第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、米国経済は、雇用環境の改善などを背景に個人消費が堅調に推移し景気は回復基調となりました。欧州は、主要国ドイツにおいて年度後半から景気がやや持ち直したものの、ウクライナ情勢やギリシャの債務問題などもあり、依然として不安定な状況が続きました。中国は輸出が持ち直し、個人消費も比較的堅調に推移したものの、成長が以前よりは減速し、その他の新興国は、原油を始めとする資源価格の下落や新興国通貨の対ドル下落などにより、成長に停滞感が出ました。一方国内では、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動による落ち込み影響があったものの、年度後半からは、ゆるやかな回復基調に転じました。
 このような環境の中で当社グループは、平成25年4月1日にスタートした中期経営計画「Yamaha Management Plan 2016」の2年目として、重点事業戦略である「中国・新興国における成長加速」、「エレクトロニクス領域での売上げ拡大」、「コスト競争力の強化」、「新規の事業開発」に引き続き取組みました。
 「中国・新興国における成長加速」につきましては、新興国市場に適したピアノ、ギター等戦略モデルの投入によるシェア拡大を図ったほか、中国でのピアノ特約店を中心とした販売網の新規開拓、インドネシアでの音楽教室と連動したコンセプトショップ「Music Square」の展開等による販売網拡大などを図りました。インドの現地販売子会社では、取引先の拡大や価格戦略の見直しにより、売上げが伸長しました。
 「エレクトロニクス領域での売上げ拡大」につきましては、市場のニーズをとらえた電子鍵盤楽器や業務用音響機器の発売による売上げ拡大を推進し、また前期より参入し事業拡大を進めている商業空間向け音響市場では、主に欧州や国内において納入実績を重ねてまいりました。
 「コスト競争力の強化」につきましては、部品、材料の調達コストの削減や原価低減活動の推進により、海外労務費の上昇などを吸収し、計画に沿ってコスト削減を進捗させることができました。
 「新規の事業開発」につきましては、前期に100%出資子会社化した「Line 6,Inc.」、「Revolabs,Inc.」とともに、両社の技術・ノウハウとこれまで当社グループで保有していた知見、技術を融合させることによる、新たな顧客価値を生み出すための共同開発を進め、新規事業での成長加速とシナジー効果の創出を図りました。
 なお、国内事業構造改革の一環として、平成26年4月1日付で、会社分割により、楽器・音響機器の国内生産部門を100%出資子会社3社に承継させ、ピアノ生産を担う「株式会社ヤマハピアノ製造」、管弦打楽器生産を担う「株式会社ヤマハミュージカルプロダクツ」、電子楽器・音響機器生産を担う「株式会社ヤマハミュージックエレクトロニクス」がそれぞれ発足しました。また、電子部品事業の市場の変化や競争に対応するため、ヤマハ鹿児島セミコンダクタ株式会社の半導体製造事業の譲渡を決定し、製造の外部委託化による一層の柔軟性と機動性のある事業を目指すこととしました。
 販売の状況につきましては、売上高は4,321億77百万円(前年同期比5.3%増加)となりました。
 損益の状況につきましては、営業利益は301億35百万円(前年同期比15.9%増加)、経常利益は312億31百万円(前年同期比19.4%増加)、当期純利益は249億29百万円(前年同期比8.9%増加)となりました。
 

セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
 
(楽器事業)
 ピアノは、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、国内での販売が低調でしたが、北米及び中国を中心に売上げを伸ばし、全体では堅調に推移しました。電子楽器は、主力のクラビノーバCLPシリーズのモデルチェンジ等により、デジタルピアノが全地域で増収となったほか、10年ぶりに新商品を発売したエレクトーンが大きく売上げを伸ばしました。特に、旧モデルを買い替えることなく新モデル同様にアップデートできるユニットの販売が好評で、国内での販売を大きく牽引しました。管楽器は、北米を中心に売上げを伸ばしました。また、弦打楽器は、ギターが普及価格帯を中心に全地域で売上げを伸ばし、中高級価格帯のアコースティックLシリーズも引き続き好調に推移しました。教室収入は在籍生徒数の減少により減収となりました。
 以上により、当事業の売上高は2,816億67百万円(前年同期比7.4%増加)、営業利益は250億64百万円(前年同期比27.0%増加)となりました。
 
(音響機器事業)
 オーディオ機器は、北米で回復の兆しが見えるものの厳しい状況が続き、減収となりました。新カテゴリーのライティングオーディオシステム「Relit」を発売し、欧州を中心に話題となりましたが、主力のAVレシーバーの販売が振るいませんでした。業務用音響機器は、欧州で好調に推移したほか、国内のホール、劇場向けなどの音響設備事業も増収に寄与しました。新商品のデジタルミキサー、パワードスピーカー、音楽制作用オーディオインターフェイスが堅調で、加えて天井埋め込み型スピーカー等の設備向け機器も市場浸透が進みました。また、業務用通信カラオケ機器は減収となったものの、SOHO向けルーターや会議システムなどICT (Information & Communication Techno1ogy)機器が売上げを伸ばしました。
 以上により、当事業の売上高は1,128億39百万円(前年同期比7.0%増加)、営業利益は61億33百万円(前年同期比4.6%増加)となりました。
 
(電子部品事業)
 半導体は、事業環境が好転せず、主にスマートフォン向けの地磁気センサー(電子コンパス)及びアミューズメント機器用画像コントローラーの販売が振るいませんでした。
 以上により、当事業の売上高は134億35百万円(前年同期比28.6%減少)、営業損失は14億46百万円(前年同期は営業利益7億70百万円)となりました。
 
(その他の事業)
 自動車用内装部品及びFA機器は受注が回復し、増収となりました。一方で、ゴルフ用品及びリゾート事業は減収でした。
 以上により、当事業の売上高は242億35百万円(前年同期比2.3%増加)、営業利益は3億84百万円(前年同期は営業損失3億70百万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期に比べ186億34百万円増加(前年同期は80億60百万円増加)し、期末残高は761億59百万円となりました。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主として税金等調整前当期純利益により、317億29百万円(前年同期に得られた資金は332億13百万円)となりました。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、有形固定資産の取得による支出等により、117億円(前年同期に使用した資金は229億50百万円)となりました。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、配当による支出等により、59億9百万円(前年同期に使用した資金は47億45百万円)となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

183,337

120.3

音響機器

91,627

110.9

電子部品

14,872

75.4

その他

17,547

111.5

合計

307,384

113.7

 

(注) 1 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

281,667

107.4

音響機器

112,839

107.0

電子部品

13,435

71.4

その他

24,235

102.3

合計

432,177

105.3

 

(注) 1 金額は外部顧客に対する売上高であります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは、平成25年4月にスタートした中期経営計画「Yamaha Management Plan 2016(YMP2016)」において、持続的な「成長の実現」、成長を支える「収益力の強化」、新たな付加価値を生み出す「専門性の向上」を経営方針に掲げ、既存事業の確実な成長と新たな事業の開発を目指しております。これまでのところ、エレクトロニクス事業領域の売上げ拡大、コスト競争力の強化、新規の事業開発に関しては順調に推移しております。一方、中国・新興国における成長加速については対象国の経済成長が鈍化したことなどにより事業の進捗にやや遅れが見られます。YMP2016の最終年度となる平成28年3月期は、為替の動向、欧州の景気の回復の遅れなど、経済環境は不透明でありますが、環境の変化に対応しつつ、施策に取り組んでまいります。

