第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念に掲げ、生活利便の向上に役立つ商品・サービスを開発してまいりました。

 今後も、お客様の立場に立ったより良いサービスを提供することを基本方針とし、お客様に最も良いサービスを提供できる理想的な拠点・集配・情報のネットワークを完成させ、より一層高度なサービスを実現してまいります。また、生産性の向上をはかるなど効率化を推進し、収益力の強化に努めることで、安定した経営を目指してまいります。

 

(2) 経営環境、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 今後の経済情勢については、企業業績は底堅さを維持し緩やかな回復基調が続くものの、海外政治情勢による影響など、先行き不透明な状況が継続することが想定されます。

 また、消費スタイルの急速な変化等に伴い小口貨物が増加し続ける一方、国内労働需給の逼迫感がさらに強まるなど、物流業界においては厳しい経営環境が続くものと想定されます。

 このような環境の中、2019年に創業100周年を迎えるヤマトグループは、次の100年も持続的に成長していくために、経営基盤の強化を目的とし、中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」を策定しました。

 この中期経営計画では、ヤマトグループ全体での「働きやすさ」と「働きがい」を実現し、ヤマトグループの原点である全員経営をさらに実践するため、「働き方改革」を経営の中心に据えます。同時に「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つの改革を実行してまいります。あわせて、デジタル・イノベーションへの機動的な対応やグローバル企業としてより高い水準のガバナンス体制の確立に取り組んでまいります。

 当中期経営計画の最終年度となる2020年3月期は、連結営業収益1兆6,700億円、連結営業利益720億円(連結営業利益率4.3%)、ROE7.7%の達成を目指してまいります。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 ヤマトグループは、引き続き、持続的に成長していくために「社員満足」を最優先とした経営の実現、すなわち労働環境の改善(「働き方改革」)を図るとともに、グループ全体の事業モデルについて、これからの時代にあわせた変革を進めつつ、株主様・お客様・社会・社員ならびに取引先の満足の実現に向けて、以下の戦略に取り組んでまいります。

① 健全な企業風土の醸成に向けて、お客様に信頼される品質の確立に最優先で取り組むとともに、ESGの強化、すなわち、社員満足の向上や、法務面や財務面におけるガバナンスの強化、CSR活動などを推進してまいります。特に社員満足の向上については、「働き方改革」を最優先の課題とし、多様な人材から選ばれる魅力のある人事制度に刷新することで、労働力の確保に取り組むとともに、社員の自主・自律が評価され、イキイキと働くことができる評価制度の導入や、教育体系を再構築することで、社員の誇りとやりがいを創出するなど、グループ全体で「働きやすさ」と「働きがい」を実現し、ヤマトグループの原点である「全員経営」を実践してまいります。

② グループの中核であるヤマト運輸株式会社の「働き方改革」については、「社員がイキイキと働くことができる労働環境を実現し、社員の満足を高めていくこと」を最優先事項に据え、引き続き、「労務管理の改善と徹底」、「ワークライフバランスの推進」などに取り組むとともに、将来にわたる労働力の不足に対して、事業者様とのシステム連携やオープン型宅配便ロッカー設置の加速化、先端技術の積極活用を進め、集配部門・事務部門・作業部門などあらゆる領域における生産性の向上に取り組んでまいります。さらに、現在推進している「継続的かつ適正なプライシング施策」、「効率的なラストワンマイルネットワークの再構築」によって、集配キャパシティの拡大と収益力の回復を両立させてまいります。

 

 

③ 日本経済の成長戦略に貢献するため、物流改革を実現する「バリュー・ネットワーキング」構想を推進してまいります。引き続き、「羽田クロノゲート」、「厚木ゲートウェイ」、「中部ゲートウェイ」、「沖縄国際物流ハブ」そして、2017年11月に稼働を開始した「関西ゲートウェイ」を活用し、ヤマトグループの最大の強みであるラストワンマイルネットワークをさらに進化させていくとともに、そのネットワークに、情報・物流・決済などの経営資源を融合させることで、物流のスピード・品質・コストの全てを向上させる高付加価値モデルの創出、展開に取り組んでまいります。

④ 海外市場に対しては、ヤマトグループ7社が取得した小口保冷配送サービスに関する国際規格の認証を梃とし、高付加価値なクロスボーダー・ネットワークの構築を積極的に推進するなど、引き続きクロスボーダー物流の拡大に対応すべく、日本・東アジア・東南アジア・欧州・米州の5極間の連携と各地域の機能強化に取り組んでまいります。

