第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や企業収益などの改善により、緩やかな回復傾向が続きました。このような状況の中、当社、連結子会社および持分法適用関連会社は、「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」のもと、鉄道事業や生活サービス事業、Suica事業を中心に様々な施策を着実に展開し、サービス品質改革と収入確保に努めました。

この結果、当連結会計年度の営業収益は、当社の運輸収入が増加したことなどにより、前期比1.2%増の2,702,916百万円となり、営業利益は前期比2.3%増の406,793百万円となりました。また、経常利益は支払利息の減少などにより前期比4.7%増の332,518百万円となり、当期純利益は前期比14.0%増の199,939百万円となりました。

 

なお、「グループ経営構想Ⅴ」を踏まえ、当連結会計年度より鉄道車両製造事業において、株式会社総合車両製作所と当社の新津車両製作所との協力関係を一層深めていくことから、第1四半期連結会計期間より、鉄道車両製造事業を主たる事業とする株式会社総合車両製作所の報告セグメントの区分を「その他」から「運輸業」に変更しております。

これに伴い、以下のセグメントの業績における前期比については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値との比較としております。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

①  運輸業

運輸業においては、鉄道事業を中心に、安全・安定輸送の確保とお客さま満足の向上を前提として、新幹線・在来線ネットワークの利用促進策の展開などにより収入確保に努めました。

具体的には、「究極の安全」に向けて、首都直下地震等を想定した大規模地震対策として、高架橋や橋脚、中央線御茶ノ水駅付近盛土などの耐震補強工事を進め、当連結会計年度末で全体計画数量の約3割が完了しました。また、帰宅困難者対策として、東京30km圏内の約200駅への備蓄品の配備を完了したほか、災害時における駅滞留者の避難誘導に関する関係自治体との協議を継続して実施しました。このほか、踏切事故対策などを着実に進めたほか、山手線ホームドア整備については、新たに新大久保駅や田町駅など7駅で使用を開始し、当連結会計年度末の累計設置駅数は11駅となりました。また、平成25年3月の奥羽本線列車脱線事故を受けて、社内の「奥羽線こまち号脱線調査・対策専門委員会」での調査・検討を踏まえ、防雪柵の設置や除雪の強化など再発防止策を講じました。さらに、グループ全体で「究極の安全」に向けて挑戦していくため、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」を平成26年2月に策定しました。そして、平成26年2月に発生した京浜東北線川崎駅構内列車脱線事故を受けて、線路閉鎖工事における関係者間の指揮命令系統の明確化、軌陸車および工事用重機械を建築限界内に進入させる際の取扱いの見直し、当社社員による工事施工立会いの強化という対策を講じ、同種事故の再発防止に努めました。今後も引き続き、さらなる安全性の向上に向けた取組みを進めていきます。

また、輸送の安定性向上に向けた取組みとして、埼京線や横浜線などへの新型車両の導入、防風柵の整備、降雪時のポイント不転換対策などを推進しました。また、平成26年2月に発生した大雪による大規模輸送障害の振返りを行い、雪害への対応力向上に向けた対策の検討を進めました。さらに、列車運行情報をはじめとした情報提供の充実を図るため、平成26年3月から、スマートフォン向けに「JR東日本アプリ」の提供を開始しました。加えて、沿線別サービスマネジメントの強化に向けて、「サービス品質よくするプロジェクト」を武蔵野線・埼京線・横浜線で展開したほか、安心・快適な鉄道づくりの一環として、ベビーカーやエスカレーターの安全利用を呼びかけるキャンペーンを他の鉄道事業者等と連携して実施しました。

 

観光流動の活性化と観光の力による東北の復興支援を目的として、「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」や「秋田デスティネーションキャンペーン」などを展開しました。また、八戸線の全席レストラン列車「TOHOKU EMOTION(東北エモーション)」など、「乗る」こと自体が目的となる列車を活用し、首都圏から東北への観光需要を喚起しました。さらに、秋田新幹線E6系「こまち」等の利用促進、世界文化遺産・富士山へ向けた割引きっぷ等の設定、「JR SKISKI」キャンペーンの展開などにより、鉄道の利用拡大を図りました。平成26年3月のダイヤ改正では、全ての「はやぶさ・こまち」の時速320km運転を実現したほか、長野新幹線に新型車両E7系を導入しました。在来線では、高崎線特急「あかぎ」で新たな通勤着席サービス「スワローサービス」を開始したほか、南武線の増発および快速運転区間拡大など「東京メガループ」のサービス向上を図りました。加えて、訪日旅行者数の拡大に向けて、新たな訪日旅行ブランド「東日本鉄道假期(東日本鉄道ホリデー)」の展開に加え、各種割引きっぷの設定などの利用促進策を講じました。そして、平成26年度末の北陸新幹線金沢開業を見据え、平成25年4月に「北陸営業センター」を設置したほか、平成25年10月に運行体系の概要および列車名を決定しました。このほか、平成26年4月の消費税率引上げに伴う運賃・料金改定に向け、システム改修やお客さまへのわかりやすいご案内など、必要な準備を進めました。Suicaについては、平成25年6月より、札幌市交通局等の「SAPICA」エリアでの利用サービスを開始し、利便性の向上を図りました。また、京葉車両センターでの大規模太陽光発電設備(メガソーラ)の使用開始、烏山線への蓄電池駆動電車「ACCUM(アキュム)」の導入など、エネルギー・環境戦略の取組みを推進しました。

