第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当期の世界経済は、米国では個人消費の底堅さに支えられ堅調に推移した一方、欧州経済は景気の持直しが見られたものの、ユーロ圏のデフレ懸念やギリシャ問題の再燃など依然として不透明さに包まれており、中国を始めとする新興国経済では景気減速が見られるなど、国と地域によって状況にばらつきがあり、全体としては景気拡大に力強さを欠くものでした。

国内経済においては、上半期は消費税率引上げの影響により景気の落込みが見られたものの、下半期は政府による経済政策や日銀による金融緩和策を背景に円安・株高基調が続き、輸出関連会社を中心に収益環境が好転するとともに、雇用の拡大と個人消費の持直しに加え、設備投資意欲に改善の兆しも見られるなど、緩やかながら景気の回復が進みました。

このような状況下、当社グループは2013年6月末に前倒しで策定した14中計(2013年7月から2017年3月までの中期経営計画)のありたい姿「持続的成長と収益安定性を兼ね備えたバランスの取れた事業ポートフォリオの実現」に向け、(1)製造事業の変革(2)エンジニアリング事業の拡大(3)事業参画・周辺サービス事業の拡大という3本の戦略の柱と(4)経営基盤の強化からなる基本方針のもと、グループ総合力やグローバル展開による事業拡大のための体制構築に取り組み、事業領域の変革とビジネスモデルの変革を推し進めております。その一環として、「エンジニアリング事業の拡大」では、海洋資源開発EPC(設計、調達、建設)分野への参入を図るために、FPSO(浮体式石油生産貯蔵積出設備)のトップサイドモジュールの開発を進めました。また「事業参画・周辺サービス事業の拡大」においては、製造事業をコアとした周辺サービス強化のために、中近東で産業機械のアフターサービス拠点を設立いたしました。そして「経営基盤の強化」については、競争力の更なる強化を目指した積極的な設備投資の推進に向け、14中計の設備投資計画値(連結230億円、単体150億円)を見直し連結700億円、単体300億円に増額いたしました。

当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度に子会社の三井海洋開発株式会社における大型プロジェクトの受注及びエンジニアリング部門における大型案件の受注があったことなどにより、前連結会計年度と比べて1,479億65百万円減少(△13.4%)の9,597億84百万円になりましたが、依然として年間の売上高を上回る高水準となりました。

売上高は、前連結会計年度に受注した船舶海洋部門及びエンジニアリング部門の大型プロジェクトの工事が着実に進んだことなどにより、前連結会計年度と比べて1,464億52百万円増加(+21.9%)の8,165億20百万円となりました。営業利益は、エンジニアリング部門の連結子会社における大幅な減益の影響により、前連結会計年度と比べて66億70百万円減少(△33.4%)の132億98百万円となりました。経常利益は、営業利益の減少に加えて前連結会計年度に為替差益があったことなどにより、前連結会計年度と比べて112億80百万円減少(△43.1%)の148億99百万円に、当期純利益は、前連結会計年度の特別利益に負ののれん発生益、段階取得に係る差益等を計上していたことなどにより、前連結会計年度と比べて333億91百万円減少(△77.9%)の94億63百万円となりました。

〔経営成績の推移:連結ベース〕

 

 

 

 

 

受注高

(百万円)

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

当期純利益

(百万円)

1株当たり

当期純利益

(円)

平成27年3月期

959,784

816,520

13,298

14,899

9,463

11.63

平成26年3月期

1,107,750

670,067

19,969

26,179

42,854

51.80

平成25年3月期

662,556

577,093

24,001

26,162

△8,207

△9.91

 

報告セグメントの業績は、次のとおりであります。

なお、当社において製品所管部門を見直したことに伴い、当連結会計年度より「エンジニアリング部門」の一部製品を「機械部門」に変更しております。前連結会計年度との比較は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

(船舶海洋)

海運市況は、ここ数年間の新造船の大量竣工によって依然として余剰船腹を抱えており、特にドライバルク部門において用船料は歴史的に低い水準にあります。また、新造船マーケットにおいても、用船料低迷を受けて発注意欲は大幅に減退し、具体的な引合いに至る商談は僅かという状況にあります。海洋開発関係では、原油価格の下落により海洋油田・ガス田開発プロジェクトが減速しているところに、ブラジル国営石油会社のスキャンダルもあり、韓国大手も海洋案件の受注が極端に減るなど先行きの不透明感が増しています。

 

このような状況にあって、当社は省エネ・環境対応技術を取り入れた新型ばら積み貨物運搬船4種を既に開発・市場投入し、省エネ船の累計受注隻数は58隻となり、約2年分の手持ち工事を確保しております。また、一昨年11月に省エネ船の1番船を引き渡して以来、合計16隻の66,000重量トン型及び56,000重量トン型ばら積み貨物運搬船を順調に建造・引き渡しており、今後も省エネ船の先行ヤードとしての強みを活かして一般商船でベースロードを確保してまいります。

