第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における世界経済は、一部の新興国において景気回復が遅れた他、ユーロ圏や日本でも景気が停滞気味に推移する等、全体として緩慢なペースの拡大に止まりました。原油価格(WTIベース/1バレルあたり)は、地政学的リスクの高まりにより6月に110ドル近くまで上昇しましたが、世界経済の足取りの重さやOPECの減産見送り等を背景に1月には40ドル台まで下落、その後はやや上昇し、3月末には50ドル程度となりました。

 日本経済は、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動による個人消費や住宅投資の低迷を主因に停滞が続きました。但し、年末にかけての在庫調整の進展により景気の底入れが確認され、年明け以降は株価や賃金の上昇等により消費者マインドが改善する等、好転の兆しも見られました。円・ドル相場は、日本の貿易赤字縮小等を背景に5月下旬には100円台まで円高が進みましたが、10月に米国の量的金融緩和が終了する一方で、日銀が追加緩和を実施したことから大幅に円安が進み、12月以降は概ね120円前後で推移しました。日経平均株価は、円高の進行に伴う業績悪化への懸念により、5月初めには14,000円程度まで下落しましたが、円・ドル相場が円安に転じたことや日銀によるETF買入増額等から10月以降は再び上昇基調となり、3月には19,000円台を回復しました。10年物国債利回りは、景気の停滞や日銀による国債買入増額により、前連結会計年度末の0.6%台前半から1月には0.2%近くまで低下しましたが、その後は景気回復期待等から上昇し、3月末には0.4%程度となりました。

 

 当社グループは、中期経営計画「Brand-new Deal 2014」(2013年度から2014年度までの2ヵ年計画)において、「収益拡大」「バランスの取れた成長」「財務規律遵守と低重心経営」を基本方針としました。

 「Brand-new Deal 2014」の後半である当連結会計年度の具体的成果は次のとおりです。

 

生活消費関連分野

 Charoen Pokphand Foods社の子会社で中国・ベトナム地域において飼料、畜産及び水産関連事業を営むC.P. Pokphand社(以下、「CPP」という。)の株式25.0%(議決権数ベース、優先株式考慮後の取込比率は23.8%)を取得しました。また、国内最大手のジーンズ製造・販売業者である(株)エドウインの株式98.5%を取得しました。エドウイングループの伝統と自主性を尊重しつつ、市場トレンドや消費者ニーズをいち早く捉えた商品開発力に更なる磨きをかけ、同社の本業であるジーンズ事業の再強化を図るとともに、当社の川上から川下に至る繊維業界全般における豊富な経験とネットワークの活用による素材提案、展開アイテムの拡充、海外生産基盤の構築等を通じ、同社の更なる企業価値向上とビジネス領域の拡大を目指します。更に、来店型保険ショップ事業を展開する、ほけんの窓口グループ(株)の株式24.8%を取得しました。同社は、店舗に来店する個人顧客向けに生命保険や損害保険を販売する来店型保険ショップ事業を展開し、コンサルティングサービスを強みとする業界最大手です。当該株式取得を通じ、来店型保険ショップ事業に本格進出することで、業界の販売チャネルシフトを捉えたビジネスを加速するとともに、既存のネットワークとの連携も推進していきます。更に、Bain Capital Partners社及びそのグループ会社と新規に設立した合弁会社((株)BCJ-15)を通じ、(株)ベルシステム24ホールディングスの株式49.9%を取得しました。同社は、国内最大手コンタクトセンター運営事業者であり、電話を主なコミュニケーションチャネルとするインバウンド・アウトバウンドコールのビジネス・プロセス・アウトソーシング業務に積極的に取組むとともに、IT技術を駆使した高効率で付加価値の高いサービスを展開しております。同社のオペレーションの効率化をサポートするとともに、当社グループとしてのシナジーを発揮し、同社の企業価値向上に努めていきます。

 

基礎産業関連分野

 製薬企業・医療機器メーカーに対する臨床開発支援及び製造販売後調査業務を展開する(株)アスクレップから臨床開発支援事業及びその付随事業を承継したエイツーヘルスケア(株)の株式100%を取得しました。従来、当社は、(株)ACRONETを通じ、臨床開発支援事業を進めてきましたが、当該株式取得を通じ、大規模臨床開発プロジェクトや国際共同治験へのサービス提供等、高度化する顧客ニーズに対応するための更なるサービス基盤強化を推進していきます(平成26年11月に(株)ACRONETとエイツーヘルスケア(株)は統合しました)。引続き、製薬業界・医療機器業界向けサービス分野の他にも、医療機器輸入・開発分野、病院向けサービス分野及び疾病予防分野等、ヘルスケア産業全般に対する事業ポートフォリオの拡充を図っていきます。また、(株)商船三井の100%出資特別目的子会社の株式50%を取得し、欧州ガス・電力事業最大手のE.ON SE社の100%出資子会社であるE.ON Global Commodities SE社向けの新造LNG船最大2隻の長期定期用船プロジェクト参画に正式合意しました。当社にとって初となる欧州のLNG需要家向けの長期定期用船契約であり、引続き、世界各国への長期的に安定したエネルギーの供給を目指し、LNG輸送案件に積極的に関与していきます。

 

資源関連分野

 当社と天津物産集団有限公司は、鉄鉱石及びその他製鉄原料の輸入を行う販売会社である天津物産天伊国際貿易有限公司を設立しました(当社グループ持株率49.0%)。当社の海外ネットワークを通じた鉄鉱石等の安定的な調達力、並びに天津物産集団有限公司の中国国内での鉱石処理設備及び販売網を活用したバリューチェーンを構築し、幅広い品質の原料についての有効活用を図りつつ、今後も継続的に拡大する中国の鉄鉱石需要に対応していきます。

 

 なお、今後の成長戦略及び収益拡大に向けた布石として、アジア有数の大手コングロマリットであるCharoen Pokphand Group社(以下、「CPG」という。)と、当社グループ及びCPGを中心とする企業集団(以下、「CPグループ」という。)双方の企業価値を向上させる協業を推進していくための戦略的な業務提携契約を締結しました。更に、当社、中国最大のコングロマリットであるCITIC Limited及びCPGの3社間で、当社グループ、CITIC Limitedを中心とする企業集団(以下、「CITICグループ」という。)及びCPグループそれぞれの企業価値向上を目的とした戦略的な業務・資本提携に関する契約を締結しました(「5 経営上の重要な契約等」参照)。

 

コーポレートメッセージ

 当社は、「ひとりの商人、無数の使命」をコーポレートメッセージとして定めました。企業理念である「豊かさを担う責任」に込めた意図をわかりやすく示し、企業から社会への「約束の言葉」として、その価値を社内外で共有するために定めたものです。当社は、このメッセージを通じて、グローバル企業として「豊かさを担う責任」を果たしていくとともに、伊藤忠ブランドの更なる価値向上を目指していきます。

 

 

 当連結会計年度の「収益」は、機械においてはプラント関連事業の好調に加え、自動車関連取引の増加等により増収、食料においては青果物関連事業及び食品流通関連取引が堅調に推移し増収、繊維においては主としてエドウインの取得により増収となり、一方、エネルギー・化学品においてはエネルギー関連事業における子会社取得はあったものの、エネルギーのトレーディング取引の取扱数量減少及び油価下落等により減収となりましたが、全体としては、前連結会計年度比39億円(0.1%)増収の5兆5,914億円となりました。

 「売上総利益」は、住生活・情報においては国内情報産業関連事業の取引増加に加え、主に英ポンドに対する円安の影響等により増益、機械においてはプラント関連事業の好調に加え、自動車関連取引の増加等により増益、繊維においてはエドウインの取得により、消費税率引上げに伴う国内アパレル関連事業の販売不振及び欧州アパレル製造・卸事業の不振はあったものの増益となり、一方、金属においては鉄鉱石の販売数量増加、鉄鉱石・石炭事業のコスト改善及び為替の影響等はあったものの、鉄鉱石・石炭価格の下落により減益となりましたが、全体としては、前連結会計年度比440億円(4.2%)増益の1兆891億円となりました。