海外鉄道プロジェクトへの参画については、平成28年頃に営業開始予定のタイ・バンコクの都市鉄道「パープルライン」における鉄道車両や各種地上設備のメンテナンス事業への参画が決定し、事業開始に向けた準備を進めました。加えて、鉄道車両製造事業については、パープルラインへの鉄道車両の供給決定をはじめ、ステンレス車両「sustina(サスティナ)」のブランド展開を強化し、国内外からの新規案件獲得・受注拡大に向けた取組みを進めました。さらに、今後のグローバル展開を担う人材の育成に向けて、「グローバル人材育成プログラム Ever Onward」を推進し、海外短期留学制度を新設するとともに、海外鉄道コンサルティング業務OJTトレーニーなどにより、当連結会計年度において約600名の海外派遣を実施しました。

この結果、当社の鉄道輸送量は前期を上回り、売上高は前期比1.1%増の1,883,511百万円となり、営業利益は前期比1.1%増の267,336百万円となりました。

 

津波により甚大な被害を受けた太平洋沿岸線区の復旧については、地域全体の復興やまちづくりの計画策定と一体となって進めるべく、国や地方自治体等との協議を実施しています。鉄道での復旧を決定した区間については、仙石線高城町・陸前小野間および常磐線広野・竜田間の復旧工事を進めたほか、常磐線相馬・浜吉田間および石巻線浦宿・女川間における平成26年春の工事着手に向けた準備を推進しました。「BRT(バス高速輸送)による仮復旧」については、平成25年4月および9月に気仙沼線と大船渡線の専用道を延伸したほか、平成25年8月からBRT専用ICカード乗車券「odeca(オデカ)」を導入するなど、さらなる利便性向上を図りました。また、山田線については、地域密着の運営による利用促進、コンパクトで持続可能性の高い地域交通の提供という観点から、平成26年1月に三陸鉄道株式会社による南北リアス線との一体運営を関係自治体に提案しました。このほか、沿線の復興支援策の一環として、仙台・石巻間の到達時分短縮による利便性向上を図るため、仙石線・東北本線接続線整備工事を進めました。

また、岩泉線については、平成24年3月に「鉄道による復旧を断念し、バスにより地域の交通を確保する」という方針を表明し、地元自治体等と協議を行ってきました。その結果、岩泉線の廃止および代替輸送などについて関係者間で合意に至ったため、平成25年11月、国土交通大臣に鉄道事業廃止の届出を行いました。その後の廃止日繰上げの手続を経て、平成26年4月、岩泉線を廃止し、地元バス事業者が代替バスの運行を開始しました。なお、今後当社は代替バスの運行に必要な支援を行っていきます。

 

 

②  駅スペース活用事業

駅スペース活用事業においては、「ペリエ海浜幕張」(千葉)や「mAAch ecute 神田万世橋(マーチエキュート)」(東京)を開業しました。また、東京駅や立川駅など、首都圏を中心にエキナカ商業施設のリニューアルを進め、魅力ある店舗展開による競争力強化を図りました。さらに、「地域再発見プロジェクト」の一環として、上野駅や大宮駅などで産直市を継続的に開催し、東日本各エリアの魅力の発信に努めました。

これに加え、前期に開業した東京駅「セントラルストリート」(東京)などの増収効果があったものの、工事に伴う閉店の影響や一部既存店舗の業績の低迷などにより、売上高は前期比0.6%減の415,828百万円となり、営業利益は前期比4.0%減の36,061百万円となりました。

 

③  ショッピング・オフィス事業

ショッピング・オフィス事業においては、「アトレヴィ大塚」(東京)や「nonowa東小金井」(東京)などを開業しました。また、平成24年10月の東京駅丸の内駅舎保存・復原工事の完成に続き、平成25年9月、東京駅八重洲口に南北のオフィスビルをつなぐ「グランルーフ」(東京)が完成しました。さらに、「アトレ吉祥寺」(東京)や「ルミネ有楽町」(東京)、「エスパル郡山」(福島)などのリニューアルを実施したほか、既存店舗の活性化および集客力のあるテナントの導入を引き続き推進しました。このほか、平成25年8月に「JR大塚南口ビル」(東京)を開業するとともに、平成26年度末開業予定の長野駅新駅ビル、平成28年春完成予定の新宿駅新南口ビル(仮称)の建設工事を進めました。

これに加え、前期に開業したJPタワー内の「キッテ グランシェ」(東京)の増収効果などにより、売上高は前期比5.1%増の261,805百万円となり、営業利益は前期比5.7%増の72,057百万円となりました。

 

④  その他

ホテル業では、平成25年4月に「ホテルメッツ新潟」(新潟)を開業したほか、既存ホテルの客室や宴会場のリニューアルを行い、さらなる競争力強化を図りました。広告代理業では、大型液晶ディスプレイを用いた駅広告媒体「J・ADビジョン」の設置駅拡大や車内映像広告「トレインチャンネル」の提供路線拡大などにより、さらなる販売促進に努めました。また、マレーシアにおけるデジタルサイネージ事業の開始に向けて、平成26年3月、他の広告代理店との共同出資により有限責任事業組合を設立しました。

クレジットカード事業では、「定期券代キャッシュバックキャンペーン」や各種イベント等に連動したキャンペーンなどを展開し、さらなる利用促進と会員数拡大を図りました。平成26年3月にサービス開始から10年を迎えたSuica電子マネーについては、首都圏のタクシーへの導入を順次進めたほか、ドラッグストアチェーンや飲食チェーン等への導入を拡大するなど、市中等の加盟店開拓を積極的に推進しました。その結果、Suica電子マネーが利用可能な店舗等の数は当連結会計年度末で約248,890店舗となりました。

