第2 【事業の状況】

 

以下各項目の記載金額は、消費税等抜きのものである。

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済対策や日銀の金融緩和を背景に緩やかな景気回復基調が続いたが、消費税率引き上げにともなう個人消費の伸び悩みや、円安基調継続による輸入品の価格高騰などもあり、本格的な景気回復には至らなかった。

印刷業界においては、需要の伸び悩みや競争激化による受注単価の下落に加え、原材料価格の上昇もあり、引き続き厳しい経営環境にあった。

このような状況のなか、DNPは、事業ビジョン「P&Iソリューション」に基づき、生活者の視点やソーシャルな視点に立って、「未来のあたりまえを作る。」ことを目指し、国内外で積極的に事業を展開するとともに、全体最適の観点から事業体制の再編などの構造改革を進め、収益の改善に努めた。

情報コミュニケーション部門では、紙の印刷物需要が低迷するなか、競争力を強化するために、昨年7月に全国の組織体制を再編・統合した。また、昨年3月には、ベトナム最大手のカードメーカー「MK Smart社」と業務・資本提携を行い、東南アジア地域におけるICカード事業の競争力強化を図った。

生活・産業部門では、包装分野において、迅速かつ的確な企画提案と最適な営業活動を展開できるよう、全国の営業部門を再編・統合した。産業資材分野では、自動写真撮影プリントシステム事業を米国で展開している「Foto Fantasy社」を昨年12月に子会社化し、DNPの写真プリント用昇華型熱転写記録材(カラーインクリボンと受像紙)事業のグローバル展開を加速させた。

エレクトロニクス部門では、新製品開発の促進と競争力の強化に向けて、昨年4月に、生活・産業部門にあった光学フィルム関連事業を、当部門に移管した。また、製造ラインの見直しや生産拠点の集約、組織体制の再構築なども進め、収益力の向上に努めた。

その結果、当連結会計年度の売上高は1兆4,621億円(前期比0.9%増)、営業利益は481億円(前期比3.8%減)、経常利益は537億円(前期比0.9%増)、当期純利益は269億円(前期比5.0%増)となった。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりである。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいている。

 

〔印刷事業〕

(情報コミュニケーション部門)

出版印刷関連は、積極的な企画提案や営業活動を展開したが、出版市場の低迷が続き、書籍、雑誌ともに前年を下回った。

商業印刷関連は、パンフレットは前年並みを確保したものの、チラシやカタログなどが低調に推移し、前年を下回った。

ビジネスフォーム関連は、金融機関や電子マネー向けのICカードが増加したほか、国際ブランドプリペイドシステムなどの決済サービスも順調に拡大したが、パーソナルメールなどのデータ入力から印刷・発送までの業務を行うIPS(Information Processing Services)が伸び悩み、前年を下回った。

教育・出版流通関連は、電子書籍コンテンツをあらかじめ収録した読書専用端末「honto  pocket(ホントポケット)」を発売したほか、書店の書籍在庫を検索できるスマートフォン向けアプリ「honto  with(ホントウィズ)」の配信を開始するなど、書店での店頭販売とネット通販、電子書籍販売サービスを連携させたハイブリッド型総合書店「honto」の事業拡大に努めた。また、図書館サポート事業や出版事業なども順調に推移し、前年を上回った。

その結果、部門全体の売上高は6,989億円(前期比0.2%減)、営業利益は75億円(前期比36.7%減)となった。

 

 

(生活・産業部門)

包装関連は、紙のパッケージは前年を下回ったが、プラスチックフィルムパッケージや紙カップが堅調に推移したほか、ペットボトル用無菌充填システムの販売が増加し、前年を上回った。

住空間マテリアル関連は、DNP独自のEB(Electron Beam)コーティング技術を活かした環境配慮製品などの販売に注力し、国内市場でのシェア拡大や海外市場への積極展開に努めたが、消費税率引き上げによる国内住宅着工戸数減少の影響を受けて、前年を下回った。

産業資材関連は、太陽電池用部材が前年を上回ったほか、写真プリント用の昇華型熱転写記録材が北米・欧州市場向けで好調に推移したことや、東南アジア市場でもマレーシア工場が本格稼働を開始したこともあり、前年を大きく上回った。

その結果、部門全体の売上高は4,794億円(前期比2.5%増)、営業利益は239億円(前期比10.5%増)となった。

 

(エレクトロニクス部門)

液晶カラーフィルターは、テレビ向けは堅調に推移したが、パソコン向けやモバイル端末向けが減少し、前年を下回った。

半導体製品用フォトマスクは、堅調な海外需要を取り込んだものの、国内向けが伸び悩み、前年を下回った。

光学フィルム関連は、液晶ディスプレイの偏光板向け製品が増加するなど、全体として前年を上回った。

その結果、部門全体の売上高は2,303億円(前期比0.7%減)、営業利益は244億円(前期比2.7%減)となった。

 

〔清涼飲料事業〕

(清涼飲料部門)

清涼飲料業界では、価格競争によるメーカー間のシェア争いなど厳しい市場環境が続いたが、新商品の発売や主要ブランド商品の販売強化によるシェア拡大に努めるとともに、屋内販売拠点の開拓や宅配サービスの強化など新規顧客の獲得に注力した。