⑤ 経営基盤の強化に向けて、最先端のデジタルテクノロジーを取り入れ、新たな事業を創出し、既存事業を進化・革新することに加え、グループの総合力を発揮し、「稼ぐ力」を高めるため、グループ経営構造を改革し、アカウントマネジメント・管理会計・人事(評価)の三位一体で経営システムを刷新してまいります。

⑥ 地域の皆様の生活支援や地域経済の活性化に向けて、日本各地の行政や企業と連携したプラットフォームを構築してまいります。本業を通じて、企業と社会が共有できる価値を創造し、「社会から一番愛され信頼される企業グループ」となることを目指してまいります。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

(1) デリバリー事業への依存度の高さによるリスク

 ヤマトグループの連結営業収益に占めるデリバリー事業の構成比は当連結会計年度において約8割を占めてお

り、他の事業と比べて、デリバリー事業の業績がヤマトグループの業績に与える影響は大きなものとなっております。

 デリバリー事業は、事業構造改革に取り組んでまいりますが、これらの施策が奏功しなかった場合、ヤマトグ

ループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 労働力の確保が困難になるリスク

 ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。「働き方改革」に全社を挙げて取り組み、労働環境の改善と整備、および社員の定着に取り組んでまいりますが、労働需給がさらに逼迫し、人材を十分に確保できなかった場合には、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、法令や制度の改正、物価変動等により社員に関わるコストが大幅に増加した場合にも、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 人材流出による事業ノウハウの社外流出リスク

 ヤマトグループは、他社とのサービスの差別化を図るため、新商品の開発、ネットワークの構築方法等各種のノウハウを蓄積してまいりました。これらの蓄積したノウハウの大半は法的な保護をすることが難しいため、人材流出とともにノウハウが外部に流出し、第三者に類似するサービスを提供されることを効果的に防止できず、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

(4) サービス品質管理の不徹底による信用低下リスク

 ヤマトグループは、これまで質の高いサービスの提供によりお客様から高い社会的信用を得てまいりました。それにより、現在は競争優位性を確保しております。しかし、社内ルールの不徹底によるサービス品質の低下、宅急便等でお預りした荷物の破損、紛失等の事故といった問題が発生した場合には、社会的信用が低下する可能性があります。このような事態が発生した場合、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

(5) 重大交通事故による信用低下リスク

 ヤマトグループは、デリバリー事業を中心に公道を使用して車両により営業活動を行っております。営業にあたり、人命の尊重を最優先とし安全対策に努めておりますが、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下し、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。また、重大交通事故を発生させた事業者に対しては行政処分として車両の使用停止が行われます。さらに「違反点数制度」により、事業所の営業停止や事業許可の取り消し等が行われ、事業が中断、中止するような事態となった場合は、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) サイバー攻撃等のリスク

 ヤマトグループは、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を想定し、組織的・人的な対策と多層防御による技術的対策を取っておりますが、ゼロデイ攻撃など想定を超えるサイバー攻撃などによりコンピュータシステムや営業活動を部分的に停止することを余儀なくされた場合、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

(7) 顧客情報の流出リスク

 ヤマトグループは、多くの顧客情報を取り扱っております。宅急便、引越等の伝票には利用顧客の個人情報が掲載されています。また、電子データ交換(EDI)による計上等お客様からの出荷情報データに基づき売上計上を実施する場合もあります。e-ビジネス事業においては、各種の顧客情報の処理を受託し、顧客情報を管理しております。その他、各事業において多様な顧客情報を取り扱っております。ヤマトグループには顧客情報に対する守秘義務があり、それに努めておりますが、管理の不徹底等により情報が外部に漏洩した場合、ヤマトグループの社会的信用の低下を招くだけでなく、損害賠償請求等が発生します。これらの事象が発生した場合、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 法的規制に関するリスク

 ヤマトグループは、宅急便事業を中心に様々な事業を展開し、それぞれの事業分野において各種法令の規制を受けております。ヤマトグループはコンプライアンス経営の確立を最重要課題と定め、取組みを進めておりますが、法令等の改正により営業活動が制限され、営業収益の減少や規制対応のための費用増加等が発生した場合、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 環境問題による公的規制リスク

 ヤマトグループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しております。近年環境問題への関心が高まる中、ヤマトグループは低公害車の導入やエコドライブの推進等、環境対策を自主的に進めておりますが、当社の想定を上回る環境規制が実施された場合、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

(10) 災害、停電等のリスク

 ヤマトグループは、車両による荷物の輸送が主要な業務であり、荷物の仕分を行っているベース店の自動仕分機や情報管理を行うコンピュータ等、電気の供給が必要な設備によって事業が営まれております。これらの設備はすべて定期的な災害防止検査や設備点検を行っておりますが、予期せぬ大規模自然災害や停電等により、荷物の停滞等が発生した場合、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

