当社グループは、「消費者の立場になって価値ある製品を作ろう」を社是の第一に掲げてきました。今後もお客様に喜ばれる真の価値ある製品づくりに努めてまいります。
「小さなクルマ、大きな未来。」をスローガンに、お客様の求める小さなクルマづくり、地球環境にやさしい製品づくりに邁進いたします。
あらゆる面で「小さく・少なく・軽く・短く・美しく」を徹底し、ムダのない効率的な健全経営に取り組んでまいります。
現在、自動車産業は大変革の時代を迎えています。このような変革期には、現在からの延長線ではなく、長期展望として10年、15年先に目指す姿を描き、そこから現在に遡って今後行うべきことを考え、未来を切り拓くことが必要です。
2030年頃に、インド市場は1,000万台規模に成長する可能性があります。現在のシェア50%を維持すると、スズキは500万台の規模です。そのほかの市場を200万台とすると、スズキ全体で700万台となります。これは計画というよりは理論値ですが、今後の成長に向けてスズキはチャレンジしてまいります。
また、インドを充実させることは、開発した商品を世界に展開することを通じて、他の市場の充実にもつながると考えております。
しかし今と比べれば、倍以上の規模となる全く未知の領域です。経営陣をはじめ全社員が発想を変えて、ヒト、モノ、カネの経営資源を効果的に配分していかなければなりません。
その意味でこの長期展望に向けた活動は、猶予の許されない、スズキの未来をかけた挑戦です。全社をあげて取り組んでまいります。
そのような中、当社グループは、以下の課題に取り組んでまいります。
<品質>
品質問題については、今後とも最も重要な課題であることに変わりありません。
当社グループは、お客様の安全・安心を最優先に考え、高品質でお客様に安心してお使い頂ける製品の開発・生産とアフターサービスの提供に努めております。
今後とも、お客様の求める品質を的確に捉えながら、全部門が品質意識を緩めることなく活動し、お客様が引き続き安心して製品をお使い頂けるように全力を尽くしてまいります。
<商品と研究開発>
商品については、お客様の期待を超える価値をもつ独創的な商品を引き続き投入するとともに、2030年を踏まえ、販売台数が拡大する中で開発車種も効率的に設定していかなければなりません。
また、環境問題については、従来の延長線上の技術だけでなく、新たな技術への取り組みを加速しなければなりません。当社が得意とする小さなクルマづくり、高効率のパワートレイン開発とともに、ハイブリッドの拡大・強化、EVの新規開発にも積極的に取り組んでまいります。
さらに、安全技術やコネクティッドなど情報通信技術にも取り組んでまいります。
<生産>
生産については、安全第一、世界最適生産体制の構築に尽力してまいりますが、特にインドについては、政府が提唱するメイク・イン・インディアの観点からグジャラート工場や電池工場等の生産体制の強化に積極的に取り組んでまいります。
<販売・サービス>
世界各国、各地域において、販売網・サービス網の強化に取り組んでまいります。
特にインドでは現在、乗用車市場で過半数のシェアを獲得していますが、我々は2030年にも過半数のシェアを確保したいと考えています。この具体的な実現方法について積極的に対処してまいります。
<四輪事業>
日本はグローバル車開発の要、生産の基盤と位置付けています。
商品戦略としては、軽、A、Bセグメントに集中し、拡大する世界の小型車市場に対応してまいります。
地域戦略としては、日本、インド、インドネシア、パキスタンなど引き続きアジアを主力に事業基盤を強化してまいります。
<二輪事業>
「150cc以上」、「バックボーン」、「スポーツ」のカテゴリーに注力することを基本に、大排気量車から小排気量車までシリーズ化を行い、一貫したスズキブランドの強化を行っています。
これに加えて、成長市場インドでの「スクーター」強化、アセアン生産モデルの域内外への展開による稼働率改善、浜松工場への開発~生産~営業の集約など、引き続き緊張感を持って経営改善を進めることにより、黒字体質の定着を目指してまいります。
<マリン事業>
大型4ストローク船外機の強化、充実を図り、プレジャー市場、業務市場の開拓を進め、「THE ULTIMATE 4-STROKE OUTBOARD」のブランドスローガンのもと、世界一の4ストローク船外機ブランドを構築してまいります。
<ESG(環境、社会、ガバナンス)の取り組み強化>
「環境」については、「スズキ環境計画2020」を推進し、環境技術の開発と普及、CO2排出量の削減に取り組んでまいります。
「社会」については、ステークホルダーの皆様のご期待に応えるよう、製品の安全・品質、地域社会への貢献、人への投資、人財育成、労働安全などに積極的に取り組んでまいります。
「ガバナンス」については、コーポレートガバナンス・コンプライアンス体制を推進し、マネジメント体制、法令遵守への取り組みを強化してまいります。
環境、社会、ガバナンスの各課題に積極的に取り組み、世界中のお客様に愛され、信頼されるグループを目指してまいります。
