第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、米国の金融緩和縮小や欧州の財政問題への対応の影響、インドやインドネシアなど新興国経済の先行きに不透明感があるものの、海外経済は先進国を中心に回復の動きをみせています。国内においても景気の回復基調は続いていますが、一方で消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動減が懸念される状況にあります。

このような状況下、当連結会計年度の連結売上高は国内やアジア、欧州で増加し2兆9,383億円と前連結会計年度に比べ3,600億円(14.0%)増加しました。国内売上高はOEM売上の減少を自社ブランドの売上でカバーし、1兆1,327億円と前連結会計年度に比べ918億円(8.8%)増加、海外売上高は1兆8,056億円と前連結会計年度に比べ2,682億円(17.4%)増加しました。

連結利益の面では、営業利益は為替影響による日本の輸出損益改善やアジアにおける収益拡大等により1,877億円と前連結会計年度に比べ431億円(29.9%)の増加、経常利益は1,978億円と前連結会計年度に比べ422億円(27.2%)の増加、当期純利益は1,075億円と前連結会計年度に比べ271億円(33.7%)の増加となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

① 二輪車

二輪車事業の売上高は為替影響や欧州での新型大型二輪車「V-Strom1000ABS」の発売等により2,666億円と前連結会計年度に比べ363億円(15.8%)増加しました。営業利益は大型二輪車の収益改善等により前連結会計年度の営業損失119億円から営業利益1億円へと、わずかながらも6期振りの黒字となりました。

② 四輪車

国内売上高は「スペーシア」の好調な販売に加え、「アルト エコ」の燃費改善、新しいジャンルの新型軽乗用車「ハスラー」を発売するなど商品力を強化し拡販に努めたことに加え、消費税率の引上げに伴う駆込み需要の影響もあり前連結会計年度を上回りました。また、海外売上高は欧州、インド、インドネシアなどでの増加により前連結会計年度を上回りました。この結果、四輪車事業全体の売上高は2兆6,157億円と前連結会計年度に比べ3,179億円(13.8%)増加しました。営業利益は為替影響による日本の輸出損益改善やアジアでの収益向上等により1,793億円と前連結会計年度に比べ287億円(19.0%)増加しました。

③ 特機等

特機等事業の売上高は欧州での船外機の売上増加等により560億円と前連結会計年度に比べ58億円(11.6%)増加しました。営業利益は83億円と前連結会計年度に比べ24億円(41.5%)増加しました。

 

 

所在地別の業績は、次のとおりです。

 

① 日本

売上高は1兆7,017億円とOEM売上の減少を自社ブランドの売上増でカバーしたことや為替影響等により前連結会計年度に比べ1,496億円(9.6%)増加しました。営業利益は為替影響による輸出損益の改善等により1,345億円と前連結会計年度に比べ320億円(31.2%)増加しました。

② 欧州

売上高はCセグメントクロスオーバー車「SX4 S-CROSS」、新型大型二輪車の発売等により3,765億円と前連結会計年度に比べ1,182億円(45.8%)増加しました。営業利益は前連結会計年度の営業損失11億円から営業利益42億円へと黒字化しました。

③ アジア

売上高はインドネシア、タイでの四輪車の販売増加や為替影響等により1兆1,754億円と前連結会計年度に比べ1,944億円(19.8%)増加し、営業利益は594億円と前連結会計年度に比べ213億円(56.1%)増加しました。

④ その他の地域

売上高は米国からの四輪車販売撤退等により1,510億円と前連結会計年度に比べ181億円(10.7%)減少しました。営業利益は2億円と前連結会計年度に比べ29億円(92.1%)減少しました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,229億円の増加(前連結会計年度は1,901億円の資金増加)となり、投資活動では有形固定資産の取得など2,866億円の資金を使用(前連結会計年度は2,106億円の資金減少)しました結果、フリー・キャッシュ・フローは363億円のプラス(前連結会計年度は205億円の資金減少)となりました。財務活動では短期借入の実施等により28億円の資金が増加(前連結会計年度は336億円の資金減少)しました。

その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は7,106億円となり、前連結会計年度末に比べ495億円増加しました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高

