○ 私たちJR東日本グループは、駅と鉄道を中心として、お客さまと地域の皆さまのために、良質で時代の先端を行くサービスを提供することにより、東日本エリアの発展をめざします。
○ 私たちは、「究極の安全」と「サービス品質の改革」に向けて、挑戦を続けます。また、技術革新やグローバル化の推進を通じて、幅広い視野を持つ人材の育成、鉄道の進化の実現、沿線価値の向上など、グループの無限の可能性を追求します。
○ 私たちは、「信頼される生活サービス創造グループ」として、社会的責任の遂行とグループの持続的成長をめざします。
わが国においては、中長期的により一層の人口減少や高齢化、東京圏への人口集中が見込まれるとともに、技術革新やグローバル化の進展なども想定されます。
また、当社グループにおいても、会社発足から30年以上が経過し、社員の世代交代の進展や鉄道ネットワークの拡充など、様々な変革課題に直面しております。
(3) 中期的な会社の経営戦略
これらの経営環境の変化を踏まえ、新たなグループ経営ビジョンの検討を進めており、中期の数値目標も含め、平成30年7月に公表を予定しております。
(4) 今後の重点取組み事項
特に力を込めて推進する項目である「今後の重点取組み事項」について、毎年、進捗状況を確認し、施策を更新しており、あわせて、平成28年10月からは、「横断的な重点課題」として「安全・安定輸送のレベルアップ」、「収益力向上への挑戦」および「『TICKET TO TOMORROW』の推進」を掲げております。
◇ 安全・安定輸送のレベルアップ
近年、当社の設備に起因する輸送障害など、安全・安定輸送に係る重大な事象を相次いで発生させ、会社として事態を重く受け止めております。当社グループの社員一人ひとりが仕事の基本に立ち返ったうえで、果たすべき役割を確実に実行し、「再発防止」の徹底と「未然防止」に全力を挙げて取り組んでまいります。
○ 安全に関するリスク低減とマネジメント体制の強化
・ これまでに策定した「再発防止」策の徹底と弱点の把握による「未然防止」
・ 仕事の「本質」の理解を深めるためのより実践的な安全教育・訓練の実施
・ グループ会社・パートナー会社等と連携した、鉄道に関わる工事・作業の実態把握およびルール・手順の再徹底
・ 首都圏電気設備および新幹線設備・車両の重点的な強化
○ 輸送障害の発生防止および輸送障害発生時の対応能力強化
・ 大規模自然災害対策等による輸送障害の発生防止
・ 輸送障害発生時の影響拡大防止、早期運転再開および迅速なお客さま対応
○ 駅ホーム上や踏切における安全対策の推進
・ 首都圏におけるホームドアおよびCP(色彩心理)ラインの整備推進
・ 踏切障害事故対策の推進
・ 関係各社と連携した「声かけ・サポート」運動の継続
○ 強靭な鉄道づくり
・ 対象エリア・設備を拡大したさらなる耐震補強対策の推進
・ 老朽設備の着実な更新
◇ 収益力向上への挑戦
当社グループが有するネットワークの価値を高め、収益力の向上へ挑戦します。具体的には、地域間・地域内の交流拡大を図るとともに、駅を中心とした付加価値の向上に取り組みます。あわせて、輸送、生活、IT・Suicaの各サービスの相乗効果を強みに、事業エリアの拡大に挑戦します。
○ 輸送ネットワークによる交流拡大
・ 列車増発や観光キャンペーン等による東北・北海道および北陸方面への交流人口の拡大
・ 首都圏在来線における混雑緩和および利便性向上
・ 中央線新型特急車両導入を契機とした東京~山梨・長野エリアの鉄道利用の促進
・ 「のってたのしい列車」の運行等による観光需要の創出
○ インバウンド戦略の推進
・ アジア市場における鉄道パスの新たな販売体制の構築
・ 東北・北海道エリアの空港をゲートウェイとした「立体観光」の推進
・ 受入環境の整備
○ ターミナル駅における利便性向上およびブランド確立
・ 平成32年春の暫定開業に向けた品川新駅(仮称)の工事および品川新駅(仮称)と品川駅を中心とした新たな国際交流拠点となるまちづくり計画の推進
・ 千葉・渋谷・横浜などの大規模ターミナル駅開発の推進
○ 沿線価値の向上
・ 首都圏を中心とした沿線のさらなる価値の発掘・創造
・ 「暮らし方」・「働き方」向上支援の推進
○ 事業エリアの拡大
・ マチナカ、東日本エリア外および海外への事業展開
◇ 「TICKET TO TOMORROW」の推進
コミュニケーションスローガン「TICKET TO TOMORROW~未来のキップを、すべてのひとに。~」のもと、全ての事業分野において、当社グループが一丸となって質の高いサービスを提供することにより、お客さまのご期待に応え、2020年以降の社会に「レガシー(遺産)」を引き継いでいきます。
○ 「JR東日本2020Project」に向けた取組み
・ 大会会場周辺等における駅改良工事計画の推進
・ アクセシビリティ・ガイドラインに則したバリアフリー整備計画の検討・推進
・ 鉄道におけるセキュリティ向上
○ 地方創生
・ 観光振興
・ 地域産業の活性化と地域への流動促進
・ 地方中核駅を中心としたまちづくり
○ 技術革新
・ 「安全・安心」、「サービス&マーケティング」、「オペレーション&メンテナンス」および「エネルギー・環境」の各分野における技術革新の推進
・ クラウドシステムプラットフォームの構築
・ モビリティ変革コンソーシアムなどによる「イノベーション・エコシステム」の実現
○ 海外鉄道プロジェクトへの挑戦
・ インド高速鉄道プロジェクトの推進
・ 英国旅客鉄道運行事業フランチャイズ「ウェストミッドランズ旅客鉄道事業」への参画
○ 人を伸ばし、人を活かす企業風土づくり
・ 働き方改革、ダイバーシティ推進、技術革新等を通じた全ての事業分野における仕事のレベルアップと生産性向上
・ 社員の活躍のフィールドのさらなる拡大
・ 社内外の様々な交流機会を通じた「内なるグローバル化」の推進
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」の適用対象からは除外されているものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。
① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)
鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。
② 「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」(以下「JR会社法」という)(昭和61年法律第88号)
改正前のJR会社法は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という)ならびに日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という)の出資・設立を定めるとともに、その目的および事業範囲について規定していました。本法により、各社は鉄道事業法の規制に加えて、経営上の重要事項に関して国土交通大臣の認可を必要とするなどの規制を受けるとともに、各社の社債権者が他の債権者に先立って弁済を受ける権利(一般担保)等の特例措置が講じられてきました。
(a) 平成13年12月1日に施行された「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」(以下「JR会社法改正法」という)(平成13年法律第61号)により、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という)については、JR会社法の適用対象から除外され、それまでJR会社法で定められていた規制が撤廃されました。
(b) また、JR会社法改正法では、本州旅客会社およびその鉄道事業の全部または一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という)を定める(附則第2条第1項)こととされております。この指針については、平成13年11月7日に告示され、平成13年12月1日より適用となっております。
(c) 指針に定められた事項は以下の3点です。
