当社グループは「第5 経理の状況(会計方針の変更)」に記載のとおり、第115期より一部海外関係会社において国際財務報告基準(IFRS)第11号「共同支配の取決め」(平成23年5月12日)及び国際会計基準(IAS)第19号「従業員給付」(平成23年6月16日)を適用しており、遡及適用後の前連結会計年度との比較を行っている。
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高10兆4,825億円と前連結会計年度に比べ1兆7,452億円(20.0%)の増収となった。営業利益は4,984億円と前連結会計年度に比べ596億円(13.6%)の増益となった。
営業外損益は288億円の収益となり、前連結会計年度に比べ368億円悪化した。これは主に、受取利息が58億円増加したものの、前連結会計年度の為替差益191億円が、当連結会計年度では為替差損131億円へと悪化したこと、デリバティブ損失が増加したことによるものである。その結果、経常利益は5,272億円と前連結会計年度に比べ228億円(4.5%)の増益となった。特別損益は22億円の収益となり、前連結会計年度に比べ193億円改善した。これは主に、退職給付信託設定益の計上などにより、特別利益が118億円増加し、減損損失の減少などにより、特別損失が75億円改善したことによるものである。税金等調整前当期純利益は5,294億円と前連結会計年度に比べ421億円(8.6%)の増益となった。当期純利益は3,890億円となり、前連結会計年度に比べ479億円(14.0%)の増益となった。
セグメントの業績は、次のとおりである。
① 自動車事業
当社グループの全世界における自動車販売台数(小売り)は、518万8千台と前連結会計年度に比べ27万4千台(5.6%)の増加となった。日本国内では前年度比11.1%増の71万9千台、中国では前年度比7.2%増の126万6千台、尚、前連結会計年度の台数から東風汽車有限公司の中・重型商用車関連事業の一部を譲渡した影響を考慮すると当社グループの販売台数は前連結会計年度比17.2%増となった。メキシコとカナダを含む北米では前年度比12.4%増の164万8千台、欧州では前年度比2.4%増の67万6千台、その他地域は前年度比8.5%減の87万9千台となった。
自動車事業の業績は、売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、9兆8,966億円と前連結会計年度に比べ1兆6,165億円(19.5%)の増収となった。
営業利益は、3,178億円と前連結会計年度に比べ364億円(12.9%)の増益となった。これは主に、販売費、商品性向上・品質関連コストの増加などによる減益はあったものの、為替影響、購買コスト削減(原材料含む)、販売台数の増加、車種構成の改善による増益によるものである。
② 販売金融事業
販売金融事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、6,838億円と前連結会計年度に比べ1,416億円(26.1%)の増収となった。営業利益は1,647億円と前連結会計年度に比べ224億円(15.8%)の増益となった。
なお、所在地別に区分した業績は、次のとおりである。
a.日本
・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、4兆8,241億円と前連結会計年度に比べ3,266億円(7.3%)の増収となった。
・営業利益は3,226億円となり、前連結会計年度に比べ1,168億円(56.8%)の増益となった。
主な増益要因は、為替変動と購買原価低減である。
b.北米
・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、4兆8,300億円と、前連結会計年度に比べ1兆1,257億円(30.4%)の増収となった。
・営業利益は1,919億円となり、前連結会計年度に比べ145億円(8.2%)の増益となった。
これは主に、車種構成の悪化、販売費の増加による減益はあったものの、販売台数の増加、購買原価低減によるものである。
c.欧州
・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、1兆8,817億円と前連結会計年度に比べ2,872億円(18.0%)の増収となった。
・営業損失は236億円となり、前連結会計年度に比べ254億円の減益となった。
主な減益要因は、為替変動、車種構成の悪化、販売費の増加である。
d.アジア
・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、1兆5,939億円と前連結会計年度に比べ3,145億円(24.6%)の増収となった。
・営業利益は533億円となり、前連結会計年度に比べ83億円(18.2%)の増益となった。
主な増益要因は、為替変動である。
e.その他
・売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は、9,994億円と前連結会計年度に比べ869億円(9.5%)の増収となった。
・営業損失は300億円となり、前連結会計年度に比べ381億円の減益となった。
