第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

7〔財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕に記載しているとおり、当連結会計年度の連結営業収益は4,189億9千6百万円(前期比0.7%増)、連結営業利益は379億7千6百万円(前期比0.6%増)、連結経常利益は352億8千5百万円(前期比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は211億6千8百万円(前期比8.7%増)となりました。
 セグメントごとに主な営業成績を以下に記載いたします。

 

〔運輸業〕

① 営業概況

鉄道事業では、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業について、事業主体である東京都とともに用地取得や設計業務などを引き続き進めました。自然災害への備えについては、高架橋柱や盛土、トンネルなどの鉄道施設の耐震補強工事のほか、線路脇斜面を大雨から防護する工事や、電気設備への落雷対策工事を引き続き進めました。また、高架橋について、コンクリートの剥落を防止するための補修工事を引き続き実施しております。駅ホームの安全性向上策については、駅係員や乗務員に対し、障がいをお持ちのお客様へのご案内方法に関する教育を実施し、駅などでお声かけをする取組みを強化したほか、1日の利用者数が10万人以上の駅へのホームドア整備計画を策定し、このうち新線新宿駅および渋谷駅については設計業務などを進めました。環境への取組みについては、車両の省エネルギー化を進めるため、従来よりさらに消費電力削減効果に優れた新型VVVFインバータ制御装置の導入を引き続き進めたほか、電車がブレーキをかけた際に発生した回生電力を駅設備用の電力として供給する「駅舎補助電源装置」を3駅目となる北野駅に導入しました。また、車両や駅構内における照明のLED化を引き続き進めております。サービス向上策については、平日の早朝時間帯の都心方面へのアクセス強化をはかるため、京王線において都営新宿線への直通列車の運行開始時刻を繰り上げるなど、ダイヤ改正を行いました。また、鉄道運行情報の発信強化のため、公式スマートフォンアプリ「京王アプリ」に列車の走行位置がリアルタイムで表示される機能を追加しました。営業面では、沿線散策に便利な「京王線・井の頭線一日乗車券」の販売を開始したほか、京王多摩センター駅で沿線施設とのコラボレーション企画による駅装飾が完成し、記念入場券を発売しました。
 バス事業では、路線バスにおいて、調布駅北口とJR三鷹駅南口を結ぶ共同運行路線を開設したほか、調布駅南口とつつじヶ丘駅南口を結ぶ路線において、小田急線狛江駅への乗入れを実施し、増収に努めました。高速バスにおいては、渋谷草津線(渋谷~軽井沢・草津)および若葉台羽田線(若葉台駅~羽田空港)を開設したほか、調布成田線(調布駅~成田空港)の一部を若葉台駅まで延伸するなど、利便性向上をはかりました。貸切バスにおいては、車両の増車や旅行代理店からの受注拡大に取り組み、事業基盤の強化をはかりました。このほか、訪日外国人旅行客も対象として、新宿から中部・北陸地方への旅行需要を開拓するため、お得な高速バス乗車券「三っ星ルート新宿きっぷ」などを発売しました。

 

業種別

当連結会計年度
(28.4.1~29.3.31)
(百万円)

増 減 率
(%)

鉄道事業

84,558

0.9

バス事業

35,035

△0.8

タクシー業

13,185

5.5

その他

2,641

△4.4

消去

△5,933

営業収益

129,487

0.2

営業利益

14,118

△6.4

 

 

(うち鉄道事業)

種  別

単 位

当連結会計年度
(28.4.1~29.3.31)

増 減 率
(%)

営業日数

365

△0.3

営業粁

84.7

客車走行粁

千粁

127,118

△0.2

輸送人員

定期

千人

390,503

1.8

定期外

269,824

0.5

660,327

1.2

旅客運輸収入

定期

百万円

35,146

1.9

定期外

46,071

0.5

81,217

1.1

乗車効率

43.3

 

(注) 乗車効率の算出は

延人粁

によります。

客車走行粁×平均定員

 

 

② 業績

鉄道事業では、雇用情勢の改善やダイヤ改正効果があったことなどにより、旅客運輸収入は1.1%増(うち定期1.9%増、定期外0.5%増)となりました。バス事業では、新宿高速バスターミナル閉鎖による使用料収入の減少があったことなどにより減収となりました。これらの結果、営業収益は1,294億8千7百万円(前期比0.2%増)、営業利益は141億1千8百万円(前期比6.4%減)となりました。

 

