当連結会計年度は、精機事業においては、半導体関連分野における設備投資は堅調に推移しました。一方、FPD関連分野では、大型ディスプレイ用の設備投資が回復したものの、中小型ディスプレイ用の設備投資が一段落した影響で低調に推移しました。映像事業においては、レンズ交換式デジタルカメラ市場は欧州・中国を中心に低調に推移し、コンパクトデジタルカメラ市場は引き続き縮小しました。インストルメンツ事業においては、マイクロスコープ関連分野は国内の公共予算縮小及び執行遅延により低調に推移しましたが、米州や中国においては堅調に推移しました。産業機器関連分野は電子部品・自動車関連の設備投資が回復しました。
こうした状況の下、当社グループは、平成26年6月に発表した中期経営計画に基づき、事業ポートフォリオを再構築し、持続的な成長を実現できるビジネスモデルへの変革を図るため、構造改革に着手しました。
まず、分権経営のカンパニー制から、社長が直轄する事業部制に移行し、機動的な経営リソース配分の実行が可能な体制とするとともに、新たな柱となるメディカル事業の早期育成を推進するため、メディカル事業推進本部を新設いたしました。
既存の主力事業においては、イノベーティブな新製品の投入や、さらなるコスト削減などに取り組むことで、事業基盤の強化をしてまいりました。また、M&Aや業務提携などによる外部リソースの取り込みや活用、新領域探索のためにコーポレートベンチャーキャピタルの構築を推進しました。
一例として、メディカル事業への本格的参入への足掛かりとして、英国の網膜画像診断装置市場における代表的企業であるOptos Plcとの間で、同社を友好的に買収し、完全子会社化する手続きを開始することを合意いたしました。なお、平成27年5月にはその手続きを完了しております。
当社グループの連結業績は売上高は8,577億82百万円、前期比1,227億74百万円(12.5%)の減少となり、営業利益は434億12百万円、前期比195億29百万円(31.0%)の減少、経常利益は463億68百万円、前期比153億56百万円(24.9%)の減少となりました。また、半導体装置事業における減損損失等を計上した結果、当期純利益は183億64百万円、前期比284億60百万円(60.8%)の減少となりました。
事業のセグメント別の業績は次のとおりであります。
半導体露光装置分野では、ArF液浸スキャナーを中心とした装置の性能向上・拡販等に努め、極めて高い重ね合わせ精度と生産性を実現した最新装置「NSR-S630D」を販売しました。しかしながら、顧客の設備投資計画変更による影響等もあり厳しい状況となりました。
FPD露光装置分野においては、スマートフォン・タブレット型端末などの中小型・高精細ディスプレイの生産に適した「FX-67S」等の販売に注力しましたが、設備投資一段落の影響を受けました。また、大型ディスプレイ用の装置では、設備投資回復を背景に、最新型の「FX-86S2」や「FX-86SH2」などが順調に販売を伸ばしました。
事業全体を通じて、工期短縮やコスト削減など、収益構造の改善にも取り組みましたが、当事業の売上高は1,707億57百万円、前期比16.9%の減少となり、営業利益は83億55百万円、前期比58.4%の減少となりました。
映像事業では、レンズ交換式デジタルカメラは、プロフェッショナルモデルに迫る本格仕様のデジタル一眼レフカメラ「D750」「D810」、ミドルクラスモデルの「D7200」「D7100」、エントリークラスモデルの「D5500」「D3300」等が好評を博し、特に米国・ロシアは第4四半期で大きくシェアを伸ばしました。
コンパクトデジタルカメラでは、光学60倍ズームの多機能モデル「COOLPIX P600」、光学30倍のスタイリッシュモデル「COOLPIX S9700」等の販売が堅調に推移しました。
交換レンズは、平成26年11月には累計生産本数9,000万本を達成しました。
これらの結果、市場が低迷するなかでも、シェア拡大等により、当事業の売上高は5,860億19百万円、前期比14.5%の減少、営業利益は566億98百万円、前期比11.8%の減少に留めました。
マイクロスコープ分野では、国内においては市場の影響を受けたものの、シェア拡大を実現した中国や細胞研究関連で販売が好調な米州が牽引し、研究用倒立顕微鏡を中心に売上げを伸ばしました。
産業機器分野では、設備投資の回復により、CNC画像測定システムNEXIVシリーズや非接触三次元測定機などの販売を伸ばすとともに、生産性のさらなる向上に努め、収益を改善しました。
これらの結果、当事業の売上高は過去最高の723億81百万円、前期比11.9%の増加となり、営業利益は11億99百万円(前期は21億56百万円の営業損失)となりました。
カスタムプロダクツ事業では、宇宙関連が大きく売上げを伸ばし、ガラス事業では、FPDフォトマスク基板の販売不振により売上げが減少したものの、収益改善に努め増益となりました。
この結果、これらの事業の売上高は286億22百万円、前期比14.7%の増加となり、営業利益は67億91百万円、前期比53.7%の増加となりました。
