(1)業績
当連結会計年度は当社グループの中期経営計画「ニューステージ2016」の初年度に当たるが、同計画で掲げた重点施策「戦略商品投入による売上高の増大」「次世代技術開発の推進」「新興市場を基盤とした成長戦略と成熟市場の収益性改善」「事業構造の改革」「安定した経営基盤の確保のための成長投資」「品質改革への取り組み」の6つの基本方針の下、持続的成長と企業価値向上の実現に向けた取り組みを進めてきた。
こうした中で、当連結会計年度の売上高は、2兆1,807億円(前年度比+873億円、同+4%)となった。
営業利益は、販売費や研究開発費の増加や、台数・車種構成等がマイナスとなったが、コスト低減努力、為替の好転により、1,359億円(前年度比+125億円、同+10%)となった。経常利益は、1,516億円(前年度比+221億円、同+17%)、当期純利益は、1,182億円(前年度比+135億円、同+13%)となり、営業利益、経常利益、当期純利益のすべての利益項目で過去最高益となった。
当連結会計年度の販売台数(小売)は、合計で1,090千台(前年度比+43千台、同+4%)となった。
地域別には、日本では、登録車、軽自動車ともに前年度を下回り、115千台(前年度比△28千台、同△20%)となった。
北米では、米国の景気回復基調が強まる中、『アウトランダースポーツ』や『ミラージュ』の販売が好調に推移したことにより、117千台(前年度比+20千台、同+21%)となった。
欧州では、経済情勢が大幅に悪化したロシアの販売が前年割れとなったが、西欧で「アウトランダーPHEV」が好調に推移したことから、地域全体では227千台(前年度比+25千台、同+13%)となった。
アジアでは、タイが総需要の回復の遅れにより低迷したが、北アジアにおいて中国が広汽三菱汽車有限公司を中心に販売が好調に推移したことから、地域全体で前年並みの344千台となった。
その他地域では、中東地域での販売が好調に推移し、地域全体で287千台(前年度比+26千台、同+10%)となった。
当社の報告セグメントの業績は次のとおりである。
① 自動車
当期における自動車事業に係る売上高は、2兆1,662億円(前年度比+850億円、同+4%)となり、営業利益は1,351億円(前年度比+132億円)となった。
② 金融
当期における金融事業に係る売上高は、146億円(前年度比+24億円、同+20%)となり、営業利益は9億円(前年度比△6億円)となった。
なお、当社及び連結子会社の所在地を基礎として区分した業績は次のとおりである。
① 日本
売上高は、売上台数の増加や為替影響などにより、1兆8,396億円(前年度比+952億円、同+5%)となり、営業利益は860億円(前年度比+176億円、同+26%)となった。(増収、増益)
② 北米
売上高は、売上台数の増加により、3,055億円(前年度比+382億円、同+14%)となったが、営業利益は、販売費用の増加などにより25億円(前年度比△2億円、同△6%)となった。(増収、減益)
③ 欧州
売上高は、販売子会社の連結範囲見直しなどにより、796億円(前年度比△491億円、同△38%)となったが、営業利益は前年並の80億円(前年度比△2億円、同△3%)となった。(減収、減益)
④ アジア・その他の地域
売上高は、売上台数増加により、8,813億円(前年度比+251億円、同+3%)となったが、営業利益は、タイ国内の売上台数減少などにより、395億円(前年度比△85億円、同△18%)となった。(増収、減益)
(注)売上台数及び売上高、営業損益は連結財務諸表の注記事項(セグメント情報等)の補足情報の内容を記載している。具体的には、日本については当社及び国内連結子会社、海外については、各地域に所在する海外連結子会社の業績を説明している。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,770億円の収入となった。 (前年度は2,104億円の収入)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより713億円の支出となった。 (前期は814億円の支出)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出や配当金の支払などにより、1,315億円の支出となった。 (前年度は821億円の支出)
その結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,955億円となった。
(前年度末残高は4,117億円)
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりである。
|
当連結会計年度 数量(台) |
前連結会計年度比(%) |
国 内 |
648,595 |
101.8 |
海 外 |
626,201 |
99.1 |
合計 |
1,274,796 |
100.5 |
(2)受注状況
当社は、大口需要等特別の場合を除き、見込生産を行っている。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
前連結会計年度比(%) |
||
数量(台) |
金額(百万円) |
数量 |
金額 |
|
自動車 |
1,089,829 |
2,166,214 |
104.1 |
104.1 |
金融 |
- |
14,640 |