・会社間(新会社の間または新会社と新会社以外の旅客会社および貨物会社との間をいう。以下同じ)におけ
る旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項
・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項
・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項
(d) 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには新会社に対し指導および助言をすることができ(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業経営を行ったときには勧告および命令をすることができる(附則第4条)とされております。
(e) 指針に定められているこれらの事項については、当社は従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。
(f) その他、JR会社法改正法では、その施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、施行日以後もJR会社法第4条の一般担保の効力を有するとする(附則第7条)など、必要な経過措置等についても定められております。
当社の鉄道事業における運賃・料金の設定、変更に際しては、鉄道事業法により必要な手続きが定められています。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。
なお、鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。

(注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるときまたは国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。
2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。
なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃については、遠距離逓減制を加味したものとしております。
a 当社では、昭和62年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(平成元年4月、平成9年4月および平成26年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施しておりません。
当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。
b 適正な利潤については、効率的な事業運営に努めることを前提とした上で、株主の皆さまに対する利益還元に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。
c 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を確保し、質の高いサービスを提供すること等により強固な経営基盤を確立するという観点から実施しております。なお、当社としまし
ては、事業者の明確な経営責任のもとで主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しております。
当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。
a 東日本旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。
なお、原価計算期間は3年間とする。
b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。
また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。
c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。
総括原価=営業費等(注1)+事業報酬
・ 事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率
・ 事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)
・ 事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)
(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。
2 運転資本=営業費および貯蔵品の一部
3 自己資本比率30%、他人資本比率70%
4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率および配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レート
d なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、またはその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)または(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。
(a) 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。
(b) 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。
国鉄の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の営業主体とされ、平成9年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、平成14年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、平成22年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、平成27年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。
a 平成9年10月の北陸新幹線高崎~長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が新たに設けられ、現在は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条に規定されております。
b 同施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされています。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は定額とされております。
(注) 平成28年3月の北海道新幹線新青森~新函館北斗間の開業により、平成22年12月より貸付けを受けている東北新幹線八戸~新青森間の貸付料に付加して支払う額については、平成52年度までの25年間は定額とされております。
c 開業の初期等の単年度においては、整備新幹線の建設がない場合と比較して、車両の償却負担等により、整備新幹線に関連する当社の収支に影響を与える場合もありますが、上記bの貸付料の性格からみて、開業後30年間の累積では収支に影響を与えないものと考えられます。
北陸新幹線高崎~上越妙高間および東北新幹線盛岡~新青森間の鉄道施設の取扱いについては、貸付けから30年間経過する時点で協議により新たに定めることになっております。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりであります。
a 北陸新幹線(高崎~長野間) 平成39年度
b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 平成56年度