その結果、軽量ペットボトルを使ったミネラルウォーター「い・ろ・は・す」が大幅に増加するなど、部門全体の売上高は596億円(前期比8.8%増)、営業利益は10億円(前期比65.2%増)となった。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,127億円(前期比6.5%増)となり、前連結会計年度末より129億円増加した。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は857億円(前期比28.6%減)となった。これは、税金等調整前当期純利益510億円、減価償却費670億円等によるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は505億円(前期比13.4%減)となった。これは、有形固定資産の取得による支出526億円等によるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は238億円(前期比70.2%減)となった。これは、配当金の支払額209億円等によるものである。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

464,783

1.5%

生活・産業部門

353,328

6.1%

エレクトロニクス部門

212,153

△2.7%

清涼飲料部門

42,793

5.3%

合      計

1,073,058

2.3%

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去している。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。

3.当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較している。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

なお、清涼飲料部門においては、受注を主体とした生産を行っていないため、受注状況の記載を省略している。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

540,561

△3.0%

88,855

△3.3%

生活・産業部門

487,121

3.2%

83,662

13.3%

エレクトロニクス部門

230,623

△0.1%

22,460

3.8%

合    計

1,258,306

△0.1%

194,978

4.1%

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去している。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。

3.当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較している。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション部門

693,649

△0.2%

生活・産業部門

478,540

2.5%

エレクトロニクス部門

230,297

△0.7%

清涼飲料部門

59,631

8.8%

合      計

1,462,118

0.9%

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去している。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。

3.当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較している。

 

 

3 【対処すべき課題】

DNPは、事業ビジョン「P&Iソリューション」に基づき、「未来のあたりまえを作る。」ことを目指して、積極的な事業活動を展開し、中長期にわたり事業の拡大に努めていく。「未来のあたりまえを作る。」とは、企業、生活者、社会の課題を解決する新しい製品やサービスを開発して、それらがあたりまえに身の周りにあるようにしていくことを表している。このような新しい価値を創造していくにあたり、社会の課題を整理・分析し、「知とコミュニケーション」、「食とヘルスケア」、「環境とエネルギー」、「暮らしとモビリティ」の4つを、成長領域として位置付けた。

「知とコミュニケーション」の領域では、情報化社会における安全・安心な情報伝達によって暮らしを支え、文化を育む取り組みを進める。情報メディアやコンテンツの制作だけでなく、双方向コミュニケーションの仕組みにも関わり、欲しい情報を欲しいときに欲しいカタチで安全・安心にやり取りできる情報プラットフォームを提供していく。

「食とヘルスケア」の領域では、超高齢社会において、健康で質の高い生活を支え、安全かつ健康なライフスタイルの維持に取り組む。ライフサイエンスや食品のほか、農業などの事業分野への展開を図っていく。

「環境とエネルギー」の領域では、経済的成長と環境保全を両立させる低環境負荷社会の実現に取り組む。省資源、省エネルギー、リサイクルを考慮した環境配慮製品の開発や、エネルギーマネジメントなどのソリューションを提供していく。

「暮らしとモビリティ」の領域では、住宅や自動車向けにさまざまな機能を持ったアドバンストマテリアルを提供して、より快適な住空間の実現に取り組んでいく。

これらの領域を中心に、DNPの強みを活かした製品・サービスや仕組みを提供して、積極的な事業活動を推進していく。また、事業基盤をより強固なものとするため、さらなる生産性の向上に努めていく。

 

<各事業部門における取り組み>

〔印刷事業〕

(情報コミュニケーション部門)

当部門では、情報の最適な表現と多様なメディアへの展開に取り組み、生活者と企業の視点から新しいソリューションを提供していく。

平成25年12月に、情報ビジネスの基盤強化のため、高い情報セキュリティを保持したDNP柏データセンターを開設した。資本提携先の日本ユニシス株式会社のクラウド技術を導入するとともに、両社のデータセンターを連携させ、国内最大規模のサービスインフラを構築した。このインフラを活用し、紙の書籍と電子書籍に対応したハイブリッド型総合書店「honto」、総合ペイメントサービスや電子チラシ、企業の業務プロセスを代行するBPO(Business Process Outsourcing)などの多様なソリューションを提供し、生活者視点を活かした情報コミュニケーションビジネスを拡大していく。

商業印刷やビジネスフォームの事業については、昨年7月に全国の営業・企画・製造の組織を統合・再編した。これによって全体最適を進め、生産の効率化などによる収益の拡大と資本効率の向上を図るとともに、競争力を強化し、新たなビジネスモデルに挑戦していく。

また、フォトプリントなどのイメージングコミュニケーション事業については、より一層の生活者ニーズに即した写真プリントシステムやフォトアルバム制作などの付加価値サービスの需要拡大が予想され、ITを活用した新たなソリューションの提供も積極的に進めていく。そうしたソリューションの開発を円滑にしていくため、今年4月より、この事業を生活・産業部門から、当部門に移行した。昇華型と溶融型の熱転写記録材のグローバルな製造・販売体制を活かし、事業拡大に努めていく。

 

(生活・産業部門)

当部門では、地球環境への配慮やユニバーサルデザインへの対応などを進め、企業や生活者の多様なニーズに的確に応える製品・サービスを国内外に提供していく。

 

