第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境などが改善し、緩やかな回復傾向が続きました。このような状況の中、当社、連結子会社および持分法適用関連会社は、「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」のもと、鉄道事業や生活サービス事業、Suica事業を中心に様々な施策を着実に展開しました。

この結果、当連結会計年度の営業収益は、新幹線収入を中心として当社の運輸収入が増加したことなどにより、前期比4.0%増の2,867,199百万円となり、営業利益は前期比14.1%増の487,821百万円となりました。また、経常利益は、支払利息の減少などにより、前期比18.5%増の428,902百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比36.0%増の245,309百万円となりました。

 

一方、平成27年4月に山手線神田・秋葉原間で電化柱が倒れ線路を支障する重大インシデントを発生させたことを踏まえ、このような事態を二度と発生させぬよう、鉄道安全推進委員会に鉄道事業本部長を主査とする検討委員会を設置し、事実関係の調査、背後要因を含めた原因の究明を行いました。そのうえで、設計・施工におけるリスク管理および技術支援体制の強化のため、電力技術管理センターを新設するとともに、安全教育・訓練の実践的な内容への見直しなどの対策を実施しています。また、平成27年4月以降、東北新幹線や根岸線における架線切断、高崎線における電気設備故障等により重大な輸送障害を発生させたことなどを踏まえ、再発防止策を講じるとともに、輸送障害発生時の運転再開の早期化やお客さま対応の迅速化に取り組みました。平成27年10月には、「鉄道に関するリスク克服委員会」を設置し、輸送に係る事故・事象について、再発防止を徹底するとともに、リスク・弱点の把握による未然防止に取り組むなど、安全・安定輸送のレベルアップに努めております。

また、近年拡大を続ける訪日旅行者の需要を取り込むインバウンド戦略として、当社グループ全体で商品の充実や受入態勢の整備に取り組みました。具体的には、タイ・インドネシアや中国に強みを持つ旅行会社2社と、平成27年7月に子会社を通じて包括業務提携契約を締結しました。また、人気の観光スポットやスノーリゾートをエリアに含むフリーパス「JR TOKYO Wide Pass」の発売を平成27年11月に開始するとともに、北陸新幹線も利用可能な「東京・大阪『北陸アーチパス』」や北海道新幹線も利用可能な「JR East-South Hokkaido Rail Pass」について、平成28年4月の発売に向け準備を進めました。さらに、無料公衆無線LANサービスを山手線内の全駅に拡大するとともに、駅構内や駅ビルにおいて免税カウンターを開設しました。加えて、平成28年2月には、羽田空港「JR東日本訪日旅行センター」を拡大したほか、海外向けインターネット予約サービスの多言語化・オンライン化を実施しました。

「地方創生」については、観光振興、地域産業活性化および地方中核駅を中心としたまちづくりなどに取り組みました。具体的には、乗ること自体が旅行の目的となる魅力的な列車づくりとして、新潟エリアを楽しむアートカフェ新幹線「GENBI SHINKANSEN(現美新幹線)」の平成28年4月からの運転開始に向けた準備を進めました。また、平成29年5月から運転開始予定のクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」について、運行ルートなどの概要を公表しました。さらに、平成28年1月には、新潟市国家戦略特別区域内において、日本酒の原料に適した米を生産する株式会社JR新潟ファームを設立するなど、農林漁業の「6次産業化」に取り組みました。加えて、豊かな自然環境を活かし北東北エリアを再生可能エネルギーの拠点にする取組みの一環として、主に風力発電事業を手掛けるJR東日本エネルギー開発株式会社を平成27年4月に設立しました。そのほか、平成27年9月に秋田県、秋田市および当社の三者で「地方創生に向けたコンパクトなまちづくりに関する連携協定」を締結しました。

なお、品川駅・田町駅周辺エリアにおいては、当社の車両基地から生み出される用地を活用し、国際的に魅力のある交流拠点の創出を図るべく、国・東京都・関係区等と連携しながら、まちづくりの計画策定に向けた手続きを進めています。平成28年4月には、調整を進めていた都市計画について、国家戦略特別区域の区域計画として内閣総理大臣から認定されました。

そのほか、グループ一体となってサービス品質や効率性の向上を図るため、平成27年7月に、首都圏・東北エリアにおいて、駅業務受託事業や構内事業等を担う子会社を再編しました。

 

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

①  運輸業

運輸業においては、鉄道事業を中心に、安全・安定輸送の確保とお客さま満足の向上を前提として、鉄道ネットワークの利用促進策の展開などにより収入確保に努めました。

安全面では、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」に基づく施策を着実に実施しました。首都直下地震等を想定し、平成24年度から平成28年度を重点整備期間とする総額3,000億円の耐震補強対策等を着実に進め、当連結会計年度末で全体計画数量の約7割が完了しました。また、ホームドアについては、山手線において、日暮里駅など5駅で新たに使用を開始し、当連結会計年度末の累計設置駅数は23駅となりました。山手線以外についても、線区の状況や駅のご利用状況などを勘案し、総武快速線新小岩駅などへの導入に向けた準備を進めました。さらに、踏切事故対策として、踏切の1種化や整理統廃合、踏切支障報知装置や障害物検知装置の増設などに引き続き取り組みました。加えて、保守作業員の安全性向上を目的に、GPSを活用した列車接近警報装置を開発し、平成28年4月に八高線および飯山線で使用を開始しました。

サービス品質面では、平成27年4月からスタートした「サービス品質改革中期ビジョン2017」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現に向けた施策を推進しました。上野東京ライン開業などの直通ネットワーク拡充を踏まえて、輸送障害発生時の折返し運転の拡大などに努め、輸送品質向上に取り組みました。また、個々のお客さまへのタイムリーな情報提供を目的とした「JR東日本アプリ」について、列車位置情報の提供路線を上野東京ラインなどに拡大し、当連結会計年度末の累計ダウンロード数は約179万件に達しました。さらに、「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーンを関係各社等と共同展開するとともに、お困りのお客さまにお声かけする「声かけ・サポート」運動を実施しました。