このほか、海外鉄道事業では、アジアや英国などにおける都市鉄道や高速鉄道の整備計画に係るコンサルティング事業を引き続き進めました。スポーツ事業では、平成25年9月に「ジェクサー・フィットネス&スパ大塚」(東京)を開業したほか、介護予防事業の第1号店として「ジェクサー・プラチナジム南浦和」(埼玉)を平成25年10月に開業しました。加えて、農林漁業の「6次産業化」を通じた地域産業の活性化をめざし、平成26年3月に常設の地産品ショップ「のもの」の2号店を秋葉原駅に開業しました。

これに加え、前期に開業した「東京ステーションホテル」(東京)の増収効果などにより、売上高は前期比3.0%増の575,637百万円となり、営業利益は前期比12.5%増の32,685百万円となりました。

 

(注)  当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号  平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号  平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。

 

 

(参考)

当社の鉄道事業の営業実績

当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。

①  輸送実績

 

区分

単位

第26期

(自  平成24年4月1日

至  平成25年3月31日)

第27期

(自  平成25年4月1日

至  平成26年3月31日)

営業日数

365

365

営業キロ

新幹線

キロ

1,134.7

1,134.7

在来線

6,377.9

6,377.9

7,512.6

7,512.6

客車走行キロ

新幹線

千キロ

469,944

482,824

在来線

1,785,915

1,789,632

2,255,859

2,272,456

輸送人員

定期

千人

3,797,398

3,875,382

定期外

2,337,308

2,371,613

6,134,706

6,246,995

輸送人キロ

新幹線

定期

千人キロ

1,670,740

1,731,936

定期外

18,448,061

19,131,148

20,118,801

20,863,085

在来線

関東圏

定期

68,513,233

69,670,828

定期外

33,907,494

34,554,720

102,420,728

104,225,549

その他

定期

3,143,985

3,225,569

定期外

2,710,814

2,796,787

5,854,800

6,022,356

定期

71,657,219

72,896,397

定期外

36,618,309

37,351,507

108,275,529

110,247,905

合計

定期

73,327,959

74,628,334

定期外

55,066,371

56,482,656

128,394,330

131,110,990

乗車効率

新幹線

55.5

57.2

在来線

45.5

45.6

46.8

47.1

 

(注) 1  乗車効率は次の方法により算出しております。

乗車効率=

輸送人キロ

×100

客車走行キロ×客車平均定員

 

2  「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。

 

 

②  収入実績

 

区分

単位

第26期

(自  平成24年4月1日

至  平成25年3月31日)

第27期

(自  平成25年4月1日

至  平成26年3月31日)

旅客運輸収入

新幹線

定期

百万円

22,731

22,857

定期外

469,302

484,331

492,034

507,189

在来線

関東圏

定期

445,786

439,289

定期外

671,292

676,035

1,117,079

1,115,325

その他

定期

18,813

18,639

定期外

53,569

55,294

72,383

73,934

定期

464,600

457,929

定期外

724,861

731,329

1,189,462

1,189,259

合計

定期

487,332

480,787

定期外

1,194,164

1,215,661

1,681,496

1,696,449

荷物収入

79

74

合計

1,681,576

1,696,523

鉄道線路使用料収入

6,947

6,376

運輸雑収

155,719

160,264

収入合計

1,844,243

1,863,165

 

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、法人税等の支払額が増加したことなどにより、流入額は前連結会計年度に比べ25,765百万円減の562,763百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ8,746百万円増の474,697百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、有利子負債の返済による支出が減少したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ9,784百万円減の91,367百万円となりました。

なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ3,204百万円減の186,057百万円となりました。

また、当連結会計年度末の有利子負債残高は3,288,400百万円であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。

なお、販売の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 中長期的な会社の経営戦略 「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」(平成24年10月策定)

当社グループは、「変わらぬ使命」を果たし続けること、そして「無限の可能性の追求」により成長をめざすことを経営の重要な柱と位置づけております。今後も、鉄道、当社グループ、そして社員一人ひとりの未来を切り拓くため、グループ全社員の総力を結集し、「限りなき前進」を続けていきます。

 

  [変わらぬ使命]

「お客さまの求める安全で品質の高いサービスを提供する」、そして「鉄道サービス・生活サービスの提供を通じて、地域の発展に貢献する」という基本的な使命はいつの時代も変わりません。これらを、改めて経営の重要な柱に位置づけるとともに、社会的な要請にしっかりと応えることができる内容・レベルとするために、不断の努力を続けます。

① 「究極の安全」に向けて ~災害に強い鉄道づくり~

② サービス品質の改革 ~鉄道ネットワークの拡充等~

③ 地域との連携強化 ~震災からの復興、観光流動の創造と地域の活性化~

 

  [無限の可能性の追求]

3つの「変わらぬ使命」を、将来にわたって果たし続けていくためには、グループのさらなる成長が不可欠です。激しい変化の中で、現状にとどまることは後退することを意味し、常に新たな目標に挑戦し続けなければ、成長は成し遂げられません。以下の3つの観点から、当社グループ、そしてそこで働く社員一人ひとりが持つ「無限の可能性」を追求していきます。

① 技術革新 ~エネルギー・環境戦略の構築、ICTの活用、高速化~

② 新たな事業領域への挑戦 ~グローバル化~

③ 人を伸ばし、人を活かす企業風土づくり

 

(2) グループ経営構想Ⅴ「今後の重点取組み事項」(平成25年10月策定)

当社グループは、「グループ経営構想Ⅴ」の実現に向けた取組みを加速させるため、今後特に力を込めて推進を図る項目として、「今後の重点取組み事項」を策定しました。

鉄道という社会インフラを担う企業として、安全・安定輸送や快適なサービスの提供に向けた日々の業務の着実な遂行に取り組み、その上で中期的な観点から、「今後の重点取組み事項」を推進していきます。

 