 

1 『ヤマハが目指す姿(中長期的な当社グループの経営ビジョン)』
  ①「信頼と憧れのブランド」となる。
  ②「音・音楽」をコアとする。
  ③「モノ」※1と「コト」※2の両輪で成長する。

 

2 上記の経営ビジョンを実現するため、YMP2016において取り組む施策

<中国・新興国における成長加速>

中国・新興国市場へ経営資源を重点的に投入することによって、販売網の開拓を進め、更に成長を加速します。
 また、新興国における楽器演奏人口の拡大を目指して、音楽教室の展開や学校での音楽教育導入に向けた啓蒙活動を推進していきます。そのための施策の一つとして、「スクールプロジェクト」を発足させ、アセアン地域の音楽普及を加速させます。

 

<エレクトロニクス事業領域での売上げ拡大>

電子ピアノやポータブルキーボード等の電子鍵盤楽器において、リアリティを追求した音源や鍵盤を新規に開発して差別化を図るとともにローカルコンテンツを充実して市場ニーズによりきめ細かく対応し、市場での圧倒的な優位を確立します。また、新興国向けのエントリーモデルを新たに開発・導入し、売上げ拡大を図ります。

業務用音響機器においては、デジタルネットワークを核としたシステム機器の開発を強化し、商品ラインアップを拡充します。また、商業空間向け音響市場や業務制作市場において、業容の拡大を図ります。

さらに、国内で高いシェアを持つSOHO向けルーターや会議システムを軸に更なる商品拡充を図って、「ICT(Information & Communication Technology)機器事業」の大きな成長を目指していきます。

 

<コスト競争力の強化>

既存生産拠点について、それぞれの役割・機能を明確にしたうえで、製造力の向上を図るとともに製造コストの低減に努めていきます。国内生産は、平成26年4月1日付の楽器・音響機器生産部門の子会社化を通じてコンパクトで変化に柔軟に対応できる体制に転換しました。また、中国やインドネシアにおける海外生産では、材料の現地調達や部品の内製化に加えて新製法の導入や工程改善による生産技術力のレベルアップを図り、労務費の高騰に対応していきます。

 

<新規の事業開発>

既存事業の業容を拡大して次のステージでの飛躍を図るため、引き続きM&Aや資本提携を行います。中でも更なる成長が期待できる業務用音響事業には重点的な投資を行なっていきます。

また、顧客に対し新たな価値を提供する活動を推進するため、「ニューバリュー推進室」を新設したことに加えて、将来の成長に寄与する次世代の技術やサービスを外部から獲得するため、ベンチャー企業向けの投資にも力を入れていきます。

 

 ※1「モノ」事業:先進と伝統の技術により優れた品質の価値ある商品を製造するメーカーとしての事業

 ※2「コト」事業:当社グループが得意とするシステム、サービスやコンテンツを提供していく事業
             

 

3 株式会社の支配に関する基本方針

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上させていくことを可能とする者である必要があると考えております。

当社は、当社の支配権の移転を伴う買付提案がなされた場合にこれに応じるべきか否かの判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式について大量買付けがなされる場合、これが当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

しかしながら、株式の大量買付けの中には、その目的等からみて企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付の条件について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

特に、当社株式の大量買付けを行う者が、当社の財務及び事業の内容を理解することはもちろんのこと、当社グループの企業価値の源泉を理解したうえで、これらを中長期的に確保し、向上させることができなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。

当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付けに対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

 

② 基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

当社は、「感動を・ともに・創る~音・音楽を原点に培った技術と感性で新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます。」を企業目的として掲げ、経営の効率化を追求し、グローバルな競争力と高水準の収益性を確保するとともに、コンプライアンス・環境・安全・地域社会への貢献等、企業の社会的責任を果たすことにより、企業価値・ブランド価値の向上に努めております。その実現のために、経営上の組織体制や仕組みを整備し、必要な施策を実施するとともに、適切な情報開示を行うことにより、効率的かつ透明性の高い経営の実現に取り組んでおります。当社は、株主、顧客、従業員、地域社会それぞれのステークホルダー間の利益バランスを考慮した経営に努めております。それぞれのステークホルダー間の利害を適切に調整しながら、各ステークホルダーの満足度を高めつつ、企業価値の最大化に向け努力をしております。

中期経営計画(Yamaha Management Plan 2016)では、全体を「アコースティック楽器事業」、「エレクトロニクス事業」、「教育・余暇事業」、「産業用部品・機械事業」の4つの事業領域に括り直し、それぞれの事業領域でメリハリを付けた戦略を構築して、既存事業の着実な成長と新たな事業の開発を図るとともに、各事業領域の中で、コアコンピタンスを最大限に活用して、シナジー効果の創出にも力を入れてまいります。

また、当社は、取締役会の意思決定の迅速化・監督機能強化、業務執行力強化等を図るため、執行役員制度の導入、社外取締役の選任、役員人事委員会の設置、内部監査部門の整備等をとおして積極的にコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、平成25年6月26日開催の第189期定時株主総会において「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の更新の件」の承認を受け、新株予約権の無償割当てを活用した方策(以下、本プラン)の更新をしております。

本プランは、当社株券等に対する買付等が行われる場合に、買付等を行う者(以下、買付者等)に対し、事前に当該買付等に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付等についての情報収集・検討等を行う期間を確保したうえで、株主に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、買付者等との交渉等を行っていくための手続を定めております。

 

本プランは、(ⅰ)当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付その他の取得、(ⅱ)当社が発行者である株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けに該当する場合を対象とします。

買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく当社株券等に対する買付等を行う等、買付者等による買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を害するおそれがあると認められる場合には、当社は、当該買付者等による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の当社を除く全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。

本プランに従った本新株予約権の無償割当ての実施または不実施等の判断については、当社取締役会の恣意的判断を排するため、独立委員会規則に従い、独立性のある社外役員等のみから構成される独立委員会の客観的な判断を経るものとしております。また、当社取締役会は、これに加えて、所定の場合、株主の意思を確認するための株主総会を招集し、新株予約権無償割当ての実施に関する株主の意思を確認することがあります。

独立委員会は、買付者等からの必要情報を受領してから原則として最長90日を経過するまでの間に上記の判断を行い、当社取締役会に実施・不実施の勧告をします。この期間内において、独立委員会は、必要に応じて当社取締役会からも情報・意見を取得し、判断の材料とすることがあります。当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重して、新株予約権の無償割当ての実施・不実施の決議を行います。また、新株予約権無償割当ての実施に関する株主の意思を確認するための総会決議があった場合、当社取締役会はこれに従います。

本プランの発動として本新株予約権の無償割当てを実施するための要件は、下記のとおりです。買付等の下記の要件への該当性については、必ず独立委員会の判断を経て決定されることになります。