前年同期比(%)

二輪車

1,263,680台

△1.5

四輪車

2,629,321台

+0.2

特機等

46,500百万円

+11.7

 

(注) 1 金額は販売価格によります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注状況

当社グループは主に見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

二輪車

266,602

+15.8

四輪車

2,615,664

+13.8

特機等

56,046

+11.6

合計

2,938,314

+14.0

 

(注) 1 金額は外部顧客への売上高を示しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは、厳しい経営環境の中、「知恵を出し、人一倍の努力と行動を積み重ね、全社一丸となって生き残りをかけ、未来を切り拓こう」を基本方針として、以下の課題に取り組んでまいります。

 

・販売網の拡充・強化

各地域・各製品での競争激化に対しては、国内・海外ともに販売網の拡充・強化と市場に密着した営業活動を展開してまいります。

・商品づくり、研究開発力の強化

環境技術、低燃費化技術、軽量化技術、安全技術、情報通信技術、デザイン力など研究開発力の強化を図ってまいります。また、エンジン・パワートレイン・プラットフォームの統合化による開発の効率化、コストダウンなど低コストの車づくりを進めてまいります。

・生産力の強化

「地産地消」の考えに基づき、引き続き海外生産の強化に努めてまいります。特にアジアでは自動車需要が増加しており、内作化率の向上、グローバル購買の拡充、現地での生産能力の強化に努めてまいります。あわせて、FTA等地域間経済連携の進展や為替動向に基づき、日本におけるものづくりと海外との分担の最適化に取り組んでまいります。

・二輪車事業の再建

二輪車事業につきましては、大型二輪車の収益向上により事業全体としては当連結会計年度にわずかながらも黒字となりましたが、アジアを中心とする小型二輪車はいまだ改革の途上にあります。引き続き企画、技術、営業が一体となり、市場要望にあった商品を一層充実させ、二輪車業界の中で存在感ある地位を取り返すべく事業活動を展開してまいります。特に、今後の更なる成長が望めるアジア地域を中心とした小型二輪車を強化するとともに、中・大型車につきましても、さらに商品力の強化を図ってまいります。

・地球環境問題への取組み

環境問題については、当社グループは国内の軽自動車をはじめ、インドやアジアなどで多くの燃費の優れた小型車を提供してまいりました。これら小型車の普及こそ環境問題に貢献できるものと考えております。「スズキグリーン テクノロジー」による次世代環境技術の推進に加え、「スズキ環境計画2015」、「スズキ生物多様性ガイドライン」に基づき、地球環境問題に取り組んでまいります。

・災害対策

当社グループは従来より東海・東南海地震を想定した様々な予防策を講じてきましたが、東日本大震災の発生を受け、津波被害が想定される静岡県磐田市竜洋地区拠点の浜松市北部の都田地区への移転、相良工場に集中していた軽自動車用エンジン生産の湖西工場への分散、四輪車開発拠点である相良テストコースのリスク分散も兼ねたインド研究施設の拡充など、海外も含めた生産・研究拠点の分散を実施しております。引き続き、災害に対する対応力を高めてまいります。

 

当社グループは、「消費者の立場になって価値ある製品を作ろう」を社是の第一に掲げ、創業以来「価値ある製品」をものづくりの根底においてきました。常に時代の足音に耳を傾け、お客様に喜ばれる真の価値ある製品づくりに努めてまいります。

また、「小さなクルマ、大きな未来。」をスローガンに、お客様の求める「小さなクルマづくり」、「地球環境にやさしい製品づくり」に邁進するとともに、生産をはじめ組織・設備・部品・環境などあらゆる面で「小さく・少なく・軽く・短く・美しく」を徹底し、ムダのない効率的な健全経営に取り組んでまいります。

役員及び従業員は、法令、社会規範、社内規則等を遵守し、公正かつ誠実に行動してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 市場に関するリスク

