(1)業績
①当連結会計年度の連結業績の概況
世界経済は、米国経済の回復や欧州経済の持ち直しへの動き等を背景に、先進国を中心に緩やかに回復している一方、新興国経済は国内需要の弱さ等から、以前のような大幅な伸びは認められませんでした。当面米国経済を牽引役とし、先進国が新興国を下支えする形で総体的に緩やかな成長が続くと見込まれますが、米国の金融緩和縮小の影響や欧州債務問題の今後の展開、並びに地政学的緊張の高まり等が景気下振れのリスク要因として懸念されます。
国内経済は、各種財政・金融政策の効果が下支えし、また消費税率引上げに伴う駆け込み需要による個人消費の強まりから緩やかに回復しました。今後も雇用情勢や所得環境の改善、拡大傾向にある公共投資を背景に、引き続き回復基調が続くと予想されますが、消費税率引上げに伴う駆け込み需要に対する反動の影響や、海外経済の下振れによる国内経済への下押しリスクが懸念されます。
このような経営環境の中で、当連結会計年度における当社グループの受注高は、一部のセグメントで減少したものの、モーターサイクル&エンジン事業、精密機械事業、船舶海洋事業などを中心に増加し、全体では増加となりました。売上高については、プラント・環境事業、船舶海洋事業などで減収となったものの、モーターサイクル&エンジン事業や航空宇宙事業などが増収となったことにより、全体では増収となりました。営業利益については、モーターサイクル&エンジン事業、航空宇宙事業、車両事業などが増益となり、大幅な増益となりました。
この結果、当社グループの連結受注高は前期比858億円増の1兆4,554億円、連結売上高は前期比966億円増収の1兆3,854億円、営業利益は前期比302億円増益の723億円、経常利益は為替差損益の悪化などがあったものの、営業利益の増加により前期比212億円増益の606億円、当期純利益は前期比77億円増益の386億円となりました。
②当連結会計年度のセグメント別業績概要
船舶海洋事業
連結受注高は、液化ガス運搬船(LNG運搬船、LPG運搬船)や大型オフショア作業船など9隻を受注し、前期に比べ121億円増の1,178億円となりました。
連結売上高は、液化ガス運搬船の建造量が増加した一方、ばら積み船などの建造量が減少し、前期に比べ94億円減収の808億円となりました。
営業損益は、受注工事損失引当金の新規繰入や鋼材価格の上昇などにより、前期に比べ61億円悪化し20億円の営業損失となりました。
車両事業
連結受注高は、ロングアイランド鉄道・メトロノース鉄道向け通勤電車、ワシントン首都圏交通局向け地下鉄電車及び札幌市交通局向け地下鉄電車などを受注した結果、前期に比べ86億円増の1,330億円となりました。
連結売上高は、北米やシンガポールなどの海外向け売上が増加したことなどにより、前期に比べ179億円増収の1,479億円となりました。
営業利益は、コスト削減や円安の影響により、前期に比べ53億円増益の75億円となりました。
航空宇宙事業
連結受注高は、ボーイング社向け787分担製造品の受注が増加し、前期に比べ28億円増の2,863億円となりました。
連結売上高は、ボーイング社向け777・787分担製造品や防衛省向けの売上が増加したことなどにより、前期に比べ415億円増収の2,807億円となりました。
営業利益は、売上の増加や円安の影響により、前期に比べ114億円増の262億円と大幅な増益になりました。
ガスタービン・機械事業
連結受注高は、前期に比べ335億円減の2,220億円となりましたが、航空エンジン分担製造品の経理処理変更による減少分568億円を除外すると、実質的には前期に比べ233億円の増加になります。主な内訳は、ガスエンジンや航空エンジン分担製造品の増加などです。
連結売上高は、前期に比べ177億円減収の1,892億円となりましたが、航空エンジン分担製造品の経理処理変更による減少分374億円を除外すると、実質的には前期に比べ197億円の増加になります。なお、主な内訳は、舶用ガスタービン及び舶用ディーゼル主機の減少、航空エンジン分担製造品及びガスエンジンの増加などです。
営業利益は、航空エンジン分担製造品の経理処理変更による減少を除外した実質的な売上高が増加したことなどにより、前期に比べ34億円増益の104億円となりました。
プラント・環境事業
連結受注高は、台湾中油股份有限公司(CPC)台中港LNG受入貯蔵設備増設プロジェクト向けLNGタンクなどを受注したものの、前期に比べ96億円減の1,039億円となりました。
連結売上高は、環境装置案件が増加したものの、搬送設備や海外向け大型案件が減少したことなどにより、前期に比べ119億円減収の1,038億円となりました。
営業利益は、売上の減少や利益率の低下などにより、前期に比べ34億円減益の63億円となりました。
モーターサイクル&エンジン事業
連結売上高は、米国向け、インドネシアやタイを中心とする新興国向け二輪車の増加などにより、前期に比べ703億円増収の3,222億円となりました。
営業利益は、売上の増加及び収益性の向上などにより、前期に比べ137億円増の161億円と大幅な増益となりました。
精密機械事業
連結受注高は、半導体製造装置向けクリーンロボットや自動車産業向けロボットの増加などにより、前期に比べ175億円増の1,272億円となりました。
連結売上高は、半導体製造装置向けクリーンロボットや自動車産業向けロボットが増加したものの、油圧機器の減少などにより、前期に比べ71億円減収の1,232億円となりました。