輸送面では、平成28年3月のダイヤ改正において、北海道新幹線開業に合わせて東北新幹線との相互直通運転を開始しました。これにより、東京・新函館北斗間の到達時間は最速4時間2分、仙台・新函館北斗間は最速2時間30分となりました。また、北陸新幹線および上野東京ラインの開業後のご利用状況を踏まえ、接続の見直しや混雑時間帯の輸送力増強など、輸送体系の改善を図りました。

営業面では、お客さまの流動拡大を目的として、「ふくしまデスティネーションキャンペーン」や「行くぜ、東北。」キャンペーンを展開しました。また、平成28年7月から開催予定の「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」の準備を進めました。さらに、北陸新幹線金沢開業を踏まえ、速達タイプ「かがやき」や停車タイプ「はくたか」などの利用促進を図り、鉄道ネットワーク拡充による地域間の交流人口拡大に取り組みました。加えて、「北陸デスティネーションキャンペーン」を契機として、「びゅうばす天空の飛騨回廊号」を活用した商品の販売促進などにより、北陸から信州にかけての広域観光の拡大に努めました。そのほか、列車と宿泊施設を自由に組み合わせることができる価格変動型の旅行商品として、「JR東日本ダイナミックレールパック」の販売を平成27年11月に開始し、平成28年1月にはスマートフォンからの購入を可能としました。

Suicaについては、仙台市交通局発行ICカード「icsca(イクスカ)」との仙台圏での相互利用サービスを平成28年3月に開始しました。また、さらなる利用促進に向けて、「モバイルSuica10周年キャンペーン」を平成28年1月から展開しました。なお、Suicaの発行枚数は、当連結会計年度末で約5,923万枚となりました。

海外鉄道プロジェクトへの参画については、都市鉄道「パープルライン」(タイ・バンコク)の平成28年8月の開業に向けて、鉄道システムのメンテナンス業務の準備を継続するとともに、子会社の株式会社総合車両製作所において、ステンレス車両「sustina(サスティナ)」を製造し、現地の車両基地へ搬入しました。また、平成27年7月に国際鉄道連合(UIC)と共同で「第9回UIC世界高速鉄道会議」を開催し、海外の政府や高速鉄道の関係者とのネットワーク強化を図りました。さらに、今後のグローバル展開を担う人材の育成に向け、「グローバル人材育成プログラム Ever Onward」を推進し、海外留学や海外鉄道コンサルティング業務OJTトレーニーなどを引き続き実施しました。

この結果、当社の鉄道事業の輸送人員は前期を上回り、運輸業の売上高は前期比5.3%増の2,007,999百万円となり、営業利益は前期比18.3%増の348,576百万円となりました。

 

  東日本大震災により甚大な被害を受けた太平洋沿岸線区の復旧については、地域全体の復興やまちづくりの計画策定と一体となって進めるべく、国や関係自治体との協議を実施しています。仙石線については、平成27年5月に全線で運転再開するとともに、東北本線と接続する「仙石東北ライン」の運転を開始しました。また、山田線宮古・釜石間では、三陸鉄道株式会社による南北リアス線との一体運営に向けて、復旧工事を進めました。さらに、気仙沼線・大船渡線の仮復旧区間については、全ての沿線自治体とBRTによる本格復旧で合意しました。加えて、常磐線相馬・浜吉田間では平成28年12月末までに運転再開することをめざし、復旧工事を進めました。なお、福島第一原子力発電所20km圏内の方針としては、避難指示解除準備区域では、沿線地域の除染や住民帰還に向けた準備開始など必要な環境整備について国・自治体の協力をいただき、運転再開の準備を進めることとしています。その方針に基づき、常磐線小高・原ノ町間は平成28年7月、浪江・小高間は平成29年春、竜田・富岡間は平成29年末までの運転再開に向けて、復旧工事等を進めました。また、帰還困難区域では、被災施設の復旧と合わせ、国・自治体の支援・協力のもと、通行に必要な除染や異常時の利用者の安全確保対策の完了後に開通させることをめざして、常磐線夜ノ森・双葉間で平成27年8月から除染試験施工を実施しました。さらに、除染および復旧工事に伴い発生する廃棄物および土壌の処分等に関して、解決の見通しが立ったことなどを踏まえ、常磐線富岡・浪江間についても平成31年度末までの運転再開をめざし、平成28年3月に復旧工事に着手しました。

 

②  駅スペース活用事業

駅スペース活用事業では、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」の新デザイン店舗や、駅売店「KIOSK(キオスク)」の商品構成や店舗レイアウトを刷新した「NewDays KIOSK」の展開を進めました。また、ご当地グルメを通じた地域おこしを目的に、秋葉原・御徒町間の高架下において「B-1グランプリ食堂」(東京)を平成27年7月に開業しました。さらに、新宿駅新南エリアにおいて「NEWoMan(ニュウマン)(第2期)」(東京)の平成28年4月の開業に向けて準備を進めました。加えて、東京駅の中央通路と北自由通路間において、バリアフリールートの増設に合わせ新たな店舗展開等を行うため、平成28年1月に改良工事に着手しました。そのほか、千葉駅構内の一部店舗の平成28年11月開業に向けて、工事を進めました。

これに加え、東京駅構内における店舗等の売上が好調であったことなどにより、売上高は前期比1.0%増の416,050百万円となり、営業利益は前期比1.6%増の35,099百万円となりました。

 

