(1)業績
当連結会計年度の売上高は、2兆2,678億円(前年度比+871億円、同+4%)となった。
営業利益は、為替の悪化や市場措置費用の増加はあったが、コスト低減努力によるプラス影響や台数・車種構成等の改善により、1,384億円(前年度比+25億円、同+2%)となった。経常利益は、1,410億円(前年度比△106億円、同△7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は、米国工場の生産終了に伴う特別損失191億円及び燃費試験関連損失191億円を計上したことにより、726億円(前年度比△456億円、同△39%)となった。
当連結会計年度の販売台数(小売)は、合計で1,048千台(前年度比△42千台、同△4%)となった。
地域別には、日本では、登録車は増加したものの、軽自動車で減少し、102千台(前年度比△13千台、同△11%)となった。
北米では、『アウトランダー』や『アウトランダースポーツ』を中心に販売が増加したことにより、135千台(前年度比+18千台、同+16%)となった。
欧州では、西欧で、ドイツやイギリスを中心に販売を伸ばし、173千台(前年度比+19千台、同+11%)となった。一方、ロシアは経済情勢の悪化により販売台数が落ち込み、欧州全体では206千台(前年度比△21千台、同△9%)となった。
アジアでは、10月に発売した新型『パジェロスポーツ』の販売が増加したタイでは前年度を上回ったが、中国やインドネシアで減少し、アジア全体では322千台(前年度比△22千台、同△6%)となった。
その他地域では、283千台(前年度比△4千台、同△1%)となった。
当社の報告セグメントの業績は次のとおりである。
① 自動車
当連結会計年度における自動車事業に係る売上高は、2兆2,606億円(前年度比+944億円、同+4%)となり、営業利益は1,390億円(前年度比+39億円)となった。
② 金融
当連結会計年度における金融事業に係る売上高は、71億円(前年度比△75億円、同△51%)となり、営業利益は△7億円(前年度比△16億円)となった。
なお、当社及び連結子会社の所在地を基礎として区分した業績は次のとおりである。
① 日本
売上高は、売上台数は減少したものの、販売価格の値上げなどにより、1兆8,686億円(前年度比+290億円、同+2%)となったが、営業利益は売上台数の減少及び市場措置費用の増加などにより671億円(前年度比△189億円、同△22%)となった。(増収、減益)
② 北米
売上高は、売上台数は増加したものの、米国工場生産台数の減少や米国販売金融事業譲渡の影響などにより、3,032億円(前年度比△23億円、同△1%)となったが、営業利益は、売上台数の増加などにより83億円(前年度比+58億円、同+227%)となった。(減収、増益)
③ 欧州
売上高は、ロシアの売上台数が減少したものの、販売価格の値上げなどにより、1,187億円(前年度比+391億円、同+49%)となったが、営業利益はロシアの売上台数の減少及び為替影響などにより6億円(前年度比△74億円、同△92%)となった。(増収、減益)
④ アジア・その他の地域
売上高は、売上台数の増加や為替影響により、9,701億円(前年度比+888億円、同+10%)となり、営業利益は、610億円(前年度比+215億円、同+54%)となった。(増収、増益)
(注)売上台数及び売上高、営業損益は連結財務諸表の注記事項(セグメント情報等)の補足情報の内容を記載している。具体的には、日本については当社及び国内連結子会社、海外については、各地域に所在する海外連結子会社の業績を説明している。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,977億円の収入となった。(前年度は1,770億円の収入)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産(米国販売金融資産)の売却による収入などにより172億円の収入となった。(前年度は713億円の支出)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出や配当金の支払などにより、1,229億円の支出となった。(前年度は1,315億円の支出)
その結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、4,624億円となった。(前年度末残高は3,955億円)
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりである。
|
当連結会計年度 数量(台) |
前連結会計年度比(%) |
国 内 |
652,966 |
100.7 |
海 外 |
551,842 |
88.1 |
合計 |
1,204,808 |
94.5 |
(2)受注状況
当社は、大口需要等特別の場合を除き、見込生産を行っている。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
前連結会計年度比(%) |
||
数量(台) |
金額(百万円) |
数量 |
金額 |
|
自動車 |
1,048,314 |
2,260,603 |
96.2 |
104.4 |
金融 |
- |
7,117 |
- |
48.6 |
調整額 |
- |
129 |
- |
- |
合計 |
1,048,314 |
2,267,849 |
96.2 |
104.0 |
(注)1. 調整額は、セグメント間取引消去によるものである。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりである。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
