当連結会計年度におけるわが国経済は、政府主導による金融緩和および財政出動等の各種経済政策の効果もあり、9月以降企業収益が改善し個人消費や設備投資が持ち直すなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。
このような情勢下にありまして、当社グループでは、安全はすべての事業の根幹であるとの認識のもと、「東武グループ中期経営計画2010~2013」にもとづき、将来にわたる持続的成長を目指し各種施策を実施いたしました。5月に開業1周年を迎えた「東京スカイツリータウン®」につきましては、引き続き多くのお客様にご来場いただき、グループ各事業においても連携した施策を実施するなど、その効果を最大限取り込み、広域的に波及・浸透させていくことで沿線全体の活性化および「東武」ブランドの価値向上とグループ全体の収益向上につなげてまいりました。
当期の連結業績は、営業収益は593,649百万円(前期比2.8%増)、営業利益は56,013百万円(前期比6.6%増)、経常利益は51,931百万円(前期比9.2%増)、当期純利益は31,521百万円(前期比10.0%増)となりました。
この結果、中期経営計画における数値目標(当期純利益200億円、有利子負債残高8,100億円、有利子負債/EBITDA倍率8倍程度)を達成いたしました。
今般、これまでの中期経営計画の実施結果と2020年に向けて予想される環境の変化等も踏まえ、新中期経営計画「東武グループ中期経営計画2014~2016」を策定いたしました。新計画では、「東京スカイツリータウン」を含めた各種事業の収益基盤の強化に注力することに加え、今後の収益源となる事業創出に取り組み、将来にわたる持続的成長を目指してまいります。
セグメント情報の業績を示すと、次のとおりであります。
なお、各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。また、各セグメントの営業成績のうち「調整額」は内部取引消去額を表しております。
鉄道業におきまして、当社では、安全を最優先に、より多くのお客様にご利用いただけるよう、様々な取り組みを進めております。
安全輸送面では、さらなる安全性向上を目指し、船橋駅においてホームドア(可動式ホーム柵)の使用を開始し、柏駅においても工事を進めたほか、伊勢崎駅付近の高架化を完了させ、引き続き野田市駅付近・竹ノ塚駅付近の高架化工事や「東上線新運転保安システム」の構築等を進めてまいりました。また、野田線において省エネ効果が高く、当社初の無線LANサービスを備えた新型車両60000系を導入したほか、大規模地震等に備え、防災対策として駅舎・高架橋の耐震補強工事や橋梁改修工事等を進めました。さらに、従業員に対して、安全に関する様々な教育を継続し、駅における避難誘導訓練や列車の一旦停止訓練を実施したほか、踏切における事故の発生を想定し、併発事故防止訓練やお客様の避難誘導訓練等の異常時総合訓練を行いました。
営業面では、東京スカイツリータウン開業1周年にあわせ亀戸線において東京スカイツリー®の特別ラッピングを施した「下町トレイン」を運行したほか、企画乗車券を発売し誘客に努めました。また、野田線の沿線価値向上をはかる施策として、路線愛称名「東武アーバンパークライン」および路線ロゴマークの導入を決定いたしました。お客様の利便性向上のため、駅リニューアル(橋上駅舎化)を運河駅、武州長瀬駅、大袋駅において完了し、岩槻駅で工事を進めました。さらに、大学と連携した両毛地区のPR活動を行い誘客に努めたほか、埼玉県ゆかりのアニメ・マンガ作品を主体としたイベント「アニ玉祭」会場への臨時列車を運行しました。東上線においては、東急東横線・横浜高速みなとみらい線との相互直通運転を活用し、企画乗車券の発売や川越をはじめとした沿線観光地の積極的な宣伝活動を行いました。また、平成26年5月1日に開業100周年を迎えることから、ロゴマークおよびキャッチコピーを設定するとともに特別の塗装列車を運行しました。
バス・タクシー業におきまして、お客様の利便性向上のため東武バスセントラル㈱では、東京駅等と東京スカイツリータウンとを結ぶスカイツリーシャトル4路線のダイヤ改正を実施し、関越交通㈱では、新宿発の高速バス「尾瀬号」の川越駅西口への乗り入れを開始しました。
運輸事業全体としては、消費増税に伴う定期券等の先買いもあり、営業収益は216,660百万円(前期比2.5%増)、営業利益は30,062百万円(前期比3.8%増)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
鉄道業 | 159,995 | 0.8 |
バス・タクシー業 | 32,545 | 0.1 |
貨物運送業 | 25,164 | 19.1 |
小計 | 217,705 | 2.5 |
調整額 | △1,044 | ― |
営業収益計 | 216,660 | 2.5 |
(提出会社の鉄道業成績)
種別 | 単位 | 第193期 | 第194期 | |
(自 平成24年4月1日 至 平成25年3月31日) | (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) | |||
営業日数 |
| 日 | 365 | 365 |
営業キロ |
| キロ | 463.3 | 463.3 |
客車走行キロ |
| 千キロ | 275,886 | 267,760 |
| 定期 | 千人 | 567,896 | 582,309 |
輸送人員 | 定期外 | 〃 | 311,144 | 311,925 |
| 計 | 〃 | 879,040 | 894,234 |
| 定期 | 百万円 | 64,362 | 65,634 |
旅客収入 | 定期外 | 〃 | 77,440 | 77,879 |
| 計 | 〃 | 141,802 | 143,513 |
運輸雑収 |
| 〃 | 16,006 | 15,393 |
収入合計 |
| 〃 | 157,807 | 158,906 |
1日平均収入 |
| 〃 | 432 | 435 |
乗車効率 |
