第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「美しい時代へ―東急グループ」をグループスローガンとして掲げるとともに、「グループを共につくり支える志を持ち、共有する理念」として、以下のとおり「グループ理念」を定めております。

(グループ理念)

「存在理念」:美しい生活環境を創造し、調和ある社会と、一人ひとりの幸せを追求する。

「経営理念」:自立と共創により、総合力を高め、信頼され愛されるブランドを確立する。

〇市場の期待に応え、新たな期待を創造する。

〇自然環境との融和をめざした経営を行う。

〇世界を視野に入れ、経営を革新する。

〇個性を尊重し、人を活かす。

もって、企業の社会的責任を全うする。

「行動理念」:自己の責任を果たし、互いに高めあい、グローバルな意識で自らを革新する。

(2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び会社の対処すべき課題

(長期ビジョン・長期経営戦略)

当社および連結子会社では「安全」をすべての事業の根幹と位置づけ、安全の確保が最大かつ最重要の責務であり、不変の経営課題であると認識しております。また人口動態・ライフスタイルの変化についても、長期的・多面的に取り組むことにより、「選ばれる沿線」を実現していかなくてはなりません。

当社は2012年に、当社の創業100周年にあたる2022年にありたい姿として、「日本一住みたい沿線 東急沿線」「日本一訪れたい街 渋谷」「日本一働きたい街 二子玉川」の3つの日本一を実現することで、「東急沿線が“選ばれる沿線”であり続ける」、あわせて「“ひとつの東急”として強い企業集団を形成する」を掲げた「長期ビジョン」を策定いたしました。

さらに2015年には、「長期ビジョン」の実現及び持続的な成長に向けた全体戦略として、「長期経営戦略」を策定いたしました。「長期経営戦略」は、長期ビジョンと実行計画である中期経営計画との間に位置付けるもので、「健全性の回復から、規模の拡大・効率の向上へ」を長期的方向性として定めるとともに、全体戦略として「沿線のバリューアップ」「お客さまを軸とした東急シェアの拡大」「沿線外展開・新規事業展開」を掲げております。

(中期3か年経営計画“Make the Sustainable Growth”)

当社および連結子会社は、将来の大きな飛躍に向け、既存事業・プロジェクトを強化するとともに、当社の強みを生かすことのできる新規領域にも積極的に進出することにより、持続的な成長を目指すことを方針に据え、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画「Make the Sustainable Growth」を策定いたしました。

この経営計画につきましては、“Make the Sustainable Growth”(持続可能な成長を目指して)というスローガンを定め、サステナブルな「街づくり」「企業づくり」「人づくり」の、「3つのサステナブル」の基本方針のもと、具体的には次の5つの重点施策を実施してまいります。

(重点施策)

1)「安全」「安心」「快適」のたゆまぬ追求(基幹たる鉄道事業の強靭化)

安全・安定輸送を実現するため、事故の未然防止や早期復旧の体制を強化するとともに、ホームドア設置や車両新造などのハード施策、情報配信や分散乗車の推進などのソフト施策により、遅延や混雑の低減・解消を図ってまいります。

2)世界のSHIBUYAへ(“エンタテイメントシティSHIBUYA” の実現)

渋谷ストリーム、渋谷スクランブルスクエア東棟などの大規模再開発を確実に推進・開業させるとともに、エリアブランディングの取り組みにより、魅力あふれる渋谷を実現してまいります。また、広域渋谷圏において事業機会を積極的に獲得することで収益の拡大を目指してまいります。

 

3)沿線価値・生活価値の螺旋的向上(グループ各事業の総合力発揮)

① 沿線開発の推進

南町田グランベリーパークなど、地元・行政等と連携した総合開発により、沿線価値のさらなる向上を図るとともに、郊外のリモデルにより多様な世代が暮らすバランスのとれた沿線を実現してまいります。

② リテール事業の再構築

業態集約・構造改革の推進、横串機能の強化による効率性・収益性向上に取り組むとともに、鉄道事業、不動産事業などとのさらなる連携により、沿線価値向上、沿線人口の増加に寄与してまいります。