営業利益は、半導体製造装置向けクリーンロボットや自動車産業向けロボットの売上増加、円安の影響などにより、前期に比べ19億円増益の104億円となりました。
その他事業
連結売上高は、前期比130億円増収の1,372億円となりました。
営業利益は、前期比32億円増益の44億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は前期比84億円増の454億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は前期比1,236億円増の1,517億円となりました。収入の主な内訳は、減価償却費378億円、前受金の増加額259億円、仕入債務の増加額200億円、売上債権の減少額177億円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額183億円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前期比36億円減の775億円となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、前期比1,201億円増の625億円でした。これは主に借入金の返済によるものです。
(会計方針の変更)に記載のとおり、FIAの取扱いを当連結会計年度より変更している。その結果、従来の方法に比べてガスタービン・機械セグメントの受注高が56,864百万円、売上高が37,499百万円及び受注残高が277,671百万円それぞれ減少している。
また、前連結会計年度末の受注残高をFIA調整額258,306百万円控除後の237,410百万円を使用して、受注残高の前期比を計算している。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
船舶海洋 |
77,040 |
△3.6 |
車両 |
121,025 |
0.0 |
航空宇宙 |
224,953 |
4.3 |
ガスタービン・機械 |
187,770 |
△12.1 |
プラント・環境 |
96,202 |
0.8 |
モーターサイクル&エンジン |
241,626 |
23.4 |
精密機械 |
107,712 |
△5.8 |
その他 |
152,792 |
5.9 |
合計 |
1,209,124 |
2.4 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれていない。
2 金額は、生産高(製造原価)によっている。
(2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
船舶海洋 |
117,872 |
11.4 |
161,134 |
34.1 |
車両 |
133,049 |
6.9 |
364,654 |
1.2 |
航空宇宙 |
286,383 |
1.0 |
450,581 |
4.1 |
ガスタービン・機械 |
222,013 |
△13.1 |
295,100 |
24.2 |
プラント・環境 |
103,912 |
△8.5 |
170,737 |
△0.4 |
モーターサイクル&エンジン |
322,248 |
27.9 |
- |
- |
精密機械 |
127,297 |
16.0 |
25,821 |
19.7 |
その他 |
142,684 |
13.9 |
32,234 |
20.2 |
合計 |
1,455,462 |
6.2 |
1,500,264 |
9.5 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれていない。
2 モーターサイクル&エンジン事業については、主として見込み生産を行っていることから、受注高について売上高と同額とし、受注残高を表示していない。
3 セグメント間の取引については、受注高及び受注残高から相殺消去している。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
船舶海洋 |
80,863 |
△10.4 |
車両 |
147,951 |
13.8 |
航空宇宙 |
280,737 |
17.3 |
ガスタービン・機械 |
189,241 |
△8.5 |
プラント・環境 |
103,898 |
△10.2 |
モーターサイクル&エンジン |
322,248 |
27.9 |
精密機械 |
123,276 |
△5.5 |
その他 |
137,264 |
10.4 |
合計 |
1,385,482 |
7.4 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれていない。
2 販売高は、外部顧客に対する売上高である。
3 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
防衛省 |
193,685 |
15.0 |
197,640 |
14.2 |
[会社の経営の基本方針]