(イ)本プランに定める手続を遵守しない買付等であり、かつ本新株予約権の無償割当てを実施することが相当である場合

(ロ)以下のいずれかに該当し、かつ本新株予約権の無償割当てを実施することが相当である場合

・当社の企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等として本プランで定められた買付等である場合

・強圧的二段階買付等株主に株式の売却を事実上強要するおそれのある買付等である場合

・買付等の条件が当社の本源的価値に鑑み不十分または不適当な買付等である場合

・当社の企業価値を生み出すうえで必要不可欠な当社のブランド並びに当社と当社株主、従業員、取引先及び顧客等との関係を破壊し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する重大なおそれをもたらす買付等である場合

本プランの運用に際しては、適用ある法令または金融商品取引所の規則等に従い、本プランの各手続の進捗状況、独立委員会による勧告等の概要、当社取締役会または株主意思確認総会の決議の概要、その他独立委員会または当社取締役会が適切と考える事項について、適時に情報開示をすることとしており、手続の透明性を確保しております。

本プランに従って本新株予約権の無償割当てがなされ、買付者等以外の株主により本新株予約権が行使された場合、または当社による本新株予約権の取得と引換えに、買付者等以外の株主に対して当社株式が交付された場合、当該買付者等の有する当社株式の議決権割合は、最大50%まで希釈化される可能性があります。

本プランの有効期間は、平成28年3月31日に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとしております。また、有効期間の満了前であっても、当社株主総会または当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとしております。

 

④ 取締役会の判断及びその判断に係る理由

 本プランは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって導入されたものであり、基本方針に沿うものです。特に本プランは、(ⅰ)経済産業省及び法務省による買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること、(ⅱ)株主総会において株主の承認をもって更新されたものであり、当社取締役会は、一定の場合に、本プランの発動の是非について、株主意思確認総会において株主の意思を確認することができるものとされていること、(ⅲ)有効期間を約3年間とし、有効期限の満了前であっても、株主総会の決議により廃止が可能であること、(ⅳ)発動に際しては、独立性のある社外役員等のみから構成される独立委員会による勧告を必ず得ることとされていること、(ⅴ)予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されていること、(ⅵ)当社取締役の任期が1年であることから、毎年の取締役の選任を通じて、株主の意向を反映させることが可能なことなどにより、公正性・客観性が担保されており、高度な合理性を有し、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであって、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の詳細を、次の当社ウェブサイトに掲載しております。
 http://jp.yamaha.com/

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1 経済状況

当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、日本をはじめとする世界各国の経済状況の影響を受けます。世界の市場における景気後退、これに伴う需要の減少は、当社グループの収益と事業展開に影響を与える可能性があります。

 

2 価格競争

当社グループは、事業を展開するそれぞれの分野で厳しい競争にさらされております。例えば楽器事業では、総合楽器メーカーとして高品質、高性能な製品を広い価格帯で販売しておりますが、個々の製品分野ごとに競合他社が存在しており、特に近年は、普及価格帯製品における競争が激化しております。

また、音響機器事業では、競合他社との低価格化競争にさらされており、今後の流通変革、新技術開発の動向によっては、低価格化競争がさらに激化する恐れもあり、当社グループの現在の優位性が影響を受ける可能性があります。

 

3 新技術開発

当社グループは、「音・音楽」に関わる事業領域をコアとし、楽器事業では世界一の総合楽器メーカーとしての地位を不動のものとする一方、音響機器事業では、オーディオと業務用音響機器を中心として事業を展開しております。また、電子部品事業では、「音・音楽・画像・センサー」を中心とする半導体を事業の核としております。

音・音楽・ネットワーク・デバイス関連技術の差別化を図ることが、当社グループの発展、成長に不可欠な要素となっております。これらの技術開発が、将来の市場ニーズを正しく予想し、的確に行われない場合、楽器事業では、製品付加価値の低下、価格競争に陥る恐れ、新規需要喚起ができないなどの問題が生じ、音響機器事業、電子部品事業では事業そのものの存続が困難となる可能性があります。

 

4 事業投資リスク

当社グループは事業の拡大のため、設備投資等の事業投資を行っております。投資決定にあたっては、投資効果とリスクを定性的かつ定量的に把握し、慎重に判断しておりますが、状況によっては、一部または全部の投資額を回収できない、または撤退の場合に追加損失が発生するリスクを負っております。このような場合、当該投資を行った資産が減損の対象となる可能性もあります。

 

5 他社との提携の成否

当社グループにおいて、他社との業務提携、出資、合弁会社の設立など、近年、他社とのパートナーシップ戦略の重要性が増しております。これらの業務提携、出資等は、相手先との利害の対立や相手先の事業戦略の変更等により、当初期待した効果が得られない場合があります。

 

6 部材・部品事業における取引先への依存

当社グループが製造・販売する半導体、自動車用内装部品、部材・部品は、供給先メーカーの業績の影響を受けます。また、供給先メーカーとの間で、納期・品質等で信頼関係が損なわれた場合、その後の受注に悪影響を及ぼす可能性があります。また、品質等の欠陥によって、供給先メーカーから補償を求められる可能性があります。

 

7 国際的活動及び海外進出による事業展開

当社グループは、世界の各地域に製造・販売拠点を置き、グローバルな事業展開をしております。連結子会社69社のうち45社が海外法人であり、そのうちの23社が製造・制作会社等で、主要製造拠点は中国、インドネシア、マレーシアに集中しております。また、海外売上高は売上高の62.9%を占めております。

 

これらの海外市場での事業展開には、以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しておりますが、一旦これらのリスクが顕在化した場合には、例えば、製造においては拠点集中による弊害が顕著に現れ、安定的な製品供給ができなくなる可能性があります。

①政治・経済の混乱、テロ、戦争
 ②不利な政策の決定または規制の設定・変更
 ③予期しない法律または規制の変更
 ④人材の確保の難しさ
  ⑤人件費、物価などの大幅な上昇
 ⑥原材料・部品調達の難しさ、技術水準の程度
 ⑦港湾ストなど物流の障害
 ⑧移転価格税制等に基づく課税
 ⑨ストライキ等の労働争議

 

8 原材料価格の高騰、原材料の供給、物流コストの増加

当社グループは製品の製造にあたり、木材、銅等の金属材料、樹脂等を部品として使用しておりますが、これらの材料価格の高騰が製造原価を増加させることがあります。また、材料の種類によっては、特定の業者より供給を受けているものもあり、供給状況によっては、製造に影響を受けることがあります。

また、原油価格の高騰等により物流コストが増加すると、製造原価及び販売における売上原価を増加させる原因となることがあります。

 

9 少子化の影響

当社グループの基幹事業である楽器事業では、子供を中心とする音楽教室や英語教室を展開しているほか、学校を通じた販売も重要な販売経路となっております。今後、特に日本における少子化の進行により、売上高の減少を招く可能性があります。

 

10 人材の確保・育成

当社は、平均年齢が高く、高年齢層が厚い従業員構成となっており、従業員が大量に定年退職時期を迎えております。楽器等の製造に関わる技能の伝承や、次世代を担う人材の確保・育成など、要員構造変化への対応が重要課題であります。このような要員構造変化への対応が十分にできない場合、事業活動や将来の成長が阻害される可能性があります。

 

11 知的財産権の保護と利用

当社グループは、独自技術についての特許等の知的財産権、業務遂行上取得したノウハウを保有しておりますが、その一部は、特定地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、または限定的にしか保護されない状況にあります。第三者が当社グループの知的財産権を利用することを、効果的に防止できない可能性があります。その結果、当該第三者の製造した類似品、模倣品が市場に出回ることにより当社グループ製品の販売に支障をきたす可能性があります。また、当社グループの製品が第三者から第三者の知的財産権を侵害しているとされる場合があり、その結果、これを利用した当社グループ製品の販売が遅れたり、販売できなくなる可能性があります。