③ ICT・メディア事業のサービス拡充

「暮らしのIoT」などの「家ナカサービス」や、スマートフォン向けクレジット決済ソリューションなどの「街なかの店舗・サービス」を拡充させることで顧客接点の強化を進めてまいります。

4)戦略的アライアンスによる事業拡大(グループ内外との共創)

連結およびグループ各社、さらにはグループ外との連携により、当社沿線のみならず、国内拠点エリア、アジア各都市への事業拡大を推進してまいります。

① 交流人口の取り込み

最適なパートナーとの連携により、東急ホテルズの新規出店や空港運営事業拡大を図るとともに、観光商材発掘と商品化を進め、拠点エリアの観光振興と交流人口の取り込みを進めてまいります。

② 海外展開

進出済みのベトナム、タイ、オーストラリアを中心に新たな事業機会を獲得しながら、バランスのとれたポートフォリオを実現してまいります。

③ 新たなビジネス分野、ビジネスモデルの探索

新時代のまちづくりを目指し、沿線をはじめとする既存市街地におけるライフスタイル、ワークスタイルをより豊かなものにしていくために、新たなテクノロジーを活用した事業を創出してまいります。

5)ワークスタイル・イノベーションの進化(東急版「働き方改革」の展開)

働きがいがある仕事と働きやすい環境の整備、生産性向上とイノベーション創出により、「日本一働き続けたい会社」を実現するとともに、自ら実践した働き方改革を社会へも展開してまいります。

(目標とする経営指標)

中期3か年経営計画「Make the Sustainable Growth」のもと、当社が経営上の目標の達成状況を判断するための指標について、以下のとおり設定しております。

〇収益性指標として、「東急EBITDA」及び「営業利益」を採用しております。

東急EBITDAは、大規模工事の竣工等による営業利益の変動を補正したうえで、事業スキームの多様化を反映し、当社の稼ぐ力をより正確に表す指標として採用しております。

なお、東急EBITDAの算出方法は、以下のとおりであります。

東急EBITDA=営業利益+減価償却費+固定資産除却費+のれん償却費+受取利息配当+持分法投資損益

〇健全性指標として、「有利子負債(※)/東急EBITDA倍率」を採用しております。

〇効率性指標(参考)として、「ROE」を採用しております。

※ 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計

具体的な数値目標については、以下のとおりであります。

 

2018年度

2019年度

2020年度

2022年度(参考)

東急EBITDA

1,750億円

1,845億円

2,064億円

2,200億円

営業利益

770億円

780億円

970億円

1,100億円

有利子負債/

東急EBITDA倍率

6.2倍

6.1倍

5.3倍

5倍台

ROE(参考)

7.2%

7.2%

8.4%

9%台

 

 

 

(CSR経営とコーポレートガバナンスの充実)

当社および連結子会社は、かねてより企業市民として、その社会的責任の重要性を認識し、グループ全体でコンプライアンスに取り組んでまいりました。また、創業以来「街づくり」などにおいて、事業を通じて社会的な課題を解決するとともに、企業の重要な使命として、教育、文化、環境面での社会貢献活動を、長年にわたり幅広く展開してまいりました。今後も時代の変化に即してCSR活動を推進し、さまざまなステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションをより一層緊密にするとともに、経営の透明性、業務の適正性を向上させるべく実効的なコーポレートガバナンスを図ってまいります。

(ダイバーシティマネジメント・健康経営の推進)

当社および連結子会社は、中期3か年経営計画の重点施策に「ワークスタイル・イノベーションの進化」を掲げ、「2020年度までに女性管理職40名(当社)」「健康経営の定着による従業員が健康に就業できる会社」を目標としたほか、働く「時間」「場所」の柔軟化、取締役会等における取り組み状況の報告など、「制度」「風土」「マインド」の観点から、女性活躍を含むダイバーシティマネジメント・健康経営を推進しております。2017年度には、役員及び全管理職マネジメントセミナーにおいて、経営トップから「東急電鉄(連結)ダイバーシティマネジメント宣言」を発信し、多様な人材がその能力を最大限発揮することで新たな価値を創造することを目指してまいります。また、健康経営を継続的に推進することで、従業員が健康で生き生きと活躍できる環境づくりを図ってまいります。