(注) 事業別の営業損益には、当社グループ内取引において生じた損益を含んでおります。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ382億57百万円増加し、2,596億25百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、713億9百万円の収入(前連結会計年度は1,141億85百万円の収入)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益351億53百万円の計上、(前連結会計年度は746億91百万円の税金等調整前当期純利益)、減価償却費や減損損失の調整によるキャッシュ・フローの増加や、法人税等の支払額又は還付額が111億7百万円の支出(前連結会計年度は57億77百万円の支出)になったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、249億45百万円の支出(前連結会計年度は431億93百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得223億37百万円(前連結会計年度は326億80百万円)による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、249億54百万円の支出(前連結会計年度は318億68百万円の収入)となりました。主な要因は、社債の償還100億円(前連結会計年度なし)及び配当金の支払126億85百万円(前連結会計年度は87億21百万円)による支出であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
精機事業 | 105,684 | △31.8 |
映像事業 | 426,922 | △14.5 |
インストルメンツ事業 | 40,933 | 10.9 |
その他 | 25,462 | 48.3 |
合計 | 599,002 | △15.5 |
(注) 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含み、消費税等は含んでおりません。
当社グループは見込生産を主としておりますので記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
精機事業 | 170,757 | △16.9 |
映像事業 | 586,019 | △14.5 |
インストルメンツ事業 | 72,381 | 11.9 |
その他 | 28,622 | 14.7 |
合計 | 857,782 | △12.5 |
(注) 金額には、消費税等は含んでおりません。
当社グループの最大の課題は、事業ポートフォリオの再構築です。中期経営ビジョン「Next 100 - Transform to
Grow」のもと、映像事業、半導体装置事業、FPD装置事業が牽引してきた企業体から、マイクロスコープ・ソリューション事業と産業機器事業を拡大し、メディカル事業を育成することにより、6事業のポートフォリオで成長する企業体に生まれ変わる必要があります。実現をめざし、社内外の経営資源のさらなる投入、M&A等にも積極的に取り組んでまいります。
既存事業においては、当期に減損損失を計上した半導体装置事業や、市場構造の急激な変化により厳しさを増している映像事業の体質強化に取り組み、収益力の改善に努めてまいります。
これらを通じて持続的な成長を実現すべくビジネスモデルの変革を達成するとともに、新たな価値創造に挑みます。
当社グループの業績は、今後起こり得るさまざまな要因による大きな影響を受ける可能性があります。以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、本資料作成日現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業の特殊な環境・事情
精機事業が扱う半導体露光装置の対象市場としている半導体産業は、近年最終製品の多様化によってその傾向は弱まってきているものの、ビジネスサイクルの変動が大きい産業として特徴付けられています。この為、市場において、半導体デバイスが供給過剰となった際には、半導体メーカーの設備投資抑制による露光装置需要の減少とそれに伴うたな卸資産の増加という事態が生じるリスクがありますが、その時期、期間、変動幅の正確な予測は困難であります。これに加え、当業界の顧客行動の特徴として、発注後も繰延べやキャンセルを行うといったことがあり、需要の減退期にはたな卸資産増となりやすい構造を抱えております。また、FPD露光装置の需要は、液晶パネル市場の動向に依存していますが、液晶パネルが供給過剰となった場合には価格下落が発生し、急激に露光装置の需要も落ち込む可能性があります。
映像事業の主要製品であるデジタルカメラの市場は、地域毎の景気変動の状況や新しいデジタル機器をはじめ強力な競合製品の登場等によりデジタルカメラの需要が落ち込むなど、市場に変動が生じる可能性があります。
インストルメンツ事業においては、顕微鏡市場が飽和状態となりつつあり、業界再編等により競争構造が変化する可能性があります。また、産業機器事業は半導体・電気・電子部品・自動車・工作機械等さまざまな産業の景気、設備動向に影響を受けやすい構造となっております。
こうした事業環境の変化は、結果として当社グループの収益と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