| % | 31.6 | 33.1 |
(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)÷(客車走行キロ×平均定員)×100
乗車効率とは、客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。
スカイツリー業におきまして、東武タワースカイツリー㈱では、在京テレビ局6社による地上デジタルテレビ放送の本放送が開始され、社会インフラとしての電波塔機能を本格的に発揮することとなりました。また、台北101との共同プロモーションを実施するなど、訪日観光客の誘致活動を積極的に展開するとともに、開業1周年記念イベント、季節に応じたイベントや多彩な特別ライティングを実施し、多くのお客様にご来場いただけるよう努めました。
旅行業におきまして、国内外に広く営業ネットワークを持ち、カンファレンス事業(会議ビジネス)等にノウハウを持つトップツアー㈱を当社の子会社とし、東武トラベル㈱との相乗効果を発揮させるとともにグループ各社との連携により新たな需要の創造をはかりました。
ホテル業におきまして、コートヤード・マリオット銀座東武ホテルでは、東京スカイツリーのオフィシャルホテルとしての営業施策を引き続き実施したほか、レストランのリニューアル効果等により好調に推移いたしました。
遊園地・観光業におきまして、東武動物公園では、ホワイトタイガーの赤ちゃんの一般公開、ウィンターイルミネーション等のイベントを実施したほか、「ハートフルタウン」をオープンし、遊園地エリアのさらなる魅力向上をはかり増収に努めました。また、東武ワールドスクウェア㈱では、展示物のリニューアルや「イルミネーションin東武ワールドスクウェア」などイベントを開催し、誘客に努めました。
スポーツ業におきまして、㈱東武スポーツでは、「TOBUアスレティック@スタジオ ネオスわかば」を新規出店し、増収に努めました。
レジャー事業全体としては、営業収益は75,211百万円(前期比1.2%増)、営業利益は12,077百万円(前期比14.0%増)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
遊園地・観光業 | 5,186 | △2.6 |
スポーツ業 | 13,223 | 9.9 |
旅行業 | 11,758 | 114.7 |
ホテル業 | 17,037 | △0.7 |
飲食業 | 10,459 | △8.3 |
遊技場業 | ― | △100.0 |
スカイツリー業 | 19,657 | 5.0 |
小計 | 77,323 | 1.1 |
調整額 | △2,112 | ― |
営業収益計 | 75,211 | 1.2 |
スカイツリータウン業におきまして、「東京ソラマチ®」において、夏休みやクリスマス等の四季を通じた各種イベントを実施し、誘客および収益確保をはかりました。また、オフィス施設「東京スカイツリーイーストタワー®」において、オフィス入居率100%を達成いたしました。
不動産賃貸業におきまして、保有資産を有効活用し、安定的な収益確保および魅力ある沿線づくりをはかるため、松原団地駅「エキア松原」や西新井駅「ペアロード」の駅ナカ店舗のリニューアル等を実施し、駅および周辺施設の充実に努めました。
不動産分譲業におきまして、当社では、沿線の価値向上および沿線定住人口増加を目的として、分譲マンション「ブリリアときわ台ソライエレジデンス」(板橋区前野町)の販売を開始したほか、「ソライエ・プレミアムテラス」(墨田区立花)等のマンションおよび野田市清水公園東等の土地を販売いたしました。
不動産事業全体としては、営業収益は63,867百万円(前期比13.6%増)、営業利益は8,077百万円(前期比0.6%増)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
不動産賃貸業 | 35,475 | 5.3 |
不動産分譲業 | 16,032 | 54.4 |
スカイツリータウン業 | 12,961 | 3.0 |
小計 | 64,468 | 13.8 |
調整額 | △601 | ― |
営業収益計 | 63,867 | 13.6 |
流通業におきまして、㈱東武百貨店では、宝飾品などの高額品の販売が順調に推移いたしました。また、池袋店では「東武ワールドウォッチフェア」や「大北海道展」などの催事を開催したほか、㈱東武宇都宮百貨店では、より多くのお客様にご来店いただけるよう「おいしい・おしゃれ」をコンセプトに、宇都宮店8階レストラン街「スパイス」のリニューアルを実施したほか、開店準備を進めておりました「栃木店」を3月に栃木市役所内に出店いたしました。
㈱東武カードビジネスでは、東京ソラマチでのポイントアップキャンペーンを行うなど、「東京スカイツリー東武カードPASMO」の新規会員数のさらなる獲得に努めました。
流通事業全体としては、一部の連結子会社が前期に決算期変更を行った影響もあり、営業収益は207,809百万円(前期比0.8%減)、営業利益は1,484百万円(前期比23.8%減)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
流通業 | 207,809 | △0.8 |
調整額 | ― | ― |
営業収益計 | 207,809 | △0.8 |
㈱東武エネルギーマネジメントでは、佐野市(葛生駅南側土地)において、鉄道貨物ヤードの跡地を活用した大規模太陽光発電(メガソーラー)事業を開始いたしました。
また、建設業におきまして、東武建設㈱では、取手市においてマンション建設工事を完成させたほか、東武谷内田建設㈱では、豊島区において幹線道路の地下化工事を受注し工事を進めるなど増収に努めました。
その他事業全体としては、営業収益は96,061百万円(前期比9.8%増)、営業利益は5,215百万円(前期比43.9%増)となりました。
(営業成績)
業種別 | 当連結会計年度 | |
営業収益(百万円) | 前期比(%) | |
建設業 | 55,626 | 17.0 |
その他業 | 41,243 | 1.1 |
小計 | 96,869 | 9.7 |