◆ 変わらぬ使命

① きわめる~「究極の安全」に向けて

○ 総額3,000億円の耐震補強対策などの推進

~ 平成28年度までの重点整備期間で約8割完了、海底地震計の活用検討

○ ホームドア第2期整備計画の策定

~ 単体駅および線区単位での整備、山手線整備費用から約2割のコストダウンを目標

○ 「グループ安全計画2018」の推進

~ 社員一人ひとりが力を伸ばし、チームワークで安全性向上への取組みを推進

② みがく~サービス品質の改革

○ 輸送品質のさらなる向上

~ 上野東京ライン開業等を踏まえた輸送障害の発生防止、スマホ向け情報配信「JR東日本アプリ」

○ 東京圏鉄道ネットワークの拡充

~ 中央線・東京メガループの輸送改善、羽田空港アクセス改善、戦略的新駅

○ 北陸新幹線開業に向けて

~ 開業準備の着実な推進、開業効果の最大化に向けた取組み

○ ICTを活用したチケッティングの利便性向上

~ Suica利用可能箇所の拡大、ニーズに応じたチケッティングの実現

 

③ ともにいきる~地域との連携強化

○ 大規模ターミナル駅や沿線ごとのブランド確立

~ 大規模ターミナル駅開発の着実な推進、駅のコミュニティ機能の充実

○ 地方中核駅におけるまちづくりの展開

~ コンパクトシティ構想を踏まえた駅周辺機能の再検討

○ 「のもの」や産直市の展開による地域経済の活性化

~ 「のもの」の多店舗展開、産直市の積極展開

○ エキナカにおける新たな業態・サービスの展開

~ 新業態・新サービスに挑戦するフィールドの創出

○ 観光立国の推進

~ 海外の旅行エージェントとの連携強化、「東日本版ゴールデンルート」構想の推進

 

 ◆ 無限の可能性の追求

① ひらく~技術革新

○ エネルギー・環境戦略の推進

~ 自営電力網の整備、蓄電池車両の導入拡大、北東北の「再生可能エネルギー基地」化

○ ICTを活用した業務革新

~ メンテナンス部門および駅へのタブレット端末の導入、触車事故防止に向けた無線の活用

○ 現場第一線の社員による技術革新

~ イノベーションリーダー&コンダクターの指定、技術革新を担う人材の育成強化

② のびる~新たな事業領域への挑戦

○ 海外拠点の増設

~ ロンドン事務所の活動開始

○ 「経営の第4の柱」鉄道車両製造事業の確立

~ 海外案件の獲得、事業の競争力強化に向けた取組み

③ はばたく~人を伸ばし、人を活かす企業風土づくり

○ 意欲ある社員へのさらなる成長機会の提供

~ e-Learningの活用、グローバル人材の育成強化

○ 一体感のあるグループ経営の推進

~ 今後のグループポイントのあり方の検討

 

◆ 東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据えて

① 安全かつスムーズ・快適な移動サービスの提供

② 東京圏の観光流動活性化と地方への誘客

③ ターミナル駅開発の推進による東京の魅力向上

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業に係る法律関連事項

当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」の適用対象からは除外されているものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。

① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)

鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。

② 「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」(以下「JR会社法」という)(昭和61年法律第88号)

a 制定趣旨・目的等

改正前のJR会社法は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という)ならびに日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という)の出資・設立を定めるとともに、その目的および事業範囲について規定していました。本法により、各社は鉄道事業法の規制に加えて、経営上の重要事項に関して国土交通大臣の認可を必要とするなどの規制を受けるとともに、各社の社債権者が他の債権者に先立って弁済を受ける権利(一般担保)等の特例措置が講じられてきました。

b JR会社法の改正等について

(a) 平成13年12月1日に施行された「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」(以下「JR会社法改正法」という)(平成13年法律第61号)により、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という)については、JR会社法の適用対象から除外され、それまでJR会社法で定められていた規制が撤廃されました。

(b) また、JR会社法改正法では、本州旅客会社およびその鉄道事業の全部または一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という)を定める(附則第2条第1項)こととされております。この指針については、平成13年11月7日に告示され、平成13年12月1日より適用となっております。

(c) 指針に定められた事項は以下の3点です。

・会社間(新会社の間または新会社と新会社以外の旅客会社および貨物会社との間をいう。以下同じ)における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項

・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項

・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項

 

(d) 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには新会社に対し指導および助言をすることができ(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業経営を行ったときには勧告および命令をすることができる(附則第4条)とされております。

(e) 指針に定められているこれらの事項については、当社は従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。

(f) その他、JR会社法改正法では、その施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、施行日以後もJR会社法第4条の一般担保の効力を有するとする(附則第7条)など、必要な経過措置等についても定められております。

 

(2) 運賃および料金の設定または変更

当社の鉄道事業における運賃・料金の設定、変更に際しては、鉄道事業法により必要な手続きが定められています。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。なお、手続きの詳細については以下のとおりです。

① 運賃および料金の認可の仕組みと手続き

鉄道運送事業者は、旅客の運賃および新幹線特急料金(以下「運賃等」という)の上限を定め、または変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。

また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更ならびに在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項および第4項)。

鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。

 


 

(注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるときまたは国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。

2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。

 

なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃については、遠距離逓減制を加味したものとしております。

 

② 当社の考え方

a 当社では、昭和62年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(平成元年4月、平成9年4月および平成26年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施しておりません。

当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。

b 適正な利潤については、効率的な事業運営に努めることを前提とした上で、株主の皆さまに対する利益還元に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。

c 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を確保し、質の高いサービスを提供すること等により強固な経営基盤を確立するという観点から実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任のもとで主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しております。

③ 国土交通省の考え方

当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。

a 東日本旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。

なお、原価計算期間は3年間とする。

b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。

また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。

c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。

総括原価=営業費等(注1)+事業報酬

・ 事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率

・ 事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)