 「販売費及び一般管理費」は、住生活・情報及び食料における既存会社の経費増加に加え、繊維におけるエドウインやエネルギー関連事業等における子会社の取得等により、前連結会計年度比602億円(8.0%)増加の8,102億円となりました。

 「貸倒損失」は、前連結会計年度比ほぼ横ばいの62億円(損失)となりました。

 「有価証券損益」は、頂新株式及びインターネット広告事業の一般投資化による一過性利益の計上等があり、前連結会計年度比949億円増加の1,099億円(利益)となりました。

 「固定資産に係る損益」は、前連結会計年度における豪州石炭事業等の減損損失計上の反動等により、前連結会計年度比319億円改善の43億円(損失)となりました。

 「その他の損益」は、主として為替損益の減少により、前連結会計年度比85億円減少の67億円(利益)となりました。

 「受取利息」及び「支払利息」の合計である金利収支は、借入条件の改善及び調達金利の低下等により、前連結会計年度比40億円(26.0%)改善の114億円(費用)となり、「受取配当金」は、エネルギー関連投資等からの配当金の減少により、前連結会計年度比23億円(6.2%)減少の349億円となりました。その結果、金利収支に受取配当金を加えた金融収支は、前連結会計年度比17億円増加の234億円(利益)となりました。

 「持分法による投資損益」は、金属においてはブラジル鉄鉱石事業における減損損失計上額の増加等により減少、エネルギー・化学品においては米国石油ガス開発事業の減損損失計上額の増加により、前連結会計年度におけるバイオエタノール事業の一過性損失の反動等はあったものの減少となり、一方、食料においては生鮮食品関連会社及び食糧関連会社の好調な推移、並びにCVS事業における関係会社株式売却益の計上等により増加となりましたが、全体としては、前連結会計年度比459億円(81.9%)減少の101億円(利益)となりました。

 以上の結果、「税引前利益」は、前連結会計年度比578億円(16.0%)増益の4,185億円となり、これより「法人所得税費用」1,229億円を控除した「当期純利益」は、前連結会計年度比412億円(16.2%)増益の2,956億円となりました。このうち、「非支配持分に帰属する当期純利益」49億円(損失)を控除した「当社株主に帰属する当期純利益」は、前連結会計年度比553億円(22.5%)増益の3,006億円となりました。

(参考)

 日本の会計慣行に基づく「営業利益」(「売上総利益」・「販売費及び一般管理費」・「貸倒損失」の合計)は、機械においては主として売上総利益の増加により増益、住生活・情報においては国内情報産業関連事業の取引増加及び携帯電話関連事業の堅調な推移等により増益となり、一方、金属においては主として売上総利益の減少により減益、エネルギー・化学品においては開発原油取引における取扱数量の減少及び油価下落に伴う利益率低下により減益となり、全体としては、前連結会計年度比163億円(5.6%)減益の2,727億円となりました。

 当連結会計年度における、事業セグメント別の業績は次のとおりです。当社は6つのディビジョンカンパニーにより以下の区分にて、事業セグメント別業績を記載しております。

 

① 繊維カンパニー

収益(セグメント間内部収益を除く。以下同様)は、主としてエドウインの取得により、前連結会計年度比346億円(6.5%)増収の5,679億円となりました。売上総利益は、エドウインの取得により、消費税率引上げに伴う国内アパレル関連事業の販売不振及び欧州アパレル製造・卸事業の不振はあったものの、前連結会計年度比95億円(7.3%)増益の1,407億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、エドウインの取得及び前連結会計年度における固定資産減損損失計上の反動等により、前連結会計年度比81億円(33.6%)増益の320億円となりました。セグメント別資産は、エドウインの取得及び円安の影響等により、前連結会計年度末比802億円(16.9%)増加の5,558億円となりました。

 

② 機械カンパニー

収益は、プラント関連事業の好調に加え、自動車関連取引の増加等により、前連結会計年度比708億円(20.8%)増収の4,112億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前連結会計年度比161億円(16.0%)増益の1,170億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、売上総利益の増加に加え、固定資産損益の好転、金融収益及び持分法投資損益の増加等により、前連結会計年度比187億円(51.9%)増益の546億円となりました。セグメント別資産は、船舶取引における前渡金の増加に加え、投資有価証券の株価上昇及び円安の影響等により、前連結会計年度末比1,362億円(14.4%)増加の1兆836億円となりました。

 

③ 金属カンパニー

収益は、鉄鉱石の販売数量増加等はあったものの、鉄鉱石・石炭価格の下落により、前連結会計年度比520億円(17.0%)減収の2,535億円となりました。売上総利益は、鉄鉱石の販売数量増加、鉄鉱石・石炭事業のコスト改善及び為替の影響等はあったものの、鉄鉱石・石炭価格の下落により、前連結会計年度比271億円(28.8%)減益の670億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、売上総利益の減少に加え、ブラジル鉄鉱石事業における減損損失計上額の増加等により、前連結会計年度における豪州石炭事業の減損損失計上の反動はあったものの、前連結会計年度比333億円(74.8%)減益の112億円となりました。セグメント別資産は、資源開発関連子会社における追加の設備投資及び円安の影響等により、前連結会計年度末比126億円(1.0%)増加の1兆2,618億円となりました。

 

④ エネルギー・化学品カンパニー

収益は、エネルギー関連事業における子会社取得はあったものの、エネルギーのトレーディング取引の取扱数量減少及び油価下落等により、前連結会計年度比1,685億円(8.2%)減収の1兆8,898億円となりました。売上総利益は、エネルギー関連事業における子会社取得により、開発原油取引における取扱数量の減少及び油価下落に伴う利益率低下はあったものの、前連結会計年度比20億円(1.1%)増益の1,768億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、開発原油取引における取扱数量の減少及び油価下落に伴う利益率低下に加え、米国石油ガス開発事業における減損損失計上額の増加により、前連結会計年度におけるバイオエタノール事業の一過性損失の反動等はあったものの、前連結会計年度比98億円(80.6%)減益の24億円となりました。セグメント別資産は、油価下落に伴う営業債権の減少により、エネルギー関連事業における子会社取得及び円安の影響等はあったものの、前連結会計年度末比87億円(0.6%)減少の1兆3,295億円となりました。

 

⑤ 食料カンパニー

収益は、青果物関連事業及び食品流通関連取引が堅調に推移し、前連結会計年度比698億円(7.1%)増収の1兆593億円となりました。売上総利益は、主として食糧関連子会社における採算改善により、前連結会計年度比53億円(2.2%)増益の2,461億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、食品流通関連子会社及び青果物関連事業のコスト増加等はあったものの、頂新株式に係る一過性利益計上に加え、生鮮食品関連会社の好調な推移及びCVS事業における関係会社株式売却益の計上等により、前連結会計年度比636億円(125.1%)増益の1,144億円となりました。セグメント別資産は、食品流通関連取引における営業債権の増加及び円安の影響に加え、頂新株式の一般投資化等により、前連結会計年度末比2,201億円(14.2%)増加の1兆7,722億円となりました。

 

 

⑥ 住生活・情報カンパニー

収益は、国内情報産業関連事業の取引増加に加え、主に英ポンドに対する円安の影響等により、前連結会計年度比243億円(1.8%)増収の1兆3,438億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前連結会計年度比277億円(9.3%)増益の3,251億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、国内情報産業関連事業の取引増加及び携帯電話関連事業の堅調な推移等に加え、持分法投資損益の増加及びインターネット広告事業の一般投資化による再評価益の計上等があり、前連結会計年度比152億円(23.8%)増益の790億円となりました。セグメント別資産は、国内放送通信関連事業及びコンタクトセンター事業への投資実行に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比999億円(6.6%)増加の1兆6,223億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、CPPへの投資及び配当金の支払等はあったものの、エネルギー、金属、機械、情報・保険・物流関連の取引等における営業取引収入が堅調に推移したこと、営業債権の着実な資金回収等により、前連結会計年度末比466億円(7.1%)増加の7,003億円となりました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、エネルギー、金属、機械、情報・保険・物流関連の取引等における営業取引収入が堅調に推移したことに加え、営業債権の着実な資金回収等もあり、4,036億円のネット入金となりました。前連結会計年度に比し、245億円のネット入金減少となっております。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、CPPへの投資に加え、資源開発関連事業における追加の設備投資等もあり、2,761億円のネット支払となりました。前連結会計年度に比し、57億円のネット支払増加となっております。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、第三者割当増資による収入等はあったものの、配当金の支払及び自己株式取得等もあり、979億円のネット支払となりました。前連結会計年度に比し、200億円のネット支払増加となっております。