調整額 | △808 | ― |
営業収益計 | 96,061 | 9.8 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,931百万円増加し31,200百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は税金等調整前当期純利益53,146百万円に減価償却費52,669百万円等を加減算した結果、97,832百万円となり、前連結会計年度と比べて2,519百万円の資金流入の減少となりました。これは、主に法人税等の支払額が増加したこと等によるものです。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は53,196百万円となり、前連結会計年度と比べて2,970百万円の資金流出の増加となりました。これは、主に連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したこと等によるものです。
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は36,758百万円となり、前連結会計年度に比べて10,764百万円の資金流出の減少となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出が増加したものの、社債の発行による収入が増加したこと及び社債の償還による支出が減少したこと等によるものです。
当社グループのサービス、生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種のサービス、製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
そのため生産、受注及び販売の状況については、「1 業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しております。
(1) 対処すべき課題
経済情勢の先行きは、各種経済政策の効果もあり景気回復の期待感が高まる一方、電気料金の値上げ、消費増税の影響等により、未だ不透明であります。
このような情勢ではありますが、社会インフラのひとつである鉄道事業につきましては、安全な列車の運行を確保するとともに、沿線のお客様の生活を支える企業グループとして、さらなる地域の発展と暮らしの快適性・利便性の向上に全力を尽くす所存であります。
平成26年度につきましては、「東武グループ中期経営計画2014~2016」の初年度にあたることから同計画における施策を着実に実行し、さらなる収益向上に取り組むほか徹底した経営効率化をはかってまいります。
また、中長期的には現在の経営基盤を強化し、さらなる企業価値向上をはかるため、東京スカイツリータウンを含めた各既存事業の収益基盤の強化に注力することに加え、2020年に向けて予想される環境の変化等も見据えた今後の収益源となる事業創出に取り組み、将来にわたる持続的成長を目指してまいります。
鉄道事業におきましては、今後想定される人口減少社会や社会構造の変化等に対応し、安全輸送とお客様のニーズに合った質の高い輸送サービスを提供することで鉄道需要を拡大してまいります。また、東京スカイツリータウンにおきましては、観光立国日本のシンボルとして「にぎわい」と「活力」を継続すべく、来場者の維持拡大に向け積極的な販売促進施策を展開し、継続的な収益力強化をはかってまいります。加えて、沿線居住者やお客様に対して地域資源を活かしつつ魅力あるサービスを提供することで、沿線の価値向上に取り組んでまいります。さらに、世界遺産の日光や世界中から注目を集める東京スカイツリータウンなどの観光資源を活かして、国内のみならず世界に目を向けた誘客施策を展開するとともに、地域の観光資源の活用や新たな観光資源の発掘など、沿線の自治体とも連携しながら交流人口の増加につなげ、沿線と地域の活性化をはかってまいります。
(2) 当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について
① 基本方針の内容
当社は、企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに当社の基幹事業である運輸業における輸送の安全を確保させるための取り組みを一層推進してまいりますが、近時、わが国の株式市場等においては、買付の対象となる会社の経営陣の賛同を得ることなく、一方的に大量の株式の買付を強行するといった事例がみられるようになりました。
もとより、当社は、株式の大量買付であっても、当社の株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全の確保・向上に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上に対する明白な侵害をもたらすもの、株主様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主様が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上に資さないものも少なくありません。
当社は、信頼の確立、成長基盤の確立を基に継続的に企業価値および株主共同の利益を確保・向上させていくために、経営の根底にある「安全・安心」の提供や鉄道事業者としての公共的使命に関する基本的な考え方を、今後も引き続き維持・推進していくことが不可欠であると考えます。
東武グループでは、業平橋押上地区において、「Rising East Project ~ やさしい未来が、ここからはじまる。」をコンセプトに、「東京スカイツリー」を核とした大規模複合開発プロジェクトを進めております。東武グループでは、最も重要な成長戦略と位置づける同プロジェクトの着実な推進と、それに連動した沿線拠点戦略の展開により、企業・沿線価値の向上を図るとともに、グループ全体の事業の効率性向上を追求し、財務体質の強化に努め、将来にわたる持続的成長を目指しております。