〔流通業〕

① 営業概況

百貨店業では、「京王百貨店」新宿店において、上質な店舗空間づくりと雑貨の拡充を目的として店舗改装に取り組んでおり、1階メインエントランス横に「ロレックス ブティック」をオープンいたしました。聖蹟桜ヶ丘店においては、1階東側エリアの改装に続き、西側エリアの改装が完了し、日常利用でも飽きのこない「食」の提供をコンセプトとした「京王フードアリーナ」をグランドオープンいたしました。また、商圏の拡大を目的として4店目となるサテライト店をJR昭島駅北口の商業施設「モリタウン」内にオープンしたほか、EC(電子商取引)事業において、新たな事業展開や顧客基盤の拡充を目的に、セレクチュアー株式会社を子会社化しました。
 ストア業では、「京王ストア」野崎店、橋本店について、上質な食材を豊富に取りそろえた「キッチンコート」としてリニューアルオープンし、惣菜の品揃えを強化するとともに、野崎店では初めての試みとして、焼きたてのパンをご提供するインストアベーカリーを導入するなど、収益力の向上に取り組みました。また、駅のコンビニエンスストアにおいて、幅広いお客様に支持される品揃えを充実させることをコンセプトとして6店舗で改装を進め、「K-SHOP」としてリニューアルオープンいたしました。
 クレジットカード業では、鉄道利用者の利便性向上をはかるため、PASMO機能を搭載したクレジットカード「京王パスポートPASMOカードVISA」を発行し、新規会員の獲得に努めました。
 このほか、調布駅周辺開発については、本年秋の開業に向けて、商業施設の建築工事を推進するとともに、シネマコンプレックスや家電量販店などの店舗誘致を進めました。

 

業種別

当連結会計年度
(28.4.1~29.3.31)
(百万円)

増 減 率
(%)

百貨店業

84,854

△3.0

ストア業

46,389

0.2

書籍販売業

7,224

△11.9

ショッピングセンター事業

12,553

△3.2

その他

11,603

△1.1

消去

△6,251

営業収益

156,373

△2.2

営業利益

4,389

△7.1

 

(注)平成28年4月にストア業を運営する「㈱京王ストア」と駅売店業を運営する「京王リテールサービス㈱」が合併したことにともない、当連結会計年度より駅売店業はストア業に含めて表示しております。増減率の算出にあたっては前連結会計年度についても同様の組替を行っております。

 

② 業績

百貨店業では、売上低迷などにより減収となりました。また、書籍販売業では、不採算店舗を閉鎖した影響などにより減収となりました。これらの結果、営業収益は1,563億7千3百万円(前期比2.2%減)、営業利益は43億8千9百万円(前期比7.1%減)となりました。

 

〔不動産業〕

① 営業概況

不動産賃貸業では、企業独身寮をリノベーションし、シェア型賃貸住宅「シェアプレイス行徳」として賃貸を開始したほか、都市型賃貸マンション「MODIER代々木」を完成させ入居を開始しました。
 不動産販売業では、新築戸建住宅「京王四季の街」を八王子みなみ野シティで引き続き販売し、これにより当社グループの分譲区画を完売しました。集合住宅を一棟丸ごとリノベーションし分譲する事業では、関西エリア初進出となる「リアージュ西宮門戸厄神」(兵庫県西宮市)などを販売しました。
 このほか、既存建物をリノベーションし、宿泊者や地域の人々が交流できる場を備えたシェア型複合ホテル「LYURO 東京清澄」を竣工しました。また、井の頭線下北沢駅において、鉄道工事の進捗にともない先行して利用が可能となった高架下空間の有効活用策として、飲食店やイベントパークなどで構成される「KEIO BRIDGE Shimokitazawa」をオープンいたしました。さらに、大田区から特定認定を受けた民泊マンション「KARIO KAMATA」をオープンし、民泊事業に参入しました。

 

業種別

当連結会計年度
(28.4.1~29.3.31)
(百万円)

増 減 率
(%)

不動産賃貸業

33,951

6.2

不動産販売業

13,973

15.3

その他

1,823

22.9

消去

△8,359

営業収益

41,389

9.2

営業利益

9,318

7.9

 

 

② 業績

不動産賃貸業では、賃貸物件の増などにより増収となりました。不動産販売業では、リノベーション物件の売上増などにより増収となりました。これらの結果、営業収益は413億8千9百万円(前期比9.2%増)、営業利益は93億1千8百万円(前期比7.9%増)となりました。

 

〔レジャー・サービス業〕

① 営業概況

ホテル業では、「京王プラザホテル(新宿)」において、本館37階から41階を高級感と快適性をさらに追求した最上級客室フロア「プレミアグラン」として改装し、45階に「プレミアグラン」宿泊者専用ラウンジを新設しました。また、本館45階のスカイラウンジ「オーロラ」をリニューアルオープンいたしました。「京王プラザホテル札幌」では、19階と20階の客室を改装したほか、22階に本格的な鉄板焼料理を提供する「やまなみ」を新規オープンいたしました。「京王プレッソイン」については、大手町、茅場町の2店において客室・共用部を全面リニューアルいたしました。
 飲食業では、「カレーショップC&Cダイニング」東京ビッグサイト店、京橋店を、また、台湾茶カフェ「彩茶房」クイーンズ伊勢丹仙川店、キラリナ京王吉祥寺店をそれぞれオープンいたしました。なお、カレーレストラン「游香食楽」は中国・上海市内に2店舗がオープンいたしました。