主な減益要因は、販売台数の減少と販売費の増加である。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により7,281億円増加、投資活動により1兆804億円減少、財務活動により3,969億円増加した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により749億円増加し、連結範囲の変更に伴い13億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し1,208億円(17.0%)増加の8,327億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって生み出された資金は7,281億円となり、前連結会計年度の4,123億円の収入に対し3,158億円増加した。これは主として、税金等調整前当期純利益の増加に加え仕入債務が減少から増加に転じたことによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による支出は1兆804億円となり、前連結会計年度の8,380億円の支出に対し2,424億円増加した。これは主として、リース車両の取得による支出の増加によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって生み出された資金は3,969億円となり、前連結会計年度の4,338億円の収入に対し369億円減少となった。これは主として、配当金の支払額が増加したことによるものである。
会社所在地 | 生産台数(台) | 増減 | 前年同期比 | |
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | (台) | (%) | |
日 本 | 1,060,157 | 1,000,190 | △59,967 | △5.7 |
米 国 | 671,748 | 848,971 | 177,223 | 26.4 |
メキシコ | 672,679 | 708,851 | 36,172 | 5.4 |
英 国 | 505,042 | 516,488 | 11,446 | 2.3 |
スペイン | 137,996 | 140,145 | 2,149 | 1.6 |
ロシア | ― | 26,243 | 26,243 | ― |
タ イ | 234,910 | 146,290 | △88,620 | △37.7 |
インドネシア | 62,795 | 56,167 | △6,628 | △10.6 |
インド | 200,147 | 230,570 | 30,423 | 15.2 |
南アフリカ | 49,857 | 49,190 | △667 | △1.3 |
ブラジル | 31,912 | 23,455 | △8,457 | △26.5 |
エジプト | 10,770 | 13,583 | 2,813 | 26.1 |
合計 | 3,638,013 | 3,760,143 | 122,130 | 3.4 |
(注) 台数集約期間は平成25年4月から平成26年3月までである。
当社グループの受注生産は僅少なので受注状況の記載を省略する。
仕向地 | 販売台数(連結売上台数:台) | 増減 | 前年同期比 | ||
前連結会計年度 | 当連結会計年度 | (台) | (%) | ||
日 本 |
| 620,466 | 696,790 | 76,324 | 12.3 |
北 米 |
| 1,488,376 | 1,685,183 | 196,807 | 13.2 |
| 内、米国 | 1,153,946 | 1,312,186 | 158,240 | 13.7 |
欧 州 |
| 689,725 | 739,675 | 49,950 | 7.2 |
アジア | 383,755 | 330,735 | △53,020 | △13.8 | |
その他 |
| 664,808 | 606,068 | △58,740 | △8.8 |
合計 |
| 3,847,130 | 4,058,451 | 211,321 | 5.5 |
(注) 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は平成25年1月から平成25年12月まで、日本、北米、欧州、
その他、並びに中国、台湾を除くアジアは平成25年4月から平成26年3月までである。
当社グループは、2011年度から2016年度までを対象とした中期経営計画「日産パワー88」に基づき、事業を運営する。
日産パワー88の「パワー」とは、当社グループが力を結集して取り組む重要な目標である、ブランドパワーとセールスパワーを指している。
当社グループのコミットメントは、お客さまの購入検討から保有までの過程に重点を置いてブランドパワーの向上を図り、日産車を購入していただくお客さま一人ひとりに、質の高いカーライフを提供することである。
「88」は、本計画を達成することで得られる測定可能なリターンを意味している。グローバルな市場占有率を2010年度の5.8%から8%に伸ばすと同時に、売上高営業利益率を2010年度の6.1%から8%に改善し、その後維持していくものである。
日産パワー88では、以下の6つの戦略を実行し目標達成を目指している。
ブランドパワーを強化するため、当社グループは開発・生産の強みを、販売・マーケティングとお客さまの経験に基づく価値創造の領域に広げていく。お客さまとの触れあいのレベルを高め、世界一流のサービス水準を実現し、日産車のオーナー一人ひとりと長期的な関係を築く。また、ブランドパワーの強化を通じて、売上の創出、お客さまの一般的な好意度、そして購入意向度をはじめとする測定可能な領域におけるトップレベルとの格差を縮小していく。
各市場のお客さまのニーズを取り込み、販売台数と市場占有率を飛躍的に増大させる。新興市場では、しっかりとした販売網を確立し、お客さまのニーズにきめ細やかに対応する態勢を整える。一方、販売網が既に確立されている成熟市場では、お客さま対応の定着率改善を図ると同時に、1店舗あたりの販売台数を増やして販売効率の向上を図るなど、戦略的に取り組んでいく。
当社グループは製品品質の向上に向けて着実に歩みを進めていくことを目指す。日産パワー88の期間中に、製品品質の面で、ニッサン・ブランドをグローバル自動車業界のトップ・グループに位置づけると共に、インフィニティ・ブランドをラグジュアリー・ブランドのリーダーに育てていくことが目標である。