冒頭に記載したとおり、長期展望に向けた活動は、猶予の許されない、スズキの未来をかけた挑戦です。全社をあげて取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
長期間の景気低迷、世界経済の悪化や金融危機、消費者の購買意欲低下は、四輪車、二輪車及び船外機などの当社グループ製品の需要の大幅な低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、世界各国において事業を展開しており、特に、アジア地域の新興国を中心とした海外生産工場への依存度も年々高まってきています。これらの市場での経済情勢の急変などの不測の事態は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。さらに、各国の税制や金融政策などの予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性もあります。
当社グループは、事業を展開する世界各国の市場において他社との競争にさらされています。世界の四輪車・二輪車産業の国際化が今後ますます進展することによって、競争はより一層激化する可能性があります。他社との競争は、製品の品質、安全性、価格、環境性能等のほか、製品の開発・生産体制の効率性や販売・サービス体制の整備、販売金融など様々な項目が挙げられます。
当社グループは、競争力の維持・向上のための施策に取り組んでまいりますが、将来において優位に競争することができないリスクがあります。
お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉え、お客様に満足して頂ける魅力的な新商品を適時に開発して市場に投入することは、四輪車・二輪車メーカーにとって大変重要です。国内外における景気の低迷による需要の減少、環境性能への関心の高まり、先進技術搭載車の急速な普及等、急激に変化するお客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を捉えることが従来にも増して重要になっています。
また、新商品の投入は、お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えることだけでなく、具体的な商品の開発力、将来に向けた先進技術の開発力、さらには継続的に商品を生産する能力が必要になります。
さらに、当社グループがお客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えることができても、技術力、部品の調達、生産能力、優秀な人財の確保、その他の要因により、対応した新商品を適時に開発することができない可能性があります。お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えた商品を適時に市場に投入することができない場合、販売シェアや売上の低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
特定の部品・原材料の供給不足・値上がり、不安定な経済状況、輸入規制の改正、価格競争の激化など様々な要因により、当社グループの製品価格・仕入価格の急激な変動が引き起こされる可能性があります。このような急激な価格変動が長引かない、あるいは、これまでこのような変動がなかった市場で発生しないという保証はありません。当社グループが事業展開しているどの市場においても、急激な製品価格・仕入価格の変動は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、技術力、品質、価格競争力などの要素により、調達が特定の仕入先に偏っている部品があります。これらの部品について、仕入先の予期せぬ事故等により、部品を継続的・安定的に確保できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、世界各国において事業を展開しており、また、いくつかの国においては、その国の法律上又はその他の要件に従い、現地企業との間で合弁による事業を行っています。これらの事業は、各国の様々な法律上その他の規制(課税、関税、海外投資及び資金の本国送金に関するものを含みます。)を受けています。これらの規制、又は合弁相手の経営方針、経営環境などに変化があった場合は、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本から世界各国へ四輪車、二輪車、船外機並びにそれらの部品などを輸出するとともに、海外の生産拠点からも、それらの製品や部品を複数の国々へ輸出しています。現在では連結売上高に占める海外売上高の割合は7割になっています。特に、新興国を中心とした海外生産工場への依存度が高く、為替変動に左右されやすく、また、資金の多くを低金利が続く日本で調達していることから、金利変動にも左右されやすい構造にあります。