- |
120.4 |
調整額 |
- |
△126 |
- |
- |
合計 |
1,089,829 |
2,180,728 |
104.1 |
104.2 |
(注)1. 調整額は、セグメント間取引消去によるものである。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりである。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
三菱商事株式会社 |
272,020 |
13.0 |
300,086 |
13.8 |
3. 上記金額は、消費税等を含んでいない。
まず、世界的に高まりを見せる環境対応技術や安全対策技術に対するニーズに確実に応えていくことが挙げられる。環境対応面では、当社は、平成21年に世界初の量産型電気自動車「アイ・ミーブ」を発売し、平成25年にはその電動化技術を応用したプラグインハイブリッド電気自動車「アウトランダーPHEV」を発売するなど、先駆的な取り組みを行ってきたが、次世代環境車も含めた他社製品との競争が強まる中で、商品力の更なる向上に向け、絶え間なく技術を磨いていく必要がある。平成27年初夏には、上質でありながらSUVらしいダイナミックで力強いデザインに大幅改善した「アウトランダーPHEV」を投入する予定である。また、安全対策面では、先行車両との車間を維持するレーダークルーズコントロール機能や衝突被害軽減ブレーキ機能、車線逸脱時警告機能などを盛り込んだ「e-Assist」を開発し、平成24年に発売した「アウトランダー」から搭載を開始しているが、これら機能を搭載した車両を順次拡大していくとともに、機能向上に向けた研究開発を続けていく。これらの環境対応技術や安全対策技術は、現在は主に成熟国のニーズに対応するものであるが、「今日の新興国は明日の成熟国」であり、新興国においても、モータリゼーションが進むにつれ、必ずやこれら技術に対するニーズが高まってくるものと考えている。
次に、アセアンを初めとした新興国での中長期的な市場の成長を、販売拡大へと繫げるための取り組みが挙げられる。タイやインドネシアなど、足元で需要が伸び悩んでいる国もあるが、中長期的にみれば、人口増や所得増、モータリゼーションの進展などに伴って、アジア・アセアン各国における自動車需要は大きく拡大していくことが見込まれる。当社は、平成26年11月に発売し、同地域で高いブランド力を誇る新型「トライトン」に続き、平成27年秋には同じく高いブランド力を誇る新型SUV「パジェロスポーツ」を発売する予定で、当社が強みとするピックアップトラック・SUV系車種を戦略商品として活かしながら、販売拡大に取り組んでいく。
当社は、タイやフィリピンでは50年以上、インドネシアでも40年以上の歴史を持っているが、さらに事業基盤を強固なものとするべく、これらの国に加え、中国での生産体制を確立するとともに、周辺国も含めた販売体制の強化も進めていく。
加えて、より魅力的なデザインの自動車を提供していく。デザインは、事業規模の大小に左右されることなく当社の特長をアピールできる重要なポイントと考えている。平成27年3月のジュネーブモーターショーで発表した小型SUVのコンセプトカーでは、新しいフロントフェイスデザインコンセプトを採用した。歴代パジェロから継承したバンパーサイドのプロテクターとしての特徴ある機能的な形を進化させたもので、今後は、この考え方のもとで一貫性を持ったデザインを展開していく。それを支える体制として、欧州に新たなデザインスタジオを開設する。このデザインスタジオはフランクフルトを拠点とし、今後、日本国内の2つのデザインスタジオとのコンペティションを通じ、三菱自動車らしさを追求した、グローバルなデザインを作り上げていく。
以上の取り組みにおいて当社は、コンプライアンスを最優先に考え、お客様や社会からの信頼を損なうことのない誠実な企業として、社会や環境への配慮を強化していく。
また、内部統制システムの不断の見直しを行うことで、一層のガバナンスの強化を図り、法令の遵守、業務執行の適正性・効率性の確保等に向けた改善、充実に努めていく。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。
(1)国内外の経済情勢及び社会情勢の影響
当社グループの当連結会計年度売上高に占める海外売上高比率は約8割であり、日本のほか、当社グループの今後の地域戦略の中心を担うアセアン諸国その他の新興市場国等の経済情勢及び社会情勢が変化した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。また、海外市場における事業展開には、法制や税制の変更、政治・経済情勢の変化、インフラの未整備、人材確保の困難性、テロ等の非常事態、伝染病の流行等といったリスクが内在しており、当該リスクの顕在化により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(2)自動車業界の競争激化の影響
自動車業界は過剰生産能力等を背景として、世界的な競争が熾烈化しており、価格競争などにより販売インセンティブや効果的な広告宣伝活動が販売促進及びマーケットシェアの維持に不可欠になっている。こうした価格競争や販売インセンティブ等の増加は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