三菱商事株式会社 |
300,086 |
13.8 |
266,744 |
11.8 |
3. 上記金額は、消費税等を含んでいない。
なお、平成28年4月に公表した当社製車両の燃費試験における不正行為に関連し、不正の有った軽自動車4車種の生産及び販売を、本報告書提出日現在、一時停止している。
(1)当社製車両の燃費試験における不正行為
事業等のリスクに記載の通り、平成28年4月に当社製車両の燃費試験において不正行為が行われていたことが判明した。
この問題に関し、当社は、客観的かつ徹底的な調査を行うため独立性のある外部有識者による特別調査委員会を設置し、事実関係の調査を進めており、調査結果がまとまり次第、公表する予定である。当社は、本件を最優先すべき事項として対応し、早急に原因の究明を図り、今後の再発防止策を講じてゆく。また、当社は、該当車種のユーザー及び全て関係者に対して誠実に対応する所存である。
(2)経営戦略
グローバル化する自動車産業においては、成熟国地域における燃費と排ガス浄化の両立、高度なIT技術を要する予防安全技術の高度化、コネクティッド・カーのような付加価値に関わる性能の向上が求められており、将来において更なる研究開発の高度化、長期化、開発競争の激化が予想される。具体的には、環境規制は、成熟国市場・新興国市場を問わず規制が強化されることが予定されている。当社においても、環境規制を満たすための内燃機関車の研究開発や、電気自動車・プラグインハイブリッド車の商品力強化に向けた研究開発費及び設備投資の増加が見込まれる。また、高度化した予防安全技術やコネクティッド・カーといった領域では、大規模な自動車部品・電機メーカーから高付加価値な部品を購入するために、これまで以上に長い開発期間と大規模購入が必要となる。
当社は、平成28年5月12日付で日産自動車との間で資本業務提携の実現に向けて協議・検討を進めていくことに関する基本合意書(Basic Agreement)を締結し、日産自動車に対する第三者割当による新株式の発行を決定した。この第三者割当において日産自動車は、所定の条件が整い次第、三菱自動車の発行済株式34%を2,370億円で取得する予定である。
当社グループは、日産自動車との間で資本関係を含む強固な提携関係を構築することによって、ルノー・日産アライアンスの一員として当社グループのブランド及び信用の回復を図り、また、ルノー・日産アライアンスの中で商品・技術開発領域の一体運用を行うことで、開発資源を有効活用し、商品力の強化と高付加価値部品を中心とした部品購買の効率性強化を図りたいと考えている。具体的には、両社間の役員交流、技術資源の相互共有、軽自動車開発の継続、アセアン地域における協力、内燃機関及び電気自動車のパワートレインの共有、製造設備の利用、購買シナジー、販売金融及びアフターセールスといった項目において業務提携を推進することを検討している。
当社は、平成12年、平成16年の品質問題を機に、「コンプライアンス第一」、「お客様第一」、「安全第一」を掲げ、平成14年の品質問題においては、「カスタマーファースト・プログラム」を設定し、品質問題の再発防止のため社内ルールの整備や業務プロセスの見直しなど、各種改革に取り組んできた。しかしながら、事業等のリスクに記載の通り、今般、当社製車両の燃費試験に不正行為があったことが判明した。過去の不祥事後もなお、企業倫理遵守を徹底することができていなかったと言わざるを得ない状況である。燃費試験における不正行為を含む不祥事は開発部門を中心に生じていたことから、今後は、日産自動車から、開発部門のトップの派遣を含めた人的・技術的支援を受け、開発部門の改革を進めると共に、組織体制および業務プロセスを抜本的に見直し、社員教育の強化を図り、不退転の決意で社内改革を進めてゆく。
以上の取り組みにおいて当社グループは、コンプライアンスを最優先に考え、顧客や社会からの信頼を一日でも早く回復できるよう、経営体制の再構築に向けて不断の努力を続けてゆく。また、内部統制・ガバナンス・コンプライアンス体制の抜本的な改革を行うことで、一層のガバナンス強化を図り、法令の遵守、業務執行の適正性・効率性の確保等に向けた改善、充実に努めてゆく。そしてこれらの取り組みを通じて企業の成長と企業価値向上を実現できるよう取り組んでゆく。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。
(1)国内外の経済情勢及び社会情勢の影響
当社グループの当連結会計年度売上高に占める海外売上高比率は約8割であり、日本のほか、当社グループの今後の地域戦略の中心を担うアセアン諸国その他の新興市場国等の経済情勢及び社会情勢が変化した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。また、海外市場における事業展開には、法制や税制の変更、政治・経済情勢の変化、インフラの未整備、人材確保の困難性、テロ等の非常事態、伝染病の流行等といったリスクが内在しており、当該リスクの顕在化により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(2)自動車業界の競争激化の影響
自動車業界は過剰生産能力等を背景として、世界的な競争が熾烈化しており、価格競争などにより販売インセンティブや効果的な広告宣伝活動が販売促進及びマーケットシェアの維持に不可欠になっている。こうした価格競争や販売インセンティブ等の増加は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