包装関連では、水蒸気や酸素などに対するバリア性に優れた「DNP透明蒸着フィルム(IBフィルム)」シリーズや、植物由来の原料を使用した環境配慮製品「DNPバイオマスプラスチック包材 バイオマテック」シリーズなどの高機能製品のシェア拡大を図っていく。経済成長の続くASEAN市場においては、1972年からインドネシアで包装材の製造・販売を行っており、日用品や食品などの分野でトップシェアを獲得している。この実績を活かして平成25年5月にはベトナム工場を新設した。これらの拠点を活用して、海外進出する日系企業をはじめグローバル企業に付加価値の高い製品とサービスを提供していく。

住空間マテリアル関連では、DNP独自のEBコーティング技術などを活用した壁紙や床材などの高付加価値製品のほか、空間設計や居住環境の評価測定、感性工学等による空間デザインの提案、施工の容易な工法の開発など、快適な住空間全体に関わる事業を展開していく。また、昨年10月に設立した「DNPすまいみらい研究所」を中心に、産・官・学の協力のもと、住宅やオフィス、乗り物などの多様な住空間における快適さや豊かさを追求して、「未来のすまい」を実現する新たな製品やサービスを創造していく。

 

(エレクトロニクス部門)

当部門では、昨年4月に、ディスプレイ製品や半導体用フォトマスクなどを担当する事業部と、液晶ディスプレイ用表面フィルムなどの光学フィルムを担当する事業部を統合し、両事業部の技術・ノウハウを組み合わせ、高機能製品などの新製品開発、徹底したコストダウンを進め、急激に変化する企業や生活者のニーズに対応していく。

こうした体制のもと、液晶カラーフィルターについては、需要の拡大が見込まれる高精細スマートフォンや4K・8Kテレビ向けに、DNPが強みとする加工技術や材料技術を活用して新製品を開発していく。

フォトマスクについては、半導体メーカーの微細化、低コスト化のニーズに応え、15nm(ナノメートル)台の最先端品の開発・供給体制の整備、ナノインプリントなどの次世代微細加工技術の実用化に注力していく。また、昨年4月には、台湾における半導体製品用フォトマスク事業の営業・製造体制を見直した。今後も、東南アジアを中心に、変化が激しい半導体市場における競争力を高めていく。

光学フィルムについては、クリーンな作業環境で素材を加工するコンバーティング技術を活かして、薄型ディスプレイ向けを中心とした新製品開発に注力していく。

 

〔清涼飲料事業〕

(清涼飲料部門)

清涼飲料業界は、シェア争いが続くなど、今後も厳しい経営環境が予想される。そのなかで、「グローバルレベルでのブランド力を持つコカ・コーラビジネスを通して、道産子企業としての地域密着力で競合を圧倒し、常に新しい価値やサービスを提供することで地元北海道に貢献し、持続的成長可能な経営基盤を実現する」という新中期経営計画のビジョンに基づき、「シェアアップ」、「競合を圧倒する」、「グループ総コスト削減」の3つの戦略を遂行して実現に努めていく。

また、「地域に信頼され、認められる企業」を目指して、内部統制システムの構築と運用によるコーポレートガバナンスの充実及びコカ・コーラ独自の統合的なマネジメントシステムである「KORE(コア)」による品質・安全性・環境の維持向上に努めていく。

 

<生活者との接点の拡大>

DNPは、生活者の視点に立ち、生活者とのコミュニケーションを深めていくことによってさまざまな課題を捉え、その解決に向けた製品やサービスの開発に注力している。

こうした取り組みの一環として、オリジナルの広報キャラクター「DNPenguin(ディーエヌペンギン)」によるキャンペーンを平成24年から実施しているほか、平成25年1月には東京都新宿区に「コミュニケーションプラザ ドットDNP」を開設し、生活者向けの企画展示やイベント、ワークショップなどを行っている。当施設は多くの方々にご利用いただき、開設後2年間で来場者は約10万人となった。また平成25年4月には、企業や大学、研究機関などが分野を超えたコラボレーションを進めるグランフロント大阪内の複合施設「ナレッジキャピタル」に、電子書籍の試し読みなどができるコミュニケーションカフェ「The Lab. CAFE Lab.(ザ・ラボ カフェラボ)」を開設した。

 

 

<事業体制の強化>

DNPは、事業部門間の連携を一層強化してグループとしての総合力を高めるとともに、企業や生活者との対話を深めて、的確な課題解決につながる新製品・新サービスの開発を積極的に進め、幅広いソリューションを提供していく。

事業拡大に向けて、これまでも情報通信や出版流通、デジタルフォトやエレクトロニクス製品などの事業で、他社との戦略的提携やM&Aを実施してきた。今後も国内外を問わずさまざまな強みを持った企業との連携を推進していく。また、事業ビジョン「P&Iソリューション」を推進して、「未来のあたりまえを作る。」ための拠点として、東京・市谷地区の再開発を進めている。東京近郊に分散している各事業部門の企画や営業及び本社の機能をこの地区に集約し、それぞれの強みを活かして、連携を強化していく。

 

<事業継続計画(BCP)の強化>

DNPは、「DNPグループ災害対策基本規程」を定め、平時から防災計画に基づく予防対策を推進して“災害に強いDNPグループ”の構築を目指している。東日本大震災後には、事業継続計画を見直し、製品のサプライチェーン全体を強化するため、物流や代替生産の体制整備、国内外の製造拠点の再配置などを実施し、災害や異常気象による事業への影響を最小限に抑えるよう努めている。また、電力不足や電気料金の値上げなどへの対応として、節電の徹底や自家発電装置の導入なども進めていく。

 

