当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、米国や欧州、インドでの景気回復が進む一方、中国やアセアンでは景気は停滞しており、さらに米国の金融政策正常化の影響や原油価格の動向などが懸念される状況にあります。国内においては政府による各種政策を背景に景気は緩やかに回復しているものの、年明け以降、為替の円高が進むなど、先行きは不透明な状況にあります。
このような状況下、当連結会計年度の連結売上高は3兆1,807億円と前連結会計年度に比べ1,652億円(5.5%)増加しました。国内売上高は軽自動車税増税の影響やOEM売上の減少により1兆479億円と前連結会計年度に比べ467億円(4.3%)減少しました。海外売上高はインドでの四輪車の売上増加等により2兆1,328億円と前連結会計年度に比べ2,119億円(11.0%)増加しました。
連結利益の面では、営業利益はインドでの増益等により1,953億円と前連結会計年度に比べ159億円(8.9%)の増加、経常利益は2,091億円と前連結会計年度に比べ148億円(7.6%)の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は1,167億円と前連結会計年度に比べ198億円(20.4%)の増加となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
二輪車事業の売上高は新型ロードスポーツバイク「GSX-S1000」やインドでの「ジクサー」の販売貢献があったものの、インドネシアでの減少等により2,339億円と前連結会計年度に比べ166億円(6.6%)減少しました。営業利益は品質関連費用もあり前連結会計年度の営業損失7億円から営業損失102億円となりました。選択と集中により、赤字体質からの脱却を進めてまいります。
国内売上高は軽乗用車「アルト」、「アルト ラパン」が、前年の「ハスラー」に続き2年連続でRJC カー オブ ザ イヤーを受賞するなど高い評価を頂き、小型車では「ソリオ」、「エスクード」、「イグニス」、「バレーノ」の発売など商品力を強化し拡販に努めてまいりましたが、軽自動車税増税の影響やOEM売上の減少により、前連結会計年度を下回りました。海外売上高は欧州での「ビターラ」の販売貢献やインド、パキスタンでの増加等により前連結会計年度を上回りました。この結果、四輪車事業の売上高は2兆8,785億円と前連結会計年度に比べ1,765億円(6.5%)増加しました。営業利益はインドでの増益等により1,926億円と前連結会計年度に比べ208億円(12.1%)増加しました。
特機等事業の売上高は米国での船外機の売上増加等により683億円と前連結会計年度に比べ53億円(8.3%)増加しました。営業利益は129億円と前連結会計年度に比べ46億円(55.8%)増加しました。
所在地別の業績は、次のとおりです。
売上高は日本を経由する三国間取引の拡大等により1兆8,102億円と前連結会計年度に比べ452億円(2.6%)増加しました。営業利益は研究開発費、減価償却費の増加等により848億円と前連結会計年度に比べ59億円(6.5%)減少しました。
売上高は新型コンパクトSUV「ビターラ」の販売貢献や日本を経由する三国間取引の拡大等により5,505億円と前連結会計年度に比べ1,144億円(26.2%)増加しました。営業利益は67億円と前連結会計年度に比べ16億円(31.4%)増加しました。
売上高はインドネシアで減少したものの、インド、パキスタンでの四輪車の売上増加等により1兆4,961億円と前連結会計年度に比べ1,899億円(14.5%)増加しました。営業利益はインド、パキスタンでの増益等により1,038億円と前連結会計年度に比べ222億円(27.2%)増加しました。
売上高はアメリカでの船外機の売上が増加したものの二輪車の在庫調整の影響もあり、1,544億円と前連結会計年度に比べ48億円(3.0%)減少しました。営業利益は24億円と中南米等での減益により前連結会計年度に比べ2億円(7.2%)減少しました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,941億円の増加(前連結会計年度は2,550億円の資金増加)となり、投資活動では有価証券、有形固定資産の取得など2,424億円の資金を使用(前連結会計年度は1,209億円の資金減少)しました結果、フリー・キャッシュ・フローは517億円の増加(前連結会計年度は1,341億円の資金増加)となりました。財務活動では自己株式の取得等により5,204億円の資金が減少(前連結会計年度は845億円の資金増加)しました。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は4,501億円となり、前連結会計年度末に比べ4,822億円減少しました。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 生産高 | 前年同期比(%) |
二輪車 | 872,856台 | △19.6 |
四輪車 | 2,795,562台 | +0.7 |
特機等 | 57,133百万円 | +7.9 |
(注) 1 金額は販売価格によります。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当社グループは主に見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
二輪車 | 233,889 | △6.6 |
四輪車 | 2,878,515 | +6.5 |
特機等 | 68,253 | +8.3 |