c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 平成44年度
d 東北新幹線(八戸~新青森間) 平成52年度
鉄道事業においては、自然災害や人為的ミス、犯罪・テロ行為等によって事故が発生した場合、または原子力発電所の事故や感染症の大規模な流行等が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。
当社グループは、安全を経営の最重要課題と位置づけ、ハード、ソフトの両面からより安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」に基づく施策を着実に実施しております。
具体的には、首都直下地震等を想定したさらなる耐震補強に向け、設備ごとの損傷リスクや線区における影響等を踏まえて対象エリア・設備を拡大し、対策に着手しました。また、ホームドアについては、平成44年度末頃までに東京圏の主要な在来線の全330駅に導入する方針のもと設置工事を進め、京浜東北線上野駅など5駅で使用開始しました。あわせて、工期短縮やコストダウンに向け、横浜線町田駅において「スマートホームドア」を設置し、実用化に向けた検証を進めました。さらに、踏切事故対策として、踏切の整理統廃合や警報機および遮断機の設置、踏切支障報知装置や障害物検知装置の増設のほか、踏切支障報知装置の押しボタンの視認性向上や警報機および遮断機が設置されていない踏切において気笛吹鳴標識の整備を行いました。加えて、保守作業員の安全性向上を目的として、GPSを活用した列車接近警報装置の導入線区を拡大しました。この他、羽越本線および陸羽西線の一部区間において、ドップラーレーダーを用いた突風に対する列車運転規制を平成29年12月から開始しました。
当社グループは、現在、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業の様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や自然災害、人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、日常より情報システムの機能向上や関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。
当社グループは、生活サービス事業を経営の柱の一つと位置づけ、流通・サービス事業、不動産・ホテル事業を展開しております。
生活サービス事業については、景気低迷や天候不順などを理由とした消費低迷により、ショッピングセンター、オフィスビル、駅構内小売・飲食店舗、ホテルなどの収益の減少や広告の販売不振、テナントによる賃料減額要求が生じる可能性があります。さらに、食中毒事故などの製造・販売商品の瑕疵による売上の減少や当社グループに対する信頼の低下、テナントや取引先企業等の倒産などの発生する可能性があります。これらの事象が発生した場 合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、「駅」という当社最大の経営資源を十分活用した事業展開を図るとともに、衛生管理や取引先情報の管理などを徹底することにより、収益向上とお客さまからの信頼の確保に努めております。
当社グループは、鉄道事業において、他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これら鉄道事業、生活サービス事業における今後の競合状況が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
鉄道事業においては、首都圏の他の鉄道事業者における大規模改良工事の進展や格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路料金の割引施策などに伴う交通市場の競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。また、生活サービス事業においては、他社の新規進出や既存商業施設のリニューアルなどに伴う競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。
当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆1,796億円であります。また、当連結会計年度の支払利息は647億円であり、これは営業利益の13.4%に相当します。
当社グループは、有利子負債残高を注視するとともに、低利の融資への借換えなどを今後とも進めてまいりますが、想定外の事由によりフリー・キャッシュ・フローが減少する場合、または今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めるなど、コンプライアンスの確保に努めております。
当社グループは、これまで蓄積した技術・ノウハウ等を海外で活用し、将来の成長に向けた新たな事業の柱とするとともに、日本国内では得ることのできない海外の知見・サービス等を吸収し、その過程で当社グループのグローバル人材を育成し企業風土を改革することを目的として、国際事業に挑戦しております。
国際事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの順守に関する意識の違いおよびそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。また、大型プロジェクトでは、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。
当社グループは、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めておりますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境などが改善し、緩やかな回復傾向が続きました。このような状況の中、当社グループは、鉄道事業や生活サービス事業、IT・Suica事業を中心に様々な施策を着実に展開しました。
この結果、当社の運輸収入が増加したことなどにより、当連結会計年度の営業収益は前期比2.4%増の2兆9,501億円となり、営業利益は前期比3.2%増の4,812億円となりました。また、支払利息の減少などにより、経常利益は前期比6.7%増の4,399億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比4.0%増の2,889億円となりました。
また、当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ2,365億円増の8兆1,476億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ273億円増の5兆2,631億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ2,091億円増の2兆8,845億円となりました。
重点課題と位置づけている「安全・安定輸送のレベルアップ」については、輸送に係る事象の「再発防止」を徹底するとともに、リスク・弱点の把握による「未然防止」に取り組んでいます。具体的には、弱点克服に向けて首都圏在来線の電気設備や新幹線設備等の強化を進めました。また、仕事の本質について社員の理解を深めるため、現業区所等に導入を進めているシミュレータや車両装置の原寸大模型等を活用し、より実践的な安全教育・訓練を実施するとともに、グループ全体での安全性向上を図るため、グループ会社等との合同訓練を実施するなどの取組みを進めました。さらに、安定した輸送サービスの提供に向けて、地上設備や車両の故障防止に努めました。加えて、平成29年9月以降、蕨交流変電所での停電や宇都宮線東鷲宮駅での電気設備故障、京浜東北線川崎~鶴見間での架線切断により、多くのお客さまにご迷惑をおかけする輸送障害を発生させたことを重く受け止め、関係設備の緊急点検を実施したうえで、グループ会社およびパートナー会社等と連携し、鉄道に関わる工事・作業の実態把握とルール・手順の再徹底に取り組みました。あわせて、平成30年1月に発生した信越本線での大雪による長時間の駅間停車を踏まえ、輸送障害時の指揮命令系統の明確化と情報の一元化に取り組みました。そのほか、輸送障害発生時において、運転再開見込み時刻を早期に発表する取組みを拡大するとともに、折返し運転の拡大に向け、高崎線の一部の駅でのホーム延伸工事を完了しました。
