第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度(2017年3月1日~2018年2月28日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調が続いており、小売業界におきましても、消費者マインドの改善に持ち直しの動きが総じてみられました。

 このような状況のもと、当社グループは「くらし、たのしく、あたらしく」という企業理念を掲げ、グループ独自の経営資源を最大限に活用した小売事業モデルの改革に努める一方、「社会・生活インフラ」として消費者の生活に欠かすことのできない存在となることを目指しております。

 これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は1兆2,753億円(前連結会計年度比51.1%増)、税引前利益は286億3千9百万円(同15.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は336億5千6百万円(同55.9%増)となりました。

 

 セグメントごとの業績は、以下のとおりであります。

 

①コンビニエンスストア事業

 株式会社ファミリーマートにおいては、より競争力のある強いチェーンとなるために、「全社一丸」となってサークルK・サンクスブランドのファミリーマートへのブランド転換を進めるとともに、「中食構造改革」「マーケティング改革」「オペレーション改革」の3大改革を推進しております。

 ブランド転換では、2018年2月末累計転換店舗数は3,549店、転換店では日商及び客数が前年を上回り推移しております。国内17,000を超える店舗ネットワークを活用する一方、2017年に完了した中食を中心とした商品や物流拠点の統合を契機として、統合効果の更なる発揮を進めております。

 プロモーション面では、TVCMを始めとした販促効果を最大限活用し拡販に繋げる「マーケティング改革」を推進しております。中でも、ファミリーマートの看板商品である「ファミチキ」を擬人化したオリジナルキャラクター「ファミチキ先輩」が、年間を通じて訴求すべき商品カテゴリーを熱くPRしております。また、2018年1月には、累計販売本数1億本突破を記念した「炭火焼きとり大感謝祭」を開催すると共に、アニメーションでも人気の「けものフレンズ」とコラボした「ウインターフェスタ」を開催し、いずれも好評を博しました。

 運営面では、「オペレーション改革」の更なる加速を目的とした部門横断組織を立ち上げ、店舗スタッフの業務効率化を始めとする抜本的な改革を推進しております。次世代POSレジの全店導入や清掃時間の短縮が図れる新たな用度品導入等を進め、店舗作業の軽減に努めてきました。

 開発面では、ブランド転換と共にB&S(ビルド&スクラップ)での出店を進めることで、高質な店舗網の構築に努めております。2018年2月には、東北地方初となる全国農業協同組合連合会(JA全農)との一体型店舗「ファミリーマートプラス全農ふれあい広場もとさわ店」を開店しました。生鮮(青果・精肉)や日配品、独自ブランド商品等JA全農が得意とする品揃えを行う一方、イートインスペースを店内に設置することで地域コミュニティとしての機能も果たしていきます。

 国内のその他の事業では、2018年1月には、全国のファミリーマートを中心に設置している約13,000台のイーネットATMにおいて、ゆうちょキャッシュカードでの利用手数料が一部時間帯で無料となるサービスを開始しました。また、高まる健康志向への対応と加盟店の事業拡大を目的にフィットネス事業へ新たに参入、同年2月には、「Fit&GO」ブランドとしての24時間型フィットネスジム1号店「Fit&GO大田長原店」を開店しました。

 ダイバーシティの推進では、女性の活躍を目指した活動組織「FamilyMart Women Project」を立ち上げ、女性視点での働き方に関するアイデアを実証実験として事業所毎に行い、好事例を社内表彰すると共に全社への共有化を図りました。また、障がい者雇用に継続して取り組むと共に、店舗や農場、本社等障がいを持つ社員が活躍する場を多方面に広げていくなど、誰もが働き甲斐のある職場環境の整備を進めております。

 

 当連結会計年度末の国内店舗数は17,232店(国内エリアフランチャイザー3社計919店を含む)となりました。海外事業では、台湾、タイ、中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン及びマレーシアにおいて6,849店となり、国内外合わせた全店舗数は24,081店となりました。

 

 これらの結果、コンビニエンスストア事業の営業収益は5,608億8千万円(前連結会計年度比15.8%増)、セグメント損失(親会社の所有者に帰属する当期損失)は12億8千5百万円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期利益112億7千8百万円)となりました。