 

2【仕入、成約及び販売の状況】

(1)仕入の状況

仕入と販売との差異は僅少なため、仕入高の記載は省略しております。

 

(2)成約の状況

成約と販売との差異は僅少なため、成約高の記載は省略しております。

 

(3)販売の状況

「1 業績等の概要」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」をご参照ください。

 

 

3【対処すべき課題】

 今後の当社グループを取り巻く経営環境を展望しますと、世界経済はやや成長のペースを速めると見込まれます。一部の新興国では構造改革に伴う下押し圧力や原油等資源価格の下落、米国の金融緩和終了が為替相場を通じて及ぼす悪影響等により景気が減速あるいは低迷する可能性があるため、引続き十分な注意を払う必要がありますが、アジアの新興国は総じて成長が加速、米国は堅調な景気拡大が続き、ユーロ圏も金融緩和の効果により景気が持直すと考えられます。日本経済は、平成26年度補正予算による景気回復の下支えや消費税率引上げの影響が一巡し、緩やかに持直すと見込まれます。

・新中期経営計画「Brand-new Deal 2017」の推進

 当社グループは、ビジネスの基本である「稼ぐ」「削る」「防ぐ」を引継ぎ、更なる成長を実現するために、次なる中期経営計画として「Brand-new Deal 2017」(2015年度(平成27年度)から2017年度(平成29年度)までの3ヵ年計画)を策定しました。当社グループ、CITICグループ及びCPグループそれぞれの企業価値向上を目的とした戦略的業務・資本提携(「5 経営上の重要な契約等」参照)を踏まえ、新たに以下の2点を「Brand-new Deal 2017」の基本方針として掲げております。

 

 1点目は「財務体質強化」です。積極的な資産入替により資産の質及び効率性の更なる向上を図るとともに、CITIC Limitedに対する大型戦略投資の実行を踏まえ、それ以外の新規投資については実質営業キャッシュ・フロー(注)とEXITによるキャッシュインの範囲内で実行し、継続的に1,000億円以上の実質的なフリー・キャッシュ・フローを創出していきます。また、資本効率を意識した経営管理の実践により、株主資本の拡充を行いつつ、安定的にROE 13%以上を目指します。

 

 2点目は「4,000億円に向けた収益基盤構築」です。今後も高い経済成長が見込まれる中国・アジア地域において強固な事業基盤を有するCITICグループ及びCPグループとの協業によるシナジー創出を成長戦略の基軸としつつ、既存事業からの収益拡大や新規優良案件への厳選投資を通じた利益成長を着実に実行していきます。更に、非資源分野の強み・優位性を活かした収益基盤の更なる拡大を図り、「当社株主に帰属する当期純利益」4,000億円に向けた収益基盤の構築を目指します。

 

 上記を支える経営基盤の強化にも引続き取組みます。リスクが高い分野を中心に、連結ベースでのコンプライアンスの取組強化を推進するとともに、国内外における贈収賄・独禁法リスクについても、実効的かつ効率的な調査・モニタリング体制を継続・強化していきます。コーポレート・ガバナンスについては、複数の社外取締役と監査役会を基礎とした現行のガバナンス体制の大枠は当面維持しますが、「コーポレートガバナンス・コード」の諸原則も踏まえ、より充実したガバナンス体制の構築に向けて継続的に取組んでいきます。また、社員の活躍を促進する諸施策の推進及び育成強化、働きがいのある職場環境の更なる整備にも引続き注力していきます。

 

(注)「営業活動によるキャッシュ・フロー」から資産・負債の変動他の影響を控除

 

4【事業等のリスク】

当社グループは、その広範にわたる事業の性質上、市場リスク・信用リスク・投資リスクをはじめ様々なリスクにさらされております。これらのリスクは、予測不可能な不確実性を含んでおり、将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこれらのリスクに対処するため、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクの監視及び管理を行っておりますが、これらのすべてのリスクを完全に回避するものではありません。

将来事項に関する記述につきましては、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものであります。

(1)マクロ経済環境に関するリスク

当社グループは、国内における商品売買・輸出入・海外拠点間における貿易取引に加え、金属資源やエネルギーの開発等、多様な商取引形態を有し、各事業領域において原料調達から製造・販売に至るまで幅広く事業を推進しております。

主な事業領域ごとの特性として、プラント・自動車・建設機械等の機械関連取引、金属資源・エネルギー・化学品等のトレード並びに開発投資については世界経済の動向に大きく影響を受ける一方、繊維・食料等の生活消費関連分野は相対的に国内景気の影響を受けやすいと言えます。但し、経済のグローバル化の進展に伴い、生活消費関連分野についても世界経済の動向による影響が大きくなっております。

当社グループは、世界各地で取引及び事業展開をしているため、世界経済全般のみならず、海外の特定地域に固有の経済動向も、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2)市場リスク

当社グループは、為替相場、金利、商品市況及び株価の変動等による市場リスクにさらされております。そのため、当社グループはバランス枠設定等による管理体制を構築するとともに、様々なヘッジ取引を利用すること等により、為替相場、金利及び商品市況の変動等によるリスクを最小限に抑える方針であります。

① 為替リスク

当社グループは、輸出入取引が主要事業の一つであり、外貨建の取引において為替変動リスクにさらされております。そのため、先物為替予約等のデリバティブを活用したヘッジ取引により、為替変動リスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではありません。

また、当社の海外事業に対する投資については、為替の変動により、為替換算調整勘定を通じて株主資本が増減するリスク、期間損益の円貨換算額が増減するリスクが存在します。これらの為替変動リスクは、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

② 金利リスク

当社グループは、投資活動、融資活動及び営業取引に伴う資金の調達や運用において金利変動リスクにさらされております。そのため、投資有価証券や固定資産等の金利不感応資産のうち、変動金利にて調達している部分を金利変動リスクにさらされている金利ミスマッチ額として捉え、金利が変動することによる損益額の振れを適切にコントロールするために金利変動リスクの定量化に取組んでおります。

具体的には「EaR(Earnings at Risk )」という手法を用いて支払利息の損失限度額を設定し、主に金利スワップ契約によるヘッジ取引を行うことで金利変動リスク管理を行っております。

しかしながら、これらの管理手法を用いたとしても、金利変動リスクを完全に回避できるものではなく、金利動向によっては、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

③ 商品価格リスク

当社グループは、様々な商品の売繋ぎを基本とした実需取引を行っておりますが、相場動向を考慮し買越及び売越ポジションを持つことで価格変動リスクにさらされる場合があります。そのため、たな卸在庫、売買契約等を把握し、主要な商品についてはディビジョンカンパニーごとにミドル・バックオフィスを設置し、個別商品ごとに商品バランス枠及び損失限度額の設定、モニタリング管理を行うとともに、定期的なレビューを実施しております。

また、当社グループは、金属資源・エネルギーの開発事業やその他の製造事業に参画しており、当該事業における生産物・製品に関しても上記と同様に価格変動リスクにさらされております。

これらの商品価格リスクに対しては商品先物・先渡契約等によるヘッジ取引を行うことでリスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではなく、商品価格の動向によっては、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

④ 株価リスク

当社グループは、主に顧客・サプライヤー等との関係強化、または投資先への各種提案等を行うこと等による事業収益追求や企業価値向上を図るため、市場性のある様々な株式を保有しており、株価変動のリスクにさらされております。そのため、VaR(Value at Risk)という手法を用いて株価変動に伴う連結株主資本への影響額を定期的に把握し、モニタリングしておりますが、株価の動向によっては、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(3)信用リスク