同じく重点課題と位置づける「収益力向上への挑戦」については、平成29年11月に発表した「生活サービス事業成長ビジョン(NEXT10)」を踏まえ、駅を中心としたこれまでの事業展開に加え、駅を含めた街の魅力を向上させる「くらしづくり(まちづくり)」に挑戦していきます。これにより、生活サービス事業における平成28年度の営業収益および営業利益を10年間で約1.5倍に伸ばすことをめざします。具体的には、エキナカでの受取り機能を備えたショッピングサイト「JRE MALL(ジェイアールイー・モール)」を平成30年3月に開設しました。また、新たなビジネスやサービスの創出を目的として、「JR東日本スタートアッププログラム」を開催し、ベンチャー企業等からご提案を受け、大宮駅等で事業化に向けた実証実験を行うとともに、平成30年2月にJR東日本スタートアップ株式会社を設立しました。さらに、「沿線価値の向上」に向けて、当社はセントラル警備保障株式会社と共同で子ども見守りサービス「まもレール」を平成29年10月から開始し、サービス対象を平成30年4月から首都圏15線区244駅に拡大するための準備を進めました。加えて、「HAPPY CHILD PROJECT」の一環として、駅ビル内などの子育て支援施設については、平成32年4月までに累計130箇所を開設することをめざして整備を進め、当連結会計年度末で累計110箇所となりました。そのほか、提案型賃貸住宅として、子育て支援型の「びゅうリエット三鷹」(東京)、多世代交流型の「びゅうリエット新川崎」(神奈川)、留学生向けの「シェアリエットS東小金井」(東京)を整備し、平成30年3月より入居を開始しました。
品川駅・田町駅周辺エリアについては、当社の車両基地から生み出される用地を活用し、国際的に魅力のある交流拠点の創出をめざしており、国・東京都・関係区等と連携しつつ、まちづくりに向けた手続きを進めています。品川新駅(仮称)については、平成32年春の暫定開業、平成36年頃の街びらきに合わせた本開業に向けて、建設工事を進めました。
インバウンド戦略については、当社グループ全体で商品の充実や受入態勢の整備に取り組みました。具体的には、北海道旅客鉄道株式会社と連携のうえ、函館エリア向け新商品「HAKODATE BUFFET(函館ブッフェ)」を発売し、訪日旅行商品ブランド「東日本鉄道ホリデー」のラインナップを拡充するとともに、北海道新幹線もご利用可能な「JR東北・南北海道レールパス」を発売しました。あわせて、東北エリアをターゲットにアジア圏の航空事業者と連携し、航空機と組み合わせた立体観光型訪日旅行商品等を発売したほか、シンガポールに「JR東日本 東南アジア営業センター」を開設しました。また、渋谷駅や上野駅の「JR東日本訪日旅行センター」および東京駅の祈祷室を開設するとともに、東北新幹線E5系等での車内荷物置場の設置を進めました。さらに、首都圏エリアにおいて、路線記号と駅番号を組み合わせて表示する駅ナンバリングの導入を進め、206駅で使用を開始しました。
当社は、「東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として果たすべき役割をまとめた「JR東日本2020Project」を踏まえ、2020年春頃までの整備をめざし、競技会場周辺等の駅改良工事を進めました。また、東京地下鉄株式会社との共同プロジェクト「TOKYO SPORTS STATION」を開始し、競技を紹介する動画を列車内で放映するなど、大会開催に向けた気運醸成に取り組みました。さらに、当社グループは、「コミュニケーションスローガン『TICKET TO TOMORROW~未来のキップを、すべてのひとに。~』の推進」を重点課題と位置づけ、全ての事業分野で質の高いサービスを提供することによりお客さまのご期待に応え、2020年以降の社会に「レガシー(遺産)」を引き継いでいくことをめざします。
「地方創生」については、観光振興、地域産業活性化および地方中核駅を中心としたまちづくりなどに取り組みました。具体的には、平成29年5月からクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」の運行を開始し、地域の様々な魅力の掘り起こしと情報発信を進めました。また、地域の生産者・加工者等と連携して農業の「6次産業化」を進めていることを踏まえ、「JR東日本『のもの』アワード」を創設し、優れた取組みを表彰しました。さらに、秋田県、秋田市および当社の三者で締結した「地方創生に向けたコンパクトなまちづくりに関する連携協定」に基づき、秋田駅において、平成29年4月に西口駐車場ビルを開業するとともに、平成30年5月に開業したスポーツ整形クリニック、平成31年冬完成予定のJR秋田ゲートアリーナ(仮称)、平成32年春開業予定の学生向けマンション等の準備を進めました。加えて、土浦駅において、平成30年3月に駅ビルの第一期リニューアル開業を行い、茨城県等と連携してサイクリング拠点を駅ビル内に開設しました。
海外鉄道プロジェクトへの参画については、子会社の日本コンサルタンツ株式会社が「インド国高速鉄道に係る制度整備支援プロジェクト」、「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」のコンサルティング業務に取り組むとともに、インド高速鉄道公社から受注した研修施設の施工監理業務を推進しました。あわせて、当社も新幹線オペレーターとしての経験を活かし、技術的な支援を行いました。また、当社は三井物産株式会社およびアベリオUK社(オランダ鉄道の英国子会社)とともに、英国における旅客鉄道運行事業フランチャイズの1つであるウェストミッドランズ旅客鉄道事業について、英国運輸省より運営権を獲得し、平成29年12月から運営を開始しました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較について、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。
運輸事業においては、鉄道事業を中心に、安全・安定輸送の確保とお客さま満足の向上を前提として、鉄道ネットワークの利用促進策の展開などにより収入確保に努めました。
安全面では、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」に基づく施策を着実に実施しました。首都直下地震等を想定したさらなる耐震補強に向け、設備ごとの損傷リスクや線区における影響等を踏まえて対象エリア・設備を拡大し、対策に着手しました。また、開業から35年が経過した東北新幹線のレール交換工事を進めました。ホームドアについては、平成44年度末頃までに東京圏の主要な在来線の全330駅に導入する方針のもと設置工事を進め、京浜東北線上野駅など5駅で使用を開始しました。あわせて、工期短縮やコストダウンに向け、横浜線町田駅において「スマートホームドア」を設置し、実用化に向けた検証を進めました。さらに、踏切事故対策として、警報機および遮断機が設置されていない踏切における気笛吹鳴標識の整備などに取り組みました。加えて、保守作業員の安全性向上を目的として、GPSを活用した列車接近警報装置の導入線区を拡大しました。
サービス品質面では、「サービス品質改革中期ビジョン2017」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現に向けた施策を推進しました。また、トンネル内における携帯電話不通区間の解消に向けて、東北、上越および北陸新幹線において平成32年夏頃までの対策完了をめざし工事を進めました。さらに、南武線、横浜線および京葉線を中心に、異常時案内用ディスプレイの設置駅の拡大に取り組みました。加えて、お困りのお客さまにお声かけする「声かけ・サポート」運動について、他の鉄道事業者等と連携し、強化キャンペーンを実施しました。なお、サービス品質向上の取組みを一層加速させることをめざし、平成30年度からの3ヵ年計画である「サービス品質改革中期ビジョン2020」を策定しました。
