当連結会計年度は、当社グループは、中長期の持続的成長を図るため、昨年5月に発表しました中期経営計画において、半導体装置、FPD装置、映像、マイクロスコープ・ソリューション、産業機器、メディカルの6つの事業ポートフォリオで成長する企業体への変革をあらためて目標として掲げました。
成長事業と位置付けるインストルメンツ事業においては、マイクロスコープ関連分野は市場全体としては低調でしたが、当社事業はシェアを拡大し堅調に推移しました。さらに、再生医療用細胞等の受託生産事業への参入を目的として、業界最大手のLonza社と提携し、当社の100%出資で(株)ニコン・セル・イノベーションを設立しました。産業機器関連分野は、半導体・電子部品関連及び自動車関連の設備投資が底堅く、当社事業も堅調に推移しました。今後の成長が見込める非破壊検査機器事業における製品競争力強化のため、米国ベンチャー企業への出資も行いました。またメディカル事業においては、網膜画像診断機器市場における代表的な企業であるOptos Plcを完全子会社化し、同事業領域に本格参入しました。
既存事業の精機事業においては、半導体関連分野は、市場全体で設備投資が堅調に推移しましたが、当社を取り巻く事業環境は、引き続き厳しいものとなりました。一方、FPD関連分野は、中小型パネル用の設備投資の急回復を受け、市場全体が堅調に推移し、当社事業も好調でした。また映像事業においては、市場全体の縮小を受けた当社事業は低調に推移しました。こうした状況の下、事業運営体制の最適化に向けた販売拠点等の再編を行うなど構造改革に取り組むとともに、コストの削減などによる事業効率のさらなる改善に努めてまいりました。
これらの結果、当社グループの連結業績は、売上高は8,229億15百万円、前期比348億66百万円(4.1%)の減少となり、営業利益は367億1百万円、前期比67億11百万円(15.5%)の減少、経常利益は428億70百万円、前期比34億98百万円(7.5%)の減少となりました。また、半導体装置事業における減損損失等を計上しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は221億92百万円、前期比38億27百万円(20.8%)の増加となりました。
事業のセグメント別の業績は次のとおりであります。
半導体露光装置分野では、ArF液浸スキャナーを中心とした先端装置の性能向上及び拡販に継続的に取り組むとともに、中古装置の販売及びサービス売上げの強化にも注力するなど収益構造の改善に努めました。しかしながら、先端装置において新規顧客の獲得には至らず、顧客の設備投資計画変更による影響等もあり、半導体装置事業の売上げは前期比で減少し、営業赤字を計上しました。
FPD露光装置分野では、中小型パネル用の設備投資の急回復を背景として、スマートフォン・タブレット型端末用の中小型・高精細パネルの製造に適した「FX-66S」や「FX-67S」が大幅に販売台数を伸ばしました。また、平成28年3月には、さらなる生産性向上と高解像度・高精度アライメントを実現した、最新装置「FX-68S」を発売しました。
これらの結果、当事業の売上高は1,824億16百万円、前期比6.8%の増加、営業利益は146億7百万円、前期比74.8%の増加となりました。
なお、半導体装置事業の収益性の低下が見込まれることから、当事業部が保有する固定資産(生産設備等)について、70億47百万円の減損損失を特別損失として計上しております。
レンズ交換式デジタルカメラは、国内においては「D5500」などのエントリーモデルの販売が堅調に推移したほか、中国や欧州などでは、プロフェッショナルモデルに迫る本格仕様の「D750」など中高級機が売上げを伸ばしました。平成28年3月には格段に性能を向上させた次世代フラッグシップモデル「D5」を発売し、高い評価を得ました。しかしながら、レンズ交換式デジタルカメラ全体としては市場縮小の影響を受け、販売台数は減少しました。
コンパクトデジタルカメラでは、超望遠撮影が高画質で楽しめる多機能モデル「COOLPIX P900」等の高付加価値製品が堅調に推移しましたが、コンパクトデジタルカメラ全体では、市場が大きく縮小するなか、販売台数は大幅に減少しました。
これらの結果、当事業の売上高は5,204億84百万円、前期比11.2%の減少、営業利益は457億51百万円、前期比19.3%の減少となりました。
マイクロスコープ分野では、国内においては公共予算縮小による市場の影響を受けましたが、米国や中国を中心としたシェア拡大に牽引され、生物顕微鏡を中心に売上げ及び利益を伸ばしました。さらには、今後の事業拡大を見据えて、幹細胞事業を中心とした新事業への投資も継続して行いました。