 当社グループは、国内外の取引先に対し営業債権、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っております。取引先の信用状況の悪化や経営破綻等により、これらの債権等が回収不能となる、あるいは、商取引が継続できないことにより、取引当事者としての義務を果たせず、契約履行責任を負担することとなる等の信用リスクを有しております。そのため、当社グループでは、信用供与の実施に際して、信用限度額の設定及び必要な担保・保証等の取得等を通じたリスク管理を行うことでリスクの軽減に努めるとともに、取引先の信用力、回収状況及び滞留債権の状況等に基づき貸倒引当金を設定しております。
 しかしながら、こうした管理を行ったとしても、信用リスクの顕在化を完全に回避できるものではなく、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4)カントリーリスク

 当社グループは、海外の様々な国・地域において取引及び事業活動を行っており、これらの国・地域の政治・経済・社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等による国家収用・送金停止等のカントリーリスクを有しております。そのため、案件ごとに回避策を講じるとともに、エクスポージャーの集中を防止することを目的として、総枠・国別枠の設定、国別与信方針の策定等を行うことにより、リスクの

軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではありません。
 このようなリスクが顕在化した場合には、債権回収や事業遂行の遅延・不能等が起こる可能性があり、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)投資リスク

 当社グループは、様々な事業に対する投資活動を行っておりますが、このような投資活動においては、経営環境の変化、投資先やパートナーの業績停滞等に伴い期待通りの収益が上げられないリスクや、投資先の業績の停滞等に伴い投資の回収可能性が低下する場合及び株価が一定水準を下回る状態が相当期間にわたり見込まれる場合には、投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となるリスクがあります。またパートナーとの経営方針の相違、投資の流動性の低さ等により当社グループが望む時期や方法での事業撤退や事業再編が行えないリスク、あるいは、投資先から適切な情報を入手できず当社グループに不利益が発生する等の投資リスクがあります。そのため、新規投資の実行については投資基準を設けて意思決定するとともに、既存投資のモニタリングを定期的に行い、投資効率が低い等保有意義の乏しい投資に対しては、Exit基準を適用することにより資産の入替えを促進する等、リスクの軽減に努めております。

 しかしながら、こうした管理を行ったとしても、投資リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 

(6)固定資産に関する減損リスク

当社グループが保有する不動産、航空機・船舶及び資源開発関連資産等の固定資産は、減損リスクにさらされております。

現時点において必要な減損等の処理は実施しておりますが、今後各種市況の悪化、需要の減退及び開発計画の変更等に伴い保有固定資産の経済価値が低下した場合には、更に必要な減損処理を実施することになります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)資金調達に関するリスク

当社グループは、国内外の金融機関等からの借入金及びコマーシャル・ペーパー、社債の発行により、事業に必要な資金を調達し十分な流動性を確保するためのALM(Asset Liability Management)に努めております。しかしながら、当社に対する格付の大幅な引下げ等により金融市場での信用力が低下した場合、あるいは、主要金融市場における金融システムの混乱が発生した場合等には、金融機関・投資家から当社グループが必要な時期に希望する条件で資金調達ができなくなる可能性や資金調達コストが増大する可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(8)退職給付費用及び退職給付債務に関するリスク

当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上の前提に基づき算出されております。しかしながら、数理計算上の前提条件を変更する必要性が生じた場合、あるいは、証券市場の低迷により年金資産が毀損した場合等には、退職給付費用・退職給付債務の増加や年金資産の追加的支出が必要となる可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(9)繰延税金資産に関するリスク

当社グループの連結財政状態計算書において、資産側に計上される繰延税金資産は金額上重要性があり、繰延税金資産の評価に関する会計上の判断は、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼします。そのため、当社グループは、将来の課税所得と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、実現可能な繰延税金資産を計上しております。
  しかしながら、タックス・プランニングにおける課税所得の見積りの変動及びタックス・プランニングの変更、あるいは税率変動等を含む税制の変更等があった場合には、繰延税金資産が増減する可能性があります。このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(10)競合リスク

当社グループは、多種多様な商品及びサービスを取扱っているため、他の総合商社をはじめ内外の様々な企業と競合する可能性があります。当社グループよりも優れた経験、技術、資金調達力を有し、顧客のニーズに合った商品やサービスを提供できる企業が存在することも否定はできません。また、経済のグローバル化に伴い、欧米等先進国の企業だけでなく新興成長国の企業との競争も激化しつつあります。更に将来、規制緩和や異業種参入等のビジネス環境の変化や技術革新等によっても当社グループの競争力を維持できなくなる可能性もあります。このようなリスクが顕在化した場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(11)重要な訴訟等に関するリスク

当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼすおそれのある訴訟、仲裁その他の法的手続は現在ありません。しかしながら、当社グループの国内及び海外における事業活動等が今後重要な訴訟等の対象となり、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(12)法令・規制に関するリスク

当社グループは、国内外で様々な商品及びサービスを取扱う関係上、関連する法令・規制は多岐にわたります。具体的には、会社法、金融商品取引法、税法、各種業界法、外為法を含む貿易関連諸法、独禁法、知的財産法、環境に関する法令、海外事業に係る当該国の各種法令・規制等があり、当社グループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識のうえ、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っております。
 しかしながら、こうした対策を行ったとしても、役員及び従業員による個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを回避できない可能性があります。
 また、国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定・改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅な変更の可能性も否定できません。
 このような場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(13)環境に関するリスク

当社グループは、地球環境問題を経営方針の最重要事項の一つとして位置付け、環境方針を定めるとともに、商品取扱・サービス提供及び事業投資案件において、法令抵触リスクを含む環境リスクを未然に防止する環境マネジメントシステムを構築する等、環境問題に積極的に取組んでおります。

しかしながら、当社グループの事業活動により環境汚染等が生じた場合には、事業の遅滞や停止、汚染除去費用や損害賠償費用等の発生、社会的評価の低下等につながる可能性があり、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(14)自然災害・気候変動等に関するリスク

当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震等の自然災害及び新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。当社は、大規模災害時及び新型インフルエンザ発生時における業務継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、防災訓練等の対策を講じており、グループ会社においても個々に各種対策を講じております。

しかしながら、当社グループの事業活動は広範な地域にわたって行われており、自然災害及び新型インフルエンザ等の感染症の被害発生時には、その被害を完全に回避できるものではなく、将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、気候変動の影響等により異常気象が発生した場合には、当社グループの事業活動に悪影響を与える可能性があり、将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(15)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、すべての役員及び従業員に対し、情報の取扱に関する行動規範を定め、高い情報セキュリティレベルを確保することを重要事項と認識しております。当社グループは情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運用するとともに、情報システム運営上の安全性確保のため、セキュリティガイドラインの設定、危機管理対応の徹底に取組んでおります。
 しかしながら、こうした対策を行ったとしても、外部からの予期せぬ不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備の損壊・通信回線のトラブル等による情報システムの停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、被害の規模によっては将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)当社は、平成26年7月24日開催の取締役会において、アジア有数の大手コングロマリットである Charoen Pokphand Group Company Limited(以下、「CPG」という。)と、当社グループ及びCPGを中心とする企業集団(以下、「CPグループ」という。)双方の企業価値を向上させる協業を推進していくための戦略的な業務提携を実施することとし、業務提携契約を締結いたしました。また、当社グループとCPグループ間の友好的な協力関係を深める取組の一環として、以下の資本参加について合意し、実施しております。

 

① 当社は、CPGが当社株式の取得及び保有を目的として設立した完全子会社である CP Worldwide Investment Company Limited、並びにCPGの完全子会社及び(株)日本政策投資銀行が実質的に折半出資する、当社株式の取得及び保有を目的として組成された投資事業組合である En-CP Growth Investment L.P.への第三者割当による新株式の発行について、合計約4.9%(本第三者割当増資前の発行済株式数ベース)の出資に係る払込みを平成26年9月18日に受けております(「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 22 資本金、資本剰余金及び利益剰余金」参照)。

 