当社グループは、為替及び金利変動リスクの軽減を図るため、為替予約等のヘッジや、生産拠点を分散してグローバルに最適化を図るなどの対策を行っていますが、全てのリスクをヘッジすることは不可能であり、生産国の通貨が他の通貨に対して高くなると、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、生産拠点を他国へ移したことにより、逆に自国の通貨が下落した場合でも、輸出による為替差益を享受できなくなる機会損失が発生する可能性があります。
さらに日本での急激な金利の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
排気ガス排出レベル、燃費、騒音、安全性及び製造工場からの汚染物質排出レベルに関して、四輪車、二輪車及び船外機業界は、様々な法規制の適用を受けています。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社グループの業績に対して大きな影響を与える可能性があります。
また、多くの政府は、関税の賦課や、価格管理規制及び為替管理規制を定めています。当社グループは、これらの規制を遵守するために費用を負担してきており、今後も負担することになると予想しています。新たな法律の制定又は既存の法律の変更によっても、当社グループが更なる費用を負担する可能性があります。さらに、各国の税制や景気対策等の予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性もあります。
・品質保証
当社グループは、製品の安全を最優先の課題とし、開発から販売までの品質保証体制の整備に努めています。製造物にかかわる賠償責任については、保険に加入していますが、保険でカバーされないリスクもあり、また、顧客の安全のため大規模なリコールを実施し、多額の費用が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・他社との提携
当社グループは、研究開発、生産、販売、金融等、国内外の自動車メーカーをはじめ、他社と様々な提携活動を行っていますが、提携先固有の事情等、当社グループの管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
・情報技術への依存
当社グループでは、設計開発・生産・販売や会計など事業活動のあらゆる場面において電子データの形で、作成・処理・蓄積を行っています。また、製品においても様々な電子制御装置が搭載され、車輌や搭載装備の制御を行っています。これらに対しては、安全対策が施されているものの、電力停止などのインフラ障害、ハッカーやウィルスによる攻撃などが発生する可能性があります。この結果として、業務の中断や、データの破損・喪失、機密の漏洩が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・情報の漏洩
当社グループは社内外の個人情報や、経営・業務・技術等に関する機密情報の漏洩を防止する体制を取っておりますが、不測の事態により当該情報の流出・不正使用があった場合、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払義務などが発生することが考えられ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・コンプライアンス
当社グループでは法令等の遵守については違反の未然防止の対策ならびにコンプライアンス案件に速やかに対応する体制を構築しております。しかしながら、不測の事態により法令違反の事実や不十分な対応があった場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・知的財産の保護
当社グループは、他社製品との区別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を蓄積しており、その保護の対策を講じるとともに、第三者の知的財産権侵害防止の対策を講じております。しかしながら、当社グループの知的財産が不法に侵害され、或いは第三者から知的財産侵害の指摘を受け訴訟、製造販売の中止、損害賠償等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を行っていく中で訴訟その他の法的手続の当事者となる可能性があります。それらの法的手続において当社グループにとって不利な判断がなされた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本では、地震、台風、洪水などの自然災害や予期せぬ事故など様々なリスクにさらされています。特に、当社の本社をはじめとする主要施設や研究開発拠点、主要生産拠点は周期的な巨大地震が発生する可能性が高い東海地区に集中しています。当社グループでは、東海地震・東南海地震などの自然災害による被害の影響を最小限に抑えるべく、建物・設備等の耐震対策、防火対策、事業継続計画の策定、地震保険への加入等、様々な対策を講じていますが、万一、東海地震や東南海地震などの発生があると業績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
