第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 

当社は、大きく変化した経営環境をふまえ、新たに『ビジョン』『ミッション』を以下の通り定めました。

 

[ビジョン] (創りたい社会)

モビリティの可能性を追求し、活力ある社会をつくります

 

[ミッション] (ビジョンを実現する方法)

1. 独創的な商品と優れたサービスにより、お客様に新たな体験を提供します

2. 社会の持続可能な発展に貢献します

3. 信頼される企業として誠実に活動します

4. アライアンスを活用し、ステークホルダーにより高い価値を提供します

 

自動車業界は過去にない大きな変革の時代を迎えており、電動化、自動運転、コネクティビティなど、開発競争はこれまでとは質的にも量的にも全く異なるものになっていくと考えられます。これらの大きな環境変化に適応し、社会から存在を求められる企業であり続けるために、『ミッション』の実践を通じて『ビジョン』の実現に努めてまいります。

 

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 

当社は、2017年度に、2019年度までの3ヵ年を対象とした中期経営計画「DRIVE FOR GROWTH」を策定しました。

 

この中期経営計画では、次の3つの課題に重点を置き、利益ある持続的成長への基盤作りを目指します。

 

第一の課題は、燃費不正問題で傷ついた信頼の回復であります。

コンプライアンスを最優先に、IT等も活用しながら内部統制・ガバナンス体制の抜本的改革と強化に取り組み、お客様や社会からの信頼を早期に取り戻すべく、不断の努力を続けてまいります。

 

第二の課題は、業績のV字回復を確実に軌道に乗せることであります。

これまで100万台前後で推移してきた販売台数を2019年度までに130万台に増加させ、売上高も2016年度に比べ30%増となる2兆5千億円まで増やすことを目標とします。同時に、コスト管理も徹底し、営業利益率について過去ピーク並みの6%以上まで引き上げることを目指します。

中期経営計画一年目の2017年度は、販売台数が前年比18.9%増の110.1万台、売上高が15.0%増の2兆1,924億円、営業利益率も4.5%まで回復するなど、2019年度の目標達成に向け順調なスタートとなっております。

また、ボリューム面での成長と収益力強化の両立を図るため、新型車の投入や事業基盤の整備に向けた開発および設備に3年間累計で6千億円を超える資金を投入します。一方、このように積極的に投資を行う中でも、毎年のフリー・キャッシュ・フローは黒字を確保し、健全な財務体質の維持に努めます。

 

第三の課題は、新型車を成功させることであります。

当社は、今後も成長が見込まれるSUVセグメントを中心に、4WDやピックアップトラックなど当社の強みを活かした商品ラインアップを更に強化していきます。具体的には、2017年度に生産・発売を開始した新型の『エクスパンダー』『エクリプス・クロス』をはじめとして、この中期経営計画期間中に11モデルを新たに投入する計画であります。

当社が強みを持つアセアンだけでなく、日本、オセアニア、米国、中国などの主要な市場での販売に注力する中で、これらの新型車を成功させ、ブランドの向上と規模の成長に繋げていく考えであります。

 

これらの課題への取組みに際しては、日産自動車とのアライアンスも活用していきます。2018年4月には、当社の購買機能の一部を、ルノー・日産連合の購買機能と統合しました。2019年度からは、研究開発、生産、アフターサービス、事業開発の各分野においても、本格的にアライアンスへの取り組みを加速させていきます。

 

[合弁会社「Nissan-Mitsubishi B.V.」の設立]

当社と日産自動車は、両社のシナジーを探求・促進・調整・奨励することを使命とする、折半出資の合弁会社「Nissan-Mitsubishi B.V.」(以下、「NMBV」)を2017年6月にオランダに設立しました。NMBVの設立時取締役会は、カルロス・ゴーン(NMBV会長兼CEO)、西川 廣人、益子 修の3名で構成されます。

NMBVは、シナジー創出への貢献の対価として、当社及び日産自動車よりフィーを受け取り、オペレーション費用や同社取締役・従業員の報酬の支払いに加え、シナジー創出に貢献するグループ各社の従業員に対するインセンティブを負担します。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。