合計 | 3,180,659 | +5.5 |
(注) 1 金額は外部顧客への売上高を示しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
はじめに、当社の四輪車の排出ガス・燃費試験業務について、国が定める規定と異なる不正な取扱いがあり、株主の皆様をはじめ関係各位にご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申しあげます。今後、再発防止対策を着実に実行してまいりますとともに、各種業務におけるコンプライアンスの徹底やリスク管理体制の強化等に取り組んでまいります。
当社グループは、平成27年からの5ヵ年における「新中期経営計画 SUZUKI NEXT 100」-創立100周年・次の100年に向けた経営基盤の強化-を策定いたしました。
平成32年に創立100周年を迎えることから、さらに次の100年も成長し続けるために、「チームスズキ」で、ものづくりの基盤整備と仕事の進め方の総点検をグローバルで行い、経営の土台を盤石なものとする5年間と位置付け、経営基盤の強化に取り組んでまいります。
当社グループは、新中期経営計画のもと、一丸となって企業価値の向上を図るとともに、持続的に成長することを目指してまいります。
<基本方針>
社是の第一に掲げる「消費者(お客様)の立場になって価値ある製品を作ろう」の原点に立ち戻り、新中期計画に定める取り組みの実行を通じて、事業基盤を強化してまいります。
特に品質管理につきましては、お客様の安全・安心を最優先に考え、高品質でお客様に安心して使っていただける製品の開発・生産を行い、そのアフターサービスを提供してまいります。万が一品質に関わる問題が発生した場合においても、お客様の声に真摯に対応し、問題を早期に把握して、徹底的な原因究明に基づく措置を講じ、お客様が引き続き安心して製品をお使いいただけるように全力を尽くしてまいります。

<事業戦略>
(四輪車事業)
軽、A、B、C、SUVセグメントの商品に集中し拡大する世界の小型車市場に対応いたします。開発効率化のためにプラットフォームの集約とガソリンエンジンの開発集中を進め、5年間で20モデルの新型車を全世界に投入する計画です。
地域戦略については、日本、インドを中心とするアジアを主力に取り組んでまいります。
・日 本… 軽自動車シェア30%以上
小型車10万台以上
・インド… 乗用車シェア45%以上
(二輪車事業)
選択と集中により、赤字体質からの脱却を進め、スズキの特徴を明確にした商品の開発に取り組んでまいります。特に150cc以上、バックボーン、スポーツのカテゴリーに注力してまいります。
(船外機事業)
アメリカ市場での販売を重点的に強化することに加え、アジア市場の開拓を進め、「THE ULTIMATE 4-STROKE OUTBOARD」を新ブランドスローガンとし、世界一の4ストローク船外機ブランドを目指してまいります。
<中期経営目標>
連結売上高は、一歩一歩着実に増加させ、過去最高となった平成19年度(3兆5,024億円)を早期に上回るよう目指してまいります。成長のための投資と経営基盤の強化とのバランスをとりながら、企業価値の向上に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
具体的な中期経営目標値は、平成27年6月30日発表の「新中期経営計画(2015~2019年度)SUZUKI NEXT 100」をご参照願います。
当社ホームページ IR情報
http://www.suzuki.co.jp/ir/index.html
当社グループは、「消費者(お客様)の立場になって価値ある製品を作ろう」を社是の第一に掲げてきました。今後もお客様に喜ばれる真の価値ある製品づくりに努めてまいります。
「小さなクルマ、大きな未来。」をスローガンに、お客様の求める小さなクルマづくり、地球環境にやさしい製品づくりに邁進いたします。
あらゆる面で「小さく・少なく・軽く・短く・美しく」を徹底し、ムダのない効率的な健全経営に取り組んでまいります。
役員及び従業員は、法令、社会規範、社内規則等を遵守し、公正かつ誠実に行動してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績、株価及び財政状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
長期間の景気低迷、世界経済の悪化や金融危機、消費者の購買意欲低下は、二輪車、四輪車及び船外機などの当社グループ製品の需要の大幅な低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、世界各国において事業を展開しており、特に、アジア地域の新興国を中心とした海外生産工場への依存度も年々高まってきています。これらの市場での経済情勢の急変などの不測の事態は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。さらに、各国の税制や金融政策などの予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性もあります。
当社グループは、事業を展開する世界各国の市場において他社との競争にさらされています。世界の四輪車・二輪車産業の国際化が今後ますます進展することによって、競争はより一層激化する可能性があります。他社との競争は、製品の品質、安全性、価格、環境性能等のほか、製品の開発・生産体制の効率性や販売・サービス体制の整備、販売金融など様々な項目が挙げられます。