② 特定仕入先への依存
当社グループは、それぞれの事業において、原材料、基幹部品、生産委託した製品完成品等を特定の仕入先に依存している場合があります。当社グループではこうした特定仕入先と密接な関係を保ちながら、安定的な調達に努めておりますが、需要の急増や天災地変、品質問題、特定仕入先の政策変更や倒産・経営破綻等により調達に重大な支障をきたした場合や仕入価格が高騰した場合には、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定顧客への依存
精機事業の顧客である半導体業界では、拡大する設備投資規模と多彩化する技術開発に対応するため、合併・提携等の動きが進んでおります。さらに、保有する技術力や製造するデバイスの特性によって、各社における競争状況の優劣が明確になり、淘汰が進みつつあります。また、液晶パネル業界でも同様に各社の競争が激しさを増しており、業界再編の動きも現れています。このような状況により、当社グループの主要顧客の設備投資計画は変動しやすく、例えば急激に発注量を減少、あるいは競合他社へ転注させた場合、若しくは何らかの事情により顧客の債務支払いに支障が生じた場合には、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 新製品開発力及び開発投資負担
当社グループの主力事業は厳しい競争下にあり、高度な研究開発の継続による新製品の開発が常に求められております。そのため、当社グループの収益の変動にかかわらず、製品開発のための投資を常に継続する必要があります。
精機事業においては、新製品、次世代技術の開発がタイムリーに行えない場合や当社グループが開発した技術が市場に受け入れられなかった場合、収益が減少する可能性があります。また、競合他社に新技術の特許を取得されることにより、生産・販売の停止や、ロイヤリティー支払いによる利益率低下の危険性があり、あるいは競合他社装置の新技術採用が、当社装置価格の低下を招くといった可能性もあります。FPD露光装置において新たな企業参入や新技術の導入があった場合、さらなる競争激化が予想され、収益に影響が生じる可能性があります。
映像事業においては、デジタルカメラを取り巻く技術的環境の進歩は速く、高度化・多様化も進み、新技術・新製品の開発には継続した投資が必要となります。しかし、投資の成果が十分に上がらない場合や、より高機能なデジタル機器への急激な需要シフト等の変化がある場合、開発した技術・製品が収益の向上に結びつかない可能性も考えられます。精機事業同様、競合他社に新技術の特許を取得されることにより、生産・販売の停止や、ロイヤリティー支払いによる利益率低下の危険性があり、収益に影響が生じる可能性があります。
⑤ 価格競争の激化
半導体露光装置及びFPD露光装置においては、先端技術開発が進む一方で競合他社が低価格攻勢に出てくる可能性があります。
映像事業の主要製品であるデジタルカメラは、市場の成熟化に伴い、競合他社が低価格攻勢に出てくる可能性があります。
インストルメンツ事業においては、顕微鏡市場の成熟化に伴い、商品の差別化競争が一層進むとともに、特に中低級機市場では価格競争が厳しくなる傾向にあり、急激な価格下落が起こった場合は、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 海外での事業展開
当社グループの生産及び販売活動は、その多くを日本国外に依存しております。そのため、事業展開する国内外において、輸出入に関するさまざまな法律・税制及び規制の変更による影響を受けます。さらに海外での事業展開においては、政治体制・経済環境の変動、暴動・テロ・戦争・感染症等による社会の混乱、災害等による水・電力・通信網等のインフラストラクチャーや物流機能の障害、人材の採用困難及び流出等のリスクにより、事業活動に大きな障害や損失が生じる可能性があります。これらが生産や販売の制約となり、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 為替相場の変動によるリスク
当社グループは、売上げに占める海外売上高比率が85.7%と高く、海外市場への依存が大きくなっております。このため、当社グループでは売上規模と販売地域に応じた適切な為替ヘッジを行っておりますが、外国為替相場が急激に変動した場合は、当社グループの外貨建てで取引されている製品・サービスの売上高と収益並びに海外連結子会社の損益及び資産・負債の日本円換算額に影響を与えます。
⑧ M&A、業務提携、戦略的投資に関するリスク
当社は他社と業務提携、合弁事業、戦略的投資といった形態で関係を構築して事業を行っています。また、他社を買収することもあります。
これらは事業ポートフォリオの最適化、事業基盤の拡大や技術開発のために重要であり、当社はそれらの会社と目標を共有し、その達成に向けて協力するよう努めております。
しかしながら、そうした協力体制が構築できない場合、また、構築したとしても事業環境や競合他社の動向等により所期の成果が十分もたらされない可能性があります。また、協力体制や業務統合に計画以上の時間を要することもあります。その場合、収益と財政状況に悪影響を及ぼしたり、投資価値が毀損されたりする可能性があります。