 

(1)国内外の経済情勢及び社会情勢の影響

当社グループの前連結会計年度売上高に占める海外売上高比率は約8割であり、日本のほか、当社グループの今後の地域戦略の中心を担うアセアン諸国その他の新興市場国等の経済情勢及び社会情勢が変化した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、海外市場における事業展開には、法制や税制の変更、政治・経済情勢の変化、インフラの未整備、人材確保の困難性、テロ等の非常事態、伝染病の流行等といったリスクが内在しており、当該リスクの顕在化により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自動車業界の競争激化の影響

自動車業界は過剰生産能力等を背景として、世界的な競争が熾烈化しており、価格競争などにより販売インセンティブや効果的な広告宣伝活動が販売促進及びマーケットシェアの維持に不可欠になっております。こうした価格競争や販売インセンティブ等の増加は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、自動車業界の競争熾烈化に伴い、新製品の開発サイクルがより短期的となっている中、価格、品質、安全性等の様々な面で顧客のニーズを捉えた新製品を適時・適切に提供出来ない場合、また当社の戦略商品が市場に十分に受け入れられない場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが競争力の維持強化に向けた施策を今後効果的に講じることが出来ない場合には、製品の需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)自然災害や事故等の影響

当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、当該各地で大規模な地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症の発生により、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合があります。これらは発生可能性が高く当社グループ事業へ影響が大きいと想定されるシナリオに基づき事業継続計画・災害対策の取組整備を進めておりますが、想定を超える規模で発生した場合は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法規制等の影響

当社グループは、事業を展開する各国において地球環境保護や製品の安全性に関連する規制等、様々な法規制の適用を受けており、当社グループが当該法規制に適応し又はこれを遵守できない場合、またそれにより制裁を受けた場合、改正・強化された新たな規制への適応又は遵守のために多額の費用が生じる場合などは当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業活動は、上述の法規制以外にも、内外の広範な法令の適用を受けております。例えば、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、労働規制、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法、贈収賄防止法などの制約の下にあります。当社グループの事業は、場合によっては、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、又は包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。

これらの法令リスクに対応するため、当社グループは、法令等の遵守については未然防止の対策を講じております。さらに、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える影響を防いでおります。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品の原価変動の影響

当社グループは、多数の取引先から原材料及び部品等を購入し、製品の製造を行っており、需要及び市況変動により当社製品の製造原価が上昇した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)為替変動の影響

当社グループの前連結会計年度売上高に占める海外売上高比率は約8割であり、このうち外貨建債権債務については主な外貨建債務であるタイバーツと、主な外貨建債権である米ドル、ユーロとの相場動向を注視しつつ、適宜、必要な措置を講じてきておりますが、為替相場が大幅に変動した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)計画前提と現実との相違等により中期経営計画における目標を達成できない場合の影響

当社グループは、中期経営計画を策定し、中期的な事業戦略を定めておりますが、中期経営計画の前提が現実と異なることとなった場合、また、本項記載の他のリスクが顕在化した等の場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)製品の品質・安全性の影響

当社グループによる製品の品質向上及び安全性の確保の努力にかかわらず、製品の欠陥又は不具合によるリコール又は改善対策等が大規模なものとなり、又は大規模な製造物責任を追及された場合には、多額の費用負担、当社製品への評価及び需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)訴訟等の影響

当社グループが、事業を遂行していく上で、ユーザー、取引先や第三者との間で訴訟等が発生し、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、現時点で係争中の訴訟等についての判決等が当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社は、2010年2月20日、当社のエジプトにおける旧販売会社であるMASRIA Co., Ltd(以下「原告」)から、当社による同社との販売店契約の解約について、9億米ドルの損害賠償請求を含む訴訟(以下「本訴訟」)を提起されております。本訴訟につき、2010年10月26日に第一審裁判所、2012年7月3日に控訴審裁判所において、それぞれ、本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にはないことを理由として原告の訴えを却下する旨の判決がありましたが、原告がこれに対し、2012年7月21日付でエジプト最高裁判所に上告したため、本訴訟は上告審に係属中であります。