当社グループは、競争力の維持・向上のための施策に取り組んでまいりますが、将来において優位に競争することができないリスクがあります。
お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉え、お客様に満足して頂ける魅力的な新商品を適時に開発して市場に投入することは、四輪車・二輪車メーカーにとって大変重要です。国内外における景気の低迷による需要の減少、環境性能への関心の高まり、先進技術搭載車の急速な普及等、急激に変化するお客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を捉えることが従来にも増して重要になっています。
また、新商品の投入は、お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えることだけでなく、具体的な商品の開発力、将来に向けた先進技術の開発力、さらには継続的に商品を生産する能力が必要になります。
さらに、当社グループがお客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えることができても、技術力、部品の調達、生産能力、優秀な人財の確保、その他の要因により、対応した新商品を適時に開発することができない可能性があります。お客様のニーズや自動車を取巻く環境の変化を的確に捉えた商品を適時に市場に投入することができない場合、販売シェアや売上の低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
特定の部品・原材料の供給不足・値上がり、不安定な経済状況、輸入規制の改正、価格競争の激化など様々な要因により、当社グループの製品価格・仕入価格の急激な変動が引き起こされる可能性があります。このような急激な価格変動が長引かない、あるいは、これまでこのような変動がなかった市場で発生しないという保証はありません。当社グループが事業展開しているどの市場においても、急激な製品価格・仕入価格の変動は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、技術力、品質、価格競争力などの要素により、調達が特定の仕入先に偏っている部品があります。これらの部品について、仕入先の予期せぬ事故等により、部品を継続的・安定的に確保できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、世界各国において事業を展開しており、また、いくつかの国においては、その国の法律上又はその他の要件に従い、現地企業との間で合弁による事業を行っています。これらの事業は、各国の様々な法律上その他の規制(課税、関税、海外投資及び資金の本国送金に関するものを含みます。)を受けています。これらの規制、又は合弁相手の経営方針、経営環境などに変化があった場合は、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本から世界各国へ二輪車、四輪車、船外機並びにそれらの部品などを輸出するとともに、海外の生産拠点からも、それらの製品や部品を複数の国々へ輸出しています。現在では連結売上高に占める海外売上高の割合は7割近くになっています。特に、新興国を中心とした海外生産工場への依存度が高く、為替変動に左右されやすく、また、資金の多くを低金利が続く日本で調達していることから、金利変動にも左右されやすい構造にあります。
当社グループは、為替及び金利変動リスクの軽減を図るため、為替予約等のヘッジや、生産拠点を分散してグローバルに最適化を図るなどの対策を行っていますが、全てのリスクをヘッジすることは不可能であり、生産国の通貨が他の通貨に対して高くなると、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、生産拠点を他国へ移したことにより、逆に自国の通貨が下落した場合でも、輸出による為替差益を享受できなくなる機会損失が発生する可能性があります。
さらに日本での急激な金利の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
排気ガス排出レベル、燃費、騒音、安全性及び製造工場からの汚染物質排出レベルに関して、二輪車、四輪車及び船外機業界は、様々な法規制の適用を受けています。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社グループの業績に対して大きな影響を与える可能性があります。
また、多くの政府は、関税の賦課や、価格管理規制及び為替管理規制を定めています。当社グループは、これらの規制を遵守するために費用を負担してきており、今後も負担することになると予想しています。新たな法律の制定又は既存の法律の変更によっても、当社グループが更なる費用を負担する可能性があります。さらに、各国の税制や景気対策等の予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性もあります。
・品質保証
当社グループは、製品の安全を最優先の課題とし、開発から販売までの品質保証体制の整備に努めています。製造物にかかわる賠償責任については、保険に加入していますが、保険でカバーされないリスクもあり、また、顧客の安全のため大規模なリコールを実施し、多額の費用が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・他社との提携
当社グループは、研究開発、生産、販売、金融等、国内外の自動車メーカーをはじめ、他社と様々な提携活動を行っていますが、提携先固有の事情等、当社グループの管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
