第2 【事業の状況】

 

 

1 【業績等の概要】

 

(1) 業績

当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高12兆1,895億円と前連結会計年度に比べ8,143億円(7.2%)の増収となった。営業利益は7,933億円と前連結会計年度に比べ2,037億円(34.6%)の増益となった。

営業外損益は690億円の利益となり、前連結会計年度に比べ356億円の減益となった。これは主に、為替差損益の悪化によるものである。その結果、経常利益は8,623億円と前連結会計年度に比べ1,681億円(24.2%)の増益となった。特別損益は1,294億円の損失となり、前連結会計年度に比べ1,226億円悪化した。税金等調整前当期純利益は7,329億円と前連結会計年度に比べ455億円(6.6%)の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は5,238億円となり、前連結会計年度に比べ662億円(14.5%)の増益となった。

 

セグメントの業績は、次のとおりである。

① 自動車事業

当社グループの全世界における自動車販売台数(小売り)は、542万3千台と前連結会計年度に比べ10万5千台(2.0%)の増加となった。日本国内では前年度比8.1%減の57万3千台、中国では前年度比6.3%増の125万台となった。メキシコとカナダを含む北米では前年度比9.9%増の201万1千台、欧州では前年度比0.2%減の75万4千台、その他地域は前年度比5.9%減の83万5千台となった。

自動車事業の業績は、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、11兆3,811億円と前連結会計年度に比べ6,815億円(6.4%)の増収となった。

営業利益は、5,400億円と前連結会計年度に比べ1,652億円(44.1%)の増益となった。これは主に、購買コスト削減、販売台数の増加および車種構成の改善等によるものである。

② 販売金融事業

販売金融事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、9,649億円と前年連結会計年度に比べ1,536億円(18.9%)の増収となった。営業利益は2,321億円と前連結会計年度に比べ366億円(18.7%)の増益となった。

 

なお、所在地別に区分した業績は、次のとおりである。

a.日本

・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、4兆5,043億円と前連結会計年度に比べ117億円(0.3%)の減収となった。

・営業利益は3,036億円となり、前連結会計年度に比べ595億円(24.4%)の増益となった。

主な増益要因は、為替変動と購買コスト削減等である。

b.北米

・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、6兆5,004億円と前連結会計年度に比べ8,851億円(15.8%)の増収となった。

・営業利益は3,991億円となり、前連結会計年度に比べ1,034億円(34.9%)の増益となった。

主な増益要因は、販売台数の増加、車種構成の改善および購買コストの削減等である。

 

c.欧州

・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、1兆9,154億円と前連結会計年度に比べ112億円(0.6%)の減収となった。

・営業損失は142億円となり、前連結会計年度に比べ116億円の改善となった。

主な改善要因は、為替変動による減益があったものの、車種構成の改善および購買コスト削減等である。

d.アジア

・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、1兆7,875億円と前連結会計年度に比べ521億円(3.0%)の増収となった。

・営業利益は875億円となり、前連結会計年度に比べ318億円(57.1%)の増益となった。

主な増益要因は、タイにおける増益である。

e.その他

・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、1兆1,688億円と前連結会計年度に比べ107億円(0.9%)の増収となった。

・営業利益は60億円となり、前連結会計年度に比べ249億円の改善となった。

主な改善要因は、中東地域における増益である。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により9,270億円増加、投資活動により1兆2,293億円減少、財務活動により5,306億円増加した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により451億円減少し、連結範囲の変更に伴い63億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し1,895億円(23.6%)増加の9,921億円となった。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって生み出された資金は9,270億円となり、前連結会計年度の6,927億円の収入に対し2,343億円増加した。主として、販売金融債権の増加による支出が増加したものの、事業活動による収入の増加及び売上債権の減少、仕入債務の増加幅の拡大による収入が増加したことによるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による支出は1兆2,293億円となり、前連結会計年度の1兆220億円の支出に対し2,073億円増加した。これは主として、拘束性預金の減少による収入が増加したものの、リース車両の純支出(取得と売却の純額)の増加による支出が増加したことによるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によって生み出された資金は5,306億円となり、前連結会計年度の2,459億円の収入に対し2,847億円増加となった。これは主として、社債の発行による収入の減少、自己株式取得及び配当金支払いによる支出が増加したものの、長期借入による純収入(借入れと返済の純額)が増加したことによるものである。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 