また、自動車業界の競争の熾烈化に伴い、新製品の開発サイクルがより短期的となっている中、当社グループは、平成28年4月20日、当社製軽自動車の型式認証において、当社が国土交通省に提出した燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作が行われていたこと、及び国内法規で定められたものと異なる試験方法が取られていたことを公表した。当社は、この不正行為(以下「燃費試験不正行為」という。)について客観的かつ徹底的な調査を行うため、同年4月25日に独立性のある外部有識者のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の調査、原因分析及び再発防止策が検討されている。また、上記の当社製軽自動車以外にも、正しく走行抵抗を算出していなかったり、法で定められた書類に事実と異なる記載を行なったり、机上計算により走行抵抗を算出したり、他車の測定データを恣意的に組み合わせて使用したりした車種があったこと等について、数度に渡り国土交通省に対し報告書を追加提出した。燃費試験不正行為により、当社は、顧客のニーズを捉えた軽自動車の次世代モデルを適時・適切に提供できないおそれがあり、また、当社のブランド及び信用の著しい低下により新製品が市場に十分に受けられない可能性がある。今後、さらなる不正が発覚した場合には、当社グループの事業運営、経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。これに加えて、燃費試験不正行為その他の影響により当社が価格、品質、安全性等の様々な面で顧客のニーズを捉えた新製品を適時・適切に提供できない場合、また当社の戦略商品が市場に十分に受け入れられない場合には、当社グループの事業運営、経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
さらに、燃費試験不正行為の影響を受けて、当社のブランド及び信用の著しい低下等により当社グループが競争力の維持強化に向けた施策を今後効果的に講じることができない場合には、製品の需要の低下やそれに伴う工場稼働率の低下等により、当社グループの事業運営、経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(3)自然災害や事故等の影響
当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、当該各地で大規模な地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症の発生により、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合がある。これらは発生可能性が高く当社グループ事業へ影響が大きいと想定されるシナリオに基づき事業継続計画・災害対策の取組整備を進めているが、想定を超える規模で発生した場合は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(4)法規制等の影響
当社グループは、事業を展開する各国において地球環境保護や製品の安全性に関連する規制等、様々な法規制の適用を受けており、当社グループが当該法規制に適応し又はこれを遵守できない場合、またそれにより制裁を受けた場合、改正・強化された新たな規制への適応又は遵守のために多額の費用が生じる場合などは当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
たとえば、当社グループは、燃費試験不正行為について、影響のある車両の特定、原因の究明について、客観的で徹底的な調査を行っているが、かかる調査の結果等を踏まえて、規制当局からの措置を受ける可能性や、燃費不正行為に関連した多額の費用が生じる可能性があり、これにより、当社グループの事業運営、経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(5)製品の原価変動の影響
当社グループは、多数の取引先から原材料及び部品等を購入し、製品の製造を行っており、需要及び市況変動により当社製品の製造原価が上昇した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(6)為替変動の影響
当社グループの当連結会計年度売上高に占める海外売上高比率は約8割であり、このうち外貨建債権債務については為替予約等によりリスク低減に努めているが、為替相場が変動した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(7)計画前提と現実との相違等により中期経営計画における目標を達成できない場合の影響
当社グループは、中期経営計画を策定し、中期的な事業戦略を定めているが、燃費試験不正行為の影響等により中期経営計画の前提が現実と異なることとなった場合、また、本項記載の他のリスクが顕在化した等の場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(8)製品の品質・安全性の影響
当社グループによる製品の品質向上及び安全性の確保の努力にかかわらず、製品の欠陥又は不具合によるリコール又は改善対策等が大規模なものとなり、又は大規模な製造物責任を追及された場合には、多額の費用負担、当社製品への評価及び需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
たとえば、燃費試験不正行為に関し、当社のユーザー、取引先、提携先企業、国、地方公共団体やその他の第三者に対する補償、賠償責任等が発生した場合には多額の費用負担が発生する可能性がある。また、燃費試験不正行為の影響を受けて当社製品への評価及び需要の低下等が生じており、かかる状況が長期化する可能性もある。これらにより、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(9)訴訟等の影響