当社グループは、カワサキグループ・ミッションステートメントにおいて、「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」をグループミッションとして掲げており、広汎な領域における高度な総合技術力によって、地球環境との調和を図りながら、豊かで美しい未来社会の形成に向けて、新たな価値を創造することを使命としています。このグループミッションをより具体化したものとして「Kawasaki 事業ビジョン 2020」(「2020年ビジョン」)を定め、『陸・海・空の輸送システム』、『エネルギー環境』、『産業機器』を主な事業分野とし、革新的・先進的な技術力により世界の人々の多様な要望に応える製品・サービスを素早く提供し、顧客・社会の可能性を切り開く企業を目指しています。
また、当社グループは、社会の基幹インフラを担う企業として先行的な設備投資や研究開発を継続的に行いながら事業の成果を全てのステークホルダーに還元するサイクルを維持・強化していくため、内部留保の充実に配慮しつつ、業績に応じた配当を行うとともに、企業価値の向上に努め株主・投資家の期待に応えていくことを基本方針としています。
[目標とする経営指標]
目標とする経営指標は、企業価値の向上を最終的な目的として、利益目標(営業利益、経常利益、当期利益)及び資本効率を測る指標である投下資本利益率(ROIC =EBIT(税引前利益 + 支払利息)÷ 投下資本 )を採用しています。
ROICの評価に際しては、加重平均資本コスト(WACC)を上回ることを基準とし、将来に亘る企業価値の増大を目指すこととしています。また、ROICは、当社グループの事業を分類した最小単位(ビジネスユニット、「BU」)毎に適用し、事業ポートフォリオの最適化を図っていきます。
[中長期的な会社の経営戦略]
当社グループは、昨年4月に2013年度から2015年度を期間とする新たな中期経営計画(「中計2013」)を公表しました。「中計2013」では、2015年度に売上高1兆6,000億円、営業利益900億円、経常利益850億円、ROIC11%以上(税前)を経営目標に掲げ、「事業基盤の拡大」、「将来収益基盤の整備」、「強固な経営体質の構築」の3つの施策を重点的に取り組んでいます。
「2020年ビジョン」については、経営原則に定める“質主量従”の原点に立ち返り、売上規模の拡大を優先するのではなく、利益の拡大及び投資効率の向上に焦点を絞り、その実現に努めていきます。
なお、当社グループは昨年6月の新体制発足に伴い、企業価値の向上を経営戦略の中心に位置づけ、ROIC経営の徹底を図ることにしました。企業価値とは当社グループが将来に亘って生み出す収益の現在価値の総和であり、企業価値の向上に際しては、中長期的に成長が見込める事業分野に経営資源を集中させながら、グループ全体として投下資本コストを上回る収益を持続的に確保していくことを重視していきます。
「中計2013」の中間年度にあたる2014年度については、中計目標の達成をより確実なものとするため、以下の課題に全力を挙げて取り組んでいきます。
[会社の対処すべき課題]
1.企業価値の向上
当社グループは、企業価値の向上に向けた具体的な手段として、事業セグメントの現状と将来の成長性をBU単位で“見える化”し、ROICに基づく財務的課題とコア・コンピタンス(競争優位性)を強化するための課題をBU毎に解決していく“ROIC経営”を導入しました。2014年度の経営計画の策定に際しては、すべてのBUについて財務的課題に加えて事業環境、成長性、コア・コンピタンスなどを総合勘案の上、将来の成長に向けてクリアすべきハードルや解決すべき課題を明らかにしています。特にROICの改善を要するBUに対しては、総合経営のメリットを最大限に活かして全社的な支援を行い、“無理なく、リスクなく、遅滞なく”企業価値に貢献するBUへの構造改善を図っていきます。
2.シナジー効果の追求
BUのコア・コンピタンスの強化に際しては、BU単独での取り組みに加え、BU或いはカンパニーの垣根を越えたシナジー効果を追求することにより、さらに相互の競争優位性を高めることが出来ると考えています。そのため中計目標に掲げる新製品・新事業の早期実現について、複数のBUのコア・コンピタンスを組織の壁を越えて組み合わせていくための仕組みづくりが新たな課題になっています。また、全社レベルのシナジー効果を高めていくために、本社の技術開発本部やマーケティング本部が中心となった横串活動を強化していくとともに、当社グループの技術力を支えるエンジニアリング“人財”の確保に努め、その育成・強化に取り組みます。
3.投資余力の創出
2013年度末の有利子負債は目標とする水準まで削減することが出来ましたが、今後とも各BUのキャッシュ・コンバージョン・サイクルに基づく具体的な取り組み課題を関連部門に展開することによってフリーキャッシュ・フローの改善に努め、2015年度に向けてさらに有利子負債の削減に取り組み、ROIC目標の達成に努めていきます。有利子負債の削減に取り組む最大の目的は、将来の成長に向けた投資余力を創出することにあり、そのため、当年度についても投資効率に留意しながら必要となる“人財”、設備、研究開発に対する投資を継続していく方針に変わりはありません。
4.リスクマネジメントの強化
当社グループは、大型プロジェクトや新規開発案件への参画、大規模な設備投資・研究開発に取り組む場合のリスクマネジメントの強化に努めています。具体的には、事前に想定される様々なリスクの把握とリスクを最小限に抑える施策を講ずるとともに、受注案件については顧客が求める多様な仕様に応えるためのフロントローディングなどを強化しています。当社グループが成長戦略を描く際には、大規模なリスク案件に対する事前のマネジメントの徹底を図り、堅実な経営判断に努めることを重視しています。