同プロジェクトを推進するために、観光と商業が融合した他に類を見ない新しい街づくりを着実に進め、「東京スカイツリー」の広域からの集客力を活かして、プロジェクト収益・利益の最大化を図るとともに、鉄道をはじめとしたグループ各事業においても同プロジェクトとの連携を深め、「東武」ブランドの価値向上と、グループ全体での収益の取り込みを目指しております。
このような経営戦略が、当社株式の大量買付を行う者により短期的な利益のみを追求するような経営に変わるようなことがあれば、当社の企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上は損なわれることになります。
こうした事情に鑑み、当社取締役会は、当社株式に対する不適切な買付により当社の企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上が毀損されることを防止するためには、買付に応じるべきか否かを株主様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、および株主様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とするための体制を、平時において整えておくことが必要不可欠と考えております。
② 具体的な取り組み
(ⅰ)会社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社の株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全の確保・向上に向けて、当社を中核とする東武グループは、信頼の確立と成長基盤の確立を基に事業活動を推進しておりますが、この事業活動の根幹にあるものが「安全・安心」の提供であり、すべての事業における信頼の基礎である「安全・安心」を提供し続けることが、東武グループ全体の企業価値および株主共同の利益の確保・向上の根幹をなすものと考えております。
また、当社は、東武グループの中長期的な成長のため運輸事業を中心に、レジャー、不動産、流通、その他の各セグメントにおいて収益拡大を継続できる経営基盤の強化に努めることで、引き続き企業価値および株主共同の利益の確保・向上をはかってまいる所存であります。
(ⅱ)基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、平成24年6月28日開催の定時株主総会において「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)の導入について承認を得ております。
本プランは、当社株式等の大量買付行為が行われる場合に、株主様が適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買収者との交渉の機会を確保することなどにより、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全を確保・向上させることを目的としています。
本プランは、当社が発行者である株券等について、保有者およびその共同保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付、または当社が発行者である株券等について、公開買付に係る株券等の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付(以下「買付等」と総称し、買付等を行おうとする者を「買付者等」といいます。)を対象とします。
当社の株券等について買付等が行われる場合、当該買付等に係る買付者等には、買付内容等の検討に必要な情報および本プランに定める手続きを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。その後、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員のみから構成される独立委員会が買付者等から提出された情報や、当社取締役会が必要に応じて提出する買付者等の買付等の内容に対する意見およびその根拠資料、当該買付等に対する代替案について、評価・検討するものとします。独立委員会は、必要に応じて、独立した第三者の助言を得たうえ、買付等の内容の検討、当社取締役会の提示した代替案等の検討、買付者等との協議・交渉、当社取締役会等を通じた株主に対する情報開示等を行います。
独立委員会は、買付者等が本プランに規定する手続きを遵守しなかった場合、または買付等の内容の検討等の結果、買付者等による買付等が企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全の確保・向上に対する明白な侵害をもたらす恐れのある買付等であるなど、本プランに定める要件のいずれかに該当し、新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対して、新株予約権の無償割当てを実施すべき旨の勧告を行います。なお、独立委員会は、新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合でも、新株予約権の無償割当てを実施することについて株主総会の決議を経ることが相当であると判断した場合には、当社取締役会に対して、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を行います。この新株予約権は、1円を下限とし当社株式1株の時価の2分の1の金額を上限とする金額の範囲内で、当社取締役会が新株予約権無償割当て決議において定める金額を払い込むことにより、原則として当社株式1株を取得することができるものですが、買付者等による権利行使が認められないという行使条件が付されています。また、当社が買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項が付されており、当社がかかる条項に基づく取得をする場合、新株予約権1個と引換えに、対象株式数に相当する数の当社株式を交付することができるものとします。当社取締役会は、独立委員会の上記勧告を最大限に尊重して新株予約権無償割当ての実施または不実施等の決議をするものとします。ただし、当社取締役会は、独立委員会から、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を受けた場合には、実務面を含め株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、速やかに株主総会を招集し、新株予約権による無償割当ての実施に関する議案を付議する旨決議するものとします。当社取締役会は、上記決議を行った場合には速やかに、当該決議の概要その他当社取締役会が適切と判断する事項について情報開示を行います。