会社所在地

生産台数(台)

増減

前年同期比

前連結会計年度

当連結会計年度

(台)

(%)

 日  本

870,608

849,356

△21,252

△2.4

 米  国

936,792

994,807

58,015

6.2

 メキシコ

807,145

830,194

23,049

2.9

 英  国

481,180

478,057

△3,123

△0.6

 スペイン

130,166

98,904

△31,262

△24.0

 ロシア

27,751

35,844

8,093

29.2

 タ  イ

101,250

127,292

26,042

25.7

 インドネシア

48,070

41,676

△6,394

△13.3

 フィリピン

1,268

2,121

853

67.3

 インド

210,271

227,178

16,907

8.0

 南アフリカ

37,127

33,527

△3,600

△9.7

 ブラジル

42,580

43,433

853

2.0

 エジプト

16,162

15,487

△675

△4.2

合計

3,710,370

3,777,876

67,506

1.8

 

(注) 台数集約期間は平成27年4月から平成28年3月までである。

 

(2) 受注状況

当社グループの受注生産は僅少なので受注状況の記載を省略する。

 

(3) 販売実績

 

仕向地

販売台数(連結売上台数:台)

増減

前年同期比

前連結会計年度

当連結会計年度

(台)

(%)

 日  本

 

590,432

552,485

△37,947

△6.4

 北  米

 

1,836,790

1,996,165

159,375

8.7

 

内、米国

1,412,321

1,501,808

89,487

6.3

 欧  州

 

770,838

748,681

△22,157

△2.9

 アジア

321,386

322,907

1,521

0.5

 その他

 

593,482

548,309

△45,173

△7.6

合計

 

4,112,928

4,168,547

55,619

1.4

 

(注) 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は平成27年1月から平成27年12月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは平成27年4月から平成28年3月までである。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは、2011年度から2016年度までを対象とした中期経営計画「日産パワー88」に基づき、事業を運営する。

「日産パワー88」の「パワー」とは、当社グループが力を結集して取り組む重要な目標である、ブランドパワーとセールスパワーを指している。

当社グループのコミットメントは、お客さまの購入検討から保有までの過程に重点を置いてブランドパワーの向上を図り、日産車を購入していただくお客さま一人ひとりに、質の高いカーライフを提供することである。

「88」は、本計画を達成することで得られる測定可能なリターンを意味している。グローバルな市場占有率を2010年度の5.8%から8%に伸ばすことをターゲットとし同時に、売上高営業利益率を2010年度の6.1%から8%に改善し、その後維持していくものである。

 

「日産パワー88」では、以下の6つの戦略を実行し目標達成を目指している。

 

① ブランドパワーの強化

② セールスパワーの強化

③ クオリティの向上

④ ゼロ・エミッション リーダーシップ

⑤ 事業の拡大

⑥ コスト リーダーシップ

 

以上のように、当社グループはブランドの向上と、商品・技術、そして生産能力増強のための大規模な投資によって「日産パワー88」を完遂し、その対象期間だけでなく、長い将来にわたって発展・成長を目指していく。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において当社グループが判断したものである。

 

1.世界経済や景気の急激な変動

(1) 経済状況

当社グループの製品・サービスの需要は、それらを提供している国又は地域の経済状況の影響を強く受けている。従って、日本、中国、アメリカ、メキシコ、ヨーロッパ、アジア、中南米、アフリカなど当社グループの主要な市場における経済や景気及びそれに伴う需要の変動については、正確な予測に努め必要な対策を行っているが、世界同時不況など予測を超えた急激な変動がある時は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

(2) 資源エネルギー情勢

原油価格の高騰など資源やエネルギー情勢の急激な変化により当社グループの製品・サービスに対する需要も大きく変動する。ガソリン価格が上昇すれば燃費の良い製品に需要がシフトすることが予測され、更に上昇すれば全体の需要は低下することも予測される。予測を超えた急激な変動がある時は業績の悪化や機会損失の発生等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

2.自動車市場における急激な変動

自動車業界は世界規模で非常に厳しい競争にさらされている。当社グループもその競争に打ち勝つべく、お客様のニーズにあった製品を素早く提供できるように技術開発・商品開発や販売戦略において努力しているが、お客様ニーズに合う製品をタイムリーに提供できなかった場合や、環境や市場の変化への対応が不十分な場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