当社グループは、製品の重要な部分のいくつかについて第三者から知的財産権のライセンスを受けております。ロイヤリティの上昇は、製造コストの増大を招き価格競争力に影響が出るほか、ライセンスを受けられなくなった場合、当該製品の製造ができなくなる可能性があります。

 

12 製品・サービスの欠陥

 当社グループの製品は、当社が定めた品質保証規程及び製品品質規程によって管理されております。しかしながら、製品の全てについて欠陥が無いという保証はありません。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険で損害賠償額を充分にカバーできるという保証はありません。製造物責任を伴う事故の発生があると保険料率の上昇が予想されます。また、製品回収、交換・補修、設計変更などによる多額のコスト増大、当社グループの社会的評価の低下とそれによる売上げ減少が予想されることから、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが営む小売店舗、音楽教室、リゾート施設等における安全・衛生については十分注意を払っておりますが、万一事故が発生した場合、店舗・教室・施設等の一時休業や社会的評価の低下とそれによる売上げ減少が予想されます。

 

13 公法規制

当社グループの事業は、全世界の拠点において、それぞれの国における法律の適用を受け様々な規制の対象となっております。例えば、対外的投資、国家安全保障上の輸出入制限、通商規制、独占禁止規制、消費者保護、税制、環境保護他の規制の適用を受けております。また、個人情報については、安全管理義務が課せられております。当社グループは、コンプライアンスの遵守に尽力しておりますが、予期せずこれらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの企業活動が制限され、コストの増加につながる可能性があります。

 

14 環境保護規制

事業活動に対する環境保護規制は強化の方向にあり、企業の社会的責任の一つとして自主的な環境活動プログラムの実施が求められております。当社グループは、製品、梱包材、省エネルギー、産業廃棄物処理などについて環境基準を上回る対策の実施に努めておりますが、事故などの発生により制限物質が環境基準を超えることを完全に防止または軽減できる保証はありません。また、工場跡地等で、制限物質により土壌が汚染されている場合には、将来、売却しようとする際、多額の浄化費用が発生する、あるいは売却できない可能性があります。第三者に売却済みの土地から将来制限物質が拡散し、大気、地下水を汚染し、その対策費が発生する可能性があります。

 

15 情報漏洩のリスク

当社グループは、様々な経営及び事業に関する重要情報や、多数の顧客情報等の個人情報を保有しております。重要情報等の管理につきましては、方針や規定を策定し、情報セキュリティのための体制を整備しておりますが、万一これらの情報が誤って外部に漏洩した場合には、当社の事業に重大な影響を与え、あるいは社会的信用を低下させる可能性があります。

 

16 為替レートの変動

当社グループは、全世界において製造・販売等の企業活動を行っておりますが、グループ各社における外貨建取引は為替レートの変動の影響を受けます。外貨建取引については、短期的な為替変動の影響を最小限に止めるため先物為替予約取引等を行っておりますが、為替変動により当初の事業計画を達成できない可能性があります。特に損益については、影響が大きいユーロ・円レートにおいて、1円変動すると約4億円の損益影響をもたらします。

 

17 地震等自然災害による影響

地震等の自然災害の発生により、当社グループの製造拠点等が損害を受ける可能性があります。特に当社の本社及び国内工場が集中している静岡県内においては、東海地震の発生が予想されております。また、製造拠点が集中する中国、インドネシアやマレーシアにおいても、予期せぬ自然災害が発生する恐れがあります。このような事象が発生した場合には、施設面での損害のほか、操業の中断や遅延、多額の復旧費用の発生などが予想されます。加えて、原材料・部品供給業者の被災状況によっては、製造に影響を受けることがあります。

 

18 情報システムに係るリスク

当社グループの事業活動においては、情報システムの利用とその重要性が増大しています。コンピュータウィルスへの感染やサイバー攻撃などにより情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

19 財政状態等の変動に係る事項

 ① 投資有価証券の評価

 当社グループは、時価のあるその他有価証券(当連結会計年度末の取得原価159億円、連結貸借対照表計上額1,417億円)を保有しております。時価のあるその他有価証券は決算日の市場価格等に基づく時価法によって評価を行うため、決算日の株価等によって貸借対照表計上額が変動し、その結果、純資産金額が変動する可能性があります。また、時価が取得価額に比べ著しく下落した場合には減損の対象となる可能性があります。

 

 ② 土地の含み損

土地の再評価に関する法律に基づき再評価を行った土地の当連結会計年度末における時価と再評価後の帳簿価額との差異は83億円であり、保有する土地に含み損が発生しております。土地の売却等の場合には、この含み損が実現する可能性があります。

 

 ③ 退職給付債務及び退職給付費用

当社グループの退職給付債務及び費用は、採用する退職給付制度及び割引率や長期期待運用収益率等の見積りに基づいて算出されております。退職給付制度は変更される場合があり、また見積りは決算期毎の結果と相違することがあります。結果として、退職給付債務及び費用が増加する可能性があります。

特に、株価の下落等により、期待通りに運用収益が上げられない場合、数理計算上の差異が発生し、将来の退職給付費用が増加する可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「感動を・ともに・創る」をコーポレートスローガンに掲げ、「信頼と憧れのブランド」を目指し、「音・音楽」をコアとしてモノとコトの両輪で事業活動を展開しています。これを支える為に、これまでに蓄積してきた「音・音楽」に関する技術群をコア技術と定め、更なる高度化と拡張のための研究開発を進めております。取り組んでいる研究開発の領域は、音響、材料、電子デバイス、音源、信号処理、通信、ネットワークと、音の入口から出口まで、さらには音の多目的利用にわたります。
 当連結会計年度は、「音・音楽・ネットワーク・デバイス」を強化分野とし、特に「良い音」を科学的に理解し、実際の楽器・音響機器設計に適用できるよう研究開発を進めました。また、物理モデル、音楽解析、歌唱合成などの技術の高度化と、ネットワーク時代に対応した高音質の伝送技術や無線接続に関連する技術開発も進めています。
 当社グループの研究開発体制は、楽器・音響機器事業については当社楽器・音響開発本部、電子部品事業については当社半導体事業部の開発部門、その他の事業については当社ゴルフHS事業部及びヤマハファインテック株式会社の開発部門、全社横断的R&Dについては当社楽器・音響開発本部研究開発統括部、新規事業創出については当社事業開発部が担う形で構成しております。

当連結会計年度における主な成果をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は254億39百万円であります。

 