<持続可能な社会の実現への貢献>

環境問題に関しては、気温の上昇や水不足など、世界的な気候変動に対する懸念が拡大している。DNPは、自然と共生する持続可能な社会の実現に向けて、独自の環境マネジメントシステムを構築し、地球温暖化防止、廃棄物のゼロエミッション、水使用量削減、生物多様性の保全、揮発性有機溶剤や化学物質の管理の徹底、環境配慮製品の開発、グリーン購入などに積極的に取り組んでいる。

DNPは、自社の製造段階だけでなく、間接的な排出も含めたサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量(Scope3)を国内外で算定し、温室効果ガス排出量のグローバルな削減への取り組みを行っている。また、地球温暖化防止の取り組みを一層進めるため、2030年度目標を定めた。生物多様性保全では、事業活動を行う上で生態系への依存と影響が大きく、気候変動や森林資源とも関わりが深い用紙について、調達のガイドラインを制定してサプライヤーと協働で取り組みを進めていく。さらに、自社の敷地を活用して周辺といきものがつながる緑地づくりを進めている。

このような取り組みが評価され、世界の機関投資家が関心を集めているCDPの評価で、森林破壊防止のセクターリーダーに選定された。

 

株式会社の支配に関する基本方針

 

(1) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者のあり方は、最終的には株主全体の意思に基づいて決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買収提案に応じるか否かの判断についても、最終的には、株主全体の意思に基づいて行われるべきものと考えている。

しかし、当社株式の大量買付行為の中には、大量買付者のみが他の株主の犠牲の上に利益を得るような大量買付行為、株主が買付けに応じるか否かの判断をするために合理的に必要な期間・情報を与えない大量買付行為、大量買付け後の経営の提案が不適切である大量買付行為、大量買付者の買付価格が不当に低い大量買付行為等、株主共同の利益を毀損するものもあり得る。

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方として、当社の企業理念を理解し、当社の様々なステークホルダーとの信頼関係を築きながら、企業価値ひいては株主共同の利益を中・長期的に確保・向上させることができる者でなければならないと考えている。したがって、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大量買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えている。

 

 

(2) 会社の支配に関する基本方針の実現のための取り組み

この基本方針に基づき、当社株式の大量買付けが行われる場合の手続を定め、株主が適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、大量買付者との交渉の機会を確保することで、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するために、当社は、買収防衛策を導入しており、平成25年6月27日開催の当社第119期定時株主総会において継続の承認を得た(以下、継続後のプランを「本プラン」)。本プランの概要は次のとおりである。

①  買付説明書及び必要情報の提出

株券等保有割合が20%以上となる当社株式の買付け等をする者(以下「買付者」)は、買付行為を開始する前に、本プランに従う旨の買付説明書、及び買付内容の検討に必要な、買付者の詳細、買付目的、買付方法その他の情報を、当社に提出するものとする。

②  独立委員会による情報提供の要請

下記(3)に記載された独立委員会(以下「独立委員会」)は、買付者より提出された情報が不十分であると判断した場合は、買付者に対して、回答期限(最長60日)を定めて、追加的に情報を提供するよう求めることがある。また、当社取締役会に対して、回答期限(最長30日)を定めて、買付けに対する意見、代替案等の提示を求めることがある。

③  独立委員会の検討期間

独立委員会は、買付者及び当社取締役会から情報を受領した後60日間の評価期間をとり、受領した情報の検討を行う。なお、独立委員会は、買付者の買付け等の内容の検討、買付者との協議・交渉、代替案の作成等に必要とされる合理的な範囲内(最長30日)で期間延長の決議を行うことがある。

④  情報の開示

当社は、買付説明書が提出された事実及び買付者より提供された情報のうち独立委員会が適切と判断する事項等を、独立委員会が適切と判断する時点で株主に開示する。

⑤  独立委員会による勧告

独立委員会は、買付者が本プランに従うことなく買付け等を開始したと認められる場合、又は独立委員会における検討の結果、買付者の買付け等が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を害するおそれがあると判断した場合は、当社取締役会に対して、本プランの発動(新株予約権の無償割当て)を勧告する。なお、独立委員会は当該勧告にあたり、本プランの発動に関して事前に株主総会の承認を得るべき旨の留保を付すことがある。

⑥  当社取締役会による決議

当社取締役会は、独立委員会からの勧告を最大限尊重して、新株予約権の無償割当ての実施又は不実施に関して決議する。なお、当該決議を行った場合は、速やかに、当該決議の概要の情報開示を行う。

⑦  大量買付行為の開始

買付者は、当社取締役会が新株予約権の無償割当ての不実施を決議した後に、買付け等を開始するものとする。

 

(3) 独立委員会の設置

本プランを適正に運用し、取締役の恣意性を排するためのチェック機関として、独立委員会を設置する。独立委員会の委員は3名以上とし、公正で客観的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役、又は社外の有識者の中から選任するものとし、当社社外取締役の塚田忠夫氏及び宮島司氏並びに当社社外監査役の松浦恂氏が就任している。

 

(4) 本プランの合理性

本プランは、買収防衛策に関する指針等の要件を完全に充足していること、株主意思を重視するものとなっていること、経営陣から独立した独立委員会の判断が最大限尊重されること等の点で、合理性のあるプランとなっている。そのため、本プランは、当社の上記基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、かつ、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断している。

 

なお、本プランの詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト参照。

(http://www.dnp.co.jp/ir/pdf/info_130627bouei.pdf)

