当期におけるわが国経済は、金融政策や財政政策などを背景に、雇用・所得環境は改善し、外需企業を中心に業績の回復が見られるなど、全体としては緩やかな回復基調が続いた。一方で、個人消費の伸び悩みや中国経済の減速をはじめとする海外景気の下振れなど、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移している。
印刷業界においては、インターネット広告を中心に企業の広告宣伝費は拡大した一方、出版市場は依然として縮小傾向にある。また、円安に伴う原材料価格の上昇、異業種・異業態にわたる競争激化に伴う単価下落などがあり、全体を通しては厳しい経営環境となった。
このような環境のなかでトッパングループは、21世紀の企業像と事業領域を定めた「TOPPAN VISION 21」に基づき、「グループを含めた構造改革の遂行」、「新事業・新市場の創出」、「グローバルな事業展開の加速」を重要な経営課題と位置付け、グループ一体となって収益体制の強化に取り組んできた。新たな収益モデルを早期確立すべく、既存事業においては競争優位性の確立とコスト削減を推進し、新規事業においては成長分野に対して積極的に経営資源を投入してきた。
以上の結果、当期の連結売上高は前期に比べ0.3%減の1兆5,269億円となった。また、連結営業利益は14.4%増の408億円、連結経常利益は20.0%増の452億円、連結当期純利益は10.9%増の228億円となった。
セグメントの業績を示すと、次のとおりである。
① 情報コミュニケーション事業分野
セキュア関連では、ICカードは需要が一段落し前年を下回ったものの、専門的な人材や高度なセキュリティ環境を活かしたBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)は増加した。また、金融機関が店頭でICキャッシュカードを発行し、顧客にその場で渡すことのできる店頭即時発行サービスの採用が拡大するなど、全体として前年を上回った。
ビジネスフォーム関連では、ビジネスフォームは、企業のシステム変更に伴う帳票改訂や周辺印刷物を取り込んだものの、電子化に伴う需要量の減少や消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減の影響などにより、前年を下回った。データ・プリント・サービスは、プリント業務一括アウトソーシングの取り込みなどにより、前年を上回った。
マーケティング関連では、チラシ、パンフレット・カタログなどの一般印刷物は前年を下回ったものの、POP広告(店頭・店内向けの購買時点広告)などのSP関連ツールは増加し、全体として前年を上回った。電子チラシサイト「Shufoo!(シュフー)」は、得意先のWebプロモーション施策強化に伴い順調に拡大したが、更なる事業拡大に向け、大学と連携したユーザー行動の予測に基づくコンテンツ配信の検討や、チラシのメタデータを活用したサービスの実証実験など新たな取り組みを推進している。
コンテンツ関連では、出版市場が依然として縮小するなか、雑誌・書籍ともに前年を下回った。一方でデジタルコンテンツにおいては、無線LANを活用してコミックなどのコンテンツ閲覧サービスを図書館や病院に提供するなど新たな取り組みを強化している。また株式会社BookLiveにおいては「Shufoo!(シュフー)」へ主婦向けオリジナル4コマ漫画コンテンツの提供を開始するなどグループ内での連携強化を進め、更なる事業拡大に注力している。
以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前期に比べ1.4%増の9,324億円、営業利益は17.4%増の482億円となった。
② 生活環境事業分野
パッケージ関連では、消費税増税後の回復に遅れが出たものの、市場の環境意識の高まりやライフスタイルの変化に伴う利便性向上、賞味期限延長などの多様なニーズを取り込み、全体としては堅調に推移した。軟包装材は、透明バリアフィルム「GLフィルム」を活用したレンジ包材などの取り込みにより増加した。また、第38回木下賞を受賞した空気の力で自立する口栓付き液体製品用スタンディングパウチ「エアホールドパウチ」や環境配慮型製品である紙製飲料缶「カートカン」なども拡大した。
以上の結果、生活環境事業分野の売上高は前期に比べ0.7%増の2,854億円、営業利益は43.7%減の63億円となった。
③ マテリアルソリューション事業分野
ディスプレイ関連では、カラーフィルタは、中小型サイズはスマートフォンなどのモバイル向けを中心に増加したものの、テレビ向けは減少し、前年を下回った。
半導体関連では、フォトマスクは、新興国向けスマートフォンを中心に半導体市場が堅調に推移するなか、海外の先端品拡販に努め、前年を上回った。高密度半導体パッケージ基板のFC-BGA基板は、国内外の需要を積極的に取り込み、前年を上回った。