また、自動車業界の競争の熾烈化に伴い、新製品の開発サイクルがより短期的となっている中、価格、品質、安全性等の様々な面で顧客のニーズを捉えた新製品を適時・適切に提供できない場合、また当社の戦略商品が市場に十分に受け入れられない場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。さらに、当社グループが競争力の維持強化に向けた施策を今後効果的に講じることができない場合には、製品の需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(3)自然災害や事故等の影響
当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、当該各地で大規模な地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症の発生により、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合がある。これらは発生可能性が高く当社グループ事業へ影響が大きいと想定されるシナリオに基づき事業継続計画・災害対策の取組整備を進めているが、想定を超える規模で発生した場合は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(4)法規制等の影響
当社グループは、事業を展開する各国において地球環境保護や製品の安全性に関連する規制等、様々な法規制の適用を受けており、当社グループが当該法規制に適応し又はこれを遵守できない場合、またそれにより制裁を受けた場合、改正・強化された新たな規制への適応又は遵守のために多額の費用が生じる場合などは当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(5)製品の原価変動の影響
当社グループは、多数の取引先から原材料及び部品等を購入し、製品の製造を行っており、需要及び市況変動により当社製品の製造原価が上昇した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(6)為替変動の影響
当社グループの当連結会計年度売上高に占める海外売上高比率は約8割であり、このうち外貨建債権債務については為替予約等によりリスク低減に努めているが、為替相場が変動した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(7)計画前提と現実との相違等により中期経営計画における目標を達成できない場合の影響
当社グループは、中期経営計画を策定し、中期的な事業戦略を定めているが、中期経営計画の前提が現実と異なることとなった場合、また、本項記載の他のリスクが顕在化した等の場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(8)製品の品質・安全性の影響
当社グループによる製品の品質向上及び安全性の確保の努力にかかわらず、製品の欠陥又は不具合によるリコール又は改善対策等が大規模なものとなり、又は大規模な製造物責任を追及された場合には、多額の費用負担、当社製品への評価及び需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(9)訴訟等の影響
当社グループが、事業を遂行していく上で、ユーザー、取引先や第三者との間で訴訟等が発生し、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
また、現時点で係争中の訴訟等についての判決等が当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
当社は、平成22年2月20日、当社のエジプトにおける旧販売会社であるMASRIA Co., Ltd(以下「原告」)から、当社による同社との販売店契約の解約について、9億米ドルの損害賠償請求を含む訴訟(以下「本訴訟」)を提起されている。本訴訟につき、平成22年10月26日に第一審裁判所、平成24年7月3日に控訴審裁判所において、それぞれ、本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にはないことを理由として原告の訴えを却下する旨の判決があったが、原告がこれに対し、平成24年7月21日付でエジプト最高裁判所に上告したため、本訴訟は上告審に係属中である。
本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にないことは、前記販売店契約上明らかであること、また、実質的にも、当社による販売店契約の解約は、当該契約の定めに従ってなされた合法的なものであり、原告の請求原因には合理性がないことなどから、現時点において、本訴訟は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼすものではないと判断している。
(10)他企業との提携の影響
当社グループは、事業を展開する上で国内外の自動車メーカーをはじめ、他社と様々な提携活動を行っているが、提携先固有の事情、提携先との協議の不調等、当社グループの管理できない要因により、提携の目的を十分に達成できない場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(11)特定調達先への依存の影響