受注高は、省エネ型ばら積み貨物運搬船を21隻受注したほか、FPSOの大型プロジェクトを受注しましたが、前連結会計年度と比べ1,315億57百万円減少(△19.4%)の5,478億53百万円となりました。売上高は、FPSOの建造工事が順調に進捗したことに加えて円安の効果もあり、前連結会計年度に比べ1,144億71百万円増加(+30.3%)の4,917億39百万円となりました。営業利益は、売上増に伴う増益もありましたが低価格船の工事が集中したことなどにより、2億68百万円増加(2.7%)の101億77百万円となりました。

 

(機械)

舶用ディーゼル機関については、環境面や経済性に優れるガス焚き機関の商談が増えており、当連結会計年度において天然ガス焚き6基及びエタンガス焚き3基を受注するなど、受注高は前連結会計年度より大幅に増加し、生産量についても前連結会計年度並みの354万馬力となり、工事量を確保した状態で推移しました。

産業機械については、円安基調により受注環境は好転し、トルコを始めとする海外製油所向け往復動圧縮機を中心に受注高は増加しました。また、プロセス機器(圧力容器)の生産拠点としてベトナムに合弁会社を設立したほか、小型の往復動圧縮機に強みを有する株式会社加地テックと資本業務提携を行い、アライアンスの推進による早期の事業拡大や最適地生産体制の構築を進めております。

運搬機については、コンテナクレーンの代替需要期にあることに加え、コンテナ船の大型化に伴い、大型クレーンの引合いは国内外ともに非常に活発な状況にあり、受注高は過去最高となりました。このため、大分事業所において生産能力の増強を目的とした大型設備投資を実施しております。

アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、提案営業の推進と海外拠点の拡充により受注活動の強化を図っており、当連結会計年度は円安の影響もあり受注高、売上高ともに過去最高となりました。また海外拠点については、カタールとトルコに産業機械のアフターサービス拠点を設立いたしました。

受注高は、コンテナクレーン、舶用ディーゼル機関、各種産業用機械及びアフターサービス事業などにより、前連結会計年度と比べ523億78百万円増加(+40.1%)の1,831億7百万円となりました。売上高はこれらの製品・事業により前連結会計年度と比べ13億1百万円減少(△0.9%)の1,465億1百万円に、営業利益はアフターサービス事業や産業機械の好調などにより、前連結会計年度と比べ16億32百万円増加(+20.0%)の98億14百万円となりました。

 

(エンジニアリング)

石油化学製品については、アジアでの需要は今後も高い伸びを維持していくと予想され、生産設備の引合いは好況を堅持しているものの、昨年秋以降の原油価格の下落により、新規プロジェクト投資決定の延期も表面化しております。

環境エネルギー分野では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度による買取価格は太陽光発電を除いて維持されていることから、再生可能エネルギーによる発電事業の需要は依然として活発であり、太陽光発電が先行した市場が徐々にバイオマス・バイオガス・風力発電事業などへ向かっています。当社グループでは、大分事業所において太陽光発電事業を開始したほか、北海道でのバイオガス発電案件を事業化し、平成27年度に本格操業を開始する予定です。

また、海外インフラ分野においては東南アジアの経済成長に伴い、長期にわたる大幅な電力需要の拡大が見込まれ、火力発電所用土木・建築工事の受注活動に注力しております。

このような状況において、海外では、北米向け低密度ポリエチレンプラント、ベトナム向け火力発電設備拡張工事(600MW)の土木建築工事一式、国内では、太陽光発電所建設工事を受注いたしました。一方、予定されていた東南アジアでの石油化学プロジェクト、国内のバイオマス発電事業が延期になったことにより、受注高は、前連結会計年度に比べて839億26百万円減少(△31.5%)の1,824億36百万円となりました。売上高は、シンガポール向け及び北米向けの石油化学プラント建設工事と、再生可能エネルギー(風力、太陽光、バイオマス)発電所建設工事が進捗し、前連結会計年度と比べ132億7百万円の増加(+11.3%)の1,299億29百万円となりました。営業損益は、一部工事において納期遅延などにより採算が悪化した影響により、前連結会計年度に比べ104億12百万円損失が増加し、105億93百万円の営業損失となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは151億67百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは323億85百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは43億74百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度に比べて172億61百万円減少(△15.4%)して946億64百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べて6億68百万円増加して151億67百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が160億6百万円、減価償却費が174億57百万円、減損損失が26億89百万円、仕入債務の増加による収入が574億85百万円あった一方、売上債権の増加による支出が745億20百万円、法人税等の支払額が71億45百万円あったことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて49億27百万円減少して323億85百万円となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出が166億2百万円、関係会社株式の取得による支出が78億80百万円及び貸付けによる支出が388億円あった一方、貸付金の回収による収入が244億45百万円あったことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて199億6百万円増加して43億74百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入が291億56百万円、社債の発行による収入が100億円及び少数株主からの払込みによる収入が97億68百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が370億78百万円、短期借入金の純減少による支出が63億22百万円、配当金の支払による支出が16億52百万円及び少数株主への配当金の支払額が12億14百万円あったことなどによるものであります。

