当連結会計年度は、精機事業においては、半導体関連分野は低調に、FPD(フラットパネルディスプレイ)関連分野は堅調に推移しました。映像事業においては、レンズ交換式デジタルカメラ市場は市場環境が悪化し、コンパクトデジタルカメラ市場も大きく縮小しました。インストルメンツ事業においては、バイオサイエンス関連市況は堅調に推移し、産業機器関連市況においては、設備投資は期後半には回復の兆しが見られました。
こうした状況の下、当社グループは、事業環境の変化を捉えた収益性重視の事業運営への転換を図るとともに、事業体質強化を目的とした経営対策委員会を発足させ、「ミニマムコストオペレーション」を基本的な考え方としたグループ全体の徹底的な経費削減に加え、調達・物流コストの低減、開発・生産の効率化等に努めました。
また、特長のある新製品の投入などによる既存事業の強化に加え、新事業においては「健康・医療分野」の中で「分析・診断」領域を重点領域として選定するとともに、新事業の創出に向けて研究開発や将来の事業展開のための資本・業務提携を積極的に行いました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は9,805億56百万円、前期比299億37百万円(3.0%)の減少となりましたが、営業利益は629億41百万円、前期比119億39百万円(23.4%)の増加、経常利益は617億25百万円、前期比133億80百万円(27.7%)の増加となりました。
また、国土交通省に対する当社横浜製作所の土地の一部譲渡及び建物の一部移転による収用補償金など150億6百万円を特別利益に計上したことなどにより、当期純利益は468億24百万円、前期比43億65百万円(10.3%)の増加となりました。
事業のセグメント別の業績は次のとおりであります。
当事業関連市況は、半導体関連分野はメーカー各社の設備投資が低調に推移し、FPD関連分野はスマートフォン・タブレット型端末関連の需要の増加などにより堅調に推移しました。
このような状況の下、半導体露光装置分野では、ArF液浸スキャナー「NSR-S621D」「NSR-S622D」などを中心に拡販に努めるとともに、重ね合わせ精度と生産性をさらに向上させた新製品「NSR-S630D」の受注開始を発表しました。
FPD露光装置分野では、スマートフォン・タブレット型端末などの中小型・高精細ディスプレイの生産に適した「FX-66S」「FX-67S」を中心に順調に販売を伸ばし、引き続き高いシェアを維持しました。
また、事業全体を通じて工期短縮やコスト削減など、収益構造の改善にも取り組みました。
これらの結果、当事業の売上高は2,054億46百万円、前期比14.8%の増加となり、営業利益は200億79百万円、前期比53.4%の増加となりました。
※ 従前使用していました液晶露光装置の名称をFPD露光装置に変更しております。
当事業関連市況は、レンズ交換式デジタルカメラ市場は欧州や中国などを中心に市場環境が悪化し、コンパクトデジタルカメラ市場も大きく縮小するなど、いずれも厳しい事業環境となりました。
このような状況の下、レンズ交換式デジタルカメラでは、ニコンFXフォーマット機で最小・最軽量となる「Df」、最新フラッグシップモデルの「D4S」など高い技術力で差別化された特長のある新製品を投入するとともに、「D7100」などの既存製品の拡販に努めました。また、レンズ交換式デジタルカメラとして世界初となる防水・耐衝撃の「Nikon 1 AW1」を発売しました。
交換レンズは、本年1月には累計生産本数が8,500万本を達成しました。
コンパクトデジタルカメラは、快適な自分撮りが楽しめる「COOLPIX S6600」、COOLPIX史上最高の光学60倍ズームの多機能モデル「COOLPIX P600」などを発売し拡販に努め、各地域で高いシェアを獲得しました。
また、徹底的な経費削減に加え、新素材の採用や開発・設計・製造の効率化などコストダウンに努めるとともに、販売戦略の見直し等を行い、収益性を改善しました。
これらの結果、当事業の売上高は6,854億46百万円、前期比8.8%の減少となりましたが、営業利益は642億84百万円、前期比5.9%の増加となりました。
当事業関連市況のうち、バイオサイエンス関連市況は国内及び米国を中心とした公共予算執行額の増加により堅調に推移しました。また、産業機器関連市況は、半導体・電子部品関連においては、期前半は設備投資抑制の影響を受けて低調に推移しましたが、期後半からは回復基調となりました。
このような状況の下、バイオサイエンス事業では最先端の超解像顕微鏡システムや研究用倒立顕微鏡などを中心に売上げを伸ばしました。また、販売活動の強化や新製品の創出に向け、本年2月に日本電子株式会社と資本業務提携契約を締結しました。
産業機器事業ではCNC画像測定システム「NEXIV VMZ-R3020」「NEXIV VMZ-R6555」などの新製品を発売したほか、非接触測定機を中心に拡販に努めました。
これらの結果、当事業の売上高は647億8百万円、前期比20.1%の増加となり、営業損失は21億56百万円(前期は49億77百万円の営業損失)となりました。
カスタムプロダクツ事業では、固体レーザーと光学部品が堅調に推移したものの、宇宙関連では減収となりました。また、ガラス事業では、液晶フォトマスク基板の売上げを伸ばしました。