例えば、成熟市場では人口の減少や少子高齢化の進行により需要が減退したり変化したりする一方で、新興市場では大きく需要が増える可能性もある。これらはビジネスチャンスとして当社グループに有利な結果をもたらす可能性もある一方、特定商品や特定地域への過度な依存が発生し、次なる変化への対応が十分に行われない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

3.金融市場に係るリスク

(1) 為替レートの変動

当社グループは世界20カ国・地域で完成車の生産を行い、170カ国以上の国々で販売している。原材料や部品、サービスの調達も多くの国で行っている。

当社の連結財務諸表は日本円で表示するため、一般的に他の通貨に対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、反対に円安は好影響をもたらすことになる。また、当社グループが生産を行う地域の通貨価値が上昇した場合、それらの地域の生産コストを押し上げ、当社グループの競争力の低下をもたらす可能性がある。

 

 

(2) 通貨、金利ならびにコモディティ価格のリスクヘッジ

市場金利の上昇や自身の格付け低下による調達コストの上昇は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

また、当社グループは外貨建債権債務の為替変動のリスク回避、変動金利で調達した有利子負債の金利変動リスク回避及び、コモディティの価格変動リスク回避を目的とし、デリバティブ取引を行うことがある。こうしたデリバティブ取引によりリスクを回避することができる一方で、為替変動、金利変動、コモディティ価格の変動によってもたらされる利益を享受できないという可能性もある。

 

(3) 有価証券の価格変動

当社グループは、戦略的な理由や取引関係維持、キャッシュマネジメント等の理由により市場性のある有価証券を保有する場合があり、それらの有価証券の価格変動リスクを負っている。このため株価や債券価格の変動は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(4) 資金の流動性

金融市場に通常の想定を超える環境変化が発生した場合においても、当社グループでは十分な資金の流動性を確保できるよう社内規定を整備し、内部資金の蓄積や金融機関とのコミットメントライン、調達手段や調達地域の多様化等、あらゆる資金捻出・調達ソースの確保に取り組んでいる。しかしながら市場環境に予期せぬ大規模な変化が発生した場合には、当初計画通りの資金調達に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。

 

(5) 販売金融事業のリスク

販売金融事業は当社グループにとって重要なビジネスのひとつである。グローバル販売金融ビジネスユニットは、徹底したリスク管理により高い収益性と健全な財務状態を維持しながら自動車販売を強力にサポートしている。しかし、販売金融には、金利変動リスク、残存価格変動リスク、信用リスク等のリスクが避けられない。これらのリスクが予想を超えて顕在化した場合には当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。

 

(6) 取引先の信用リスク

当社グループは販売会社、金融機関、サプライヤーなど様々な地域の数多くの取引先と取引を行っており、取引先の債務不履行などが発生するリスクに晒されている。当社グループは、これらの取引先の財務情報をもとに継続的な評価を行うことで、かかるリスクを削減するよう努めている。しかしながら、世界的な経済危機をきっかけにした、販売会社、金融機関およびサプライヤーの経営破たんのような予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。

 

(7) 退職給付債務

当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。

 

 

4. 事業戦略や競争力維持に係るリスク

(1) 国際的活動及び海外進出に関するリスク

当社グループの販売は世界170カ国以上、完成車の生産も20の国と地域で行っており、今後も新興国を中心に更に拡大していく可能性がある。海外市場への事業進出の際には以下に掲げるようなリスクの検討も十分行っているが、進出した先で予期しないリスクあるいは想定を超えるリスクが顕在化した場合には計画通りの操業度や収益性を実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

・ 不利な政治的又は経済的要因

・ 法律又は規制の変更

・ 法人税、関税その他税制の変更

・ ストライキ等の労働争議

・ 優秀な人材の採用と定着の難しさ

・ テロ、戦争、クーデター、デモ、暴動、大規模自然災害、伝染病、その他の要因による社会的混乱

 

(2) 研究開発活動

当社グループが開発する技術は、世の中のニーズに即し、有用かつ現実的で使い易いものでなくてはならない。この目的のため当社グループは、将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、新技術の開発に投資している。しかし、予測を超えた環境の変化や世の中のニーズの変化、相対的な開発競争力の低下により、最終的にお客様にその新技術が受け入れられない可能性もあり、その結果当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