・ 事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)

(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。

2 運転資本=営業費および貯蔵品の一部

3 自己資本比率30%、他人資本比率70%

4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率および配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レート

d なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、またはその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)または(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。

(a) 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。

(b) 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。

 

 

(3) 整備新幹線計画

①  整備新幹線の建設計画

整備新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき整備計画が決定された新幹線鉄道であります。昭和48年に東北新幹線(盛岡市~青森市)、北陸新幹線(東京都~長野市~富山市~大阪市)、九州新幹線(福岡市~鹿児島市)などについて整備計画が定められました。国鉄の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の営業主体とされ、平成9年10月1日に北陸新幹線高崎・長野間が、平成14年12月1日に東北新幹線盛岡・八戸間が、平成22年12月4日に東北新幹線八戸・新青森間がそれぞれ開業しました。

当社管内では、北陸新幹線長野・上越妙高間が、引き続き独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構によって建設工事中です。この区間については、平成8年12月の「政府与党合意」の際、与党三党の申し入れで標準軌新線〈フル規格〉として整備するものとされ、平成10年1月の政府・与党整備新幹線検討委員会において、所要の認可等の手続きを経て平成9年度中に着工することなどが決定されました。これに基づき、平成10年3月に日本鉄道建設公団(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が全国新幹線鉄道整備法第9条に規定する運輸大臣の認可を得て建設に着手しました。

なお、平成16年12月の「政府・与党申合せ」において、北陸新幹線長野・白山総合車両所間(当社管内は長野・上越妙高間)については、「平成26年度末の完成を目指すこととし、できる限り早期の完成に努めることとする」とされております。

また、当社管内以外では、現在、北海道新幹線新青森・札幌間、北陸新幹線上越妙高・敦賀間、九州新幹線武雄温泉・長崎間の整備が進められております。

②  整備新幹線建設の費用負担

a  整備新幹線の建設は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行っており、その費用については国、地方公共団体およびJRが負担することとされておりますが、JRの負担については、次の(a)および(b)を充てることとされております。

 (a) 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等

 (b) 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部

b  平成9年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が新たに設けられ、現在は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条に規定されております。

  同施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされています。このうち受益については、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間および関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線および関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は定額とされております。また、租税および同機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に算入されているため、新幹線開業に伴う営業主体の負担は受益の範囲内であります。

    平成9年10月に開業した北陸新幹線高崎・長野間の貸付料の額については、当社は、日本鉄道建設公団(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)により算定された具体的な貸付料の額が当該新幹線開業に伴う当社の受益の範囲内にあると判断し、平成9年9月に同公団との合意に至りました。また、当該貸付料の額について、同公団は平成9年9月に運輸大臣の認可を受けております。なお、平成25年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分175.0億円、租税および管理費相当額35.0億円の計210.0億円であります。

    平成14年12月に開業した東北新幹線盛岡・八戸間の貸付料の額については、同様に平成14年11月に当社と同公団とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同公団は平成14年11月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成25年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分79.3億円、租税および管理費相当額27.0億円の計106.3億円であります。

 

    平成22年12月に開業した東北新幹線八戸・新青森間の貸付料の額については、同様に平成22年12月に当社と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同機構は平成22年12月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成25年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分70.0億円、租税および管理費相当額12.8億円の計82.8億円であります。

c  整備新幹線の建設主体は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構であり、同機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされております。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記bの貸付料を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担はないものとされております。

    また、開業の初期等の単年度においては、整備新幹線の建設がない場合と比較して、車両の償却負担等により、整備新幹線に関連する当社の収支に影響を与える場合もありますが、上記bの貸付料の性格からみて、開業後30年間の累積では収支に影響を与えないものと考えられます。

    なお、JRの負担については「貸付料等」とされておりますが、この「等」とは、貸付料を開業の直前に前払いする場合のみを意味するものであり、JRと同機構との協議の上、両者の合意に基づきこれを実施することとされていることから、当社の意向を十分反映したものになると考えられます。

③  並行在来線の扱い

平成9年10月に開業した北陸新幹線高崎・長野間においては、開業時に、信越線横川・軽井沢間は廃止、同軽井沢・篠ノ井間は当社から経営分離されました。また、平成14年12月に開業した東北新幹線盛岡・八戸間においては、開業時に、東北線盛岡・八戸間が、平成22年12月に開業した東北新幹線八戸・新青森間においては、開業時に、東北線八戸・青森間が、それぞれ当社から経営分離されました。

なお、平成8年12月の「政府与党合意」において、建設着工する区間の並行在来線については、新幹線開業時にJRの経営から分離することとされました。これに基づき、平成10年3月に新規着工された北陸新幹線長野・上越妙高間に並行する在来線である信越線長野・直江津間については、当該新幹線開業時に当社から経営分離されることで、地元の同意を得ております。

さらに、平成12年12月の「政府・与党申合せ」において、JRから経営分離された並行在来線上を引き続きJR貨物が走行する場合には、線路使用実態に応じた適切な線路使用料を確保することとし、これに伴うJR貨物の受損については、必要に応じこれに係る新幹線貸付料収入の一部を活用して調整する措置を講じることが決定されました。

これに基づき、平成14年10月に全国新幹線鉄道整備法施行令が改正され、従来は新幹線の建設費用に充当することが原則とされていたJRが支払う貸付料について、JR貨物への調整措置に必要な額にも充当できることとされました。