当社グループは最大の電気自動車の販売台数を誇るメーカーとして、自動車業界の先頭に立っている。今後、電気自動車のラインアップには、小型商用車と、インフィニティ・ブランドで100%電動のラグジュアリー・モデルを揃えていく。アライアンス・パートナーのルノーとともに、2016年までに累計150万台の電気自動車を販売する計画である。また、当社グループは引き続き、バッテリー・充電器・商品ラインアップの開発、送電網の調査、バッテリーのリサイクル、そして蓄電池としてのバッテリーの活用等、様々な分野に携わっていくことで、持続可能なモビリティづくりに貢献していく。
当社グループは2016年度にはグローバル市場占有率8%を目指す。その内訳は、35%は成熟市場で、65%は新興市場における伸長を想定している。この成長を可能にするのは、平均で6週間ごとに新型車を1車種投入する商品投入計画、成長市場における継続的な取り組み、そしてインフィニティ事業と小型商用車事業の拡大である。
中国、北米、ブラジル、そしてロシアを中心とした生産能力向上への投資が、台数増を支えていく。
当社グループは主としてサプライヤーを交えたクロス・ファンクショナルなモノづくり活動により、年間5%の購入部品の原価低減を果たしてきた。生産体制が益々グローバル化する中、これからもこのペースを維持し、世界中の生産拠点で本活動を徹底していく。さらに、物流費と内製コストにも目を向け、生産と購入品、納車整備センターまでの物流費を含めたトータルコストを年間5%低減する。
以上のように、当社グループはブランドの向上と、商品・技術、そして生産能力増強のための大規模な投資によって日産パワー88を完遂し、その対象期間だけでなく、長い将来にわたって発展・成長を目指していく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月26日)現在において当社グループが判断したものである。
1.世界経済や景気の急激な変動
当社グループの製品・サービスの需要は、それらを提供している国又は地域の経済状況の影響を強く受けている。従って、日本、中国、アメリカ、メキシコ、ヨーロッパ、アジア、中南米、アフリカなど当社グループの主要な市場における経済や景気及びそれに伴う需要の変動については、正確な予測に努め必要な対策を行っているが、世界同時不況など予測を超えた急激な変動がある時は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
原油価格の高騰など資源やエネルギー情勢の急激な変化により当社グループの製品・サービスに対する需要も大きく変動する。ガソリン価格が上昇すれば燃費の良い製品に需要がシフトすることが予測され、更に上昇すれば全体の需要は低下することも予測される。予測を超えた急激な変動がある時は業績の悪化や機会損失の発生等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
2.自動車市場における急激な変動
自動車業界は世界規模で非常に厳しい競争にさらされている。当社グループもその競争に打ち勝つべく、お客様のニーズにあった製品を素早く提供できるように技術開発・商品開発や販売戦略において努力しているが、お客様ニーズに合う製品をタイムリーに提供できなかった場合や、環境や市場の変化への対応が不十分な場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
例えば、成熟市場では人口の減少や少子高齢化の進行により需要が減退したり変化したりする一方で、新興市場では大きく需要が増える可能性もある。これらはビジネスチャンスとして当社グループに有利な結果をもたらす可能性もある一方、特定商品や特定地域への過度な依存が発生し、次なる変化への対応が十分に行われない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
3.金融市場に係るリスク
当社グループは世界20カ国・地域で完成車の生産を行い、170カ国以上の国々で販売している。原材料や部品、サービスの調達も多くの国で行っている。
当社の連結財務諸表は日本円で表示するため、一般的に他の通貨に対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、反対に円安は好影響をもたらすことになる。また、当社グループが生産を行う地域の通貨価値が上昇した場合、それらの地域の生産コストを押し上げ、当社グループの競争力の低下をもたらす可能性がある。
市場金利の上昇や自身の格付け低下による調達コストの上昇は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
また、当社グループは外貨建債権債務の為替変動のリスク回避、変動金利で調達した有利子負債の金利変動リスク回避及び、コモディティの価格変動リスク回避を目的とし、デリバティブ取引を行うことがある。こうしたデリバティブ取引によりリスクを回避することができる一方で、為替変動、金利変動、コモディティ価格の変動によってもたらされる利益を享受できないという可能性もある。
当社は、戦略的な理由や取引関係維持、キャッシュマネジメント等の理由により市場性のある有価証券を保有する場合があり、それらの有価証券の価格変動リスクを負っている。このため株価や債券価格の変動は、当社の業績及び財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。
金融市場に通常の想定を超える環境変化が発生した場合においても、当社グループでは十分な資金の流動性を確保できるよう社内規定を整備し、内部資金の蓄積や金融機関とのコミットメントライン、調達手段や調達地域の多様化等、あらゆる資金捻出・調達ソースの確保に取り組んでいる。しかしながら市場環境に予期せぬ大規模な変化が発生した場合には、当初計画通りの資金調達に支障をきたす可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。