本プランの有効期間は平成24年6月28日開催の定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。ただし、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において本プランに係る新株予約権の無償割当てに関する事項の決定についての取締役会への上記委任を撤回する旨の決議が行われた場合、または、当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
本プラン導入後であっても、新株予約権無償割当てが実施されていない場合、株主の皆様に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、新株予約権無償割当てが実施された場合、株主の皆様が新株予約権行使の手続きを行わないとその保有する株式の価値は希釈化される場合があります(ただし、当社が当社株式を対価として新株予約権の取得を行った場合、その保有する株式の希釈化は生じません。)。
(ⅲ)具体的取り組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
前記②(ⅰ)に記載した取り組みは、いずれも当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全の確保・向上に資する具体的方策として策定されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。
また、本プランは前記②(ⅱ)記載のとおり、企業価値および株主共同の利益ならびに輸送の安全を確保・向上させる目的をもって導入されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。とくに、本プランは当社の株主総会において決議がなされ導入しているため、株主意思を重視するものであること、その内容として合理的な客観的発動要件が設定されていること、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員のみから構成される独立委員会を設置し、本プランの発動に際しては必ず独立委員会の判断を得ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で独立した第三者の助言を得ることができるとされていること、独立委員会から、株主総会を招集し、新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を諮ることの勧告を受けた場合には、実務面を含め株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、速やかに株主総会を招集し、新株予約権による無償割当ての実施に関する議案を付議するとされていること、本プランは有効期間を約3年間と定め、有効期間の満了前であっても当社の株主総会または取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、合理性を有し、企業価値および株主共同の利益の確保・向上ならびに輸送の安全の確保・向上に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月27日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制
東武鉄道が展開している鉄道事業においては、鉄道事業法第3条により、路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の認可を受けなければなりません。同様に、運賃の設定・変更についても同法第16条により、鉄道事業者は旅客運賃等の上限を定め、国土交通大臣の許可を受けなければならず、国土交通大臣は、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して認可しております(総括原価方式)。また、認可を受けた運賃等の上限の範囲内で運賃等を設定・変更する場合は、国土交通大臣に届け出ることとなっております。
このため、法制度の変更や運賃改定の結果によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、鉄道事業以外の当社グループ会社が展開する各種事業においても、様々な法令・規則等の規制の適用を受けており、これら法的規制が変更された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 少子高齢化傾向
国立社会保障・人口問題研究所が平成24年1月に発表した将来推計人口(中位推計)によると、日本の総人口は同推計の出発点である平成22年以後長期の人口減少過程に入るとされております。東武沿線においても、地域によっては全国平均からは遅行するものの、少子高齢化を伴う人口減少が進行するものと推測されます。
当社グループは、鉄道事業を中心に東武沿線を主たるマーケットとして事業を展開しているため、人口減少や少子高齢化の進行は、長期的には当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 経済情勢