 

業種別

当連結会計年度
(28.4.1~29.3.31)
(百万円)

増 減 率
(%)

ホテル業

48,955

1.1

旅行業

17,244

1.7

広告代理業

12,283

1.6

その他

6,533

4.1

消去

△9,758

営業収益

75,258

1.6

営業利益

6,784

12.8

 

 

② 業績

ホテル業では、平成27年7月に開業した「京王プレッソイン赤坂」が寄与したことなどにより増収となりました。また、旅行業では、新規の大型案件獲得に努めた結果、団体旅行の増加などにより増収となりました。これらの結果、営業収益は752億5千8百万円(前期比1.6%増)、営業利益は67億8千4百万円(前期比12.8%増)となりました。

 

〔その他業〕

① 営業概況

子育て支援事業では、当社グループで9か所目の保育所として開設した「京王キッズプラッツ国領」において、一時預かり保育の提供を開始しました。また、京王グループ事業所内保育所「サクラさーくる」が地域型事業所内保育所として多摩市の認可を受け、地域のお子様の受入れを開始しました。
 高齢者住宅事業では、沿線にお住まいの方が生き生きと暮らしていける生活環境を実現する取組みとして、聖蹟桜ヶ丘地区において、サービス付き高齢者向け住宅「スマイラス聖蹟桜ヶ丘」を開設し、介護付有料老人ホーム「チャームスイート京王聖蹟桜ヶ丘」と連携して運営する体制を整えました。葬祭事業では、2号店となるセレモニーホール「京王メモリアル調布」をオープンいたしました。

 

業種別

当連結会計年度
(28.4.1~29.3.31)
(百万円)

増 減 率
(%)

ビル総合管理業

23,758

5.6

車両整備業

10,264

8.4

建築・土木業

21,479

△11.3

その他

7,526

5.4

消去

△3,231

営業収益

59,796

△1.7

営業利益

3,936

△9.4

 

 

② 業績

建築・土木業では、完成工事高が減少したことなどにより減収となりました。これらの結果、営業収益は597億9千6百万円(前期比1.7%減)、営業利益は39億3千6百万円(前期比9.4%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額の増加などにより、流入額は前連結会計年度に比べ48億7百万円減少し、494億4千万円となりました。

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などにより、流出額は前連結会計年度に比べ105億8千5百万円増加し、659億8百万円となりました。

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出などにより、流出額は166億4千2百万円となりました。

これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は560億6千7百万円となりました。

また、有利子負債の当連結会計年度末残高は、3,285億8千4百万円となりました。有利子負債の連結会計年度末残高については、第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)〔連結財務諸表〕⑤〔連結附属明細表〕をご参照ください。

(注) 有利子負債は、借入金+社債により算出しております。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため1〔業績等の概要〕においてセグメントごとに業種別の営業収益を示すこととしております。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社を中核とする京王グループは、運輸、流通、不動産、レジャー・サービス等幅広い事業を通じて、お客様のより良い暮らしを創造していくことにより、地域の発展と幸せな暮らしの実現に貢献することを基本方針としております。グループとしての存在意義を明文化するために「京王グループ理念」を制定し、この理念を具現化するため、「京王グループ経営ビジョン」に基づき、グループ競争力の強化に取り組むとともに、法令、倫理を遵守し、地域社会貢献活動を行うなど、企業価値・株主の皆様の共同の利益の向上に努めております。

    <京王グループ理念>

私たち京王グループは、

 つながりあうすべての人に誠実であり、環境にやさしく、

「信頼のトップブランド」になることを目指します。

そして、幸せな暮らしの実現に向かって

生活に溶け込むサービスの充実に日々チャレンジします。

 

 

また、多くのお客様の人命を預かる鉄道事業者である当社は、「輸送の安全性」の確保という、極めて重要な公共的使命を担っております。当社はこの使命を果たし続けていくことで、お客様に「安心」を提供し、当社グループ全体の信頼性を向上させてきたと自負しており、このことは当社の企業価値の根幹をなすものと考えております。当社は、今後もその使命を果たすため、より一層「経営の安定性」を高め、鉄道事業における安全対策をはじめ、「事業の継続性」を確保するための中長期的な視点に立った設備投資を積極的に行う等、「信頼のトップブランド」を確立してまいります。
 