産業機器分野では、半導体・電子部品関連及び自動車関連の設備投資が増加するなか、CNC画像測定システムNEXIVシリーズや、X線検査装置等の販売の増加により、売上げ及び利益を伸ばしました。
これらの結果、当事業の売上高は772億42百万円、前期比6.7%の増加となり、営業利益は28億19百万円、前期比135.0%の増加となりました。
メディカル事業においては、Optos Plcの網膜画像診断機器が、欧州では低調であったものの、米国におけるシェア拡大及びアジア・オセアニアにおいて堅調に推移したことにより、売上げを伸ばしました。
これらの結果、当事業の売上高は183億11百万円となりましたが、メディカル関連の新事業への先行投資等の影響により、46億75百万円の営業損失となりました。
ガラス事業では、FPDフォトマスク基板や光学部品が堅調に推移し、収益を改善しました。
カスタムプロダクツ事業では、固体レーザーが大きく売上げを伸ばしましたが、宇宙関連は減収となりました。
この結果、これらの事業を含む売上高は244億61百万円、前期比14.5%の減少となり、営業利益は45億98百万円、前期比32.3%の減少となりました。
(注) 事業別の営業損益には、当社グループ内取引において生じた損益を含んでおります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上に加え、FPD露光装置受注増による前受金の増加により、前期比339億5百万円収入が増加し1,052億14百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得に加え、Optos Plc完全子会社化に際しての株式の取得等により、前期比559億35百万円支出が増加し808億80百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に社債の償還による支出があったこと等から、前期比67億80百万円支出が減少し181億73百万円の支出となりました。
また現金及び現金同等物の換算差額は円高の進展により145億75百万円の減少となりました。
この結果、当期末の現金及び現金同等物の期末残高は前期末に比べ84億14百万円減少し、2,512億10百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
精機事業 | 124,293 | 17.6 |
映像事業 | 371,607 | △13.0 |
インストルメンツ事業 | 44,751 | 9.3 |
メディカル事業 | 5,711 | - |
その他 | 18,805 | △26.1 |
合計 | 565,169 | △5.6 |
(注) 1 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含み、消費税等は含んでおりません。
2 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
当社グループは見込生産を主としておりますので記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
精機事業 | 182,416 | 6.8 |
映像事業 | 520,484 | △11.2 |
インストルメンツ事業 | 77,242 | 6.7 |
メディカル事業 | 18,311 | - |
その他 | 24,461 | △14.5 |
合計 | 822,915 | △4.1 |
(注) 1 金額には、消費税等は含んでおりません。
2 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
当社グループは引き続き事業ポートフォリオの再構築を最大の課題と位置付けております。既存事業における競争力の強化、体質改善に取り組むとともに、メディカル事業の育成、マイクロスコープ・ソリューション事業及び産業機器事業の拡大を図り、6事業のポートフォリオで成長する企業体への変革を進めてまいります。これらを通じて新たな価値創造に挑み、再び成長軌道へ回帰させる所存であります。
なお、4月に発生した平成28年熊本地震により、映像製品を中心に部品調達先が被災し、上半期の生産、販売への影響が見込まれます。当社事業への影響の軽減を図るべくサプライチェーンの早期復旧等に努めてまいります。
当社グループの業績は、今後起こり得るさまざまな要因による大きな影響を受ける可能性があります。以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、本資料作成日現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業の特殊な環境・事情