高機能・エネルギー関連では、太陽電池関連部材は、厳しい市場環境の影響を受け前年を下回った。
建装材関連では、「トッパンエコシート」などの環境配慮型製品の積極的な販売展開を行い、欧米は好調に推移したものの、国内は消費税増税前の駆け込み需要の反動の影響により減少し、前年を下回った。
以上の結果、マテリアルソリューション事業分野の売上高は前期に比べ4.7%減の3,500億円、営業利益は26.1%増の115億円となった。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ482億円(16.8%)増加し3,359億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ139億円(11.8%)減少し1,041億円となった。これは、未払又は未収消費税等の増減額が94億円増加したものの、売上債権の増減額が193億円減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により使用した資金は、前連結会計年度に比べ380億円(35.0%)減少し706億円となった。これは、投資有価証券の取得による支出が226億円減少したこと、有価証券の売却による収入が202億円増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、98億円となった。これは、配当金の支払額が116億円あったものの、社債の発行による収入が199億円あったことなどによるものである。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
情報コミュニケーション事業分野 | 921,763 | 1.5 |
生活環境事業分野 | 275,365 | 1.1 |
マテリアルソリューション事業分野 | 335,287 | △3.5 |
合 計 | 1,532,417 | 0.3 |
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。
2 上記金額には、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
情報コミュニケーション事業分野 | 918,889 | 0.7 | 47,431 | 3.2 |
生活環境事業分野 | 274,908 | 0.3 | 70,002 | 1.0 |
マテリアルソリューション事業分野 | 333,997 | △2.9 | 17,126 | △7.0 |
合 計 | 1,527,796 | △0.2 | 134,560 | 0.7 |
(注) 1 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。
2 上記金額には、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
情報コミュニケーション事業分野 | 917,422 | 1.1 |
生活環境事業分野 | 274,215 | 0.6 |
マテリアルソリューション事業分野 | 335,277 | △4.8 |
合 計 | 1,526,914 | △0.3 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 相手先別販売実績については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略している。
3 上記金額には、消費税等は含まれていない。
今後の当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻く経営環境を展望すると、わが国経済は、各種政策の効果が下支えするなか、緩やかな回復が続くことが予想されるが、米国の金融政策正常化に向けた動きの影響や欧州の政府債務問題、中国や新興国経済の先行きなどによっては、景気が下振れするリスクも懸念される。印刷業界においては、企業の広告宣伝費は引き続き回復傾向で推移すると見込まれるが、出版市場をはじめとする既存の印刷市場は依然として成熟傾向にある。また、円安に伴う原材料価格の上昇など収益面での下振れリスクも懸念され、引き続き厳しい経営環境が予想される。このような環境のなか、当社はグループ一体となり、「TOPPAN VISION 21」に基づき、さらなる発展を図っていく。
また、当社グループは、企業の社会的責任(CSR)を果たす取り組みを通じて、経済的側面の追求と同時に、社会的・環境的側面にもバランスよく取り組み、これまで以上に社会から信頼される強い企業グループへの成長を目指していく。中期的な経営課題としては、グループを含めた構造改革の遂行、新事業・新市場の創出、グローバルな事業展開の加速を重要な経営課題と位置づけ、次の施策を展開していく。