販売金融事業は当社グループにとって重要なビジネスのひとつである。グローバル販売金融ビジネスユニットは、徹底したリスク管理により高い収益性と健全な財務状態を維持しながら自動車販売を強力にサポートしている。しかし、販売金融には、金利変動リスク、残存価格変動リスク、信用リスク等のリスクが避けられない。これらのリスクが予想を超えて顕在化した場合には当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは販売会社、金融機関、サプライヤーなど様々な地域の数多くの取引先と取引を行っており、取引先の債務不履行などが発生するリスクに晒されている。当社グループは、これらの取引先の財務情報をもとに継続的な評価を行うことで、かかるリスクを削減するよう努めている。しかしながら、世界的な経済危機をきっかけにした、販売会社、金融機関およびサプライヤーの経営破たんのような予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に負の影響を及ぼす可能性がある。
当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。
4. 事業戦略や競争力維持に係るリスク
当社グループの販売は世界170カ国以上、完成車の生産も20の国と地域で行っており、今後も新興国を中心に更に拡大していく可能性がある。海外市場への事業進出の際には以下に掲げるようなリスクの検討も十分行っているが、進出した先で予期しないリスクあるいは想定を超えるリスクが顕在化した場合には計画通りの操業度や収益性を実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
・ 不利な政治的又は経済的要因
・ 法律又は規制の変更
・ 法人税、関税その他税制の変更
・ ストライキ等の労働争議
・ 優秀な人材の採用と定着の難しさ
・ テロ、戦争、クーデター、デモ、暴動、大規模自然災害、伝染病、その他の要因による社会的混乱
当社グループが開発する技術は、世の中のニーズに即し、有用かつ現実的で使い易いものでなくてはならない。この目的のため当社グループは、将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、新技術の開発に投資している。しかし、予測を超えた環境の変化や世の中のニーズの変化、相対的な開発競争力の低下により、最終的にお客様にその新技術が受け入れられない可能性もあり、その結果当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループはより高い競争力を短期間で獲得するために優れた技術を有する他の企業と戦略的に提携することがある。しかしながら、当該分野の市場環境や技術動向の変化、提携先との活動の進捗状況によっては予定した成果を享受できない可能性もあり、その結果当社の業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、優れた品質の製品・サービスを提供するため、開発・製造から販売・サービスまできめ細かい管理体制を敷き最善の努力を傾けている。しかしながら、より高い付加価値を提案するための新技術の採用は、それが十分に吟味されたものであっても、後に予期せぬ品質問題を惹起することがある。製造物責任については賠償原資を確保するため一定の限度額までは保険に加入しているが、保険でカバーされないリスクもあり、またお客様の安全のため大規模なリコールを実施した場合には多額のコストが発生する等、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性がある。
自動車業界は、排出ガス基準、CO2/燃費基準、騒音、リサイクル等、環境や安全に係る様々な規制の影響を受けており、これらの規制はより一層厳格になってきている。法規制を遵守することは当然であるが、企業の社会的責任として自主的により高い目標を掲げ取組んでいる分野も増えている。当社は競合他社に対する優位性を保つため中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2016」を掲げ、環境に対する継続的な取り組みを社内外にコミットしているが、開発や投資の負担は増加しており、これらコストの増加は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループが事業活動を進めていく中で、取引先や第三者との間で様々な訴訟に発展することがある。それら訴訟については、当社側の主張又は予測と異なる結果となるリスクは避けられず、場合によっては当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、他社製品と差異化できる技術とノウハウを保持している。これらの技術とノウハウは今後の当社グループの発展には不可欠なものである。これらの資産の保護については最善の努力を傾注しているが、特定の地域では知的財産権による完全な保護が困難であり、又は限定的にしか保護されない状況にある。
当社は、このような特定の地域での知的財産を保護し、日産の知的活動の成果を守る活動を強化すること、さらには新たな知的財産を蓄積することを狙いとして、専門の部署を設け、ブランドの保護・創造活動を行っているが、第三者が当社グループの知的財産を侵害して類似した製品を製造・販売することを防止できない可能性がある。
当社では人材は最も重要な財産と考え、グローバルで優秀な人材を採用するとともに、十分に能力を発揮してもらうため人材育成の充実や公平で透明性の高い評価制度の実現にも力を入れている。しかしながら優秀な人材確保のための競争は厳しく、計画通りに採用や定着化が進まなかった場合は、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性がある。
