました。
ドライバルク部門では、市況の低迷が船舶の解撤を促しましたが新造船の竣工も続き、船腹過剰状態の本格的な解消には至りませんでした。一方で、鉄鉱石や穀物などの荷動きが増加したため需給ギャップが改善し、市況は緩やかな回復を示しました。このような状況下、当社グループは長期契約の獲得に努めるとともに、効率的な運航の徹底を進めるなどのコスト削減に取り組みました。さらに貨物の組合せや配船の工夫によりバラスト航海を減らすなど、収支の向上に努めました。
リキッド部門では、VLCCは荷動きが堅調だったものの新造船の供給圧力が強く、石油製品タンカーは東西荷動きが減少、LPG船は東アジア向け貨物の積出地が米国から中東に移ったことによる輸送距離の減少によって、市況が悪化しました。LNG船は安定的な収益を生む長期契約に支えられ順調に推移しました。海洋事業はFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)が新たに2基稼働し、ドリルシップやシャトルタンカーが順調に稼働しました。
以上の結果、不定期専用船事業全体では前連結会計年度比減収となり、損失を計上しました。
|
|
|
<不動産業、その他の事業>
不動産業は、市況は堅調で新たな賃貸物件の稼働も順調でした。また出資先による不動産信託受益権の売却等により匿名組合投資利益を営業外収益に計上したため、前連結会計年度比で大幅な増益となりました。
その他の事業は、船用品販売事業は好調に、客船事業は客単価・乗船率ともに堅調に推移しました。一方、船舶用燃料油販売事業は為替等の影響もあり厳しい状況となりました。また資金調達に係る一時費用の計上もあり、その他の事業全体では、前連結会計年度比で若干の減収となり損失を計上しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、期首残高比1,161億円減の1,374億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失△2,414億円、現金支出を伴わない減損損失1,681億円、契約損失引当金繰入額448億円、減価償却費920億円、利息の支払額△155億円等により279億円(前年同期1,428億円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により△1,446億円(前年同期△468億円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入等により19億円(前年同期△1,602億円)となりました。
当社グループは国際的な海上貨物運送業を中核として多角的事業を展開しているため、生産、受注の各実績を求めることが実務的に困難であり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。
(1)販売実績
当連結会計年度における売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
定期船事業 |
585,904 |
82.9 |
|
航空運送事業 |
81,919 |
89.9 |
|
物流事業 |
461,361 |
92.9 |
|
不定期専用船事業 |
717,729 |
79.5 |
|
不動産業 |
9,439 |
96.5 |
|
その他の事業 |
146,614 |
99.7 |
|
計 |
2,002,969 |
85.1 |
|
消去 |
(79,087) |
97.9 |
|
合計 |
1,923,881 |
84.7 |
(注)1.売上高に対する割合が10%以上の顧客はいません。
2.上記金額には消費税等は含まれていません。
(2)主要航路及び就航状況
海運業における当社の各航路の就航状況は次のとおりです。
定期船部門(コンテナ船)
|
航路 |
延航海数 |
|
|
前事業年度 |
当事業年度 |
|
|
アジア/欧州 |
390 |
304 |
|
欧州域内 |
15 |
- |
|
アジア/北米西岸 |
548 |
518 |
|
アジア/北米東岸(スエズ経由) |
202 |
231 |
|
アジア/北米東岸(パナマ経由) |
124 |
61 |
|
アジア/北米西岸/北米東岸/欧州 |
198 |
193 |
|
北米東岸/欧州 |
132 |
152 |
|
アジア/豪州 |
193 |
49 |
|
アジア/ニュージーランド |
53 |
52 |
|
アジア/豪州/ニュージーランド |
121 |
143 |
|
アジア/ハワイ/中南米西岸 |
169 |
232 |
|
中米西岸/北米西岸 |
114 |
64 |
|
アジア/南米東岸 |
87 |
123 |
|
アジア/アフリカ |
119 |
93 |
|
南米東岸/北米東岸 |
158 |
59 |
|
アジア域内(東アジア) |
1,451 |
1,642 |
|
アジア域内(西アジア) |
522 |
666 |
|
合計 |
4,596 |
4,582 |
不定期船部門
|
航路 |
積荷 |
延航海数 |
|
|
前事業年度 |
当事業年度 |
||