当社グループが、事業を遂行していく上で、ユーザー、取引先や第三者との間で訴訟等が発生し、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
また、現時点で係争中の訴訟等についての判決等が当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
当社は、平成22年2月20日、当社のエジプトにおける旧販売会社であるMASRIA Co., Ltd(以下「原告」)から、当社による同社との販売店契約の解約について、9億米ドルの損害賠償請求を含む訴訟(以下「本訴訟」)を提起されている。本訴訟につき、平成22年10月26日に第一審裁判所、平成24年7月3日に控訴審裁判所において、それぞれ、本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にはないことを理由として原告の訴えを却下する旨の判決があったが、原告がこれに対し、平成24年7月21日付でエジプト最高裁判所に上告したため、本訴訟は上告審に係属中である。
本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にないことは、前記販売店契約上明らかであること、また、実質的にも、当社による販売店契約の解約は、当該契約の定めに従ってなされた合法的なものであり、原告の請求原因には合理性がないことなどから、現時点において、本訴訟は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼすものではないと判断している。
また、燃費不正行為に関連して当社のユーザー、取引先、提携先企業やその他の第三者から当社グループに対する訴訟等が提起され、かかる訴訟等の結果、当社グループに対して、損害賠償の支払等が命じられる可能性がある。かかる訴訟等の結果を予測することは困難であるが、その解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、その結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(10)他企業との提携の影響
当社グループは、事業を展開する上で国内外の自動車メーカーをはじめ、他社と様々な提携活動を行っているが、提携先固有の事情、提携先との協議の不調等、当社グループの管理できない要因により、提携の目的を十分に達成できない場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(11)特定調達先への依存の影響
当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達している。より高い品質、技術をもったものをより競争力のある価格で調達しようとする場合、発注が特定の調達先に集中することがある。また特別な技術を要する部品等については、提供できる調達先が限定されることがある。そのため、予期せぬ事由によりそれらの調達先からの供給が停止した場合又は適時に競争力のある価格で調達ができない場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(12)顧客、取引先等の信用リスクの影響
当社グループは、顧客や、販売業者、金融事業によるリース先等の取引先の信用リスクを有している。かかる信用リスクに基づく損失が当社グループの想定を上回る場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(13)知的財産権侵害の影響
当社グループは、他社製品との差別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めている。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似商品を製造・販売したり、世界各国における法規制上、当社グループの知的財産権の保護に限界があることで販売減少や訴訟費用が発生した場合、あるいは、予期せぬ第三者の知的財産権侵害のために製造販売の中止、賠償金支払、当社製品への評価及び需要の低下等が生じた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(14)情報技術及び情報セキュリティの影響
当社グループの運営や製品等に利用する情報技術及びネットワークやシステムについては、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃、不正使用やインフラ障害等により支障を来たすおそれがあり、その結果、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。当社グループは、個人情報を含むグループ内外の機密情報を保有しており、当該情報が不正に外部に流出した場合、当社グループの社会的信用及び経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(15)株式の希薄化
日産自動車向け第三者割当において発行される予定の株式数は506,620,577株である。これにより平成28年3月31日現在の発行済株式総数983,661,919株(総議決権数9,833,737個)に対して、51.5%(議決権比率51.5%)の割合で希薄化が生じる。この結果、当社の1株当たり配当額や議決権割合の低下などの株式価値の希薄化や株価に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(16)筆頭株主の異動と日産自動車との提携(以下「本提携」)