② 当社は、CPグループの中核企業であり農作物・飼料・畜産物・水産物等を取扱うCharoen Pokphand Foods Public Company Limited(以下、「CPF」という。)及びその子会社であるCPF Investment Limitedが保有する、CPFの子会社で中国・ベトナム地域において飼料、畜産及び水産関連事業を営むC.P. Pokphand Co. Ltd.(以下、「CPP」という。)の株式25.0%(議決権数ベース、優先株式考慮後の取込比率は23.8%)を取得しております。

 

  なお、本第三者割当増資に対応し、第3四半期連結会計期間末までに7,800万株(1,007億円)の自己株式を取得しております。

 

(2)当社は、平成27年1月20日開催の取締役会において、当社、中国最大のコングロマリットであるCITIC Limited及びCPGの3社間で、当社グループ、CITIC Limitedを中心とする企業集団及びCPグループそれぞれの企業価値向上を目的とした戦略的な業務・資本提携(以下、「本戦略的業務提携」という。)を行うことを決議し、本戦略的業務提携に関する契約を締結いたしました。

 これに伴い、CPグループと当社がそれぞれ50%ずつ出資しているChia Tai Bright Investment Company Limited(以下、「CTB」という。)が、平成27年10月までを目途に、CITIC Limitedの普通株式及び普通株式に転換可能な優先株式を総額803億香港ドル(約1兆2,040億円)で取得する予定です。また、本優先株式は取得後3か月以内にCITIC Limitedの普通株式へ転換する予定であり、その結果、CTBはCITIC Limitedの総議決権数の約20%(優先株式の普通株式転換後ベース)を保有し、CITIC LimitedはCTBの持分法適用会社となる予定です。これらの取引の一環として、CTBは平成27年4月30日にCITIC Group Corporationの100%子会社であるCITIC Polaris Limitedより、CITIC Limitedの普通株式約2,490百万株(同社の総議決権数の10%相当)を、344億香港ドルで取得しております(「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 38 重要な後発事象」参照)。

 なお、本戦略的業務提携の詳細については、平成27年1月20日に公表いたしました当社開示資料をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。

なお、当連結会計年度の業績、事業セグメントの業績及びキャッシュ・フローの状況についての概要説明については、「1 業績等の概要」をご参照ください。

また、次期以降の見通しに関する記述につきましては、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものです。従って、実際の当社グループの連結業績は、「4 事業等のリスク」等に記載されている要素及びその他の潜在的リスクや不確定要素により、これらの予測された内容とは異なる結果となることがあります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析及び平成27年度の業績見通し

 

① 収益

当連結会計年度の「収益」は、機械においてはプラント関連事業の好調に加え、自動車関連取引の増加等により増収、食料においては青果物関連事業及び食品流通関連取引が堅調に推移し増収、繊維においては主としてエドウインの取得により増収となり、一方、エネルギー・化学品においてはエネルギー関連事業における子会社取得はあったものの、エネルギーのトレーディング取引の取扱数量減少及び油価下落等により減収となりましたが、全体としては、前連結会計年度比39億円(0.1%)増収の5兆5,914億円となりました。なお、「商品販売等に係る収益」は4兆9,110億円、「役務提供及びロイヤルティ取引に係る収益」は6,804億円となりました。

 

② 売上総利益

当連結会計年度の「売上総利益」は、住生活・情報においては国内情報産業関連事業の取引増加に加え、主に英ポンドに対する円安の影響等により増益、機械においてはプラント関連事業の好調に加え、自動車関連取引の増加等により増益、繊維においてはエドウインの取得により、消費税率引上げに伴う国内アパレル関連事業の販売不振及び欧州アパレル製造・卸事業の不振はあったものの増益となり、一方、金属においては鉄鉱石の販売数量増加、鉄鉱石・石炭事業のコスト改善及び為替の影響等はあったものの、鉄鉱石・石炭価格の下落により減益となりましたが、全体としては、前連結会計年度比440億円(4.2%)増益の1兆891億円となりました。

なお、上述のエドウインの取得等の新規子会社化に伴う影響額(増益)は281億円、期中為替変動に伴う影響額(増益)は248億円、子会社の除外に伴う影響額(減益)は38億円となりました。これらの影響を除いた既存会社における減益額は51億円となりました。

 

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の「販売費及び一般管理費」は、住生活・情報及び食料における既存会社の経費増加に加え、繊維におけるエドウインやエネルギー関連事業等における子会社の取得等により、前連結会計年度比602億円(8.0%)増加の8,102億円となりました。

なお、上述のエドウインの取得等の新規子会社化に伴う経費の増加額は241億円、期中為替変動に伴う経費の増加額は165億円、子会社の除外に伴う経費の減少額は16億円となりました。これらの影響を除いた既存会社における経費の増加額は213億円となりました。

 

④ 貸倒損失

当連結会計年度の「貸倒損失」は、前連結会計年度比ほぼ横ばいの62億円(損失)となりました。

 

⑤ 有価証券損益

当連結会計年度の「有価証券損益」は、頂新株式及びインターネット広告事業の一般投資化による一過性利益の計上等があり、前連結会計年度比949億円増加の1,099億円(利益)となりました。

 

⑥ 固定資産に係る損益

当連結会計年度の「固定資産に係る損益」は、前連結会計年度における豪州石炭事業等の減損損失計上の反動等により、前連結会計年度比319億円改善の43億円(損失)となりました。

 

⑦ その他の損益

当連結会計年度の「その他の損益」は、主として為替損益の減少により、前連結会計年度比85億円減少の67億円(利益)となりました。

 

⑧ 金融収支(「受取利息」・「支払利息」・「受取配当金」の合計額)

当連結会計年度の金融収支は、前連結会計年度比17億円増加の234億円(利益)となりました。

このうち「受取利息」及び「支払利息」の合計である金利収支は、借入条件の改善及び調達金利の低下等により、前連結会計年度比40億円(26.0%)改善の114億円(費用)となり、「受取配当金」は、エネルギー関連投資等からの配当金の減少により、前連結会計年度比23億円(6.2%)減少の349億円となりました。

 

 

⑨ 持分法による投資損益

当連結会計年度の「持分法による投資損益」は、金属においてはブラジル鉄鉱石事業における減損損失計上額の増加等により減少、エネルギー・化学品においては米国石油ガス開発事業の減損損失計上額の増加により、前連結会計年度におけるバイオエタノール事業の一過性損失の反動等はあったものの減少となり、一方、食料においては生鮮食品関連会社及び食糧関連会社の好調な推移、並びにCVS事業における関係会社株式売却益の計上等により増加となりましたが、全体としては、前連結会計年度比459億円(81.9%)減少の101億円(利益)となりました。

なお、主な持分法適用会社の業績については、後述「⑬ 主な子会社及び持分法適用会社の業績」をご参照ください。

 

⑩ 当社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の「税引前利益」は、前連結会計年度比578億円(16.0%)増益の4,185億円となり、これより「法人所得税費用」1,229億円を控除した「当期純利益」は、前連結会計年度比412億円(16.2%)増益の2,956億円となりました。このうち、「非支配持分に帰属する当期純利益」49億円(損失)を控除した「当社株主に帰属する当期純利益」は、前連結会計年度比553億円(22.5%)増益の3,006億円となりました。

 

⑪ 日本の会計慣行に基づく「営業利益」

当連結会計年度の「営業利益」(「売上総利益」・「販売費及び一般管理費」・「貸倒損失」の合計)は、機械においては主として売上総利益の増加により増益、住生活・情報においては国内情報産業関連事業の取引増加及び携帯電話関連事業の堅調な推移等により増益となり、一方、金属においては主として売上総利益の減少により減益、エネルギー・化学品においては開発原油取引における取扱数量の減少及び油価下落に伴う利益率低下により減益となり、全体としては、前連結会計年度比163億円(5.6%)減益の2,727億円となりました。

 

⑫ 実態利益

当連結会計年度の実態利益(「売上総利益」・「販売費及び一般管理費」・「受取利息」・「支払利息」・「受取配当金」・「持分法による投資損益」の合計額)は、「売上総利益」の増益はあったものの、「販売費及び一般管理費」の増加及び「持分法による投資損益」が減少したことにより、前連結会計年度比604億円(16.2%)減益の3,124億円となりました。