③  ショッピング・オフィス事業

ショッピング・オフィス事業においては、平成27年4月に、子会社の株式会社アトレの傘下に、北関東エリアにおいて駅ビルの運営を担う子会社3社を移し、地域密着型運営に向け店舗開発力等の強化を図りました。また、当社グループ共通の「JRE POINT(ジェイアールイー・ポイント)」のサービスを平成28年2月に開始しました。さらに、平成27年11月の「アトレ浦和」(埼玉)、平成27年12月の「tekuteながまち」(宮城)に続き、平成28年3月には「JR新宿ミライナタワー」(東京)、「NEWoMan(第1期)」(東京)および「エスパル仙台東館」(宮城)を開業しました。加えて、平成27年4月に「nonowa国立EAST」(東京)、平成27年12月には「nonowa武蔵小金井WEST」(東京)を開業するとともに、「nonowa国立WEST」(東京)および「アトレ恵比寿西館」(東京)について、平成28年4月の開業に向けて準備を進めました。そのほか、平成28年8月完成予定の「JEBL秋葉原スクエア」(東京)、平成31年度完成予定の渋谷駅街区開発計画Ⅰ期(東棟)および平成32年開業予定の横浜駅西口開発ビル(仮称)の建設工事を進めました。

この結果、株式会社ルミネの売上が好調であったほか、「MIDORI長野」(長野)の開業による増収などにより、売上高は前期比0.4%増の267,592百万円となりましたが、「JR新宿ミライナタワー」(東京)の開業に伴う費用を計上したことなどにより、営業利益は前期比1.0%減の71,610百万円となりました。

 

④  その他

ホテル業では、既存ホテルの競争力強化に向け、「ホテルメッツ武蔵境」(東京)、「ホテルメッツ長岡」(新潟)、「ホテルメッツ溝ノ口」(神奈川)および「ホテルメッツ浦和」(埼玉)をリニューアルしました。広告代理業では、大型液晶ディスプレイを用いた駅広告媒体「J・ADビジョン」や車内映像広告「トレインチャンネル」などの販売促進に努めました。

  クレジットカード事業では、当社グループを日ごろから多くご利用いただいているお客さまにさらなる利便性を提供するため、平成27年4月に「ビューゴールドプラスカード」のサービスを開始するとともに、平成27年12月には東京駅に「ビューゴールドラウンジ」を開設しました。Suica電子マネーについては、広域展開する飲食・小売りのチェーン店等への導入を進めるなど、引き続き加盟店開拓に積極的に取り組みました。その結果、Suica電子マネーが利用可能な店舗の数は、当連結会計年度末で約34万店舗となりました。

このほか、「HAPPY CHILD PROJECT(ハッピーチャイルドプロジェクト)」の一環として、子育て支援と高齢者福祉の複合施設「COTONIOR(コトニア)赤羽」(東京)を平成27年4月に開業しました。また、「COTONIOR西船橋」(千葉)の平成28年4月の開業に向けて準備を進めました。さらに、駅ビル内などにおいて子育て支援施設の整備を進め、当連結会計年度末で累計82箇所となりました。

これに加え、北海道新幹線関連工事の売上増のほか、広告代理業やホテル業の好調などにより、売上高は前期比3.2%増の633,957百万円となり、営業利益は前期比27.4%増の35,025百万円となりました。

 

(注) 1 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。

2 「icsca」は、仙台市の登録商標です。

 

 

(参考)

当社の鉄道事業の営業実績

当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。

①  輸送実績

 

区分

単位

第28期

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

第29期

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

営業日数

365

366

営業キロ

新幹線

キロ

1,194.2

1,194.2

在来線

6,264.0

6,263.1

7,458.2

7,457.3

客車走行キロ

新幹線

千キロ

502,361

542,765

在来線

1,787,115

1,792,626

2,289,476

2,335,392

輸送人員

定期

千人

3,826,707

3,918,281

定期外

2,391,838

2,446,650

6,218,546

6,364,931

輸送人キロ

新幹線

定期

千人キロ

1,675,389

1,740,359

定期外

19,238,713

21,108,139

20,914,102

22,848,498

在来線

関東圏

定期

68,375,586

69,908,852

定期外

34,935,178

35,966,273

103,310,764

105,875,125

その他

定期

3,068,782

3,083,370

定期外

2,775,333

2,621,281

5,844,116

5,704,652

定期

71,444,369

72,992,222

定期外

37,710,511

38,587,555

109,154,880

111,579,777

合計

定期

73,119,759

74,732,581

定期外

56,949,224

59,695,694

130,068,983

134,428,276

乗車効率

新幹線

55.2

56.2

在来線

44.3

44.3

45.8

45.9

 

(注) 1 乗車効率は次の方法により算出しております。

乗車効率=

輸送人キロ

×100

客車走行キロ×客車平均定員

 

2 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。

 

 

②  収入実績

 

区分

単位

第28期

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

第29期

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

旅客運輸収入

新幹線

定期

百万円

23,232

23,616

定期外

497,997

554,596

521,229

578,213

在来線

関東圏

定期

448,259

452,336

定期外

683,445

703,850

1,131,705

1,156,186

その他

定期

18,725

18,486

定期外

54,241

52,046

72,967

70,533

定期

466,985

470,822

定期外

737,687

755,896

1,204,672

1,226,719

合計

定期

490,217

494,439

定期外

1,235,685

1,310,493

1,725,902

1,804,932

荷物収入

72

72

合計

1,725,974

1,805,005

鉄道線路使用料収入

6,743

6,481

運輸雑収

162,595

171,945

収入合計

1,895,313

1,983,431

 

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が増加したことなどにより、流入額は前連結会計年度に比べ50,347百万円増の673,109百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ22,730百万円増の499,575百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、有利子負債の調達による収入が減少したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ23,629百万円増の110,265百万円となりました。

なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ62,638百万円増の307,809百万円となりました。

また、当連結会計年度末の有利子負債残高は3,241,979百万円であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。

なお、販売の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 経営の基本方針(グループ理念)

○ 私たちJR東日本グループは、駅と鉄道を中心として、お客さまと地域の皆さまのために、良質で時代の先端を行くサービスを提供することにより、東日本エリアの発展をめざします。