・経済情勢の変化、市場の需要変動

長期間の景気低迷、世界経済の悪化や金融危機、消費者の購買意欲低下は、二輪車、四輪車及び船外機などの当社グループ製品の需要の大幅な低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループは、世界各国において事業を展開しており、特に、アジア地域の発展途上国を中心とした海外生産工場への依存度も年々高まってきています。これらの市場での経済情勢の急変などの不測の事態は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。さらに、各国の税制や金融政策などの予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性もあります。

 

・他社との競争激化

当社グループは、事業を展開する世界各国の市場において他社との競争にさらされています。世界の四輪車・二輪車産業の国際化が今後ますます進展することによって、競争はより一層激化する可能性があります。他社との競争は、製品の品質、安全性、価格、環境性能等のほか、製品の開発・生産体制の効率性や販売・サービス体制の整備、販売金融など様々な項目が挙げられます。

当社グループは、競争力の維持・向上のための施策に取り組んでまいりますが、将来において優位に競争することができないリスクがあります。

 

(2) 事業に関するリスク

・新商品の開発・投入力

お客様のニーズを的確に捉え、お客様に満足して頂ける魅力的な新商品を適時に開発して市場に投入することは、四輪車・二輪車メーカーにとって大変重要です。国内外における景気の低迷による需要の減少や環境性能への関心の高まり等、急激に変化するお客様のニーズを捉えることが従来にも増して重要になっています。

また、新商品の投入は、お客様のニーズを的確に捉えることだけでなく、具体的な商品の開発力、さらには継続的に商品を生産する能力が必要になります。

しかしながら、当社グループがお客様のニーズを的確に捉えることができても、技術力・部品の調達・生産能力その他の要因により、お客様のニーズに対応する新商品を適時に開発することができない可能性があります。当社グループがお客様のニーズに対応する商品を適時に市場に投入することができない場合、販売シェアや売上の低下につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・製品価格・仕入価格の変動、特定の仕入先への依存

特定の部品・原材料の供給不足・値上がり、不安定な経済状況、輸入規制の改正、価格競争の激化など様々な要因により、当社グループの製品価格・仕入価格の急激な変動が引き起こされる可能性があります。このような急激な価格変動が長引かない、あるいは、これまでこのような変動がなかった市場で発生しないという保証はありません。当社グループが事業展開しているどの市場においても、急激な製品価格・仕入価格の変動は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、技術力、品質、価格競争力などの要素により、調達が特定の仕入先に偏っている部品があります。これらの部品について、仕入先の予期せぬ事故等により、部品を継続的・安定的に確保できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

・世界各国での事業展開

当社グループは、世界各国において事業を展開しており、また、いくつかの国においては、その国の法律上又はその他の要件に従い、現地企業との間で合弁による事業を行っています。これらの事業は、各国の様々な法律上その他の規制(課税、関税、海外投資及び資金の本国送金に関するものを含みます。)を受けています。これらの規制、又は合弁相手の経営方針、経営環境などに変化があった場合は、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・為替及び金利の変動

当社は、日本から世界各国へ二輪車、四輪車、船外機並びにそれらの部品などを輸出しています。また、海外の生産拠点からも、それらの製品や部品を複数の国々へ輸出しています。為替レートの変動は、当社グループの業績及び財政状態、また、競争力に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、為替変動は、外貨建てで当社が販売する製品の価格設定及び購入する原材料の価格に影響します。当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上高の割合は約6割にのぼり、外貨建取引もかなりの部分を占めています。当社グループは、為替変動及び金利変動リスクの軽減を図るため、為替予約等のヘッジを行っていますが、全てのリスクをヘッジすることは不可能であり、円が他の通貨に対して円高になると、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があり、逆に円安に変動した場合は機会損失の可能性があります。

 

・政府規制等

排気ガス排出レベル、燃費、騒音、安全性及び製造工場からの汚染物質排出レベルに関して、二輪車、四輪車及び船外機業界は、様々な法規制の適用を受けています。これらの規制は改正される可能性があり、多くの場合強化されます。これらの規制を遵守するための費用は、当社グループの業績に対して大きな影響を与える可能性があります。

また、多くの政府は、関税の賦課や、価格管理規制及び為替管理規制を定めています。当社グループは、これらの規制を遵守するために費用を負担してきており、今後も負担することになると予想しています。新たな法律の制定又は既存の法律の変更によっても、当社グループが更なる費用を負担する可能性があります。さらに、各国の税制や景気対策等の予期せぬ変更や新たな適用が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。