当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達している。より高い品質、技術をもったものをより競争力のある価格で調達しようとする場合、発注が特定の調達先に集中することがある。また特別な技術を要する部品等については、提供できる調達先が限定されることがある。そのため、予期せぬ事由によりそれらの調達先からの供給が停止した場合又は適時に競争力のある価格で調達ができない場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(12)顧客、取引先等の信用リスクの影響
当社グループは、顧客や、販売業者、金融事業によるリース先等の取引先の信用リスクを有している。かかる信用リスクに基づく損失が当社グループの想定を上回る場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(13)知的財産権侵害の影響
当社グループは、他社製品との差別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めている。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似商品を製造・販売したり、世界各国における法規制上、当社グループの知的財産権の保護に限界があることで販売減少や訴訟費用が発生した場合、あるいは、予期せぬ第三者の知的財産権侵害のために製造販売の中止、賠償金支払、当社製品への評価及び需要の低下等が生じた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(14)情報技術及び情報セキュリティの影響
当社グループの運営や製品等に利用する情報技術及びネットワークやシステムについては、ハッカーやコンピュータウィルスによる攻撃、不正使用やインフラ障害等により支障を来たすおそれがあり、その結果、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。当社グループは、個人情報を含むグループ内外の機密情報を保有しており、当該情報が不正に外部に流出した場合、当社グループの社会的信用及び経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性がある。
契約会社名 |
相手方 |
契約の内容 |
契約締結日 |
|
名称 |
国籍 |
|||
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
中国航天汽車有限責任公司 |
中国 |
中国における自動車用エンジン事業に関して瀋陽航天三菱汽車発動機製造有限公司を設立する契約 |
平成9年5月15日 |
|
瀋陽建華汽車発動機有限公司 |
中国 |
|
|
|
三菱商事株式会社 |
日本 |
|
|
|
エムシーアイシー持株有限公司 |
マレーシア |
|
|
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
ハルピン東安発動機製造公司 |
中国 |
中国における自動車用エンジン事業に関してハルピン東安汽車発動機製造有限公司を設立する契約 |
平成10年6月16日 |
|
ハルピン飛機製造公司 |
中国 |
|
|
|
ハルピン東安動力股份有限公司 |
中国 |
|
|
|
三菱商事株式会社 |
日本 |
|
|
|
エムシーアイシー持株有限公司 |
マレーシア |
|
|
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
日産自動車株式会社
スズキ株式会社 |
日本
日本 |
ジヤトコ株式会社に関する株主間の権利義務等を定めた契約 |
平成19年3月15日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
福建省汽車工業集団有限公司 中華汽車工業股份有限公司 |
中国
台湾 |
車両の生産・販売等、東南(福建)汽車工業有限公司の合弁事業に関する契約 |
平成18年3月27日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
プジョー・シトロエン・オートモビルズ・エス・エイ |
フランス |
ロシアで車両を生産するための合弁事業に関する基本契約 |
平成20年5月19日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
広州汽車集団股份有限 公司 三菱商事株式会社 |
中国
日本 |
中国における車両の生産・販売等、広汽三 菱汽車有限公司の合弁事業に関する契約 |
平成24年9月5日 |
三菱自動車工業株式会社 (当社) |
PT Krama Yudha 三菱商事株式会社 |
インドネシア 日本 |
インドネシアで車両を生産するための合弁事業に関する契約 |
平成27年3月24日 |
当社グループはお客様の期待と社会の要請に応えるため、「環境への貢献」「走る歓び」「確かな安心」を追求する次世代テクノロジー「@earth TECHNOLOGY」を技術キーワードに研究開発を推進している。研究開発体制については、日本では「技術開発センター」および「EV技術センター」を中心に、デザイン・新技術の先行研究・設計・試験を行っている。また北米・欧州・中国・タイに有する海外R&D拠点との連携により、市場特性を踏まえたグローバルな商品開発を行っている。