(11) 国際情勢等の影響によるリスク

 ヤマトグループが営業活動を行っている地域や、主要な取引先が営業活動を行っている地域がテロ・戦争等の国際紛争や新型インフルエンザ等の感染病の影響を被った場合、荷物の停滞や社員の避難等により、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、ヤマトグループは、デリバリー事業をはじめとして、車両による荷物の輸送を主要な事業としており、軽油等燃料が常時安定的かつ適正に供給されることは事業を行う上で不可欠であります。これに対して、モーダルシフト、低公害車の導入、台車集配の推進等、使用燃料を抑制する施策を実行しておりますが、国際情勢等の影響により供給に制約が発生した場合、また、燃料価格が高騰した場合、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

(12) 与信管理コストと金利変動の影響によるリスク

 ヤマトグループは、フィナンシャル事業において信用購入あっせん業を営んでおります。景気動向等の影響により自己破産が継続して高い水準で推移するような状況下においては、与信管理コストの増加が懸念されます。また、資金調達の安定化を図るため必要な対策を随時実施しておりますが、金利が想定以上に変動した場合、ヤマトグループの業績に影響を与える可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

ⅰ.財政状態

 総資産は1兆1,154億33百万円となり、前連結会計年度に比べ7億61百万円増加しました。

 負債は5,578億46百万円となり、前連結会計年度に比べ112億66百万円減少しました。

 純資産は5,575億86百万円となり、前連結会計年度に比べ120億27百万円増加しました。

 

ⅱ.経営成績

 当連結会計年度における経済環境は、企業業績は底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いているものの、海外政治情勢による影響など、引き続き、先行きは不透明な状況にあります。また、消費スタイルの急速な変化に伴うEC市場の拡大等による小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫など、物流業界は厳しい経営環境が継続しています。

 このような状況下、ヤマトグループは高品質なサービスを提供し続けるため、「働き方改革」を経営の中心に据え、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つの改革を柱とした中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」を策定し、ヤマトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化に注力しました。

 デリバリー事業においては、「社員の労働環境の改善と整備」、「宅急便の総量コントロール」、「宅急便ネットワーク全体の最適化」、「ラストワンマイルネットワークの強化による効率向上」、「宅急便の基本運賃と各サービス規格の改定」を内容とする「デリバリー事業の構造改革」を推進しました。その中で、法人のお客様に対する運賃の見直し交渉や、一部の大口法人のお客様に対して要請した出荷調整が進展するなど、多くのお客様にご理解とご協力をいただきました。その結果、第3四半期以降は宅急便取扱数量が減少に転じ、プライシングの適正化により宅急便単価が上昇し始めるなど、「働き方改革」の推進などにより費用が増加する中で、業績は回復基調となりました。

 ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グループ横断的に連携してお客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進し、業績は堅調に推移しました。

 当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。

 

    区分

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

  伸率(%)

営業収益

(百万円)

1,466,852

1,538,813

71,961

4.9

営業利益

(百万円)

34,885

35,685

800

2.3

経常利益

(百万円)

34,884

36,085

1,201

3.4

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

18,053

18,231

178

1.0

 

 上記のとおり、営業収益は1兆5,388億13百万円となり、前連結会計年度に比べ719億61百万円の増収となりました。これは主に、デリバリー事業の構造改革を推進したことにより、宅急便取扱数量が減少したものの、プライシングの適正化により宅急便単価が上昇したことによるものです。営業費用は1兆5,031億27百万円となり、前連結会計年度に比べ711億61百万円増加しました。これは主に、上期までの取扱数量の増加や、社員の負担軽減に向けた取組みに連動し、外部戦力を含めた人的コストが増加したことおよび、社員の採用を進めたことで、委託費等の下払経費や人件費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は356億85百万円となり、前連結会計年度に認識した労働時間にかかる一時金の計上額が減少した影響もあり、前連結会計年度に比べ8億円の増益となりました。

 

<ヤマトグループ全体としての取組み>

イ.ヤマトグループは、グループの原点である「全員経営」を実践するため、「働き方改革」を最優先課題とし、ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造委員会」を中心に、社員がより「働きやすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備に全社一丸で取り組んでいます。また、各事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際競争力の強化に貢献する「バリュー・ネットワーキング」構想を推進するとともに、事業の創出・成長の基盤となる健全な企業風土の醸成に取り組んでいます。