本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にないことは、前記販売店契約上明らかであること、また、実質的にも、当社による販売店契約の解約は、当該契約の定めに従ってなされた合法的なものであり、原告の請求原因には合理性がないことなどから、現時点において、本訴訟は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼすものではないと判断しております。

 

(10)特定調達先への依存の影響

当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達しております。より高い品質、技術をもったものをより競争力のある価格で調達しようとする場合、発注が特定の調達先に集中することがあります。また特別な技術を要する部品等については、提供できる調達先が限定されることがあります。そのため、予期せぬ事由によりそれらの調達先からの供給が停止した場合又は適時に競争力のある価格で調達ができない場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)顧客、取引先等の信用リスクの影響

当社グループは、顧客や、販売業者、金融事業によるリース先等の取引先の信用リスクを有しております。かかる信用リスクに基づく損失が当社グループの想定を上回る場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)知的財産権侵害の影響

当社グループは、他社製品との差別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似商品を製造・販売することや、世界各国における法規制上、当社グループの知的財産権の保護に限界があることで販売減少や訴訟費用が発生した場合、あるいは、予期せぬ第三者の知的財産権侵害のために製造販売の中止、賠償金支払、当社製品への評価及び需要の低下等が生じた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)情報技術及び情報セキュリティの影響

当社グループの運営や製品等に利用する情報技術及びネットワークやシステムについては、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃、不正使用やインフラ障害等により支障を来たすおそれがあり、その結果、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、個人情報を含むグループ内外の機密情報を保有しており、当該情報が不正に外部に流出した場合、当社グループの社会的信用及び経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、本項において含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)財政状態・経営成績等の状況の概要と分析

当連結会計年度に、利益ある持続的成長への基盤作りを目指して中期経営計画「Drive for Growth」をスタートさせました。その初年度となる当連結会計年度では、2つの新車の順調な立ち上がりもあり、全地域で前年を上回り、グローバル販売台数は1,101千台と前年度比に比べ19%増加しました。

 

中期経営計画で中核市場の一つに位置づけるアセアン地域では、2017年10月よりインドネシアで販売を開始した次世代クロスオーバーMPV『エクスパンダー』の好調な立ち上がりを見せたことで、前年度に比べ33%増加し275千台となりました。タイでは総需要の回復に加え、ピックアップトラックを中心に好調となり販売台数を伸ばしました。また、フィリピンでは、パジェロスポーツや、また現地生産を開始したミラージュで需要が増加いたしました。インドネシアでは『エクスパンダー』の需要に対応するため、ブカシ工場の稼動を2017年10月より2直体制にし、また2018年4月のフィリピン向けの輸出に始まり、その後アセアン各国への輸出を進めていきます。

注力地域の一つに位置づける中国では、一昨年現地生産化した『アウトランダー』の販売が順調な伸びを維持していることなどから、前年比55%増136千台と同市場での成長を牽引しています。またマーケットシェアの拡大に向けて現地の販売網を2020年3月期末までに400店舗まで拡充する計画としており、当連結会計年度では302店舗まで拡大と順調に推移しております。

      回復地域に位置づける日本市場は、軽自動車『eKワゴン』『eKスペース』の復調と、『デリカD:5』を中心とした「ACTIVE GEAR」シリーズが好評だったことから、前年比23%増の98千台まで着実に回復してきています。

 

また、新型コンパクトSUV『エクリプス クロス』も順調な立ち上がりとなっております。昨年末の欧州に続き、今年に入ってからはオセアニア、北米への展開も行い、2018年3月には日本でも発売を開始しました。

 

①売上高

以上のような販売台数の増加等をうけ、当連結会計年度の売上高は21,924億円(前年比+2,858億円、同+15%)となりました。なお、地域別の販売台数・金額については「(3)生産、受注および販売の実績③販売実績」のとおりであります。

 

②営業利益

営業利益は前連結会計年度の51億円から大きく改善し982億円(前年比+931億円)となりました。この増益は、主に販売台数の増加影響にコスト低減効果と市場措置費用の減少が加わったことによるものですが、販売費用の増加等により一部相殺されています。