また、適切な買収や出資の対象会社を見つけ、契約締結に至らない場合も収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 資金調達リスク
当社グループは、資金需要に応じ、長短バランスや直接間接金融のバランスを考慮して資金調達を実施しておりますが、金融市場環境が悪化した場合は、資金調達の際に金利上昇や資金調達手段が限定される等の影響を受ける可能性があります。また、業績の悪化により当社社債等の格付けが下方修正された場合にも、同様に当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 知的財産権の保護及び訴訟に関するリスク
当社グループは、製品開発に伴って多くの知的財産権を取得し、これを保有しております。場合によっては、その知的財産権を他社にライセンス供与しております。これら知的財産権の維持・保護については最善の努力をしておりますが、当社グループの知的財産権を他社が無断使用すること等に起因して提訴に至った場合、大きな訴訟費用が発生する可能性があります。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な配慮のもとに製品開発を行っておりますが、他社、個人等より、その知的財産権を侵害したとして提訴される可能性もあります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの収益と財政状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。
⑪ キーパーソンの確保と人材・ノウハウの流出
当社グループは、高度な技術等専門知識及び能力を有する社員によって支えられており、市場での激しい競争に打ち克つにはこうした人材の確保がますます重要になっております。しかしながら、何らかの要因によりさらなる雇用流動化が生じた場合は、これらの主要な人材が退職し、その知識・ノウハウが社外に流出する可能性があります。こうした知識・ノウハウの流出の影響を最小限にするべく、社内における固有技術・技能の伝承と標準化・共有化を推進しております。また、海外においても、優秀な現地人材の確保が重要でありますが、特に労働流動性が高い地域における人材流出の危険性は高いと考えられます。
当社グループの事業においては技術革新の速度が早く、人材育成のためには長期にわたる教育と訓練が必須であり、主要な人材流出の補充が困難な場合も考えられ、結果として当社グループの将来の成長、収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 情報の流出
当社グループは、技術情報等の重要な情報や取引先の企業情報並びに多くの顧客またはその他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報への外部からのアクセス制御の徹底や保管セキュリティレベルの向上を図るとともに、情報取り扱いに関する社内規程の整備、従業員教育等を実施しております。しかしながら、万一、技術情報をはじめとした会社の機密情報が流出した場合、当社グループの企業価値を毀損する可能性があり、また企業情報及び個人情報が流出した場合には、当社グループの信頼を毀損するだけでなく、流出の影響を受けた取引先、顧客、従業員またはその他関係者から損害賠償を請求される可能性があります。そのような場合、信用回復のための諸活動をはじめ、対象企業や個人への補償、再発防止措置の実施等が必要になり、そのために多大なコストを要し、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 製品及びサービスにおける欠陥の発生
当社グループの製品及びサービスについては、国内外のグループ会社及び生産委託先にて高度の品質保証体制を確立し、顧客に対して高精度の機能を高い信頼性をもって提供しております。しかしながら、万一、製品又はサービスに欠陥が発生したことにより顧客に損失をもたらした場合は、修理費用、賠償責任、リコール、製品等の廃棄等による多額のコスト発生や、ブランドに対する信頼感の低下により当社グループ製品及びサービスに対する顧客の購買意欲の低減を招くおそれがあり、収益と財政状況に悪影響を与える可能性があります。
⑭ 自然災害等の発生
大地震・火災・洪水等自然災害や新型インフルエンザ等感染症の拡大への対策には充分に注意を払い、BCP(事業継続計画)を策定しておりますが、当社グループの開発・製造拠点並びに調達先等に壊滅的な損害が生じた場合、操業が中断し、生産や出荷に遅延が生じるおそれがあります。これにより、売上げが減少し、事業の復旧に多大な費用が生じた場合、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ ブランド価値の毀損