(3) 他企業との提携等

当社グループはより高い競争力を短期間で獲得するために優れた技術を有する他の企業と戦略的に提携することがある。しかしながら、当該分野の市場環境や技術動向の変化、提携先との活動の進捗状況によっては予定した成果を享受できない可能性もあり、その結果当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(4) 製品・サービスの品質

当社グループは、優れた品質の製品・サービスを提供するため、開発・製造から販売・サービスまできめ細かい管理体制を敷き最善の努力を傾けている。しかしながら、より高い付加価値を提案するための新技術の採用は、それが十分に吟味されたものであっても、後に製造物責任や製品リコールなど予期せぬ品質に係る問題を惹起することがある。製造物責任については賠償原資を確保するため一定の限度額までは保険に加入しているが、必ずしもすべての損害が保険でカバーされるとは限らない。またお客様の安全のため実施したリコールが大規模なものになった場合には多額のコストが発生するだけでなく、ブランドイメージが低下する等、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

(5) 環境や安全に関する規制、企業の社会的責任

自動車業界は、排出ガス基準、CO2/燃費基準、騒音、リサイクル等、環境や安全に係る様々な規制の影響を受けており、これらの規制はより一層厳格になってきている。法規制を遵守することは当然であるが、企業の社会的責任として自主的により高い目標を掲げ取組んでいる分野も増えている。当社グループは競合他社に対する優位性を保つため中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2016」を掲げ、環境に対する継続的な取り組みを社内外にコミットしているが、開発や投資の負担は増加しており、これらコストの増加は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

また、上記取組みを行ったとしても、株主やお客様等のステークホルダーから、他社との比較において優位性を持たないと評価された場合には株価や販売に負の影響を及ぼし、その結果当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

 

(6) 重要な訴訟等

当社グループが事業活動を進めていく中で、取引先や第三者との間で様々な訴訟に発展することがある。それら訴訟については、当社グループ側の主張又は予測と異なる結果となるリスクは避けられず、場合によっては当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

(7) 知的財産保護の限界

当社グループは、他社製品と差異化できる技術とノウハウを保持している。これらの技術とノウハウは今後の当社グループの発展には不可欠なものである。これらの資産の保護については最善の努力を傾注しているが、特定の地域では知的財産権による完全な保護が困難であり、又は限定的にしか保護されない状況にある。

当社グループは、このような特定の地域での知的財産を保護し、当社グループの知的活動の成果を守る活動を強化すること、さらには新たな知的財産を蓄積することを狙いとして、専門の部署を設け、ブランドの保護・創造活動を行っているが、第三者が当社グループの知的財産を侵害して類似した製品を製造・販売することを防止できない可能性がある。

 

(8) 優秀な人材の確保

当社グループでは人材は最も重要な財産と考え、グローバルで優秀な人材を採用するとともに、十分に能力を発揮してもらうため人材育成の充実や公平で透明性の高い評価制度の実現にも力を入れている。しかしながら優秀な人材確保のための競争は厳しく、計画通りに採用や定着化が進まなかった場合は、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性がある。

 

(9) コンプライアンス、レピュテーション

当社グループは個人情報や機密情報の保護のための情報セキュリティの取組みをはじめとして、法令等の遵守については未然防止の対策を講じると共に、定期的に監査も行っている。更に、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える影響を防いでいる。しかしながら、企業の社会的責任に対する社会の期待は年々増大しており、仮に、企業の社会的責任に照らして不適切な行為を行ったのが2次3次以降のサプライヤーであっても、当社グループ自身が社会的責任を追及され、対応の内容や迅速性が不十分な場合には当社グループの社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、売上の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

 

 

5.事業の継続

(1) 大規模災害

日本を本拠とする当社グループにとって、現在そして今後も最大のリスクのひとつであり続けるものに地震リスクがある。当社グループでは、地震リスクマネジメントに関する基本方針を設定するとともに、主要な経営会議メンバーで構成されるグローバルベースの地震対策組織を設置している。また、工場などの建屋や設備などの耐震補強も積極的に推進している。しかし、大規模な地震により想定を超えた損害が発生し操業を中断せざるを得ないような場合は、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を及ぼす可能性がある。