また、当社グループの収益力に対する最大のリスクのひとつとして為替変動が挙げられます。為替変動リスクに対するマネジメントの基本は、相場変動に耐えうるコア・コンピタンスの強化、グローバル生産体制の強化、コスト削減の徹底といった事業活動による対応にあると考えており、常日頃より為替耐性力の強化に努めています。
5.コーポレートガバナンス体制の強化
当社グループはカンパニー制を採用しており、カンパニーが権限と責任を持って事業運営に取り組んできた結果、当社グループの利益水準は確実に向上してきており、今後もカンパニー制のメリットを最大限追求していく方針に変わりはありません。しかし、ここ数年有利子負債が増加傾向にあり、全社レベルで経営資源を統制することが喫緊の課題となっていることも事実です。経営資源を全社的に統制するためには、本社とカンパニーの組織のあり方を含め、当社グループとして相応しいコーポレートガバナンス体制のあり方をさらに追求していく必要があります。
経営の意思決定に際しては、社外取締役や社外監査役を含め、“自由闊達”な議論を尊重し、その上で決定した方針に従って全員が粛々と行動する“爽やかなビジネス集団”を目指していくとともに、資本市場との対話に積極的に取り組み、株主・投資家の皆さまに対する経営の透明性・客観性を高めるべく不断の努力を行なっていきます。
6.CSR活動の充実
CSR全般では、テーマごとに「目指す姿」を定めて取り組むほか、有識者ダイアログの開催や社外評価のフィードバック等を通じて社外の意見を積極的に取り入れる活動も進めています。コンプライアンスについては、企業倫理に関する規則を整備し、階層別教育やeラーニングの実施に加え、各種ガイドブックの配布などを通じて、遵守すべき各種法令についての周知徹底を図っており、今後も一層の充実に取り組んでいきます。環境経営の分野では、「第8次環境経営活動基本計画」に基づき、環境経営の強化に取り組むほか、「グリーン製品促進活動」「エネルギーの見える化」などの施策を進めています。さらに、育児支援策をはじめとしたワークライフバランスの向上や、“人財”のグローバル化、各事業拠点におけるバリアフリー化、特例子会社の設立による障がい者雇用の一層の強化などのダイバーシティを尊重した職場環境の整備にも努めています。今後は、事業経営とCSR活動の一層の連携を深め、海外を含めた当社グループ全体での取り組みを推進するとともに、取引先とのCSRの協働もこれまで以上に進めていきます。
なお、個別事業における課題は以下のとおりです。
① 船舶海洋事業
液化ガス運搬船(LNG運搬船、LPG運搬船)の受注拡大、オフショア船・LNG燃料推進船など新分野の事業化、中国事業の伸長・ブラジル事業の立ち上げ、艦艇事業の基盤強化
② 車両事業
最先端の技術開発・新型車両など、顧客ニーズに適合した技術・製品による競争力強化、海外案件の増加に適応したプロジェクトマネジメント力強化、海外生産・海外調達及びパートナーシップの活用などグローバルな最適事業遂行体制の構築
③ 航空宇宙事業
P-1固定翼哨戒機・C-2輸送機の修理・部品供給を含めた量産体制の確立及び派生型機への展開、ボーイング787分担製造品の増産対応及び777-Xを含む派生型機への展開
④ ガスタービン・機械事業
高効率の産業用ガスタービン・ガスエンジンをベースとしたエネルギーソリューション事業の展開、国内分散型電源需要への対応や海外市場への展開、民間航空機用ジェットエンジンの新機種開発の推進及び生産の効率化
⑤ プラント・環境事業
エネルギー・環境分野における既存製品の高度化による競争力強化と新製品・新技術の早期事業化、海外パートナーシップの強化による新興国・資源国を中心とした海外事業の拡大、並びに人財育成によるエンジニアリング力の向上
⑥ モーターサイクル&エンジン事業
プレミアムブランドの確立、グローバルレベルでの最適生産と海外調達の拡大によるコスト競争力強化、新興国における既進出市場(東南アジア・ブラジル等)での拡販と新規市場開拓、環境対応のための先行技術開発
⑦ 精密機械事業
油圧機器のショベル分野における高シェアの維持とショベル以外の建設機械分野向けへのグローバル市場での展開、ロボット分野におけるコスト競争力の強化と新興国市場への拡販
⑧ その他事業
建設機械部門について、日立建機株式会社との事業提携による開発力の強化、世界シェア及び収益の拡大
(注)上記の将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、設備の状況、経理の状況のうち、当社グループの経営成績、株価及び財務状況等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには下記のようなものがあります。なお、記載事項のうち将来に関する事項は当連結会計年度末(平成26年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、グローバルかつ持続的な事業運営を可能とする全社的リスク管理の取組みに必要な体制を整え、当社グループにおける重要リスクを以下のとおり認識した上で、リスク発生の回避及びリスク顕在化時の影響の極小化に努めています。
(1)政治・経済情勢