・情報技術への依存
当社グループでは、設計開発・生産・販売や会計など事業活動のあらゆる場面において電子データの形で、作成・処理・蓄積を行っています。また、製品においても様々な電子制御装置が搭載され、車輌や搭載装備の制御を行っています。これらに対しては、安全対策が施されているものの、電力停止などのインフラ障害、ハッカーやウィルスによる攻撃などが発生する可能性があります。この結果として、業務の中断や、データの破損・喪失、機密の漏洩が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・情報の漏洩
当社グループは社内外の個人情報や、経営・業務・技術等に関する機密情報の漏洩を防止する体制を取っておりますが、不測の事態により当該情報の流出・不正使用があった場合、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払義務などが発生することが考えられ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・コンプライアンス
当社グループでは法令等の遵守については違反の未然防止の対策ならびにコンプライアンス案件に速やかに対応する体制を講じております。しかしながら、不測の事態により法令違反の事実や不十分な対応があった場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・知的財産の保護
当社グループは、他社製品との区別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を蓄積しており、その保護の対策を講じるとともに、第三者の知的財産権侵害防止の対策を講じております。しかしながら、当社グループの知的財産が不法に侵害され、或いは第三者から知的財産侵害の指摘を受け訴訟、製造販売の中止、損害賠償等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を行っていく中で訴訟その他の法的手続の当事者となる可能性があります。それらの法的手続において当社グループにとって不利な判断がなされた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本では、地震、台風、洪水などの自然災害や予期せぬ事故など様々なリスクにさらされています。特に、当社の本社をはじめとする主要施設や研究開発拠点、主要生産拠点は周期的な巨大地震が発生する可能性が高い東海地区に集中しています。当社グループでは、東海地震・東南海地震などの自然災害による被害の影響を最小限に抑えるべく、建物・設備等の耐震対策、防火対策、事業継続計画の策定、地震保険への加入等、様々な対策を講じていますが、万一、東海地震や東南海地震などの発生があると業績及び財政状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
海外においても、当社グループは世界各国において事業を展開しており、海外での事業展開に関連する様々なリスクにさらされています。
これら国内外のリスクには自然災害、疫病、戦争、テロ、ストライキ、さらには政治的・社会的な不安定性や困難に起因するもの等があります。これらの予期せぬ事象が発生すると、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、長引くようであれば、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。
1 昭和63年5月12日、マツダ㈱と軽自動車のOEM供給についての基本確認書を締結しました。
2 平成13年4月2日、日産自動車㈱と軽乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。
3 平成22年11月8日、三菱自動車工業㈱と小型乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。
(Volkswagen Aktiengesellschaftとの間における、資本提携及び業務提携に関する包括契約について)
・平成21年12月9日、ドイツの Volkswagen Aktiengesellschaftとの間において、資本提携及び業務提携についての包括契約を締結しました。
・平成23年11月18日、Volkswagen Aktiengesellschaftとの業務提携及び相互資本関係に係る包括契約を解除しました。
・平成23年11月24日、Volkswagen Aktiengesellschaftが保有する当社株式の当社又は当社の指定する第三者への処分を求め、国際商業会議所国際仲裁裁判所における仲裁手続を開始しました。
・平成27年8月29日、国際商業会議所国際仲裁裁判所より、仲裁判断を受領しました。
仲裁判断の要旨は以下のとおりです。
①包括契約の解除について
仲裁廷は、包括契約が平成23年11月18日付の解除通知により平成24年5月18日に有効に解除されたことを認めました。
②当社株式の処分について
仲裁廷は、当社株式の処分に関する当社の主張を認め、Volkswagen Aktiengesellschaftに対し、直ちに同社が保有する当社株式を当社が合理的に決定する方法により当社又は当社の指定する第三者へ処分することを命じました。
③当社の契約違反について
仲裁廷は、Volkswagen Aktiengesellschaftが主張した当社の契約違反の一部を認め、かかる契約違反に基づく損害の有無及び額について引き続き仲裁において審議することを示しました。