ロ.健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やITによる業務量の見える化など、業務の効率性・信頼性を向上させる施策を推進するとともに、環境施策や安全施策、地域社会の活性化に向けた取組みなど、ヤマトグループの事業活動に結びついたCSR活動を積極的に推進しています。

ハ.「バリュー・ネットワーキング」構想の更なる進化に向け、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加価値モデルの創出に取り組んでいます。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワンマイルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「厚木ゲートウェイ」、「中部ゲートウェイ」、「沖縄国際物流ハブ」、2017年11月に稼働を開始した「関西ゲートウェイ」といった革新的なネットワーク基盤を、より効果的に活用していきます。

ニ.海外市場に対しては、クロスボーダー物流の拡大に対応すべく、日本・東アジア・東南アジア・欧州・米州の5極間の連携と各地域の機能強化に取り組んでいます。当連結会計年度においてはフランス国内最大手のエクスプレス事業者と日仏間のクロスボーダー小口保冷輸送ビジネスの拡大と両社が持つ小口保冷輸送に関するノウハウを共有するクロスライセンスを含む包括的なパートナーシップ契約を締結したほか、2017年9月にクール宅急便の取扱いを開始したベトナムを含め、ヤマトグループ7社が小口保冷配送サービスに関する国際規格の認証を取得するなど、コールドチェーンを核として、高付加価値なクロスボーダー・ネットワークの構築を推進しています。

ホ.EC市場を中心としたお客様の利便性向上を図るべく、駅やコンビニエンスストアなどを中心にオープン型宅配便ロッカーネットワークの構築を積極的に推進するなど、手軽に荷物を受け取れる環境の整備に取り組むとともに、自動運転技術を活用したオンデマンド配送サービス等を提供する「ロボネコヤマト」プロジェクトの実用実験を引き続き実施するなど、次世代物流サービスの開発に取り組むとともに、大量輸送が可能な日本初の新規格の長大連結トレーラを導入するなど、輸送効率化に向けた先端技術の活用も加速させています。また、2017年10月に日本初の三辺自動梱包機を厚木ゲートウェイに導入するなど、今後深刻化する労働力不足などの社会的課題や、益々拡大するEC市場に対応するため、物流全体におけるデジタル化、自動化に取り組んでいます。

 

<事業フォーメーション別の概況>

○デリバリー事業

  宅急便、クロネコDM便の取扱数量は以下のとおりです。

    区分

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

  伸率(%)

宅急便

(百万個)

1,867

1,836

△30

△1.7

クロネコDM便

(百万冊)

1,542

1,464

△77

△5.0

 

イ.デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便を中心とした事業の展開に取り組んでいます。

ロ.消費スタイルの急速な変化に伴うEC市場の拡大等による小口貨物の増加基調に加え、国内労働需給の逼迫など厳しい事業環境が継続している中、「社員の労働環境の改善と整備」、「宅急便の総量コントロール」、「宅急便ネットワーク全体の最適化」、「ラストワンマイルネットワークの強化による効率向上」、「宅急便の基本運賃と各サービス規格の改定」を内容とする「デリバリー事業の構造改革」を推進しました。「社員の労働環境の改善と整備」においては、社員の昼休憩の確保や長時間労働防止に向け、宅急便受付締切り時間を繰り上げ、宅急便の配達時間帯の指定区分を従来の6区分から5区分に変更しました。また、2017年10月に宅急便の基本運賃を改定し、法人のお客様に対する運賃の見直し交渉や、一部の大口法人のお客様に対して要請した出荷調整が進展するなど、多くのお客様にご理解とご協力をいただきました。なお、交渉途上にある法人のお客様とは交渉を継続しています。

ハ.成長が続くEC市場に対しては、小さな荷物を手軽に送ることができる「宅急便コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフリマサイトと連携し、発送窓口拡大を推進しています。当連結会計年度においては、EC事業者様向けにオープンプラットフォームを提供する事業者と連携し、お客様が商品を購入した場合に、受け取り場所としてヤマト運輸株式会社の営業所やコンビニエンスストア、オープン型宅配便ロッカー(PUDO)を指定できる環境を提供するとともに、会員制サービス「クロネコメンバーズ」の「Myカレンダーサービス」に受け取りを希望する曜日・時間帯に加え、新たに「受け取り場所」を設定できる機能を追加するなど、お客様の利便性向上に取り組みました。

ニ.法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的に推進しています。また、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組んでいます。当連結会計年度においては、クラウド上でご利用いただける新たな送り状発行サービス「B2クラウド」のご利用を推進しました。また、EC事業者様のビジネスを支援するため、法人向け会員制サービス「ヤマトビジネスメンバーズ」を通じて、荷物の発送や受け取りを便利にするAPIを公開するなど、新たなサービスの提供に取り組みました。