(2) 経営戦略等

当社グループでは、「京王グループ理念」の中に掲げる「信頼のトップブランド」の確立を目指して、当社グループの競争力の強化、財務健全性の確保、法令・倫理の遵守、地域社会貢献活動の実施など、企業価値・株主共同の利益の向上に資する経営に努めております。今後もグループ全体の持続的な成長のため、当社グループが長年培ってきた有形・無形の経営資源を維持・活用しながら、以下の施策に取り組んでまいります。

第一に、社会に不可欠なインフラを提供する公共輸送機関として安全確保を最重要課題とし、中長期的な視点で社会的責任を果たしてまいります。

第二に、当社沿線が将来にわたって活力を維持できるよう、拠点開発の推進や地域活性化に多角的に取り組んでまいります。

第三に、お客様の多様化するニーズや生活スタイルの変化を捉えた施策を継続的に実施することで、将来にわたり発展、成長する企業グループを目指してまいります。

第四に、法令の遵守、地球環境への配慮など、企業の社会的責任を果たす取組みを当社グループ全体で続けてまいります。

第五に、企業価値の源泉である「輸送の安全性」の実際の担い手である当社グループの従業員を中長期的な視点で育成するとともに、「安全の確保」を最重要事項と考える企業文化を堅持してまいります。

第六に、事業の継続性に留意した資本政策のもと、成長に向けた投資や事業の選択と集中など様々な取組みの実施と完遂を目指してまいります。

 

 

(3) 経営環境

足元の日本経済は、雇用環境の改善などにより、全体では緩やかな回復基調が継続しております。一方で世界経済の不確実性や国内需要の低迷など、先行きには一部に不透明感が現れております。また、東京都の人口は平成37年にピークを迎えるとされ、当初予測の平成32年からは後ろ倒しになったものの、将来の本格的な人口減少社会の到来は避けられず、当社グループへの影響が懸念されます。既に日本の人口は減少に転じており、労働力不足に対応する働き方改革が求められております。さらに、AIやIoTの活用といった技術革新による事業環境の変化も想定されます。

将来的には、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業の完了や新宿地区再開発などの大規模投資案件が予定されており、それらを踏まえ、当社グループは平成32年までに既存事業の選択と集中をさらに進め、より強固な収益体質の実現を目指します。あわせて、平成31年のラグビーワールドカップや平成32年の東京オリンピックの開催を好機と捉え、訪日外国人(インバウンド)の動向や消費の変化に合わせて、グループ事業の成長や沿線の活性化に結び付けていく必要があります。

 

(4) 対処すべき課題

当社グループは現在、平成27年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」に基づき、成長の実現に向けて諸施策を推進しております。

「京王グループ中期3カ年経営計画」は、平成32年度を目標年度としてあるべき姿を描いたうえで、流動的な経営環境に柔軟に対応するため、平成27年度からの6年間を3年ずつに区切って前半の3カ年について策定したものです。

最終年度となる平成29年度は、“成長に向けた土台作り”となる各重点施策を完遂させるとともに、平成30年度から平成32年度までの次期中期3カ年経営計画“成長の実現ステージ”に向けて準備を行ってまいります。また、将来に向けたグループの成長や競争力強化を推進していくため、戦略投資予算を引き続き計上してまいります。なお、具体的には、以下のような施策を行ってまいります。

 

①鉄道事業の安全性・収益力の向上

鉄道事業では、安全に関する基本方針のもと、社会的使命である「輸送の安全」のための取組みを、引き続きハード・ソフトの両面から進めます。

<安全に関する基本方針>

・「安全」は最大の使命であり、最高のサービスである。

・全社員が一丸となり継続的改善に取り組み、安全最優先の鉄道を創る。

 

ハード面においては、道路と鉄道を立体交差化し、25か所の踏切を廃止する京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業について、引き続き事業主体である東京都とともに用地取得や設計業務などを進めます。また、鉄道施設のさらなる耐震化を目指し、引き続き高架橋柱や盛土区間などの補強工事を進めます。さらに、高架橋について、コンクリートの剥落を防止するための補修工事を引き続き実施します。このほか、近年増加傾向にある自然災害に対応し、大雨に備えた線路脇斜面の防護や電気設備の落雷対策を進めます。また、ホーム安全対策として、1日の利用者数が10万人以上の駅へのホームドア整備を進めます。

ソフト面においては、事故防止に向け、引き続き「安全に関する基本方針」の徹底をはかるとともに、安全意識のさらなる向上を目指す教育プログラムを展開します。また、「有責事故ゼロ 運転事故・輸送障害発生件数の前年比削減」を安全目標と定め、必要な対策を実施します。

収益力の向上については、少子高齢化が進み競争激化が予想される事業環境において、重要課題である鉄道輸送人員の確保に取り組むため、お客様のニーズが高い、有料の座席指定列車を平成30年春から運行開始します。また、列車内の液晶画面を用いたデジタル広告の販売を強化するほか、府中駅や京王よみうりランド駅のリニューアル工事を実施し、周辺開発にあわせたイメージアップをはかります。