 

⑬ 主な子会社及び持分法適用会社の業績

 

黒字・赤字会社別損益

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

 

当連結会計年度

 

増減

 

 

黒字会社

 

赤字会社

 

合計

 

黒字会社

 

赤字会社

 

合計

 

黒字会社

 

赤字会社

 

合計

 

事業会社損益

2,533

 

△677

 

1,856

 

2,618

 

△1,094

 

1,524

 

85

 

△416

 

△332

 

海外現地法人損益

312

 

△1

 

312

 

353

 

△3

 

350

 

41

 

△3

 

38

 

連結対象会社合計

2,846

 

△678

 

2,168

 

2,971

 

△1,097

 

1,874

 

126

 

△419

 

△293

 

 

黒字会社率(注)

 

前連結会計年度

 

当連結会計年度

 

増減

 

 

国内

 

海外

 

合計

 

国内

 

海外

 

合計

 

国内

 

海外

 

合計

 

黒字会社数

120

 

175

 

295

 

114

 

168

 

282

 

△6

 

△7

 

△13

 

連結対象会社数

138

 

216

 

354

 

134

 

208

 

342

 

△4

 

△8

 

△12

 

黒字会社率(%)

87.0

 

81.0

 

83.3

 

85.1

 

80.8

 

82.5

 

△1.9

 

△0.2

 

△0.9

 

 

当連結会計年度の事業会社損益(海外現地法人を除いた子会社及び持分法適用会社の当社持分損益の合計。以下同じ)は、情報通信分野、金融・社会インフラ分野における取引が好調に推移した伊藤忠テクノソリューションズ(株)の増益、豚肉相場上昇及び飼料価格下落等によるHYLIFE GROUP HOLDINGS LTD.の増益、当第3四半期連結会計期間より取込開始した(株)BCJ-15の貢献等があったものの、鉄鉱石事業の減損損失計上額の増加による日伯鉄鉱石(株)の悪化及び米国石油ガス開発事業の減損損失計上額の増加等によるJD Rockies Resources Limitedの悪化等により、前連結会計年度比332億円減少の1,524億円の利益となりました。海外現地法人損益は、機械及び食料セグメントが堅調に推移したこと等による米国現地法人の増益に加え、関係会社株式の売却等による欧州現地法人の増益等もあり、前連結会計年度比38億円増加の350億円の利益となりました。

黒字事業会社損益と黒字海外現地法人損益を合計した黒字会社損益は、上述の米国現地法人及び伊藤忠テクノソリューションズ(株)の増益等により、前連結会計年度比126億円増加の2,971億円の利益となりました一方、赤字事業会社損益と赤字海外現地法人損益を合計した赤字会社損益は、上述の日伯鉄鉱石(株)及びJD Rockies Resources Limitedにおける減損損失計上額の増加による悪化等により、前連結会計年度比419億円悪化の1,097億円の損失となりました。黒字会社率(連結対象会社数に占める黒字会社数の比率)については、前連結会計年度の83.3%から0.9ポイント悪化の82.5%となりました。

 

(注)会社数には、親会社の一部と考えられる投資会社(130社)及び当社もしくは当社の海外現地法人が直接投資している会社を除くその他の会社(485社)を含めておりません。

 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な黒字会社及び赤字会社は次のとおりです。

 

主な黒字会社                                         (単位:億円)

 

 

取込

比率(%)

取込損益(注)1

増減コメント

前連結

会計

年度

当連結

会計

年度

増減

国内子会社

 

 

 

 

 

伊藤忠テクノソリューションズ(株)

58.2

78

102

24

情報通信分野、金融・社会インフラ分野における増収等により増益

(株)日本アクセス

93.8

117

86

△31

競争環境の激化による利益率の低下及び物流費の増加に加え、前連結会計年度の固定資産売却益計上の反動により減益

Dole International Holdings(株)

100.0

68

48

△19

加工食品事業の原料不足に伴う調達コストの増加に加え、円安に伴う日本向け青果物事業の採算悪化等により減益

伊藤忠プラスチックス(株)

100.0

29

35

6

主として電材関連事業が好調に推移したことにより増益

伊藤忠ケミカルフロンティア(株)

100.0

29

31

2

医薬ビジネス等が堅調に推移し、増益

コネクシオ(株)

60.3

22

29

7

携帯周辺商材・コンテンツ販売の増加により増益

伊藤忠エネクス(株)

54.0

37

28

△9

電力ビジネス及びカーライフ事業は堅調に推移したものの、LPG価格の下落によるガス販売事業の不調及び前連結会計年度の関係会社株式売却益計上の反動等もあり減益

伊藤忠建材(株)

100.0

25

28

3

固定資産売却益計上により、消費税率引上げによる住宅着工減に伴う営業収益の減少はあったものの、増益

(株)三景

100.0

15

26

10

固定資産売却益計上により、需要の落込みによる売上の減少はあったものの、増益

伊藤忠都市開発(株)

99.8

19

24

5

マンション販売市況が好調に推移し、増益

 

海外子会社

 

 

 

 

 

ITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltd

100.0

411

423

12

鉄鉱石の販売数量増加、鉄鉱石・石炭事業のコスト改善及び為替の影響に加え、前連結会計年度の石炭事業における減損損失計上の反動により、鉄鉱石・石炭価格の下落はあったものの、増益

伊藤忠インターナショナル会社(注)2

100.0

92

122

30

機械及び食料セグメントが堅調に推移したこと等に加え、円安の影響もあり増益

ITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.

100.0

157

69

△88

円安に伴う取込損益の好転はあったものの、販売数量の減少、油価の下落及び操業費の増加等により減益

 

 

(単位:億円)

 

 

取込

比率(%)

取込損益(注)1

増減コメント

前連結

会計

年度

当連結

会計

年度

増減

ITOCHU FIBRE LIMITED   (注)3

100.0

65

59

△6

針葉樹パルプ市況の堅調な推移に加え、ユーロ安(対USドル)及び円安の影響はあったものの、前連結会計年度のフィンランド税率変更に伴う税金費用減少の反動により減益

伊藤忠欧州会社(注)3

100.0

41

57

16

関係会社株式の売却に加え円安の影響により、繊維関連事業の低調及びタイヤ関連事業の取込損益減少等はあったものの、増益

European Tyre Enterprise Limited(注)3

 

100.0

51

47

△4

英国補修タイヤ市況の回復遅れに伴う販売減少により減益

伊藤忠香港会社

100.0

55

43

△12

生活資材関連取引の市況下落及び金融関連事業の取込損益悪化により減益

伊藤忠タイ会社

100.0

26

33

8

金融関連事業の取込損益増加、円安の影響に加え、一過性利益の計上もあり、合成樹脂関連取引の減少はあったものの、増益

伊藤忠(中国)集団有限公司

100.0

32

31

△1

ほぼ横ばい

伊藤忠シンガポール会社

100.0

24

26

3

主として化学品関連取引の増加等により増益

 

国内持分法適用会社

 

 

 

 

 

伊藤忠丸紅鉄鋼(株)

50.0

133

128

△5

新規連結会社の貢献はあったものの、一過性損失等の影響により減益

東京センチュリーリース(株)

25.3

79

91

13

ファイナンス収益の拡大及び為替差益の増加に伴い増益

(株)ファミリーマート

36.9

66

81

15

店舗数増加に伴う先行経費増等はあったものの、韓国の関係会社株式売却益計上等により増益

(株)オリエントコーポレーション

25.0

42

30

△12

利息返還損失引当金の増加等により減益

(株)BCJ-15

49.9

-

17

17

ベルシステム24ホールディングスの新規取得及び取込開始(当第3四半期連結会計期間より)

日伯紙パルプ資源開発(株)

32.1

10

14

4

前連結会計年度における一過性損失の反動により、広葉樹パルプ市況の悪化等はあったものの、増益

 

 

(単位:億円)

 

 

取込

比率(%)

取込損益(注)1

増減コメント

前連結

会計

年度

当連結

会計

年度

増減

海外持分法適用会社

 

 

 

 

 

HYLIFE GROUP HOLDINGS LTD.