1 楽器事業

 ピアノ関連では、トランスアコースティック™技術を搭載した、今までにない全く新しいハイブリッドピアノ「トランスアコースティック™ピアノ」を開発しました。トランスデューサー(加振機)でピアノの響板を効率よく振動させ、従来のスピーカーを用いる事なく、電子音を響板から鳴らす技術で、温度や湿度の変化による響板の微小な変化をも相殺する機構を備えております。この機構に、20年以上の歴史を持つサイレントピアノ™で培った最新の光センサー技術、電子音源技術を組み合わせ、電子音での演奏時でも、本物の弦の共鳴を伴って楽器全体から発音する自然な音色と響きを実現しました。アコースティックピアノでありながら、ハープシコードやオルガンなどピアノ以外の音色で演奏することもできます。iPhone/iPadなどの外部デバイスを接続して、オーディオを響板で鳴らしたり、アプリと連携して一体感あるアンサンブル演奏を楽しむなど、新しいピアノの活用シーンを広げました。今後、この商品・技術をより充実させ、ハイブリッドピアノの新しいカテゴリーとして定着させていきます。
 教育楽器関連では、リコーダーの新製品として、環境に優しいバイオマス由来樹脂を世界で初めて楽器に採用したソプラノリコーダー「YRS-401」「YRS-402B」を開発しました。植物由来の樹脂を採用することにより、製造過程におけるCO2排出を抑制しています。また、この樹脂は従来材料に比べ比重が大きいため、従来の樹脂製リコーダーに比較して木製リコーダーにより近い、音のまろやかさと吹き心地も同時に実現しました。デザインにおいても、植物を連想した優しい配色になっています。
 電子楽器関連では、エレクトーン®「STAGEA®」の新モデルELS-02シリーズ「ELS-02」「ELS-02C」「ELS-02X」を開発しました。現行のELS-01シリーズを使用しているお客様に対しても、同時発売の「STAGEA® バイタライズユニット」を取り付けることにより、ELS-02シリーズとほぼ同等の性能が実現されます。ELS-02シリーズでは音にこだわり、奏者の感性をより自然に表現できる「スーパーアーティキュレーションボイス」を新たに搭載したほか、最新の音楽シーンにもマッチできる豊富なリズムやレジストレーションメニューをプリセットし、表現力が飛躍的に向上しました。なお「STAGEA® バイタライズユニット」は、「2014年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人 日本デザイン振興会)を受賞しました。電子ピアノでは、クラビノーバ「CLP」シリーズを一新し、「CLP-500シリーズ」を開発しました。ヤマハコンサートグランドピアノ「CFX」やベーゼンドルファー「インペリアル」など複数のグランドピアノの音色が選べるほか、「バーチャル・レゾナンス・モデリング(VRM)」や「ナチュラルウッドエックス(NWX)鍵盤」の採用などにより多彩な音楽表現が可能になりました。なお「CLP-500シリーズ」は「2014年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人 日本デザイン振興会)を、「CLP-585」は「Red Dotデザイン賞 プロダクトデザイン2015」(主催:ドイツ ノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター)を受賞しました。
 音楽ソフト関連では、「VOCALOID™」用の歌声ライブラリとして「VOCALOID4 Library CYBER DIVA」を開発しました。「VOCALOID4」用の女性歌声ライブラリで、当社製としては初となる英語の歌声ライブラリとなります。英語圏をはじめとした海外の方にもバーチャルシンガーによる新しい音楽を楽しんでいただくことが可能になりました。「VOCALOID4」から搭載された、声を激しく震わせ唸るような効果が得られる「グロウル機能」との相性にも優れ、ロックやソウル、ブルースなどにおいても、より人間らしい豊かな感情を表現することができます。

研究開発費は95億80百万円であります。

 

2 音響機器事業

オーディオ関連では、シンプルでスタイリッシュなデザイン性と、新開発の15mm大口径ドライバーなどによる高音質を両立させたインイヤー型イヤホン2モデル「EPH-M200」「EPH-M100」を開発しました。「EPH-M200」は、世界で初めて音導管の素材にβチタニウムを採用し、優れたフィット感と遮音性を両立しました。「EPH-M100」は、イヤピースにハード・ソフト2種類のシリコン素材を採用し、快適な装着感をもたらします。インテリアオーディオでは、スマートフォンやタブレット内の音楽コンテンツを手軽にワイヤレス再生して楽しめるBluetooth®対応オーディオと間接照明が一体となったライティングオーディオシステム「Relit(レリット)」シリーズに、新モデル「LSX-70」「LSX-170」を開発しました。「LSX-70」は、音と光の心地よい空間を持ち運ぶことができるコンパクトなフォルムの充電対応型モデル、「LSX-170」は、ライトとしてもインテリアとしても重厚な存在感を演出するソリッドなデザインの据え置き型モデルとなっています。なおこの2モデルは、「iFデザイン賞」(主催:インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF))を受賞しました。
 業務用音響機器関連では、四半世紀以上にわたり当社が積み上げてきた技術とノウハウをベースとしたデジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」がありますが、その核となる要素をコンパクトな筐体に凝縮させたオールインワンタイプのデジタルミキサー「QLシリーズ」を開発しました。「CLシリーズ」直系のナチュラルサウンド、当社独自の「VCMテクノロジー」、「Touch and Turn」ノブと「Selected Channel」による直感的な操作性など、中小規模の現場にワンランク上のクオリティをもたらす数々の特徴を備えています。スピーカーでは、可搬型スピーカーの新ラインナップとして、パワードスピーカー「DBRシリーズ」およびスピーカーシステム「CBRシリーズ」を開発しました。「DBRシリーズ」では、これまで培ったDSP処理、音響設計、機構技術のノウハウを継承しつつ、小型軽量化、高音質、高音圧を達成しました。「CBRシリーズ」は、高音質、高耐入力を誇るパッシブ型スピーカーで、電源を必要としないため、スピーカー周囲に電源確保が難しい設置環境にも対応できます。ミキサーでは、配信やモバイルでの活用に便利な機能を搭載した小型のミキシングコンソール「AG06」「AG03」を開発しました。高音質設計に加え、インターネット配信に便利なループバック機能やワンタッチでエフェクト・サウンドを実現するDSPなど、幅広い基本性能と多くの機能を搭載しています。USBバスパワー駆動によるコンピュータやiPadとの接続にも対応し、モバイル環境で活用することもできます。
 情報通信機器関連では、マイクとスピーカーが一体型であった従来の会議用マイクスピーカーに対し、マイクとスピーカーを独立させた分離型のユニファイドコミュニケーションマイクスピーカーシステム「YVC-1000」を開発しました。高音質スピーカーをディスプレイの前に置くことで映像と音声の一体感を高め、音声処理技術を進化させることにより、「話しやすく」「聞きやすく」「疲れない」機能を強化し、より自然で快適な遠隔コミュニケーションを実現しました。ルーターでは、中小規模拠点向けVPNルーター「RTX1200」の後継モデルとして「RTX1210」を開発しました。ルーターの基本性能はスループット・VPNスループット共に向上し、ネットワークの管理運用の負荷軽減を図る新GUIの搭載、「LANマップ」などのネットワークの見える化の拡張、などによりネットワーク管理の負荷軽減を実現しました。

研究開発費は110億25百万円であります。

 

3 電子部品事業

 アミューズメント市場向けのGPシリーズにて、表現能力の格段の向上のために当社の技術力を結集し、他社に先駆け2D+3Dのリアルタイム処理を実現したLSI「YGV637(GP-3)」を開発しました。従来の2D処理と、新開発のリアルタイムの3D処理機能を持つレンダリングエンジンによるポリゴン描画、3Dエフェクトを組み合わせたハイブリッドな映像表現を業界で初めて実現しました。更に、ビデオ出力は4K2Kまでの解像度に対応したディスプレイコントローラ、2GビットDRAM、H.264を上回る圧縮効率を誇る高速動画コーデック、最大32チャンネルの高品位コンテンツを同時再生可能なサウンドエンジンを搭載しています。以上により「YGV637(GP-3)」は、アミューズメントコンテンツに求められる高画質なムービーと高音質なサウンドを高い圧縮率で実現するデバイスであり、長くコンテンツ制作プラットフォームとして活用して頂けます。