 

 

4 【事業等のリスク】

DNPの業績などは、今後起こりうるさまざまな要因により、大きな影響を受ける可能性がある。これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その影響を最小限にとどめるよう努めていく。

有価証券報告書提出日現在で、DNPがリスクと判断した主な事項は、次の通りである。

 

(1) 国内外の景気と消費動向

DNPは、幅広い業種の、非常に多くの顧客企業と取引を行っており、特定の顧客に偏らない事業基盤のもとで安定的な事業活動を展開している。その市場の多くは日本国内であるが、世界経済の動向とも連動して国内景気が変動し、個人消費などの内需が低迷した場合には、受注量の減少や受注単価の下落など、業績等に影響が生じる可能性がある。

また、国内外における各業界の市場動向の影響を直接、間接に受ける可能性もある。特に、エレクトロニクス関連の業界では、新興国での生産の拡大や需要の変化、世界規模での単価の下落などが起きやすく、大幅な市場動向の変化によってDNPの業績に影響を与える可能性がある。

 

(2) 海外での事業活動

DNPが、米州や欧州、東南アジア地域などで行う海外の事業活動には、法律や規制の予期しない変更、環境法規制の強化、産業基盤の脆弱性、人材の採用や確保の困難さなどの経済的要因のほか、テロや戦争、その他の要因による社会的、政治的混乱などのリスクが存在する。こうしたリスクが顕在化することによって、海外での事業活動に支障が生じ、業績等に影響を与える可能性がある。

 

(3) 新しい製品・サービスの開発

DNPは、印刷技術や情報技術を応用して企業や生活者、社会の課題を解決する製品・サービスを開発し、幅広い分野へ提供している。これらの開発においては、技術革新のスピードが速まっており、ニーズの多様化も進んでいる。今後、国内外での開発競争が激化すると思われ、予想を上回る商品サイクルの短期化や市場動向の変化によって、業績が大きく変動する可能性がある。

 

(4) 戦略的な事業提携・資本提携および企業買収

DNPが実施する戦略的な事業・資本提携や企業買収について、提携先や買収先の企業や対象事業などを取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していた成果や相乗効果を得られない場合、DNPの業績等に影響を与える可能性がある。

 

(5) 原材料調達の変動

原材料の調達については、国内外の複数のメーカーから印刷用紙やフィルム材料を購入するなど、安定的な数量の確保と最適な調達価格の維持に努めている。しかしながら、石油価格の大幅な変動や新興国市場での急激な需要増加、大規模災害の影響や、天然資源の枯渇、気候変動などにより需給バランスが崩れる懸念もある。その際は、当社の顧客企業や取引先との交渉を通じて対応していくが、原材料調達がきわめて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合は、業績に影響を与える可能性がある。

 

(6) 為替の変動

生活・産業部門やエレクトロニクス部門を中心に海外顧客との取引が拡大しており、為替の影響は、次第にその比重が増してくると予想される。為替予約などにより相場の変動リスクをヘッジしているが、急激な為替変動があった場合には、業績への影響が大きくなる可能性がある。

 

 

(7) 環境保全及び環境関連の規制の強化

DNPは、省エネルギー対策、温室効果ガスの排出量削減などの気候変動対策、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保全、廃棄物処理、製品リサイクルなどに関して国内外の法的な規制を受けており、今後これらの規制は強化、変更される可能性がある。また、例えば有害物質による土壌汚染が発生した際に、その調査と浄化の責任を負うことが求められるなど、万一このような事態に直面した場合は、経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

(8) 情報セキュリティ及び個人情報保護

事業活動においてコンピュータネットワークや情報システムが不可欠となるなかで、ソフトウェアやハードウェアの不具合、コンピュータウィルスへの感染、個人情報の漏えいなどの発生リスクが高まっている。DNPは、情報セキュリティ及び個人情報保護を経営の最重要課題のひとつとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしているが、万一これらの事故が発生した場合には、事業活動に影響を及ぼす可能性がある。

 

(9) 法的規制の変化への対応

法と社会倫理の遵守を基本として事業を進めるなかで、製造物責任、独占禁止法、個人情報保護法、特許法、税制、輸出入関連など、国内外のさまざまな法的規制等を受けており、今後その規制が強化されることも考えられる。一方で、規制緩和によって市場や業界の動向などが大きく変化することも予想される。そのような場合、事業活動に対する制約の拡大、規制の変化に対応するための負荷やコストの増加も予想され、DNPの事業活動に影響を及ぼす可能性がある。

 

(10) 災害の発生

製造設備をはじめとした主要施設に防火・耐震対策などを施すとともに、製造拠点の分散化を図り、災害などによる生産活動の停止や製品供給の混乱を最小限とするよう努めている。また、各種保険によるリスク移転も図っている。しかしながら、大地震や気候変動にともなう暴風雨・洪水などの自然災害、感染症の流行など、社会インフラの大規模な損壊や機能低下、生産活動の停止にもつながるような予想を超える事態が発生した場合は、業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

(11) 訴訟や罰金等の発生

DNPは、事業活動において、社員一人ひとりが法令を守るだけでなく、社会が求める以上の高い倫理観を持ち、常に公正・公平な態度で秩序ある自由な競争市場の維持・発展に寄与することで、社会からの信頼を得るべく努め、グループ全体で企業倫理の浸透を図っている。しかしながら、国内外で訴訟が提起され、その結果罰金などを科される場合などにおいては、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