当社グループは日本国内はもとより、米州・アジア・欧州をはじめ世界各地で事業展開をしており、それぞれの地域における政治・経済情勢の影響を受けます。例えば個人の消費動向はモーターサイクル&エンジン事業の販売に影響し、民間の設備投資や公共投資の動向は、ガスタービン・機械事業、プラント・環境事業等の受注に影響します。また、海運市況や航空旅客需要は船舶海洋事業、航空宇宙事業、ガスタービン・機械事業の受注・業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
当連結会計年度における当社グループの連結売上高に占める海外向け売上高は56%であり、米国ドル、ユーロ等の外貨建取引が多く存在します。外貨建取引については、総原価に占める外貨建コストの比率を高める等の為替変動リスクの軽減を図るとともに、為替動向を考慮しながら機動的な為替予約等のヘッジを行っていますが、製造拠点の多くが日本国内に立地しているため、海外取引に関わるリスクを負っています。
(3)個別受注プロジェクト管理
当社グループは、お客様との個別契約に基づき受注する案件が多く、請負金額が大きい工事等の重要な案件については、受注契約前に本社においてリスク分析やリスクへの対応等の十分な社内検討を行っています。しかし、当初想定できなかった政治・経済情勢の変動、設計変更や工程の混乱等によって、当初見積り以上にコストが膨らみ、当該案件の損益悪化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)カントリーリスク
当社グループは製品・サービスの輸出だけでなく、海外での現地生産やプラント等の建設工事を行っています。製品仕向地や生産・工事を行う国や地域での紛争・政情不安、貿易制裁、宗教・文化の相違、特殊な労使関係等により、円滑な業務遂行が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)大規模災害
当社グループは台風、地震、洪水、パンデミック等の各種大規模災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、事業継続計画の策定、緊急連絡体制の整備、定期的な点検や訓練の実施等を進めています。しかしこのような災害による人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等により、当社グループの事業活動(特に工場における生産活動)に影響を与える可能性があります。また、災害による損害が損害保険等で十分にカバーされるという保証はありません。
(6)情報の消失・漏えい
当社グループは業務を通じて取引先の機密情報や設計・技術等、事業活動に係る機密情報を保有しています。これらの情報を保護するため、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築等を行い、情報漏えい防止に努めています。しかし、コンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏えいした場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の確保
各職場において長年培ってきた優秀な人材の多くが退職時期を迎え、当社グループの事業活動や競争力の維持が阻害される可能性があります。毎年、積極的な採用活動を行い優秀な人材の確保に努めるとともに、技術・技能の伝承や人材の育成に努めていますが、十分な人材が確保できない場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(8)資金調達
当社グループは将来見通しを含めた金利動向等を勘案して資金調達を実施し、低金利・安定資金の確保に努めていますが、金利の変動をはじめとする金融市場の動向は、将来の当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)アライアンス
当社グループは国内外の幅広い事業分野において、他社と業務提携、合弁事業等のアライアンス関係を築いています。これらの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分に検討を行っていますが、市場環境の変化、事業競争力の低下、相互の経営戦略の見直し等を理由として、アライアンス等が解消又は変更された場合、あるいは目論見どおり実現できない場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(10)法令・規制
当社グループは事業活動を行う上で、各国の各種法令や規制の遵守に努めています。しかし、各種法令や規制の変更等への対応が適切にできない場合には、法令違反による過料・課徴金による損失や業務停止命令による受注機会損失の可能性がある他、これに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)環境規制
当社グループは製造設備を多数保有しており、製造工程において環境規制の対象となる有害物質を使用している事業所もあります。これらの有害物質の管理については十分注意し流出防止に努めており、外部に流出した場合でもその影響を最小限に食い止めるための対策を講じています。ただし、有害物質が流出するような事態になれば、社会的評価の低下を招くとともに工場の操業停止や損害賠償等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)品質管理