輸送面では、平成29年10月に上野東京ラインの常磐線直通列車の増発や常磐線特急「ひたち」、「ときわ」の利便性向上、通勤時間帯の混雑緩和などを中心としたダイヤ改正を実施しました。また、平成30年3月のダイヤ改正において、東北新幹線「はやぶさ」と北陸新幹線「あさま」の増発により利便性を向上させたほか、中央線特急「スーパーあずさ」の車両を新型E353系へ統一するなど、快適性の向上を図りました。
営業面では、地域間の交流人口拡大を目的に「新幹線YEAR2017」、「信州デスティネーションキャンペーン」、「青森県・函館観光キャンペーン」、「行くぜ、東北。SPECIAL 冬のごほうび」など各種キャンペーンを実施しました。また、山手線について、周辺エリアの魅力を紹介して利用促進を図る「FUN!TOKYO!~ココロも動かせ!山手線~」キャンペーンを開催しました。さらに、「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーンを平成30年4月から開催するため準備を進めました。加えて、小海線小淵沢~小諸間において、のってたのしい列車「HIGH RAIL 1375(ハイレール イチサンナナゴ)」の運行を平成29年7月から開始しました。そのほか、子ども向け体験学習型ツアー「フレテミーナ」を新たなブランドとして立ち上げ、平成29年5月から旅行商品を発売しました。
Suicaについては、平成29年4月から篠ノ井線、中央本線および磐越西線においてご利用可能な駅を拡大しました。なお、Suicaの発行枚数は、当連結会計年度末で約6,942万枚となりました。また、東北新幹線東京~那須塩原間などの区間において、Suicaで新幹線の普通車自由席がご利用できる新サービス「タッチでGo!新幹線」を平成30年4月から開始するため準備を進めました。
この結果、当社の鉄道事業の輸送人員は前期を上回り、運輸事業の売上高は前期比1.6%増の2兆1,035億円となり、営業利益は前期比1.9%増の3,404億円となりました。
東日本大震災により甚大な被害を受けた太平洋沿岸線区の復旧については、国・自治体と協議しながら、地域全体の復興と一体となって取組みを進めました。三陸鉄道株式会社に運営を移管する山田線宮古~釜石間について、平成31年3月の開業に向けて復旧工事を進めました。また、気仙沼線・大船渡線BRTについては、新駅設置等のサービス改善を進めました。
福島第一原子力発電所20km圏内の方針としては、避難指示が解除された区域等では、沿線地域の除染や住民帰還に向けた準備など必要な環境整備について国・自治体の協力をいただき、運転再開の準備を進めることとしています。その方針に基づき、常磐線浪江~小高間は平成29年4月に、竜田~富岡間は平成29年10月に運転を再開しました。また、帰還困難区域では、被災施設の復旧と合わせ、国・自治体の支援・協力のもと、通行に必要な除染や異常時の利用者の安全確保対策の完了後に開通させることをめざしており、平成31年度末までの常磐線富岡~浪江間の運転再開に向けて、復旧工事を進めました。
只見線会津川口~只見間については、平成23年7月に発生した豪雨災害による運休以降、地元自治体等と復旧に向けて協議を行ってきました。平成29年3月に福島県知事から鉄道による復旧についての要請書を受領し、平成29年6月には、上下分離方式で復旧した場合の枠組み等について協議がまとまり、「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」を福島県と締結しました。これを踏まえ、関係自治体等と協力し、平成30年に着手予定の鉄道復旧工事の準備を進めました。
流通・サービス事業では、東京駅の丸の内地下エリアの「グランスタ丸の内」(東京)および「グランスタ」
(東京)新エリアを平成29年8月に全面開業したほか、「エキュート品川」(東京)や「エキュート大宮」(埼玉)などにおいて既存店舗のリニューアルを積極的に推進しました。また、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」の新デザイン店舗や、駅売店「KIOSK(キオスク)」の新型ショップ「NewDays KIOSK」の展開を継続しました。さらに、東日本エリアを代表するお土産を対象に「みんなが贈りたい。JR東日本おみやげグランプリ」を開催しました。加えて、他の鉄道事業者も含めた全ての対象路線で窓上広告を同時展開できる「首都圏11社局まど上ドリームネットワークセット」を平成29年10月から販売しました。そのほか、駅構内店舗の開発力強化を目的に、平成30年4月に子会社の株式会社JR東日本リテールネットが株式会社JR東日本ステーションリテイリングを吸収合併するとともに、株式会社JR東日本ウォータービジネスを完全子会社とするため、準備を進めました。
この結果、東京駅等の店舗の売上が好調であったことなどにより、売上高は前期比3.1%増の5,834億円となり、営業利益は前期比5.9%増の389億円となりました。
不動産・ホテル事業では、平成29年6月に「エスパル仙台東館」(宮城)増床部および「ホテルメトロポリタン仙台イースト」(宮城)、「JRさいたま新都心ビル」(埼玉)および「ホテルメトロポリタンさいたま新都心」(埼玉)、平成29年12月に「ホテルドリームゲート舞浜アネックス」(千葉)、平成30年2月に「アトレ川崎」(神奈川)増床部、「シャポー船橋南館」(千葉)、「ホテルメッツ船橋」(千葉)、平成30年3月に「JR浦和駅西口ビル」(埼玉)をそれぞれ開業しました。また、平成30年6月に全面開業予定の「ペリエ千葉」(千葉)、平成31年秋開業予定のホテルメッツ秋葉原(仮称)、平成31年度に第Ⅰ期(東棟)開業予定の「渋谷スクランブルスクエア」(東京)、平成32年開業予定の横浜駅西口開発ビル(仮称)、平成32年春開業予定の五反田駅東口ビル(仮称)、平成32年春以降段階的に開業予定の竹芝ウォーターフロント開発計画、平成33年開業予定の「世界貿易センタービルディング南館」(東京)の建設工事を進めました。
これに加え、「JR新宿ミライナタワー」(東京)のオフィスフロアへの入居による増収効果や株式会社ルミネの売上が好調であったことなどにより、売上高は前期比4.2%増の3,599億円となり、営業利益は前期比0.8%増の809億円となりました。
Suica電子マネーについては、広域展開するチェーン店への導入を進めるなど、引き続き加盟店開拓に積極的に取り組みました。その結果、Suica電子マネーがご利用可能な店舗の数は、当連結会計年度末で約47万店舗となりました。また、「JRE POINT(ジェイアールイー・ポイント)」について、お客さまが貯めやすく使いやすいポイントサービスを提供するため、平成29年12月にSuicaポイントを共通化するとともに、平成30年6月にビューサンクスポイントを共通化するための準備を進めました。
これに加え、「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」による売上や情報処理業の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比9.1%増の2,302億円となり、営業利益は前期比36.3%増の225億円となりました。
(注) 1 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。
2 当社は、経営上の意思決定を行う区分を基礎とするマネジメント・アプローチをさらに徹底するため、当連結会計年度より、事業本部を軸としたセグメント区分に変更しております。これに伴い、従来「運輸業」、「駅スペース活用事業」、「ショッピング・オフィス事業」、「その他」としていたセグメント区分を、「運輸事業」、「流通・サービス事業」、「不動産・ホテル事業」、「その他」に変更しております。
当社の鉄道事業の営業実績