日産自動車向け第三者割当が実施された場合、当社の総議決権に対して割当予定先が保有することとなる当社普通株式に係る議決権割合は34%となり、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当することが見込まれる。本提携の実施後、当社は、当社がルノー・日産アライアンスの一員となり、その中で商品・技術開発領域の一体運用を行うことにより、開発資源を有効活用し、商品力の強化と高付加価値部品を中心とした部品の購買の効率性強化を図ることとなるため、当社グループの経営方針についての割当予定先の考え方及び割当予定先による当社に係る議決権行使等により、当社グループの事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があり、これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
当社は、日産自動車向け第三者割当を含む本提携の下、開発部門の改革、開発資源を有効活用して商品力の強化と高付加価値部品を中心とした部品の購買の効率性強化を図る方針であるが、本提携契約に従い本提携が具体的に実行されるとの保証はなく、また本提携が実施された場合でも当社の企図する経済的効果が得られない可能性や当社グループが他の企業グループとの提携又は取引を行う機会を失う可能性があり、あるいは、本提携に際して他の企業グループとの提携解消等を行う場合にはこれに伴って費用が生じる可能性があり、これらの結果、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
契約会社名 |
相手方 |
契約の内容 |
契約締結日 |
|
名称 |
国籍 |
|||
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
中国航天汽車有限責任公司 |
中国 |
中国における自動車用エンジン事業に関して瀋陽航天三菱汽車発動機製造有限公司を設立する契約 |
平成9年5月15日 |
|
瀋陽建華汽車発動機有限公司 |
中国 |
|
|
|
三菱商事株式会社 |
日本 |
|
|
|
エムシーアイシー持株有限公司 |
マレーシア |
|
|
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
ハルピン東安発動機製造公司 |
中国 |
中国における自動車用エンジン事業に関してハルピン東安汽車発動機製造有限公司を設立する契約 |
平成10年6月16日 |
|
ハルピン飛機製造公司 |
中国 |
|
|
|
ハルピン東安動力股份有限公司 |
中国 |
|
|
|
三菱商事株式会社 |
日本 |
|
|
|
エムシーアイシー持株有限公司 |
マレーシア |
|
|
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
日産自動車株式会社
スズキ株式会社 |
日本
日本 |
ジヤトコ株式会社に関する株主間の権利義務等を定めた契約 |
平成19年3月15日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
福建省汽車工業集団有限公司 中華汽車工業股份有限公司 |
中国
台湾 |
車両の生産・販売等、東南(福建)汽車工業有限公司の合弁事業に関する契約 |
平成18年3月27日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
プジョー・シトロエン・オートモビルズ・エス・エイ |
フランス |
ロシアで車両を生産するための合弁事業に関する基本契約 |
平成20年5月19日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
広州汽車集団股份有限 公司 三菱商事株式会社 |
中国
日本 |
中国における車両の生産・販売等、広汽三 菱汽車有限公司の合弁事業に関する契約 |
平成24年9月5日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
PT Krama Yudha 三菱商事株式会社 |
インドネシア 日本 |
インドネシアで車両を生産するための合弁事業に関する契約 |
平成27年3月24日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
日産自動車株式会社
|
日本
|
日産自動車との資本業務提携に関する契約 |
平成28年5月25日 |
当社グループは、お客様の期待と社会の要請に応えるため、「環境への貢献」「走る歓び」「確かな安心」を追求する次世代テクノロジー「@earth TECHNOLOGY」を技術キーワードに掲げ、研究開発を推進している。また、商品開発の「10年の計」として、SUV・電動車両へ開発資源を集中し、商品力強化を推進することを明確にしている。研究開発体制については、日本では「技術開発センター」および「EV技術センター」があり、デザイン・技術の先行研究・設計・試験を行っている。また、北米・欧州・中国・タイに有する海外R&D拠点との連携により、市場特性を踏まえたグローバルな商品開発を行っている。
「環境への貢献」については、持続可能なクルマ社会の実現に向け、次世代電動車両技術や次世代エンジン(ダウンサイジング直噴ターボエンジン,クリーンディーゼルエンジン)の開発、車体・コンポーネントの軽量化など、燃費向上技術を開発推進している。特に、電動車両技術に関しては、長距離走行と環境性能を両立させた、当社独自の『プラグインハイブリッドEVシステム』を搭載した『アウトランダーPHEV』が高い評価を得ており、引き続き電動車両技術のリーディングカンパニーを目指し開発に取り組んでいる。