 

 

②沿線の活性化

調布駅周辺開発では、連続立体交差事業完了後の地上利用について、街の玄関口にふさわしい商業施設の実現を目指し、本年秋の開業に向けて開発を進めます。また、府中駅および「京王府中ショッピングセンター」について、当社も参画している府中駅南口第一地区市街地再開発事業にあわせてリニューアルを実施するほか、当社グループの重要拠点である新宿地区について、引き続き再開発による価値向上を目指した検討を進めます。

さらに、多摩動物公園エリアで計画している子育て世代の親子をターゲットにした集客施設について、平成30年春の開業に向けて開発を進めるほか、高尾山エリアにおいて、新たに子会社となった高尾登山電鉄株式会社と連携し、活性化施策をより一層推進します。

 

③成長に向けた取組み

ホテル事業では、「京王プラザホテル(新宿)」で、順次実施している本館客室改装を着実に進めるとともに、質の高いオペレーションの実施などにより、競争力の強化をはかります。また、「京王プレッソイン」で、東京駅八重洲、浜松町の2店を開業させるほか、新規出店を検討します。これら既存のホテルに加え、宿泊特化型アッパーミドルホテルについては、京都および札幌での開業準備を進めるほか、宿泊者や地域の人々が交流できる場を備えたシェア型複合ホテルの出店を加速します。

インバウンドへの取組みでは、「中部地方インフォメーションプラザin京王新宿」において、岐阜県、長野県、山梨県の自治体等と連携して観光情報を発信し、新宿から中央高速バスを利用して中部地方を旅行する訪日外国人の増加を目指します。また、訪日外国人旅行客を当社沿線に誘致する日帰り旅行商品についても拡充します。

さらに、大田区で始めた民泊事業については、法整備の状況を踏まえてエリア展開を進めるほか、沿線の空き家対策やまちづくりにも活用します。また、葬祭事業では、3号店となるセレモニーホール「京王メモリアル多摩センター」を開業し、沿線の生活サービスの充実をはかります。

 

④企業の社会的責任に対する取組み

当社グループでは、すべての事業において「京王グループ理念」および「京王グループ行動規範」に則った活動を積極的に推進しております。

環境面においては、各事業の特性に応じて、CO排出量削減など環境負荷低減策に取り組みます。鉄道車両の省エネルギー化では、従来よりさらに消費電力削減効果に優れた新型VVVFインバータ制御装置の導入を進めるほか、平成30年春からの運行開始を計画している新型の座席指定列車に、ブレーキをかけた際に発生した回生電力を充電できる車上蓄電池システムを導入します。また、当社が保有するビルについても、空調機器の更新や照明のLED化など、省エネルギー化に取り組みます。このほか、高尾の森わくわくビレッジにおける環境教育や京王クリーンキャンペーンなどの環境プログラムを継続的に実施します。

社会的な側面においては、多世代が生活しやすい沿線づくりとして、子育て世代を対象とした事業や高齢者住宅事業などを推進していくほか、文化・教育・子育て支援イベントやスポーツ振興支援を継続的に実施します。また、多様な人材雇用や女性の活躍推進、ワークライフバランスの推進など、働きやすい職場作りにも取り組みます。

今後も株主の皆様をはじめとして、お客様、お取引先など、ステークホルダーの皆様と対話を重ね、これら社会的責任を果たす活動に継続して取り組み、沿線とともに成長し、地域社会への貢献に努力し続けます。

 

(5) 目標とする経営指標

「京王グループ中期3カ年経営計画」の最終年度である平成29年度に、親会社株主に帰属する当期純利益は200億円を目標とし、平成32年度までに過去最高の営業収益、親会社株主に帰属する当期純利益を目指してまいります。

「京王グループ中期3カ年経営計画」目標値(平成29年度)

営業収益

営業利益

EBITDA

親会社株主に帰属する当期純利益

4,300億円

370億円

720億円

200億円

 

 

(参考)平成29年度連結業績予想

営業収益

営業利益

EBITDA

親会社株主に帰属する当期純利益

4,342億円

389億円

748億円

230億円

 

 

(6) 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

① 基本方針の内容

当社グループが企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益(以下「企業価値・株主共同の利益」といいます。)を向上させていくためには、「輸送の安全性」「経営の安定性」「事業の継続性」を確保し、お客様、お取引先その他のステークホルダーからの信頼を得て、「信頼のトップブランド」を確立することが不可欠であります。また、当社グループにとっては、沿線を中心に関連性の高い事業を多角的に展開することで、沿線価値の向上、京王ブランドの確立に努めるとともに、地域社会の信頼を獲得しながら、各事業の有機的な結びつきにより総合力を発揮させる一体的な経営を行うことが極めて重要であります。これらが当社の株式の買付を行う者により中長期的に確保され、向上させられるのでなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。したがって、当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値・株主共同の利益を中長期的に確保、向上していくことに理解あることが必要であると考えています。