当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。
|
区分 |
単位 |
第30期 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
第31期 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
|||
|
営業日数 |
日 |
365 |
365 |
|||
|
営業キロ |
新幹線 |
キロ |
1,194.2 |
1,194.2 |
||
|
在来線 |
〃 |
6,263.1 |
6,263.1 |
|||
|
計 |
〃 |
7,457.3 |
7,457.3 |
|||
|
客車走行キロ |
新幹線 |
千キロ |
546,154 |
553,921 |
||
|
在来線 |
〃 |
1,780,059 |
1,779,305 |
|||
|
計 |
〃 |
2,326,213 |
2,333,226 |
|||
|
輸送人員 |
定期 |
千人 |
3,948,555 |
3,993,670 |
||
|
定期外 |
〃 |
2,462,792 |
2,494,452 |
|||
|
計 |
〃 |
6,411,348 |
6,488,122 |
|||
|
輸送人キロ |
新幹線 |
定期 |
千人キロ |
1,754,601 |
1,781,776 |
|
|
定期外 |
〃 |
21,422,218 |
21,590,127 |
|||
|
計 |
〃 |
23,176,819 |
23,371,903 |
|||
|
在来線 |
関東圏 |
定期 |
〃 |
70,202,368 |
70,800,942 |
|
|
定期外 |
〃 |
36,113,616 |
36,696,232 |
|||
|
計 |
〃 |
106,315,985 |
107,497,174 |
|||
|
その他 |
定期 |
〃 |
3,074,567 |
3,070,285 |
||
|
定期外 |
〃 |
2,530,704 |
2,547,042 |
|||
|
計 |
〃 |
5,605,271 |
5,617,327 |
|||
|
計 |
定期 |
〃 |
73,276,936 |
73,871,227 |
||
|
定期外 |
〃 |
38,644,321 |
39,243,274 |
|||
|
計 |
〃 |
111,921,257 |
113,114,501 |
|||
|
合計 |
定期 |
〃 |
75,031,537 |
75,653,004 |
||
|
定期外 |
〃 |
60,066,539 |
60,833,401 |
|||
|
計 |
〃 |
135,098,077 |
136,486,405 |
|||
|
乗車効率 |
新幹線 |
% |
56.8 |
56.9 |
||
|
在来線 |
〃 |
45.2 |
45.5 |
|||
|
計 |
〃 |
46.8 |
47.1 |
|||
(注) 1 乗車効率は次の方法により算出しております。
|
乗車効率= |
輸送人キロ |
×100 |
|
客車走行キロ×客車平均定員 |
2 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
|
区分 |
単位 |
第30期 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
第31期 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
|||
|
旅客運輸収入 |
新幹線 |
定期 |
百万円 |
23,878 |
24,260 |
|
|
定期外 |
〃 |
560,507 |
563,880 |
|||
|
計 |
〃 |
584,385 |
588,140 |
|||
|
在来線 |
関東圏 |
定期 |
〃 |
456,052 |
460,315 |
|
|
定期外 |
〃 |
707,001 |
718,953 |
|||
|
計 |
〃 |
1,163,053 |
1,179,268 |
|||
|
その他 |
定期 |
〃 |
18,477 |
18,451 |
||
|
定期外 |
〃 |
50,292 |
50,805 |
|||
|
計 |
〃 |
68,769 |
69,257 |
|||
|
計 |
定期 |
〃 |
474,529 |
478,767 |
||
|
定期外 |
〃 |
757,293 |
769,758 |
|||
|
計 |
〃 |
1,231,823 |
1,248,526 |
|||
|
合計 |
定期 |
〃 |
498,408 |
503,027 |
||
|
定期外 |
〃 |
1,317,800 |
1,333,638 |
|||
|
計 |
〃 |
1,816,209 |
1,836,666 |
|||
|
荷物収入 |
〃 |
62 |
67 |
|||
|
合計 |
〃 |
1,816,271 |
1,836,734 |
|||
|
鉄道線路使用料収入 |
〃 |
6,076 |
6,235 |
|||
|
運輸雑収 |
〃 |
167,151 |
167,698 |
|||
|
収入合計 |
〃 |
1,989,500 |
2,010,668 |
|||
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、法人税等の支払額が減少したことなどにより、流入額は前連結会計年度に比べ512億円増の7,041億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、投資有価証券の取得による支出が減少したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ156億円減の5,418億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、自己株式の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ188億円増の1,351億円となりました。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ278億円増の3,149億円となりました。
また、当連結会計年度末の有利子負債残高は3兆1,796億円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。
なお、販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
a 経営成績
○ 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、全セグメントにおいて売上が増加したことにより、前期比2.4%増の2兆9,501億円(対業績予想201億円増)となり、6期連続の増収となりました。また、過去最高を更新しました。
運輸事業の外部顧客への売上高は、前期比1.4%増の2兆178億円(対業績予想168億円増)となりました。
これは、当社の鉄道事業における旅客運輸収入が、新幹線および在来線において増加したことなどにより、前期比1.1%増の1兆8,367億円となったことなどによるものであります。
新幹線に関しては、訪日旅行者の利用増やゴールデンウィーク期間が好調であったことなどを受けて、輸送人キロは前期比0.8%増の233億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前期比1.6%増の242億円となりました。定期外収入は、前期比0.6%増の5,638億円となり、全体では前期比0.6%増の5,881億円となりました。
関東圏の在来線に関しては、輸送人キロは前期比1.1%増の1,074億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前期比0.9%増の4,603億円、定期外収入は前期比1.7%増の7,189億円となり、全体では前期比1.4%増の1兆1,792億円となりました。