49.9

0

21

21

豚肉相場上昇、飼料価格下落に加え、取込比率の増加により増益

PT. KARAWANG TATABINA INDUSTRIAL ESTATE

50.0

18

20

1

工業団地の引渡しが堅調に推移し、増益

 

主な赤字会社

(単位:億円)

 

 

取込

比率(%)

取込損益(注)1

増減コメント

前連結

会計

年度

当連結

会計

年度

増減

国内子会社

 

 

 

 

 

日伯鉄鉱石(株)(注)4

67.5

△67

△448

△382

鉄鉱石事業の減損損失計上額の増加(前連結会計年度△106億円→当連結会計年度△505億円)等により悪化

伊藤忠ホームファッション(株)

100.0

2

△38

△40

不適切な取引及び会計処理により悪化 (注)5

 

海外子会社

 

 

 

 

 

JD Rockies Resources Limited

100.0

△325

△438

△113

米国石油ガス開発事業の減損損失計上額の増加(前連結会計年度△318億円→当連結会計年度△435億円)及び通常損益の悪化

Bramhope Group Holdings Ltd.(注)3

100.0

1

△5

△6

主要顧客への販売減少に加え、本社移転に係る経費増加等により悪化

  (注)1 取込損益には、IFRS修正後の数値を記載しておりますので、各社が公表している数値とは異なる場合があります。

2 当社は、平成26年3月31日に伊藤忠インターナショナル会社の子会社であった機械関連事業会社を間接投資から直接投資に再編しております。これに伴い、伊藤忠インターナショナル会社の前連結会計年度の取込損益から当該会社の取込損益を控除しております。

3 伊藤忠欧州会社の取込損益には、Bramhope Group Holdings Ltd.の取込損益の60.0%、European Tyre Enterprise Limitedの取込損益の20.0%及びITOCHU FIBRE LIMITEDの取込損益の10.0%を含んでおります。

4 日伯鉄鉱石(株)の前連結会計年度及び当連結会計年度の取込損益には、付随する税効果を含めて表示しております。

5 本内容の詳細については、平成27年4月17日に公表いたしました当社適時開示資料をご参照ください。

⑭ 平成27年度の業績見通し

 来期を展望しますと、世界経済はやや成長のペースを速めると見込まれます。一部の新興国では構造改革に伴う下押し圧力や原油等資源価格の下落、米国の金融緩和終了が為替相場を通じて及ぼす悪影響等により景気が減速あるいは低迷する可能性があるため、引続き十分な注意を払う必要がありますが、アジアの新興国は総じて成長が加速、米国は堅調な景気拡大が続き、ユーロ圏も金融緩和の効果により景気が持直すと考えられます。日本経済は、平成26年度補正予算による景気回復の下支えや消費税率引上げの影響が一巡し、緩やかに持直すと見込まれます。

 このような経営環境下、中期経営計画「Brand-new Deal 2017」の初年度となる平成27年度の当社グループの連結業績見通しにつきましては、CITICグループ及びCPグループとの協業に伴う利益貢献、非資源分野を中心とした既存ビジネスの収益拡大等により、好調な推移が見込まれます。

 

(2)流動性と資金の源泉

 

① 資金調達の方針

 当社の資金調達は、金融情勢の変化に対応した機動性の確保と資金コストの低減を目指すとともに、調達の安定性を高めるために長期性の資金調達に努める等、調達構成のバランスを取りながら、調達先の分散や調達方法・手段の多様化を図っております。また、国内子会社の資金調達については原則として親会社からのグループファイナンスに一元化するとともに、海外子会社の資金調達についてもシンガポール、英国及び米国の海外グループ金融統括会社を拠点にグループファイナンスを行っております。資金調達を集中することにより、連結ベースでの資金の効率化や資金調達構造の改善に努めております。この結果、当連結会計年度末時点では、連結有利子負債のうち約76%が親会社、海外グループ金融統括会社による調達となっております。

 資金調達手段としては、銀行借入等の間接金融と社債等の直接金融を機動的に活用しております。間接金融については、様々な金融機関と幅広く良好な関係を維持し、必要な資金を安定的に確保しております。直接金融については、国内では、社債発行登録制度に基づき2013年8月から2015年8月までの2年間で3,000億円の新規社債発行枠の登録を行っております。また、資金効率の向上並びに資金コストの低減を目的に、コマーシャル・ペーパーによる資金調達も実施しております。海外では、当社と英国の海外グループ金融統括会社で合わせて

5,000百万米ドルのユーロ・ミディアムタームノート(Euro MTN)プログラムを保有しております。

 当連結会計年度末時点での当社の長期及び短期の信用格付けは次のとおりです。今後も一層の格付け向上を目指し収益力の強化、財務体質の改善、及びリスクマネジメントの徹底に努めます。

 

長期

短期

 日本格付研究所(JCR)

 AA-/安定的

 J-1+

 格付投資情報センター(R&I)

 A+/安定的

 a-1

 ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's)

 Baa1/安定的

 P-2

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)

 A-/クレジット・

ウォッチ・ネガティブ

 A-2

 

② 有利子負債

  当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末比1,988億円増加の3兆922億円となりました。

 現預金控除後のネット有利子負債は、前連結会計年度末比1,485億円増加の2兆3,805億円となりました。

 NET DER(ネット有利子負債対株主資本倍率)は、前連結会計年度末の1.09倍から0.98倍へ改善しました。

 また、有利子負債合計に占める長期有利子負債比率は、前連結会計年度末の84%から82%へと2ポイントの減少

 となりました。

  前連結会計年度末及び当連結会計年度末の有利子負債の内訳は、次のとおりです。

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

社債及び借入金(短期):

 

 

 

銀行借入金等

4,727

5,377

650

コマーシャル・ペーパー

-

10

10

社債

-

50

50

短期計

4,727

5,437

710

社債及び借入金(長期):

 

 

 

銀行借入金等

18,882

20,293

1,411

社債

5,325

5,192

△133

長期計

24,207

25,485

1,278

有利子負債計

28,934

30,922

1,988

現金及び現金同等物、定期預金

6,614

7,117

503

ネット有利子負債

22,320

23,805

1,485

 

③ 財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、繊維におけるエドウインやエネルギー関連事業等における子会社の取得、CPPや国内放送通信関連事業等への投資実行に加え、円安の影響もあり、前連結会計年度末比7,759億円(10.0%)増加の8兆5,607億円となりました。

 「株主資本」は、当社株主に帰属する当期純利益の積上げ及び円安の影響等により、配当金の支払はあったものの、前連結会計年度末比3,891億円(19.0%)増加の2兆4,332億円となりました。また、株主資本比率は前連結会計年度末比2.2ポイント上昇の28.4%となりました。

 「株主資本」に「非支配持分」を加えた「資本」は、前連結会計年度末比3,507億円(14.6%)増加の2兆7,483億円となりました。

 

連結財政状態計算書項目における前連結会計年度末との主要増減は次のとおりです。

 

 「営業債権」は、食品流通関連取引における増加及び円安の影響はあったものの、エネルギー関連事業における油価下落等により、前連結会計年度末比267億円減少の2兆1,013億円となりました。

「棚卸資産」は、エドウインの取得及びエネルギー関連事業における子会社取得に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比361億円増加の7,806億円となりました。

「持分法で会計処理されている投資」は、CPPや国内放送通信関連事業等への投資実行及び円安の影響はあったものの、コロンビア石炭事業及び頂新株式の一般投資化により、前連結会計年度末比1,103億円減少の1兆6,181億円となりました。

「その他の投資」は、コロンビア石炭事業及び頂新株式の一般投資化による増加に加え、保有株式の株価上昇及び円安の影響もあり、前連結会計年度末比4,641億円増加の1兆301億円となりました。

「有形固定資産」は、エドウインの取得やエネルギー関連事業における子会社取得に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比389億円増加の7,866億円となりました。