 

 

②総合小売事業

 ユニー株式会社においては、「原点回帰」をスローガンとし、「個店経営」「店舗の魅力」を経営方針に掲げました。小売業の「原点」とは、「商品」「52週マーチャンダイジング」「品揃え」「売場環境」「従業員のおもてなし」であり、この5つを一体として今一度磨き上げ、お客様に提供してまいりました。

 商品面では、女性社員が女性視点で商品開発に取り組む「デイジーラボ」から、オリジナル寝具シリーズ
「Daisy Home Resort」、衣料開発商品「easy care」シリーズ等を発売しました。また、健康をテーマとするプライベートブランド「スタイルワンヘルシー」シリーズの「減塩昆布佃煮」3アイテムが、2017年5月に日本高血圧学会減塩委員会主催の「第3回JSH減塩食品アワード」で金賞を受賞しました。2017年11月には、減塩を通じた健康増進の取り組みが評価され、「第6回健康寿命をのばそう!アワード」において厚生労働大臣優秀賞を受賞しました。また、高齢者や共働き世帯増を背景とした中食ニーズが高まる中、「中食構造改革プロジェクト」を新たに立ち上げ、「毎日感動できる惣菜」をコンセプトとした商品開発を進めました。

 プロモーション面では、顧客囲い込みに重点を置き、毎月1~15日の期間中にUCSカード会員が自由に選んだ1日に5%割引チケットを提供する「UCSプレミアムチケット」企画や、UCSカードやユニコカード会員に対し、衣料品・住居関連品には通常の10倍以上、食品には通常の2倍のお買上げポイントを提供する「ポイント感謝祭」等、同カード会員に対する企画の強化に取り組んでおります。

 開発面では、2017年9月に名古屋市中区の複合施設「テラッセ納屋橋」に、「都心で暮らす便利さ、楽しさ、豊かさを一緒に感じるパートナーでありたい」をコンセプトとした新型食品スーパー「ラ フーズコア納屋橋店」を21の専門店と共にオープンしました。

 店舗活性化では、「TSUTAYA」「スターバックスコーヒー」などで構成する「草叢BOOKS」と、直営の衣料品・住居関連品売場を組み合わせた新たなライフスタイル提案型ショッピングセンターとして、2017年2月にアピタ新守山店、同年4月にアピタ各務原店をリニューアルオープンしました。また、総合スーパーの利便性向上を目的とした「ファミリーマートサービススポット」は、2017年3月のテラスウォーク一宮を皮切りに2018年2月末現在16店で展開し、今後もサービスメニューを拡充していきます。

 環境・社会貢献への取り組みでは、2018年1月には、一般社団法人日本有機資源協会が主催する第5回「食品産業もったいない大賞」において農林水産大臣賞を受賞、同年2月には、地域の生産者や学生・障がい者とものづくりを通して環境と社会に貢献できる「リ デザイン プロジェクト」が、愛知県主催「2018年愛知環境賞」で優秀賞を受賞しました。

 当連結会計期間の既存店売上高は前年同期比100.0%(衣料1.2%増、住居関連1.4%増、食品0.2%減)となりました。衣料は冬物が好調であったほか、住居関連もTVゲームの新製品等に加え、寝装品などの冬物や厳選特価品が好調に推移しました。食品は第4四半期にかけ鍋物向けなど冬物商材が堅調に推移しました。なお、ユニー株式会社の当連結会計年度末の店舗数は191店となりました。

 

 これらの結果、総合小売事業の営業収益は7,187億6千8百万円(前連結会計年度比99.3%増)、セグメント利益(親会社の所有者に帰属する当期利益)は177億8百万円(同80.3%増)となりました。

 