当社グループは個人情報や機密情報の保護のための情報セキュリティの取組みをはじめとして、法令等の遵守については未然防止の対策を講じると共に、定期的に監査も行っている。更に、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社の社会的信用や評判に与える影響を防いでいる。しかしながら、企業の社会的責任に対する社会の期待は年々増大しており、仮に、企業の社会的責任に照らして不適切な行為を行ったのが2次3次以降のサプライヤーであっても、当社自身が社会的責任を追及され、対応の内容や迅速性が不十分な場合には当社の社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、売上の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。
5.事業の継続
日本を本拠とする当社グループにとって、現在そして今後も最大のリスクのひとつであり続けるものに地震リスクがある。当社グループでは、地震リスクマネジメントに関する基本方針を設定するとともに、主要な経営会議メンバーで構成されるグローバルベースの地震対策組織を設置している。また、工場などの建屋や設備などの耐震補強も積極的に推進している。しかし、大規模な地震により想定を超えた損害が発生し操業を中断せざるを得ないような場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
地震以外にも、火災や台風、洪水、新型インフルエンザの流行等様々なリスクを想定し、事前の予防対策及び発生時の緊急対応体制の整備等を行っているが、想定を超えた規模で発生した場合などは当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
2011年3月に発生した東日本大震災を契機として、下記のような従来想定していなかった様々なリスクも顕在化した。
・ 計画停電の実施や長期に亘る電力不足により、工場の操業が大きく制限されるリスク
・ 原子力発電所からの放射能汚染による立入制限や避難指示により、対象地域内の工場やサプライヤーが復旧または操業できないリスク
・ 放射能汚染を理由とする、部品・商品の受け入れ制限や遅延のリスク、及び風評による売れ行き低下のリスク
・ 「南海トラフ巨大地震」等で想定される、従来の高さと範囲を大きく超える津波のリスク
当社グループではこれら顕在化した問題に対しても一つ一つ対策を検討・実行し、問題解決の努力を続けているが、当社だけでは対応できない問題も多く、また、対応のためのコストも発生するため、業績や財務状況に対する影響は避けられない可能性がある。
当社グループは事業の構造上、多数の取引先から原材料や部品及びサービスを購入している。また、最近は新技術の導入に伴い、産出量が少ないだけでなく産出が特定の国に限られる希少金属の使用も増えている。需給バランスの急激な変動や産出国における政情の変化等により予期せぬ市況変動が起こった場合は、必要な原材料・部品等を継続的安定的に確保出来なくなる可能性もあり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
より高い品質や技術をより競争力ある価格で調達しようとすると、発注が特定のサプライヤーに集中せざるを得ないことがある。また、特別な技術を要するものについてはそもそも提供できるサプライヤーが限定されることもある。当社では、2次3次以降のサプライヤーを含めてサプライチェーンの見直しを行い、その強化に取組んでいるが、予期せぬ事由によりサプライヤーからの供給が停止したり、遅延や不足が生じた時は、当社グループの操業も停止し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループの殆ど全ての業務は情報システムに依存しており、システムやネットワークも年々複雑化高度化している。今や、これらシステムネットワークのサービス無くしては業務の遂行は到底不可能である。この状況に対して大規模な自然災害、火災、停電等の事故は引き続き当該システムに対して脅威であり、更にコンピュータウイルスへの感染やより巧妙化しているサイバー攻撃など人為的な脅威も急激に高まっている。
当社ではそれらのリスクに備え事業継続計画(BCP)の策定、セキュリティ対策の向上等、ハード面・ソフト面両方に亘る様々な対策を実施している。しかしながら、想定を超える災害の発生、サイバー攻撃の発生やウイルス等への感染が発生した場合には、システムダウンによる業務の停止、重要なデータの消失、機密情報や個人情報の盗取や漏えい等のインシデントを引き起こす可能性がある。その結果、当社グループの業績や信頼性に対する評判、財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 契約の内容 | 契約年月日 |
日産自動車株式会社 (提出会社) | ルノー | フランス | 資本参加を含む自動車事業全般にわたる提携契約 | 平成11年3月27日 |
日産自動車株式会社 (提出会社) | ダイムラーAG | ドイツ | 資本参加を含む戦略的協力に関する提携契約 | 平成22年4月7日 |
ルノー | フランス |
当社グループは、将来にわたって持続性のある車社会の実現に向けて、環境や安全など様々な分野での研究開発活動を積極的に行っている。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は5,006億円であった。
当社グループの研究開発体制及び活動成果は次のとおりである。
当社グループの日本における研究開発は、日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市)を中心に車両開発を日産車体(株)、(株)日産テクノ、日産ライトトラック(株)、ユニット開発を愛知機械工業(株)、ジヤトコ(株)などの関係各社が担当し、当社と密接な連携のもとで推進している。