「走る歓び」については、走行性能と環境性能を両立する次世代エンジンの開発や、当社が得意とする四輪駆動の統合制御技術『S-AWC*1』の進化などに継続して取り組んでいる。これらの技術は、電動車両も含め逐次他の車種へも活用・展開していく。特に、モータードライブと『S-AWC』の融合を「e-EVOLUTION」と位置付け、走る歓びと環境性能の両立を目指して開発を推進している。こうした取組みの結果、8月8日(土)~14日(金)にタイ北部で開催された、国際自動車連盟(FIA)公認のクロスカントリーラリー「アジアクロスカントリーラリー2015」において、『アウトランダーPHEV』は3年連続となる完走を果たし、信頼性・耐久性および走破性の高さを実証した。
「確かな安心」については、お客様に安心してお乗りいただける安全性を実現するため、当社の先進予防安全技術である『e-Assist*2(イーアシスト)』、衝突安全技術である衝突安全強化ボディ『RISE*3(ライズ)』などの開発に取り組んでいる。これらの安全技術への継続した取り組みにより、タイにおける生産・販売会社ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)で生産している新型ミッドサイズSUV『モンテロスポーツ(パジェロスポーツ)』が、中南米・カリブ諸国で販売される車両を対象とした自動車アセスメントである2015年「Latin NCAP(Latin America and the Caribbean New Car Assessment Programme)」成人乗員保護評価において、最高評価である5★を獲得した。さらに、オーストラリア向けの同型車である『パジェロスポーツ』も、「ANCAP(The Australasian New Car Assessment Program)」の最高評価となる5★を獲得しており、三菱自動車の最新ミッドサイズSUVの高い安全性能が各国で証明されている。
その他、快適な室内環境(乗り心地,静粛性,利便性向上など)を提供するための技術開発、車内でのスマートフォン等の情報機器との接続技術の開発にも取り組んでいる。
また、当社製車両の燃費試験における不正行為において、お客様をはじめとする全てのステークホルダーにご迷惑をおかけした。今後、コンプライアンスを徹底し、お客様にとって魅力ある商品開発をすることで、信頼回復を図っていく。
*1:S-AWC:Super All Wheel Control
*2:e-Assist:以下の機能で構成され、ドライバーの安全な走りをアシストする。
・衝突被害軽減ブレーキシステム(Forward Collision Mitigation System:FCM)「アウトランダー/同PHEV,パジェロスポーツに搭載」
先行車との車間距離が急に縮まった場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートする。
・低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM-City)「eKシリーズ,ミラージュに搭載」
低速走行時(約5~約30km/h)先行車との車間距離が急に縮まった場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートする。
・車線逸脱警報システム(Lane Departure Warning System:LDW)「アウトランダー/同PHEVに搭載」
走行中の車線から逸脱しそうな場合に、ドライバーに警報で注意を促す。
・レーダークルーズコントロールシステム(Adaptive Cruise Control System:ACC)「アウトランダー/同PHEV,パジェロスポーツに搭載」
渋滞での走行時でも、先行車との車間を維持しながらの走行を可能とする。
・後側方死角警報システム 「パジェロスポーツに搭載」
死角になり易い斜め後方に車両がいた場合、ドライバーにドアミラーのインジケーターで注意を促す。
・誤発進抑制機能「前進&後退時:アウトランダーPHEV,パジェロスポーツ」「前進時:eKシリーズ,ミラージュに搭載」
シフトやペダルの操作ミスによる急発進を抑制する。
*3:RISE:Reinforced Impact Safety Evolution
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費(自動車事業)は45,012百万円である。平成27年4月から平成28年3月にかけて発売した主な新商品は次のとおりである。
1. 新型『アウトランダーPHEV』/新型『アウトランダー』を発売した。先代モデルからフロントデザインを一新したほか、パワートレイン、ボディ、シャシーなどを大幅改良することで、静粛性、加速性、操縦安定性、乗り心地、燃費などの向上を図った。主な商品特長を以下に挙げる。
(1) 「エクステリアデザイン」
一新したフロントフェイスは、三菱自動車の新しいフロントデザインコンセプト「ダイナミック・シールド」のもとデザインした。パワー・パフォーマンスを表現するセンターのブラック部を左右から包み込むバンパーサイドの造形により、人とクルマを守る機能をダイナミックで力強い形として表現した。
(2) 「インテリアデザイン」
『アウトランダーPHEV』
上質でラグジュアリーな空間を演出したプレミアム感のあるインテリアとした。シートの表皮デザインや素材を変更すると共に、既存のスポーティなブラック本革内装に加え、ラグジュアリーなブラウンの本革内装を新たに採用した。
『アウトランダー』
シックで落ち着きのある上質さとスポーティ感にこだわったインテリアとした。ファブリックシートの表皮デザインを変更すると共に運転席・助手席のサイド部にステッチを追加したほか、シートクッション部の硬さを適正化した。
(3) 「操縦安定性と乗り心地の向上」