 なお、2017年8月に株式会社ドンキホーテホールディングスと当社との間で締結した資本提携及び業務提携に関する基本合意書に基づき、2018年2月には、株式会社ドンキホーテホールディングスとユニー株式会社の強み・ノウハウを集結させた業態転換店舗「MEGAドン・キホーテUNY大口店」がリニューアルオープンし、地域を始めとした多くのお客様に来店頂いております。今後も、同店を含む「アピタ」「ピアゴ」の6店を2018年3月迄に随時全館リニューアルオープンさせるなど、両社の経営資源や独自の強み・ノウハウを活かした様々な協働を通じて、ユニー株式会社の中長期的な企業価値の向上を目指していきます。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,527億2千9百万円となり、前連結会計年度に比べ693億7千8百万円増加しております。これは、コンビニエンスストア事業における店舗数の増加に伴い、買掛金が増加した等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は495億2百万円となり、前連結会計年度に比べ188億4千5百万円増加しております。これは、コンビニエンスストア事業におけるサークルK・サンクスブランドのファミリーマートブランドへの転換や、総合小売事業における既存店改装により店舗投資が継続している一方で、前期の事業の取得による影響や有形固定資産及び投資不動産の売却収入が増加したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は378億7千5百万円となり、前連結会計年度に比べ329億6千万円増加しております。これは、コマーシャル・ペーパーの償還による支出が増加したこと等によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ648億8千5百万円増加し、2,531億7千4百万円となりました。

 

(3)並行開示情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

(のれんの償却)

 日本基準では、のれんの償却については、償却年数を見積り、その年数にわたり償却しておりましたが、IFRSでは、移行日以降の償却を停止しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が8,696百万円減少しております。

(退職給付にかかる費用)

 日本基準では、発生した数理計算上の差異および過去勤務費用をその他の包括利益として認識した後に一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、数理計算上の差異は発生時にその他の包括利益として即時認識するとともに、直ちに利益剰余金に振り替えております。また、過去勤務費用は発生時に損益として認識しております。

 利息の計算において、日本基準では退職給付債務に割引率を乗じて算定した利息費用と、年金資産に長期期待運用収益率を乗じて算定した期待運用収益を使用しておりましたが、IFRSでは確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額に割引率を乗じて算定した利息純額を使用しております。

 これらの影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が1,740百万円増加しております。

 

 

2【最近の営業の状況】

(1)セグメントごとの営業収益

 

当連結会計年度
(2017年3月1日~2018年2月28日)

金額(百万円)

前期比(%)

構成比(%)

報告セグメント

 

コンビニエンスストア事業

558,673

115.4

43.8

 

総合小売事業

716,626

199.3

56.2

合計

1,275,300

151.1

100.0

(注) 上記金額にはセグメント間の内部営業収益及び消費税等は含まれておりません。

 

(2)総合小売事業の仕入高

 

当連結会計年度
(2017年3月1日~2018年2月28日)

金額(百万円)

前期比(%)

  総合小売事業

428,380

164.8

  その他

4,192

50.0

合計

432,572

161.2

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

 当社の経営・事業展開の企業理念として、「くらし、たのしく、あたらしく」を掲げ、グループ独自の経営資源を最大限に活用した小売事業モデルの改革に努める一方、「社会・生活インフラ」として消費者の生活に欠かすことのできない存在となることを目指しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は店舗の収益力向上を目指して、日商(売上高)及び差益率(荒利率)を重要な指標としております。また、既存店舗への積極的な投資により店舗の高質化を目指すことで、親会社所有者帰属利益の向上に努めております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

 小売業界を取り巻く環境は、少子高齢化をはじめとした社会環境の変化や業態を超えた競争環境の激化により、厳しい状況が続いております。また、消費者ニーズも多様化しており、新たな発想による商品・サービスの創造が求められております。加えて、安全で安心な食の提供、環境問題への対応等、企業の社会的責任が増大しております。

 こうした環境下、当社グループは、厳しい競争環境を勝ち抜くため、グループの経営資源を結集し、独自の価値を提供することで成長の機会を模索してまいります。

 