(1) グループを含めた構造改革の遂行
グループを含めた構造改革の遂行については、重複事業の再編、不採算事業の精査を行うとともに、間接部門を含めた生産性向上と人員の最適化を推進していく。
(2) 新事業・新市場の創出
新事業・新市場の創出については、新しいビジネスの創造に注力し、トッパングループの持続的な成長を図っていく。
平成27年4月にマテリアルソリューション事業本部から高機能・エネルギー関連事業及び建装材関連事業を切り出し、生活環境事業本部と統合させ、生活・産業事業本部を新設した。特に透明バリアフィルムにおいては、エレクトロニクスに関連した新規用途の開発や新市場の開拓を実現してきたが、今後はパッケージのコンバーティング技術を最大限に活用することで、生活資材と産業資材の新商品開発の加速と販売体制の強化を図っていく。
また、高セキュリティに対応したトッパングループ・データセンターを活用し、高度な情報保護が求められる各種セキュア関連の事業やBPO需要の獲得を目指すとともに、企画力やICTなどを駆使したトータルソリューションの提供により、お客さまの課題解決に貢献していく。その一例として、ICT教育支援システムの提供により教育現場の情報化対応と21世紀にふさわしい学びの場作りを支援していく。
さらに、平成26年4月に竣工した群馬センター工場は、包装材生産拠点の基幹工場として本格的に稼動を開始し、クリーンな生産環境や高度な品質管理体制などの特長を活かして、最先端の包装材を提供していく。
加えて、エネルギーソリューションや燃料電池部材、オーダーメイド医療用の遺伝子解析システムなど、「印刷テクノロジー」を応用した取り組みの早期事業化を目指す。
(3) グローバルな事業展開の加速
グローバルな事業展開の加速については、セキュアやパッケージ関連など技術優位性を持つ事業を中心に、旺盛な海外需要に対応していく。
セキュア関連においては、海外向け製品ラインアップの充実や、セキュア媒体とICTの組み合わせにより早期実績化を図っていく。
マーケティング関連においては、中国の広告市場をはじめとする海外需要の取り込みを図り、訪日観光客の増加に伴う新たな市場へのアプローチを強化していく。
パッケージ関連においては、平成28年3月に米国に透明バリアフィルムの生産拠点として新工場を竣工する予定であり、現地有力企業とのアライアンスなども視野に、グローバルな生産・販売体制の構築により事業の速やかな立ち上げを図っていく。
(4) 会社の支配に関する基本方針
① 株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社においては、当社の社会的使命を十分に理解し、専門性の高い業務知識や営業ノウハウを備えた者が取締役に就任し、法令及び定款の定めを遵守しつつ当社の財務及び事業の方針の決定に携わることが、当社及び当社株主共同の利益に資するものと考えている。
② 不適切な者による支配の防止のための取組みの概要
当社取締役会は、不適切な者による当社の支配を防止する観点から、当社の株式に対する買収提案がなされた場合、その内容が妥当か否かを当社株主が適切に判断できるよう、大規模買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠であると考える。
そのため、平成19年6月28日開催の第161回定時株主総会の決議によって、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為を行おうとする者に対して、事前に当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、当社取締役会が当該情報を検討するために必要である一定の評価期間が経過した後にのみ大規模買付行為を開始できることを要請する「大規模買付者による情報提供及び当社取締役会による対抗措置の発動に関するルール」の導入を決定している。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限に尊重したうえで、当社及び当社株主全体の利益を守ることを目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律及び当社定款により認められる対抗措置をとり、当該大規模買付行為に対抗する場合がある。
また、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当社取締役会の評価として当該大規模買付行為が当社及び当社株主全体の利益を著しく損なうと判断した場合には、同様に対抗措置をとることがある。