(1) 技術導入契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

対価

契約期間

大日本印刷株式会社
(当社)

クリクロック社

アメリカ

マルチパック・カートン
“サーチパック・カートン”の製造販売権ならびに同カートン用包装機の使用権供与

製品販売高の一定率

昭和47年1月18日から
平成28年1月17日まで

トップ・オープン式カートン“クリクロック・カートン”の製造販売権ならびに同カートン用包装機の使用権供与

同上

昭和49年1月7日から
平成29年1月6日まで

北海道コカ・コーラ
ボトリング株式会社
(連結子会社)

ザ コカ・コーラカンパニー及び
日本コカ・コーラ株式会社

アメリカ

日本

コカ・コーラ、ファンタ等の清涼飲料製品の製造・販売及び商標使用等に関する権利供与

原液購入代金

平成26年4月1日から
平成36年3月31日まで

 

 

(2) 技術供与契約

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

対価

契約期間

大日本印刷株式会社
(当社)

东旭(昆山)显示材料
有限公司

中国

液晶カラーフィルターの製造技術の供与に基づく同製品の製造販売権供与

一時金及び
製品販売高の一定率

平成27年2月26日から
平成37年2月25日まで

 

 

なお、当連結会計年度において、期間満了により終了した技術供与契約は次の通りである。

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約の内容

対価

契約期間

大日本印刷株式会社
(当社)

京東方科技集団
股份有限公司

中国

液晶カラーフィルターの製造技術の供与に基づく同製品の製造販売権供与

一時金

平成21年10月20日から
平成26年10月19日まで

 

 

(3) 事業譲渡契約等

 

①情報コミュニケーション及び包装の両事業分野における組織体制の再編に係る契約

平成26年7月1日付で、情報コミュニケーション及び包装の両事業分野において、当社及び全国に展開する子会社の組織体制の再編を実施した。これは、両事業分野における収益の確保と資本効率の向上を図ることを目的としたものである。

詳細は、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項 (企業結合等関係)」に記載している。

 

契約会社名

相手方の名称

契約年月日及び契約内容

大日本印刷株式会社

(当社)

株式会社DNP北海道

株式会社DNP東北

株式会社DNP中部

株式会社DNP西日本

平成26年5月13日、当社、当社子会社である株式会社DNP北海道、株式会社DNP東北、株式会社DNP中部及び株式会社DNP西日本は、当該各子会社の営業部門における事業について、平成26年7月1日付で吸収分割により当社が承継することを内容とした分割契約書を締結した。

当社は、本分割の対象事業に必要な一定の資産(3,990百万円)及び対象事業に属する全ての取引先との契約関係を承継した。

本分割に際して、当社は、各子会社に対し、株式その他の金銭等を交付していない。

大日本印刷株式会社

(当社)

株式会社DNP北海道

株式会社DNP東北

株式会社DNP中部

株式会社DNP西日本

株式会社DNP
グラフィカ

平成26年5月13日、当社、当社子会社である株式会社DNP北海道、株式会社DNP東北、株式会社DNP中部、株式会社DNP西日本(総称して以下「分割会社」)及び当社子会社である株式会社DNPグラフィカは、各分割会社の商業印刷関連の印刷及び製本部門における事業について、平成26年7月1日付で吸収分割により株式会社DNPグラフィカに承継させることを内容とした分割契約書を締結した。

株式会社DNPグラフィカは、本分割の対象事業に必要な一定の資産(41百万円)及び対象事業に属する全ての取引先との契約関係を承継した。

本分割に際して、株式会社DNPグラフィカは、各分割会社に対し、株式その他の金銭等を交付していない。

 

 

 

契約会社名

相手方の名称

契約年月日及び契約内容

株式会社DNP
メディアテクノ関西

株式会社DNP
グラフィカ

平成26年5月13日、当社子会社である株式会社DNPグラフィカ及び株式会社DNPメディアテクノ関西は、平成26年7月1日付で、株式会社DNPグラフィカを存続会社とし、株式会社DNPメディアテクノ関西を消滅会社とする合併契約書を締結した。

株式会社DNPグラフィカは、本合併により資産1,045百万円、負債1,415百万円を引き継いだ。

本合併は、当社完全子会社同士の合併であり、合併比率の取り決めはなく、合併対価の交付は行っていない。

株式会社DNP北海道

株式会社DNP東北

株式会社DNP中部

株式会社DNP西日本

株式会社DNP
メディアクリエイト

平成26年5月13日、当社子会社である株式会社DNP北海道、株式会社DNP東北、株式会社DNP中部、株式会社DNP西日本(総称して以下「分割会社」)及び当社子会社である株式会社DNPメディアクリエイトは、各分割会社の商業印刷関連の企画制作及び製版部門における事業について、平成26年7月1日付で吸収分割により株式会社DNPメディアクリエイトに承継させることを内容とした分割契約書を締結した。

株式会社DNPメディアクリエイトは、本分割の対象事業に必要な一定の資産(53百万円)及び対象事業に属する全ての取引先との契約関係を承継した。

本分割に際して、株式会社DNPメディアクリエイトは、各分割会社に対し、株式その他の金銭等を交付していない。

大日本印刷株式会社

(当社)