①コンビニエンスストア事業

 国内のコンビニエンスストア事業におきましては、ファミリーマートブランドへの転換が今秋中に完了することで、商品開発力や調達力の強化、製造拠点や配送ルート再編等のインフラ集約・合理化、情報システムの統合など、あらゆる場面でのスケールメリットやシナジーを創出してまいります。商品面では、更なる商品力の向上に向け、中食製造工場等への大規模な設備投資を継続して行います。営業面では、店舗オペレーションの作業負担軽減に向けたスリム化やIT技術を活用した削減を行うことで加盟店支援を更に進めると共に、開発面では、マーケット特性に応じた出店戦略を柔軟に行うことで、より高質な店舗網を構築してまいります。その他の事業では、店舗に関わる新技術等を活用した金融サービス機能の展開を目指すと共に、加盟店のさらなる事業拡大を目的としてフィットネス事業やコインランドリー事業に参入するなど、顧客利便性を高める取組みを進めてまいります。

 

②総合小売事業

 総合小売事業におきましては、少子高齢化や生産年齢人口の減少等社会構造の大きな変化への対応が課題であり、収益力の強化を目指しながら従来型の事業構造を徹底的に見直して再生を図ってまいります。

 経営基盤の強化では、資産の効率性精査を徹底し事業の選択と集中を図る一方、株式会社UCSを完全子会社化することで販促面での協働を深めながら顧客基盤の拡大を図ってまいります。既存事業の再構築では、衣料・住居関連・食品の各分野において商品力の強化に取り組むと共に、惣菜や衣料等の注力カテゴリー強化を軸とした既存店改装に取り組みます。新たな小売業構築に向けた準備では、株式会社ドンキホーテホールディングスとユニー株式会社の強み・ノウハウを集結させたダブルネームの業態転換店舗「MEGAドン・キホーテUNY」として、2018年以降既存店をリニューアルオープンさせることで、新たな顧客層の取り込みと売上及び利益拡大を図ってまいります。

 

 これらの結果、2020年度に親会社の所有者に帰属する当期利益600億円以上の達成を目指してまいります。

 

 

(4)株式会社の支配に関する基本方針について

①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社グループ(当社及び当社の子会社)の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えております。

 当社グループは、フランチャイズ方式によるコンビニエンスストア事業、総合小売事業及びその周辺事業等を展開し、当社グループの企業理念のもと、株主・加盟店・取引先・従業員、そして地域社会等のステークホルダーと信頼関係を築きながら、継続的な収益向上を目指しています。

 当社グループの経営に当たっては、フランチャイズビジネス及び小売業に関する幅広いノウハウと豊富な経験、並びに国内外のステークホルダーとの間に築かれた取引関係等への十分な理解が不可欠です。これらは当社グループが創業以来培ってきた財産であり、当社グループの事業はこの財産にその源を有しております。

 したがって、株主を含むステークホルダーとの間で成立している上記の財産に基づく当社グループの企業価値若しくは株主共同の利益を著しく毀損すると認められるような者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えております。

 そして、①買収の目的やその後の経営方針等が、当社グループの企業価値若しくは株主共同の利益に対して明白な侵害をもたらすおそれのある者、②当社株主に株式の売却を事実上強制するおそれがある者、③当社に、当該買付に対する代替案を提示するために合理的に必要な期間を十分に与えることのない者、④当社株主に対して、買付内容を判断するために合理的に必要とされる情報を十分に提供することのない者、⑤買付の条件等(対価の価額・種類、買付の時期、買付方法の適法性、買付の実行の蓋然性等)が当社グループの本源的価値に鑑み不十分又は不適当である者、⑥当社グループの企業価値の維持・増大に必要不可欠なステークホルダーとの関係を破壊するおそれのある者等が、当社株式の大規模買付や買付提案を行う場合には、当社グループの企業価値及び株主共同の利益を守る必要があると考えております。

 

②基本方針の実現に資する取組み

a.経営の基本方針

 「(1)経営の基本方針」に記載のとおりです。

b.中長期的な経営戦略

 (3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載のとおりです。

 また、次に記載の「剰余金の配当等の決定に関する方針」のとおり、株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置付けております。

(剰余金の配当等の決定に関する方針)