海外においても、当社グループは世界各国において事業を展開しており、海外での事業展開に関連する様々なリスクにさらされています。
これら国内外のリスクには自然災害、疫病、戦争、テロ、ストライキ、さらには政治的・社会的な不安定性や困難に起因するもの等があります。これらの予期せぬ事象が発生すると、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、長引くようであれば、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、全体としては緩やかな景気回復が続いている一方で、米国の関税政策の行方や、中国やアジア新興国での経済の先行き等、不透明さが増している状況です。当社グループにとって重要市場であるインドにおいては内需を中心に景気は拡大しています。日本においても政府による各種政策を背景に景気は緩やかな回復を続けています。
このような状況下、当社グループは、平成27年からの5ヵ年における「中期経営計画SUZUKI NEXT 100」を策定し、「チームスズキ」、「ものづくりの強化」を中心に、社是の第一に掲げる「消費者(お客様)の立場になって価値ある製品を作ろう」の原点に立ち戻り、様々な改革を実行してまいりました。これら施策の効果もあり、3年目にあたる平成29年度は以下のとおり連結売上高で平成31年度目標の3兆7千億円を超え、営業利益率も10%と目標の7%を大きく超えることができました。
具体的な当連結会計年度の経営成績ですが、連結売上高は3兆7,572億円と前連結会計年度に比べ5,877億円(18.5%)増加しました。国内売上高は四輪車販売の増加等により1兆1,167億円と前連結会計年度に比べ792億円(7.6%)増加しました。海外売上高はインド、欧州等での四輪車や二輪車の販売増等により2兆6,405億円と前連結会計年度に比べ5,085億円(23.8%)増加しました。
連結利益の面では、営業利益は、アジア、日本、欧州での損益改善等により3,742億円と前連結会計年度に比べ1,075億円(40.3%)増加、経常利益は3,828億円と前連結会計年度に比べ961億円(33.5%)増加、親会社株主に帰属する当期純利益は2,157億円と前連結会計年度に比べ557億円(34.9%)増加しました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
四輪事業につきましては、国内売上高は昨年度に投入した「ワゴンR」、「スイフト」に加え、12月に投入した「スペーシア」、「クロスビー」など新型車の販売貢献等により前連結会計年度を上回りました。海外売上高は、新型「ディザイア」、「スイフト」を投入したインドをはじめ、欧州等での販売増等により前連結会計年度を上回りました。この結果、四輪事業の売上高は3兆4,358億円と前連結会計年度に比べ5,402億円(18.7%)増加しました。営業利益はアジア、日本、欧州での損益改善等により3,551億円と前連結会計年度に比べ1,000億円(39.2%)増加しました。
二輪事業につきましては、売上高はインドでのスクーターや先進国での大型バイクの販売貢献等により2,464億円と前連結会計年度に比べ401億円(19.4%)増加しました。営業利益は前連結会計年度の営業損失9億円から営業利益46億円へと黒字になりました。
マリン事業他につきましては、売上高は船外機の新型「DF350A」の北米、欧州を中心とした販売貢献等により750億円と前連結会計年度に比べ74億円(11.0%)増加しました。営業利益は145億円と前連結会計年度に比べ20億円(15.9%)増加しました。
所在地別の経営成績につきましては、アジア、日本、欧州、その他の各所在地で増収増益となりました。
生産、受注及び販売の状況は、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
生産実績 |
販売実績 |
||
|
|
前期比 |
|
前期比 |
|
|
四輪事業 |
3,249,475台 |
+10.4% |
34,358億円 |
+18.7% |
|
二輪事業 |
1,078,174台 |
+22.7% |
2,464億円 |
+19.4% |
|
マリン事業他 |
634億円 |
+12.3% |
750億円 |
+11.0% |
|
合計 |
― |
― |
37,572億円 |
+18.5% |
(注) 1 マリン事業他の生産実績は販売価格によります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 販売実績は外部顧客への売上高を示しています。
4 当社グループは主に見込み生産を行っているため、受注状況について該当事項はありません。
平成27年9月にフォルクスワーゲンAGから、その保有する当社株式を取得するために、4,603億円の自己株式取得を行いましたが、その結果、連結自己資本比率は平成27年3月末の45.6%から平成28年3月末には35.4%にまで低下しました。一方、インドなど成長投資のための多額の投資を計画していることから、平成28年4月に転換社債型新株予約権付社債により2,000億円の資金を調達しました。