ホ.地域活性化に向けた事業としては、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者見守りなど、住民へのサービス向上に取り組みました。また、農水産物をはじめとする生鮮品の鮮度を保ったままスピーディーにアジア圏へ配送することで、地域産品の販売拡大を支援するなど、地元産業の活性化につながる取組みを推進しました。

ヘ.営業収益は、宅急便の基本運賃改定や法人のお客様に対する運賃の見直し交渉によるプライシングの適正化に取り組み、宅急便単価が上昇した結果1兆2,017億45百万円となり、前連結会計年度に比べ4.4%増加しました。営業利益は、「働き方改革」の推進などにより費用が増加する中で、第3四半期以降回復基調となりました。その結果、当連結会計年度においては67億58百万円となり、前連結会計年度に比べ19.9%増加しました。

 

○BIZ-ロジ事業

イ.BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物流システムを提供しています。

ロ.EC業界等に向けたサービスとしては、お客様のご要望に応じて、受発注処理から在庫の可視化、スピード出荷などの多様な物流支援サービスをワンストップで提供しています。当連結会計年度においては、既存サービスの取扱いが増加したことなどにより、収益が好調に推移しました。

ハ.メディカル事業者様に向けたサービスとしては、医療機器のローナー支援(保管・洗浄・配送)をはじめとする、物流改革の支援サービスを展開しています。当連結会計年度においては、新たに獲得したお客様のご利用が拡大するなど、収益は堅調に推移しました。

ニ.営業収益は、EC事業者様向けの既存サービスが好調に推移したことや業界別のソリューション提供が進展したことなどにより1,219億39百万円となり、前連結会計年度に比べ12.2%増加しました。営業利益は40億87百万円となり、前連結会計年度に比べ0.4%増加しました。

 

○ホームコンビニエンス事業

イ.ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワークを活用し、生涯生活支援事業や法人活動支援事業に取り組んでいます。

ロ.個人のお客様に向けては、大型家具・家電の配送サービス「らくらく家財宅急便」や引越関連サービス、「イエナカ」での日常のお困りごとを解消する「快適生活サポートサービス」など、日々の生活を支援するサービスを展開しています。当連結会計年度においては、引き続き、フリマアプリと連携し、大型荷物を簡単に送れる新たな配送サービスを提供する「らくらく家財宅急便」の取扱い拡大に取り組むとともに、「快適生活サポートサービス」の拡販を積極的に推進しました。

ハ.法人のお客様に向けては、ヤマトグループと工事会社のネットワークを融合し、住宅設備などの配送・設置から工事・保守までをワンストップで提供する「テクニカルネットワーク事業」をはじめとする事業支援サービスを展開しています。当連結会計年度においては、オフィス移転案件などの獲得に着実に取り組みました。

ニ.営業収益は、「らくらく家財宅急便」や、「快適生活サポートサービス」の取扱いが好調に推移したものの、「働き方改革」の推進に伴う、引越し繁忙期における業務量のコントロールなどにより489億円となり、前連結会計年度に比べ0.5%減少しました。営業利益は5億22百万円となり、前連結会計年度に比べ51.4%減少しました。

 

○e-ビジネス事業

イ.e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に展開しています。また、グループの事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進しています。

ロ.商品の受注・出荷業務を支援するサービスとしては、出荷情報の処理や伝票印字、荷物追跡などの業務を包括的にサポートする「Web出荷コントロールサービス」を提供しています。当連結会計年度においては、EC市場の成長などを背景に、既存の大口のお客様を中心にサービスのご利用が拡大しました。

ハ.営業活動で主にパンフレット・カタログ等の販促品を使用するお客様に向けては、販促品の受発注システムや倉庫保管・管理・配送等の物流、印刷をトータルで提供する「e-オンデマンドソリューション事業」を展開しています。当連結会計年度においては、新たに獲得したお客様や既存のお客様のご利用が拡大しました。

ニ.営業収益は、「Web出荷コントロールサービス」の取扱い拡大や、「e-オンデマンドソリューション事業」において、お客様のご利用が拡大したことなどにより464億80百万円となり、前連結会計年度に比べ1.8%増加しました。営業利益は105億87百万円となり、前連結会計年度に比べ13.0%増加しました。

 

○フィナンシャル事業

イ.フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニーズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。