精機事業が扱う半導体露光装置の対象市場としている半導体産業は、近年最終製品の多様化によってその傾向は弱まってきているものの、ビジネスサイクルの変動が大きい産業として特徴付けられています。この為、市場において、半導体デバイスが供給過剰となった際には、半導体メーカーの設備投資抑制による露光装置需要の減少とそれに伴うたな卸資産の増加という事態が生じるリスクがありますが、その時期、期間、変動幅の正確な予測は困難であります。これに加え、当業界の顧客行動の特徴として、発注後も繰延べやキャンセルを行うといったことがあり、需要の減退期にはたな卸資産増となりやすい構造を抱えております。特に先端装置については、評価機導入の後に量産採用が決定されるケースが多いことから、新規顧客の獲得が計画どおりに達成出来なかった場合、その後の中長期の販売に悪影響が出る可能性があります。また、FPD露光装置の需要は、液晶パネル市場の動向に依存していますが、液晶パネルが供給過剰となった場合には価格下落が発生し、急激に露光装置の需要も落ち込む可能性があります。
映像事業の主要製品であるデジタルカメラの市場は、地域毎の景気変動の状況や新しいデジタル機器をはじめ強力な競合製品の登場等によりデジタルカメラの需要が落ち込むなど、市場に変動が生じる可能性があります。
インストルメンツ事業においては、顕微鏡市場が飽和状態となりつつあり、業界再編等により競争構造が変化する可能性があります。また、産業機器事業は半導体・電気・電子部品・自動車・工作機械等さまざまな産業の景気、設備動向に影響を受けやすい構造となっております。
こうした事業環境の変化は、結果として当社グループの収益と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
② 特定仕入先への依存
当社グループは、それぞれの事業において、原材料、基幹部品、生産委託した製品完成品等を特定の仕入先に依存している場合があります。当社グループではこうした特定仕入先と密接な関係を保ちながら、安定的な調達に努めておりますが、大地震等の天災地変、品質問題、特定仕入先の政策変更や倒産・経営破綻等により調達に重大な支障をきたした場合や仕入価格が高騰した場合には、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定顧客への依存
精機事業の顧客である半導体業界では、拡大する設備投資規模と多彩化する技術開発に対応するため、合併・提携等の動きが進んでおります。さらに、保有する技術力や製造するデバイスの特性によって、各社における競争状況の優劣が明確になり、淘汰が進みつつあります。また、液晶パネル業界でも同様に各社の競争が激しさを増しており、業界再編の動きも現れています。このような状況により、当社グループの主要顧客の設備投資計画は変動しやすく、例えば急激に発注量を減少、あるいは競合他社へ転注させた場合、若しくは何らかの事情により顧客の債務支払いに支障が生じた場合には、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 新製品開発力及び開発投資負担
当社グループの主力事業は厳しい競争下にあり、高度な研究開発の継続による新製品の開発が常に求められております。そのため、当社グループの収益の変動にかかわらず、製品開発のための投資を常に継続する必要があります。
精機事業においては、新製品、次世代技術の開発がタイムリーに行えない場合や当社グループが開発した技術が市場に受け入れられなかった場合、収益が減少する可能性があります。また、競合他社に新技術の特許を取得されることにより、生産・販売の停止や、ロイヤリティー支払いによる利益率低下の危険性があり、あるいは競合他社装置の新技術採用が、当社装置価格の低下を招くといった可能性もあります。FPD露光装置において新たな企業参入や新技術の導入があった場合、さらなる競争激化が予想され、収益に影響が生じる可能性があります。
映像事業においては、デジタルカメラを取り巻く技術的環境の進歩は速く、高度化・多様化も進み、新技術・新製品の開発には継続した投資が必要となります。しかし、投資の成果が十分に上がらない場合や、より高機能なデジタル機器への急激な需要シフト等の変化がある場合、開発した技術・製品が収益の向上に結びつかない可能性も考えられます。精機事業同様、競合他社に新技術の特許を取得されることにより、生産・販売の停止や、ロイヤリティー支払いによる利益率低下の危険性があり、収益に影響が生じる可能性があります。
また、メディカル事業においては、新規分野への先行投資を継続的に行う必要がありますが、成果が十分に上がらない場合や、開発した技術・製品が収益の向上に結びつかない可能性があります。
⑤ 価格競争の激化
半導体露光装置及びFPD露光装置においては、先端技術開発が進む一方で競合他社が低価格攻勢に出てくる可能性があります。