地震以外にも、火災や台風、洪水、新型インフルエンザの流行等様々なリスクを想定し、事前の予防対策及び発生時の緊急対応体制の整備等を行っているが、想定を超えた規模で発生した場合などは当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

2011年3月に発生した東日本大震災を契機として、下記のような従来想定していなかった様々なリスクも顕在化した。

・ 計画停電の実施や長期に亘る電力不足により、工場の操業が大きく制限されるリスク

・ 原子力発電所からの放射能汚染による立入制限や避難指示により、対象地域内の工場やサプライヤーが復旧または操業できないリスク

・ 放射能汚染を理由とする、部品・製品の受け入れ制限や遅延のリスク、及び風評による売れ行き低下のリスク

・ 「南海トラフ巨大地震」等で想定される、従来の高さと範囲を大きく超える津波のリスク

当社グループではこれら顕在化した問題に対しても一つ一つ対策を検討・実行し、問題解決の努力を続けているが、当社グループだけでは対応できない問題も多く、また、対応のためのコストも発生するため、業績や財務状況に対する影響は避けられない可能性がある。

 

(2) 原材料及び部品の購入

当社グループは事業の構造上、多数の取引先から原材料や部品及びサービスを購入している。また、最近は新技術の導入に伴い、産出量が少ないだけでなく産出が特定の国に限られる希少金属の使用も増えている。需給バランスの急激な変動や産出国における政情の変化等により予期せぬ市況変動が起こった場合は、必要な原材料・部品等を継続的安定的に確保出来なくなる可能性もあり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(3) 特定サプライヤーへの依存

より高い品質や技術をより競争力ある価格で調達しようとすると、発注が特定のサプライヤーに集中せざるを得ないことがある。また、特別な技術を要するものについてはそもそも提供できるサプライヤーが限定されることもある。当社では、2次3次以降のサプライヤーを含めてサプライチェーンの見直しを行い、その強化に取組んでいるが、予期せぬ事由によりサプライヤーからの供給が停止したり、遅延や不足が生じた時は、当社グループの操業も停止し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

(4) 情報システムに係るリスク

当社グループの殆ど全ての業務は情報システムに依存しており、システムやネットワークも年々複雑化高度化している。今や、これらシステムネットワークのサービス無くしては業務の遂行は到底不可能である。この状況に対して大規模な自然災害、火災、停電等の事故は引き続き当該システムに対して脅威であり、更にコンピュータウイルスへの感染やより巧妙化しているサイバー攻撃など人為的な脅威も急激に高まっている。

当社グループではそれらのリスクに備え事業継続計画(BCP)の策定、セキュリティ対策の向上等、ハード面・ソフト面両方に亘る様々な対策を実施している。しかしながら、想定を超える災害の発生、サイバー攻撃の発生やウイルス等への感染が発生した場合には、システムダウンによる業務の停止、重要なデータの消失、機密情報や個人情報の盗取や漏えい等のインシデントを引き起こす可能性がある。その結果、当社グループの業績や信頼性に対する評判、財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

契約年月日

日産自動車株式会社

(提出会社)

ルノー

フランス

資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約

平成11年3月27日

日産自動車株式会社

(提出会社)

ダイムラーAG

ドイツ

資本参加を含む戦略的協力に関する提携契約

平成22年4月7日

ルノー

フランス

日産自動車株式会社

(提出会社)

三菱自動車工業(株)

日本

資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約

平成28年5月25日

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、将来にわたって持続性のある車社会の実現に向けて、環境や安全など様々な分野での研究開発活動を積極的に行っている。

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は5,319億円であった。

当社グループの研究開発体制及び活動成果は次のとおりである。

(1) 研究開発体制

当社グループの日本における研究開発は、日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市)を中心に車両開発を日産車体(株)、(株)日産テクノ、日産ライトトラック(株)、ユニット開発を愛知機械工業(株)、ジヤトコ(株)などの関係各社が担当し、当社と密接な連携のもとで推進している。

米欧地域においては、米国の北米日産会社、メキシコのメキシコ日産自動車会社、英国に拠点を持つ英国日産自動車製造会社、スペインの日産モトール・イベリカ会社において、一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。また、米国の日産総合研究所シリコンバレーオフィスにおいて、自動運転車両の研究、最先端のICT(Information and Communication Technology)技術開発を行っている。