当社は、当社株式について大量買付がなされる場合、これが当社グループの企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありませんが、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすものなど、企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。また、株主の皆様が、当社の企業価値を構成する要素を十分に把握し、中長期的な観点も考慮に入れたうえで、当該買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を短期間で適切に判断することは、必ずしも容易ではないものと思われます。

こうした事情に鑑み、当社は、当社株式に対する買付が行われた際に、買付に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者と交渉を行うことなどを可能とすることで、当社の企業価値・株主共同の利益に反する買付行為を抑止するための枠組みが必要であると考えます。

 

② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み

ア.企業価値向上に資する取組み

企業価値向上に資する取組みについては、(2)経営戦略等に記載しております。

 

 

イ.コーポレート・ガバナンスの強化に対する取組み

当社グループでは、「京王グループ理念」に基づき、透明性・公正性を確保しつつ、迅速・果断な意思決定を行うことにより、株主の皆様をはじめつながりあうすべての人からの信頼を確保し、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をはかるため、当社の取締役会で定めた「コーポレート・ガバナンス基本方針」のもと、コーポレート・ガバナンスの充実・強化を推進しております。

取締役会においては、法令で定められた事項はもとより、経営上重要な事項についての決議や業務執行の監督を行っております。経営に対する監督機能の強化をはかるため、社外取締役を選任しているほか、主要なグループ会社の社長等をメンバーに加えております。また、特別取締役を選定し、時機を捉えた迅速な意思決定を行っているほか、取締役会の諮問機関としてガバナンス委員会および指名・報酬委員会を設置し、グループ・ガバナンスの向上や経営の透明性確保に努めております。

監査役監査については、実効性を高めるため、独立性の高い社外監査役、財務・会計・法律に関する相当程度の知見を有する監査役を選任しているほか、監査役会と会計監査人、内部監査部門および内部統制部門との連携体制を構築しております。各監査役は、法令および諸基準に準拠し、監査役会が定めた基本方針に基づき監査を行うほか、取締役会その他の重要な会議に出席し、必要な意見陳述を行っております。

さらに、グループ経営協議会や京王グループ社長会、ならびにグループ監査役会などの定期的な開催により、グループ・ガバナンス体制の充実をはかっております。

 

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、平成28年6月29日開催の第95期定時株主総会において、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させていくことを目的とした「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の基本方針」(以下「本基本方針」といいます。)に関する議案が承認可決されたことを受け、同日開催の当社取締役会において、本基本方針に基づく具体的な対応策である「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を決議しております。

本プランは、当社株式の大量取得行為が行われる場合に、株主の皆様が適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との協議・交渉等の機会を確保することなどにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としております。

本プランは、ア.当社が発行者である株券等について保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付、またはイ.当社が発行者である株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け、もしくはこれらに類似する行為またはその提案(以下「買付等」と総称し、買付等を行う者を以下「買付者等」といいます。)を適用対象とします。

買付者等が買付等を行う場合は、当社取締役会が別途認めた場合を除き、その実行に先立ち、当社に対して、買付等の内容の検討に必要な情報および本プランに定める手続きを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面を提出するものとし、当社取締役会は速やかにこれを企業価値評価独立委員会(委員は、社外の有識者、社外取締役、社外監査役から選任されるものとし、以下「独立委員会」といいます。)に提供します。独立委員会は、最長60日間の検討期間(必要な範囲で最長30日間延長できます。)を設定し、必要に応じて独立した第三者である専門家の助言を得たうえ、買付等の内容の評価・検討、買付者等との協議・交渉、株主に対する情報開示等を行います。

独立委員会は、買付者等が本プランに定める手続きを遵守しなかった場合、または本プランに定める要件のいずれかに該当し、新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると認められる場合には、当社取締役会に対し、新株予約権の無償割当ての実施を勧告します。なお、独立委員会は、新株予約権の無償割当ての要件のいずれかに該当する場合であっても、新株予約権の無償割当てを実施することについて株主総会の決議を得ることが相当であると判断するときは、当社取締役会に対して、株主総会の招集、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案の株主総会への付議を勧告するものとします。

当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、新株予約権の無償割当ての実施または不実施等に関する決議を速やかに行うものとします。また、当社取締役会は、独立委員会から、株主総会の招集、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案の株主総会への付議を勧告された場合には、実務上株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、実務上可能な限り最短の期間で株主総会を開催できるように、速やかに株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を付議します。当社取締役会は、上記決議を行った場合等には、速やかに、当該決議の概要その他当社取締役会が適切と認める事項について、情報開示を行います。