 

 ・品質保証

当社グループは、製品の安全を最優先の課題とし、開発から販売までの品質保証体制の整備に努めています。製造物にかかわる賠償責任については、保険に加入していますが、保険でカバーされないリスクもあり、また、顧客の安全のため大規模なリコールを実施し、多額の費用が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

・他社との提携

当社グループは、研究開発、生産、販売、金融等、国内外の自動車メーカーをはじめ、他社と様々な提携活動を行っていますが、提携先固有の事情等、当社グループの管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。 

 

・法的手続

当社グループは、事業活動を行っていく中で訴訟その他の法的手続の当事者となる可能性があります。それらの法的手続において当社グループにとって不利な判断がなされた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

・災害・戦争・テロ・ストライキ等の影響

当社グループの日本での主要生産拠点は東海地区を中心に点在し、生産活動を行っています。また、当社の本社をはじめとするその他の施設も主に東海地区に集中しています。万一、東海地震や東南海地震など自然災害の発生があると業績及び財政状態に多大な悪影響を及ぼす可能性があります。このような災害による被害の影響を最小限に抑えるべく、建物・設備等の耐震対策、防火対策、事業継続計画の策定、地震保険への加入等、様々な予防策を講じております。

海外においても、当社グループは世界各国において事業を展開しており、海外での事業展開に関連する様々なリスクにさらされています。これらのリスクには政治的・社会的な不安定性や困難、自然災害、疾病、戦争、テロ、ストライキ等があります。これらの予期せぬ事象が発生すると、原材料や部品の購入、生産、製品の販売及び物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの遅延や停止が起こり、長引くようであれば、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

1 昭和63年5月12日、マツダ㈱と軽自動車のOEM供給についての基本確認書を締結しました。

2 平成13年4月2日、日産自動車㈱と軽乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。

3 平成21年12月9日、ドイツの Volkswagen Aktiengesellschaft との間において、資本提携及び業務提携についての包括契約を締結しました。
なお、平成23年11月18日、Volkswagen Aktiengesellschaft との業務提携及び相互資本関係に係る包括契約を解除しました。
また、平成23年11月24日、Volkswagen Aktiengesellschaft が保有する当社株式の当社又は当社の指定する第三者への処分を求め、国際商業会議所国際仲裁裁判所における仲裁手続を開始しました。

4 平成22年11月8日、三菱自動車工業㈱と小型乗用車のOEM供給についての基本合意書を締結しました。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は主に当社が行っております。環境問題や多様化するお客様のニーズに対応し独創的で競争力のある商品を提供するため、環境技術、低燃費化技術、軽量化技術、安全技術、情報通信技術、デザインなどの研究開発に積極的に取り組んでいます。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,271億円であり、セグメントごとの活動状況は、以下のとおりです。

 

(1) 二輪車

二輪車事業では、低燃費化、軽量化、環境性能に優れた二輪車の開発など、環境に配慮した技術開発に取り組んでいます。

低燃費化では、燃焼効率の改善だけでなくメカニカルロス低減にも配慮した1,036㎤V型2気筒エンジンを開発し、平成26年1月に発売した長距離ツーリングを快適に楽しめる大型二輪車「V-Strom1000ABS」に搭載しました。具体的には、コンパクトな燃焼室、ツインイリジウムプラグ、「Suzuki Dual Throttle Valves」(SDTV)、微粒子インジェクターの採用により燃焼効率を改善すると同時に、二輪車としては初となる三相オープンレクチファイヤの採用によりメカニカルロスの低減を実現しました。

軽量化についても「V-Strom1000ABS」においてラジエターの放熱量向上により、空冷式オイルクーラーを廃止することで約1.3kgの大幅な軽量化を実現しました。

平成26年2月に発売した軽量、コンパクトで扱いやすい新型スクーター「バーグマン200」では、従来機種の「スカイウェイブ250」に比べ約25%の軽量化と、約5%の低燃費化を実現しました。また「バーグマン200」には、「スカイウェイブ650LX」で初めて搭載したエコドライブインジケーターを採用しており低燃費の走りをサポートしています。