アジア地域では、中国の日産(中国)投資有限公司、東風汽車集団股份有限公司との合弁会社である東風汽車有限公司、台湾の裕隆汽車製造股份有限公司との合弁会社である裕隆日産汽車股份有限公司、タイのアジア・パシフィック日産自動車会社、インドのルノー日産テクノロジー&ビジネスセンターインディア社及び日産アショックレイランドテクノロジーズ(株)において一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。

また、南米地域のブラジル日産自動車会社、南アフリカの日産サウスアフリカ会社においても現地生産車の一部開発業務を行っている。

ルノーと当社は、経営資源の効率化を目指し、両社間で行う次世代技術の研究領域における役割分担を再構築し、共通プラットフォームの採用、共通パワートレイン戦略の策定・実行、そして世界中の実験施設の適正化を加速させている。また、ダイムラーとの戦略的協力関係においては、パワートレインやプラットフォームの共用に取り組んでいる。

 

(2) 新商品の開発状況

国内にて、「エクストレイル」にハイブリッドモデルを追加した。海外では、北米において新型「マキシマ」と新型「タイタンXD」、欧州においてインフィニティブランドからアクティブ・コンパクト「Q30」とプレミアム・アクティブ・クロスオーバー「QX30」、中国において「キャッシュカイ」とハイブリッドモデルを含む新型「ムラーノ」と若者世代をターゲットとした「ラニア」、ヴェヌーシアブランドからコンパクトSUV「T70」、中南米とカリブ諸国では新型ピックアップトラック「NP300 フロンティア」を発売した。

 

(3) 新技術の開発状況

環境面においては、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2016」の3つの重点領域である、「低炭素化」「再生可能エネルギーへの転換」「資源の多様化」を推進するための活動として「ゼロ・エミッション車の普及」「低燃費車の拡大」「カーボンフットプリントの最小化」「新たに採掘する天然資源の最小化」「環境マネジメントの推進」という5つのテーマを掲げ、技術開発を行っている。

「ゼロ・エミッション車の普及」では、2015年度には「日産リーフ」をマルタ、キプロスに新規投入し、同車の投入市場は48となった。また2015年12月には累計販売台数20万台を達成、さらに2015年度は年間販売台数4万7千台を販売し、累計販売台数は21万台以上という結果となった。2015年度は航続距離280km(JC08モード)を実現する容量30kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載した「日産リーフ」が日本、米国、欧州で販売され、各地域で高く評価されている。加えて日産の電気自動車2車種目の「e-NV200」が日本、欧州、香港に投入されており、バルセロナとアムステルダムではタクシーとして運行開始、日本では都市部の貨物配送事業者や地方自治体などで使用されている。

また日産は新しい電力利用の提案を目指して、設備容量で欧州第2の規模を誇る電力・エネルギー企業、エネル社との間で提携を合意した。両社は、EVフリートのバッテリーを“エネルギーのハブ”とする、画期的なシステムの開発を共同で進めることで、スマートグリッドの実現に貢献する。

 

一方、「低燃費車の拡大」では、日本、中国、欧州、米国で販売する日産車の燃費改善を進めている。「リチウムイオンバッテリー」「インテリジェントデュアルクラッチコントロールハイブリッドシステム」「エクストロニックCVT(無段変速機)」の3つをコア技術と位置づけ、車室内空間、用途、価格を考慮しながらクルマに最適な低燃費技術を採用し市場に投入する。2015年度は、米国に投入した「マキシマ」(*1)、欧州に投入した「NP300 ナバラ」(*2)がクラストップとなる燃費を実現した。日本に投入した「エクストレイル ハイブリッド」では、EV走行領域の拡大やシステム動作モードの最適化等の進化により、ガソリン車に対して25%の燃費向上を実現した。

燃費向上のための車両軽量化も推進している。2015年度に北米に投入した新型「タイタンXD」では、高張力鋼板への置換によりフレームを5kg、樹脂化によりフレームアンダーカバーを7kg軽量化した。また、新型「マキシマ」では、超高張力鋼板の採用比率を拡大し、車体の剛性を25%向上しながら車両全体で37kgの軽量化を実現した。