当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や製品安全、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めています。しかし、海外を含む外注品の品質、人的不足や外注依存による技術・技能の空洞化等の懸念から製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールが発生し、損害賠償や訴訟費用等により多額のコストが発生することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社が支払う損害賠償額が製造物責任賠償保険(PL保険)でカバーされる保証もありません。
(13)資材調達
当社グループは、原材料・部品・機器等を国内外の多くの取引先から調達しています。安定した調達を行うため、原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の品質管理を徹底しながら特定の取引先への過度の集中を避け複数化を図っています。しかし、取引先が限定される特殊性のある原材料や部品の調達が滞った場合、当社グループの生産活動に支障をきたす可能性があります。また、原材料・部品等の価格高騰は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)研究開発
当社グループの研究開発活動に係る情報は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載しています。これらの研究開発は、多額の費用と研究期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず実用化の機会を喪失したり、市場ニーズとの不整合が生じ実用化に至らなかったり、実用化しても十分な成果が得られず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)知的財産
当社グループは、保有する特許権や実用新案権等の知的財産の適切な保全に努めています。しかし、保有する知的財産が多岐にわたるため、第三者による知的財産の侵害を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品や技術が他社等の知的財産を侵害し、損害賠償等を請求され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)関係会社
当社グループは、当連結会計年度末において多数の関係会社を有しています。これら関係会社は当社と相互に密接な協力体制を築く一方、独立会社として自主的な経営を行っているため、その事業の動向や結果が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)技術援助契約(導入)
契約会社名 |
契約の相手方・国籍 |
契約の対象品目 |
対価 |
契約の始期・終期 |
川崎重工業㈱ (当社)
|
Lockheed Martin Corporation (米国) |
P-3C 対潜哨戒機 |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ (3)技術資料代 (4)技術者訓練費 |
昭和53年6月30日 (平成31年8月31日まで) |
Boeing Management Company (米国) |
CH-47 ヘリコプタ |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ (3)技術資料代 (4)技術者訓練費 (5)技術者招へい費 |
昭和60年1月14日 (平成31年7月22日まで) |
|
AgustaWestland |
EH-101 ヘリコプタ |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ (3)技術資料代 |
平成16年9月12日 (平成28年9月11日まで) |
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Honeywell (米国) |
T55-L- 712、712 Aターボシャフトエンジン |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ (3)技術資料代 (4)アニュアルフィー |
昭和59年12月12日 (平成35年5月31日まで) |
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ThyssenKrupp Marine Systems AB (スウェーデン)(注) |
スターリング エンジン |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ (3)技術指導料 |
平成2年9月30日 (平成52年12月31日まで) |
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MAN Diesel & Turbo (デンマーク) |
2サイクル陸舶用ディーゼル エンジン |
(1)ロイヤルティ (2)技術資料代 (3)技術者招へい費 (4)技術者訓練費 |