この結果、これらの事業の売上高は249億54百万円、前期比5.3%の減少となり、営業利益は44億19百万円、前期比24.3%の増加となりました。
(注) 事業別の営業損益には、当社グループ内取引において生じた損益を含んでおります。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,112億73百万円増加し、2,213億67百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,141億85百万円の収入(前連結会計年度は518億90百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益746億91百万円の計上、(前連結会計年度は618億56百万円の税金等調整前当期純利益)、売上債権の減少139億24百万円(前連結会計年度は197億90百万円の減少)、たな卸資産の減少346億84百万円(前連結会計年度は120億81百万円の減少)による収入、仕入債務の減少139億41百万円(前連結会計年度は358億20百万円の減少)及び法人税等の支払57億77百万円(前連結会計年度は302億83百万円の支払)による支出であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、431億93百万円の支出(前連結会計年度は651億9百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得326億80百万円(前連結会計年度は618億55百万円)による支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、318億68百万円の収入(前連結会計年度は181億98百万円の支出)となりました。主な要因は、長期借入れ270億円(前連結会計年度は47億円の収入)、社債の発行198億88百万円による収入、配当金の支払87億21百万円(前連結会計年度は158億41百万円)による支出であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
精機事業 | 155,019 | 35.1 |
映像事業 | 499,450 | △14.2 |
インストルメンツ事業 | 36,922 | 19.4 |
その他 | 17,170 | △16.0 |
合計 | 708,562 | △5.3 |
(注) 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含み、消費税等は含んでおりません。
当社グループは見込生産を主としておりますので記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) (百万円) | 前期比(%) |
精機事業 | 205,446 | 14.8 |
映像事業 | 685,446 | △8.8 |
インストルメンツ事業 | 64,708 | 20.1 |
その他 | 24,954 | △5.3 |
合計 | 980,556 | △3.0 |
(注) 金額には、消費税等は含んでおりません。
当社グループの事業分野に関しては、精機事業では、半導体関連分野は市況が回復基調になることが見込まれます。一方、FPD関連分野においては中小型ディスプレイ用の設備投資が一段落するものの、大型ディスプレイ用の装置需要は回復することが予想されます。映像事業は、レンズ交換式デジタルカメラ市場は依然として市場環境は厳しく、縮小が予想されますが、期後半からは緩やかな改善が見込まれ、コンパクトデジタルカメラ市場も縮小が予想されるものの減少率は前年と比較して緩やかになることが見込まれます。インストルメンツ事業では、バイオサイエンス関連市況は堅調に推移すると見込まれ、産業機器関連市況においても設備投資の回復基調が継続することが予想されます。
このような状況の下、当社グループは引き続きグループ全体で「ミニマムコストオペレーション」を追求することで経営体質の強化に努める一方、事業環境の変化を俊敏に捉え、柔軟かつ積極的に対応できる体制の整備を図ります。新規事業領域の開拓につきましても「健康・医療分野」の事業化へ向けた研究開発やM&Aも含めた積極的な投資等に取り組んでまいります。
また、当社ブランドのさらなる価値向上を目指し、製品の品質向上、CSRを常に意識した事業活動のグローバル展開等を進めます。
これらの施策を通じて、常に新たな価値を提供し、成長し続けることができるニコングループを目指してまいります。
当社グループの業績は、今後起こり得るさまざまな要因による大きな影響を受ける可能性があります。以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、本資料作成日現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業の特殊な環境・事情