安全面においては、日産車がかかわる交通事故による死亡・重症者数を2015年までに1995年比で半減させる目標を目指してきたが、日本、米国、英国はすでに達成しており、現在は、死亡・重症者数を2020年までにさらに半減させ、究極の目標として、実質ゼロにするという高い目標に向けて取り組んでいる。目標の達成に向けて、事故そのものの削減が重要と考え、「クルマが人を守る」という考え方“セーフティ・シールド”に基づき、人を危険に近づけないようクルマがサポートする技術開発を進めている。インフィニティ「Q50」及び「スカイライン」では世界初となる「PFCW(前方衝突予測警報)」を搭載する等、車両の周囲360度の危険からドライバーを守ることを目指した全方位運転支援システムを実現した。また、前方車両との衝突回避を支援する「エマージェンシーブレーキ」の採用拡大を進めており、2015年度末時点で、日本国内のほぼすべてのカテゴリーで搭載を完了するとともに、主要車種への標準装備も完了した。

日本では、自動車アセスメント(JNCAP)の予防安全性能評価にて「セレナ」が、最高評価となる「先進安全車プラス(ASV+)」を獲得し、米国では、米国新車アセスメントプログラム(US-NCAP)にてインフィニティ「Q70」「QX60」、日産「マキシマ」「パスファインダー」が、米国道路安全保険協会(IIHS)にて、インフィニティ「Q70」、日産「アルティマ」「マキシマ」「ムラーノ」が最高評価を獲得した。欧州では、欧州新車アセスメントプログラム(ユーロNCAP)にて、インフィニティ「Q30」が最高評価を獲得した。

さらに、交通事故低減に大きな効果が期待できる自動運転技術の投入スケジュールを発表し、2016年末には混雑した高速道路上の単一レーンで安全な自動運転を可能にする技術を、2018年には高速道路上の複数レーンで危険回避や車線変更を自動的に行う自動運転技術を投入する。2020年には、十字路や交差点を含む一般道でドライバーの操作介入なしに走行できる自動運転技術を導入する予定である。また、2015年10月より、国内と米国において高速道路・一般道を含むルートを目的地まで自動運転で走行する実験車両での公道テストを開始した。

当社グループは、日産パワー88達成を目指し、今後も競争力のある商品、将来に向けた先端技術等のための研究開発活動に積極的に取り組んでいく。

*1: 発売時点。「マキシマ」は、25mpg(米国基準、シティ・ハイウェイ走行のコンビモード)

*2: 発売時点。「NP300 ナバラ」(2WD)は、167g/km(欧州基準)

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析したものである。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において当社グループが判断したものである。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とする。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる事項」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えている。

① 貸倒引当金

当社グループは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上している。将来、顧客の財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性がある。

② 製品保証引当金

当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、過去の実績を基礎に翌期以降保証期間内の費用見積り額を計上している。当社グループは、製品の安全を最優先課題として、開発・製造から販売サービスまで最善の努力を傾けているが、実際の製品の不具合等により発生した保証費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性がある。

③ 退職給付費用

当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。

 

(2) 経営成績の分析

(販売状況)

当連結会計年度のグローバル全体需要は前年度比2.1%増の8,715万台となった。当社グループのグローバル販売台数は、前年度比2.0%増の542万3千台に達し、グローバル市場占有率は前年度と同水準の6.2%となった。

日本国内の全体需要は前年度比6.8%減の494万台となった。当社グループの販売台数は「エクストレイル」が貢献したものの、前年度比8.1%減の57万3千台となり、市場占有率は前年度比0.2ポイント減の11.6%となった。

中国の全体需要は前年度比6.0%増の2,368万台となった。当社グループの販売台数は「エクストレイル」や「シルフィ」シリーズの貢献により、前年度比6.3%増の125万台となり、市場占有率は前年度と同水準の5.3%となった。

メキシコとカナダを含む北米市場の全体需要は前年度比5.8%増の2,094万台となった。当社グループの販売台数は前年度比9.9%増の201万1千台となった。米国の全体需要は前年度比5.2%増の1,760万台となった。当社グループの販売台数は「アルティマ」、「ローグ」の貢献により、前年度比8.4%増の151万7千台となり、市場占有率は0.2ポイント増の8.6%となった。

 