「ニコンブランド」は、長年に亘る誠実な企業経営とお客様の信頼に応えた製品・サービスの提供により培ってきたものであり、その価値の保護、増大に十分努めております。しかしながら、当社グループの技術や製品・サービスに関する否定的な評判・評価が世間に流布されることによって信用が低下し、ニコンブランドの価値が毀損された場合、収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、平成27年2月27日の取締役会において、英国 Optos Plc を完全子会社化するための手続を開始することを決議し、平成27年5月22日に同社を完全子会社化しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。
当社グループでは、各事業部門の開発担当部門がコアテクノロジー本部と連携しながら研究開発を推進しております。
「光利用技術」と「精密技術」の2つの中核技術を基軸に、デジタル技術や制御技術、情報通信技術など、多彩な技術をクロスオーバーすることで、要素技術開発から商品開発、生産技術開発に至るまで上記体制の下に積極的な研究開発活動に取り組んでおり、当連結会計年度の研究開発費は667億30百万円でありました。
当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりであります。
① 精機事業
半導体装置事業においては、ArFスキャナー「NSR-S322F」を開発しました。重ね合わせ精度とスループットを向上させ、最先端のArF液浸スキャナーとの併用を最適化しました。また、ウェハサイズ大型化に対応した450mm露光装置の出荷に向けた開発を進めました。
FPD露光装置事業においては、更なる高精細・高生産性を追求し、高精細大型パネルの生産に最適な露光装置「FX-86S2」及び「FX-86SH2」を開発しました。両装置において露光シーケンスを刷新し、高タクトタイムを実現するとともに、「FX-86SH2」においては投影レンズの調整機構やオートフォーカスシステムを新たにし、2.2マイクロメートルの高解像度を達成しながら広い実用焦点深度も確保しています。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は206億19百万円であります。
② 映像事業
レンズ交換式デジタルカメラでは、高い鮮鋭感と豊かな階調性を誇るFXフォーマットデジタル一眼レフカメラ「ニコンD810」を開発しました。有効画素数3635万画素を実現し、ISO 64という低いベース感度からダイナミックレンジが広い、新開発のニコンFXフォーマットCMOSセンサーを搭載しました。また高感度ノイズ低減性能やオートホワイトバランス精度の向上、鮮鋭感が高くなめらかなフルHD動画(1920×1080/60p)撮影に対応した画像処理エンジン「EXPEED 4」、及び、的確に撮影者の意図を画づくりに反映できる新しい「ピクチャーコントロールシステム」を採用しています。これらが密接に結び付くことで、様々なシーンで豊かな階調表現、優れた色再現性を実現し、高品位な画づくりを可能にしています。
交換レンズでは、ニコンFXフォーマット対応の望遠単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR」を開発しました。「NIKKOR」レンズ初のPF(Phase Fresnel:位相フレネル)レンズの採用により、従来製品と比較して大幅な軽量・小型化を実現しています。また、4.5段分の手ブレ補正効果を発揮するVR機構に加え、スポーツなど動きの激しい被写体の撮影に有効なVRモード「スポーツモード」を搭載しました。
コンパクトデジタルカメラでは、2000mm相当の超望遠ズームを搭載した多機能モデルの「COOLPIX P900」を開発しました。光学83倍のNIKKORレンズを搭載し、広角24mm相当から超望遠2000mm相当(35mm判換算の焦点距離)の撮影画角をカバーしており、幅広い撮影シーンに対応します。レンズは、一眼レフカメラ用交換レンズにも使用されている、スーパーED(特殊低分散)レンズを採用し、コンパクトボディーながらも高い描写性能を実現しました。暗いシーンに強い裏面照射型CMOSセンサーと新開発のデュアル検知光学VR機能との相乗効果で、薄暗い室内や超望遠写真も、すみずみまで美しく描写します。
なお、当事業に係る研究開発費は256億74百万円でありました。
③ インストルメンツ事業
マイクロスコープ・ソリューション事業においては、ナノメートルレベルの動態観察に対応した超解像顕微鏡「N-STORM」の新製品として、「N-STORM 4.0」を開発しました。
「N-STORM 4.0」は、撮像速度を従来比約10倍に向上させることで、観察対象の動態を約20nmの解像度で撮像できるようになり、従来の「N-STORM」では取得困難であったミトコンドリアの分裂・結合のような生命現象を超解像イメージングで取得できます。また、撮像時のレーザー照射方式を改良し、撮像フレーム数を増やすことで、より高精度で鮮明な画像の構築を可能としました。
産業機器事業においては、複雑な形状を高速に高精度で測定でき、コストパフォーマンスに優れた高精度非接触センサー3D計測システム「HN-C3030」を開発しました。非接触式三次元測定機としては世界最高レベルの精度を実現するとともに、高速デジタル変換処理により、毎秒約120,000点の高スピードで被検物の表面点群のデータを大量に取得することで、面全体の形状、うねり、摩耗、変形、微小な凹凸などの解析を短時間で詳細に行います。また、歯車の専門的な解析用に専用のアプリケーションソフトも開発しました。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は51億39百万円であります。