映像事業の主要製品であるデジタルカメラは、市場の成熟化に伴い、競合他社が低価格攻勢に出てくる可能性があります。
インストルメンツ事業においては、顕微鏡市場の成熟化に伴い、商品の差別化競争が一層進むとともに、特に中低級機市場では価格競争が厳しくなる傾向にあり、急激な価格下落が起こった場合は、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 海外での事業展開
当社グループの生産及び販売活動は、その多くを日本国外に依存しております。そのため、事業展開する国内外において、輸出入や地球環境保全等に関するさまざまな法律・税制及び規制の変更による影響を受けます。さらに海外での事業展開においては、政治体制・経済環境の変動、暴動・テロ・戦争・感染症等による社会の混乱、災害等による水・電力・通信網等のインフラストラクチャーや物流機能の障害、人材の採用困難及び流出等のリスクにより、事業活動に大きな障害や損失が生じる可能性があります。これらが生産や販売の制約となり、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 為替相場の変動によるリスク
当社グループは、売上げに占める海外売上高比率が85.8%と高く、海外市場への依存が大きくなっております。このため、当社グループでは売上規模と販売地域に応じた適切な為替ヘッジを行っておりますが、外国為替相場が急激または大幅に変動した場合は、当社グループの外貨建てで取引されている製品・サービスの売上高と収益並びに海外連結子会社の損益及び資産・負債の日本円換算額に影響を与えます。
⑧ M&A、業務提携、戦略的投資に関するリスク
当社は他社と業務提携、合弁事業、戦略的投資といった形態で関係を構築して事業を行っています。また、他社を買収することもあります。
これらは事業ポートフォリオの最適化、事業基盤の拡大や技術開発のために重要であり、当社はそれらの会社と目標を共有し、その達成に向けて協力するよう努めております。
しかしながら、そうした協力体制が構築できない場合、また、構築したとしても事業環境や競合他社の動向等により所期の成果が十分もたらされない可能性があります。また、協力体制の構築や業務統合に計画以上の時間を要することもあります。その場合、収益と財政状況に悪影響を及ぼしたり、投資価値が毀損されたりする可能性があります。
また、適切な買収や出資の対象会社を見つけたとしても、契約締結に至らない場合も収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 資金調達リスク
当社グループは、資金需要に応じ、長短バランスや直接間接金融のバランスを考慮して資金調達を実施しておりますが、金融市場環境が悪化した場合は、資金調達の際に金利上昇や資金調達手段が限定される等の影響を受ける可能性があります。また、業績の悪化により当社社債等の格付けが下方修正された場合にも、同様に当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 知的財産権の保護及び訴訟に関するリスク
当社グループは、製品開発に伴って多くの知的財産権を取得し、これを保有しております。場合によっては、その知的財産権を他社にライセンス供与しております。これら知的財産権の維持・保護については最善の努力をしておりますが、当社グループの知的財産権を他社が無断使用すること等に起因して提訴に至った場合、大きな訴訟費用が発生する可能性があります。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な配慮のもとに製品開発を行っておりますが、他社、個人等より、その知的財産権を侵害したとして提訴される可能性もあります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの収益と財政状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。
⑪ キーパーソンの確保と人材・ノウハウの流出
当社グループは、高度な技術等専門知識及び能力を有する社員によって支えられており、市場での激しい競争に打ち克つにはこうした人材の確保がますます重要になっております。しかしながら、何らかの要因によりさらなる雇用流動化が生じた場合は、これらの主要な人材が退職し、その知識・ノウハウが社外に流出する可能性があります。こうした知識・ノウハウの流出の影響を最小限にするべく、社内における固有技術・技能の伝承と標準化・共有化を推進しております。また、海外においても、優秀な現地人材の確保が重要でありますが、特に労働流動性が高い地域における人材流出の危険性は高いと考えられます。