(3)株式会社の支配に関する基本方針

当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

① 当社の財務及び事業の基本的方針

当社は、2000年4月、「21世紀においても持続的に成長する東急グループ」を目指して「東急グループ経営方針」を策定し、グループ再編を積極的に進めるとともに、財務的な課題の克服に努めてまいりました。次いで2005年4月より成長戦略に軸足を移し、持続的成長の基盤確立に努め、2018年度からは、「サステナブルな「街づくり」「企業づくり」「人づくり」」を基本方針とする中期3か年経営計画に取り組んでおります。

当該計画は、渋谷など大型開発プロジェクトを確実に竣工・開業し、利益貢献を開始させるとともに、長期的な視点に立ち、既存事業・プロジェクトを強化するとともに、当社の強みを生かすことのできる新規領域にも積極的に進出することにより、持続的な成長を目指すことを目的としております。

このように長期的な視点に立った経営計画を推進し、当社が企業価値・株主の共同の利益を保全・確保し向上させていくためには、以下の各項目を実行することが不可欠と考えており、より一層これらの実現に努めてまいります。

1)当社の鉄道事業は極めて公共性の高い事業領域に属しており、お客さまの安全確保を第一義とした全社的推進体制を確保すること

2)安全性および利便性の向上を目指した中長期的な投資を継続的に行い、それを可能とする経営の安定性を確保すること

3)長期的な視点に立ち、沿線開発と不動産事業の更なる推進を継続するとともに、広域の移動を促進、街や地域を活性化させるべく、交通・リテール・生活サービスなどグループの各事業が一体的に展開すること

4)子会社の少数株主の利益を損なわないように配慮しつつ、グループの各事業を全体最適の観点から一元的にマネジメントすることができるよう、当社が強力なグループガバナンスを発揮すること

5)株主の皆さま、お客さま、沿線住民の方々、行政機関、関係事業者、債権者、そして従業員やその家族といった事業にとって重要なステークホルダー全般との信頼関係を維持向上させること

② 当社の支配に影響を与える株式の大量取得行為について

当社の株式は上場されており、当社株式の大量取得を目的とする買付であっても、それが当社の企業価値・株主の共同の利益に資すると判断される限り否定されるべきものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案について対抗措置をとるべきとの判断には、最終的には合理的手続きを経て確定される株主全体の意思が反映されるべきものと考えております。

 

しかしながら、株式の大量取得行為の中にはその目的・手法などから見て、企業価値・株主の共同の利益に対して明白な侵害をもたらすもの、例えば短期的な利益追求を目的とすることなどにより鉄道事業の安全確保に悪影響を及ぼす可能性があるもの、また、買収を二段階で行い、最初の買付に応じなければ不利益になる、あるいはそのような危惧を抱かせる状況を作り出し、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの等、不適切な方法による、あるいは不適切な者による企業買収の存在は否定できません。また、株式の大量取得行為の提案がなされた場合において、これの是非を判断する十分な情報や代替案を株主の皆さまが持ち合わせていないにも関わらず、そのまま買収が行われてしまう場合もあり得ます。

当社事業にとって重要なステークホルダーの利益を考慮しつつ、このような買収から企業価値・株主の共同の利益を守り、これらに資するよう行動することは、当社の経営を負託された者として当然の責務であると認識しております。

現時点において、当社は具体的にこのような買収の脅威にさらされているとの認識はありませんが、当社株式の取引や株主の異動の状況を常にチェックするとともに、当社株式を大量に取得しようとする者が出現した場合に、判断の客観性を担保しつつ、企業価値・株主の共同の利益を保全・確保および向上させるために必要な措置が取れるよう、社内における体制を整え、役割分担や行うべき対応を明確にしております。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、当社グループ(当社及び連結子会社)は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。なお、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意下さい。

(1)自然災害

当社グループは、大規模地震や台風等の自然災害の発生を想定したさまざまな施策を講じておりますが、大規模な自然災害が発生し、人的被害や事業の中断等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)事故等

当社グループは、事故、テロ等の不法行為による災害、設備や情報システムの故障、食品、建設工事等の品質問題、その他の理由によるトラブルの発生を想定したさまざまな施策を講じておりますが、重大な事故等が発生し、人的被害や事業の中断等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)コンプライアンス