④  整備新幹線建設に関する当社の考え方

整備新幹線建設にあたって、当社としては、

a  営業主体となるJRが負担することになるのは、新幹線開業に伴って生じる受益を限度とした、上記貸付料等のみであり、この貸付料等以外の負担は一切生じないこと

b  整備する線区の並行在来線を当社から経営分離することについて、地元の同意が確認できていること

の二点が必須の条件と考えており、従来も、今後も、この条件が厳守されることをもって営業主体としての責務を果たすことを基本方針としております。

現在、整備が進められている北陸新幹線長野・上越妙高間について、当社は上記の2つの条件が満たされていることを確認のうえ、平成10年1月に着工に同意したものであります。

整備新幹線の建設に関する上記の2つの条件が変更された場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 安全対策

  鉄道事業においては、自然災害や人為的ミス、犯罪・テロ行為等によって事故が発生した場合、または原子力発電所の事故や感染症の大規模な流行等が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。

  当社グループは、安全の確保を経営の最重要課題と位置づけ、ハード、ソフトの両面からより安全性の高い鉄道システムづくりに取り組んでおります。

  具体的には、首都直下地震などの大規模地震に備えた、平成24年度から平成28年度を重点整備期間とする総額3,000億円の耐震補強対策等の計画を着実に進めました。高架橋や橋脚、電化柱のほか、中央線御茶ノ水駅付近盛土などの耐震補強工事を推進し、当連結会計年度末で全体計画数量の約3割が完了しました。そして、地震観測体制の強化を図るため、地震計観測値の高速伝送化や海底地震計情報の活用に向けた検討を進めました。また、帰宅困難者対策として、東京30km圏内の約200駅への備蓄品の配備を完了したほか、災害時における駅滞留者の避難誘導に関する関係自治体との協議を継続して実施しました。さらに、踏切事故対策に引き続き取り組み、4種踏切の1種化や踏切の整理統廃合のほか、踏切支障報知装置や障害物検知装置の増設などを進めました。山手線ホームドア整備については、新たに新大久保駅や田町駅など7駅で使用を開始し、当連結会計年度末の累計設置駅数は11駅となりました。また、平成25年3月の奥羽本線列車脱線事故を受けて、社内の「奥羽線こまち号脱線調査・対策専門委員会」での調査・検討を踏まえ、防雪柵の設置や除雪の強化など再発防止策を講じました。そして、鉄道に携わる社員一人ひとりが安全レベルの向上に取り組み、グループ全体で「究極の安全」に向けて挑戦していくため、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」を平成26年2月に策定しました。

 平成26年2月に発生した京浜東北線川崎駅構内列車脱線事故を受けて、線路閉鎖工事における関係者間の指揮命令系統の明確化、軌陸車および工事用重機械を建築限界内に進入させる際の取扱いの見直し、工事施工立会いの強化という対策を講じ、同種事故の再発防止に努めました。今後も引き続き、さらなる安全性の向上に向けた取組みを進めていきます。

 

(5) 情報システム・個人情報保護

当社グループは、現在、鉄道事業、生活サービス事業およびSuica事業の様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の旅行会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。自然災害や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。また、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、日常より情報システムの機能向上や関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。

 

(6) 生活サービス事業等の展開

当社グループは、生活サービス事業を鉄道事業と並ぶ経営の両輪と位置づけ、駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他の事業(ホテル業、広告代理業など)の展開を行っています。

生活サービス事業については、景気低迷や天候不順などを理由とした消費低迷により、ショッピングセンター、オフィスビル、駅構内小売・飲食店舗、ホテルなどの収益の減少や広告の販売不振、テナントによる賃料減額要求が生じる可能性があります。さらに、食中毒事故などの製造・販売商品の瑕疵による売上の減少や当社グループに対する信頼の低下、テナントや取引先企業等の倒産などの発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、1日約1,710万人(平均輸送人員)のお客さまがご利用になる「駅」という当社最大の経営資源を十分活用した事業展開を図るとともに、衛生管理や取引先情報の管理などを徹底することにより、収益向上とお客さまからの信頼の確保に努めております。

 

 

(7) 他事業者等との競合

当社グループは、鉄道事業において、他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これら鉄道事業、生活サービス事業における今後の競合状況が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

鉄道事業においては、首都圏の他の鉄道事業者における大規模改良工事の進展や格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路料金の割引施策などに伴う交通市場の競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。また、生活サービス事業においては、他社の新規進出や既存商業施設のリニューアルなどに伴う競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。

 

(8) 有利子負債の削減

当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆2,884億円であります。また、当連結会計年度の支払利息は882億円であり、これは営業利益の21.7%に相当します。
 当社グループは、有利子負債の削減、低利の融資への借換えなどを今後とも進めてまいりますが、想定外の事由によりフリー・キャッシュ・フローが減少する場合、または今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(9) コンプライアンス

 当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびSuica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めるなど、コンプライアンスの確保に努めております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社は、「新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律」(平成3年法律第45号)に基づき、東北および上越新幹線鉄道に係る鉄道施設(車両を除く)を平成3年10月1日、新幹線鉄道保有機構より3兆1,069億円で譲り受け、このうち2兆7,404億円については25.5年、3,665億円については60年の元利均等半年賦により鉄道整備基金に支払うことなどに関して、新幹線鉄道保有機構との間に契約を結んでおります。なお、新幹線鉄道保有機構は平成3年10月1日に解散し、その一切の権利および義務は鉄道整備基金に承継され、さらに鉄道整備基金は平成9年10月1日に解散し、その一切の権利および義務は運輸施設整備事業団に承継されました。また、運輸施設整備事業団は平成15年10月1日に解散し、同日に解散した日本鉄道建設公団とともに、その一切の権利および義務は、法律により国が承継する資産を除き、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構へ承継されております。