関東圏以外の在来線に関しては、輸送人キロは前期比0.2%増の56億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前期比0.1%減の184億円、定期外収入は前期比1.0%増の508億円となり、全体では前期比0.7%増の692億円となりました。
運輸事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のようになりました。
流通・サービス事業では、東京駅等の店舗の売上が好調であったことなどにより、前期比2.5%増の5,149億円(対業績予想9億円増)となりました。
不動産・ホテル事業では、「JR新宿ミライナタワー」(東京)のオフィスフロアへの入居による増収効果などにより前期比4.2%増の3,401億円となりましたが、一部商業施設等の売上が計画に達しなかったことなどにより、業績予想を38億円下回りました。
その他の事業では、「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」による売上や情報処理業の売上が増加したことなどにより、前期比24.0%増の771億円(対業績予想61億円増)となりました。
○ 営業費用
営業費用は、前期比2.3%増の2兆4,688億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の83.8%に対して、当連結会計年度は83.7%となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前期比2.1%増の1兆8,918億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前期比2.6%増の5,769億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
○ 営業利益
営業利益は、前期比3.2%増の4,812億円(対業績予想92億円増)となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の16.2%に対し、当連結会計年度は16.3%となりました。
○ 営業外損益
営業外収益は、前期比37.6%増の278億円となりました。これは、持分法による投資利益が増加したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期比6.8%減の691億円となりました。これは、支払利息が減少したことなどによるものであります。
なお、受取利息などの金融収益から、支払利息などの金融費用を差し引いた金融収支は、597億円のマイナスとなり、前連結会計年度から10.0%改善しております。
○ 経常利益
経常利益は、前期比6.7%増の4,399億円(対業績予想159億円増)となりました。また、過去最高益を更新しました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の14.3%に対し、当連結会計年度は14.9%となりました。
○ 特別損益
特別利益は、前期比43.7%減の308億円となりました。これは、固定資産売却益が減少したことなどによるものであります。
特別損失は、前期比21.7%減の491億円となりました。これは、耐震補強重点対策関連費用が減少したことなどによるものであります。
○ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前期比4.3%増の4,215億円となりました。営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の14.0%に対し、当連結会計年度は14.3%となりました。
○ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期比4.0%増の2,889億円(対業績予想29億円増)となり、増益となりました。また、過去最高益を更新しました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の713.96円に対し、当連結会計年度は749.20円となりました。また、営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前連結会計年度の9.6%に対し、当連結会計年度は9.8%となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ2,365億円増の8兆1,476億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ273億円増の5兆2,631億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ2,091億円増の2兆8,845億円となりました。
運輸事業においては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、ホームドア整備、車両新造などに4,244億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は6兆5,016億円となりました。
流通・サービス事業においては、東京駅丸の内地下エリアの「グランスタ丸の内」(東京)や「グランスタ」(東京)新エリアなど、新規店舗の展開や既存店舗の改良などに192億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は3,518億円となりました。
不動産・ホテル事業においては、「JR浦和駅西口ビル」(埼玉)や「JRさいたま新都心ビル」(埼玉)、「ホテルメトロポリタン仙台イースト」(宮城)など、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などに889億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆3,184億円となりました。
その他の事業においては、システム開発などに178億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆195億円となりました。
c 資本の財源および資金の流動性
○ キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より512億円多い7,041億円の流入となりました。これは、法人税等の支払額が減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より156億円少ない5,418億円の流出となりました。これは、投資有価証券の取得による支出が減少したことなどによるものであります。
なお、設備投資の概要は以下のとおりです。
運輸事業に関しては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、ホームドア整備、車両新造などの設備投資を実施しました。流通・サービス事業に関しては、東京駅丸の内地下エリアの「グランスタ丸の内」(東京)や「グランスタ」(東京)新エリアなど、新規店舗の展開や既存店舗の改良などを行いました。不動産・ホテル事業に関しては、「JR浦和駅西口ビル」(埼玉)や「JRさいたま新都心ビル」(埼玉)、「ホテルメトロポリタン仙台イースト」(宮城)などの設備投資を実施しました。その他の事業においては、システム開発などの設備投資を実施しました。
また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より669億円増加し、1,623億円の流入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より188億円多い1,351億円の流出となりました。これは、自己株式の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,871億円から278億円増加し、3,149億円となりました。
○ 財務政策