・平成28年2月10日、当社及び Volkswagen Aktiengesellschaftとの間で、和解が成立しました。これにより仲裁が終結しました。
当社グループの研究開発活動は主に当社が行っています。環境問題や多様化するお客様のニーズに対応し独創的で競争力のある商品を提供することを目指し、積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,310億円であり、セグメントごとの活動状況は、以下のとおりです。
二輪車事業では、環境に配慮した技術開発に取り組んでいます。
まず低燃費化技術の分野では、主な成果として、新興国向け機種で、MotoGPをはじめとするレースで培われた技術と最新の解析技術を用いた「SEP(Suzuki Eco Performance)」エンジンの採用を拡大しました。採用機種のインドネシア向け150ccアンダーボーン「Satria F150」、及びインド向け110ccバックボーン「Hayate EP」、同125ccスクーター「Access 125」は、優れた燃費性能と力強い加速を両立しました。また、欧州で発売した「SV650」では、ピストンの改良を行いメカニカルロスの低減を図ることで燃焼効率を高めました。これにより新排出ガス規制「ユーロ4」を満たしながら優れた出力と燃費性能を実現しました。軽量化についても最新の解析技術による部品毎の要素技術開発を通して形状、材質、製法の見直しを進め、車体構成部品と電装部品において、現行車に対し10%から最大65%の軽量化を実現しました。軽量化した部品は上記の新興国向けおよび欧州向けの各機種に採用しました。
次に環境性能の分野では、資源の有効利用促進のため、PPリサイクル材の利用拡大に取り組んでいます。また、リサイクル設計を推進する上で、部品の分解の容易性を追求しています。
その他の研究開発としては、水素を用いた空冷式燃料電池二輪車「バーグマン フューエルセル スクーター」の実用化に向けて開発を進めています。
レース活動に関しても、高い技術力を示すことによりブランドイメージを向上させるとともに、レースを通して得られる技術を量産車開発に還元し、より魅力的な商品の開発を進めます。
当連結会計年度における二輪車事業の研究開発費の金額は157億円です。
四輪車事業では、国内軽自動車をはじめ、燃費の優れた小型車の普及こそが環境問題に貢献できると考え、トップクラスの環境性能を目指すと同時に、安心と喜びのある車をお求めやすい価格で提供することを方針として技術開発を行っています。特に環境に配慮しながら更に便利で楽しい車を実現する次世代環境技術「スズキグリーン テクノロジー」の開発・採用拡大を進めています。
まず低燃費化技術の分野では、徹底した軽量化、パワートレインの高効率化、電動化を進めるとともに、新興国市場で低燃費として要望の高いディーゼルエンジンの自主開発にも取り組んでおります。主な成果としては、軽量プラットフォームの開発において、これまでの軽自動車に加え、AセグメントとBセグメントでも新たに開発し、当連結会計年度に発売した「ソリオ」、「イグニス」、「バレーノ」に採用しました。これは車体重量の軽減だけでなく、複数のプラットフォームを統合することで開発の効率化も同時にもたらすものであり、今後も新商品に順次採用していきます。また、ガソリンエンジンの新たな取り組みとして、排気量のダウンサイジングと直噴ターボにより、1.4Lの小排気量ながら2.2L自然吸気エンジン並みの出力性能を発揮し、さらに低燃費・低排出ガスも両立した「BOOSTERJET」エンジンを開発し、 平成27年8月に中国で発売した「S-CROSS」に採用しました。電動化技術では、独自の低燃費化技術「エネチャージ」を進化させ、ISG(モーター機能付発電機)を搭載することで燃費向上とエンジン停止後のスムーズな再始動を実現した「S-エネチャージ」の採用拡大を進め、当連結会計年度発売の軽乗用車「ワゴンR」、「ワゴンRスティングレー」、「ハスラー」、「スペーシア」に採用しました。小型車の「ソリオ」でも出力を高めたISGと専用リチウムイオンバッテリーを採用した独自の「マイルドハイブリッド」と、新開発の「K12C型デュアルジェット エンジン」を組み合わせ、優れた低燃費と力強い走りを両立しました。現在、電動化を更に進めた新型ハイブリッドの開発を進めています。ディーゼルエンジンの取り組みとしては、初の自社製となる2気筒・800ccの「E08A型ディーゼルエンジン」を新興国向けに開発し、平成27年6月にインド向けの「セレリオ」に搭載し、発売しました。
次にトランスミッションの分野では、5速マニュアルトランスミッションのクラッチとシフト操作を自動化した当社独自のAMT(Automated Manual Transmission)である「AGS(Auto Gear Shift)」の採用車を拡大すると共に、軽商用車の「エブリイ」や「キャリイ」に新たに2速発進モードを追加し、空荷や軽積載時・少人数乗車時における、よりスムーズな発進と快適な乗り心地を実現しました。
さらに先進安全技術分野ではステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」及び「全方位モニター」を搭載した軽乗用車「ハスラー」が、JNCAP予防安全性能アセスメントにおいて軽自動車で初めて46点満点を取得し、最高ランクの評価「先進安全車プラス(ASV+)」を獲得しました。予防安全性能アセスメントは、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が自動車の先進安全技術について評価し、結果を公表する制度です。当社は今後も安全技術の取り組みを強化し、積極的に安全性を向上させていきます。