「環境への貢献」については、持続可能なクルマ社会の実現に向け、次世代EV/PHEV技術の開発や新型MIVEC*1エンジン、クリーンディーゼルエンジン、ダウンサイジング直噴ターボエンジン、車体・コンポーネントの軽量化など、燃費向上技術の開発を推進している。特に電動車両技術に関しては、長距離走行と環境性能を両立させた、当社独自の『プラグインハイブリッドEVシステム』を搭載した『アウトランダーPHEV』が高い評価を得ており、引き続き電動化技術のリーディングカンパニーを目指し開発に取り組んでいる。また、「先進国における環境対応車」と「新興国におけるエントリーカー」というニーズを両立させたグローバルコンパクトカー『ミラージュ』が、2014年オーストラリア・ベスト・カー・アワード「ベストマイクロカー賞」を受賞し、その燃費・環境性能等が高く評価された。
「走る歓び」については、走行性能と環境性能を両立する次世代エンジンの開発や、当社が得意とする四輪駆動の統合制御技術『S-AWC*2』の進化などに継続して取り組んでおり、電動車両も含め逐次他の車種へも活用・展開していく。特にモータドライブと『S-AWC』の融合を「e-EVOLUTION」と位置付け、走る歓びと環境性能を両立すべく開発を推進している。
「確かな安心」については、お客様に安心してお乗りいただける安全性を実現するため、当社の先進予防安全技術である『e-Assist*3(イーアシスト)』、衝突安全技術である衝突安全強化ボディ『RISE*4(ライズ)』などの開発に取り組んでいる。これらの各種安全技術への継続した取り組みにより、『アウトランダーPHEV』が国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)によって行われる、平成25年度自動車アセスメント(JNCAP)で最高評価の「JNCAPファイブスター賞」を受賞した。アセアンではグローバルコンパクトカー『ミラージュ』が、2014年ASEAN NCAP(New Car Assessment Program for Southeast Asia)Mini Car部門の成人乗員保護性能において、最高評価となるグランプリを獲得した。
その他、快適な室内環境(乗り心地、静粛性、利便性向上など)を提供するための技術開発、車内でのスマートフォン等の情報機器との接続技術の開発にも取り組んでいる。本年3月のジュネーブモーターショーでAndroid Auto*5およびApple CarPlay*6対応のスマートフォン連携ディスプレイオーディオを発表した。スマートフォンに接続することで、Android AutoおよびApple CarPlayの優れたユーザーエクスペリエンスを提供可能とした。
*1:MIVEC:Mitsubishi Innovative Valve timing Electronic Control system
*2:S-AWC:Super All Wheel Control
*3:e-Assist:以下の機能で構成され、ドライバーの安全な走りをアシストする。
・衝突被害軽減ブレーキシステム(Forward Collision Mitigation System:FCM)「アウトランダー/同PHEVに搭載」
先行車との車間距離が急に縮まった場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートする。
・低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM-City)「eKシリーズに搭載」
低速走行時(約5~約30km/h)先行車との車間距離が急に縮まった場合、自動ブレーキによって衝突の回避、または被害の軽減をサポートする。
・車線逸脱警報システム(Lane Departure Warning System:LDW)「アウトランダー/同PHEVに搭載」
走行中の車線から逸脱しそうな場合に、ドライバーに警報で注意を促す。
・レーダークルーズコントロールシステム(Adaptive Cruise Control System:ACC)「アウトランダー/同PHEVに搭載」
渋滞での走行時でも、先行車との車間を維持しながらの走行を可能とする。
・誤発進抑制機能「eKシリーズに搭載」
シフトやペダルの操作ミスによる急発進を抑制する。
*4:RISE:Reinforced Impact Safety Evolution
*5:Android Auto:ドライバーの安全を第一に考え、シンプルで直観的に操作できるインターフェースと音声操作により、運転に集中しやすくする。AndroidおよびAndroid Autoは、米国および他の国々で登録された Google Inc.の商標。
*6:Apple CarPlay:iPhoneを簡単かつ安全に使用できるように、スクリーンにタッチしたり、話しかけるだけの操作で、通話、地図、音楽、メッセージアプリへ簡単にアクセスすることを可能とする。Apple, CarPlay, iPhoneおよびSiri は米国およびその他の国で登録されたApple Inc.の商標。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費(自動車事業)は45,057百万円である。