当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆1,796億円であります。
新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、年利6.55%の固定利率により平成63年9月30日までに支払われる3,311億円であります。
また、このほか、当連結会計年度末現在、当社が秋田新幹線に関連するものとして43億円、東京モノレール㈱が9億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。
当社グループはキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、有利子負債削減に努めております。また、グループ間決済の相殺やグループ内の支払業務を集約する支払代行制度などの資金管理手法を採用しております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を平成39年から平成70年の間とする7本の無担保普通社債を総額900億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、当社はS&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社よりAA-、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりAa3の長期債格付けを取得しております。
また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しております。コマーシャル・ペーパーについては、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりP-1の短期債(CP)格付けを取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高およびコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。
さらに、平成27年4月より、銀行からのコミットメント・ライン(一定条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。
(1) 当社は、「新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律」(平成3年法律第45号)に基づき、東北および上越新幹線鉄道に係る鉄道施設(車両を除く)を平成3年10月1日、新幹線鉄道保有機構(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)より3兆1,069億円で譲り受け、このうち2兆7,404億円については25.5年、3,665億円については60年の元利均等半年賦により鉄道整備基金(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)に支払うことなどに関して、新幹線鉄道保有機構との間に契約を結んでおります。なお、2兆7,404億円については平成29年1月に支払が完了しております。
(2) 当社は、乗車券等の相互発売等旅客営業に係る事項、会社間の運賃および料金の収入区分ならびに収入清算の取扱い、駅業務ならびに車両および鉄道施設の保守等の業務の受委託、会社間の経費清算の取扱い等に関して、他の旅客会社との間に契約を結んでおります。
なお、上記の契約では、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金の算出に当たっては、通算できる制度によることとし、かつ、旅客運賃については、遠距離逓減制が加味されたものでなければならないこと、また、旅客会社において、他の旅客会社に関連する乗車券類を発売した場合は、当該他の旅客会社は、発売した旅客会社に販売手数料を支払うものとされております。
(3) 当社は、貨物会社が当社の鉄道線路を使用する場合の取扱い、駅業務ならびに車両および鉄道施設の保守等の業務の受委託、会社間の経費清算の取扱い等に関して、貨物会社との間に契約を結んでおります。
なお、上記の契約では、貨物会社が鉄道線路を使用するために当社に支払う線路使用料は、貨物会社が当社鉄道線路を使用することにより追加的に発生する額とされております。
(4) 当社は、旅客会社6社共同で列車の座席指定券等の発売を行うためのオンラインシステム(マルスシステム)の 使用、各旅客会社間の収入清算等の計算業務の委託等に関して、鉄道情報システム株式会社との間に契約を結んでおります。
(5) 当社は、只見線会津川口~只見間に関し、平成29年6月14日開催の取締役会において上下分離方式を前提とした鉄道復旧を進めることを決議し、平成29年6月19日に「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」を福島県と締結いたしました。
当社グループは、IoTやビッグデータ、AI等の技術の進展を見据え、時代を先取りした技術革新の実現に向け、「技術革新中長期ビジョン」を策定しました。その主な内容は以下のとおりであります。
○ IoT、ビッグデータ、AI等を活用して、当社グループが提供するサービスをお客さま視点で徹底的に見直し、従来の発想の枠を超えて「モビリティ革命」の実現をめざします。
○ 「安全・安心」、「サービス&マーケティング」、「オペレーション&メンテナンス」、「エネルギー・環境」の4分野において、当社グループのあらゆる事業活動で得られたデータからAI等により新しい価値を生み出します。
○ その実現に向け、世界最先端の技術を取り入れるため、さらなるオープンイノベーションを推進し、モビリティ分野で革新的なサービスを提供し続ける「イノベーション・エコシステム」を構築します。
「技術革新中長期ビジョン」の実現をめざし、次のような研究開発を行いました。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、181億円であります。
① 「安全・安心」~危険を予測しリスクを最小化する~
a ドップラーレーダーを用いた突風に対する列車運転規制手法を実用化し山形県庄内地方に平成29年12月より導入しました。
b 国立研究開発法人防災科学技術研究所が整備を進めている日本海溝海底地震津波観測網の地震観測データを新幹線早期地震検知システムに平成29年11月より導入しました。
c 保守ロケーションシステムの開発を進め、埼京線に導入しました。
d 鉄道の安全性の評価手法やヒューマンエラーを防止するための研究を進めました。
② 「サービス&マーケティング」~お客さまへ"Now(今だけ),Here(ここだけ),Me(私だけ)"の価値を提供する~
③ 「オペレーション&メンテナンス」 ~生産年齢人口20%減を見据えた仕事のしくみをつくる~
④ 「エネルギー・環境」~鉄道エネルギーマネジメントを確立する~
a 効率の良い地上用蓄電技術として、列車位置情報を活用した変電所用蓄電装置の研究開発を進め、内房線において実証試験を開始しました。
b 自動省エネ列車制御の実現に向け、列車制御方式や省エネ走行技術の開発を進めました。
c 省スペース高出力型熱源機を用いた省エネ型散水消雪設備制御システムの開発を進め、上越新幹線へ導入しました。
⑤ その他
オープンイノベーションによりモビリティを変革する場を創出するため、モビリティ変革コンソーシアムを設立し、交通事業者、国内外メーカー、研究機関等との連携を進めました。また、より基礎的な分野の研究開発は、「研究開発等に関する協定」に基づき公益財団法人鉄道総合技術研究所に委託しており、当連結会計年度における同研究所に対する負担金は、63億円であります。
また、現場第一線の技術革新を担う人材育成のため、研究開発部門への社内公募制インターンシップ制度としてイノベーションカレッジを引き続き開講しました。
そのほか、研究開発の成果を技術論文誌「JR EAST Technical Review」にまとめ、情報発信を行いました。
特に記載する事項はありません。