なお、当該ルールは、有効期限の到来に伴い、平成22年6月29日開催の第164回定時株主総会及び平成25年6月27日開催の第167回定時株主総会において、その更新を決議している。
③ 上記②の取組みについての取締役会の判断
当社取締役会は、上記②の取組みが上記①の基本方針に沿って策定され、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保するための取組みであり、当社株主全体の利益を損なうものではないと考える。
また、当社は、取締役会によって恣意的な判断がされることを防止し、判断の合理性及び公正性を担保するために、当社取締役会から独立した機関として特別委員会を設置している。上記②の取組みには、新株予約権無償割当等、会社法その他の法律及び定款により認められる対抗措置をとる場合には特別委員会の勧告を最大限尊重し、当社及び当社株主の共同の利益を守ることを目的とすることが定められており、取締役の地位の維持を目的とするものではない。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。
(1) 印刷事業の特性
印刷業は、情報技術とネットワーク化の進展による市場環境変化の中で、新事業領域の創出と価格競争力の強化が求められている。新たな事業領域において売上を拡大することができず、価格競争力向上のための原価削減施策が不十分であった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(2) エレクトロニクス事業分野の特性
当社グループにおけるエレクトロニクス事業分野は、主に液晶カラーフィルタ、反射防止フィルムなどのディスプレイ関連事業とフォトマスクなどの半導体関連事業からなっている。
この事業は最先端の技術開発と市場への的確な対応により、収益が期待できる事業であるが、製品ライフサイクルの短期化や技術動向の進展が想定以上に進んだ場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
また、事業全体の特性として、特定得意先への依存度が高くなる傾向があるが、このような安定得意先との取引関係が強みでもあると考えている。しかしながら、こうした一部の得意先との間で発生する、製品の価格水準、製品の量と種類、支払遅延もしくは不払い、ないしは支払条件の不利な変更などの要因により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(3) 事業の発展を支える人材の確保
当社グループが将来にわたり事業を発展していくためには、既存製品における高品質化と、高度な新技術導入による新製品・新サービスの開発が重要であると認識している。
そのためには、高度な技術力・企画提案力を有した優れた人材が不可欠である。当社グループは計画的な人材の採用と育成に向けた教育に注力しているが、優秀な人材を確保または育成できなかった場合には、当社グループが将来にわたって成長し続けていくことができない可能性がある。
(4) 厳しい市場競争及び価格競争
当社グループは、継続的に新製品や新サービスを開発・販売するとともに、既存製品のコストダウンに努めている。しかし、競合関係にある企業との製品開発競争や価格競争が近年激しくなっており、当社グループの製品及びサービスが市場における優位性を維持できない場合や、激しい競争によって価格の下落を招いた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 設備投資に伴う影響
当社グループは営業キャッシュ・フロー、社債の発行及び銀行融資等により必要資金を賄い、設備投資を行っている。このような設備投資には、市場環境の変化により投資決定時に比べ投資回収期間が長期化する、過大な償却費負担が業績を圧迫する、大規模な設備投資が総資産利益率を引き下げる、資金調達に伴う金利支払が利益率を引き下げる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(6) 円滑な資金調達
当社グループは事業の拡大や、急速な技術革新に対応するために設備投資を必要としている。設備投資に向ける資金調達については、事業計画に基づき外部から調達する場合もあるが、金利情勢の大幅な変化等により適正な条件で必要十分な追加資金を調達することができない可能性がある。
(7) 海外事業に伴うリスク
当社グループは、米国をはじめ中国、東南アジア地域、欧州においても事業活動を行っている。将来的にも、開発途上国を含む海外の国で新たに事業を展開する可能性があり、海外事業を推進するにあたっては、下記のような固有のリスクが存在すると認識している。
・技術的インフラが十分な水準に達していないために生産その他事業活動に影響を及ぼし、製品やサービスが得意先に受け入れられない可能性
・政治及び経済面における不安定さ