「のれん」は、円安の影響等により、前連結会計年度末比33億円増加の1,982億円となりました。

「無形資産」は、エドウインの取得やエネルギー関連事業における子会社取得に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比454億円増加の2,907億円となりました。

「営業債務」は、エネルギー関連事業における油価下落に伴う仕入債務減少はあったものの、円安の影響等により、前連結会計年度末比78億円増加の1兆6,698億円となりました。

「繰延税金負債」は、前連結会計年度末比487億円増加の1,662億円となりました。なお、繰延税金資産・負債のネット残高(ネット負債残高)は、前連結会計年度末比575億円増加の1,107億円となりました。

④ 流動性準備

  当社は、資金調達環境の悪化等、不測の事態にも対応し得る流動性準備の確保に努めております。

  当連結会計年度末では、短期有利子負債と偶発負債の合計額9,343億円に対し、現金及び現金同等物、定期預金(合計7,117億円)及びコミットメントライン契約(円貨長期3,500億円、外貨短期500百万米ドル)を合計した流動性準備の合計額は1兆1,218億円となっており、十分な流動性準備を確保していると考えております。

 また、これに加えて、売却可能有価証券等、短期間での現金化が可能な資産等を6,522億円保有しております。

 

   (流動性準備額)                                   (単位:億円)

 

 

 

当連結会計年度末

1 現金及び現金同等物、定期預金

 

7,117

2 コミットメントライン

 

4,101

合計

 

11,218

 

   (短期有利子負債と偶発負債)                             (単位:億円)

 

 

当連結会計年度末

社債及び借入金(短期)

5,437

社債及び借入金(長期)

(注)2,767

偶発負債(関連会社及びジョイント・ベンチャー、一般取引先に対する金銭債務実保証額)

1,139

合計

9,343

   (注) 1年以内に期限の到来する社債及び借入金のうち、長期コミットメントラインに係るものを、

       連結財政状態計算書上で「社債及び借入金(長期)」として表示しております。

 

⑤ 資金の源泉

当社における資金の源泉に対する基本的な考え方は、新規投資の資金を、営業取引収入、資産の売却・回収、

   及び財務健全性を維持しながら借入金や社債等により調達することで賄うというものです。

当連結会計年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、4,036億円のネット入金となりました。これは、エネルギー、金属、機械、情報・保険・物流関連の取引等における営業取引収入が堅調に推移したことに加え、営業債権の着実な資金回収等によるものです。

当連結会計年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、2,761億円のネット支払となりました。これは、CPPへの投資に加え、資源開発関連事業における追加の設備投資等によるものです。

当連結会計年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、979億円のネット支払となりました。これは、第三者割当増資による収入等はあったものの、配当金の支払及び自己株式取得等によるものです。

以上の結果、「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末比466億円(7.1%)増加の7,003億円となりました。

前連結会計年度及び当連結会計年度のキャッシュ・フローの要約は次のとおりです。

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

4,281

4,036

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,704

△2,761

財務活動によるキャッシュ・フロー

△779

△979

現金及び現金同等物の増減額

799

296

現金及び現金同等物の期首残高

5,703

6,537

為替相場の変動による現金及び現金同等物への影響額

35

169

現金及び現金同等物の期末残高

6,537

7,003

 

 

 

(3)当社子会社における不適切な取引及び会計処理について

当社子会社である伊藤忠ホームファッション(株)において、架空在庫の作出及び在庫の循環取引等が行われていることが発覚いたしました。当社は再発防止のため、決算プロセスの厳格化、在庫管理体制の強化、経営管理体制の強化、ローテーションを含む適正な人事等の施策を実行してまいります。

これに伴い、当連結会計年度の連結財務諸表において、累積的影響額である約43億円を、一括計上法により損失処理しております。なお、本内容の詳細については、平成27年4月17日に公表しました当社適時開示をご参照ください。

 

(4)重要な会計方針

当社の連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、各連結会計年度末日における資産、負債、偶発資産、偶発負債の報告金額及び報告期間における収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、仮定及び判断を使用することが必要となります。当社の経営陣は、連結財務諸表作成の基礎となる見積り、仮定及び判断を、過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。但し、これらの見積り、仮定及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。この差異は、当社の連結財務諸表及び当社におけるすべての事業セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社の経営陣が、将来にわたり、重要な修正を生じさせるリスクを有すると考えている見積り及び仮定は、主として次のとおりです。なお、下記に掲げる各項目に関連する資産及び負債の当連結会計年度末における残高については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記」における各項目の注記内容をご参照ください。

 

① 非上場の公正価値で測定される金融資産の公正価値測定

 公正価値で測定される金融資産のうち、非上場の銘柄については、投資先と同じ業界に属する上場銘柄の公表情報を参照したマルチプル法、あるいは投資先からの受取配当に係る将来キャッシュ・フロー見積額を現在価値に割引くことにより公正価値を算定する配当キャッシュ・フロー還元法等により公正価値を測定しております。マルチプル法を適用する場合のマルチプル倍率、あるいは配当キャッシュ・フロー還元法を適用する場合の将来受取キャッシュ・フローの見積り及び割引率は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、非上場の公正価値で測定される金融資産の公正価値の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

② 減損の兆候がある償却原価で測定される金融資産の回収可能価額

 減損の兆候がある償却原価で測定される金融資産については、当該金融資産に係る見積将来キャッシュ・フローを当初の実効金利で現在価値に割引いたものを回収可能価額としております。当該金融資産に係る将来キャッシュ・フローは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、償却原価で測定される金融資産に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

③ 有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る減損テストにおいて測定される回収可能価額

 有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る減損テストにおいて、資金生成単位を判別したうえで、当該資金生成単位における売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高いほうを回収可能価額として測定しております。当該売却費用控除後の公正価値算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

④ 確定給付型退職後給付制度における確定給付制度債務及び制度資産の公正価値測定

 確定給付型退職後給付制度については、確定給付制度債務と制度資産の公正価値の純額を負債または資産として認識しております。確定給付制度債務は、年金数理計算により算定しており、年金数理計算の前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率等の見積りが含まれております。これら前提条件は、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定しております。これら年金数理計算の前提条件には将来の不確実な経済環境あるいは社会情勢の変動等によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、確定給付制度債務及び制度資産の公正価値の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

⑤ 引当金の測定

 引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれる支出の期末日における最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれる支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

⑥ 法人所得税の見積り

 法人所得税の算定に際しては、税法規定の解釈や過去の税務調査の経緯等、様々な要因について見積り及び判断が必要となります。そのため、各期末において見積った法人所得税と、実際に納付する法人所得税の金額とが異なる可能性があり、その場合、翌年度以降の法人所得税の計上額に重要な影響を与える可能性があります。

 また、繰延税金資産については、将来減算一時差異等を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しておりますが、当該回収可能性の判断は、当社及び子会社の事業計画に基づいて決定した各将来事業年度の課税所得の見積りを前提としております。当該将来事業年度の課税所得の見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、繰延税金資産の計上額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

 当社の経営陣が、会計方針適用にあたっての判断が、資産、負債、収益及び費用の計上金額に重要な影響を与えると考えている項目は、主として次のとおりです。なお、下記に掲げる各項目に関連する資産及び負債の当連結会計年度末における残高については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記」における各項目の注記内容をご参照ください。

 

⑦ 子会社、関連会社及びジョイント・ベンチャーの範囲

 

⑧ デリバティブを除く金融資産における、償却原価で測定される金融資産、FVTOCI金融資産及びFVTPL金融資産への分類

 

⑨ リースを含む契約の会計処理

 

⑩ 償却原価で測定される金融資産における減損及び減損の戻入れの兆候の有無の評価

 

⑪ 有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る減損テスト実施にあたっての資金生成単位の判別

 

⑫ 有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る減損の兆候の有無の評価

 

⑬ 有形固定資産、投資不動産、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る減損戻入れの兆候の有無の評価

 

⑭ 引当金の認識

 

⑮ 収益の認識時点及び収益を総額(グロス)で表示するか、純額(ネット)で表示するかの判断