当社グループは、鉄軌道事業、不動産事業をはじめとする各種事業において、関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、お客さまや取引先の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4)経営環境変化

①  法的規制

当社グループは、鉄軌道事業、不動産事業をはじめとする各種事業において、鉄道事業法、建築基準法等の法令・規則等の適用を受けておりますが、これらの法的規制が変更された場合には、規制を遵守するための費用の増加や活動の制限により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

②  経済情勢

当社グループは、当社鉄道沿線地域に経営資源が集中しており、同地域の消費動向の悪化、人口の減少、人口動態の変化(少子高齢化)等が起こった場合には、収益が減少し、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、「中期3か年経営計画」を策定し、各種施策を実施しておりますが、経済情勢の変化等によって、これらの計画が予定通り進捗しない場合や、想定した収益や期待した効果を生まない場合があり、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③  地価下落

当社グループは、事業遂行上必要な多くの不動産(販売用及び事業用)を保有しており、不動産市況の低迷その他の理由に起因して不動産価格が下落した場合には、収益の減少や評価損、売却損の計上により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④  株価下落

当社グループは、株式等の投資有価証券を保有しており、企業年金資産、退職給付信託等においても多くの株式・債券等を保有しており、株式・債券市況の低迷や投資先の自己資本の悪化等が生じた場合には、評価損や売却損の計上により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤  金利上昇

当社グループは、これまで鉄軌道事業をはじめとする各事業の必要資金の多くを、社債や金融機関からの借入により調達しており、有利子負債(※)は総資産に比して高い水準にあるため、固定金利による調達や有利子負債の抑制を行っていますが、市場金利が上昇した場合や、格付機関が当社の格付けを引き下げた場合には、相対的に金利負担が重くなったり、資金調達の条件が悪化したりすることにより、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥  国際情勢

当社グループは、国内のみならずベトナム等の海外においても事業活動を行っており、紛争又は戦争、テロ事件、伝染病の流行などの国際情勢の変化が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、為替相場に変動があった場合には、当社グループの円貨での業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

※  有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響により、先行きは不透明な状況で推移したものの、政府・日銀による各種政策の効果により、企業収益や雇用情勢は改善し、個人消費も持ち直しの動きが続くなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。

当連結会計年度の営業収益は、当社の不動産販売業が堅調に推移したことなどにより、1兆1,386億1千2百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益は、829億1千8百万円(同6.3%増)となりました。経常利益は、支払利息の減少などにより、837億4千6百万円(同9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益が増加したことなどにより、700億9千5百万円(同4.2%増)となりました。

セグメントの業績は以下のとおりであり、各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含んで記載しております。なお、各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。

また、当連結会計年度より、一部事業について報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

(交通事業)

2017年11月15日に発生いたしました田園都市線での架線不具合をはじめ、当社起因による度重なる輸送障害によりご迷惑、ご心配をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。今後の対策として、地下区間の重要設備の点検方法を見直すなど、安全・安定輸送の確保に向けた取り組みを実施してまいります。

ホーム上の安全対策につきましては、2020年までに東横線・田園都市線・大井町線全64駅にホームドアを設置する計画を前倒し、2019年度にホームドア・センサー付き固定式ホーム柵の整備率が業界トップとなる100%を目指しております。2017年度は田園都市線三軒茶屋駅など13駅でホームドアの利用を開始し、人身傷害件数は2014年度に比べ約3分の1に減少するなど、安全・安定輸送の確保に大きく寄与いたしました。

利便性・快適性向上の面では、2017年11月から2018年2月にかけて大井町線の急行車両を6両編成から7両編成に順次変更し、輸送力の増強をいたしました。また、2018年3月にはさらなる混雑緩和や利便性の向上を目指し、田園都市線など5路線でダイヤ改正を実施したほか、新型車両として田園都市線に2020系を、大井町線に6020系を導入いたしました。大井町線では2018年冬に平日夜間下り方面への有料座席指定サービス車両の運用を開始する予定です。

 