研究開発費は34億29百万円であります。

 

4 その他の事業

ゴルフ用品では、ゴルフクラブ「inpres RMX」(インプレス・リミックス)シリーズの新ラインナップとして、アイアンモデル「RMX UD+2アイアン(リミックス・ユーディープラスツーアイアン)」を開発しました。ブレード内側を精密加工したくぼみを加えた「ブレードアンダーカット」の採用により、反発力を追及して飛距離アップを実現しました。また、ワイドソール&トゥ側を低く抑えた設計により、徹底した低重心化・深重心化で高打ち出し角を実現しました。更に、ハニカム構造ミーリングフェイスの搭載により、安定したスピンコントロール性能を実現しました。これらの新機能により、ゴルフに対して常に向上心を持ち、アイアンにも飛距離を求めるゴルファーのためのモデルとなっています。
 FA機器では、ファインピッチ化・薄型化する高精細FC-CSP基板に高精度でコンタクトし、疑似不良を劇的に削減するフライングフィクスチャー方式の次世代導通絶縁検査装置「MR182-A」を開発しました。CCDカメラを用いた当社独自のハードウェア機構と制御アルゴリズムにより、検査中に基板を動かすことなく個別アラインメントし、常時±5µmの高精度位置決めでの検査を実現しました。また、薄型ワークの姿勢を安定させる4点クランプ&テンション方式を採用し、基板位置・深さの自動補正機能等の段取り替えを容易にさせる便利な機能も充実させています。今後も引き続き、FC-CSP基板に対する本格的な取り組みを継続していきます。

研究開発費は14億3百万円であります。

 

当社グループの当連結会計年度末における日本での特許及び実用新案の合計所有件数は4,992件であります。

 

(注)

・ iPhone、iPadは、Apple Inc.の登録商標です。

・ Bluetoothは、Bluetooth SIG,Inc.の登録商標です。

・ トランスアコースティック、サイレントピアノ、エレクトーン、STAGEA、VOCALOIDは当社の登録商標です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。このような見積りについて経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの採用している重要な会計方針のなかで、経営者の見積りが大きな影響を与える事項は次のとおりです。

 

① 貸倒引当金算定における見積り

一般債権についての引当金算定における貸倒実績率と、貸倒懸念債権等特定の債権についての個別の回収不能見込額について、見積りを行っております。

 

② たな卸資産評価における見積り

たな卸資産評価において、総平均法単価等と比較すべき時価の一部の算定について、見積りを行っております。

 

③ 固定資産の減損会計における見積り

減損損失の認識及び回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率について見積りを行っております。

 

④ 時価のあるその他有価証券の減損処理における見積り

「著しく下落した」と判断し減損対象として候補にあがった銘柄についての回復可能性について、判定を行っております。

 

⑤ 繰延税金資産算定における見積り

繰延税金資産の回収可能性評価のために、将来の合理的な課税所得を算定するうえで、見積りを行っております。

 

⑥ 製品保証引当金算定における見積り

製品販売後に発生する補修費用の算定における、売上高もしくは販売台数に対する経験率による見積り及び個別見積りを行っております。

 

⑦ 退職給付に係る負債算定における見積り

退職給付に係る負債算定の前提になる退職給付債務について、見積りを行っております。

 

⑧ 構造改革費用引当金算定における見積り

事業の再編等に伴い発生する費用の算定における、発生見込額の見積りを行っております。

 

 

(2) 経営成績の分析

① 報告セグメントごとの売上高の状況

当連結会計年度の売上高は、前年同期に比べ218億73百万円(5.3%)増加し4,321億77百万円となりました。楽器事業、音響機器事業、その他の事業は増収となりましたが、電子部品事業は減収となりました。

 

楽器事業の売上高は、前年同期に比べ193億56百万円(7.4%)増加し2,816億67百万円となりました。

ピアノは、国内では消費税率引き上げによる駆け込み需要の反動から低迷しましたが、北米市場は二桁成長となり、中国市場も市場流通在庫の削減が進み好調な販売状況でした。欧州市場も前年同期を上回る実績となり、商品全体ではほぼ前年並みとなりました。電子楽器は、ポータブルキーボード大型モデルの販売が欧州で減速しましたが、主力商品のモデルチェンジ等によりデジタルピアノが全地域で増収となったほか、10年ぶりに新商品を発売したエレクトーンが国内で大きく売上げを伸ばしました。管楽器は、北米市場を中心に増収となり、前年同期を上回りました。弦・打楽器は、前年同期に発生したインドネシアのギター製造子会社のストライキによる操業停止が解消され、主力商品であるギターの商品供給が順調に推移したことなどから前年同期比二桁成長となりました。音楽教室、英語教室収入は、在籍生徒数減少で前年同期から売上げを落としました。また、音楽教室の教材等は、前年同期の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減がありましたが、音楽ソフト事業は増収となりました。

 

音響機器事業の売上高は、前年同期に比べ73億54百万円(7.0%)増加し1,128億39百万円となりました。

オーディオは、AVレシーバー等の既存商品領域における市場縮小傾向に加えて、競争激化も伴い前年同期比減収となりました。業務用音響機器は、デジタルミキサーのラインアップの拡大により設備用音響機器が欧州市場を中心に好調に推移しました。業務用通信カラオケ機器は対前年同期減収となりましたが、ルーター及び会議システムなどのICT(Information & Communication Technology)機器は、新規連結会社の売上げも加わり、対前年同期増収となりました。

 

電子部品事業の売上高は、前年同期に比べ53億93百万円(28.6%)減少し134億35百万円となりました。成長を期待していたアミューズメント向けの音声及び画像LSIが、市況の停滞に伴い厳しい状況が継続し、スマートフォン向けの地磁気センサー(電子コンパス)及び音声処理用コーデックも納入先の不振が続き、全体として対前年同期で大幅な減収となりました。

 

その他の事業の売上高は、前年同期に比べ5億56百万円(2.3%)増加し242億35百万円となりました。ゴルフ用品は、国内市場の停滞と海外市場の不振に伴い、対前年同期減収となりました。リゾート事業は、前年同期比で減収となりました。しかしながら、自動車用内装部品が好調に推移したことに加え、FA事業もプレシジョンマシンの受注が昨年末以降増加したことで、全体では増収となりました。

 

② 地域別売上高の状況

国内売上高は、前年同期に比べ75億29百万円(4.5%)減少し、1,603億74百万円となりました。楽器事業は、期初に投入したエレクトーン新商品が好調な売れ行きをみせ、デジタルピアノも堅調に推移しましたが、ピアノが消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動影響が継続するなど、全体では減収となりました。音響機器事業は、オーディオの不振が継続し、業務用通信カラオケ機器も減収となりましたが、ICT機器は前年同期並みを維持し、音響設備工事も好調に推移した結果、全体では増収となりました。電子部品事業は、スマートフォン向けの地磁気センサー(電子コンパス)及び音声処理用コーデック並びにアミューズメント向けの音声及び画像LSIが大幅な減収となりました。その他の事業は、ゴルフ用品及びリゾート事業が減収となりましたが、自動車用内装部品、FA機器が増収となりました。