④ その他の事業
その他の事業に係る研究開発費の金額は152億98百万円であります。
(注) 事業別に記載している研究開発費には、内部消去額を含んでおります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末時点における資産及び負債並びに連結会計期間における収益及び費用の数値算出のために必要な所定の見積りを行っております。この見積りはたな卸資産、貸倒引当金、繰延税金資産、製品保証引当金、退職給付費用等についてなされたものです。
当連結会計年度末における流動資産の残高は、6,855億16百万円(前連結会計年度は6,488億22百万円)となり、366億93百万円増加しました。これは、主に現金及び預金が369億81百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における固定資産の残高は、2,874億29百万円(前連結会計年度は3,006億93百万円)となり、132億63百万円減少しました。これは、主に半導体装置事業において有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産の減損を実施したことによるものです。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,872億65百万円(前連結会計年度は2,801億76百万円)となり、70億88百万円増加しました。これは、主に社債の償還により1年内償還予定の社債が100億円減少した一方で、未払費用が61億82百万円増加したこと、1年内償還予定の長期借入金150億円を固定負債より流動負債へ振り替えたことによるものです。
当連結会計年度末における固定負債の残高は、1,134億79百万円(前連結会計年度は1,225億25百万円)となり、90億46百万円減少しました。これは、主に退職給付に係る負債が38億2百万円増加した一方で、1年内償還予定の長期借入金150億円を固定負債より流動負債へ振り替えたことよるものです。
当連結会計年度末における純資産の残高は、5,722億円(前連結会計年度は5,468億13百万円)となり、253億87百万円増加しました。これは、主に退職給付に関する会計基準の変更による影響や配当金の支払いにより利益剰余金が63億27百万円減少しましたが、株価の上昇によるその他有価証券評価差額金の増加や円安の進展に伴う為替換算調整勘定の増加によりその他の包括利益累計額が309億9百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、713億9百万円の収入となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益351億53百万円の計上、減価償却費や減損損失の調整によるキャッシュ・フローの増加や、法人税等の支払額又は還付額が111億7百万円の支出になったことによります。投資活動によるキャッシュ・フローは、249億45百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得223億37百万円による支出であります。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、249億54百万円の支出となりました。主な要因は、社債の償還100億円及び配当金の支払126億85百万円による支出であります。
当連結会計年度における売上高は8,577億82百万円(前連結会計年度は9,805億56百万円)となり、1,227億74百万円減少しました。一方、営業費用は8,143億69百万円であったため、434億12百万円の営業利益となりました。この売上高減少の主な要因は、映像事業において、市場の低迷に伴うレンズ交換式デジタルカメラ及びコンパクトデジタルカメラの販売台数が減少したことによるものです。
営業利益の内訳は、それぞれ精機事業83億55百万円、映像事業566億98百万円、インストルメンツ事業11億99百万円、その他67億91百万円となりました。
営業外収益は受取利息、受取配当金及び持分法による投資利益等により89億88百万円、営業外費用は支払利息および為替差損等により60億32百万円であったため、経常利益は463億68百万円となりました。
特別利益は投資有価証券売却益等により50億73百万円、特別損失は減損損失等により162億89百万円となりました。
なお、セグメント別の分析は、第2[事業の状況]1[業績等の概要](1)業績の項目を、また今後の事業環境の見通しと当社グループの課題につきましては、第2[事業の状況]3[対処すべき課題]の項目を、それぞれご参照ください。
以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成27年6月26日)現在において判断したものであります。
(注) セグメント別の営業利益は、当グループ内取引において生じた損失額(総額3億11百万円)
を含んでおり、また全社費用299億43百万円は含んでおりません。