米欧地域においては、米国の北米日産会社、メキシコのメキシコ日産自動車会社、英国、ベルギーに拠点を持つ英国日産自動車製造会社、スペインの日産モトール・イベリカ会社において、一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。2013年には米国 シリコンバレーに日産総合研究所シリコンバレーオフィスを開設し、自動運転車両の研究、最先端のICT(Information and Communication Technology)技術開発を行っている。
アジア地域では、中国の日産(中国)投資有限公司、東風汽車集団股份有限公司との合弁会社である東風汽車有限公司、台湾の裕隆汽車製造股份有限公司との合弁会社である裕隆日産汽車股份有限公司、タイのアジア・パシフィック日産自動車会社、インドのルノー日産テクノロジー&ビジネスセンターインディア社及び日産アショックレイランドテクノロジーズ(株)において一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。2014年3月に発売したダットサン「GO」の開発は、インド市場向けに現地で行なった。また、アセアン地域の研究開発拠点であるアジア・パシフィック日産自動車会社では、2013年より新たな設備を追加し、現地の責任範囲を拡大することにより、同地域のお客さまニーズへの対応力を向上させた。
また、南米地域のブラジル日産自動車会社、南アフリカの日産サウスアフリカ会社においても現地生産車の一部開発業務を行っている。
ルノーと当社は、経営資源の効率化を目指し、両社間で行う次世代技術の研究領域における役割分担を再構築した。このプロジェクトにより、共通プラットフォームの採用、共通パワートレイン戦略の策定・実行、そして世界中の実験施設の適正化を加速させている。また、ダイムラーとの戦略的協力関係においては、パワートレインやプラットフォームの共用に取り組んでいる。さらに、ダイムラー、フォードと燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)技術の市販化を加速させるため共通のFCEVシステムの共同開発を行っている。
国内では新型軽自動車「デイズ」「デイズルークス」を発売し、また「スカイライン」「エクストレイル」「ティアナ」のフルモデルチェンジを行った。海外では、北米において「インフィニティQ50」「ローグ」、中国において「エクストレイル」「ティアナ」、欧州において「キャシュカイ」等のフルモデルチェンジを行った。また、新興国向けに復活させたダットサンブランドの新型車ダットサン「GO」をインドで発売した。
環境面においては、新中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2016」を発表し、「低炭素化」「再生可能エネルギーへの転換」「資源の多様化」という3つの重点領域を定めた。同時に、これらを推進するための重点活動として「ゼロ・エミッション車の普及」「低燃費車の拡大」「カーボンフットプリントの最小化」「新たに採掘する天然資源の最小化」「環境マネジメントの推進」という5つの活動テーマを掲げ、技術開発を行っている。
「ゼロ・エミッション車の普及」では、2010年12月より日本と米国で販売を開始した100%電気自動車「日産リーフ」が、4大陸35か国へ販売拡大し、2014年3月には累計販売台数11万台、グローバルEVシェア48%を達成した。加えて、2014年度には100%電気商用車「e-NV200」を2車種目のEVとして欧州及び日本市場で販売開始する。
また、2013年7月には電気自動車から住宅への電力供給システム「LEAF to Home」を応用し、複数の「日産リーフ」を同時に接続できる“Vehicle to Building”の実証実験を日産先進技術開発センター(Nissan Advanced Technology Center:NATC/神奈川県厚木市)にて開始した。“Vehicle to Building”は最大6台の「日産リーフ」を同時に接続し、オフィスビルやマンションなどの建物に電力を供給するシステムで、電力需要がピークになる時間帯に給電することで、ピークカットによる電力コストの削減を可能にする。
一方、「低燃費車の拡大」では、日本、中国、欧州、米国で販売する日産車の燃費改善を進めている。「リチウムイオンバッテリー」「インテリジェントデュアルクラッチコントロールハイブリッドシステム」「エクストロニックCVT(無段変速機)」の3つをコア技術と位置づけ、車室内空間、用途、価格を考慮しながらクルマに最適な低燃費技術を採用し市場に投入する。2013年度は日本市場に投入した「デイズ」(*1)、米国市場に投入した「インフィニティQX60」(*2)、欧州市場に投入した「ノート」(*3)「キャシュカイ」(*4)がそれぞれクラストップとなる燃費を実現した。またインテリジェントデュアルクラッチコントロールハイブリッドシステムについては、従来型に比べ動力性能とエネルギー効率をより向上した後輪駆動(FR)車用システムを、「インフィニティQ50」「スカイライン」に搭載した。さらに、CVTとの組み合わせでコンパクト化を実現した前輪駆動(FF)車用システムを、米国市場で「パスファインダー」及び「インフィニティQX60」に初めて搭載した。
燃費向上のための車両軽量化も推進している。2013年度は、世界初開発の1.2GPa(ギガパスカル)級高成形性超ハイテン材(冷間プレス用超高張力鋼板)を「インフィニティQ50」「スカイライン」に採用し、同モデルは他の取り組みも含め約40kgの軽量化を実現した。