 海外売上高は、前年同期に比べ294億2百万円(12.1%)増加し2,718億3百万円となりました。現地通貨ベースでの販売は、北米市場及び中国市場並びに欧州市場が前年同期を上回り、その他の市場も概ね前年同期並みの水準となりました。海外売上高比率は前期の59.1%から3.8ポイント上昇し、62.9%となりました。

 地域別では、北米は前年同期に比べ131億11百万円(19.7%)増加し797億47百万円となりました。楽器事業では、ほぼ全ての商品が好調に推移し二桁成長となり、音響機器事業は、オーディオがAVレシーバー等の既存商品領域での競争激化に伴い前年同期比で減収となったものの、業務用音響機器は堅調に推移し増収となり、全体では前年同期比で増収となりました。

欧州は、前年同期に比べ54億14百万円(7.2%)増加し802億77百万円となりました。楽器事業ではピアノが堅調に推移した他、電子楽器ではデジタルピアノが好調に推移し、前年同期に好調だったポータブルキーボードの減収を補い前年同期並みを維持しました。また管楽器、ギターが好調に推移した弦・打楽器が増収となりました。音響機器事業では、オーディオが減収となりましたが、業務用音響機器は二桁成長を達成するなど好調に推移しました。以上により欧州市場全体で増収となりました。

アジア・オセアニア・その他の地域は、前年同期に比べ108億76百万円(10.8%)増加し1,117億78百万円となりました。中国において、楽器事業はピアノや電子楽器が堅調に推移した他、ギターの成長が牽引した弦・打楽器は二桁成長を見せるなど、総じて好調な推移となりました。音響機器事業はオーディオで厳しい状況が続き、業務用音響機器も前年同期を維持する水準にとどまりましたが、ICT機器は増収となりました。以上により中国市場全体は、前年同期から二桁成長となりました。その他の地域は、オーディオが前年同期実績を割り込みましたが、電子楽器、ギターで増収となり、全体では前年同期並みとなりました。

 

③ 売上原価と販売費及び一般管理費

売上原価は、前年同期に比べ80億47百万円(3.1%)増加し2,703億57百万円となりました。売上原価率は、前年同期から1.3ポイント改善し62.6%となりました。

売上総利益は前年同期に比べ138億26百万円(9.3%)増加し1,618億20百万円となりました。売上総利益率は、前年同期から1.3ポイント改善し37.4%となりました。

 

また販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ96億84百万円(7.9%)増加し1,316億84百万円となりました。このうち、広告費及び販売促進費は前年同期の178億25百万円から8億45百万円(4.7%)増加の186億71百万円、人件費は前年同期の499億84百万円から41億31百万円(8.3%)増加の541億16百万円となりました。売上高販売管理費比率は、前年同期から0.8ポイント上昇し30.5%となりました。

 

④ 営業利益

営業利益は、前年同期に比べ41億41百万円(15.9%)増益の301億35百万円となりました。
 セグメントごとの営業利益では、楽器事業は増収に伴い、前年同期の197億28百万円から53億36百万円(27.0%)増益となり、250億64百万円となりました。音響機器事業は、業務用音響機器の増収などで、前年同期の58億66百万円から2億67百万円(4.6%)増益の61億33百万円となりました。電子部品事業は、前年同期の7億70百万円の営業利益から、大幅な減収により22億16百万円悪化し、14億46百万円の営業損失となりました。その他の事業は、前年同期の3億70百万円の営業損失から、自動車用内装部品、FA事業の好調な推移を主要因として7億54百万円増益となり、3億84百万円の営業利益となりました。
 要因別には、新規連結会社ののれん償却を含む損益影響(約34億円)、電子部品事業の損益悪化(約23億円)、海外生産拠点の労務費上昇による製造コストアップ(約15億円)などの減益要因がありましたが、為替影響(約63億円)、製造原価改善(約40億円)、増収増産(約10億円)などの増益要因がこれらをカバーし増益となりました。
 

 

⑤ 営業外損益

 営業外収益は、前年同期の35億7百万円から11億79百万円(33.6%)増加の46億87百万円となりました。このうち、受取配当金はヤマハ発動機株式会社からの配当金が増加したこと等により、前年同期の15億56百万円から、6億34百万円(40.8%)増加し、21億91百万円となりました。特許関連収入は前年同期の3億53百万円から、2億70百万円(76.3%)増加し、6億23百万円となりました。

 営業外費用は、前年同期の33億55百万円から2億36百万円(7.0%)増加し、35億91百万円となりました。このうち、売上割引は前年同期の24億4百万円から2億36百万円(9.8%)増加し、26億41百万円となりました。

 

 

⑥ 特別損益

特別利益は、前年同期の15億78百万円から14億9百万円(89.3%)減少し、1億68百万円となりました。

特別損失は、前年同期の19億6百万円から9億68百万円(50.8%)増加し、28億74百万円となりました。このうち、減損損失は寮・社宅の一部廃止に係る資産の減損等を8億61百万円計上しております。また構造改革費用は、半導体生産子会社の事業譲渡に起因して発生した損失等を17億86百万円計上しております。

 

⑦ 税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前年同期の258億18百万円から27億7百万円(10.5%)増加し、285億26百万円となりました。売上高税金等調整前当期純利益率は、前年同期の6.3%から改善し、6.6%となりました。

 

⑧ 法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額

法人税、住民税及び事業税は、税金等調整前当期純利益が増加したことに伴い、前年同期の57億78百万円から15億38百万円(26.6%)増加し、73億17百万円となりました。
 法人税等調整額は、主に国内会社において翌年度における課税所得見込額が増加し、繰延税金資産を追加計上したことなどから、前年同期の30億88百万円から8億8百万円(26.2%)減少し、38億96百万円となりました。

 

⑨ 少数株主利益

少数株主利益は、前年同期の2億29百万円から52百万円(23.0%)減少し1億76百万円となりました。

 

⑩ 当期純利益

以上の結果、当連結会計年度の当期純利益は、前年同期の228億98百万円から20億30百万円(8.9%)増加し、249億29百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前年同期の118円26銭から128円75銭となりました。

 

⑪ 為替変動とリスクヘッジ

海外連結子会社の売上高は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前年同期に対し10円円安の110円となり、前年同期に比べ約86億円の増収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前年同期に対し5円円安の139円となり、前年同期に比べ約25億円の増収影響となりました。また、カナダドル、豪ドルなど、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に比べ約37億円の増収影響となり、売上高全体では前年同期に比べ約149億円の増収影響となりました。

 

 また営業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外連結子会社の営業利益の換算等により、約9億円の増益影響となりました。ユーロの決済レートは、前年同期に対し12円円安の141円となり、約42億円の増益影響となりました。また、全体では前年同期に比べ約62億円の増益影響となりました。

 

(3) 財政状態の分析

① 資産

 当連結会計年度末の総資産は、前年同期末の4,389億32百万円から911億1百万円(20.8%)増加し、5,300億34百万円となりました。このうち、流動資産は、前年同期末の2,144億87百万円から331億44百万円(15.5%)増加し、2,476億32百万円となりました。また、固定資産は、前年同期末の2,244億45百万円から579億56百万円(25.8%)増加し、2,824億2百万円となりました。