サスペンションからの入力を受ける箇所を補強し、ボディ剛性を向上させた。サスペンション取付部の剛性を向上させ、ステアリングホイールやサスペンションからの入力を正確にボディに伝えることで、操舵感と操舵に対する応答性と正確性を向上させた。また、ショックアブソーバーのシリンダーを大径化することにより、走行安定性と乗り心地の両立など走りの質感を向上させた。
(4) 「静粛性のさらなる向上」
吸音材や遮音材、制振材やダイナミックダンパーの追加など30点以上の改良を施すことで、エンジン音、ロードノイズ、風切り音を大幅に低減した。走行時、停車時の遮音性を向上させ、快適なキャビンを実現した。また、ドアシールの構造を改良することでドアのしまり音を改良した。
(5) 「環境性能の改善」
『アウトランダーPHEV』
プラグインハイブリッドEV制御の最適化やエンジンのフリクション低減により、ハイブリッド燃料消費率(JC08モード)を1.6km/L向上させ、20.2km/Lとしたほか、モーター効率向上により充電電力使用時走行距離(JC08モード)を0.6km向上させ、60.8kmを実現した。
『アウトランダー』
新世代CVTを搭載し、エンジン制御とCVT制御の協調制御を最適化することで、燃料消費率 (JC08モード)を2WD車で0.8km/L向上させ16.0km/Lとし、4WD車で0.2km/L向上させ14.6km/Lとすることで、クラストップレベル(同排気量クラスでの比較)の環境性能を実現した。(Gプレミアムを除く)
2. タイで新型ミッドサイズSUV『パジェロスポーツ』を発売した。新型『パジェロスポーツ』は、「Stylish & Comfortable OFFROAD SUV」をコンセプトに、『パジェロ』ブランドを継承した本格オフロードSUVでありながら、洗練された上質なデザイン、上質な走りと快適な居住空間、クラストップレベルの環境性能、先進の予防安全装備などを持ち合せた新世代のミッドサイズSUVである。タイのラムチャバン工場で生産され、豪州、アセアン、中東、アフリカ、中南米、ロシアなどに順次投入し、約90ヶ国に輸出する計画である。主な商品特長を以下に挙げる。
(1) 「洗練された上質なデザイン」
外観は歴代『パジェロ』で培ったデザインを継承・進化させた新しいフロントフェイスデザインコンセプト「ダイナミック・シールド」を採用し、従来のクロスカントリー系SUVと一線を画す、スポーティさとダイナミックさを併せ持つ上質でスタイリッシュなデザインとした。内装は上級SUVに相応しいハイコンソールプロポーションを採用し、ダイナミックなシルバー加飾や立体的な造形のシートなどにより高級感を演出している。
(2)「上質な走りと快適な居住空間」
サスペンションの見直しやボディマウントの改良により、操縦安定性、乗り心地、静粛性を同時に向上させるとともに、新ディーゼルエンジンの採用やボディの遮音性能強化により、さらに静粛性を高めた。格段にレベルアップしたシートの座り心地や空調性能と相まって、ひとクラス上の快適な室内空間を実現している。
(3)「優れた環境性能」
エンジンは2.4L MIVEC*4ディーゼルターボエンジンを新たに採用した。『パジェロスポーツ』用に新開発された8速AT(三菱車初)と組み合わせることで、先代モデルに対して燃費を約17%向上させ、2016年1月よりタイで施行された新税制においてCO2排出量の最低税区分に適合する200g/km以下を達成している。
(4) 「先進の予防安全装備」
衝突安全強化ボディRISEと合計7つのSRSエアバッグによる優れたパッシブセーフティに加え、衝突被害軽減ブレーキシステム、後側方死角警報システム(三菱車初)、誤発進抑制制御システムなど先進の予防安全装備のほか、電動パーキングブレーキ(三菱車初)、マルチアラウンドモニター、前席左右の温度調整オートエアコンなど、従来の枠を超えた先進装備を多数採用している。
*4:MIVEC:Mitsubishi Innovative Valve timing Electronic Control system
3. コンパクトカー『ミラージュ』をマイナーチェンジして発売した。『ミラージュ』は、「低燃費」「扱いやすさ」をコンセプトとしたコンパクトカーで、今回の改良では、スポーティ感と質感を高めた内外装を採用したほか、要望の多かった予防安全技術「e‐Assist」を全車に採用するとともに、アイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」にコーストストップ機能を追加、また、エンジンフリクション低減などにより「低燃費」に磨きをかけた。主な商品特長を以下に挙げる。
(1)「スポーティ感と質感を高めた内外装」
<エクステリアデザイン>
ボリューム感のあるボンネットフード、クロームメッキで加飾した上質感のあるアッパーグリルとロワーグリル、下部にエアダム形状を配したスポーティなフロントバンパーを採用し、従来よりもスポーティで上質なフロントフェイスとした。
<インテリアデザイン>
ステアリングホイール及びスポークの一部をピアノブラック&メッキ加飾として上質感を向上させたリモコンスイッチ付きの本革巻ステアリングホイールを「G」に採用した。また、メッキリングをあしらった、高輝度常時透過照明点灯タイプのメーターを採用した。
(2) 予防安全技術「e-Assist」
低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM-City」と誤発進抑制機能(前進時)を標準装備とした。低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM-City」は、約5km/h~約30km/hの低速走行時に、レーザーレーダーが前方車両を検知し、衝突の危険があるときは、ブザー音とメーター内の警告灯で注意喚起するとともに、自動ブレーキで衝突の回避または衝突被害の軽減を図る。また、「誤発進抑制機能(前進時)」は、停車~約10㎞/h以下の走行時に、レーザーレーダーが前方(約4m以内)に車両や障害物を検知している状態で、踏み間違いなどの操作ミスによって、アクセルペダルを素早く、強く踏み込んだときは、ブザー音とメーター内の警告灯で注意喚起するとともに、エンジン出力を抑制。発進をゆるやかにし、衝突被害の軽減を図る。