精機事業が扱う半導体露光装置の対象市場としている半導体産業は、近年最終製品の多様化によってその傾向は弱まってきているものの、ビジネスサイクルの変動が大きい産業として特徴付けられています。この為、市場において、半導体デバイスが供給過剰となった際には、半導体メーカーの設備投資抑制による露光装置需要の減少とそれに伴うたな卸資産の増加という事態が生じるリスクがありますが、その時期、期間、変動幅の正確な予測は困難であります。これに加え、当業界の顧客行動の特徴として、発注後も繰延べやキャンセルを行うといったことがあり、需要の減退期にはたな卸資産増となりやすい構造を抱えております。また、FPD露光装置の需要は、液晶パネル市場の動向に依存していますが、液晶パネルが供給過剰となった場合には価格下落が発生し、急激に露光装置の需要も落ち込む可能性があります。
映像事業の主要製品であるデジタルカメラの市場は、レンズ交換式デジタルカメラ市場は欧州市場の低迷及び新興国市場の伸び悩みが、コンパクトデジタルカメラ市場は縮小が予想されます。地域毎の景気変動の状況や新しいデジタル機器をはじめ強力な競合製品の登場等によりデジタルカメラの需要が落ち込むなど、市場に変動が生じる可能性があります。
インストルメンツ事業においては、顕微鏡市場が飽和状態となりつつあり、業界再編等により競争構造が変化する可能性があります。また、産業機器事業は半導体・電気・電子部品・自動車・工作機械等さまざまな産業の景気、設備動向に影響を受けやすい構造となっております。
こうした事業環境の変化は、結果として当社グループの収益と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
② 特定仕入先への依存
当社グループは、それぞれの事業において、原材料、基幹部品、生産委託した製品完成品等を特定の仕入先に依存している場合があります。当社グループではこうした特定仕入先と密接な関係を保ちながら、安定的な調達に努めておりますが、需要の急増や天災地変、品質問題、特定仕入先の政策変更や倒産・経営破綻等により調達に重大な支障をきたした場合や仕入価格が高騰した場合には、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定顧客への依存
精機事業の顧客である半導体業界では、拡大する設備投資規模と多彩化する技術開発に対応するため、合併・提携等の動きが進んでおります。さらに、保有する技術力や製造するデバイスの特性によって、各社における競争状況の優劣が明確になり、淘汰が進みつつあります。また、液晶パネル業界でも同様に各社の競争が激しさを増しており、業界再編の動きも現れています。このような状況により、当社グループの主要顧客の設備投資計画は変動しやすく、例えば急激に発注量を減少、あるいは競合他社へ転注させた場合、若しくは何らかの事情により顧客の債務支払いに支障が生じた場合には、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 新製品開発力及び開発投資負担
当社グループの主力事業は厳しい競争下にあり、高度な研究開発の継続による新製品の開発が常に求められております。そのため、当社グループの収益の変動にかかわらず、製品開発のための投資を常に継続する必要があります。
精機事業においては、新製品、次世代技術の開発がタイムリーに行えない場合や当社グループが開発した技術が市場に受け入れられなかった場合、収益が減少する可能性があります。また、競合他社に新技術の特許を取得されることにより、生産・販売の停止や、ロイヤリティー支払いによる利益率低下の危険性があり、あるいは競合他社装置の新技術採用が、当社装置価格の低下を招くといった可能性もあります。FPD露光装置において新たな企業参入や新技術の導入があった場合、さらなる競争激化が予想され、収益に影響が生じる可能性があります。
映像事業においては、デジタルカメラは技術的な進歩が速く、高度化・多様化も進み、新技術・新製品の開発には継続した投資が必要となります。しかし、投資の成果が十分に上がらない場合や、より高機能なデジタル機器への急激な需要シフト等の変化がある場合、開発した技術・製品が収益の向上に結びつかない可能性も考えられます。精機事業同様、競合他社に新技術の特許を取得されることにより、生産・販売の停止や、ロイヤリティー支払いによる利益率低下の危険性があり、収益に影響が生じる可能性があります。
⑤ 価格競争の激化
映像事業の主要製品であるデジタルカメラは、市場の成熟化に伴い、各メーカーの生き残りを賭けた競争が激化し、競合他社が低価格攻勢に出てくる可能性があります。
半導体露光装置及びFPD露光装置においては、先端技術開発が進む一方で競合他社が低価格攻勢に出てくる可能性があります。
インストルメンツ事業においては、顕微鏡市場の成熟化に伴い、商品の差別化競争が一層進むとともに、特に中低級機市場では価格競争が厳しくなる傾向にあり、急激な価格下落が起こった場合は、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 海外での事業展開
当社グループの生産及び販売活動は、その多くを日本国外に依存しております。そのため、事業展開する国内外において、輸出入に関するさまざまな法律・税制及び規制の変更による影響を受けます。さらに海外での事業展開においては、政治体制・経済環境の変動、暴動・テロ・戦争・感染症等による社会の混乱、災害等による水・電力・通信網等のインフラストラクチャーや物流機能の障害、人材の採用困難及び流出等のリスクにより、事業活動に大きな障害や損失が生じる可能性があります。これらが生産や販売の制約となり、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 為替相場の変動によるリスク