ロ.決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス「クロネコwebコレクト」や「クロネコ代金後払いサービス」、電子マネー決済機能の利用拡大を推進しています。当連結会計年度においては、「クロネコwebコレクト」、「クロネコ代金後払いサービス」のご利用を促進し、お客様に幅広い決済サービスを提供するとともに、収益性の向上に取り組みました。また、今後も拡大が見込まれるEC市場において、事業者様の新規参入を支援するサービス「らくうるカート」の販売を開始し、決済、配送支援、ショッピングカート機能をワンストップで提供するなど、サービスの向上に取り組みました。

ハ.リース事業では、トラックを中心としたファイナンス・リースや割賦販売が順調に推移するとともに、車両の紹介や売却サポートなどの周辺業務を展開し、車両に関するトータルソリューション提案を推進しました。

ニ.営業収益は、リース事業などが好調に推移したことにより829億81百万円となり、前連結会計年度に比べ6.4%増加しました。営業利益は、代引き市場の縮小などに伴い、主力である「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより79億12百万円となり、前連結会計年度に比べ4.0%減少しました。

 

○オートワークス事業

イ.オートワークス事業は、物流・流通事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」という価値を提供するため、「24時間365日営業・お客様の稼働を止めないサービス」を展開しています。さらに、「物流施設、設備機器の維持保全や職場環境改善」や、これらの資産を対象に「お客様のリスクマネジメントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の事業運営に係るワンストップサービスを実現しています。

ロ.当連結会計年度においては、定期的にお客様のもとへ訪問する「リペアワークス」の営業を積極的に展開するなど、取扱いの拡大に向け取り組みました。

ハ.営業収益は、車両取扱台数の増加などにより246億41百万円となり、前連結会計年度に比べ0.1%増加しました。営業利益は、業務の標準化や見える化などの業務プロセス効率化が進展したことなどにより41億41百万円となり、前連結会計年度に比べ26.5%増加しました。

 

○その他

イ.「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当連結会計年度においては、既存のサービスが好調であったことにより、ご利用が着実に拡大しました。

ロ.営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて22億52百万円となり、前連結会計年度に比べ3.2%増加しました。

<CSRの取組み>

イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しています。当連結会計年度においては、海外を含めたグループ全体で「事故ゼロ運動」を実施したことに加え、ヤマト運輸株式会社が「第7回全国安全大会」を開催し、プロドライバーとしての安全運転のレベルアップと全社の安全意識や運転技術の向上に取り組みました。また、子どもたちに交通安全の大切さを伝える「こども交通安全教室」を1998年より継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで開催しており、累計参加人数は約300万人となりました。

ロ.ヤマトグループは、環境保護活動を「ネコロジー」と総称し、環境に優しい物流の仕組みづくりに取り組んでいます。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を2005年より継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約24万人となりました。

ハ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パンの製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。

ニ.ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティング・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当連結会計年度においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域等のバス・鉄道路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的とする「客貨混載」を、岩手県、宮崎県、北海道、熊本県、兵庫県、長野県、和歌山県、徳島県、岐阜県、愛知県の10地域で推進するとともに、2018年2月より宮崎県では、さらなる物流の効率化に向け、他の運送事業者と連携した「客貨混載」での共同輸送を開始しました。また、神奈川県藤沢市のFujisawa SST(Fujisawa サスティナブル・スマートタウン)内に開業した、一括配送など街の物流インフラを担う「Next Delivery SQUARE(ネクストデリバリースクエア)」においては、引き続き物流効率化や次世代物流サービスの実現に向けた取組みを推進しています。さらに、全国各地で高齢者の見守り支援や観光支援、産物の販路拡大支援など、ヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課題解決に取り組み、行政と連携した案件数の累計は2,087件となりました。

ホ.ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が「働きやすさ」と「働きがい」を持ち、イキイキと働ける労働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取り組んでいます。

 

② キャッシュ・フローの状況

○営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは517億28百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が215億96百万円減少しました。これは主に、前連結会計年度において特別給付賃金引当金151億29百万円を計上したことによるものであります。

○投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは411億74百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が328億25百万円減少しました。これは主に、投資有価証券の取得による支出が220億80百万円減少したことによるものであります。

○財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは369億30百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が181億52百万円増加しました。これは主に、借入金の収支による支出が289億19百万円増加したことによるものであります。

 以上により、当連結会計年度における現金及び現金同等物は2,028億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ260億63百万円減少しました。

③ 生産、受注及び販売の実績

 セグメントごとの事業別営業収益は次のとおりであります。

 なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。

    セグメ

ントの名称

前連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

比 較

増減率

(%)

 