・予期しない法律や規制の変更(税制を含む)
・為替相場の変動
・貿易の制限や関税率の変更
・疫病及び大規模な災害の発生の可能性
(8) 戦略的提携、投資及び企業買収
当社グループは他社との戦略的提携、合弁事業、投資を通して、多くの事業を推進しており、将来においても、他の企業を買収する可能性がある。このような活動は、新技術の獲得、新製品の発売、新規市場参入のためには重要である。しかし、様々な要因により、提携関係を継続できない場合や、当初期待した効果を得られない場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
(9) 生産活動に伴うリスク
生産活動においては、品質管理上、十分な注意を払いすべての製品について製品事故やクレームを発生させないための対応を図っているが、将来にわたっては製品事故が発生することで業績に影響を及ぼす可能性がある。また、新工場の立ち上げや移設に伴う製造ラインの変更・改善に際し適切に対応できなかった場合には、得意先に対する製品納入の遅れや工場の生産性の低下により、販売の落込みにつながる可能性がある。
(10) 外部生産委託
当社グループは、主として印刷関連事業において生産数量、生産時期、納期などの要因により、必要に応じて外部製造業者に生産を委託している。外部委託先に自然災害や不慮の事故が発生した場合には、製品納入の遅れや製品の欠陥といった製造上の問題が発生する可能性がある。
(11) 主原材料の確保
当社グループは、事業に使用する用紙、インキ、ガラスといった特定の原材料の大半を外部メーカーから調達している。事業活動を維持するためには、十分な量の原材料を適正な価格で安定的に確保することが重要であるが、外部メーカーからの供給量の大幅な不足や納期の遅延、原材料価格の高騰などが起こる可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(12) 退職給付債務
当社グループの従業員に対する退職給付債務及び費用は、当社グループが適用している退職慰労金及び企業年金制度に基づき算出されている。当社グループは年金財政の安定化のため、代行部分の返上に伴う企業年金制度の見直し及び特別掛金の一括拠出などを行ったが、今後、経済環境等の変動により計算の前提となる割引率、年金資産の長期期待運用収益率などの条件に変更が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
(13) 市場性のある有価証券における時価の変動
当社グループは、市場性のある有価証券を保有している。したがって、株式市場及び金利相場等の変動によっては、有価証券の時価に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
(14) 外国為替相場の変動
国内印刷市場の成熟化が進んでいるなか、海外市場での事業が拡大しているが、海外現地法人において現地通貨で取引されている収支の各項目は、連結財務諸表を作成する際に円に換算されるため、結果として換算する時点での為替相場の変動に影響される可能性がある。
また、為替相場の変動は、当社グループが現地で販売する製品の価格や、現地生産品の製造・調達コストや、国内における販売価格にも影響を与えることが想定される。そのような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(15) 知的財産の保護
市場における競争力強化のためには革新的な製品やサービスを開発する必要があり、特許を含む知的財産は競争力の重要な要素である。当社グループは、特許、商標、その他の知的財産権の組み合わせにより、自社開発技術の保護に努めているが、次のリスクが存在すると認識している。
・当社グループの申請中の特許が認められない可能性
・当社グループの知的財産の不正使用ないし侵害を防ぐための対応が成功しない可能性
・当社グループの技術等が、他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性
当社グループの知的財産が干渉を受けた場合、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性がある。
(16) 環境法規制の影響
国内外において、国や地方自治体の法律及び規制により、有害物質の不適切な使用・廃棄やそれに起因する土壌汚染、大気汚染等の環境汚染に関して、重大な責任が発生する可能性がある。当社グループの製造工程及び研究開発においては、特定の有害物質を使用し、廃棄物を管理する必要があり、適用される規制を守るために厳重な注意を払っている。しかし、このような物質に起因する偶発的な汚染や放出、及び、その結果としての傷害を完全に予測することは困難であり、万一発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性がある。