当社グループは、売上げに占める海外売上高比率が84.7%と高く、海外市場への依存が大きくなっております。このため、当社グループでは売上規模と販売地域に応じた適切な為替ヘッジを行っておりますが、外国為替相場が急激に変動した場合は、当社グループの外貨建てで取引されている製品・サービスの売上高と収益並びに海外連結子会社の損益及び資産・負債の日本円換算額に影響を与えます。
⑧ 資金調達リスク
当社グループは、資金需要に応じ、長短バランスや直接間接金融のバランスを考慮して資金調達を実施しておりますが、金融市場環境が悪化した場合は、資金調達の際に金利上昇や資金調達手段が限定される等の影響を受ける可能性があります。また、業績の悪化により当社社債等の格付けが下方修正された場合にも、同様に当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 知的財産権の保護及び訴訟に関するリスク
当社グループは、製品開発に伴って多くの知的財産権を取得し、これを保有しております。場合によっては、その知的財産権を他社にライセンス供与しております。これら知的財産権の維持・保護については最善の努力をしておりますが、当社グループの知的財産権を他社が無断使用すること等に起因して提訴に至った場合、大きな訴訟費用が発生する可能性があります。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な配慮のもとに製品開発を行っておりますが、他社、個人等より、その知的財産権を侵害したとして提訴される可能性もあります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの収益と財政状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。
⑩ キーパーソンの確保と人材・ノウハウの流出
当社グループは、高度な技術等専門知識及び能力を有する社員によって支えられており、市場での激しい競争に打ち克つにはこうした人材の確保がますます重要になっております。しかしながら、何らかの要因によりさらなる雇用流動化が生じた場合は、これらの主要な人材が退職し、その知識・ノウハウが社外に流出する可能性があります。こうした知識・ノウハウの流出の影響を最小限にするべく、社内における固有技術・技能の伝承と標準化・共有化を推進しております。また、海外においても、優秀な現地人材の確保が重要でありますが、特に労働流動性が高い地域における人材流出の危険性は高いと考えられます。
当社グループの事業においては技術革新の速度が早く、人材育成のためには長期にわたる教育と訓練が必須であり、主要な人材流出の補充が困難な場合も考えられ、結果として当社グループの将来の成長、収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 情報の流出
当社グループは、技術情報等の重要な情報や取引先の企業情報並びに多くの顧客またはその他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報への外部からのアクセス制御の徹底や保管セキュリティレベルの向上を図るとともに、情報取り扱いに関する社内規程の整備、従業員教育等を実施しております。しかしながら、万一、技術情報をはじめとした会社の機密情報が流出した場合、当社グループの企業価値を毀損する可能性があり、また企業情報及び個人情報が流出した場合には、当社グループの信頼を毀損するだけでなく、流出の影響を受けた取引先、顧客、従業員またはその他関係者から損害賠償を請求される可能性があります。そのような場合、信用回復のための諸活動をはじめ、対象企業や個人への補償、再発防止措置の実施等が必要になり、そのために多大なコストを要し、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 製品及びサービスにおける欠陥の発生
当社グループの製品及びサービスについては、国内外のグループ会社及び生産委託先にて高度の品質保証体制を確立し、顧客に対して高精度の機能を高い信頼性をもって提供しております。しかしながら、万一、製品又はサービスに欠陥が発生したことにより顧客に損失をもたらした場合は、修理費用、賠償責任、リコール、製品等の廃棄等による多額のコスト発生や、ブランドに対する信頼感の低下により当社グループ製品及びサービスに対する顧客の購買意欲の低減を招くおそれがあり、収益と財政状況に悪影響を与える可能性があります。
⑬ 自然災害等の発生
大地震・火災・洪水等自然災害や新型インフルエンザ等感染症の拡大への対策には充分に注意を払い、特に地震対策についてはBCP(事業継続計画)を策定して優先的に進めておりますが、当社グループの開発・製造拠点並びに調達先等に壊滅的な損害が生じた場合、操業が中断し、生産や出荷に遅延が生じるおそれがあります。これにより、売上げが減少し、事業の復旧に多大な費用が生じた場合、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ ブランド価値の毀損