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策として位置付けております。剰余金の配当につきましては、安定的かつ継続的に連結業績の成長に見合った成果の配分を行っていくことを基本方針とし、連結配当性向40%を目処に取り組んでまいります。

c.コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は、コーポレート・ガバナンスの強化が企業価値及び株主共同の利益の確保・向上につながるとの考えに基づき、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの状況 ① 企業統治の体制 ハ.その他の企業統治に関する事項」に記載の内部統制システムを構築・運用しております。

 

③上記の取組みが基本方針に沿うものであり、株主の共同の利益を損なうものではないこと及び会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと並びに当社取締役会におけるその判断に係る理由

 上記の取組みは、株主を含むステークホルダーとの間に成立している当社の財産を最大限に活用し、収益の維持・向上と株主への利益還元を図り、当社の企業価値及び株主共同の利益に資するものであります。
 したがいまして、当社取締役会として、上記の取組みは、基本方針に沿うものであり、株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと判断しております。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。
 なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
 当社では、全社的なリスク管理体制を整備し、当社が直面する可能性のあるリスクを発生ひん度、影響の強弱等により評価・分類したうえで、それぞれのリスクの影響等を最少化するために、リスクに対応した活動を継続的に実施しております。また、当社グループ会社においても、この活動を推進しております。

(1)経済情勢等

 当社グループは、主としてコンビニエンスストア事業及び総合小売事業を展開しております。事業展開している国内・海外(台湾・タイ・中国・ベトナム・インドネシア・フィリピン・マレーシア・香港)における景気や消費動向等の経済情勢の変化及び同業・異業態の小売業他社との競争状態の変化等により、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)自然災害等

 事業展開している国内・海外において、予期せぬ火災テロ、戦争等に加え、疫病や地震、異常気象等の天災により、店舗の損壊、店舗への商品供給の停止及びその他店舗の営業継続に支障をきたす事態が発生した場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(3)フランチャイズ方式

 当社グループは、主たる事業の1つであるコンビニエンスストア事業において、フランチャイズ方式を採用し、加盟者に対し、当社が開発・保有する「ファミリーマート・システム」を提供しております。万一、これらを侵害する行為や、加盟者、取引先による法令違反、不祥事等により、各種取引の停止やチェーンの信用失墜等が発生した場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社グループと加盟者との信頼関係が損なわれたことにより、多くの加盟者との間で加盟(フランチャイズ)契約が終了する事態が発生した場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(4)食品の安全性

 当社グループは、コンビニエンスストア事業及び総合小売事業において、消費者向けに主として食品の販売を行っております。万一、食中毒や異物の混入、表示違反等の重大な商品事故等が発生した場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループといたしましては、取引先とともに製造から販売まで一貫した品質管理体制を構築すること等により、食品の安全・安心を図っております。

(5)法規制等の影響

 当社グループは、事業展開している国内・海外において、食品の安全性、公正な取引、環境保護等に関する法規制の適用、行政の許認可等を受けております。将来において、法規制や店舗の営業等に関する許認可等の予期せぬ変更、当局との見解の相違等により、これらに対応する費用の増加や店舗の営業に制約等が生じた場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
 また、現在のところ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、業績への影響や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループ及び事業に不利な判断がなされた場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(6)個人情報の取扱い

 当社グループは、事業の過程において、お客様等の個人情報を収集、保有しております。万一、個人情報の漏えい事故等が発生した場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループといたしましては、個人情報への不正なアクセス、個人情報の漏えい等を防止するため、一般に信頼性が高いと認められている組織的、人的、物理的、技術的安全管理措置を講じ、個人情報を取扱う従業者に対し、必要かつ適切な監督を行っております。

(7)情報システム

 当社グループは、当社グループ、取引先及び店舗の間に情報システムを構築しております。この情報システムの障害やシステムを悪用した不正等により、業務の遂行等に支障をきたす事態が発生した場合、当社グループの事業の遂行や業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループといたしましては、情報システムに関する安全対策を構築しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)経営指導契約及び業務委託契約

 当社は、当社の子会社である株式会社ファミリーマート及びユニー株式会社との間で、それぞれ「経営指導契約」及び「業務委託契約」を締結しております。

 