(3)「燃費性能・走行性能・乗り心地」
アイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」に、減速時(約13km/h以下)からエンジンを停止させるコーストストップ機能を採用し、低フリクションタイプのタイミングチェーンや冷気を導入するダクトを追加するなど、細部にわたる改良により、燃費を+0.4km/Lの25.4km/L(JC08モード燃料消費率)に向上させた。サスペンションは、リヤスプリングのバネ定数と、フロント及びリヤショックアブソーバーの減衰力を最適化し、ボディ側の取付部の剛性を高めることで、操縦安定性と走りの質感を向上させた。
4. 上記のほかに、安全・機能装備の充実や、内外装の差異化、燃費向上を図った商品を一部機種に設定し発売した。
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容である。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成している。この連結財務諸表の作成に当り、連結会計年度末日における資産・負債の計上および偶発資産・負債の開示、ならびに報告期間における収益・費用の計上に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っている。これらの見積りは、過去の実績や合理的と考えられる方法に基づき行われているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合がある。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えている。
①燃費試験関連損失引当金
当社は、燃費試験に関連した損失に備えるため、当連結会計年度末において合理的に見積ることが可能な金額を計上している。当該燃費試験に関連した損失のうち、当連結会計年度末において合理的に見積ることが可能な金額を燃費試験関連損失引当金として計上しているが、利害関係者への具体的な補償内容等が決定してないことから、翌連結会計年度以降変動する可能性がある。
②製品保証引当金
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、過去の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して計上している。実際の製品不良率または修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性がある。
③貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上している。経済状況の変化等により顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、追加引当が必要となる可能性がある。
④退職給付費用及び債務
従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されている。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期収益率などが含まれている。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす。
⑤繰延税金資産の評価
当社グループでは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を控除し、純額を計上している。評価性引当金は、将来の課税所得およびタックスプランニング等を勘案し算定しており、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上している。また、繰延税金資産の計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることとしている。
⑥投資有価証券の評価
当社グループは、価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式を保有している。当社グループは、投資有価証券の評価を一定期間ごとに見直し、その評価が取得原価または減損後の帳簿価額を一定率以上下回った場合、減損処理を実施している。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、減損処理の実施が必要となる可能性がある。
⑦固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、資産を工場単位または事業拠点単位等にグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っている。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額している。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがある。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要(1)業績」の記載を参照。
(3) 資本の財源及び資金の流動化についての分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」の記載を参照。
(4)今後の方針について
「第2 事業の状況 3.対処すべき課題」の記載を参照。