 

③経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益

経常利益は1,101億円(前年比+1,012億円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、主に燃費試験関連損失で1,985億円の赤字となった前連結会計年度に比べ黒字へ転換し、1,076億円(前年比+3,061億円)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得による支出や配当金の支払い等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が1,030億円となったこと等により、前連結会計年度末に比べ31億円増加し、当連結会計年度末には5,590億円となりました。なお、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロ-は225億円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,196億円(前年同期は458億円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が1,030億円(前年同期は1,587億円の損失)と、前連結会計年度に計上した燃費試験関連問題による損失から黒字に転換しV字回復軌道に向け順調な滑り出しとなったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は971億円(前年比+240億円)となりました。これは主に中期経営計画で掲げる持続的成長の基盤づくりに向けた設備投資の増加など有形固定資産の取得による支出の増加等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は232億円(前年同期は2,104億円の獲得)となりました。当連結会計年度の主な使用は短期借入金の減少や配当金の支払い等によるものです。なお、前連結会計年度の獲得の主な要因は、株式の発行による収入2,363億円等によるものであります。

 

(注)フリー・キャッシュ・フローの算出においては、以下の計算式を使っております。

営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計です。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

数量(台)

前連結会計年度比(%)

国 内

589,663

110.9

海 外

680,607

124.2

   アジア

660,832

124.0

   その他

19,775

131.8

合計

1,270,270

117.7

(注)1. 生産実績は、当社及び連結子会社の完成車(国内はKDを含む)の生産台数を示し、他社へのOEM供給及び共同開発車の当社生産分を含みます。

2. 海外生産台数には、従来統計に含めていた中国での現地ブランド車を2012年4月の統計より含めておりません。

 

②受注実績

 当社は、大口需要等特別の場合を除き、見込生産を行っております。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

当連結会計年度

前連結会計年度比(%)

数量(台)

金額(百万円)

数量

金額

国 内

225,197

349,406

124.7

117.5

海 外

1,034,868

1,842,982

111.7

114.5

   北米

182,151

352,529

108.0

113.7

   欧州

212,706

454,808

94.7

104.9

   アジア

433,876

591,662

137.0

136.5

   オセアニア

96,117

240,961

114.8

118.9

   その他

110,018

203,020

83.0

88.4

合計

1,260,065

2,192,389

113.8

115.0

   (注)1. 販売実績は、外部顧客の所在地別の当社及び連結子会社の完成車及びKDパックの卸売り台数を示しております。

          2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱商事株式会社

271,865

14.3

295,138

13.5

        3. 上記金額は、消費税等を含んでおりません。

 

 

(4)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当り、連結会計年度末日における資産・負債の計上および偶発資産・負債の開示、ならびに報告期間における収益・費用の計上に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っております。これらの見積りは、過去の実績や合理的と考えられる方法に基づき行われておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

①燃費試験関連損失引当金

当社は、燃費試験に関連した損失に備えるため、当連結会計年度末において合理的に見積ることが可能な金額を計上しております。

②製品保証引当金

当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い過去の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して計上しております。実際の製品不良率または修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。

③貸倒引当金

当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。経済状況の変化等により顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、追加引当が必要となる可能性があります。

④退職給付費用及び債務

従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期収益率などが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。

⑤繰延税金資産の評価

当社グループでは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を控除し、純額を計上しております。評価性引当額は、将来の課税所得およびタックスプランニング等を勘案し算定しており、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。また、繰延税金資産の計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることとしております。

⑥投資有価証券の評価

当社グループは、価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式を保有しております。当社グループは、投資有価証券の評価を一定期間ごとに見直し、その評価が取得原価または減損後の帳簿価額を一定率以上下回った場合、減損処理を実施しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、減損処理の実施が必要となる可能性があります。

⑦固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、資産を工場単位または事業拠点単位等にグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがあります。