当社グループの事業においては技術革新の速度が早く、人材育成のためには長期にわたる教育と訓練が必須であり、主要な人材流出の補充が困難な場合も考えられ、結果として当社グループの将来の成長、収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 情報の流出
当社グループは、技術情報等の重要な情報や取引先の企業情報並びに多くの顧客またはその他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報への外部からのアクセス制御の徹底や保管セキュリティレベルの向上を図るとともに、情報取り扱いに関する社内規程の整備、従業員教育等を実施しております。しかしながら、万一、技術情報をはじめとした会社の機密情報が流出した場合、当社グループの企業価値を毀損する可能性があり、また企業情報及び個人情報が流出した場合には、当社グループの信頼を毀損するだけでなく、流出の影響を受けた取引先、顧客、従業員またはその他関係者から損害賠償を請求される可能性があります。そのような場合、信用回復のための諸活動をはじめ、対象企業や個人への補償、再発防止措置の実施等が必要になり、そのために多大なコストを要し、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 製品及びサービスにおける欠陥の発生
当社グループの製品及びサービスについては、国内外のグループ会社及び生産委託先にて高度の品質保証体制を確立し、顧客に対して高精度の機能を高い信頼性をもって提供しております。しかしながら、万一、製品又はサービスに欠陥が発生したことにより顧客に損失をもたらした場合は、修理費用、賠償責任、リコール、製品等の廃棄等による多額のコスト発生や、ブランドに対する信頼感の低下により当社グループ製品及びサービスに対する顧客の購買意欲の低減を招くおそれがあり、収益と財政状況に悪影響を与える可能性があります。
⑭ 自然災害等の発生
大地震・火災・異常気象などによる洪水や渇水等の自然災害や新型インフルエンザ等感染症の拡大への対策には充分に注意を払い、BCP(事業継続計画)を策定しておりますが、当社グループの開発・製造拠点並びに調達先等に壊滅的な損害が生じた場合、操業が中断し、生産や出荷に遅延が生じるおそれがあります。これにより、売上げが減少し、事業の復旧に多大な費用が生じた場合、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ ブランド価値の毀損
「ニコンブランド」は、長年に亘る誠実な企業経営とお客様の信頼に応えた製品・サービスの提供により培ってきたものであり、その価値の保護、増大に十分努めております。しかしながら、当社グループの技術や製品・サービスに関する否定的な評判・評価が世間に流布されることによって信用が低下し、ニコンブランドの価値が毀損された場合、収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループでは、各事業部門の開発担当部門がコアテクノロジー本部と連携しながら研究開発を推進しております。
「光利用技術」と「精密技術」の2つの中核技術を基軸に、デジタル技術や制御技術、情報通信技術など、多彩な技術をクロスオーバーすることで、要素技術開発から商品開発、生産技術開発に至るまで上記体制の下に積極的な研究開発活動に取り組んでおり、当連結会計年度の研究開発費は667億80百万円でありました。
当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりであります。
① 精機事業
半導体露光装置事業においては、お客様の安定的量産のニーズに応えるべく、マルチプルパターニングプロセスにおいて最も重要となる重ね合わせ精度を向上させた最新型 ArF液浸スキャナー「NSR-S631E」を開発し、販売を開始しました。NSR-S631Eは、新型投影レンズ、アライメントシステムのマーク検出・計測能力の強化により、装置間重ね合わせ精度(MMO:Mix and Match Overlay) 2.3ナノメートル以下、スループット毎時270枚以上(96 shots)の生産性を実現します。また、ウエハサイズ大型化対応の450mm露光装置「NSR-S650D」を予定通り開発し、出荷・販売しました。
FPD露光装置事業においては、最先端高精細中小型パネルの生産に最適な露光装置「FX-68S」を開発しました。本装置においては、高解像度化のために投影レンズを新規開発すると共に、プレート面の微小傾斜変化に対して焦点面を最適に追従させる画期的な補正システムを開発しました。これらにより、第6世代プレートで1.5マイクロメートルの高解像度での量産を実現します。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は176億91百万円であります。