 

〔財政状態の推移:連結ベース〕

 

総資産

(百万円)

純資産

(百万円)

自己資本比率

(%)

営業活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

投資活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

財務活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

有利子
負債残高

(百万円)

平成27年3月期

1,074,563

347,305

22.0

15,167

△32,385

△4,374

200,985

平成26年3月期

932,896

323,608

23.6

14,499

△37,312

15,531

202,886

平成25年3月期

660,397

207,313

26.6

47,182

△12,100

△4,793

159,632

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

船舶海洋

435,888

18.6

機  械

138,977

△4.5

エンジニアリング

132,237

14.5

そ の 他

34,360

19.0

合計

741,462

12.8

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

船舶海洋

547,853

△19.4

1,226,031

12.5

機  械

183,107

40.1

144,262

33.4

エンジニアリング

182,436

△31.5

406,676

22.6

そ の 他

46,388

48.4

13,104

△13.2

合計

959,784

△13.4

1,790,076

15.9

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

船舶海洋

491,739

30.3

機  械

146,501

△0.9

エンジニアリング

129,929

11.3

そ の 他

48,349

71.0

合計

816,520

21.9

 (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

CERNAMBI NORTE MV26 B.V.

70,527

10.5

56,083

6.9

CARIOCA MV27 B.V.

11,803

1.8

96,317

11.8

 

 

3【対処すべき課題】

 14中計では、船舶・海洋機器、機械、プラント及び海洋資源開発の4つを核となる事業領域として位置付け、以下の4項目からなる基本方針に沿って、事業領域の変革とビジネスモデルの変革に取り組んでおります。

 14中計の2年目にあたる平成26年度では、事業領域の変革に関して、三井海洋開発株式会社とともにFPSO事業に関する協業を進め、当社がFPSOの船体部を三井海洋開発株式会社から受注し、その引渡しを本年2月に行いました。また、ビジネスモデルの変革に関しては、家畜排せつ物由来のメタンガスを燃料とする国内最大規模のバイオガス発電施設の建設を進めておりますが、この施設のEPCだけではなく、事業会社の出資設立や施設の運転保守までを行う新しいビジネスモデルに取り組んでおります。

 3年目にあたる平成27年度は、基本方針の4項目に対し、よりスピード感をもって次の諸施策を実施してまいります。

 

① 製造事業の変革

 造船、舶用ディーゼル機関及びコンテナクレーンでは、マーケットの動向に機敏に対応できるよう、省エネや環境対応技術による製品の差別化を進めるとともに、生産設備の増強やコストダウンにより製品競争力を一段と高めてまいります。

 

② エンジニアリング事業の拡大

 海洋資源開発や環境エネルギーのような市場の成長が期待できる分野での、エンジニアリング事業を拡大してまいります。子会社の三井海洋開発株式会社やBurmeister & Wain Scandinavian Contractor A/Sなどとの連携をさらに強化して当社グループにおけるエンジニアリング事業の構成比率を高めてまいります。

 

③ 事業参画・周辺サービス事業の拡大

 アフターサービス事業を拡大してまいります。再生可能エネルギー分野での、EPCをコアとした上流・下流サービスの強化や、アフターサービス事業の海外拠点の拡充を進めます。

 

④ 経営基盤の強化

 連結経営の強化を進めてまいります。不透明な外部経営環境において、連結経営の強化は必須です。前連結会計年度末に子会社となった昭和飛行機工業株式会社とは、お互いのシナジーを検討し協業を着実に進めてまいります。企業活動がグローバル化する中で、国際会計基準(IFRS)の適用も課題のひとつとして認識しており、円滑に移行することを目的とした検討を長期的に継続実施してまいります。

 事業の選択と集中を推し進めます。当社グループは多数の事業を行っていますが、経営基盤の強化のため、今後も事業の選択と集中を進めます。昨年はディスプレイ・半導体製造装置事業と、リチウムイオン電池正極材製造事業から撤退することを決定いたしました。より強靭な経営体質とするため、船舶・海洋機器、機械、プラント及び海洋資源開発の4事業領域に経営資源を投入してまいります。