 流動資産は、前年同期末に比べ331億44百万円(15.5%)増加し、2,476億32百万円となりました。現金及び預金、たな卸資産、受取手形及び売掛金、繰延税金資産などが増加したことによります。
 現金及び預金は、前年同期末に比べ187億41百万円(30.9%)増加し、793億円となりました。たな卸資産は、前年同期末に比べ50億92百万円(6.2%)増加し、877億82百万円となりました。受取手形及び売掛金(貸倒引当金控除後)は、前年同期末に比べ35億97百万円(6.3%)増加し、603億8百万円となりました。繰延税金資産は、前年同期末に比べ31億68百万円(0.4%)増加し、79億47百万円となりました。その他の流動資産は、前年同期末に比べ25億43百万円(0.1%)増加し、122億93百万円となりました。流動資産と後述の流動負債を比較した流動比率は306%(前年同期末は293%)で、引き続き高い流動性を維持しております。

有形固定資産は前年同期末に比べ31億74百万円(2.9%)増加し、1,131億58百万円となりました。なお、建設仮勘定は、ヤマハ大阪ビルの新築工事等により23億71百万円増加の41億39百万円となりました。無形固定資産は、前年同期末に比べ123億28百万円(372.8%)増加し、156億35百万円となりました。このうち、のれんは、当連結会計年度よりLine 6,Inc.及びRevolabs,Inc.並びにそれらの子会社を連結の範囲に含めたこと等により118億99百万円増加し121億79百万円となりました。投資有価証券は、前年同期末に比べ416億66百万円(40.4%)増加し、1,448億36百万円となりました。主として、保有有価証券の時価が上昇したことによります。繰延税金資産は、前年同期末に比べ5億2百万円(33.1%)増加し、20億20百万円となりました。

 

② 負債

負債残高は、前年同期末の1,640億89百万円から171億92百万円(10.5%)増加し、1,812億82百万円となりました。流動負債は、前年同期末の731億45百万円から78億31百万円(10.7%)増加し、809億76百万円となりました。また、固定負債は前年同期末の909億44百万円から93億61百万円(10.3%)増加し、1,003億6百万円となりました。

 

流動負債は、前年同期末に比べ78億31百万円(10.7%)増加し、809億76百万円となりました。短期借入金並びに、未払金及び未払費用、支払手形及び買掛金は増加しましたが、未払法人税等などは減少しました。短期借入金は、前年同期末に比べ31億57百万円(36.7%)増加し、117億48百万円となりました。未払金及び未払費用は、前年同期末に比べ30億97百万円(9.7%)増加し、349億2百万円となりました。支払手形及び買掛金は、前年同期末に比べ15億99百万円(7.4%)増加し、231億94百万円となりました。未払法人税等は、前年同期末に比べ6億29百万円(22.6%)減少し、21億56百万円となりました。

固定負債は、前年同期末に比べ93億61百万円(10.3%)増加し、1,003億6百万円となりました。繰延税金負債は増加しましたが、退職給付に係る負債、再評価に係る繰延税金負債、長期預り金などが減少しました。繰延税金負債は、保有有価証券の時価が上昇したこと等により前年同期末に比べ153億62百万円(63.9%)増加し、394億22百万円となりました。退職給付に係る負債は、年金資産の運用益等により前年同期末に比べ47億37百万円(13.0%)減少し、317億12百万円となりました。再評価に係る繰延税金負債は、法定実効税率の変更等により前年同期末に比べ12億82百万円(10.3%)減少し、111億33百万円となりました。また、長期預り金は、リゾートの会員預託金の返還により、前年同期末に比べ1億86百万円(1.2%)減少し、151億52百万円となりました。

 

③ 実質有利子負債

 有利子負債である長短借入金が118億68百万円ありますが、現金及び預金が793億円あり、現金及び預金から長短借入金を差し引いたネットでの現金及び預金は674億31百万円となり、前年同期末の518億1百万円に比べ156億30百万円の増加となりました。

 

④ 純資産

 純資産は、前年同期末の2,748億43百万円から739億8百万円(26.9%)増加し、3,487億52百万円となりました。当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことと、その他有価証券評価差額金の増加、為替換算調整勘定の変動などにより増加となりました。為替換算調整勘定は前年同期末に比べ112億41百万円マイナス幅が縮小しました。利益剰余金は、当期純利益249億29百万円、配当金の支払額63億89百万円等により、前年同期末に比べ180億97百万円(10.8%)増加し、1,864億36百万円となりました。その他有価証券評価差額金は、保有有価証券の時価の上昇及び法定実効税率の変更により、前年同期末に比べ416億48百万円(91.5%)増加し、871億88百万円となりました。また、土地再評価差額金は、法定実効税率の変更等により前年同期末に比べ9億45百万円(5.5%)増加し、180億85百万円となりました。少数株主持分は、前年同期末に比べ4億95百万円(15.7%)減少し、26億66百万円となりました。自己資本比率は前年同期末の61.9%から65.3%へ3.4ポイント上昇しました。なお、自己資本利益率(ROE)は、当期純利益が前年同期比増益となったものの、上述の要因により自己資本が大きく増加したため、前年同期の9.2%から8.1%へ1.1ポイント低下しました。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は、317億29百万円(前年同期は332億13百万円)となりました。前年同期に対して14億84百万円の減少となりました。

投資活動の結果使用した資金は、117億円の支出(前年同期は229億50百万円の支出)となりました。投資有価証券の取得による支出が減少したことなどにより、前年同期に対して112億50百万円支出が減少しました。

財務活動の結果使用した資金は、59億9百万円の支出(前年同期は47億45百万円の支出)となりました。配当金の支払額等の増加により、前年同期に対して11億64百万円支出が増加しました。

以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年同期末に対し186億34百万円増加し、761億59百万円となりました。

 

② 資金需要

当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。

当社グループにおける当連結会計年度の設備投資額は、前年同期の107億99百万円から30億46百万円(28.2%)増加し、138億46百万円となりました。楽器事業は、前年同期の66億21百万円から29億12百万円(44.0%)増加し、95億34百万円となりました。音響機器事業は、前年同期の27億88百万円から51百万円(1.9%)増加し、28億40百万円となりました。また、電子部品事業は、前年同期の2億16百万円から4億22百万円(195.1%)増加し、6億39百万円となりました。その他の事業は前年同期の11億72百万円から3億40百万円(29.0%)の減少となり、8億32百万円となりました。

減価償却費は、前年同期の127億59百万円から1億62百万円(1.3%)減少し、125億97百万円となりました。

研究開発費は、前年同期の225億61百万円から28億78百万円(12.8%)増加し、254億39百万円となりました。売上高研究開発費比率は前年同期の5.5%から0.4ポイント上がり、5.9%となりました。

 

③ 資金調達

運転資金及び設備投資資金について、一部の子会社において借入金により調達しております。借入については通常、会社毎に現地通貨による短期借入を行っておりますが、借入金額・期間・金利等を勘案し、長期借入を行う場合があります。なお、当社及び国内子会社についてはグループファイナンスを実施しております。