株式会社DNP北海道

株式会社DNP東北

株式会社DNP西日本

株式会社DNP
データテクノ

平成26年5月13日、当社、当社子会社である株式会社DNP北海道、株式会社DNP東北、株式会社DNP西日本(総称して以下「分割会社」)及び当社子会社である株式会社DNPデータテクノは、各分割会社のビジネスフォーム関連の製造部門における事業について、平成26年7月1日付で吸収分割により株式会社DNPデータテクノに承継することを内容とした分割契約書を締結した。

株式会社DNPデータテクノは、本分割の対象事業に必要な一定の資産(15,620百万円)及び対象事業に属する全ての取引先との契約関係を承継した。

本分割に際して、株式会社DNPデータテクノは、各分割会社に対し、株式その他の金銭等を交付していない。

株式会社DNP
データテクノ関西

株式会社DNP
トータルプロセス蕨

株式会社DNP
データテクノ

平成26年5月13日、当社子会社である株式会社DNPデータテクノ、株式会社DNPデータテクノ関西及び株式会社DNPトータルプロセス蕨は、平成26年7月1日付で、株式会社DNPデータテクノを存続会社とし、株式会社DNPデータテクノ関西及び株式会社DNPトータルプロセス蕨を消滅会社とする合併契約書を締結した。

株式会社DNPデータテクノは、本合併により資産16,423百万円、負債2,686百万円を引き継いだ。

本合併は、当社完全子会社同士の合併であり、合併比率の取り決めはなく、合併対価の交付は行っていない。

 

 

②その他の契約

 

契約会社名

相手方の名称

契約年月日及び契約内容

大日本印刷株式会社
(当社)

株式会社
トゥ・ディファクト

平成27年3月27日、当社子会社である株式会社トゥ・ディファクトの第三者割当増資を引き受ける旨の株式総数引受契約書(引受株式数60,000株)を締結し、同年4月1日、当該契約に基づき、払込を完了した。この結果、株式会社トゥ・ディファクトにおける当社の議決権所有割合は79.7%(間接所有の議決権を含め80.5%)となった。

 

 

 

6 【研究開発活動】

DNPは、新規事業の創出・新製品開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発を続けており、その活動は事業活動の原動力として機能している。

DNPの研究開発は、研究開発センター、技術開発センターの本社2センター及び事業分野の開発部門に加え、新たに設立したAB(アドバンストビジネス)センターを中心に推進している。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は31,748百万円であり、この中には基礎研究費用等の各事業部門に配分していない8,861百万円が含まれている。

当連結会計年度における各事業部門の主な研究開発とその成果は次のとおりである。

 

(1) 情報コミュニケーション部門

出版印刷分野では、リアル店舗、電子書店、ネット通販を利用できるハイブリッド型総合書店「honto(ホント)」を2010年から運営している。より多くの生活者に読書を楽しんでもらうために、2014年12月には会員登録やコンテンツのダウンロードが不要で、著者全集など、あらかじめ多くのコンテンツを収録した読書専用端末「honto pocket(ホントポケット)」を発売した。また、出版社や一般企業向けのサービスとして、タッチパネルディスプレイとカードを使った販促支援サービス「タッチコード」を開始した。タッチコードは、紙やフィルムなどに印刷でき、カードとアプリを連動させた新しいサービスが可能となる。さらに、教育・出版流通分野ではグループ会社の図書館流通センター(TRC)や丸善とともに、全国30館以上の図書館で電子書籍の貸し出しが行える「電子図書館サービス」を提供している。

セールスプロモーション分野では、“決済連動マーケティング”のメニューとして、クレジットカード会社のカード会員に向けて、流通・小売サービス業を中心とした加盟店でカードを使うと、お得になるキャッシュバッククーポンを配信できる「CLO(Card Linked Offer)サービス」を開始した。また、汎用性の高いバックエンド機能(会員管理機能、プッシュ通知機能、位置情報特定機能等)を提供し、スマートフォンやタブレット端末を利用したサービスの迅速な立上をサポートするクラウドサービス「Device Backend by Kii」を開始した。情報配信サービス「QUEMA(キューマ)」では従来の印刷物に加え、音に埋め込んだ電子透かしや、アクセスポイントが自らの存在を知らせるために発する無線信号“ビーコン”を受信する機能を追加し、チラシだけでなく店内放送などの多様な情報メディアを連動させたO2O(Online to Offline)プロモーションを実現した。また、クラウド上で紙メディアと各種デジタルメディアのコンテンツを制作できる「DNP販促ツール制作支援システムPROMAX NEO」を開発した。

カード・セキュリティ分野では、日本ユニシスとの連携により多様なキャッシュレス決済を実現する、クラウド基盤を活用した「国際ブランドプリペイド」の汎用型決済プラットフォームを共同開発し、カード発行会社へのサービス提供を開始した。決済やポイントなどのサービスをスマートフォンで一元管理するクラウド型の「DNPモバイルWalletサービス」では、企業独自の前払い(ハウスプリペイド)サービスにクレジット決済で入金する機能を追加した。また、内部関係者による情報漏えいを未然に防止するための情報漏えい対策システムと非接触ICカード入退室管理システムを開発した。さまざまな偽造防止印刷技術を積極的に開発してきたが、目視で真贋判定する偽造防止印刷の新しい技術として、切る、折り曲げる、引っ掻くなどの圧力を印刷面にかけると発光するインキを開発し、「応力発光印刷」を世界で初めて実用化した。

当部門に係る研究開発費は9,350百万円である。

 