|
米州方面 |
自動車、石炭、チップ、鉄鉱石、塩、コークス、その他 |
369 |
385 |
|
アフリカ方面 |
自動車、チップ、鉄鉱石、その他 |
42 |
54 |
|
中東方面 |
自動車、その他 |
226 |
166 |
|
インド方面 |
石炭、鉄鉱石、その他 |
- |
5 |
|
アジア方面 |
自動車、石炭、チップ、鉄鉱石、その他 |
434 |
393 |
|
オセアニア方面 |
自動車、石炭、チップ、鉄鉱石、その他 |
665 |
680 |
|
欧州方面 |
自動車、その他 |
107 |
112 |
|
ロシア方面 |
石炭、その他 |
15 |
18 |
|
三国間 |
自動車、石炭、チップ、鉄鉱石、塩、その他 |
785 |
758 |
|
合計 |
|
2,643 |
2,571 |
|
タンカー部門 |
|
定期貸船・他社運航共有船 |
||||
|
航路 |
延航海数 |
|
|
延隻数 |
||
|
前事業年度 |
当事業年度 |
|
|
前事業年度 |
当事業年度 |
|
|
アラビア湾/日本 |
289 (131) |
290 (126) |
|
定期貸船に供した社船 |
31 |
25 |
|
東南アジア/日本 |
28 (28) |
38 (38) |
|
共有先の運航または 定期貸船に供した共有船 |
6 |
6 |
|
西・北豪州/日本 |
34 (34) |
51 (50) |
|
定期貸船に供した他社船 |
285 |
237 |
|
中国/日本 |
1 (1) |
4 (3) |
|
合計 |
322 |
268 |
|
三国間 |
150 (70) |
132 (54) |
|
|
|
|
|
その他 |
12 (2) |
23 (16) |
|
|
|
|
|
合計 |
514 (266) |
538 (287) |
|
|
|
|
(注) ( )内はLNG船及びLPG船の延航海数です。
中長期的なグループ経営戦略
当社グループでは、特に以下の経営課題に対して対応を強化しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)安定と成長の戦略
当期の事業環境を振り返りますと、燃料油価格が一時下落したものの、その後上昇に転じ、また円高も進行したことにより、海運市況は歴史的低水準で低迷した一年でした。
一般貨物輸送事業では、コンテナ船部門においてのさらなる高品質かつ競争力のあるサービスの提供を目指し、川崎汽船株式会社・株式会社商船三井との定期コンテナ船事業の統合を決定しました。また、ターミナル事業においては新たな安定収益の確保を目指し、インドネシアでの新コンテナターミナルの操業開始、米国でのコンテナターミナルへの出資等、コンテナ船とのシナジー効果で他社との差別化を図りました。
自動車輸送部門では、環境課題を成長のチャンスに転換すべく、優れた環境性能を持つ世界初のLNG燃料自動車専用船を竣工し、自動車物流事業ではケニアやベトナムでの完成車物流会社設立に合意する等により海外拠点の増強を図りました。
エネルギー輸送部門では、LNG輸送事業において、拡大する需要を見据えて米国でのプロジェクトにおける新造船の共同保有を決定しました。また、LNG燃料のさらなる普及・発展に貢献すべく世界初のLNG燃料供給船を竣工し、船舶向けLNG燃料供給・販売のための新たなブランドを立ち上げました。
海洋事業においては、業容の拡大を図り、ブラジル及びメキシコでもFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)を稼働し、今後も拡大が見込まれる海洋資源開発事業での取組みを進めています。
ドライバルク部門の収益性の安定的な向上は中期的かつ重要な課題であり、市況耐性の高い収支構造とするため、長期安定契約の拡充と適正な船隊規模とのバランスを図り、収益性の改善に努めています。
周囲を取り巻く環境の激変により、当社は平成26年度からの5ヵ年中期経営計画“More Than Shipping 2018~Stage 2 きらり技術力~” の最終年度の利益・財務計画を取り下げました。しかし、現中期経営計画において掲げていた運賃安定型事業の積み上げ、市況変動事業におけるライトアセット化推進等の基本戦略はその妥当性を失っておらず、今後も同戦略に基づき以下の主要な課題に沿って取り組みます。新中期経営計画は、本年度中に策定します。
当社グループの主力事業である定期コンテナ船事業の収益を回復させ安定的な成長を図るため、川崎汽船株式会社・株式会社商船三井と設立する統合新会社は、3社のシナジーの創出により競争力を高め、140万TEU(※)に達する統合後の船隊によって実現する運航規模の拡大により世界に伍して戦える体制を構築できるよう取り組みます。また、着実に収益を安定させ成長を遂げている物流事業を当社グループの中核とすべく、新興国をはじめ既存の拠点の量的拡大を図るとともに、顧客ニーズに対応したサービスの深化により、さらなる競争力の強化に努めます。