「ニコンブランド」は、長年に亘る誠実な企業経営とお客様の信頼に応えた製品・サービスの提供により培ってきたものであり、その価値の保護、増大に十分努めております。しかしながら、当社グループの技術や製品・サービスに関する否定的な評判・評価が世間に流布されることによって信用が低下し、ニコンブランドの価値が毀損された場合、収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 技術導入契約
当社が締結している重要な技術導入契約は次のとおりであります。
相手先 | 国名 | 契約内容 | 契約期間 |
ギルバート・P・ハイアット/U.S.フィリップス コーポレーション | 米国 | マイクロコンピュータに関する特許実施権の許諾 | 自 平成5年12月28日 至 対象特許の満了日 |
※ レメルソン財団との画像処理を用いた製造方法に関する特許実施権の許諾契約につきましては、平成25年12月28日に対象特許権が満了したことに伴い終了しました。
(2) 相互技術援助契約
当社が締結している重要な相互技術援助契約は次のとおりであります。
相手先 | 国名 | 契約内容 | 契約期間 |
ASML Holding N.V. | オランダ | 半導体製造装置に関する特許実施権の許諾 | 自 平成16年11月12日 至 平成26年12月31日 |
Carl Zeiss SMT AG Carl Zeiss AG | ドイツ | 半導体製造装置に関する特許実施権の許諾 | 自 平成16年11月12日 至 平成26年12月31日 |
当社グループでは、各事業部門の開発担当部門がコアテクノロジー本部と連携しながら研究開発を推進しております。
「光利用技術」と「精密技術」の2つの中核技術を基軸に、デジタル技術や制御技術、情報通信技術など、多彩な技術をクロスオーバーすることで、要素技術開発から商品開発、生産技術開発に至るまで上記体制の下に積極的な研究開発活動に取り組んでおり、当連結会計年度の研究開発費は745億52百万円でありました。
当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりであります。
① 精機事業
半導体露光装置では、引き続き液浸露光技術のさらなる向上に注力し、既に定評のあるStreamlign Platformを採用したArF液浸スキャナー「NSR-622D」の精度と生産性をさらに向上した、10ナノメートル台プロセス量産用の装置「NSR-S630D」を開発しました。また、ウェハサイズ大型化に対応した450mm露光装置の2015年出荷と同装置を活用したウェハパターニングサービスの提供開始に向けて、現在プロトタイプ機の開発を進めています。
FPD露光装置では、モバイル機器等中小型ディスプレイ及びTV等大型ディスプレイの生産で求められている更なる高精細・高生産性の実現に向けた開発を継続しました。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は254億73百万円であります。
② 映像事業
レンズ交換式デジタルカメラでは、FXフォーマットデジタル一眼レフカメラの新たなフラッグシップモデル「ニコンD4S」を開発し、3月に発売しました。「D4S」は、従来機「D4」をベースにAF性能、画質、ワークフローと操作系、動画など、プロフェッショナルフォトグラファーの厳しい撮影条件下で必要とされる機能を見直すことで、フラッグシップモデルとしての完成度を高めています。「D4S」のAFシステムは「アドバンストマルチCAM 3500FXオートフォーカスセンサーモジュール」をベースにAFアルゴリズムを高次元で調整したこと、また多様なフォーカシングに柔軟に対応する5つのAFエリアモードを搭載することで、動きの激しい被写体に対してより高いAF追従性能を可能としました。また画質は綿密な研究とシミュレーションを重ねて自社開発した新画像処理エンジン「EXPEED 4」、新開発のニコンFXフォーマットCMOSセンサーを採用することによって、従来より高い鮮鋭感と立体感、自然な肌のトーンを実現しています。常用感度域はISO100からISO25600となり、全域でさらにシャープなラインとざらつきの少ない美しい色を実現、オートホワイトバランスの精度も向上しています。
コンパクトデジタルカメラでは、「COOLPIX」史上最高の光学60倍ズームを搭載した多機能モデルの「COOLPIX P600」を開発し、2月に発売しました。「COOLPIX P600」は光学60倍の超高倍率ズームNIKKORレンズを搭載し、広角24mm相当から超望遠1440mm相当(35mm判換算の焦点距離)の撮影画角をカバーしており、超望遠撮影から、広角撮影、マクロ撮影まで幅広い撮影シーンに対応しています。またレンズは、ニコン一眼レフカメラ用交換レンズ「NIKKOR」にも使用されている、スーパーED(特殊低分散)レンズを「COOLPIX」で初めて採用して、コンパクトボディーでも高い描写性能を実現。暗いシーンに強い裏面照射型CMOSセンサーと高性能なレンズシフト方式ブレ補正(VR)機能との相乗効果で、夜景はもちろん、薄暗い室内や超望遠写真も、すみずみまで美しく描写します。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は284億30百万円であります。
③ インストルメンツ事業