○ 私たちは、「究極の安全」と「サービス品質の改革」に向けて、挑戦を続けます。また、技術革新やグローバル化の推進を通じて、幅広い視野を持つ人材の育成、鉄道の進化の実現、沿線価値の向上など、グループの無限の可能性を追求します。

○ 私たちは、「信頼される生活サービス創造グループ」として、社会的責任の遂行とグループの持続的成長をめざします。

 

(2) 今後の経営環境の変化

わが国の経済情勢は、雇用や所得環境の改善傾向が続く中、各種政策の効果もあり、緩やかな回復に向かうことが期待されます。中長期的には、より一層の人口減少や高齢化、都市圏への人口集中が見込まれるとともに、技術革新やグローバル化の進展、インバウンド需要の拡大なども想定されます。

このような経営環境において、当社グループも、会社発足30年の節目を目前に控え、社員の世代交代の進展をはじめ、当社とグループ会社・パートナー会社との間で責任と役割を分担し合う「水平分業」の深度化や、鉄道の高速化・直通運転化などに伴うシステムチェンジなど、様々な「変化点」に直面しております。

これらの変化に適切に対応していくため、当社グループは、平成24年10月に「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」を策定し、「地域に生きる。世界に伸びる。」という経営の方向性を定めました。お客さまや地域の皆さまから期待されている「変わらぬ使命」を果たすとともに、「無限の可能性の追求」に向けて、日々挑戦を続けております。さらに、「グループ経営構想Ⅴ」の実現に向けた取組みを加速させるため、特に力を込めて推進する項目である「今後の重点取組み事項」について、毎年、進捗状況を確認し、施策を更新しており、本年は「安全・安定輸送のレベルアップ」を最重点に据えております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」

当社グループは、安全・安定輸送などの「変わらぬ使命」を果たし続けること、そして「無限の可能性の追求」により持続的成長をめざすことを経営の重要な柱と位置づけ、以下の6つの基本的な方向性を掲げております。

 

[変わらぬ使命]

◆ 「究極の安全」に向けて ~災害に強い鉄道づくり~

◆ サービス品質の改革 ~鉄道ネットワークの拡充等~

◆ 地域との連携強化 ~震災からの復興、観光流動の創造と地域の活性化~

 

[無限の可能性の追求]

◆ 技術革新 ~エネルギー・環境戦略の構築、ICTの活用、高速化~

◆ 新たな事業領域への挑戦 ~グローバル化~

◆ 人を伸ばし、人を活かす企業風土づくり

 

(4) グループ経営構想Ⅴ「今後の重点取組み事項」

[変わらぬ使命]

◆ きわめる~ 「究極の安全」に向けて

○ 「グループ安全計画2018」の確実な推進

・ 「グループ安全計画2018」の基本的な考え方に基づき、実践的な安全教育・訓練に向けた設備刷新や教材等の内容見直しなどの具体的な取組みを推進

・ 山手線の電化柱倒壊等を受け、「再発防止」の徹底や、リスク・弱点の把握による「未然防止」などの取組みを推進

・ グループ会社・パートナー会社との協働によるグループ全体での技術力向上

・ 川崎駅での列車脱線事故を教訓とした事故防止策(ソフト・ハード面)の徹底

○ 災害に強い鉄道づくり

・ 耐震補強対策について平成28年度末までに計画の約8割を完了見込み

・ 構造物、軌道設備、駅舎などの老朽設備の適切な更新

◆ みがく~ サービス品質の改革

○ 「サービス品質改革中期ビジョン2017」の推進

・ 自然災害対策の推進やセキュリティ向上による輸送障害の発生防止

・ 輸送障害発生時の早期運転再開、迅速なお客さま対応および影響拡大の防止

・ 列車運行情報サービスの案内対象線区拡大などICT等を活用した情報提供・サポートの充実

○ 北陸新幹線および北海道新幹線の利用促進等に向けて

・ 着地観光開発や広域観光ルート整備の推進による北陸新幹線および北海道新幹線の利用促進

・ 羽田空港アクセス線構想の具体化に向けた事業スキーム等の検討

◆ ともにいきる~ 地域との連携強化

○ 「3つのまちづくり」の着実な推進

・ 品川などターミナル駅における利便性の向上およびブランドの確立

・ 中央ラインモールプロジェクトや「HAPPY CHILD PROJECT」の推進などによる選ばれる沿線ブランドの確立

・ 秋田など地方中核駅における地方自治体等と連携したまちづくりの展開

○ 地域産業の活性化

・ 首都圏における地産品の販路拡大・情報発信強化

・ 「のもの1-2-3」プロジェクトなど農林漁業の「6次産業化」の推進

○ 観光立国の推進

・ 乗ること自体が旅行の目的となる魅力的な列車づくり

・ クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の導入準備

 

[無限の可能性の追求]

◆ ひらく~ 技術革新

○ エネルギー・環境戦略の推進

・ 交流区間乗入れ用の蓄電池駆動電車の導入

・ 北東北エリアの「再生可能エネルギー基地」化(太陽光・風力・地熱・バイオマス)

○ ICTを活用した業務革新

・ モニタリング装置のモデル線区への導入などによるメンテナンス業務革新

・ びゅう商品オンライン販売機能などによる新たな販売体制の構築

・ 無線式列車制御システム導入による輸送システムの変革

○ 技術革新の推進

◆ のびる~ 新たな事業領域への挑戦

○ 海外プロジェクトへの挑戦

・ タイ・バンコク都市鉄道「パープルライン」での事業推進

・ インドネシア・ミャンマーの鉄道事業者への技術支援等のさらなる拡大

・ 海外高速鉄道プロジェクト参画へ向けた取組みの推進

・ ステンレス車両「sustina」の積極展開・案件獲得

・ 生活サービス事業の海外展開

○ 社外の優れた技術・製品の導入

◆ はばたく~ 人を伸ばし、人を活かす企業風土づくり

○ 社員の意欲を引き出しさらなる成長機会を提供

・ 公募制の人事異動や研修制度の充実

・ 多様な海外派遣メニューの継続展開によるグローバル人材の育成強化

・ ダイバーシティの推進

 