サービスの柔軟な改編と効率化とともに、オペレーションの品質向上により顧客の信頼を獲得してきた自動車輸送部門では、事業におけるさらなる優位性を追求します。また、先んじてリアルタイムに個々の車両の動静を管理する革新的な技術力と顧客ニーズを追求する現場力を融合した完成車輸送の豊富なソリューションを提供してきた成果により、自動車物流事業におけるマーケットの拡大への取組みを継続します。
業界ネットワークに基づく営業力と船舶管理等の技術優位を背景とするLNG輸送事業は、新興市場への参入の機会を追求するとともに、長期契約を積み上げることで収益性の安定的な向上に注力し、海洋事業においては、ドリルシップ、シャトルタンカー事業やFPSO事業の継続的なオペレーションの効率化と技術的知見の蓄積に努め、新規プロジェクトの獲得を目指します。
当社グループは、安定的な利益創出に向けた事業モデルを追求し、ライトアセット型事業を志向することで経営効率性を高め、ソフトとハードの両面から創意工夫をもって他社との差別化を図る「きらり技術力」(Creative Solutions)を競争力の源泉とする戦略に邁進し、新中期経営計画の策定を通じて中長期的に持続可能な成長を達成すべく全力で取り組みます。
(※)TEU:20フィートの海上輸送コンテナを1単位とした換算個数
(2)ESG(環境・社会・ガバナンス)への取組み
当社グループは、グローバルな視野を持って企業の社会的責任を果たすべく、「安全」「環境」「ガバナンス」「人材」についても経営の最重要課題に位置付け、社会課題(ESG)に対して積極的に取り組みます。
船舶等のオペレーションの安全は当社グループの事業の根幹であり、あらゆる現場での安全推進活動の一層の継続に努めます。環境保全については、長期ビジョンに基づき技術開発に取り組んでいます。平成30年度までに平成22年度比で燃料消費効率を15%向上させるべく、最適運航の深度化を図り、重油に代わる次世代燃料としてCO₂・SOx・NOx排出量を削減することができるLNG燃料への転換を積極的に進めています。当期は、世界初となるLNG燃料の自動車専用船やLNG燃料供給船が竣工しました。環境規制が年々強化されていくなかで、バラスト水処理装置の先行搭載や、平成32年から実施予定の燃料油に含まれる硫黄分規制強化等への対応を進めています。
また、企業経営の健全性と透明性をより高めるために、引き続き内部統制の実効性向上とコンプライアンス徹底等のガバナンス強化に努めます。さらに、当社グループ企業理念を支える “NYKグループ・バリュー”(誠意・創意・熱意)の実践を通じて、誇りを持って働ける職場づくりの実現を目指し、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めていきます。当社グループは、今後もこれらの取組みに関する積極的な情報開示とその充実を図るとともに、ステークホルダーの皆様との良好な関係の構築とサービスの品質向上に努めます。
当社グループの定期船事業、航空運送事業、物流事業、不定期専用船事業、不動産業、その他の事業の事業活動において、世界各国の経済情勢、政治的又は社会的な要因等により、当社グループの事業や業績が影響を受ける可能性があります。当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)重大な事故等による影響について
当社グループは、海・陸・空にまたがるグローバルな総合物流企業グループとして、安全・確実な「モノ運び」を通じ、人々の生活を支えるという企業理念のもと、世界中で船舶及び航空機を運航・管理しています。これらの安全運航及び環境保護対策を最重要課題と認識し、船舶においては独自の安全運航管理システム「NAV9000」による品質保証活動を実施するなど、安全運航に努めています。船舶をはじめ各現場での実行状況は、社長を委員長とする「安全・環境対策推進委員会」で定期的にレビューされ、安全品質レベルを更に向上・改善させるシステムが構築されており、また、緊急事態に際しては、適切な対応ができる体制を整えています。しかしながら、もし不測の事故、特に油濁その他の環境汚染、乗務員又は乗客の死傷、船舶の喪失又は損傷等につながる重大な事故等が発生した場合、もしくは海賊・テロ事案等保安事件が発生した場合には、貨物輸送の遅延・不能、運送契約の解除、債務不履行、過料、訴訟、罰金、営業制限、保険料の引き上げ、評判及び顧客関係の悪化といった事態に直面する可能性があり、かかるリスクを保険で適切にカバーできない場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(2)海運市況・荷動き等の変動による影響について
当社グループは、海運市況の変動に左右されない安定的な営業収益の確保に努めていますが、世界の経済動向、国際間の荷動き、競争激化、船腹需給バランス等の影響により、運賃収入及び傭船料収入などが大きく変動する可能性があり、その結果として当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
特に、海上運賃は、船腹需給の不均衡により大幅に変動する傾向にあります。一方、船腹の供給が需要を上回ると、市場における傭船料の水準が下落する可能性があります。
なお、船腹の需要に影響を及ぼす可能性のある要因には、以下のものがあります。