独自開発したリニアエンコーダや新開発TTLレーザAFなどの搭載により、高精度・高速の測定が可能なCNC画像測定システム「NEXIV VMZ」の新ラインナップとして、性能はそのままに小型化を実現した「VMZ-R3020」、大ストロークにより検査コストを大幅に削減した「VMZ-R6555」を開発しました。
また、「iNEXIV VMA」シリーズとして、より大きな測定ストロークによる検査コストの削減など、優れたコストパフォーマンスを実現した「VMA-4540」「VMA-4540V」を開発しました。
なお、当事業に係る研究開発費の金額は52億56百万円であります。
④ その他の事業
その他の事業に係る研究開発費の金額は153億92百万円であります。
(注) 事業別に記載している研究開発費には、内部消去額を含んでおります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末時点における資産及び負債並びに連結会計期間における収益及び費用の数値算出のために必要な所定の見積りを行っております。この見積りはたな卸資産、貸倒引当金、繰延税金資産、製品保証引当金、退職給付費用等についてなされたものです。
当連結会計年度末における流動資産の残高は、6,488億22百万円(前連結会計年度は5,756億47百万円)となり、731億74百万円増加しました。主に、現金及び預金が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における固定資産の残高は、3,006億93百万円(前連結会計年度は2,890億19百万円)となり、116億73百万円増加しました。主に、投資有価証券の時価が上昇したこと等によるものです。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,801億76百万円(前連結会計年度は2,991億86百万円)となり、190億9百万円減少しました。主に、当連結会計年度に国土交通省の収用要請の対象となった土地の移転が完了し、その他に計上していた過年度に受領した収用代金を収用補償金として特別利益に計上したことによるものです。
当連結会計年度末における固定負債の残高は、1,225億25百万円(前連結会計年度は752億63百万円)となり、472億61百万円増加しました。主に、長期借入金の増加及び社債の発行によるものです。
当連結会計年度末における純資産の残高は、5,468億13百万円(前連結会計年度は4,902億17百万円)となり、565億95百万円増加しました。これは主に、当期純利益468億24百万円を計上したことにより利益剰余金が増加したことによるものです。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,141億85百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益746億91百万円の計上、売上債権の減少139億24百万円、たな卸資産の減少346億84百万円による収入、仕入債務の減少139億41百万円及び法人税等の支払57億77百万円による支出であります。投資活動によるキャッシュ・フローは、431億93百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得326億80百万円による支出であります。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、318億68百万円の収入となりました。主な要因は、長期借入れ270億円、社債の発行198億88百万円による収入、配当金の支払87億21百万円による支出であります。
当連結会計年度における売上高は9,805億56百万円(前連結会計年度は10,104億93百万円)となり、299億37百万円減少しました。一方、営業費用は9,176億14百万円であったため、629億41百万円の営業利益となりました。この売上高減少の要因は、映像事業において、市場環境の悪化に伴いレンズ交換式デジタルカメラおよびコンパクトデジタルカメラの販売台数が減少したことによるものです。
営業利益又は営業損失の内訳は、それぞれ精機事業200億79百万円、映像事業642億84百万円、その他44億19百万円の営業利益、インストルメンツ事業21億56百万円の営業損失となりました。
営業外収益は受取利息、受取配当金及び持分法による投資利益等により91億87百万円、営業外費用は支払利息および為替差損等により104億3百万円であったため、経常利益は617億25百万円となりました。
特別利益は収用補償金及び投資有価証券売却益等により167億29百万円、特別損失は減損損失等により37億63百万円となりました。
なお、セグメント別の分析は、第2[事業の状況]1[業績等の概要](1)業績の項目を、また今後の事業環境の見通しと当社グループの課題につきましては、第2[事業の状況]3[対処すべき課題]の項目を、それぞれご参照ください。
以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月27日)現在において判断したものであります。
(注) セグメント別の営業利益は、当グループ内取引において生じた損失額(総額3億41百万円)
を含んでおり、また全社費用240億26百万円は含んでおりません。