(2) 当社は、乗車券等の相互発売等旅客営業に係る事項、会社間の運賃および料金の収入区分ならびに収入清算の取扱い、駅業務ならびに車両および鉄道施設の保守等の業務の受委託、会社間の経費清算の取扱い等に関して、他の旅客会社との間に契約を結んでおります。

  なお、上記の契約では、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金の算出に当たっては、通算できる制度によることとし、かつ、旅客運賃については、遠距離逓減制が加味されたものでなければならないこと、また、旅客会社において、他の旅客会社に関連する乗車券類を発売した場合は、当該他の旅客会社は、発売した旅客会社に販売手数料を支払うものとされております。

(3) 当社は、貨物会社が当社の鉄道線路を使用する場合の取扱い、駅業務ならびに車両および鉄道施設の保守等の業務の受委託、会社間の経費清算の取扱い等に関して、貨物会社との間に契約を結んでおります。

  なお、上記の契約では、貨物会社が鉄道線路を使用するために当社に支払う線路使用料は、貨物会社が当社鉄道線路を使用することにより追加的に発生する額とされております。

(4) 当社は、旅客会社6社共同で列車の座席指定券等の発売を行うためのオンラインシステム(マルスシステム)の使用、各旅客会社間の収入清算等の計算業務の委託等に関して、鉄道情報システム株式会社との間に契約を結んでおります。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは当連結会計年度において、運輸業を中心に、JR東日本研究開発センターを主要な拠点として、「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」に掲げた「変わらぬ使命」を果たし、当社グループが持つ「無限の可能性」を追求するため、様々な分野における技術革新をめざし各分野の研究開発に取り組みました。

当連結会計年度の研究開発費総額は、17,038百万円であります。また、主な研究開発状況は次のとおりであります。

 

(1) 運輸業

① 「究極の安全」に向けて

「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」に掲げた「究極の安全に向けて ~災害に強い鉄道づくり~」をめざして研究開発に取り組みました。具体的には、突風対策としてドップラーレーダーなどの観測結果を列車運行判断に用いる可能性についての研究や、地震観測体制の強化を図るため、海底地震計情報の活用に向けた検討を進めました。また、鉄道の安全性の評価手法やヒューマンエラーを防止するための研究に取り組みました。

 

②  エネルギー・環境戦略の構築

a 創エネ

京葉車両センターでの大規模太陽光発電設備(メガソーラ)の使用開始などに取り組みました。

b 省エネ

環境負荷低減およびCO2排出量の低減をめざして、烏山線に蓄電池駆動電車「ACCUM(アキュム)」の導入などを実施しました。

c スマートグリッド技術の導入

鉄道電力システムへのスマートグリッド技術の導入に向けた検討を進め、電車が停止するときに発生する回生電力の有効活用に資する電力貯蔵装置の使用を高崎線において開始しました。

 

③  ICTの活用

a お客さまサービスの品質向上

ICTを活用して個々のお客さまのニーズに応じた情報提供の実現に向けた開発を行いました。具体的には、普及の進むスマートフォン向けアプリ「JR東日本アプリ」のサービスを開始しました。

b 輸送システムの変革

次世代車両制御システムINTEROS(インテロス)の導入に向けた開発などを進めました。

c 現場第一線における業務革新

現場第一線社員のメンテナンス業務を支援するため、営業列車による状態監視とデータ分析をベースに、日々のメンテナンスや設備更新を最適化する仕組みの構築をめざして研究開発を進めました。具体的には、営業運転中に線路状態の変化を把握できる線路設備モニタリング装置の実証試験を京浜東北線で実施しました。

 

④ 新幹線のさらなる高速化

  時速360kmでの営業運転をめざして、高速走行時の安定性向上や沿線の環境負荷低減に向けた基礎的研究を進めました。

 

⑤  その他

自社の研究開発のみならず、外部の開発力や知的財産を活用する「オープンイノベーション」の考え方を取り入れました。より基礎的な分野の研究開発は、「研究開発等に関する協定」に基づき公益財団法人鉄道総合技術研究所にも委託しており、当連結会計年度における同研究所に対する負担金は、6,061百万円であります。

また、現場第一線の社員による技術革新を加速させるため、その牽引役として、イノベーションコンダクター(技術革新連絡員)を選定しました。

 

そのほか、研究開発の成果を技術論文誌「JR  EAST  Technical  Review」にまとめ、国内外への情報発信を行いました。

 

(2) 駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他の事業

特に記載する事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針および見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

(2) 経営成績の分析

① 営業収益

当連結会計年度の営業収益は、駅スペース活用事業の売上が減少したものの、運輸業、ショッピング・オフィス事業、その他の事業の売上が増加したことにより、前期比1.2%増の2兆7,029億円となりました。

 

なお、「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」を踏まえ、当連結会計年度より鉄道車両製造事業において、株式会社総合車両製作所と当社の新津車両製作所との協力関係を一層深めていくことから、第1四半期連結会計期間より、鉄道車両製造事業を主たる事業とする株式会社総合車両製作所の報告セグメントの区分を「その他」から「運輸業」に変更しております。

これに伴い、下記の前期比については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値との比較としております。

 

運輸業の外部顧客への売上高は、前期比1.0%増の1兆8,274億円となりました。

これは、当社の鉄道事業における旅客運輸収入が、新幹線および在来線において、定期外収入を中心に増加したことなどから、前期比0.9%増の1兆6,965億円となったことなどによるものであります。

新幹線に関しては、景気回復の影響や訪日旅行者の利用が増加したことなどを受けて、東北、上越、長野各新幹線の利用が好調だったことなどにより、輸送人キロは前期比3.7%増の208億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前期比0.6%増の228億円となりました。定期外収入は前期比3.2%増の4,843億円となり、全体では前期比3.1%増の5,071億円となりました。