安全面においては、日産車がかかわる交通事故による死亡・重傷者数を2015年までに1995年比で半減させる目標を目指してきたが、日本、米国、英国ではすでに達成しており、現在は、死亡・重傷者数を2020年までにさらに半減させ、究極の目標として、実質ゼロにするという高い目標に向けて取り組んでいる。目標の達成に向けて、事故そのものの削減が重要と考え、「クルマが人を守る」という考え方“セーフティ・シールド”に基づき、人を危険に近づけないようクルマがサポートする技術開発を進めている。「インフィニティQ50」及び「スカイライン」では世界初となる「PFCW(前方衝突予測警報)」を搭載する等、車両の周囲360度の危険からドライバーを守ることを目指した「全方位運転支援システム」を実現した。また、前方車両との衝突回避を支援する「エマージェンシーブレーキ」の採用拡大を進めており、米国市場では「インフィニティQ50」、日本市場では「スカイライン」「セレナ」「ノート」「エクストレイル」、欧州市場では「キャシュカイ」に搭載した。
さらに、交通事故低減に大きな効果が期待できる自動運転技術を搭載した「Autonomous Drive」の試作車を8月に米国で公開し、2020年までに自動運転技術の市販化を目指すことを発表した。「Autonomous Drive」は、車両周囲のカメラ、レーザースキャナー、レーダー等により、周囲の車両、歩行者、信号や交通標識等を認識し、車載コンピューターで判断、モーターやステアリング、ブレーキなどを制御し自動で走行できる機能を備えている。
9月には、自動運転システムの実現に向け、公道実証実験を行うためのナンバープレートを日本で初めて取得した。この車両を用いて、11月には経済産業省が発案・企画した安部首相参加の自動運転技術公道実証に参加し、神奈川県のさがみ縦貫道路で実証実験を開始した。
当社は、環境・安全技術だけでなく、自動車本来の走る楽しさや、快適性・利便性を提供する技術開発にも力を入れている。例えば、ステアリングホイールの動きを電気信号に変換してタイヤを操舵する世界初のシステム「ダイレクトアダプティブステアリング」を「インフィニティQ50」「スカイライン」に搭載したほか、車両後部のカメラで撮影した自車後方の映像を表示する「スマート・ルームミラー」を2014年3月にジュネーブモーターショーで初公開した。
また、車両構造、コンポーネント、部品の大規模共用による量産効果を飛躍的に向上させる技術として2012年に発表した新世代車両設計技術「CMF(コモン・モジュール・ファミリー)」を、米国市場の「ローグ」、日本市場の「エクストレイル」、欧州市場の「キャシュカイ」に初採用した。
当社グループは、日産パワー88達成を目指し、今後も競争力のある商品、将来に向けた先端技術等のための研究開発活動に積極的に取り組んでいく。
*1:「デイズ」29.2km/L(JC08モード)、全高1550mm以上の軽ハイトワゴン
*2:「インフィニティQX60」26mpg(シティ・ハイウェイ走行のコンビモード)、7人乗りthe Ward's 2013 高級大型SUVセグメント
*3:「ノート」4.3L/100km(マニュアルトランスミッション採用モデル、欧州燃費基準)、Bセグメントガソリン車
*4:「キャシュカイ」5.6L/100km(ガソリン車、欧州燃費基準)、3.8L/100km(ディーゼルガソリン車、同基準)、ガソリン車・ディーゼルガソリン車のクロスオーバーSUVセグメント
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析したものである。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成26年6月26日)現在において当社グループが判断したものである。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積もりを必要とする。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる事項」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えている。
当社グループは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上している。将来、顧客の財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性がある。
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、過去の実績を基礎に翌期以降保証期間内の費用見積り額を計上している。当社グループは、製品の安全を最優先課題として、開発・製造から販売サービスまで最善の努力を傾けているが、実際の製品の不具合等により発生した保証費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性がある。
当社グループの従業員の退職給付に備えるための退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性がある。
(販売状況)
当連結会計年度のグローバル全体需要は前年度比4.8%増の8,311万台となった。当社グループのグローバル販売台数は、全体需要の伸びを上回る5.6%増の518万8千台に達し、グローバル市場占有率は6.2%となった。
日本国内の全体需要は前年度比9.2%増の569万台となった。当社グループの販売台数は全体需要の伸びを上回る前年度比11.1%増の71万9千台を販売し、市場占有率は12.6%となった。デイズ・シリーズとコモン・モジュール・ファミリー(CMF)採用モデルの第一弾 新型「エクストレイル」が大きく貢献した。
会計年度が暦年ベースの中国で、当社グループは市場の拡大を上回る成長を果たした。中国の全体需要は前年度比14.0%増の2,075万台となった。当社グループの販売台数は前年度比7.2%増の126万6千台に達した。尚、前連結会計年度の台数から東風汽車有限公司の中・重型商用車関連事業の一部を譲渡した影響を考慮すると当社グループの販売台数は前年度比17.2%増となった。上期は諸島問題の影響を受けたものの、「キャシュカイ」と新型「シルフィ」が、「ヴェヌーシア」「インフィニティ」ブランドの新型車とともに、販売の増加に貢献している。