平成26年4月から平成27年3月にかけて発売した主な新商品は次のとおりである。
1. タイで新型ピックアップトラック『トライトン』を発売した。新型『トライトン』は、「働くクルマとしての機能性・信頼性」を向上しながら、「乗用車のように快適な移動空間」を提供する『究極のスポーツ・ユーティリティ・トラック』である。タイのラムチャバン工場で生産され、アセアン、オセアニア、中東、欧州、アフリカ、中南米などに順次投入し、約150ヶ国に輸出する計画である。主な商品特長を以下に挙げる。
(1)「働くクルマとしての機能性・信頼性」
デザインは、アスリートを彷彿させる筋肉質で無駄の無い躍動感溢れるスタイリングとし、ゆとりある居住空間、十分な積載容量、クラストップの取り回しの良さを実現した。また、耐久性・堅牢性に優れるシャシーフレームと衝突安全強化ボディ「RISE」の採用により高い安全性を確保した。さらに、様々な地域と場面で使用されるピックアップトラックとしての過酷な用途にも耐えうるよう、キャビンとカーゴベッドに防錆鋼板を採用し、シーラーを効果的に塗布することで経年劣化を抑制している。
(2)「乗用車のように快適な移動空間」
新開発ディーゼルエンジンの採用、要所に配した遮音・吸音・制振対策、シャシーフレームとキャビンの高剛性化、サスペンションの最適なチューニング等により、乗用車並みの室内静粛性と滑らかな乗り心地を実現している。さらに、見切りが良い前方視界と死角の少ない前方・側方・後方視界、調節幅を広げたドライビングポジション等により運転のしやすさを追求した。キャビンタイプは用途に合わせてダブルキャブ・シングルキャブ・クラブキャブの3タイプを設定し、エンジンはクラストップレベルの環境性能と動力性能を発揮する新開発の2.4L MIVECディーゼルターボエンジンのほか、実績のある2.5Lディーゼルターボエンジンと2.4Lガソリンエンジンの3機種を搭載した。
2. 軽自動車『eKワゴン』『eKカスタム』『eKスペース』の安全機能を強化して発売した。軽自動車の枠を超える上質感、運転のしやすさと優れた燃費性能で好評を博しているeKシリーズに、低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM-City)と誤発進抑制機能の2つの先進予防安全技術(「e-Assist」)を採用した。さらに、「e-Assist」搭載車には、アクティブスタビリティコントロール(ASC)を標準装備した。主な商品特長を以下に挙げる。
(1)「低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM-City)」
約5km/h~約30km/hの低速走行時に、レーザーレーダーが前方車両を検知し、衝突の危険があるときは、ブザ ー音とメーター内の警告灯で注意喚起するとともに、自動ブレーキで衝突の回避または衝突被害の軽減を図 る。
(2)「誤発進抑制機能」
停車時~約10㎞/h以下の走行時に、レーザーレーダーが前方(約4m以内)に車両や障害物を検知している状態で、踏み間違いなどの操作ミスによって、アクセルペダルを素早く、強く踏み込んだときは、ブザー音とメーター内の警告灯で注意喚起するとともに、エンジン出力を抑制。発進をゆるやかにし、衝突被害の軽減を図る。
(3)「アクティブスタビリティコントロール(ASC)」
滑りやすい路面での走行や急なハンドル操作などにより、車両の不安定な動きや車輪のスリップを感知すると、車輪にブレーキをかけるとともにエンジン出力を自動的にコントロールすることで、安定した走行をサポート。
3. コンパクトカー『ミラージュ』に「ゆとりある動力性能」と「優れた燃費性能」を両立する1.2Lエンジン搭載車を新たに設定したほか、さらに「内外装の質感向上」を施して発売した。『ミラージュ』は、コンパクトで取り回しやすいボディサイズ、きびきびとした軽快な走り、また快適・便利な機能装備を多数採用している。主な商品特長を以下に挙げる。
(1)「ゆとりある動力性能」
従来の1.0Lエンジン搭載の上級グレード「G」をベースに、最高出力57kW(78PS)/6000rpm、最大トルク100N・m(10.2kgf・m)/4000rpmを発揮する1.2L 3気筒MIVECエンジン(アイドリングストップ機能「オートストップ&ゴー(AS&G)」付)を搭載。
(2)「優れた燃費性能」
軽量&高剛性ボディに3気筒MIVECエンジンとINVECS-Ⅲ*7 CVTを搭載し、アイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」などの低燃費化技術により優れた燃費性能を実現した。その結果、平成27年度燃費基準+20%および平成17年基準排出ガス75%低減レベルを達成した。
(3)「内外装の質感向上」
外観ではフロントフォグランプ、サイドターンランプ付ドアミラー、15インチタイヤ&アルミホイール、可倒式ショートアンテナを採用。内装では本革巻ステアリングホイールおよびシフトノブを採用したほか、ピアノブラック調のパワーウインドウスイッチパネルとシフトパネルを装備することで質感を高めた。
*7:INVECS-Ⅲ:Intelligent & Innovative Vehicle Electronic Control System(学習機能付シフト制御)
4. 上記のほかに、安全・機能装備の充実や、内外装の差異化、燃費向上を図った商品を一部機種に設定し発売した。