(2)加盟契約

 株式会社ファミリーマートとコンビニエンスストア加盟店との加盟契約の要旨は次のとおりであります。

a.当事者(同社と加盟者)の間で、取り結ぶ契約

(a)契約の名称

 ファミリーマート・フランチャイズ契約

(b)契約の本旨

 同社の保有するファミリーマート・システムのもとに、同社と加盟者が協力して消費者の生活に手軽で便利な商品を提供することにより、その利便性の向上に応えるとともに、同社と加盟者の相互の信頼と事業の繁栄を実現すること。

b.加盟者に対する商品の販売条件に関する事項

 同社は、加盟者に商品の仕入の便宜を提供し、ファミリーマート・システムの統一、商品の品揃えの充実を図るため、ファミリーマート店の商品の開発を行うとともに、仕入の相手方企業との間で仕入体制を構築し、加盟者に商品と仕入先を推奨します。加盟者は、同社の推奨する仕入先及びその他の仕入先から商品を仕入れます。

c.経営の指導に関する事項

 同社は、巡回指導担当者を派遣して、販促活動、売上向上、接客、クリンネス、営業費管理、商品の陳列などに関する助言・指導をする他、各種仕入援助、情報・物流システムや従業員教育用の教材を提供します。

d.使用させる商標、商号その他の表示に関する事項

 ファミリーマート店において当社の定める範囲で“ファミリーマート”などの商標、その他商品、営業の象徴となる標章(マーク)を使用することが許諾されます。

e.契約の期間、再契約及び契約解除に関する事項

 契約の期間は、ファミリーマート店の開店日の属する月から同月を含め120ヶ月目にあたる月の末日までです。再契約は、契約満了にあたって、加盟者と同社が協議し、再契約の締結を合意した場合新たなフランチャイズ契約を締結します。

f.加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項

 加盟者は、ファミリーマート・システム等の提供を受ける対価として、当月の営業総利益に一定の割合を乗じた金額を支払います。

 

(3)エリアフランチャイズに関する契約

 株式会社ファミリーマートは、以下の事業会社との間でエリアフランチャイズ契約を締結しております。

名称

許諾地域

株式会社沖縄ファミリーマート

沖縄県

株式会社南九州ファミリーマート

鹿児島県及び宮崎県

JR九州リテール株式会社

福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県及び大分県(注)1

全家便利商店股份有限公司

台湾

Central FamilyMart Co.,Ltd.

タイ王国

株式会社ファミリーマート・チャイナ・ホールディング(以下「FMCH」)

中華人民共和国(香港及びマカオ特別行政区を除く)(注)2

China CVS(Cayman Islands)Holding Corp. (以下「CCH」)

中華人民共和国(香港及びマカオ特別行政区を除く)(注)2

PT. FAJAR MITRA INDAH

インドネシア共和国

Philippine FamilyMart CVS, Inc.

フィリピン共和国

FamilyMart Vietnam Co.,Ltd.

ベトナム社会主義共和国

Maxincome Resources Sdn.Bhd.

マレーシア

(注)1.JR九州リテール株式会社と「共同エリア・フランチャイズ契約」を締結しております。

2.FMCHは、株式会社ファミリーマートから付与された中華人民共和国(香港及びマカオ特別行政区を除く)におけるコンビニエンスストア“ファミリーマート”の直営店及びフランチャイズ店を営業する権利をCCHに再付与しております。

 

なお、CCHは以下の事業会社との間でエリアフランチャイズ契約を締結しております。

名称

許諾地域

上海福満家便利有限公司

中華人民共和国上海市

広州市福満家連鎖便利店有限公司

中華人民共和国広東省広州市

蘇州福満家便利店有限公司

中華人民共和国江蘇省蘇州市

杭州頂全便利店有限公司

中華人民共和国浙江省杭州市

成都福満家便利有限公司

中華人民共和国四川省成都市

深圳市頂全便利店有限公司

中華人民共和国広東省深圳市

無錫福満家便利店有限公司

中華人民共和国江蘇省無錫市

北京頂全便利店有限公司

中華人民共和国北京市

東莞市頂全便利店有限公司

中華人民共和国広東省東莞市

 