当社の鉄軌道業における輸送人員は、前連結会計年度に比べて、沿線人口の増加などにより、定期で1.7%、定期外で0.8%増加し、全体でも1.3%の増加となりました。

連結子会社の輸送人員は、伊豆急行㈱で0.3%減少いたしました。

バス業では、東急バス㈱の輸送人員が0.3%増加いたしました。

交通事業全体の営業収益は、当社の鉄軌道業において、輸送人員が増加したことなどにより、2,115億5千7百万円(同2.0%増)、営業利益は、290億2百万円(同8.6%増)となりました。

(当社の鉄軌道業の営業成績)

種別

単位

第148期

第149期

28.4.1~29.3.31

29.4.1~30.3.31

営業日数

365

365

営業キロ程

キロ

104.9

104.9

客車走行キロ

千キロ

148,372

149,150

輸送人員

定期外

千人

464,259

468,163

定期

千人

698,764

710,496

千人

1,163,023

1,178,659

旅客運輸収入

定期外

百万円

75,834

76,383

定期

百万円

62,787

63,856

百万円

138,621

140,239

運輸雑収

百万円

14,199

14,614

収入合計

百万円

152,820

154,853

一日平均収入

百万円

419

424

乗車効率

51.6

51.6

 

 

(注)    乗車効率の算出方法

乗車効率

輸送人員

×

平均乗車キロ

×  100

客車走行キロ

平均定員

 

 

(不動産事業)

不動産事業では、「東急多摩田園都市」の開発をはじめとする「街づくり」を事業活動の中心におき、さまざまな領域での不動産事業を総合的に展開しております。

2018年9月開業予定の、「渋谷ストリーム(SHIBUYA STREAM)」においてはオフィス、ホテル、商業施設におけるすべての賃貸区画について入居テナントが内定いたしました。なお、全てのオフィス区画にはグーグル合同会社の本社機能が移転入居いたします。また、2019年度に東棟が開業予定の「渋谷駅街区開発計画」の施設名称を「渋谷スクランブルスクエア(SHIBUYA SCRAMBLE SQUARE)」に決定し、オフィス及び商業施設のリーシングも順調に進んでおります。

町田市と当社が田園都市線南町田駅周辺において推進している「南町田拠点創出まちづくりプロジェクト」につきましては、鶴間公園及び商業施設を含むまち名称を「南町田グランベリーパーク」に決定し、2019年秋のまちびらきを目指して順調に取り組んでおります。

このほか、東急線駅構内・高架下・駅ビルの店舗開発及びリニューアルの推進についても積極的に実施しており、目黒線武蔵小山駅構内では2017年9月に「エトモ武蔵小山」がリニューアルオープンしたほか、2018年3月には池上線五反田駅から大崎広小路駅の高架下に新たに5つの店舗を開業いたしました。また、田園都市線中央林間駅前にも装いを新たに「中央林間東急スクエア」をオープンし、大和市立中央林間図書館や子育て支援施設と連携し、地域の皆さまのライフスタイルを支える新たな街のコミュニティ拠点を創出いたしました。

不動産事業全体の営業収益は、当社の不動産販売業において、物件の販売収入が増加したことなどにより、1,825億7千4百万円(同7.3%増)、営業利益は、323億5千7百万円(同5.8%増)となりました。

 

(生活サービス事業)

当社は、生活サービス事業を街の生活基盤として沿線価値の向上に寄与するものと位置づけるとともに、収益力の向上に取り組んでまいりました。同事業は、魅力ある施設づくりに加えて、お客さまの期待を上回る商品やサービスの提供に努めるとともに、交通事業、不動産事業をはじめとする各事業との相乗効果を発揮するため、グループ間連携をさらに促進しております。

百貨店業の㈱東急百貨店では、吉祥寺店で進めてきたリニューアルが2018年5月にグランドオープンを迎えたほか、「東急フードショースライス」を2017年12月に目黒駅、自由が丘駅にオープン、チェーンストア業の㈱東急ストアでは2017年4月に「東急ストアフードステーション 渋谷キャスト店」をオープンいたしました。

ショッピングセンター業の㈱東急モールズデベロップメントでは、2017年11月に「クイーンズスクエア横浜[アット!]」と「クイーンズイースト」を統合し、「みなとみらい東急スクエア」を開業、「SHIZUOKA109」を「静岡東急スクエア」にリニューアルいたしました。