当連結会計年度末の財政状態は、総資産は3兆3,408億円(前連結会計年度末比2,248億円増)、負債の部は1兆7,456億円(前連結会計年度末比167億円増)、純資産の部は1兆5,952億円(前連結会計年度末比2,082億円増)となり、業績拡大を背景に自己資本比率は38.8%にまで回復しましたが、引き続き自己資本比率の改善が重要な課題となっています。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは業績拡大により4,452億円の増加(前連結会計年度は3,663億円の資金増加)となり、投資活動ではインドでの能力増強投資や各生産拠点での新機種投資、及び有価証券の取得など3,416億円の資金を使用(前連結会計年度は2,886億円の資金減少)しました結果、フリー・キャッシュ・フローは1,036億円の増加(前連結会計年度は777億円の資金増加)となりました。財務活動では長期借入金の返済など有利子負債の圧縮を図るとともに増配による株主還元の拡大などにより1,139億円の資金が減少(前連結会計年度は895億円の資金増加)しました。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は6,008億円となり、前連結会計年度末に比べ132億円減少しました。
なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。
北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。
当社グループは、価格変動性の高い上場会社の株式と、株価の算定が困難な非上場会社の株式を保有していますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しています。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、長期期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。
長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。
また、年金資産の運用利回りが、長期期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。
1 昭和63年5月12日、マツダ㈱と軽自動車のOEM供給についての基本確認書を締結しました。
2 平成13年4月2日、日産自動車㈱と軽乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。
3 平成22年11月8日、三菱自動車工業㈱と小型乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。
当社グループの研究開発活動は主に当社が行っており、環境問題や多様化するお客様のニーズに対応し独創的で競争力のある商品を提供することを目指し、積極的に取り組んでいます。
特に、新中期経営計画「SUZUKI NEXT 100」に掲げた「ものづくりの強化」において、生産、技術、購買、ITが一体となってお客様に価値ある商品を届ける仕組みの改善を推進しています。先進安全技術を搭載した商品とその生産システムのほか、ひとに優しい組立ライン、危険かつ熟練を要する作業の自働化技術などを導入し、商品性向上のみならず、経営面でも多大な成果を上げています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,394億円であり、セグメントごとの活動状況は、以下のとおりです。
四輪事業では、国内軽自動車をはじめとする四輪車の開発において、トップクラスの環境性能の実現と、安心・安全な車づくりに取り組んでいます。
まず環境性能への取り組みとして、環境に配慮しながら更に便利で楽しい車を実現する次世代環境技術「スズキグリーン テクノロジー」を順次展開しています。
平成29年12月発売の新型「スペーシア」、「スペーシア カスタム」(以下、新型「スペーシア」シリーズ)及び新型「クロスビー」では軽量化と高剛性を両立したプラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」とモーターでエンジンをアシストするマイルドハイブリッドを採用しました。また、発電も可能な駆動用モーター(MGU)と伝達効率に優れたトランスミッションであるオートギヤシフト(AGS)を組み合わせ、高効率なEV走行を実現した当社独自のハイブリッドシステムを平成29年7月に新型「スイフト」に採用しました。
また、電気自動車についても平成29年11月17日に発表しましたとおり、トヨタ自動車株式会社と平成32年頃にインド市場向けに電気自動車を投入するための協力関係構築に向け検討を進めることで合意し、検討を進めています。