当社グループは、各事業において継続的に設備投資を行っておりますが、これらの必要資金は主として社債や金融機関からの外部借入れによって調達しているため、今後、金利が上昇基調になった場合には、金利負担の増大を招くことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、消費増税や更なる電気料金の値上げなどで生じる経済情勢の変化によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 個人情報の管理
当社グループでは、各事業において顧客の個人情報を含むデータベースを管理しております。これらの情報については、情報の取得および利用に際しての社内での保護規程を定めるとともに、管理体制を整備し、関係者の情報管理を徹底させるほか、情報処理を社外に委託する場合も秘密保持契約の整備、監督の強化を行う等、取扱には充分に留意しておりますが、何らかの原因により情報が流出した場合には、当社グループの信用の失墜につながり、業績に影響を与える可能性があります。
(5) 自然災害等
当社が展開している鉄道事業においては、安全確保はお客様の信頼を得るうえで最も重要であり、万全を期しておりますが、不慮の事故、天災およびテロ・戦争の発生等外的要因により、安全確保が難しい状況に陥った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、天候不順や伝染病等の発生により、観光施設・レジャー施設の集客状況が悪化した場合には、レジャー事業を中心に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記は当社グループの事業等について予想される主なリスクを例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月27日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成にあたり経営者は、資産・負債及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わねばなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
① 株式等の投資
当社グループが保有する株式等の有価証券については、将来の株式市況の悪化または投資対象会社の業績不振等により時価の著しい下落が生じた際には、損失の計上が必要となる場合があります。
② 不動産の保有
当社グループが保有する販売用不動産については、地価の下落や市況悪化等により時価の下落が生じた場合には、損失の計上が必要になります。また、事業用不動産については、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額などの前提条件に変更があった場合には、減損損失の計上が必要になります。
③ 退職給付費用及び債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。したがって、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得の計画に基づき慎重にかつ実現(回収)可能な範囲において繰延税金資産を計上しておりますが、将来において既に計上している繰延税金資産の全部または一部を実現(回収)できないと判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できないと判断した繰延税金資産を取崩すとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額に加算し、当期純利益を減少させる場合があります。同様に、現時点で評価性引当額として繰延税金資産を計上していない項目について、将来においてその全部または一部を実現(回収)できると判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できると判断した金額を繰延税金資産として計上するとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額から控除し、当期純利益を増加させる場合があります。
(2) 経営成績の分析
① 営業収益
昨年5月に開業1周年を迎えた「東京スカイツリータウン」につきましては、引き続き多くのお客様にご来場いただき、グループ各事業においても連携した施策を実施し、営業収益は593,649百万円(前期比2.8%増)となりました。
② 営業利益
営業費については、各事業の増収に伴い537,635百万円(前期比2.5%増)となり、営業利益は56,013百万円(前期比6.6%増)となりました。
③ 経常利益
営業外収益については、当社における受取配当金が増加したこと等により9,072百万円(前期比1.9%増)となりました。
営業外費用については、当社において支払利息が減少したこと等により13,154百万円(前期比5.4%減)となり、経常利益は51,931百万円(前期比9.2%増)となりました。
④ 当期純利益
特別利益については、投資有価証券売却益の減少等により8,951百万円(前期比16.7%減)となりました。
特別損失については、減損損失の減少等により7,735百万円(前期比14.5%減)となりました。
これらの結果、税金等調整前当期純利益を53,146百万円(前期比7.9%増)計上し、法人税等を控除した少数株主損益調整前当期純利益は33,148百万円(前期比8.9%増)となりました。また、ここから少数株主利益を控除した当期純利益は31,521百万円(前期比10.0%増)となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要」に記載のとおりであり、営業活動で得た資金をもとに安全対策を中心とした設備投資を行うとともに、差引フリー・キャッシュ・フローを有利子負債の削減に充当いたしました。
なお、有利子負債(有価証券消費貸借預り金を除く)の当連結会計年度の残高は、前連結会計年度から29,470百万円減少し、776,010百万円となりました。