ショッピングセンター業の㈱SHIBUYA109エンタテイメントでは、エンタテイメントとファッションを融合させるポップアップストア区画「DISP!!!」を開設するなど、渋谷から新たなムーブメントやカルチャーを発信しております。

2017年11月には、セキュリティ事業の東急セキュリティ㈱とケーブルテレビ事業のイッツ・コミュニケーションズ㈱の両社のサービス特長を活かし、安全・安心の警備体制と、スマートフォンを活用した先進のセキュリティスタイル「東急スマートセキュリティ」サービスの提供を開始いたしました。また、新たな社会インフラの創造を目指した取り組みを進めるために、業界の垣根を越えた企業連合として2017年7月に「コネクティッドホーム アライアンス」を設立いたしました。

生活サービス事業全体の営業収益は、電力小売事業の㈱東急パワーサプライにおいて、顧客獲得が進捗したことなどにより、7,003億5千2百万円(同1.5%増)、営業利益は、159億9千9百万円(同9.2%増)となりました。

(ホテル・リゾート事業)

ホテル業の㈱東急ホテルズでは、渋谷地区の3ホテルとザ・キャピトルホテル東急の合計で外国人宿泊比率が高い状況が継続するなどインバウンドのプラスの影響があり、客室部門を中心に好調に推移いたしました。

既存店舗の品質向上のため、2017年4月には「下田東急ホテル」をリニューアルオープンしたほか、2018年5月に「東京ベイ東急ホテル」を開業、2018年秋には「渋谷ストリームエクセルホテル東急」の開業を控えるなど、新規出店を進めております。同社は、当連結会計年度末現在、直営ホテル33店舗を展開しております。

ホテル・リゾート事業全体の営業収益は、ホテル業の㈱東急ホテルズにおいて、高稼働を維持したことに加え、販売単価も増加し増収したものの、マウナ ラニ リゾート(オペレーション)㈱において、保有資産を譲渡した影響により、1,041億4百万円(同1.3%減)、㈱東急ホテルズにおいて、客室を中心としたバリューアップ施策費用の増加等により、営業利益は、51億3百万円(同10.0%減)となりました。なお、㈱東急ホテルズ直営店舗の客室稼働率は、84.1%(同0.3P減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は383億2千2百万円となり、前連結会計年度に比べて15億1百万円減少いたしました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益960億6千9百万円に減価償却費749億1百万円、法人税等の支払額172億3千7百万円などを調整し、1,525億5千8百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、法人税等の支払額が減少したことなどにより、262億2百万円の収入増となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出1,769億9千1百万円などがあり、1,453億7千8百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、130億6千8百万円の支出増となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済及び社債の償還による支出などにより、78億9千2百万円の支出となりました。

(3)財政状態

当連結会計年度末の総資産は、当社の設備投資による有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末の2兆1,486億円から1,160億円増加し、2兆2,646億円となりました。

負債は、有利子負債(※)が増加したことなどにより、前連結会計年度末の1兆4,702億円から473億円増加し、1兆5,175億円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末の6,783億円から686億円増加し、7,470億円となりました。

この結果、自己資本比率は30.8%となり、前連結会計年度末に比べ1.5ポイント上昇いたしました。また、1株当たり純資産額は1,146.46円となりました。

※ 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計

(生産、受注及び販売の状況)

当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1)業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積もり

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

(2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社(連結子会社を含む)は、将来の大きな飛躍に向け、財務健全性を確保しつつ、既存事業・プロジェクトの強化、当社の強みを生かすことのできる新規領域への積極的進出や成長領域への重点投資を実施し、収益性、効率性双方の向上の実現を目指した、2015年度を初年度とする中期3か年経営計画「STEP TO THE NEXT STAGE」(以下「前中期3か年経営計画」という。)を推進してまいりました。 

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、鉄道ネットワーク強化、二子玉川ライズの全面開業による効果、訪日外国人客の増加によるホテル業の好調などが寄与し、営業利益829億円、東急EBITDA 1,749億円、有利子負債/東急EBITDA倍率5.5倍、参考指標であるROEが10.6%となりました。この結果、前中期3か年経営計画の目標指標を全て達成いたしました。