欧州の全体需要は前年度から3.5%増の1,840万台となり、ロシアを除く当社グループの販売台数は「キャシュカイ」、「ジューク」の貢献により前年度比9.4%増の63万7千台、市場占有率は前年度と同水準の3.8%となった。ロシアにおける当社グループの販売台数は前年度比32.6%減の11万6千台となった。

その他市場における当社グループの販売台数は、前年度比5.9%減の83万5千台となった。アジア・オセアニアにおける販売台数は前年度比1.7%減の35万7千台となり、中南米における販売台数は前年度比6.7%減の17万1千台となった。中東における販売台数は前年度比12.4%減の20万8千台となり、アフリカにおける販売台数は前年度比4.1%減の9万9千台となった。

 

 

 (業績)

① 売上高

連結売上高は前連結会計年度に対し8,143億円(7.2%)増加し、12兆1,895億円となった。主な増収要因は、販売台数の増加および海外売上高における為替変動の換算影響である。

② 営業利益

連結営業利益は7,933億円、売上高営業利益率は6.5%となった。前連結会計年度の営業利益に対し2,037億円(34.6%)の増益となった。

営業利益の増益要因は、購買コスト削減、販売台数の増加および車種構成の改善等によるものである。

③ 営業外損益

連結営業外損益は690億円の利益となり、前連結会計年度の1,046億円の利益に対し、356億円の減益となった。これは主に、為替差損益の悪化によるものである。

④ 特別損益

連結特別損益は1,294億円の損失となり、前連結会計年度の68億円の損失に対し、1,226億円悪化した。これは主に、品質関連費用の計上および減損損失の増加によるものである。

⑤ 法人税等

法人税等は1,801億円となり、前連結会計年度に比べ172億円の減少となった。

⑥ 非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は290億円となり、前連結会計年度に比べ35億円の減少となった。

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は5,238億円となり、前連結会計年度の4,576億円から662億円(14.5%)の増益となった。

⑧ 自動車事業実質有利子負債

当連結会計年度末の自動車事業における手元資金は有利子負債額を上回り、1兆5,029億円のキャッシュ・ポジションとなった。

⑨ 自動車事業フリーキャッシュ・フロー

当連結会計年度における自動車事業のフリーキャッシュ・フローは4,812億円のプラスとなった。

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

1 キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により9,270億円増加、投資活動により1兆2,293億円減少、財務活動により5,306億円増加した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により451億円減少し、連結範囲の変更に伴い63億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し1,895億円(23.6%)増加の9,921億円となった。

 

営業活動

営業活動によって生み出された資金は9,270億円となり、前連結会計年度の6,927億円の収入に対し2,343億円増加した。主として、販売金融債権の増加による支出が増加したものの、事業活動による収入の増加及び売上債権の減少、仕入債務の増加幅の拡大による収入が増加したことによるものである。

投資活動

投資活動による支出は1兆2,293億円となり、前連結会計年度の1兆220億円の支出に対し2,073億円増加した。これは主として、拘束性預金の減少による収入が増加したものの、リース車両の純支出(取得と売却の純額)の増加による支出が増加したことによるものである。

財務活動

財務活動によって生み出された資金は5,306億円となり、前連結会計年度の2,459億円の収入に対し2,847億円増加となった。これは主として、社債の発行による収入の減少、自己株式取得及び配当金支払いによる支出が増加したものの、長期借入による純収入(借入れと返済の純額)が増加したことによるものである。

 

2 財務政策

当社グループは、当社財務部にグローバルトレジャラーの機能を持たせ、全世界のグループ会社の財務活動を一括して管理している。またグローバル・キャッシュ・マネジメントにより資金効率を最大限に高める活動を行っている。

当社グループは、研究開発活動、設備投資及び金融事業に投資するために、適切な資金確保を行い、最適な流動性を保持し、健全なバランスシートを維持することを財務方針としている。

金融市場の急激な環境変化などにより、資金の流動性には注視が必要であるが、当社グループは、現金及び現金同等物に加え、世界の主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、必要とされる充分な流動性を確保していると考えている。

当社グループによる無担保資金調達に係わるコスト及びその発行の可否は、一般に当社グループに関する信用格付けによっている。現在、当社グループの信用格付けは投資適格のレベルとなっているが、これらの格付けは当社グループの債券の売買・保有を推奨するものではない。