○ 一体感のあるグループ経営の推進

・ 「グループストレッチ目標」の設定

・ JR東日本グループ共通の「JRE POINT」サービスの拡充

○ ワークスタイル改革、組織運営の効率化

 

◇ 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて

・ 会場最寄駅等の設備強化や大会期間中の輸送力の増強

・ 昇降設備や多機能トイレの増設などのバリアフリーの推進

 

◇ インバウンド戦略の推進

・ 東北観光推進機構等との連携による東北地方の認知度向上

・ 免税対応店舗の拡充などによるグループでのインバウンド需要の取込み

・ 訪日旅行センターの拡充などによる受入れ環境の整備と利便性向上

 

(5) 目標とする経営数値

平成24年10月に発表した「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」のもと、当社グループが達成をめざす数値目標については、対象期間を3年間として設定しております。また、経営環境の変化などを数値目標に適切に反映するために、1年ごとに目標を見直し、新たな3年間を対象とする数値目標を掲げることとしております。

この方針に基づき、第32期(平成30年度)における数値目標を次のとおり設定しております。

 

≪第32期(平成30年度)数値目標≫

 

第32期

(平成30年度)目標

≪参考≫第29期(当連結会計年度)

(平成27年度)実績

連結営業収益

2兆9,670億円

2兆8,671億円






運輸業

1兆9,790億円

1兆9,545億円

駅スペース活用事業

4,270億円

3,999億円

ショッピング・オフィス事業

2,960億円

2,559億円

その他

2,650億円

2,566億円

連結営業利益

4,980億円

4,878億円






運輸業

3,420億円

3,485億円

駅スペース活用事業

370億円

350億円

ショッピング・オフィス事業

840億円

716億円

その他

360億円

350億円

調整額

△10億円

△24億円

連結営業キャッシュ・フロー

(3年間の総額) 2兆円

6,731億円

連結ROA

6%程度

6.3%

連結ROE

10%程度

10.4%

 

※ 第30期(平成28年度)から第32期(平成30年度)までの総額を記載。

 

 

≪連結設備投資額見込み≫

 

3年間の総額

≪参考≫第29期(当連結会計年度)

(平成27年度)実績




維持更新投資

(うち安全投資)

1兆円

(6,000億円)

 3,585億円

(2,384億円)

成長投資

6,000億円

1,834億円

合計

1兆6,000億円

5,419億円

 

※ 第30期(平成28年度)から第32期(平成30年度)までの総額を記載。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業に係る法律関連事項

当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」の適用対象からは除外されているものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。

① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)

鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。

② 「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」(以下「JR会社法」という)(昭和61年法律第88号)

a 制定趣旨・目的等

改正前のJR会社法は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という)ならびに日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という)の出資・設立を定めるとともに、その目的および事業範囲について規定していました。本法により、各社は鉄道事業法の規制に加えて、経営上の重要事項に関して国土交通大臣の認可を必要とするなどの規制を受けるとともに、各社の社債権者が他の債権者に先立って弁済を受ける権利(一般担保)等の特例措置が講じられてきました。

b JR会社法の改正等について

(a) 平成13年12月1日に施行された「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」(以下「JR会社法改正法」という)(平成13年法律第61号)により、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という)については、JR会社法の適用対象から除外され、それまでJR会社法で定められていた規制が撤廃されました。

(b) また、JR会社法改正法では、本州旅客会社およびその鉄道事業の全部または一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という)を定める(附則第2条第1項)こととされております。この指針については、平成13年11月7日に告示され、平成13年12月1日より適用となっております。

(c) 指針に定められた事項は以下の3点です。

・会社間(新会社の間または新会社と新会社以外の旅客会社および貨物会社との間をいう。以下同じ)におけ

る旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項

・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項

・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項

(d) 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには新会社に対し指導および助言をすることができ(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業経営を行ったときには勧告および命令をすることができる(附則第4条)とされております。

(e) 指針に定められているこれらの事項については、当社は従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。

(f) その他、JR会社法改正法では、その施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、施行日以後もJR会社法第4条の一般担保の効力を有するとする(附則第7条)など、必要な経過措置等についても定められております。

 

(2) 運賃および料金の設定または変更

当社の鉄道事業における運賃・料金の設定、変更に際しては、鉄道事業法により必要な手続きが定められています。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。なお、手続きの詳細については以下のとおりです。

① 運賃および料金の認可の仕組みと手続き

鉄道運送事業者は、旅客の運賃および新幹線特急料金(以下「運賃等」という)の上限を定め、または変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。

また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更ならびに在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項および第4項)。

鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。

 


 

(注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるときまたは国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。

2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。

 

  なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃については、遠距離逓減制を加味したものとしております。

② 当社の考え方

a 当社では、昭和62年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(平成元年4月、平成9年4月および平成26年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施しておりません。

当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。

b 適正な利潤については、効率的な事業運営に努めることを前提とした上で、株主の皆さまに対する利益還元に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。

c 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を確保し、質の高いサービスを提供すること等により強固な経営基盤を確立するという観点から実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任のもとで主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しております。

③ 国土交通省の考え方

当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。

a 東日本旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。

なお、原価計算期間は3年間とする。

b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。

また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。

c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。

総括原価=営業費等(注1)+事業報酬

・ 事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率

・ 事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)

・ 事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)

(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。

2 運転資本=営業費および貯蔵品の一部

3 自己資本比率30%、他人資本比率70%

4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率および配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レート

d なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、またはその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)または(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。

(a) 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。

(b) 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。

 

 