また、数値面以外でも、国管理空港としては民間委託1号案件の仙台空港の運営や、電力小売事業への参入、社内起業家育成制度による新規事業の創出など順調に展開できており、定量・定性面ともに計画を達成いたしました。


 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、当社沿線の事業環境(人口動態)、外部環境の変化等があります。

当社グループの利益の大半を生み出す東急線沿線の人口動態は、前中期3か年経営計画では2020年に人口のピークを迎えるという前提でしたが、最新のデータでは2035年まで人口増加が続くと想定しており、渋谷・二子玉川・たまプラーザなど、当社の街づくりの成果と捉えております。一方、多くのエリアで高齢化の進行、生産年齢人口の減少が見られ、今後、少子高齢化が一層進むことを踏まえると、沿線住民の流動性の活性化が課題と認識しております。加えて、長期的視点から海外含む沿線外での収益源確保も一層重要になると考えております。

 

また、外部環境として、人口動態の変化等に伴う深刻な人手不足、ECの隆盛などによる消費行動や顧客接点の変化、テクノロジーの進展による新たな事業機会の出現、グローバルレベルでの競争激化など、当社を取り巻く事業環境はかつてないほどのスピードとスケールで大きく変化しており、スピード感を持った対応が必要であると認識しております。

こうした激しい世の中の変化に対応し、持続的な成長を続ける企業でありたいという想いを込め、2018年度を初年度とする中期3か年経営計画を策定いたしました。本計画では“Make the Sustainable Growth”(持続可能な成長をめざして)というスローガンを定め、サステナブルな「街づくり」「企業づくり」「人づくり」の、「3つのサステナブル」の基本方針のもと、次の100年に向けて、既存事業や沿線外拠点を強化するとともに、当社の強みを活かすことのできる新規領域にも積極的に進出することで、激しい時代の変化の中でも、持続的な成長を続ける企業集団を目指します。中期3か年経営計画の詳細につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

(3)資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは持続的成長を果たすことを目的に投資計画を立案しており、資金使途のうち主なものは設備投資・投融資(以下「投資」という。)であります。

前中期3か年経営計画期間における投資実施額は、成長投資が2,035億円、既存事業投資が2,812億円、合計4,847億円となり、仙台空港の運営事業参画、新規の不動産賃貸物件の取得などが順調に推移し、計画(成長投資2,000億円、既存事業投資2,500億円、合計4,500億円)を上回る規模となりました。また、資金調達につきましては、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローが増加したことなどにより、有利子負債による調達が500億円(前中期3か年経営計画600億円)に減少したことに加え、株主還元の拡充も実施いたしました。

2018年度を初年度とする中期3か年経営計画においては、成長投資に2,600億円、既存事業投資に2,600億円、合計5,200億円の投資を計画しており、成長投資の内訳は、渋谷再開発に1,200億円、沿線開発に800億円、戦略案件に600億円であります。また、既存事業投資の内訳は、鉄軌道投資に1,600億円、うち960億円を安全投資として計画しており、安定輸送・快適性向上に万全を尽くしてまいります。

また、資金につきましては、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローに加え、社債の発行や金融機関からの借入による調達1,200億円を想定しております 。

なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は9,697億円であり、有利子負債/東急EBITDA倍率は5.5倍であります。中期3か年経営計画期間中は設備投資の実施に伴い有利子負債の増加を見込んでおり、2018年度、19年度末は一時的に6倍台となりますが、渋谷開発などの大型開発案件が収益貢献を始める2020年度には5.3倍へ改善を見込んでおります。

※1 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計

※2 設備投資・投融資の金額については、投資計画の進捗説明を主眼とし一部組替を行っており、

「キャッシュ・フロー計算書」とは数値が異なります。

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。

5【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は、4億1千7百万円であり、セグメントごとの研究開発費は、交通事業が3億9千4百万円、生活サービス事業が2千2百万円であります。

主な研究開発活動は、㈱東急総合研究所において、経済、社会、地域等に関する消費研究や消費構造、消費者の意識・行動に関する調査・研究を行っております。