上記の新株予約権は、1個当たり1円を下限とし、当社株式1株の時価の2分の1の金額を上限とする金額の範囲内で当社取締役会が新株予約権無償割当ての決議において定める金額を払込むことにより、原則として当社株式1株を取得できるものですが、買付者等による権利行使が認められないという行使条件が付されています。また、当社が買付者等以外の株主から当社株式と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項が付されており、当社がかかる条項に基づく取得をする場合、新株予約権1個と引換えに、原則として当社株式1株が交付されます。

本プランの有効期間は、平成28年6月29日開催の定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までになります。ただし、当該有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において本基本方針を廃止する旨の決議が行われた場合、または、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。

本プラン導入時点においては新株予約権の無償割当て自体は行われませんので、株主の皆様に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、新株予約権の無償割当てが実施された場合には、新株予約権行使の手続きを行わないと、他の株主の皆様による新株予約権の行使により、その保有する当社株式全体の価値が希釈化することになります。ただし、当社が当社株式を対価として新株予約権の取得を行った場合、買付者等以外の株主の皆様が保有する当社株式全体の価値の経済的な希釈化は生じません。

 

④ 上記の各取組みに対する当社取締役会の判断およびその判断に係る理由

上記②に記載した取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、上記①の基本方針に沿うとともに、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
また、上記③の取組みは上記①の基本方針に沿うものであり、以下の理由から当社の株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

ア.経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した買収防衛策に関する指針に定める三原則を充足していること

イ.本プランは、株主総会において承認された本基本方針に基づくものであり、また、有効期間は約3年間と限定され、かつ、その満了前であっても株主総会において、本基本方針の変更または廃止の決議がなされた場合には、本プランも変更後の基本方針に従うよう速やかに変更または廃止されることになるなど、株主意思を重視していること

ウ.経営陣から独立している委員から構成される独立委員会により新株予約権の無償割当ての実施等の運用に関する実質的な判断が行われ、その判断の概要については株主の皆様に情報開示をすることとされていること

エ.合理的かつ詳細な客観的要件が設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保していること

オ.独立委員会は、当社の費用で、外部専門家の助言を受けることができるものとされており、その判断の公正性・客観性がより強く担保される仕組みとなっていること

カ.当社取締役の任期は1年であり、毎年の取締役選任を通じて株主の皆様のご意向を反映させることが可能であること

キ.デッドハンド型買収防衛策またはスローハンド型買収防衛策ではないこと

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、事態の発生の回避に努め、発生した場合には事業への影響を最小限にとどめるべく対策を講じる所存です。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものです。

 

(1)経済情勢

当社グループは、鉄道事業を中心に、当社沿線を主たるマーケットとして事業を展開しており、国内の経済情勢の影響を受けております。消費の低迷、販売価格の低下、賃貸不動産賃料の減額、観光市場の低迷、所有資産の価値低下、原材料価格や電気代・軽油費等のエネルギー価格の高騰などが、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自然災害・事故等

当社グループは、鉄道事業をはじめとする各事業で、多くの施設やコンピューターシステムなどの設備を保有するとともに、多数の従業員が業務に従事しております。また、当社グループが展開する各事業では、不特定多数のお客様を対象顧客としております。地震、台風等の自然災害、テロ等不法行為による災害、人為的要因を含む機器の誤作動などによるトラブルや事故、踏切などにおける第三者に起因する事故、感染症の流行による人的被害等が発生した場合、当社グループの事業運営に支障をきたし、営業休止やお客様の減少等により売上が減少するほか、施設等の復旧費用、損害賠償等による費用が発生するなど、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)少子高齢化の進行

高齢化の進行により、安全対策、バリアフリー化などの設備投資の増加が見込まれるほか、少子化による将来的な人口の減少により、当社グループの鉄道、バス、タクシー等に対する旅客輸送需要を減退させ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)採用難等

当社グループは多数の従業員が業務に従事しており、採用難や離職率の増加、あるいは最低賃金・時給相場上昇、社会保険料増加等による人件費高騰により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制

鉄道運送事業者の旅客運賃等については、鉄道事業法第16条により、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(総括原価)を超えないことを、国土交通大臣が審査して認可することとなっております。この規制により、当社の事業活動が制限され、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、鉄道事業以外でも、当社グループが展開する各事業については、様々な法令・規則等による規制を受けており、これらの規制に重大な変更があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規則・開示制度等を遵守するための費用が発生するなど、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)食品の安全性

当社グループは、流通業などで食品の販売等を行っております。当社グループでは、食品の安全性確保に十分留意しておりますが、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な品質問題などが発生した場合、損害賠償等による費用が発生するほか、風評等により売上が減少することなどにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)個人情報管理