(3) 整備新幹線計画

①  整備新幹線の建設計画

  整備新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき整備計画が決定された新幹線鉄道であります。昭和48年に東北新幹線(盛岡市~青森市)、北陸新幹線(東京都~長野市~富山市~大阪市)、九州新幹線(福岡市~鹿児島市)などについて整備計画が定められました。国鉄の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の営業主体とされ、平成9年10月1日に北陸新幹線高崎・長野間が、平成14年12月1日に東北新幹線盛岡・八戸間が、平成22年12月4日に東北新幹線八戸・新青森間が、平成27年3月14日に北陸新幹線長野・上越妙高間がそれぞれ開業しました。

当社管内以外では、現在、北海道新幹線新函館北斗・札幌間、北陸新幹線金沢・敦賀間、九州新幹線武雄温泉・長崎間の整備が進められております。

②  整備新幹線建設の費用負担

a  整備新幹線の建設は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行っており、その費用については国、地方公共団体およびJRが負担することとされておりますが、JRの負担については、次の(a)および(b)を充てることとされております。

(a) 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等

(b) 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部

b  平成9年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が新たに設けられ、現在は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条に規定されております。

同施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされています。このうち受益については、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間および関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線および関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は定額とされております。また、租税および同機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に算入されているため、新幹線開業に伴う営業主体の負担は受益の範囲内であります。

平成9年10月に開業した北陸新幹線高崎・長野間の貸付料の額については、当社は、日本鉄道建設公団(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)により算定された具体的な貸付料の額が当該新幹線開業に伴う当社の受益の範囲内にあると判断し、平成9年9月に同公団との合意に至りました。また、当該貸付料の額について、同公団は平成9年9月に運輸大臣の認可を受けております。なお、平成27年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分175.0億円、租税および管理費相当額33.1億円の計208.1億円であります。

平成14年12月に開業した東北新幹線盛岡・八戸間の貸付料の額については、同様に平成14年11月に当社と同公団とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同公団は平成14年11月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成27年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分79.3億円、租税および管理費相当額23.9億円の計103.2億円であります。

平成22年12月に開業した東北新幹線八戸・新青森間の貸付料の額については、同様に平成22年12月に当社と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同機構は平成22年12月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成27年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分70.0億円、租税および管理費相当額11.3億円の計81.3億円であります。

平成28年3月の北海道新幹線新青森・新函館北斗間の開業により東北新幹線八戸・新青森間の貸付料に付加して支払う額については、平成28年3月に当社と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とで合意に至っております。なお、当社が付加して支払う貸付料の額は、受益に基づいて算定された22.0億円となりますが、平成27年度分の貸付料の額については年度途中の開業のため日割計算となり、その額は0.3億円であります。

  平成27年3月に開業した北陸新幹線長野・上越妙高間の貸付料の額については、同様に平成27年3月に当社と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同機構は平成27年3月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成27年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分165.0億円、租税および管理費相当額1.4億円の計166.4億円であります。

c  開業の初期等の単年度においては、整備新幹線の建設がない場合と比較して、車両の償却負担等により、整備新幹線に関連する当社の収支に影響を与える場合もありますが、上記bの貸付料の性格からみて、開業後30年間の累積では収支に影響を与えないものと考えられます。

③  貸付期間終了時の取扱い

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から貸付けを受けている北陸新幹線高崎・上越妙高間および東北新幹線盛岡・新青森間の鉄道施設の取扱いについては、貸付けから30年間経過する時点で協議により新たに定めることになっております。

 

(4) 安全対策

鉄道事業においては、自然災害や人為的ミス、犯罪・テロ行為等によって事故が発生した場合、または原子力発電所の事故や感染症の大規模な流行等が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。

当社グループは、安全を経営の最重要課題と位置づけ、ハード、ソフトの両面からより安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」に基づく施策を着実に実施しました。

具体的には、首都直下地震等を想定し、平成24年度から平成28年度を重点整備期間とする総額3,000億円の耐震補強対策等を着実に進め、全体計画数量の約7割が完了しました。また、ホームドアについては、山手線において、日暮里駅など5駅で新たに使用を開始し、累計設置駅数は23駅となりました。山手線以外についても、線区の状況や駅のご利用状況などを勘案し、総武快速線新小岩駅などへの導入に向けた準備を進めました。さらに、踏切事故対策として、踏切の1種化や整理統廃合、踏切支障報知装置や障害物検知装置の増設などに引き続き取り組みました。加えて、保守作業員の安全性向上を目的に、GPSを活用した列車接近警報装置を開発し、平成28年4月に八高線および飯山線で使用を開始しました。

 

(5) 情報システム・個人情報保護

当社グループは、現在、鉄道事業、生活サービス事業およびSuica事業の様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の旅行会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。自然災害や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。また、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、日常より情報システムの機能向上や関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。

 

(6) 生活サービス事業等の展開

当社グループは、生活サービス事業を経営の柱の一つと位置づけ、駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他の事業(ホテル業、広告代理業など)の展開を行っています。

生活サービス事業については、景気低迷や天候不順などを理由とした消費低迷により、ショッピングセンター、オフィスビル、駅構内小売・飲食店舗、ホテルなどの収益の減少や広告の販売不振、テナントによる賃料減額要求が生じる可能性があります。さらに、食中毒事故などの製造・販売商品の瑕疵による売上の減少や当社グループに対する信頼の低下、テナントや取引先企業等の倒産などの発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、「駅」という当社最大の経営資源を十分活用した事業展開を図るとともに、衛生管理や取引先情報の管理などを徹底することにより、収益向上とお客さまからの信頼の確保に努めております。

 

(7) 他事業者等との競合

  当社グループは、鉄道事業において、他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これら鉄道事業、生活サービス事業における今後の競合状況が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

鉄道事業においては、首都圏の他の鉄道事業者における大規模改良工事の進展や格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路料金の割引施策などに伴う交通市場の競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。また、生活サービス事業においては、他社の新規進出や既存商業施設のリニューアルなどに伴う競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。