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

2019年3月31日に終了する連結会計年度においても、持続的成長の基盤づくりに向けた投資を着実に進め、設備投資では新商品や生産・IT投資を強化する予定です。また研究開発は、今後投入する新型車開発の強化に加え、SUVや電動化技術に磨きを掛けていくために引続き開発リソースの増強を進めていきます。同連結会計年度では、設備投資および研究開発のための資金を、主に手元の現金及び現金同等物、営業活動から得た現金により調達の上で使用する予定ですが、健全なキャッシュ・フローの維持という規律の中で、一つ一つの投資に取り組んでいきます。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手方

契約の内容

契約締結日

名称

国籍

三菱自動車工業株式会社

(当社)

中国航天汽車有限責任公司

中国

中国における自動車用エンジン事業に関して瀋陽航天三菱汽車発動機製造有限公司を設立する契約

1997年5月15日

 

瀋陽建華汽車発動機有限公司

中国

 

 

三菱商事株式会社

日本

 

 

 

エムシーアイシー持株有限公司

マレーシア

 

 

三菱自動車工業株式会社

(当社)

ハルピン東安発動機製造公司

中国

中国における自動車用エンジン事業に関してハルピン東安汽車発動機製造有限公司を設立する契約

1998年6月16日

 

ハルピン飛機製造公司

中国

 

 

ハルピン東安動力股份有限公司

中国

 

 

 

三菱商事株式会社

日本

 

 

 

エムシーアイシー持株有限公司

マレーシア

 

 

三菱自動車工業株式会社

(当社)

日産自動車株式会社

 

スズキ株式会社

日本

 

日本

ジヤトコ株式会社に関する株主間の権利義務等を定めた契約

2007年3月15日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

福建省汽車工業集団有限公司

中華汽車工業股份有限公司

中国

 

台湾

 

車両の生産・販売等、東南(福建)汽車工業有限公司の合弁事業に関する契約

2006年3月27日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

プジョー・シトロエン・オートモビルズ・エス・エイ

フランス

ロシアで車両を生産するための合弁事業に関する基本契約

2008年5月19日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

広州汽車集団股份有限

公司

三菱商事株式会社

中国

 

日本

中国における車両の生産・販売等、広汽三

菱汽車有限公司の合弁事業に関する契約

2012年9月5日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

PT Krama Yudha

三菱商事株式会社

インドネシア

日本

インドネシアで車両を生産するための合弁事業に関する契約

2015年3月24日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

日産自動車株式会社

 

日本

 

日産自動車株式会社との資本業務提携に関する契約

2016年5月25日

三菱自動車工業株式会社

(当社)

三菱UFJリース株式会社

東京海上日動火災株式会社

日本

 

MMCダイヤモンドファイナンス株式会社の株式取得に関する契約

2018年3月27日

 

 

5【研究開発活動】

 新しく制定した企業ビジョン 「モビリティの可能性を追求し、活力ある社会をつくります」 を実現するために、次世代技術の方向として、「SUV NEW VALUE」、「EV NEW VALUE」、「SYSTEM NEW VALUE」を掲げ、研究開発を推進しております。研究開発体制については、日本では「技術開発センター」および「EV技術センター」があり、デザイン・技術の先行研究・設計・試験を行っております。また、北米・欧州・中国・タイに有する海外R&D拠点との連携により、市場特性を踏まえたグローバルな技術/商品開発を行っております。今後は、日産とのアライアンスの中で基本技術を共有するなど協業によるシナジー効果を十分発揮できるようにしていくとともに、三菱自動車としての特長付けをより明確にした技術/商品開発を進めていきます。

環境に対応する取り組みとして、持続可能なクルマ社会の発展に貢献するため、次世代電動車両技術や次世代エンジン(ダウンサイジング直噴ターボエンジン、クリーンディーゼルエンジン)の開発、車体・コンポーネントの軽量化など、燃費向上技術の開発を推進しております。特に、電動車両技術に関しては、長距離走行と環境性能を両立させた、当社独自の『プラグインハイブリッドEVシステム(PHEV)』を搭載した『アウトランダーPHEV』がお客様から高い評価を得ており、引き続き電動車両技術のリーディングカンパニーを目指し開発に取り組んでおります。