次に、安心・安全な車づくりへの取り組みとして、予防安全技術の採用を進めています。本技術の総称として「スズキ セーフティ サポート」を定め、新型「スペーシア」シリーズでは衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」に加え、後退時の衝突回避または被害軽減を図る「後退時ブレーキサポート」を軽自動車で初採用※1すると共に後方誤発進抑制機能、リヤパーキングセンサーも搭載しました。さらに、周囲を立体的に360°確認できる「3Dビュー」を軽自動車で初採用※1するなど、安全運転を支援する機能を充実させました。これらの安全技術は新型「クロスビー」にも採用しています。
また、新型「スペーシア」シリーズ及び新型「クロスビー」は、経済産業省や国土交通省などが普及を推進する「セーフティ・サポートカー※2」の「サポカーS ワイド※3」に該当、平成29年度JNCAP※4予防安全性能アセスメントにおいても最高ランクの「ASV※5++(ダブルプラス)」を獲得しました。
このほか、平成29年度は当社の商品開発が評価され、著名な賞を受賞しました。主なものとして、まず、新型「スイフト」が、NPO法人 日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)が主催する「2018年次 RJC カー オブ ザ イヤー」を受賞しました。新型「スイフト」は、平成16年の発売開始から3代目のモデルであり、3代連続の受賞です。さらにスイフトは「ワールド・カー・アワーズ(WCA)」が主催するワールド・カー・アワーズにおいて「2018ワールド・アーバン・カー部門 TOP3」(上位3モデル)にも選ばれました。スズキ車が同部門のTOP3になるのは昨年の「イグニス」に次いで2年連続となります。
当連結会計年度における四輪事業の研究開発費の金額は1,178億円です。
※1 平成29年12月現在、当社調べ。
※2 自動ブレーキなどの先進安全技術をはじめとする一定の運転支援機能を備えた車(安全運転サポート車)の愛称。略称・サポカー。
※3 安全運転サポート車のうち、特に高齢運転者に推奨される「サポカーS」の区分のひとつで、自動ブレーキ(対歩行者)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱警報、先進ライトを搭載する車。
※4 JNCAP:Japan New Car Assessment Program
※5 ASV:Advanced Safety Vehicle
二輪事業では、環境に配慮した技術開発に取り組んでいます。
スーパースポーツバイクのGSX-Rシリーズの開発で培った知識と経験を活かし、軽量でコンパクトな車体に欧州新排出ガス規制「ユーロ4」に対応した124cm3の水冷4バルブ単気筒DOHCエンジン搭載モデル「GSX-R125」、「GSX-S125」をABS標準装備で投入しました。
軽量化についても最新の解析技術や試験装置を活用して、形状、材質、製法の見直しを進め、新型「RM-Z450」では、現行車に対しフレームで7%、スイングアームで3%、シートで16%、燃料タンクで24%、リアサスペンションで9%の軽量化を実現し、車両全体の軽量化に貢献しました。
その他の研究開発として、水素を燃料とする空冷式燃料電池二輪車「バーグマン フューエルセル」では、平成29年3月より開始した国内公道走行に続いて、平成30年1月からは英国にも走行範囲を拡げ、市場性の確認を目的にデータ収集を行っています。
レース活動に関しても、高い技術力を示すことによりブランドイメージを向上させるとともに、レースを通して得られる技術を量産車開発に還元し、より魅力的な商品の開発を進めていきます。
当連結会計年度における二輪事業の研究開発費の金額は188億円です。
マリン事業他では、マリン製品における環境や利便性向上に関わる技術開発を行っており、主な成果として「DF350A/325A」の2機種の新型船外機を開発しました。
環境面では、低燃費化技術として推進効率向上、熱効率向上による燃費向上を行いました。当社初の二重反転プロペラ「スズキ・デュアルプロップシステム」を採用し、プロペラの推進効率を向上するとともに、ギアケースを小型化し、水中抵抗を低減しました。また、高圧縮比の4ストロークV型6気筒エンジンを新開発し、1気筒当たり2本のインジェクターを備えるデュアルインジェクターや、外部の空気を直接取り込む「ダイレクトインテークシステム」を採用し、熱効率を向上、優れた出力性能と低燃費を実現しました。
利便性の向上面では、「スズキ・デュアルプロップシステム」の採用により、優れた直進安定性と旋回性能を有し、さらにリバース時は、従来機種と比較して低いエンジン回転数で高い推力を発生できることにより、電子制御方式の操作系の採用と合わせて、狭い水路での航行や着桟時の操作性が向上しました。また、プロペラの回転方向を考える必要もなくなり、多機掛けボートへの搭載性も向上しました。
「DF350A」は、高い技術力が認められ、アメリカマリン工業会の平成29年「技術革新賞(2017 IBEX Innovation Award)」を受賞しました。スズキ4ストローク船外機の同賞の受賞は、今回で8回目です。
当連結会計年度におけるマリン事業他の研究開発費の金額は28億円です。