当社グループは、クレジットカード業などで顧客情報等の個人情報を保有しております。当社グループでは、「京王グループ個人情報保護方針」を公表するとともに、「京王グループ個人情報管理体制」を構築し、個人情報の適正な管理に努めております。しかしながら、個人情報の持ち出しやデータの置き忘れなどの人為的要因ならびにシステム設計不備などの技術的要因により、個人情報が流出した場合、損害賠償等による費用が発生するほか、当社グループの信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8)情報開示

当社グループは、当社沿線を中心に様々な事業を行っており、それぞれの業態特性に応じた内部統制の整備・運用に努めることで、適時適切な情報開示に取り組んでおります。しかしながら、内部統制固有の限界などにより、不適切な情報開示などがあった場合、当社グループの信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)市場金利の変動および当社格付の低下

当社グループの有利子負債残高の大半は固定金利で調達した長期借入金、社債の長期資金であるため、市場金利の変動による影響は限定的であると考えております。

また、当社は日本の格付機関よりAAの格付を取得しておりますが、この格付は合理的な説明が付されていない有利子負債の増加などにより、絶えず見直される可能性を有しているため、慎重な対応が必要となっております。格付の引下げが行われた場合、資金調達コストが上昇し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)株式・債券市況の悪化

当社グループは、株式等の投資有価証券を保有しており、企業年金資産においても多くの株式・債券等を保有しているため、株式・債券市況の低迷や投資先の自己資本の悪化等が生じた場合には、評価損や売却損の計上、年金資産評価額の下落による退職給付費用の増加、その他有価証券評価差額金の減少による自己資本比率の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)企業買収等

当社グループは、今後の成長に向けた競争力強化のため企業買収を行っており、また、将来行うことがあります。買収にあたっては対象会社の収益性や潜在的リスクの精査等を十分に行っておりますが、企業買収前に想定していなかった事実の発覚や企業風土の違いから、計画どおりに成果が上がらず、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。

①有価証券の評価損

当社グループは金融機関や取引先の株式を保有しております。これらの株式の評価、時価が著しく下落した場合の回復可能性については、当社グループで定める「金融商品取扱規程」により合理的に判断しておりますが、価格変動リスクを負っているため、将来、損失が発生する可能性があります。

②固定資産の減損損失

当社グループは多くの固定資産を保有しております。これらの価値は個別物件の将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しているため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。

③退職給付債務および費用

当社グループの退職給付債務および費用は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しているため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。

 

(2) 経営成績の分析

① 営業概況

当期のわが国経済は、海外経済の不確実性を背景に、先行き不透明な状況が見られたものの、雇用情勢の改善などにより、全体としては緩やかな回復基調となりました。
 このような情勢のもとで、当社グループは、平成27年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」に基づき、鉄道事業の安全性・収益力の向上や沿線の活性化のほか、変化する経営環境に柔軟に対応しながら、将来の増収に向けた投資など、成長の実現に向けた諸施策を推進してまいりました。
 これらの結果、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。

 

 

前連結会計年度
(27.4.1~28.3.31)
(百万円)

当連結会計年度
(28.4.1~29.3.31)
(百万円)

増 減 額
(百万円)

増 減 率
(%)

連結営業収益

416,254

418,996

2,741

0.7

連結営業利益

37,758

37,976

218

0.6

連結経常利益

35,066

35,285

218

0.6

親会社株主に帰属する
当期純利益

19,468

21,168

1,699

8.7

連結EBITDA

73,740

73,063

△677

△0.9

連結減価償却費

35,577

34,681

△895

△2.5

 

(注)連結EBITDAは、連結営業利益 + 減価償却費 + のれん償却額により算出しております。

 

 

② 業績

連結営業収益は、流通業およびその他業を除く各セグメントで増収となり4,189億9千6百万円(前期比0.7%増)、連結営業利益は、不動産業およびレジャー・サービス業で増益となったことから379億7千6百万円(前期比0.6%増)となりました。連結経常利益は352億8千5百万円(前期比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は211億6千8百万円(前期比8.7%増)となりました。
  なお、連結EBITDAは、730億6千3百万円(前期比0.9%減)となりました。
  また、連結減価償却費は、346億8千1百万円(前期比2.5%減)となりました。

 

(3) 財政状態の分析

① 総資産、負債及び純資産の状況

 

前連結会計年度
(平成28年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(平成29年3月31日)
(百万円)

増 減 額
(百万円)

総資産

820,177

834,682

14,504

負債

508,358

502,661

△5,696

純資産

311,818

332,020

20,201

負債及び純資産

820,177

834,682

14,504

 

 

当連結会計年度末の総資産は、有形固定資産の増加などにより145億4百万円増加し、8,346億8千2百万円となりました。

負債は、第24回無担保割引社債の償還などにより56億9千6百万円減少し、5,026億6千1百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより202億1百万円増加し、3,320億2千万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、1〔業績等の概要〕に記載しております。