環境性能では法規制や業界自主規制への対応にとどまらず、規制以上の目標値を自主的に設定し環境負荷の低減を推進するため、O₂センサーとメタルハニカム触媒を採用したマフラーを開発し、搭載を推進しています。

その他の研究開発としては、英国(ラフバラ)及び国内(北九州市)において「バーグマン フューエルセル スクーター」を用いて、水素を用いた空冷式燃料電池二輪車の実証実験を継続し、実用化に向けて開発を進めています。また、平成24年2月に燃料電池開発会社であるIntelligent Energy Holdings PLCと合弁で㈱SMILE FCシステムを設立し、軽量、コンパクトで低コストな燃料電池の量産技術の開発、試作生産に取り組んでいます。

レース活動に関しても、平成27年よりFIM(国際モーターサイクリズム連盟)のロードレース世界選手権(MotoGP)に復帰するべく準備を進めています。レースを通して得られる技術を量産車開発に還元し、より魅力的な商品の開発を進めます。

当連結会計年度における二輪車事業の研究開発費の金額は162億円です。

 

(2) 四輪車

四輪車事業では「トップクラスの環境性能であること」、「お客様にとってお求めやすい価格で提供できること」、「お客様が見て、使って、喜びと安心を感じていただけること」を方針として商品開発を行っています。

当社グループは、国内軽自動車をはじめ、燃費の優れた小型車の普及こそが環境問題に貢献できると考え、特に次世代環境技術「スズキグリーン テクノロジー」の開発・採用拡大を進めています。「スズキグリーン テクノロジー」とは、スズキがものづくりのために開発・投入する環境技術、低燃費化技術、軽量化技術などの新技術の総称であり、具体的にはエンジンの燃焼改善や摩擦抵抗低減技術、軽量プラットフォーム技術、電動化技術などの開発に取り組んでいます。

また、新興国市場において低燃費エンジンとして要望の高いディーゼルエンジンの自主開発や、安全に配慮した車づくりを目指し先進安全技術の開発にも取り組んでいます。

ガソリンエンジンでは、燃焼効率の改善や、各種エネルギーロスの低減などにより熱効率を極限まで追求した「デュアルジェットエンジン」を開発しました。平成25年7月に発売した小型乗用車「スイフト」、及び同年11月発売の小型乗用車「ソリオ」に搭載しています。

ディーゼルエンジンでは、主要な市場であるインドで販売する小さな車に搭載できる小排気量2気筒エンジンの開発を進めています。

 

加えて、クラッチやシフト操作が不要でイージードライブが可能でありながら高い伝達効率によって低燃費に貢献するトランスミッション「Auto Gear Shift」(AGS)を開発しました。「AGS」はインド、アセアンに加え欧州でも販売する計画のグローバルコンパクトカーである新型「セレリオ」に搭載しました。

次世代軽量プラットフォームは、軽自動車、Aセグメント、Bセグメントの各セグメントにおいて開発を進めています。これは車体重量の軽減だけでなく、複数の機種のプラットフォームを統合化することで開発の効率化、開発期間の短縮も同時にもたらすものです。

先進安全技術では、「レーダーブレーキサポート」(衝突被害軽減ブレーキ)を開発しました。平成25年7月に発売した軽乗用車「ワゴンR」、「ワゴンRスティングレー」、同年9月に発売した軽乗用車「スペーシア」、「スペーシア カスタム」、更に軽ワゴンタイプの乗用車とSUV(スポーツ用多目的車)を融合させた全く新しいジャンルの軽乗用車として平成26年1月に発売した「ハスラー」に搭載しました。なお、「スペーシア」「スペーシア カスタム」は技術とともに商品性が高く評価され、「2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤー スモールモビリティ部門賞」を受賞しました。