・世界的、地域的な政治動向及び経済状況
・当社グループが運搬するエネルギー資源、原材料及び商品の需要及び在庫水準
・工場のグローバル化
・海上輸送及びその他の輸送方法の変化並びに代替輸送手段の発展
・環境及びその他の規制の動向
一方、船腹の供給に影響を及ぼす可能性のある要因には、以下のものがあります。
・新造船の竣工により増加する船腹量
・老齢船の解撤により減少する船腹量
・港及び運河の混雑又は閉鎖
・環境規制及び船舶の耐用年数を制限する可能性のあるその他の規制の変更又は基準を充たす船舶の増減
当社グループは、長期の安定契約に重点を置いており、船隊の多くを船舶の保有又は長期傭船により調達しています。しかしながら、その船隊規模に見合った貨物の長期契約が十分に獲得できない場合、それら船舶は短期契約による運航に供することとなり、運賃水準が大幅に下落すると、船舶の運航により得られる収益が、保有船の固定費用を十分にまかなうことができず、その結果として当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(3)為替レートの変動による影響について
当社グループの事業においては、外貨建て取引の収入が多く、為替レートの変動が損益に影響を与える可能性があります。収入と費用の通貨を一致させる施策を進めるとともに、為替予約や通貨スワップ等のヘッジ取引により、為替レート変動の影響の軽減に努めています。また、当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、海外の連結子会社の財務諸表を円換算しており、為替レートが変動した場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(4)燃料油価格の変動による影響について
当社グループは、世界中で当社グループが運航する船舶及び航空機に使用される燃料油を常時購入しています。
燃料油費用は、当社グループの定期船事業、不定期専用船事業及び航空運送事業における費用の大きな割合を占めています。燃料油の価格水準及び入手可能量は、世界的な原油需給、外国為替市場の変動、産油国やOPECの動向、環境規制の状況、戦争その他の多くの要因により変動し、これらの動向を正確に予測することは困難です。当社グ
ループとして、燃料油調達地域の分散及びデリバティブ取引を利用した燃料油の価格ヘッジ、燃料油の消費量節減等の対策を講じて業績に与える影響の軽減に努めていますが、かかる対策は限定的であり、価格の変動又は供給不足から十分に影響を軽減できない可能性があります。また、今後も環境規制の拡大・強化に伴い、船舶は環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料油を調達せざるを得ない可能性があります。具体的には、2020年から強化される低硫黄燃料規制への対応として、従来よりも高コストの規制適合燃料を使用せねばならず、従来の高硫黄燃料を継続使用するためには脱硫装置及び据え付けの本船改造設備投資が必要であり、燃料費もしくは設備投資費などの大幅なコストアップが予想されます。当社グループは通常燃料油の価格上昇の全てを、運賃値上げ又は燃油サーチャージの適用といった方法で転嫁できているわけではありません。このため、燃料油価格の変動により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(5)グローバルな事業展開による影響について
当社グループの活動の範囲は、世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等により影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。
・政治的又は経済的要因
・事業・投資許可、租税、為替管制、国際資産の没収、独占禁止、通商制限など公的規制の影響
・他社と合弁・提携する事業の動向により生じる影響
・戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、コンピューターウイルス、その他の要因による社会的混乱
・地震、津波、台風等の自然災害の影響
・各国規制・制裁などの把握不全
これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタント起用等を通じ、その予防・回避に努めていますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、コンテナ船事業において、他の海運会社との戦略的提携であるザ・アライアンスのメンバーとなっています。当社グループは、コンテナ船事業の効率的かつグローバルなネットワークを保つために、かかるアライアンスが必要であると考えています。しかしながら、アライアンスの活動には、均一の安全・運航基準及び管理方針・手続を維持する難しさ、アライアンス統合及び解散の可能性、アライアンスに加盟している会社の撤退又はアライアンスによって必ずしも期待していた結果が得られない可能性といったリスクを伴います。