(2) 生活・産業部門

包装分野では、材料開発技術・製品開発技術・システム開発技術を基盤技術として、生活者および企業の求める製品の創出に取り組んでいる。これらの技術を融合した高機能・高付加価値製品をはじめ、植物由来の原料で製造したバイオマスポリエチレンと森林管理協議会(FSC:Forest Stewardship Council)の森林認証紙を使用した製品を含めた「バイオマテック」シリーズ等の環境配慮製品の開発を推進している。

 

住空間マテリアル分野では、DNP独自のコアテクノロジーであるEB(電子線:Electron Beam)技術を用い、“快適な暮らし”を指向した環境配慮製品の開発に取り組んでいる。環境・エネルギー、健康・快適、高齢化などの課題にも対応し、機能性と信頼性に優れた製品やシステムの開発に加え、産・官・学の共創で“未来の住まい”を実現する新たな製品・サービスを開発する「DNPすまいみらい研究所」を10月に開設するなど、多彩なソリューションを提供している。また、EB技術を応用して、自動車部材用途を中心とし、プラスチックに新たな機能を付与する成型システムの開発を推進している。

情報記録材分野では、写真の楽しさや利便性を生活者に提供する製品・サービスの拡充に向けた開発を継続している。従来機より省スペース化、高速・高画質化・省エネ化を進めた新しい昇華型プリンターおよびプリントシステムを開発・リリースした。野球の試合やイベント等で撮影後に即時発行するハイライト写真販売のサービスや、設置場所のご当地キャラクターや風景と合成して撮影・プリントするシステム「写Goo!」のサービスを開始した。

エネルギーシステム分野では、太陽電池パネルの高効率化や信頼性向上、コストダウンの実現に向けて、コンバーティング技術を活用した封止材やバックシート等の太陽電池用部材の開発を継続した。蓄電池分野においては、タブレット端末や携帯機器、車載用機器などのさまざまな用途で採用が進むリチウムイオン電池向けに、高い信頼性を備えたソフトパック部材の技術開発を推進した。

当部門に係る研究開発費は3,218百万円である。

 

(3) エレクトロニクス部門

電子デバイス分野では、半導体向け光リソグラフィ用先端フォトマスク、EUVリソグラフィ用マスク、ナノインプリントリソグラフィ用テンプレートの開発を継続するとともに、ナノレベルの微細加工技術を応用し、配光制御用の新規光学部材や細胞培養プレート等、バイオ・医療関連部材の開発を推進している。

ディスプレイ関連分野では、市場ニーズに対応し、種々の液晶ディスプレイ用の光学フィルム(アンチグレアフィルム、ローリフレクションフィルム)の開発を継続するとともに、高演色化、ハイダイナミックレンジ化の商品トレンドに対応し、新規バックライトユニットや開発の染料系カラーレジストを用いたカラーフィルターの開発を推進している。タッチパネルについては、スマートフォンやタブレット端末向けのカバーガラス一体化型タッチパネル開発を継続するとともに、大型ディスプレイ向けには、ナノレベルの極細銀ワイヤーを使用し、電気特性と視認性を両立させた透明電極シートの開発を推進している。

当部門に係る研究開発費は10,318百万円である。

 

(4) 清涼飲料部門

該当事項はない。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針と収益の認識

DNPの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されている。連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の貸借対照表計上金額並びに当連結会計年度における収益・費用の損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要がある。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。DNPの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて135億円増加し、1兆4,621億円(前期比0.9%増)となった。

売上原価は、前期に比べて68億円増加して1兆1,829億円(前期比0.6%増)となり、売上高に対する比率は前期の81.2%から80.9%となった。販売費及び一般管理費は、前期に比べて86億円増加して2,309億円(前期比3.9%増)となり、この結果、営業利益は前期に比べて19億円減少して481億円(前期比3.8%減)となった。

営業外収益は、持分法による投資利益の増加等により前期に比べて20億円増加して125億円(前期比19.3%増)となり、営業外費用は、前期に比べて3億円減少して69億円(前期比5.1%減)となった。この結果、経常利益は前期に比べて4億円増加して537億円(前期比0.9%増)となった。

特別利益は、投資有価証券売却益の増加等により、前期に比べて25億円増加して48億円(前期比109.0%増)となり、特別損失は、固定資産除却損等が減少した一方、事業統合損失43億円が発生したこと等により、前期に比べて5億円増加して75億円(前期比7.8%増)となった。

この結果、当期純利益は269億円(前期比5.0%増)となった。1株当たり当期純利益は、前期に比べて2円増加して41.81円となった。

 

(3) 財政状態及びキャッシュ・フロー

当連結会計年度末(以下「当期末」)の財政状態については、総資産は、投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末(以下「前期末」)に比べて2,347億円増加して1兆8,094億円(前期末比14.9%増)となった。

負債は、繰延税金負債の増加等により、前期末に比べて870億円増加して6,853億円(前期末比14.5%増)となった。

純資産は、その他有価証券評価差額金の増加等により、前期末に比べて1,477億円増加して1兆1,240億円(前期末比15.1%増)となった。

この結果、自己資本比率は前期末の59.2%から59.6%となり、当期末の1株当たり純資産額は、前期末に比べて227.68円増加して1,675.63円となった。

 

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況  1 業績等の概要  (2)キャッシュ・フローの状況」に記載している。なお、当期の期末配当金については、1株につき16円としたことにより、中間配当金16円とあわせて、年間配当金は1株につき32円となった。