 

(8) 有利子負債の削減

当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆2,419億円であります。また、当連結会計年度の支払利息は763億円であり、これは営業利益の15.6%に相当します。

当社グループは、有利子負債の削減、低利の融資への借換えなどを今後とも進めてまいりますが、想定外の事由によりフリー・キャッシュ・フローが減少する場合、または今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(9) コンプライアンス

当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびSuica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
  当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めるなど、コンプライアンスの確保に努めております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社は、「新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律」(平成3年法律第45号)に基づき、東北および上越新幹線鉄道に係る鉄道施設(車両を除く)を平成3年10月1日、新幹線鉄道保有機構より3兆1,069億円で譲り受け、このうち2兆7,404億円については25.5年、3,665億円については60年の元利均等半年賦により鉄道整備基金に支払うことなどに関して、新幹線鉄道保有機構との間に契約を結んでおります。なお、新幹線鉄道保有機構は平成3年10月1日に解散し、その一切の権利および義務は鉄道整備基金に承継され、さらに鉄道整備基金は平成9年10月1日に解散し、その一切の権利および義務は運輸施設整備事業団に承継されました。また、運輸施設整備事業団は平成15年10月1日に解散し、同日に解散した日本鉄道建設公団とともに、その一切の権利および義務は、法律により国が承継する資産を除き、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構へ承継されております。

 

(2) 当社は、乗車券等の相互発売等旅客営業に係る事項、会社間の運賃および料金の収入区分ならびに収入清算の取扱い、駅業務ならびに車両および鉄道施設の保守等の業務の受委託、会社間の経費清算の取扱い等に関して、他の旅客会社との間に契約を結んでおります。

なお、上記の契約では、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金の算出に当たっては、通算できる制度によることとし、かつ、旅客運賃については、遠距離逓減制が加味されたものでなければならないこと、また、旅客会社において、他の旅客会社に関連する乗車券類を発売した場合は、当該他の旅客会社は、発売した旅客会社に販売手数料を支払うものとされております。

 

(3) 当社は、貨物会社が当社の鉄道線路を使用する場合の取扱い、駅業務ならびに車両および鉄道施設の保守等の業務の受委託、会社間の経費清算の取扱い等に関して、貨物会社との間に契約を結んでおります。

なお、上記の契約では、貨物会社が鉄道線路を使用するために当社に支払う線路使用料は、貨物会社が当社鉄道線路を使用することにより追加的に発生する額とされております。

 

(4) 当社は、旅客会社6社共同で列車の座席指定券等の発売を行うためのオンラインシステム(マルスシステム)の使用、各旅客会社間の収入清算等の計算業務の委託等に関して、鉄道情報システム株式会社との間に契約を結んでおります。

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは当連結会計年度において、運輸業を中心に、JR東日本研究開発センターを主要な拠点として、「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」に掲げた「変わらぬ使命」を果たし、当社グループが持つ「無限の可能性」を追求するため、様々な分野における技術革新をめざし各分野の研究開発に取り組みました。

当連結会計年度の研究開発費総額は、16,886百万円であります。また、主な研究開発状況は次のとおりであります。

 

(1) 運輸業

① 「究極の安全」に向けて

「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」に掲げた「究極の安全に向けて ~災害に強い鉄道づくり~」をめざして研究開発に取り組みました。具体的には、突風対策としてドップラーレーダーなどの観測結果を列車運行判断に用いる可能性についての研究や、地震観測体制の強化を図るため、海底地震計情報の活用に向けた検討を進めました。また、鉄道の安全性の評価手法やヒューマンエラーを防止するための研究に取り組みました。

 

②  エネルギー・環境戦略の構築

a 創エネ

再生可能エネルギーの有効活用に向けて、太陽光発電などの導入を拡大するとともに、地中熱など再生エネルギーに関する研究開発を進めました。

b 省エネ

蓄電池駆動電車システム、電車が停止するときに発生する回生電力の有効活用に関する研究開発を進めました。

c スマートグリッド技術の導入

回生電力の有効活用に向け、新たに電力貯蔵装置を東北本線久喜変電所において使用開始しました。

 

③  ICTの活用

a お客さまサービスの品質向上

ICTを活用したお客さまサービスの品質向上をめざし、スマートフォン用アプリ「駅構内ナビ」をバージョンアップさせ、東京駅および新宿駅を対象にサービスを試行し、実用化に向けた評価・検証を進めました。

b 輸送システムの変革

新幹線の地上・車上間で大容量通信が可能な列車無線システムの開発などを進めました。

c 現場第一線における業務革新

現場のメンテナンス業務を支援するため、営業列車による高頻度なデータ測定とその取得データの分析をベースに、日々のメンテナンスや設備の更新を最適化する仕組みの構築をめざして研究開発を進めました。具体的には、線路・電力設備や車両の主要機器の状態をモニタリングする仕組みを、当連結会計年度より営業運転を開始した山手線E235系量産先行車に搭載しました。

 

④ 新幹線のさらなる高速化

時速360kmでの営業運転をめざして、高速走行時の安定性向上や沿線の環境負荷低減に向けた研究開発を進めました。

 

⑤  その他

自社の研究開発のみならず、外部の開発力や知的財産を活用する「オープンイノベーション」を推進しました。より基礎的な分野の研究開発は、「研究開発等に関する協定」に基づき公益財団法人鉄道総合技術研究所にも委託しており、当連結会計年度における同研究所に対する負担金は、5,974百万円であります。

また、現場第一線の技術革新を担う人材育成のため、研究開発部門への社内公募制インターンシップ制度としてイノベーションカレッジを引き続き開講しました。

そのほか、研究開発の成果を技術論文誌「JR EAST Technical Review」にまとめ、情報発信を行いました。

 

(2) 駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他の事業

特に記載する事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針および見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