また、ミリ波レーダー方式の「レーダーブレーキサポートⅡ」を平成26年2月発売した小型乗用車「ソリオ」に搭載しました。

電動化技術では、リチウムイオン電池を使った減速エネルギー回生システムである「エネチャージ」の開発に続き、この技術にIntegrated Starter Generator(ISG)を組み合わせ、さらに低燃費効果を高めたマイルドハイブリッドシステムの開発を進めています。また、「スイフト レンジエクステンダー」と軽商用EVについては、社会実証実験を通し、開発に取り組んでいます。更に、燃料電池四輪車については、二輪車と同様に、空冷式燃料電池を使用したシステムでの開発を進めています。

その他の新商品として、14年ぶりに全面改良した軽トラック「キャリイ」を発売しました。小回り性能と燃費はクラストップ※1を実現しました。また、デザイン、ユーティリティー、走行性能、燃費の全てを高い次元で満たした当社初のCセグメントクロスオーバー車「SX4 S-CROSS」を発売しました。

当連結会計年度における四輪車事業の研究開発費の金額は1,086億円です。

 

(3) 特機等

特機等事業では、マリン関係製品にかかわる環境や利便性向上技術開発などを行っています。

環境技術では、リーンバーン採用機種の拡大や軽量化など、低燃費化や排ガスの低減を行いました。主な成果として、新型船外機「DF25A/30A」「DF150TG/175TG」の合計4機種のリーンバーン燃料噴射システムを搭載した船外機を開発しました。「DF25A/30A」はバッテリーの搭載を必要としないバッテリーレス燃料噴射システムとリーンバーンの採用により、「DF25A」で従来機種に比べ最大15%の低燃費化を達成しました。また、燃料系、吸気系部品の樹脂化などを行い、クラス最軽量※2を実現しました。「DF150TG/175TG」でも、運転状況に応じて吸気流量を細かく制御できる電子制御スロットル&シフトシステムとリーンバーンの採用により、「DF175TG」で従来機種に比べ最大16%の低燃費化を達成しました。

また、利便性を向上する新技術として、新しい発想の操船システム 「Suzuki Precision Maneuvering」(SPM)を開発しました。「SPM」は、ジョイスティックを用いることにより、船外機を2基搭載したボートにおいてそれぞれの船外機のスロットル、シフト、ステアリングを個別連動させる操船システムです。ジョイスティックの操作により港での離着岸時の操船性を飛躍的に向上させました。

当連結会計年度における特機事業の研究開発費の金額は23億円です。

 

※1  軽自動車トラッククラス。平成25年8月現在、当社調べ。

※2  18.4kw(25PS)/22.1kw(30PS)クラス。平成25年12月現在、当社調べ。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

 

① 貸倒引当金の計上基準

当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、顧客の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

② 製品保証引当金の計上基準

当社グループは販売した製品のアフターサービスに対する費用の見積額を製品保証引当金として計上しています。このアフターサービス費用は、製品不良の発生率や修理コストに影響されますが、この見積りは原則として保証書の約款に従い過去の実績に基づいています。従って、製品不良の発生率や修理コストが見積りと異なる場合、製品保証引当金の修正が必要となる可能性があります。

 

③ 製造物賠償責任引当金の計上基準

北米向け輸出製品に対して、「製造物賠償責任保険」(PL保険)で補填されない損害賠償金の支払に備えるため、過去の実績を基礎に会社負担見込額を計上しています。従って、今後の訴訟の発生状況により、製造物賠償責任引当金の見積額の修正が必要となる可能性があります。

 

④ 投資有価証券の評価

当社グループは、価格変動性の高い上場会社の株式と、株価の算定が困難な非上場会社の株式を保有しておりますが、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて評価損を計上しております。なお、将来株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

⑤ 固定資産の減損処理

当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、減損の測定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率を合理的に見積っています。なお、将来、資産グループに使用されている事業に関連して、経営環境に著しい変化が生じ、将来キャッシュ・フロー及び割引率の見積りに修正が必要となる場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。

 

⑥ 繰延税金資産の回収可能性の評価

当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。

 

 

⑦ 退職給付費用

当社グループの退職給付費用、退職給付債務は、数理計算上設定される前提条件に基づき計算されており、これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、再評価率、昇給率、退職率、死亡率などがあります。このうち、割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しており、また、長期期待運用収益率は、各年金制度の年金資産運用方針等に基づき決定しています。