(4)株式譲渡契約の締結

 当社は、2017年6月29日開催の取締役会において、当社の関連会社であるカネ美食品株式会社の株式を伊藤忠商事株式会社及び個人9名から取得し、同社を子会社化することを決議し、同年7月7日に株式譲渡契約を締結し、7月20日付で同社を子会社化いたしました。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 7.企業結合及び支配の喪失(カネ美食品株式会社の株式の追加取得及び子会社化)」に記載のとおりであります。

 

(5)資本提携及び業務提携に係る最終契約書の締結

 当社は、2017年8月24日開催の取締役会において、当社と株式会社ドンキホーテホールディングスの間で、業務提携(以下「本業務提携」という。)、及び当社の完全子会社であるユニー株式会社の株式の一部を株式会社ドンキホーテホールディングスに売却することを内容とする資本提携(本業務提携と併せて以下「本提携」という。)について決議し、同日付で本提携に係る基本合意書を締結し、8月31日に、本提携に係る最終契約書を締結いたしました。

 当該資本提携に係る最終契約書に基づき、同年11月21日に当社が有するユニー株式会社の発行済株式の40.0%の株式会社ドンキホーテホールディングスへの譲渡が完了いたしました。

 また、ユニー株式会社は、店舗運営上の意思決定の迅速化及び効率的な運用並びにお客様に支持される店舗空間の創造を目的に、同年11月13日にユニー株式会社の完全子会社であるUDリテール株式会社を設立し、ユニー店舗から業態転換する6店舗の資産及び業態転換後の店舗運営を移管いたしました。

 

(6)ユニー株式会社と株式会社UCSとの株式交換契約

 当社の子会社であるユニー株式会社は、2018年2月に、同社を株式交換完全親会社、同社の子会社である株式会社UCSを株式交換完全子会社とする株式交換契約を締結いたしました。なお、同年4月6日に株式会社UCSの臨時株主総会の承認を得た後、同年5月に効力が発生しております。

 

 

6【研究開発活動】

 研究開発活動については、当社グループはコンビニエンスストア事業及び総合小売事業においてオリジナル商品の開発を常に進めておりますが、その他特記すべき事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に行われたユニーグループ・ホールディングス株式会社との経営統合の影響により、前連結会計年度より4,314億8千5百万円増加(前連結会計年度比51.1%増)し1兆2,753億円となりました。売上原価や販売費及び一般管理費も同様に増加したほか、店舗資産やのれんに係る減損損失等の計上により、営業利益は、前連結会計年度より50億2百万円減少(同15.2%減)し279億7千4百万円となりました。

 税引前利益は、前連結会計年度より50億5千6百万円減少(同15.0%減)し286億3千9百万円となりました。

 税金を控除した当期利益は、連結納税制度の適用に伴う影響等により前連結会計年度より122億5千万円増加(同50.4%増)し365億5千2百万円となりました。

 非支配株主利益を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度より120億7千1百万円増加(同55.9%増)し336億5千6百万円となりました。

 各セグメントの業績の詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

 資産合計は、前連結会計年度末より654億3千2百万円増加し1兆7,325億6百万円となりました。

 流動資産は、その他の金融資産が減少したものの、現金及び現金同等物が増加したこと等により、前連結会計年度末より585億2千5百万円増加しました。

 非流動資産は、総合小売事業における土地売却による投資不動産の減少や敷金の減少があったものの、コンビニエンスストア事業における新規出店やブランド転換に伴う有形固定資産の増加やその他の金融資産の増加があったこと等により、前連結会計年度末より69億6百万円増加しました。

 負債合計は、前連結会計年度末より94億5千2百万円増加し1兆1,431億2千8百万円となりました。

 流動負債は、営業債務及びその他の債務が増加したものの、社債及び借入金が減少したこと等により、前連結会計年度末より567億5千2百万円減少しました。

 非流動負債は、社債及び借入金やリース債務が増加したこと等により、前連結会計年度末より662億5百万円増加しました。

 資本合計は、前連結会計年度末より559億8千万円増加し5,893億7千7百万円となりました。これは、利益剰余金や非支配持分が増加したこと等によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況  1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。