(2) 経営成績の分析

① 営業収益

当連結会計年度の営業収益は、全セグメントにおいて売上が増加したことにより、前期比4.0%増の2兆8,671億円となり、4期連続の増収となりました。また、過去最高を更新しました。

 

運輸業の外部顧客への売上高は、前期比5.5%増の1兆9,545億円となりました。

これは、当社の鉄道事業における旅客運輸収入が、新幹線収入を中心に増加したことなどにより、前期比4.6%増の1兆8,050億円となったことなどによるものであります。

新幹線に関しては、北陸新幹線金沢開業や訪日旅行者の利用増を受けて、輸送人キロは前期比9.2%増の228億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前期比1.7%増の236億円となりました。定期外収入は、前期比11.4%増の5,545億円となり、全体では前期比10.9%増の5,782億円となりました。

関東圏の在来線に関しては、輸送人キロは前期比2.5%増の1,058億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前期比0.9%増の4,523億円、定期外収入はシルバーウィーク等の連休の利用が好調であったことや上野東京ラインの開業などによって、前期比3.0%増の7,038億円となり、全体では前期比2.2%増の1兆1,561億円となりました。

関東圏以外の在来線に関しては、輸送人キロは前期比2.4%減の57億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前期比1.3%減の184億円、定期外収入は前期比4.0%減の520億円となり、全体では前期比3.3%減の705億円となりました。

 

運輸業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のようになりました。

駅スペース活用事業では、既存商業施設の売上が好調であったことなどにより、前期比0.9%増の3,999億円となりました。

ショッピング・オフィス事業では、既存商業施設の売上が好調であったほか、ショッピングセンターの新規開業による増収などにより、前期比0.4%増の2,559億円となりました。

その他の事業では、北海道新幹線関連工事の売上増のほか、広告代理業やホテル業の好調などにより、前期比1.5%増の2,566億円となりました。

 

② 営業費用

営業費用は、前期比2.2%増の2兆3,793億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の84.5%に対して、当連結会計年度は83.0%となりました。
  運輸業等営業費及び売上原価は、前期比1.9%増の1兆8,410億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。

販売費及び一般管理費は、前期比3.0%増の5,383億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。

 

③ 営業利益

営業利益は、前期比14.1%増の4,878億円となり、6期連続の増益となりました。また、過去最高益を更新しました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の15.5%に対し、当連結会計年度は17.0%となりました。

 

④ 営業外損益

営業外収益は、前期比3.6%増の216億円となりました。これは、受取保険金及び配当金が増加したことなどによるものであります。
  営業外費用は、前期比6.8%減の805億円となりました。これは、支払利息が減少したことなどによるものであります。

なお、受取利息などの金融収益から、支払利息などの金融費用を差し引いた金融収支は、724億円のマイナスとなり、前連結会計年度から7.4%改善しております。

 

⑤ 経常利益

経常利益は、前期比18.5%増の4,289億円となり、6期連続の増益となりました。また、過去最高益を更新しました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の13.1%に対し、当連結会計年度は15.0%となりました。

 

⑥ 特別損益

特別利益は、前期比44.9%減の367億円となりました。これは、工事負担金等受入額が減少したことなどによるものであります。
  特別損失は、前期比28.8%減の807億円となりました。これは、工事負担金等圧縮額が減少したことなどによるものであります。

 

⑦ 税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前期比22.1%増の3,848億円となりました。営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の11.4%に対し、当連結会計年度は13.4%となりました。

 

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期比36.0%増の2,453億円となり、過去最高益を更新しました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の458.95円に対し、当連結会計年度は625.82円となりました。また、営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前連結会計年度の6.5%に対し、当連結会計年度は8.6%となりました。

 

(3) 資本の財源および資金の流動性

① キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より503億円多い6,731億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が増加したことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より227億円多い4,995億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。

なお、設備投資の概要は以下のとおりです。

運輸業に関しては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、山手線ホームドア整備、車両新造などの設備投資を行いました。駅スペース活用事業に関しては、新規店舗の展開や、既存店舗のリニューアル工事などを行いました。ショッピング・オフィス事業については、「JR新宿ミライナタワー」(東京)、「エスパル仙台東館」(宮城)および「アトレ浦和」(埼玉)などの設備投資を実施しました。その他の事業については、システムの開発および機能増強等の設備投資を実施するとともに、既存ホテルのリニューアル工事などを行いました。

また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より276億円増加し、1,735億円の流入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より236億円多い1,102億円の流出となりました。これは、有利子負債の調達による収入が減少したことなどによるものであります。

なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,451億円から626億円増加し、3,078億円となりました。

 

② 財務政策

当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆2,419億円であります。

新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、以下の3つに区分されます。

a 変動利率(当連結会計年度については年利4.13%)により平成29年3月31日までに支払われる445億円

b 年利6.35%の固定利率により同日までに支払われる485億円

c 年利6.55%の固定利率により平成63年9月30日までに支払われる3,364億円

また、このほか、当連結会計年度末現在、当社が秋田新幹線に関連するものとして68億円、東京モノレール㈱が19億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。

当社は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の同意を得て、平成9年度より、新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金について期限前弁済(以下「早期弁済」という)を行っており、平成27年度は72億円の早期弁済を行いました。

当社グループは平成13年度よりキャッシュマネジメントシステムを導入し、それまで各社が個別に行っていた余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、有利子負債削減に努めております。また、グループ間の支払いを相殺して決済したり、グループ内の支払業務を集約する支払代行制度を利用したりするなど資金管理手法を向上させております。

当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を平成33年から平成58年の間とする7本の無担保普通社債を総額1,000億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、当社はスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社よりAA-、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりAa3の長期債格付けを取得しております。

また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しております。コマーシャル・ペーパーについては、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりP-1の短期債(CP)格付けを取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高およびコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。

さらに、平成27年4月より、銀行からのコミットメント・ライン(一定条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。