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容である。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成している。この連結財務諸表の作成に当り、連結会計年度末日における資産・負債の計上および偶発資産・負債の開示、ならびに報告期間における収益・費用の計上に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っている。これらの見積りは、過去の実績や合理的と考えられる方法に基づき行われているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合がある。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えている。
①製品保証引当金
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、過去の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して計上している。実際の製品不良率または修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性がある。
②貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上している。経済状況の変化等により顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、追加引当が必要となる可能性がある。米国の金融連結子会社では、保有している販売金融債権をその保有目的に応じて満期保有目的および販売目的に区別している。満期保有目的の販売金融債権については、将来の回収不能見込額を貸倒引当金として計上しており、また、販売目的の販売金融債権は、将来の見込キャッシュ・フローを基礎に時価を算定し、取得原価と時価との差額を貸倒引当金として計上している。従って、将来、回収不能見込額または見込キャッシュ・フローの算定の前提条件が変わった場合等、将来の損益に影響を与えることがある。
③退職給付費用及び債務
従業員退職給付費用および債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されている。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期収益率などが含まれている。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす。
④オペレーティング・リース資産及びバイバック資産の評価
米国の連結子会社は、オペレーティング・リース取引およびバイバック取引を行っている。これらの取引は、契約終了時に顧客が車両を返却した場合、中古車市場でこれを売却している。連結会計年度末日時点における当該資産は、償却原価または中古車市場相場の価額のいずれか低い方で評価しているが、実際に中古車を売却した時点で売却価額が大きく変動した場合、将来の損益に影響を与えることがある。
⑤繰延税金資産の評価
当社グループでは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を控除し、純額を計上している。評価性引当金は、将来の課税所得およびタックスプランニング等を勘案し算定しており、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上している。また、繰延税金資産の計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることとしている。
⑥投資有価証券の評価
当社グループは、価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式を保有している。当社グループは、投資有価証券の評価を一定期間ごとに見直し、その評価が取得原価または減損後の帳簿価額を一定率以上下回った場合、減損処理を実施している。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、減損処理の実施が必要となる可能性がある。
⑦固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、資産を工場単位または事業拠点単位等にグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っている。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額している。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがある。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要(1)業績」の記載を参照。
(3) 資本の財源及び資金の流動化についての分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」の記載を参照。
(4)今後の方針について
「第2 事業の状況 3.対処すべき課題」の記載を参照。