北米でも、飛躍的に販売を伸ばした。米国の全体需要は前年度比6.4%増の1,565万台となったが、当社グループの販売台数は前年度比13.0%増の128万5千台に達した。好調な新型「ローグ」と「アルティマ」が大きく貢献している。
カナダの全体需要は前年度比4.6%増の170万台となった。当社グループの販売台数は全体需要の伸びを上回る前年度比20.9%増の9万6千台となった。新型「ローグ」が販売の勢いに寄与している。
メキシコでは、引き続きトップブランドの地位を維持しており、市場占有率は24.9%、販売台数は26万5千台を記録した。メキシコの販売ランキングトップテンの内、5車種は日産車で、メキシコ日産はCSI(顧客満足度調査)で1位を獲得している。
市場回復の勢いが増している、ロシアを含む欧州では、全体需要は前年度比1.8%増の1,749万台となったが、当社グループの販売台数は前年度比2.4%増の67万6千台となり、市場占有率は3.9%を維持している。
日本、中国、北米、そして欧州で販売が増加する一方、不利な為替変動、政策変更、そして財政の影響を受けたアジア・オセアニアと中南米を中心としたその他の市場では、販売が不安定であった。
その他市場の当社グループの販売台数は前年度比8.5%減の87万9千台に留まった。アジアとオセアニアでは前年度比17.8%減の36万3千台となり、中南米では前年度比16.1%減の18万6千台となった。一方、中東の販売台数は前年度比22.5%増の22万6千台となり、その他市場での台数減の一部を補った。
しかしながら、新興市場では、成功の兆しが見えはじめている。インドでは、先日、新型「ダットサンGO」を発売し、新型「テラノ」も高く評価されている。
当社のグローバル販売は、特定の新興国市場で不安定な状況にあるものの、全体的にはポジティブな結果となった。
(業績)
① 売上高
連結売上高は前連結会計年度に対し1兆7,452億円増加し、10兆4,825億円となった。主な増収要因は、円高是正と販売台数増である。
② 営業利益
連結営業利益は4,984億円となり、前連結会計年度の営業利益に対し596億円の増益となった。
営業利益の増減要因は、主として米ドルに対する円高修正による為替変動、購買コスト削減、台数増加による増益を、販売費、商品性向上・品質関連コストの増加による減益が一部相殺したことによるものである。
③ 営業外損益
連結営業外損益は288億円の収益となり、前連結会計年度の656億円の収益に対し、368億円悪化した。これは主に、受取利息が58億円増加したものの、前連結会計年度の為替差益191億円が、当連結会計年度では為替差損131億円へと悪化したこと、デリバティブ損失が増加したことによるものである。
④ 特別損益
連結特別損益は22億円の収益となり、前連結会計年度の171億円の損失に対し、193億円改善した。これは主に、退職給付信託設定益の計上などにより、特別利益が118億円増加し、減損損失の減少などにより、特別損失が75億円改善したことによるものである。
⑤ 法人税等
法人税等は1,151億円となり、前連結会計年度に比べ92億円の減少となった。
⑥ 少数株主利益
少数株主利益は253億円となり、前連結会計年度に比べ34億円の増加となった。
⑦ 当期純利益
連結当期純利益は3,890億円となり、前連結会計年度の3,411億円から479億円の増加となった。
⑧ 自動車事業実質有利子負債
当連結会計年度末現在の自動車事業における手元資金は有利子負債額を上回り、1兆159億円のキャッシュ・ポジションとなった。
⑨ 自動車事業フリーキャッシュ・フロー
当連結会計年度における自動車事業フリーキャッシュ・フローは1,997億円のプラスとなった。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により7,281億円増加、投資活動により1兆804億円減少、財務活動により3,969億円増加した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により749億円増加し、連結範囲の変更に伴い13億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し1,208億円(17.0%)増加の8,327億円となった。
営業活動
営業活動によって生み出された資金は7,281億円となり、前連結会計年度の4,123億円の収入に対し3,158億円増加した。これは主として、税金等調整前当期純利益の増加に加え仕入債務が減少から増加に転じたことによるものである。
投資活動
投資活動による支出は1兆804億円となり、前連結会計年度の8,380億円の支出に対し2,424億円増加した。これは主として、リース車両の取得による支出の増加によるものである。
財務活動
財務活動によって生み出された資金は3,969億円となり、前連結会計年度の4,338億円の収入に対し369億円減少となった。これは主として、配当金の支払額が増加したことによるものである。
当社グループは、当社財務部にグローバルトレジャラーの機能を持たせ、全世界のグループ会社の財務活動を一括して管理している。またグローバル・キャッシュ・マネジメントにより資金効率を最大限に高める活動を行っている。
当社グループは、研究開発活動、設備投資及び金融事業に投資するために、適切な資金確保を行い、最適な流動性を保持し、健全なバランスシートを維持することを財務方針としている。
金融市場の急激な環境変化などにより、資金の流動性には注視が必要であるが、当社グループは、現金及び現金同等物に加え、世界の主要銀行とコミットメントライン契約を締結しており、必要とされる充分な流動性を確保していると考えている。
当社グループによる無担保資金調達に係わるコスト及びその発行の可否は、一般に当社グループに関する信用格付けによっている。現在、当社グループの信用格付けは投資適格のレベルとなっているが、これらの格付けは当社グループの債券の売買・保有を推奨するものではない。