その他の商品では、軽乗用車「アルト」、「アルト ラパン」が市場で高く評価され、日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)が主催する2016年次 RJC カー オブ ザ イヤー及び日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会が主催する2015-2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー スモールモビリティ部門賞を受賞しました。
当連結会計年度における四輪車事業の研究開発費の金額は1,125億円です。
特機等事業では、マリン製品における環境や利便性向上に関わる技術開発を行っています。
まず環境面では、低燃費化技術として軽量化を行った他、環境への配慮としてリサイクル性の向上を行いました。主な成果として、部品、レイアウトを徹底的に見直すことにより旧機種に比べて9%の軽量化を実現した3機種の新型船外機「DF4A/DF5A/DF6A」を開発しました。本機種はロアカバー、ヘッドカバーの樹脂化により軽量化を図るとともに、軸受系に上位機種と同様のプレーンベアリングを採用することで信頼性も向上させています。更にロアカバーを無塗装とすることでリサイクル性を高めました。
次に利便性向上面では、ボートから取り外した後の運搬時や保管時の方向の自由度を増す3方向保管に加えて、長期保管後の始動性を著しく向上する新しい燃料系や、ワンアクションで動作するチルトシステム(船外機の姿勢を変更する機構)を開発し、新型船外機「DF4A/DF5A/DF6A」に採用しました。また、「DF300AP」をはじめとする7機種において、従来は2機掛けボートでしか使用できなかったジョイスティックコントロールを3機掛けボートでも使用可能にしました。ジョイスティックコントロールは船の横方向の移動やその場の回転を可能にする装置で、マリーナでの離着岸など高い操船技術を要求される場面においても直感的な操作ができるため操船が容易になります。
当連結会計年度における特機等事業の研究開発費の金額は28億円です。
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。
北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。
当社グループは、価格変動性の高い上場会社の株式と、株価の算定が困難な非上場会社の株式を保有していますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しています。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、長期期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。
長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。
また、年金資産の運用利回りが、長期期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。
当連結会計年度末の財政状態は、総資産は9月17日に実施した自己株式取得4,603億円等により、前連結会計年度末に比べ5,508億円減少し、2兆7,020億円となりました。また、負債の部は前連結会計年度末に比べ371億円減少し、1兆5,143億円となりました。その結果、純資産の部は前連結会計年度末に比べ5,137億円減少し、1兆1,877億円となりました。
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりです。
売上高の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載のとおりです。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は6,716億円で、前連結会計年度に比べ258億円(4.0%)増加しました。これは、広告宣伝費等の販売費が増加したことなどによります。
当連結会計年度の営業外損益は、金融収支の黒字などにより、差引138億円の利益となりました。前連結会計年度との比較は、11億円(7.3%)の減益となりました。
当連結会計年度の特別損益は、投資有価証券の売却などにより、差引365億円の利益となりました。前連結会計年度との比較は、376億円の増益となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より391億円収入が増加し、2,941億円の収入となりました。これは、前連結会計年度に比べて、税金等調整前当期純利益が増加したことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,215億円支出が増加し、2,424億円の支出となりました。これは、前連結会計年度に比べて、定期預金の払戻による収入が減少したことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より6,048億円支出が増加し、5,204億円の支出となりました。これは、当連結会計年度に自己株式の取得による支出が増加したことなどによります。
以上の結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は4,501億円となり、前連結会計年度に比べ4,822億円減少しました。