当社グループがかかる要因に適切に対処できない場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループの船舶の安全な運航のためには、優秀な船員を確保することが特に重要となります。当社グループの船員のほとんどは、アジアの国々(例えばフィリピンやインド)の外国人です。当社グループは、優秀な船員を確保するために、教育と訓練の提供及び他の国からの採用など、様々な手段を取ってきましたが、将来において、適切な費用で必要な技術水準を持った船員を十分に確保できるという保証はありません。例えば、平成20年のリーマン・ショック前の数年間、海上輸送への需要が高かった時期においては、船員を雇用するための人件費が大幅に増加しました。必要な船員を合理的な費用で雇用、維持できない場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。加えて、戦争や政治的な要因が、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があり、さらに船員を含む当社グループの従業員の一部は、労働組合に所属しており、当社グループの従業員によってストライキ、業務停止又はサボタージュが行われた場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、例えば北米などの港湾施設でストライキが行われた場合など、当社グループ従業員以外の第三者によるストライキ又は業務停止によっても、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中東を含め世界中の紛争・テロに関するリスクによる影響を受けます。また、海賊被害は近年減少していますが、今もなお海賊行為が発生するマラッカ・シンガポール海峡、セルベス・スールー海、西アフリカ沿岸及びソマリア海賊襲撃エリアであるアデン湾、アラビア海、インド洋などを航行しています。当社グループでは、関係機関からの情報収集及びアデン湾地域では海上自衛隊の護衛を受けるなど、海賊行為について対策を講じていますが、テロ及び海賊の襲撃を受けた場合、あるいは政情不安及び戦闘などが起こった場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。今後、これら水域が通常の戦争保険除外地域として指定された場合(一部水域は既に指定されています。)には、保険料の水準及び保険金の支払いに影響を与える可能性があります。
(6)システム開発・運用における事故等による影響について
当社グループは、その業務遂行には、ITの円滑な運用は今や欠かせない企業基盤となっており、地震・火災等の罹災に際しても、また、サイバー攻撃に対しても、システムの安全及び安定稼動の確保に努めています。システムダウンに至った場合でも、その速やかな復旧を図るべく、努めていますが、システムダウンが一定期間以上におよび、お客様への情報提供及び業務処理が滞ることとなった場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(7)環境保全、安全・保安対策に係る規制強化等による影響について
当社グループが事業を行う各地域において、当社グループの船舶は安全運航及び海難事故の防止に関する国際法を遵守する必要があります。加えて、環境保護、輸出入、税金及び為替に関する地域固有の法令及び規制を遵守する必要があります。
当社グループは、環境保全活動及び物流サプライチェーンの安全・保安対策の重要性を認識しつつ、グローバルに事業を展開・拡大しています。例えば、バラスト水管理のための処置装置の搭載、藻、貝類、蛾等の船体付着物の移動防止に関する規制への対応、燃費節減によるCO2排出量削減、低硫黄燃料使用によるSOx排出量削減、NOx排出低減のため電子制御エンジン導入などの環境保全対策を実施しています。
今後、地球温暖化や大気汚染の防止、生物多様性の保全など環境保全、安全・保安対策に対する規制の強化及び社会の期待の高まりなどにより、これらに関連する対策費用が増加した場合や、特定の地域における法令又は規制を遵守することが困難となった場合には、当該地域における当社グループの事業運営が制限され、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(8)航空運送事業に係る影響について
当社グループの航空運送事業においては、活動範囲が世界各地に及んでおり、「安全は全てに優先する」という安全方針に基づき、全社的安全推進体制を構築し、安全運航の確保に努めています。しかしながら、乗務員の死傷、航空機の喪失又は損傷等につながる重大な航空機事故が発生した場合、もしくは各々の地域における政情不安、テロ、及び自然災害等が発生した場合には、貨物輸送の遅延・不能、運送契約の解除、債務不履行、過料、訴訟、罰金、営業制限、保険料の引き上げ、評判及び顧客関係の悪化といった事態に直面する可能性があり、かかるリスクを保険で適切にカバーできない場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