(17) 情報セキュリティ
当社グループは、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、事業の一環として得意先から預託された機密情報や個人情報の収集・保管・運用を行っている。これらの情報管理には万全な方策を講じているが、万一当社グループの社員や業務の委託会社等が情報を漏洩もしくは誤用した場合には、企業としての信頼を失い、業績に影響を及ぼす可能性がある。
(18) 自然災害、事故災害及び疫病に関するリスク
当社グループでは、事業所における耐震対策や定期点検、防災訓練等の取り組みを実施しているが、地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害及び疫病が発生した場合、事業所の設備や従業員等が大きな被害を受け、その一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性がある。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
(1) 技術導入契約
契約会社名 | 契約先 | 契約の内容 | 契約発効日 | 技術料 |
凸版印刷㈱ | ショーリー コーポレーション (アメリカ) | 滅菌及び非滅菌包装用液体容器並びに充填装置の製造に関する技術 | 昭和59年8月24日 | 毎年一定額 |
〃 | インターメック アイピー (アメリカ) | RFIDインサート及びRFIDタグに関する技術 | 平成17年9月1日 | 売上高に対し一定率 |
〃 | EI デュポン ドゥ ヌムール アンド カンパニー (アメリカ) | 太陽電池バックシートに関する技術 | 平成20年7月21日 | 頭金及び 売上高に対し一定率 |
(2) 技術供与契約
契約会社名 | 契約先 | 契約の内容 | 契約発効日 | 技術料 |
凸版印刷㈱ | バルザース プロセス システムズ GmbH (ドイツ) | 成膜プロセスに関する技術 | 平成11年12月6日 | 売上高に対し一定率 |
〃 | エイブリイ デニソン コーポレーション (アメリカ) | 低抵抗導電膜に関する技術 | 平成13年3月29日 | 同上 |
〃 | スマート パッケージング ソリューションズ (フランス) | 複合ICカード及び複合ICモジュールに関する技術 | 平成18年9月1日 | 同上 |
〃 | 上海普麗盛包装股份有限公司 (中国) | カートカン製造装置の製造技術・ノウハウ | 平成25年4月2日 | 頭金及び販売台数に対し一定金額 |
(3) 技術導入契約の終了
契約会社名 | 契約先 | 契約の内容 | 契約発効日 | 契約終了日 |
凸版印刷㈱ | CP8テクノロジー (フランス) | ICカードの製造使用に関する技術 | 平成4年 | 平成26年 |
〃 | ミカエル ヘラフ マシーネン ファブリケ GmbH (ドイツ) | アセプティック包装に関する技術 | 平成5年 | 平成26年 |
(4) 株式譲渡契約
当社は、平成27年2月12日開催の取締役会において、当社の特定子会社である台湾凸版国際彩光股份有限公司の保有株式をすべて友達光電股份有限公司に譲渡することを決議のうえ、同日付で株式譲渡契約を締結し、平成27年4月20日に譲渡した。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりである。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進している。
当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っている。各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての開発を各研究開発部門と進めている。また、次世代商品系分野についても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めている。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は19,083百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりである。なお、研究開発費については、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究にかかる費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載している。
(1) 情報コミュニケーション事業分野