また、走行性能と環境性能を両立するため、次世代エンジンの開発や、当社が得意とする四輪駆動の統合制御技術『S-AWC*1』の進化などの開発に継続して取り組んでおります。これらの技術は、電動車両も含め、他の車種へも活用・展開していきます。特に、モータードライブと『S-AWC』の融合を「e-EVOLUTION」と位置付け、走る歓びと環境性能の両立を目指して開発を推進しております。お客様に安心してお乗りいただける安全性を実現するため、当社の先進予防安全技術である『e-Assist*2(イーアシスト)』、衝突安全技術である衝突安全強化ボディ『RISE*3(ライズ)』などの開発に取り組んでおります。これらの安全技術への継続した取り組みにより、新型コンパクトSUV『エクリプス クロス』が、欧州の2017年「EURO NCAP(European New Car Assessment Programme)」、豪州・ニュージーランドの2017年「ANCAP(The Australasian New Car Assessment Program)」、アセアンの2018年「ASEAN NCAP(New Car Assessment Program for Southeast Asian Countries)」のいずれの自動車アセスメントにおいても最高評価となる5☆を獲得し、当社の最新コンパクトSUVの高い安全性能を証明しました。

その他、快適な室内環境(乗り心地,静粛性,利便性向上など)を提供するための技術開発、車内でのスマートフォン等の情報機器との接続技術の開発にも取り組んでおります。

*1:S-AWC:Super All Wheel Control
*2:e-Assist:以下の機能で構成され、ドライバーの安全な走りをアシストします。

・衝突被害軽減ブレーキシステム(Forward Collision Mitigation System:FCM)
先行車と衝突の危険がある場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートします。

(歩行者検知機能はアウトランダー/同PHEVおよびエクリプスクロスに搭載)

・低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM-City)
低速走行時(約5~約30km/h)先行車と衝突の危険がある場合、自動ブレーキによって衝突の回避、
または被害の軽減をサポートします。

・車線逸脱警報システム(Lane Departure Warning System:LDW)
走行中の車線から逸脱しそうな場合に、ドライバーに警報で注意を促します。

・レーダークルーズコントロールシステム(Adaptive Cruise Control System:ACC)
渋滞での走行時でも、先行車との車間を維持しながらの走行を可能とします。

・後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)(Blind Spot Warning/Lane Change Assist:BSW/LCA)
死角になり易い斜め後方に車両がいた場合、ドアミラーインジケーターで告知します。その状態で車両のいる方向にウインカーを出すとブザー音とドアミラーインジケーターの点滅でより強く注意を促します。

・後退時車両検知警報システム(Rear Cross Traffic Alert:RCTA)

 駐車場などでの後退時に接近車両を検知すると、ドアミラーインジケーター点滅とブザー音、メーター内の警告メッセージ表示で注意を促します。

・誤発進抑制機能(前進時)

 前進時のシフトやペダルの操作ミスによる急発進を抑制します。

・誤発進抑制機能(前進&後退時)(Ultrasonic misacceleration Mitigation System:UMS)

 前進時および後退時のシフトやペダルの操作ミスによる急発進を抑制します。

*3:RISE:Reinforced Impact Safety Evolution

 

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費(自動車事業)は1,025億円であります。

 

2017年4月から2018年3月にかけて発売した主な新商品は次のとおりであります。

 

1. 次世代クロスオーバーMPV『エクスパンダー』を発売しました。MPVならではの居住性と多用途性、SUVらしいスタイリングと走りを融合させることによって、従来のMPVを超える三菱自動車らしい次世代クロスオーバーMPVへと進化させました。主な商品特長を以下に挙げます。

(1) ワイドボディがもたらすクラストップの室内空間

次世代クロスオーバーMPVは従来の小型MPVより一回り大きいワイドボディを採用し、クラストップの室内空間と多人数乗車に最適な乗員レイアウト、十分な容量の荷室を実現しました。また、乗員間の間隔と各席でのヘッドクリアランスを十分に確保するとともに、3列目乗員の良好な居住性と乗降性も実現しました。