昭和56年5月18日 (平成33年12月31日まで) |
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Turbomeca S.A. (フランス) |
RTM322 ターボシャフトエンジン |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ |
平成15年12月26日 (平成28年12月31日まで) |
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Rolls-Royce Power (英国) |
舶用ガスタービンモジュール |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ (3)技術者招へい費 |
平成3年8月28日 (平成28年11月30日まで) |
(注)ThyssenKrupp Marine Systems AB は、Kockums AB より平成25年6月に社名変更している。
(2)技術援助契約(供与)
契約会社名 |
契約の相手方・国籍 |
契約の対象品目 |
対価 |
契約の始期・終期 |
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TECNICAS REUNIDAS, S.A. (スペイン) |
LNGタンク |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ (3)技術者訓練費 (4) 技術者派遣費 |
平成18年5月3日 (平成28年5月2日まで) |
川崎重工業㈱ (当社)
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南通中遠川崎船舶工程有限公司 (中国) (注)1 |
13,360TEU コンテナ船 |
(1)イニシャルペイメント (2)ロイヤルティ |
平成24年3月27日 (8隻目の引渡し日まで) |
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ENSEADA INDUSTRIA NAVAL S.A. (ブラジル) (注)1,2 |
造船所の建設、ドリルシップ建造に関する技術 |
(1) イニシャルペイメント (2) ロイヤルティ (3) 技術者訓練費 (4) 技術者派遣費
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平成24年5月4日 (平成29年5月3日まで) |
(注)1 南通中遠川崎船舶工程有限公司及びENSEADA INDUSTRIA NAVAL S.A.は、持分法適用関連会社である。
2 ENSEADA INDUSTRIA NAVAL S.A.は、ESTALEIRO ENSEADA DO PARAGUACU S.A.より平成26年1月に社名変更している。
当連結会計年度は、「中計2013」の達成に向け、現有事業のコア・コンピタンス強化を目指し、事業部門と本社技術開発本部とが一体となって、「新製品・新事業」の開発に取り組みました。また、新しい顧客価値の創造を目指し、次世代の「新製品・新事業」を産み出すための基盤技術や、新たなコア技術の育成・強化にも力を入れています。
当連結会計年度における研究開発費は403億円であり、各事業セグメント別の主な研究開発の内容及び費用は以下のとおりです。
船舶海洋事業
GOOD戦略※を核とする事業戦略に基づき、燃料費の削減や海上における環境規制に対応した、主に液化天然ガス(LNG)を燃料として利用可能な、二元燃料エンジンを搭載した船舶の開発を行っています。また、洋上における石油・ガス資源開発に向けた大型オフショア作業船などの開発や、水素市場の拡大に備え、世界初の液化水素運搬船の開発にも注力しています。
当事業に係る研究開発費は7億円です。
(※ GOOD戦略:ガス船/ガス燃料船(Gas)、海洋(Offshore)、海外(Overseas)、艦艇(Defense))
車両事業
エネルギーコスト削減や走行安全性・乗り心地向上といった鉄道事業者の要求を満たす、世界で初めて台車主構造にCFRPを採用した鉄道車両用台車「efWING※」を開発しました。また、北米・アジアを中心に高まる高速鉄道・都市間鉄道の需要に対応した、中・高速車両の開発を進めています。さらに、鉄道システムの省エネや非常時走行を実現する地上蓄電設備とそれを構成する、大容量ニッケル水素電池システム「ギガセル」の開発にも注力しています。
当事業に係る研究開発費は10億円です。
(※ efWING:environmentally friendly Weight-Saving Innovative New Generation Truck)
航空宇宙事業
次期航空機事業への展開を目指し、固定翼哨戒機「P-1」/次期輸送機「XC-2」の派生型、回転翼機の近代化・派生型、及びロケット衛星フェアリングなどの宇宙機器・システムなどの研究開発を実施するとともに、航空機開発に不可欠な基盤技術の強化を図りました。また、将来を見据え、民間航空機の製造コスト低減を目指し、新材料や革新的な生産・組立技術に関する研究開発にも注力しています。
当事業に係る研究開発費は34億円です。
ガスタービン・機械事業