② 映像事業
レンズ交換式デジタルカメラでは、プロフェッショナルの撮影領域を拡大する次世代フラッグシップモデルFXフォーマットデジタル一眼レフカメラ「ニコンD5」を開発しました。新世代の153点AFシステムと、約12コマ/秒(AF・AE追従)の高速連続撮影性能によって、さまざまな状況で被写体をより確実に捉えることができます。また、新開発のニコンFXフォーマットCMOSセンサーと新画像処理エンジン「EXPEED 5」により、ニコン史上最高の常用感度ISO 102400を実現し、静止画撮影時はもちろん、新たに対応した4K UHD(3840×2160)動画撮影時にも優れた高感度性能を発揮します。さらに、タッチパネル採用の高精細画像モニター、前機種「D4S」から通信速度を大幅に向上させた有線LAN(内蔵)・無線LAN通信により、ワークフローの高速化を可能にしています。このほか、180KピクセルRGBセンサーを新採用したアドバンストシーン認識システムがAF、AE、AWBの高性能化に寄与し、低消費電力化、高精度・高耐久性シャッターなどとともに、制御精度と耐久性の両面から信頼性を高めています。
交換レンズでは、ニコンFXフォーマットデジタル一眼レフカメラ対応の標準ズームレンズ「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」を開発しました。「NIKKOR」レンズとして初搭載のED非球面レンズをはじめ、非球面レンズ、EDレンズ、高屈折率レンズ、ナノクリスタルコートなどを採用することで、色収差、球面収差やディストーション(歪曲収差)、コマ収差などの諸収差やゴーストを抑え、画像周辺部までシャープな描写が可能となっています。ED非球面レンズは、EDガラスと非球面レンズの収差補正効果が1枚で得られることで、レンズの小型化と優れた描写性能の両立に寄与しています。
なお、当事業に係る研究開発費は253億54百万円でありました。
③ インストルメンツ事業
マイクロスコープ・ソリューション事業においては、より効率的な顕微鏡観察を追求した培養倒立顕微鏡「ECLIPSE Ts2」と、研究用倒立顕微鏡の新しいスタンダード機として、コンパクトな筐体と多彩な観察方法に対応した「ECLIPSE Ts2R」を開発・発売しました。新たに開発した「エンボスコントラスト観察法」により、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やがん細胞、受精卵/未受精卵など厚みのある標本でも、自然なコントラストで立体感のある観察像の取得を可能としています。
産業機器事業においては、優れた性能を持つ製品をお客様により有効的に利用して頂くため、ソリューションの提供・開発を行っています。複雑な形状を高速に高精度で測定できる「HN-C3030」では、様々な種類の歯車評価を行えるアプリケーションソフトを開発しました。従来の評価に加え非接触ならではの三次元形状評価により、お客様へ新たな価値を提供します。コーナーキューブなどのターゲットを使用せずに非接触でダイレクトに三次元座標を測定できる「Laser Radar」では、ロボットとの組合せにより自動車の車体を高速に高精度で測定するアプリケーションソフトを開発しました。従来の三次元測定機による評価に比べて、設備の投入費用を抑え、柔軟性を持った測定機の配置が可能となります。お客様へのソリューション提供・開発は、全ての製品群において進めていきます。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は57億53百万円であります。
④ メディカル事業
メディカル事業においては、2015年5月に完全子会社化した英国Optos Plcとの間で、眼底カメラの共同開発体制を整えました。Optos Plc独自のUWF (Ultra Wide Field)の技術とOCT (Optical Coherence Tomography)の融合を含めた将来製品に関しての研究開発を行いました。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は36億16百万円であります。
⑤ その他の事業
その他の事業に係る研究開発費の金額は143億64百万円であります。
(注) 事業別に記載している研究開発費には、内部消去額を含んでおります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末時点における資産及び負債並びに連結会計期間における収益及び費用の数値算出のために必要な所定の見積りを行っております。この見積りはたな卸資産、貸倒引当金、繰延税金資産、製品保証引当金、退職給付費用等についてなされたものです。