 関東圏の在来線に関しては、3連休や年末年始の利用が増加したことなどにより、輸送人キロは前期比1.8%増の1,042億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前受運賃に関する見積り方法の変更の影響などにより前期比1.5%減の4,392億円、定期外収入は前期比0.7%増の6,760億円となり、全体では前期比0.2%減の1兆1,153億円となりました。

関東圏以外の在来線に関しては、「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」が開催された仙台エリアを中心に利用が増加したことなどにより、輸送人キロは前期比2.9%増の60億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち、定期収入は前受運賃に関する見積り方法の変更の影響などにより前期比0.9%減の186億円、定期外収入は前期比3.2%増の552億円となり、全体では前期比2.1%増の739億円となりました。

 

 

運輸業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のようになりました。

駅スペース活用事業では、前連結会計年度における商業施設の開業の平年度効果などがあったものの、工事に伴う閉店の影響や一部既存店舗の業績の低迷などにより、前期比0.8%減の4,009億円となりました。

ショッピング・オフィス事業では、前連結会計年度におけるショッピングセンターやオフィスビルの開業の平年度効果などにより、前期比5.1%増の2,510億円となりました。

その他の事業では、前連結会計年度におけるホテルの開業の平年度効果や広告代理業の増収などにより、前期比2.0%増の2,234億円となりました。

 

② 営業費用

営業費用は、前期比1.0%増の2兆2,961億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の85.1%に対して、当連結会計年度は84.9%となりました。
  運輸業等営業費及び売上原価は、前期比0.2%増の1兆7,945億円となりました。これは、人件費が増加したことなどによるものであります。
  販売費及び一般管理費は、前期比3.9%増の5,016億円となりました。これは、当社の人件費が増加したことなどによるものであります。

 

③ 営業利益

営業利益は、前期比2.3%増の4,067億円となり、4期連続の増益となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の14.9%に対し、当連結会計年度は15.1%となりました。

 

④ 営業外損益

営業外収益は、前期比0.6%減の189億円となりました。これは、持分法による投資利益が減少したことなどによるものであります。
 営業外費用は、前期比6.0%減の932億円となりました。これは、支払利息が減少したことなどによるものであります。

なお、受取利息などの金融収益から、支払利息などの金融費用を差し引いた金融収支は、853億円のマイナスとなり、前連結会計年度から8.0%改善しております。

 

⑤ 経常利益

経常利益は、前期比4.7%増の3,325億円となり、4期連続の増益となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の11.9%に対し、当連結会計年度は12.3%となりました。

 

⑥ 特別損益

特別利益は、前期比22.2%減の548億円となりました。これは、災害に伴う受取保険金が減少したことなどによるものであります。
  特別損失は、前期比24.9%減の627億円となりました。これは、減損損失が減少したことなどによるものであります。

 

⑦ 税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前期比6.6%増の3,246億円となりました。営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の11.4%に対し、当連結会計年度は12.0%となりました。

 

⑧ 当期純利益

当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期比14.0%増の1,999億円となり、3期連続の増益となりました。なお、当期純利益は過去最高益を更新しました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の443.70円に対し、当連結会計年度は506.77円となりました。また、営業収益に対する当期純利益の比率は、前連結会計年度の6.6%に対し、当連結会計年度は7.4%となりました。

 

 

(3) 資本の財源および資金の流動性

① キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より257億円少ない5,627億円の流入となりました。これは、法人税等の支払額が増加したことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より87億円多い4,746億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。

なお、設備投資の概要は以下のとおりです。

運輸業に関しては、安全・安定輸送対策を中心に、競争力の高い輸送ネットワーク構築を目的とした設備投資を行いました。駅スペース活用事業に関しては、「mAAch ecute 神田万世橋(マーチエキュート)」や「ペリエ海浜幕張」などで店舗展開を推進しました。ショッピング・オフィス事業については、「グランルーフ」、「アトレヴィ大塚」、「nonowa東小金井」などの設備投資を実施するとともに、「アトレ吉祥寺」などのリニューアル工事などを行いました。その他の事業については、システムの開発および機能増強等の設備投資を実施するとともに、「ホテルメッツ新潟」等の建設を行いました。

また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より345億円減少し、880億円の流入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より97億円少ない913億円の流出となりました。これは、有利子負債の返済による支出が減少したことなどによるものであります。
 なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の1,892億円から32億円減少し、1,860億円となりました。

 

② 財務政策

当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆2,884億円であります。

新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、以下の3つに区分されます。

a 変動利率(当連結会計年度については年利4.12%)により平成29年3月31日までに支払われる1,763億円

b 年利6.35%の固定利率により同日までに支払われる1,370億円

c 年利6.55%の固定利率により平成63年9月30日までに支払われる3,410億円

また、このほか、当連結会計年度末現在、当社が秋田新幹線に関連するものとして91億円、東京モノレール㈱が29億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。
 当社は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の同意を得て、平成9年度より、新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金について期限前弁済(以下「早期弁済」という)を行っており、平成25年度は213億円の早期弁済を行いました。

当社グループは平成13年度よりキャッシュマネジメントシステムを導入し、それまで各社が個別に行っていた余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、有利子負債削減に努めております。また、グループ間の支払いを相殺して決済したり、グループ内の支払業務を集約する支払代行制度を利用したりするなど資金管理手法を向上させております。

当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を平成30年から平成56年の間とする9本の無担保普通社債を総額1,400億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、当社はスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社よりAA-、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりAa2の長期債格付けを取得しております。

また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しております。コマーシャル・ペーパーについては、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりP-1の短期債(CP)格付けを取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高およびコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。

当社グループにおいては、銀行からのコミットメント・ライン(一定条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)は設定しておりません。