航空貨物の運賃は、貨物を輸送するスペースと荷動きの不均衡により大幅に変動する可能性があります。競争激化による航空運賃の下落の他、為替レートや航空燃料油価格の変動によっても、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
航空運送事業の業務遂行には、ITの円滑な運用は今や欠かせない企業基盤となっているため、システムの安全及び安定稼働の確保に努めていますが、システムダウンが一定期間以上におよぶ場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
航空機を運航する当社グループ会社は、航空運送事業者として国際条約、二国間協定、IATA(国際航空運送協会)の決定事項その他の国際的取り決めに従って国際航空運送事業を営んでおり、当社グループの航空運送事業は運賃及び料金の設定に関し独占禁止法の制約を受ける場合があります。また、米国を中心に世界規模で航空保安強化に係る法規制が進むなか、保安対策費用の増加が見込まれます。加えて、民間国際航空の分野では環境負荷低減の取り組みが着実に進行しており、規制強化などによって対策費用が増加した場合は、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(9)取引先との関係に係る影響について
当社グループのドライバルカー部門及びタンカー部門においては、取引先との長期契約に重点を置いています。かかる長期契約には、決定された運賃、使用船腹量及び費用調整条項が定められ、市場環境の変化による影響を安定化させるのに役立っています。しかしながら、当社グループが長期契約を結んでいる一部の取引先の経営状態等が悪化し、取引先が契約条項の全部又は一部の履行を継続できなくなる可能性があります。一方当社グループは、かかる長期契約上の義務を履行するにあたって、第三者からの傭船によって船舶を調達する場合があります。傭船先の一部が、傭船期間終了前に当社グループとの契約を履行できなくなる可能性があり、これによって他の船舶を調達するための費用が発生する可能性もあります。今後このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。なお、長期契約は市況の変動による影響を軽減できる反面、市況の上昇局面においても直ちに高い運賃を請求できなくなります。
当社グループの重要な取引先には、自動車メーカー、製紙会社、電機メーカー、製鉄会社、公共事業会社や小売業者等が含まれています。仮に、重要な取引先との間の取引規模が縮小したり、重要な取引先を失うようなことがあれば、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(10)投資計画に係る影響について
当社グループは、船隊や航空機の整備等に係る投資を計画し、実行していますが、今後の世界経済の状況や海運市況及び公的規制等の動向によって、これらが計画どおりに進捗しない場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
新造船の発注から竣工までには数年の年月を要し、その間の需要の変化も一つの要因です。大型の造船計画に伴う納入遅延の可能性や、造船所における労働争議、造船所の経営難など造船所自体に関わる要因によっても左右されます。
(11)金利動向による影響について
当社グループは、船舶や航空機、輸送関連施設等の取得に係る設備投資需要や事業活動に係る運転資金需要に対し、内部資金を充当する他、外部から資金を調達しています。これらの外部資金については、現在、変動金利で調達する部分もあり、金利環境を勘案の上、金利固定化等により、金利変動による影響の軽減に努めていますが、将来の金利変動によっては、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(12)運航船舶等の処分に関する影響について
当社グループは、海運市況の著しい変動、及び運航する船舶や航空機の新技術開発・導入に起因する陳腐化あるいは安全規制・諸規則の変更等による物理的使用制限等により、当社グループが保有する船舶や航空機を売却する場合、又は当社グループが傭船する船舶の傭船契約解約を実施する場合があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
船舶又は航空機を売却する際、常に有利な条件で売却できる保証はなく、またそもそも売却できない可能性もあります。市況が低迷し、船舶及び航空機の市場価格が下落しているときに、減価償却が済んでいない船舶及び航空機を簿価より低い価格で売却しなければならない場合もあり、その場合売却損を被る可能性もあります。また、売却をしない場合でも、現在の市場低迷が回復せず、又は更に悪化した場合、船舶、航空機その他の資産の価値が下落して評価損を被る可能性があります。
傭船契約を解約する場合は、船主と協議の上、違約金を支払う可能性があります。
(13)投資有価証券における評価損による影響について