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前期比238億69百万円減少し、6,616億46百万円となりました。これは、主に来年度に見込まれるFPD露光装置の販売増によりたな卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が74億64百万円増加した一方で、現金及び預金が59億5百万円減少し、受取手形及び売掛金が325億64百万円減少したことによるものであります。現金及び預金の減少は、主に当連結会計年度末の海外子会社の保有する現金及び預金残高が為替変動の影響により減少したためです。また、受取手形及び売掛金の減少は、主に売上高の減少によるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前期比32億49百万円減少し、2,841億80百万円となりました。これは、主にOptos Plc完全子会社化に伴うのれん等の増加により無形固定資産が355億30百万円増加した一方で、有形固定資産が204億25百万円減少し、投資その他の資産が183億54百万円減少したことによるものであります。有形固定資産の減少は、主に半導体装置事業にて減損を実施したこと、及び海外子会社の保有する有形固定資産が為替変動の影響により減少したことによるものです。投資その他の資産の減少は、主に保有する株式の時価評価により投資有価証券が減少したことや、運用収益の低下による年金資産の減少及び割引率の低下による退職給付債務の増加により、退職給付に係る資産が減少したためであります。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前期比71億59百万円増加し、2,944億24百万円となりました。これは、主に為替変動の影響により海外子会社の流動負債が減少した一方で、前受金がFPD露光装置の受注増により214億70百万円増加したためであります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前期比30億85百万円減少し、1,103億94百万円となりました。これは、主に長期繰延税金負債が25億20百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産の残高は、前期比311億92百万円減少し、5,410億7百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が102億14百万円増加した一方で、主に円高の進展に伴う為替換算調整勘定の減少によりその他の包括利益累計額が407億7百万円減少したことによるものであります。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますので、ご参照ください。
当連結会計年度における売上高は8,229億15百万円(前連結会計年度は8,577億82百万円)となり、348億66百万円減少しました。一方、営業費用は7,862億14百万円であったため、367億1百万円の営業利益となりました。この売上高減少の主な要因は、映像事業において、市場の低迷に伴うレンズ交換式デジタルカメラ及びコンパクトデジタルカメラの販売台数が減少したことによるものです。
営業利益又は営業損失の内訳は、それぞれ精機事業146億7百万円、映像事業457億51百万円、インストルメンツ事業28億19百万円、その他45億98百万円の営業利益、メディカル事業46億75百万円の営業損失となりました。
営業外収益は受取利息、受取配当金及び持分法による投資利益等により106億30百万円、営業外費用は支払利息及び為替差損等により44億60百万円であったため、経常利益は428億70百万円となりました。
特別利益は土地売却益等により37億45百万円、特別損失は減損損失や構造改革費用等により130億35百万円となりました。
なお、セグメント別の分析は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」の項目を、また今後の事業環境の見通しと当社グループの課題につきましては、「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」の項目を、それぞれご参照ください。
以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月30日)現在において判断したものであります。
(注) セグメント別の営業損益は、当グループ内取引において生じた利益額(総額4億92百万円)
を含んでおり、また全社費用268億93百万円は含んでおりません。