セキュア関連では、株式会社村田製作所と共同でPUF(※1)技術を搭載した世界最小(W3.2mm×D3.2mm×H0.7mm)のICタグを開発し、小型電子機器の真贋判定向けにサンプル出荷を開始した。
また、大手銀行では初めてとなる、株式会社三井住友銀行による新規口座開設時のキャッシュカードの即時発行開始に伴い、当社は、システム全体の構築を担当する日本電気株式会社と連携し、主に即時発行が可能なカード発行機とソフトウェアを開発した。
マーケティング関連では、国内最大級の電子チラシポータルサイト「Shufoo!(シュフー)」において、国立大学法人京都大学大学院情報学研究科 新熊亮一准教授とともに、電子チラシの「次世代レコメンド配信サービス」を共同開発した。
また、BLE(※2)ビーコン(低消費電力の近距離無線技術BLEを利用した通信機器)を活用し、表示言語が自動で瞬時に切り替わるインバウンド向けデジタルサイネージシステムを開発した。
VR(バーチャルリアリティ)については、8Kを超えるリアルタイム生成映像出力を実現する高解像度・多画面対応型VR技術を開発した。「2014年国際放送機器展」では、本技術を用いた12KVRコンテンツが世界で初めてインタラクティブ上演された。
(2) 生活環境事業分野
包装関連では、空気の力で自立する口栓付き液体製品用スタンディングパウチ「エアホールドパウチ」が、日本包装技術協会の主催する「第38回木下賞 改善合理化部門」を受賞し、粉末衣料用洗剤「アタック高活性バイオEX つめかえパック」が、「第38回木下賞 研究開発部門」を受賞した。
また、当社と東洋紡株式会社の共同開発品であるメカニカルリサイクルPET(※3)フィルムを用いた、透明ハイバリアフィルム「GLフィルム」(※4)及びアルミ蒸着フィルムを、世界で初めて開発した。
さらに、世界初となる紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池「マグボックス」を、古河電池株式会社と共同で開発した。当社が「マグボックス」の紙製容器であるセル外装材ならびに外箱の開発・製造を、古河電池が「マグボックス」の開発・製造を行うことで共同開発を推進し、古河電池より販売を開始した。
バリアフィルムでは、透明バリアフィルム「GLフィルム」「PRIME BARRIER(プライムバリア)」に続く、新たな軽包装向けバリアフィルム「FRESHLIGHT(フレッシュライト)」を製品化した。第一弾として、高湿度下でもバリア性能を保持できるコーティングフィルム「FRESHLIGHT OPPタイプ」を開発し、サンプル出荷を開始した。
また、「GLフィルム」が使用されている「レンガ型アルミレス紙パック飲料容器」が、株式会社伊藤園が展開する野菜飲料の主力ブランド「充実野菜」の200ml紙パックに採用され、伊藤園、日本製紙株式会社と共同で、リデュース・リユース・リサイクル推進協議会が主催する「平成26年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰 農林水産大臣賞」を受賞した。
(3) マテリアルソリューション事業分野
プリンテッドエレクトロニクス(※5)分野では、線幅とその間隙をそれぞれ10μm(マイクロメートル:10のマイナス6乗メートル)で形成する導電性材料による微細印刷技術を確立した。センサーや回路の高密度化・小型化が可能となり、小型軽量が求められるウェアラブル端末のほか、偽造防止等、プリンテッドエレクトロニクス以外の分野への応用も検討を進め、平成29年度までに実用化を目指す。
また、従来、パソコンやタブレット端末などのモバイル機器向けに提供していた、小型から中型(10インチから27インチ)対応の静電容量方式の銅タッチパネルモジュールに加え、デジタルサイネージや電子黒板など大型モニター向けに55インチ銅タッチパネルモジュールを開発し、量産体制を確立した。
(4) その他
ライフサイエンス分野では、シスメックス株式会社とともに、当社の連結子会社である株式会社理研ジェネシス(※6)に出資し、個別化医療における遺伝子検査事業の発展のため、相互に協力していくことに合意した。
また、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルから、全自動でがん遺伝子の変異型の検出を行う小型全自動遺伝子解析システムを開発した。FFPEサンプルから直接、DNAを分離して取り出し、かつ遺伝子検査までの全工程を自動化するのに成功したことで、現状、主に検査センターや一部病院検査室で行われている検査が、誰でも簡便に行えるようになり、検査時間も約2時間と、従来の約4分の1に大幅に短縮される。
エネルギー分野では、富士通株式会社、株式会社三菱総合研究所の協力のもと、環境省「平成26年度HEMS(※7)活用によるCO2削減ポイント構築推進事業」に参画した。家庭内のエネルギー消費実態からCO2削減行動を自動で評価するシステムを開発し、本事業の実証に活用している。