   (2) MPVとSUVを融合させたクロスオーバーデザイン

 ・流麗なルーフラインとリヤクオーターピラーの上端を抜いた伸びやかなウインドウグラフィックでMPVらしいフォルムとしたうえで、ボディザイドの力強い彫刻的なキャラクターラインと筋肉質で大きく張り出した前後フェンダーによるSUVのダイナミックさを融合させたデザインとしております。

 ・人とクルマを守る機能を表現する「ダイナミックシールド」コンセプトを進化させ、上部にLEDポジションランプを配置して視認性を高めるとともに、ヘッドランプを低い位置(フロントバンパー)に配置するなど、より機能性を高めました。

    (3) 優れた走行性能と快適性

 ・吸気連続可変バルブタイミング(MIVEC)機構付き1.5Lエンジンを搭載し、高性能と低燃費を追求しました。トランスミッションは5M/T及び4A/T を設定しております。

 ・高剛性ボディと最適設計されたサスペンションにより、クラストップとなる205mm*4の最低地上高を有しながら、クラスを超えた乗り心地と高次元の操縦安定性を実現するとともに、車内での会話を妨げない優れた静粛性により、快適なドライブを楽しむことが出来ます。

  *4:16インチタイヤ装着車。

 (4) 賢く便利な機能装備

  キーレスオペレーションキーを携帯していればドアハンドルのスイッチを押すだけで開錠・施錠でき、ブレーキを踏んでエンジンスイッチを押すだけでエンジンの始動・停止ができます。また、キーレスオペレーションキーのリモコン操作による開錠時、ポジションランプが30秒間点灯し、ドライバーをお迎えする便利なウェルカムライトなどを採用しております。

 

2. 新型コンパクトSUV『エクリプス クロス』を発売しました。これまでにないスタイリッシュなクーペフォルムとダイナミックなSUVの機動力を融合した、三菱自動車らしいクーペSUVとし、行動意欲を掻き立てる個性的なデザイン、新たな楽しみをもたらすコネクティビティ、四輪制御技術による安心して楽しめるドライビングフィールを特長としております。主な商品特長を以下に挙げます。

    (1) 行動意欲を掻き立てる個性的なデザイン

高いヒップポイントによる見晴らしのよさやルーミーな室内空間といったSUVとしての機能性を一切妥協せず、都市に際立つダイナミックで存在感のあるクーペスタイルを実現しました。力強いパフォーマンスと、人とクルマを守る安心感を表現した「ダイナミックシールド」フロントデザインコンセプトを更に進化させました。

    (2) 新たな楽しみをもたらすコネクティビティ

ディスプレイオーディオにスマートフォンとの連携機能を追加したスマートフォン連携ディスプレイオーディオ[SDA]、タッチパッドコントローラーを最上級グレード「G Plus Package」に標準装備としました。(SDAは「Apple CarPlay」*5および「Android AutoTM*6に対応)

また、速度、予防安全装備などからの情報を少ない視線移動で的確に認識できるヘッドアップディスプレイ[HUD]を採用しました。(「G」、「G Plus Package」グレードに標準装備)

*5:Apple CarPlayは米国その他の国で登録されたApple Inc.の商標

*6:Android AutoはGoogle Inc.の商標または登録商標

    (3) 四輪制御技術による安心して楽しめるドライビングフィール

4WD車に、アクセル開度や車速、車両の走行条件などから、後輪へ伝達するトルクを常に適切に配分する電子制御4WDシステムを搭載しました。これにAYC(Active Yaw Control)ブレーキ制御を追加した車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」を採用し、ドライバーの操作に忠実な車両挙動を実現しました。また、新開発の1.5Lダウンサイジング直噴ガソリンターボエンジンを採用することで、排気量は1.5Lでありながら従来型の2.4L自然吸気エンジンを凌ぐ中低速トルク(当社比)を可能としました。

 

 

3. 上記のほかに、安全・機能装備の充実や、内外装の差異化、燃費向上を図った商品を一部機種に設定し発売しました。