 事業

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

デリバリー

事業

宅急便

1,047,668

71.4

1,099,341

71.4

4.9

クロネコDM便

85,383

5.8

82,542

5.4

△3.3

エキスプレス

42,272

2.9

42,456

2.8

0.4

その他

99,497

6.8

102,856

6.7

3.4

内部売上消去

△123,793

△8.4

△125,453

△8.2

1.3

1,151,028

78.5

1,201,745

78.1

4.4

BIZ-ロジ

事業

貿易物流サービス

35,583

2.4

39,075

2.5

9.8

販売物流サービス

40,390

2.8

46,493

3.0

15.1

マルチメンテナンス

13,916

0.9

15,586

1.0

12.0

プロダクツ

ロジスティクス

4,390

0.3

4,797

0.3

9.3

その他

43,637

3.0

46,788

3.0

7.2

内部売上消去

△29,275

△2.0

△30,800

△2.0

5.2

108,643

7.4

121,939

7.9

12.2

ホームコンビニ

エンス事業

ホームコンビニエンス

42,016

2.9

41,938

2.7

△0.2

ビジネス

コンビニエンス

17,847

1.2

16,396

1.1

△8.1

テクニカル

ネットワーク

3,951

0.3

4,428

0.3

12.1

内部売上消去

△14,651

△1.0

△13,863

△0.9

△5.4

49,163

3.4

48,900

3.2

△0.5

e-ビジネス

事業

e-ロジ

ソリューション

11,465

0.8

12,381

0.8

8.0

カードソリューション

9,711

0.7

9,733

0.6

0.2

ITオペレーティング

6,834

0.5

6,971

0.5

2.0

e-通販

ソリューション

5,625

0.4

5,433

0.4

△3.4

その他

53,954

3.7

54,976

3.6

1.9

内部売上消去

△41,952

△2.9

△43,016

△2.8

2.5

45,639

3.1

46,480

3.0

1.8

フィナンシャル

事業

ペイメント

37,403

2.5

34,907

2.3

△6.7

リース

36,040

2.5

40,498

2.6

12.4

クレジット

ファイナンス

3,650

0.2

3,768

0.2

3.2

その他

4,021

0.3

6,785

0.4

68.7

内部売上消去

△3,131

△0.2

△2,979

△0.2

△4.9

77,985

5.3

82,981

5.4

6.4

 

 

セグメ

ントの名称

前連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

比 較

増減率

(%)

 

 事業

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

オートワークス

事業

トラック

ソリューション

47,472

3.2

48,768

3.2

2.7

その他

7,888

0.5

8,868

0.6

12.4

内部売上消去

△30,746

△2.1

△32,994

△2.1

7.3

24,613

1.7

24,641

1.6

0.1

その他

JITBOX

チャーター便

9,126

0.6

10,467

0.7

14.7

その他

63,984

4.4

48,935

3.2

△23.5

内部売上消去

△63,333

△4.3

△47,277

△3.1

△25.4

9,777

0.7

12,125

0.8

24.0

合   計

1,466,852

100.0

1,538,813

100.0

4.9

※ 当連結会計年度より、e-ビジネス事業において、ITオペレーティングソリューションはITオペレーティング

  に事業の名称を変更しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ.財政状態

 総資産は1兆1,154億33百万円となり、前連結会計年度に比べ7億61百万円増加しました。これは主に、デリバリー事業の増収等に伴い受取手形及び売掛金が159億68百万円、当社およびフィナンシャル事業が保有する投資有価証券の時価評価等により投資有価証券が55億59百万円増加した一方で、現金及び預金が257億6百万円減少したことによるものであります。

 負債は5,578億46百万円となり、前連結会計年度に比べ112億66百万円減少しました。これは主に、フィナンシャル事業等において借入金が236億21百万円減少したことによるものであります。

 純資産は5,575億86百万円となり、前連結会計年度に比べ120億27百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が182億31百万円となったこと、および剰余金の配当を106億45百万円実施したこと等により、利益剰余金が75億84百万円増加したことによるものであります。

 以上により、自己資本比率は前連結会計年度の48.4%から49.3%となりました。

 

ⅱ.経営成績

 営業収益は1兆5,388億13百万円となり、前連結会計年度に比べ719億61百万円の増収となりました。これは主に、デリバリー事業の構造改革を推進したことにより、宅急便取扱数量が減少したものの、プライシングの適正化により宅急便単価が上昇したことによるものであります。営業費用は1兆5,031億27百万円となり、前連結会計年度に比べ711億61百万円増加しました。これは主に、上期までの取扱数量の増加や、社員の負担軽減に向けた取組みに連動し、外部戦力を含めた人的コストが増加したことおよび、社員の採用を進めたことで、委託費等の下払経費や人件費が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は356億85百万円となり、前連結会計年度に認識した労働時間にかかる一時金の計上額が減少した影響もあり、前連結会計年度に比べ8億円の増益となりました。