長期債券の利回りの低下は、割引率の低下をもたらし、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、当社が採用しているキャッシュバランス型の年金制度においては、基礎率の一つである再評価率が割引率の低下による悪影響を減殺する効果があります。

また、年金資産の運用利回りが、長期期待運用収益率を下回る場合には、退職給付費用の計算に悪影響を及ぼしますが、安定運用を心掛けている当社の企業年金及び当社グループの企業年金基金においては、その影響は軽微と考えられます。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の財政状態は、総資産は2兆8,741億円(前連結会計年度末比3,864億円増)、また、負債合計は1兆3,797億円(前連結会計年度末比1,906億円増)、純資産合計は1兆4,944億円(前連結会計年度末比1,958億円増)となりました。

 

(3) 経営成績の分析

当社グループの経営成績は、連結売上高は国内やアジア、欧州で増加し2兆9,383億円と前連結会計年度に比べ3,600億円(14.0%)増加しました。また、連結利益の面では、営業利益は為替影響による日本の輸出損益改善やアジアにおける収益拡大等により1,877億円と前連結会計年度に比べ431億円(29.9%)の増加、経常利益は1,978億円と前連結会計年度に比べ422億円(27.2%)の増加、当期純利益は1,075億円と前連結会計年度に比べ271億円(33.7%)の増加となりました。

 

① 売上高の分析

当連結会計年度の連結売上高は2兆9,383億円ですが、これをセグメントごとに分析すると、「二輪車」「四輪車」「特機等」事業いずれも前連結会計年度に比べ増収となっています。

「二輪車」では、売上高は為替影響や欧州での新型大型二輪車「V-Strom1000ABS」の発売等により2,666億円と前連結会計年度に比べ363億円(15.8%)増加しました。

「四輪車」では、国内売上高は「スペーシア」の好調な販売に加え、「アルト エコ」の燃費改善、新しいジャンルの新型軽乗用車「ハスラー」を発売するなど商品力を強化し拡販に努めたことに加え、消費税率の引上げに伴う駆込み需要の影響もあり前連結会計年度を上回りました。また、海外売上高は欧州、インド、インドネシアなどでの増加により前連結会計年度を上回りました。この結果、四輪車事業全体の売上高は2兆6,157億円と前連結会計年度に比べ3,179億円(13.8%)増加しました。

「特機等」では、売上高は欧州での船外機の売上増加等により560億円と前連結会計年度に比べ58億円(11.6%)増加しました。

 

② 販売費及び一般管理費の分析

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は6,078億円で、前連結会計年度に比べ933億円(18.1%)増加しました。これは、広告宣伝費等の販売費が増加したことなどによります。

 

③ 営業外損益の分析

当連結会計年度の営業外損益は、金融収支の黒字などにより、差引101億円の利益となりました。前連結会計年度との比較は、9億円(8.5%)の減益となりました。

 

 

④ 特別損益の分析

当連結会計年度の特別損益は、減損損失の計上などにより、差引8億円の損失となりました。前連結会計年度との比較は、前連結会計年度に四輪車販売事業の米国撤退に伴い関係会社整理損失を計上したことなどにより、154億円の増益となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,329億円収入が増加し、3,229億円の収入となりました。これは、前連結会計年度に比べて、仕入債務が増加したことなどによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より760億円支出が増加し、2,866億円の支出となりました。これは、前連結会計年度に比べて、定期預金の預入による支出及び有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より364億円支出が減少し、28億円の収入となりました。これは、前連結会計年度に新株予約権付社債1,500億円の償還等があった一方で、当連結会計年度に長期借入れによる収入が減少したことなどによります。

以上の結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は7,106億円となり、前連結会計年度に比べ495億円増加しました。

 

② 資金需要

当連結会計年度は、新機種投資、研究開発投資等、当社及び子会社の総額で2,136億円の設備投資を行いました。
  なお、当連結会計年度後1年間の設備投資計画は当社及び子会社の総額で2,300億円ですが、その所要資金については、主に自己資金を充当する予定です。