ガスタービン部門では、天然ガス燃料の消費量低減やCO2排出量削減のため、工場などで発生する副生水素ガスを燃料として発電することのできるガスタービン燃焼器を開発しました。また、民間航空機に求められる大容量の電源装置として、従来の油圧式よりも高効率・高耐久性を誇る独自のトラクションドライブ方式の航空機向け発電システムの開発にも取り組んでいます。
機械部門は、世界最高効率を誇る発電用ガスエンジンをベースとした舶用ガスエンジン「L30KG」を開発し、ノルウェー船級協会より国産のガスエンジンで初めてエンジン本体の型式承認を得ました。また、オイル&ガス関連では、オフショア市場に最適な舶用推進システムの開発を進めているほか、舶用ディーゼルの環境・省エネ技術開発にも注力しています。
当事業に係る研究開発費は29億円です。
プラント・環境事業
エネルギー・環境分野において、国際的なガスエネルギー依存の高まりに伴い活発化する、資源開発の動きに対応するため、LNGタンク設備の工期短縮、及びFLNG※向けボイラ設備の効率的な生産技術の開発に取り組んでいます。また、資源有効利用が可能な石油残渣焚きボイラや、燃料電池自動車の普及を後押しする水素インフラ設備として、液化水素の大型貯蔵タンク、長距離輸送用コンテナ、高圧水素ガストレーラなどの開発も進めています。
さらに、新規分野として、非食糧である稲わらを原料とするバイオエタノール製造技術を確立するとともに、将来拡大が期待される再生医療市場を見据え、タイで細胞自動培養システムの実証試験を実施し、自動培養システムにおける世界初の再生・細胞医療の薬事承認取得を目指しています。
当事業に係る研究開発費は13億円です。
(※ FLNG:Floating LNG/天然ガス洋上液化設備)
モーターサイクル&エンジン事業
先進国におけるさらなるブランド力の強化を目指し、斬新なスタイリングとエキサイティングな運動性能を実現したネイキッド・スポーツモデル「Z1000」や、スーパースポーツモデルの魅力と実用的な機能を兼ね備えた「Ninja1000」などの新機種開発を行いました。さらに、国内向けには「エストレヤ」「Ninja400」の機種更新を行うとともに、新興国から欧米など先進国まで幅広いユーザを魅了する、世界戦略車の新機種開発も進めています。
当事業に係る研究開発費は124億円です。
精密機械事業
ショベル分野における圧倒的なシェア維持を目指し、油圧ポンプ・モータ、コントロール弁などのさらなる高性能化や、油圧システム全体を最適に制御しつつ、ユーザが自由にカスタマイズできる油圧コントローラの開発を実施しています。また、ショベル以外の建設機械分野・農業機械分野への拡販も見据え、新方式の小型軽量・高効率な油圧中圧ポンプ・高速モータの開発も進めています。
ロボット部門では、拡大基調にある新興国市場に向けた新機種開発や、人と産業用ロボットとが共存・協調して安全に作業ができる技術の研究などを実施しました。また、産業用ロボットで培った技術を医療・ヘルスケア分野へ展開するため、医療・医薬向けロボットの研究開発にも取り組んでいます。
当事業に係る研究開発費は51億円です。
本社部門・その他
本社技術開発本部は、当社現有事業のコア・コンピタンス強化に向けて、事業部門の「新製品・新事業」開発を最重要課題と位置付け、事業部門と一体となって、顧客価値最大化に向けた差別化技術の開発に取り組んでいます。
また、次の世代の「新製品・新事業」開発に備え、新たな顧客価値創造の源となる基盤技術の育成・強化を進めるとともに、国の新しいエネルギー基本計画に盛り込まれた、「水素を本格的に利活用する水素社会」の実現を見据え、液化水素の大量輸送・貯蔵機器・システムや水素発電用ガスタービンなどに必要となるコア技術の開発についても、事業部門と連携して積極的に推進しています。
このほか、㈱KCMでは更なる環境性能の向上を目指したホイールローダの開発なども実施しています。
これら本社部門に係る研究開発費は131億円です。
(1)経営成績
当連結会計年度における連結売上高は、プラント・環境事業、船舶海洋事業などで減収となったものの、モーターサイクル&エンジン事業や航空宇宙事業などが増収となったことにより、前連結会計年度比7.4%増加の1兆3,854億円となりました。
営業利益は、モーターサイクル&エンジン事業、航空宇宙事業、車両事業の大幅な増益により、前連結会計年度比72.0%増加し、723億円となりました。
(2)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末比1.0%減少し、1兆57億円となりました。これは主として、売掛債権の減少によります。固定資産は、設備投資による有形固定資産の増加を主因に、前連結会計年度末比22.0%増加し、5,486億円となりました。
この結果、総資産は前連結会計年度末比6.0%増加の1兆5,544億円となりました。
(負債)
負債全体では、長期借入金や短期借入金などの減少があったものの、退職給付に係る未認識債務の計上を主因に前連結会計年度末比5.5%増加し、1兆1,777億円となりました。
(純資産)
純資産の部については、配当金の支払や退職給付に係る未認識債務の計上等により減少したものの、当期純利益の計上や円安に伴う為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末比7.7%増の3,766億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。