当社グループは、有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうち時価のあるものについては決算日前1ヶ月の市場価格の平均等に基づく時価法を採用しています。株式市況の変動等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(14)退職給付制度による影響について
当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度及び退職一時金制度を設けています。年金制度の変更、年金資産運用の状況及び退職給付会計において設定される前提条件の変更等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(15)繰延税金資産の回収可能性の評価における影響について
当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価していますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、あるいは税率変動等を含む各国税制の変更等があった場合、その判断を行った期間に繰延税金資産を減額し、税金費用を計上することになります。
その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(16)訴訟その他の法定手続の発生について
当社グループの定期船事業、航空運送事業、物流事業、不定期専用船事業、不動産業、その他の事業の事業活動において、各種の訴訟や規制当局による調査及び処分に関するリスクを有しています。以下の事例も含め、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、平成24年9月以降自動車等の貨物輸送に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、欧州その他海外当局の調査対象となっています。これに関連し、現時点で見込む欧州当局への制裁金及び豪州における罰金支払いに伴う損失に備え、独禁法関連引当金繰入額として約195億円を当期の特別損失に計上しました。
また、完成自動車車両等の海上輸送について、主要自動車船社と共同して運賃を設定したとして、請求金額を特定しないまま損害賠償及び差し止め等を求める集団民事訴訟を、米国その他の地域にて提起されていますが、現時点ではこれらの調査・訴訟の結果を合理的に予測することは困難です。
なお、上記は当社グループが事業を継続する上で、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではありません。
当社は、平成28年10月31日開催の取締役会において、川崎汽船株式会社及び株式会社商船三井と、関係当局の許認可等を前提として3社の定期コンテナ船事業(海外ターミナル事業を含む)の統合を目的とした事業統合契約及び株主間契約を締結することを決議し、同日、3社間でそれぞれの契約を締結しました。
同事業統合に向けた合弁会社の設立は平成29年7月1日を予定、また、同合弁会社による定期コンテナ船事業のサービス開始は平成30年4月1日を予定しており、現在、3社共同で準備を進めています。
合弁会社の概要(予定)
出資額 :約3,000億円
出資比率 :川崎汽船株式会社 31%
株式会社商船三井 31%
当社 38%
事業内容 :定期コンテナ船事業(海外ターミナル事業を含む)
当社グループは、安全運航と環境の保護に資する技術開発に積極的に取り組んでいます。完全子会社である㈱MTIを核として、気象・海象データ、運航データ等を船陸間で共有し、データを利用した最適運航を目指すアプリケーションや、船内プラントの状態監視・故障予知を行うアプリケーションの研究開発を行っています。
また、実際の運航データに基づき、船体を改造することで燃費性能を向上させる等、ソフト・ハードの両面から、当社グループが有するビッグデータを活用した研究開発を進めています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,306百万円であり、研究開発は主に㈱MTI(その他の事業)において行っています。
当社グループの財政状態及び経営成績の分析・検討の内容は以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に準拠して作成されています。その作成にあたっては経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
① 収益の認識
当社グループの海運業収益は、コンテナ船に関しては複合輸送進行基準、それ以外は主として航海完了基準によっています。海運業以外の事業に関しては、役務が提供された時点で収益を認識することを基本とした合理的な基準を採用しています。
② 貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
③ 投資の評価について
当社グループは、金融機関や取引先等の株式を保有しています。これらの株式は、市場価格が存在する株式等に関して原則として市場価格にて評価を行い、市場価格の存在しない株式等に関しては投資先の財政状態等を勘案し、価値の下落が一時的でないと判断する場合には減損処理を行います。