 経常利益は360億85百万円となり、前連結会計年度に比べ12億1百万円の増益となりました。

 特別利益は18億21百万円となり、前連結会計年度に比べ10億64百万円増加しました。これは主に、投資有価証券売却益が増加したことによるものであります。特別損失は47億83百万円となり、前連結会計年度に比べ21億80百万円増加しました。これは主に、減損損失が増加したことによるものであります。

 この結果、税金等調整前当期純利益は331億23百万円となり、法人税等(法人税等調整額を含む。)および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は182億31百万円となり、前連結会計年度に比べ1億78百万円の増益となりました。

 1株当たり当期純利益は46.24円となり、前連結会計年度に比べ0.87円増加しました。

 

○デリバリー事業

 営業収益は、宅急便の基本運賃改定や法人のお客様に対する運賃の見直し交渉によるプライシングの適正化に取り組み、宅急便単価が上昇した結果1兆2,017億45百万円となり、前連結会計年度に比べ4.4%増加しました。営業利益は、「働き方改革」の推進などにより費用が増加する中で、第3四半期以降回復基調となりました。その結果、当連結会計年度においては67億58百万円となり、前連結会計年度に比べ19.9%増加しました。

 

○BIZ-ロジ事業

 営業収益は、EC事業者様向けの既存サービスが好調に推移したことや業界別のソリューション提供が進展したことなどにより1,219億39百万円となり、前連結会計年度に比べ12.2%増加しました。営業利益は40億87百万円となり、前連結会計年度に比べ0.4%増加しました。

 

○ホームコンビニエンス事業

 営業収益は、「らくらく家財宅急便」や、「快適生活サポートサービス」の取扱いが好調に推移したものの、「働き方改革」の推進に伴う、引越し繁忙期における業務量のコントロールなどにより489億円となり、前連結会計年度に比べ0.5%減少しました。営業利益は5億22百万円となり、前連結会計年度に比べ51.4%減少しました。

 

○e-ビジネス事業

 営業収益は、「Web出荷コントロールサービス」の取扱い拡大や、「e-オンデマンドソリューション事業」において、お客様のご利用が拡大したことなどにより464億80百万円となり、前連結会計年度に比べ1.8%増加しました。営業利益は105億87百万円となり、前連結会計年度に比べ13.0%増加しました。

 

○フィナンシャル事業

 営業収益は、リース事業などが好調に推移したことにより829億81百万円となり、前連結会計年度に比べ6.4%増加しました。営業利益は、代引き市場の縮小などに伴い、主力である「宅急便コレクト」の取扱いが減少したことなどにより79億12百万円となり、前連結会計年度に比べ4.0%減少しました。

 

○オートワークス事業

 営業収益は、車両取扱台数の増加などにより246億41百万円となり、前連結会計年度に比べ0.1%増加しました。営業利益は、業務の標準化や見える化などの業務プロセス効率化が進展したことなどにより41億41百万円となり、前連結会計年度に比べ26.5%増加しました。

 

○その他

 営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて22億52百万円となり、前連結会計年度に比べ3.2%増加しました。

 

ⅲ.キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3. 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

 ヤマトグループは、ネットワーク構築、デジタル・イノベーション関連などの事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。また、フィナンシャル事業においては、リース業、信用購入あっせん業を行っており、運転資金については主に金融機関からの借入により対応しております。

 

③ 目標とする指標の達成状況等

 ヤマトグループは、中期経営計画の最終年度となる2020年3月期において、連結営業収益1兆6,700億円、連結営業利益720億円(連結営業利益率4.3%)、ROE7.7%を達成することを目標としております。

 当連結会計年度は、プライシングの適正化により宅急便単価が上昇し始めるなど、「働き方改革」の推進などにより費用が増加する中で、業績は回復基調となり、2020年3月期の目標は、達成可能な水準にあると考えております。

 今後も中期経営計画に基づき、持続的な成長を実現していくための体制構築や、技術革新への対応を実行し、集配キャパシティの拡大と収益力の回復を両立させてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費の総額は111百万円であり、研究開発活動は全てデリバリー事業に関連して行われております。

 研究開発活動の内容としては、ライフスタイルの変化などによって受け取りのニーズが多様化していることを受けて、お客様が望む時に望む場所で荷物を受け取ることができる配送サービスなど、次世代物流サービスの開発および実用実験を行っております。