さらに、北九州スマートコミュニティ創造事業において、自立的なビジネスモデルの構築に向けた家庭向けエネルギー情報サービスに関する実証実験を、平成26年度も実施することで、地域全体のピークオフ効果及び地域経済効果を検証し、またエネルギーサービスの提供事業者のマーケティングなどへの活用における有効性の確認を行った。
電子ペーパーでは、東北大学災害科学国際研究所と共同で、大型電子ペーパー掲示板を活用した地域情報連携に関する研究を開始した。平時及び災害時に、住民に的確な情報入手を促進させる新たな情報伝達の仕組みについて研究を行い、地域防災・減災に向けた情報伝達のあり方の実地検証を平成27年度から実施する予定である。
また、プリンテッドエレクトロニクス技術の活用により、フレキシブル薄膜トランジスタを実現する印刷プロセス技術を確立し、薄く、軽く、かつ曲げることができるフレキシブル電子ペーパーを開発した。さらにはカラーフィルタ技術の活用により、部分的なカラー化も実現し、このフレキシブル電子ペーパーを使用した「レール型電子棚札」を試作開発した。
(※1)PUF:Physical Unclonable Function
(※2)BLE:Bluetooth Low Energy
(※3)メカニカルリサイクルPET:使用済みPETボトルを粉砕・洗浄した後に高温で溶融・減圧・ろ過などを行い、再びPET樹脂に戻したもの
(※4)GLフィルム:当社が独自に開発した透明蒸着ハイバリアフィルムの総称
(※5)プリンテッドエレクトロニクス:印刷技術を利用して電子回路などのエレクトロニクス製品を生産すること。
(※6)株式会社理研ジェネシス…独立行政法人理化学研究所が培った遺伝子解析技術を基盤として、株式会社理研ベンチャーキャピタルと当社の共同出資によって平成19年に設立。
(※7)HEMS:Home Energy Management System
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、51億円(0.3%)減の1兆5,269億円となった。既存市場の成熟に伴い、チラシ・パンフレット、雑誌・書籍などの印刷物が減少したものの、BPOやSP関連ツールの拡大、市場の環境意識の高まりやライフスタイルの変化に伴う利便性向上、賞味期限延長などの多様なニーズを取り込んだ各種包材の伸長などにより、情報コミュニケーション事業分野、生活環境事業分野は増収となった。一方で、㈱トッパンNECサーキットソリューションズの売却に伴うプリント配線板の減少などにより、マテリアルソリューション事業分野は減収となった。
営業利益は、前連結会計年度に比べ51億円(14.4%)増の408億円となった。各セグメントとも円安に伴う原材料価格の上昇や、単価下落の影響を受けたものの、情報コミュニケーション事業分野、マテリアルソリューション事業分野は、各種コストダウン施策に努めた結果、増益となった。生活環境事業分野は、群馬センター工場立ち上げに伴う移設費等の一時的な費用増の影響などにより、減益となった。
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、為替差益の増加などの影響により、前連結会計年度に比べ23億円増加した。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ75億円(20.0%)増の452億円となった。
特別利益から特別損益を差し引いた純額は、関係会社株式売却益の減少などの影響により、前連結会計年度に比べ18億円減少した。この結果、当期純利益は前連結会計年度に比べ22億円(10.9%)増の228億円となった。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度に比べ2,822億円増加し1兆9,946億円となった。これは投資有価証券が1,700億円、有価証券が403億円、現金及び預金が267億円、それぞれ増加したことなどによるものである。
負債は、前連結会計年度に比べ1,125億円増加し9,117億円となった。これは繰延税金負債が664億円、社債が246億円、支払手形及び買掛金が85億円、それぞれ増加したことなどによるものである。
純資産は、前連結会計年度に比べ1,697億円増加し1兆828億円となった。これはその他有価証券評価差額金が1,174億円、退職給付に係る調整累計額が164億円、利益剰余金が94億円、それぞれ増加したことなどによるものである。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況」の「1 業績等の概要」の「(2)キャッシュ・フロー」に記載している。