④ 減価償却資産の償却
当社グループは、有形及び無形の減価償却資産を保有しています。これらの減価償却資産は、合理的と判断される償却方法及び償却期間で償却されていますが、実際の資産価値の減価は会計上の減価償却による貸借対照表価額の減少とは異なる場合があります。
⑤ 退職給付
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社グループは毎年数理計算の基礎となる前提条件を見直しており、必要に応じて、その時々の市場環境等をもとに調整を行っています。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、あるいは税率変動等を含む各国税制の変更等があった場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上されます。
⑦ 固定資産の減損
当社グループは、原則として事業用資産においては管理会計上の区分でありかつ投資の意思決定を行う事業ごとにグルーピングを行い、賃貸不動産、売却予定資産及び遊休資産等においては個別物件ごとにグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき算定しています。
(2)経営成績の分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」をご参照ください。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ2,005億円減少し、2兆441億円となりました。負債合計額は、前連結会計年度末に比べ517億円増加し1兆4,522億円となりました。純資産の部では、利益剰余金が2,679億円減少し、株主資本とその他の包括利益累計額の合計である自己資本が5,224億円となり、これに非支配株主持分694億円を加えた純資産の合計は、5,919億円となりました。これらにより、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は1.81となりました。なお、D/Eレシオ算定上の有利子負債は連結貸借対照表上に計上されている負債のうち、借入金、社債及びリース債務を対象としています。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの定期船事業や不定期専用船事業運営に関する海運業費用です。この中には貨物費・燃料費・港費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業や航空運送事業等の運営に関する労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。一方、設備資金需要としては船舶・航空機投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に1,559億円の設備投資を行っています。
③ 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金については、財務の健全性を損なうことなく、また、過度に特定の市場リスクに晒されることなく安定的に確保するために、金融機関からの借入や社債、コマーシャル・ペーパーの発行による調達を行うこととしているほか、船舶・航空機に関してはリース等を活用しています。
当社グループの主要な設備である船舶投資については、営業活動によって個々の船舶が将来収受する運賃もしくは貸船料収入の通貨や期間にあわせた長期の借入のほか、社債発行により調達した資金や内部留保した資金も投入しています。このほか物流・ターミナル施設等設備投資についても同様に将来のキャッシュ・フローにあわせた安定的な資金等を投入しています。運転資金については、主に期間が1年以内の短期借入並びにコマーシャル・ペーパーの発行により調達することとしていますが、一部長期の借入によっても調達しています。平成29年3月31日現在の長期借入金の残高は6,865億円で、通貨は円のみならず米ドル、ユーロ等の外貨建借入金を含んでおり、金利は変動及び固定です。また、資本市場から調達した社債の残高は、平成29年3月31日現在1,450億円となっています。
当社グループは、資金の流動性確保に努めており、平成29年6月21日現在1,000億円のコマーシャル・ペーパー発行枠に加え、シンジケーション方式等による金融機関からの円建て及び米ドル建てコミットメントライン(借入枠)を有しているほか、キャッシュマネージメントシステム等を活用しグループ内金融による資金効率向上にも取組んでいます。
なお、当社は国内2社、海外1社の格付機関から格付を取得しています。平成29年6月21日現在の負債格付(長期)は、日本格付研究所(JCR):「A」、格付投資情報センター(R&I):「BBB+」、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:「Baa3」となっています。