 

4【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループとして判断したものであります。

 

(1)経済情勢

当社グループは、国内のほか世界各地で事業を展開しており、また輸出割合が高いことから、それぞれの製品の市場や地域における経済情勢の動向による不確実性が存在しております。その事例として、船舶海洋部門及び機械部門の舶用ディーゼル機関については海運市況の影響、機械部門及びエンジニアリング部門においては国内外の設備投資動向や公共事業の動向の影響などが挙げられます。

 

(2)カントリーリスク

当社グループは、海外に向けて製品・サービスの提供を行うだけでなく、エンジニアリング部門を中心に海外現地工事の請負を行っております。仕向地や現地工事を行う国や地域によっては、政情不安(戦争、テロ)、国家間対立による貿易制裁、宗教及び文化の相違、現地の労使関係等のリスク、商習慣に関する障害、資金移動の制約、特別な税金及び関税などが、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、貿易保険の付保、現地の法律や会計コンサルタント等からの情報収集及びその対策の実施などにより、これらリスクの緩和に努めております。

 

(3)法的規制

当社グループは、国内外での事業の遂行にあたり、それぞれの国での各種法令、行政による許認可や規制等を遵守しております。しかしながら、これら法令の改廃や新たな法的規制が設けられる等の場合には、その結果が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)当社グループの事業の特性

当社グループの事業は、個別受注生産を中心としており、契約を締結した時に見積もったコストと実際のコストとの間に受注後のコスト上昇要因により著しい差異が生じることがあります。また、契約から引渡しまで長期間に亘る工事も多く、その間の社会情勢の変化や調達価格の変化等に影響を受けます。その対策として、慎重な見積もり、安定した資材調達先の確保、代金の早期回収、また、海外事業においては貿易保険の利用などリスクの回避に努めておりますが、上述のような事業環境の変化が示現した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)為替レート変動の影響

当社グループは、海外子会社の受注、売上も含めると海外向け受注高、売上高は年次によりばらつきはあるものの概ね全体の50%以上という高い割合を占めております。このため当社は為替レートの変動による影響を軽減する対策として、外貨建借入金、為替予約の実施や海外調達等による外貨建コストの比率を高めるなど、そのリスク量を適正な水準に調整しております。しかしながら、為替レートの大幅な変動がある場合には、受注・売上及び損益に影響を受けるリスクがあります。但し、海外子会社においては、大部分のコストは外貨建てのため、損益への為替の影響は軽微であります。

 

(6)調達価格

当社グループは、船舶海洋、機械、エンジニアリング等の事業展開を行い、多種多様な原材料・部品等の調達を行っております。例えば鋼材については、その急激な価格上昇・需給逼迫等が生じた場合、コスト増加、工程の遅れにより当社グループの損益を悪化させる可能性があります。そのため、種々の原材料・部品等について長期安定供給の体制を確保するとともに、価格交渉等を通じて、その影響を軽減するよう努めております。

 

(7)大規模災害

当社グループは、地震、風水害、感染症の世界的流行(パンデミック)など各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、設備の点検・訓練の実施、緊急連絡体制の整備など、事業継続計画(BCP)の策定を進めております。しかしながら、このような災害による物的・人的被害の発生や物流機能の麻痺等により、当社グループの生産活動を中心とした事業活動に影響が生じる可能性があります。また、災害による損害が損害保険等によりカバーされるという保証はありません。

 

(8)製品の品質

当社グループは、品質や安全に関する法令等を遵守し、製品の品質や信頼性を常に追求していますが、製品の性能、品質、納期の遅れに起因するクレームや事故が発生した場合、損害賠償や訴訟費用等により多額のコストが発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)環境保全

当社グループは、生産活動における省資源、省エネ、廃棄物量の削減及び有害物質の厳格な管理などの環境保全活動を重要な課題のひとつと認識し、環境汚染防止に努めております。また不測の事態により有害物質が外部へ漏洩した場合に備えて、その拡大を最小限に抑えるべく対策を講じています。しかしながら、環境汚染が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等の負担により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報セキュリティ

当社グループは、事業を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また当社グループの技術・事務管理に関する機密情報や個人情報を有しており、これらの情報の保護に努めております。しかしながら、パソコン、サーバー及びネットワーク機器の障害や紛失・盗難、外部からの攻撃やコンピュータウィルスの感染等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)税効果会計及び退職給付会計

税効果会計及び退職給付会計においては、将来の予想・前提に基づいて、その資産・債務等の算定を行っております。そのため、予想・前提となる数値に変更がある場合もしくはこれらの算定を行うための会計基準の変更がある場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)減損会計

当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により収益性が低下した場合、また、遊休資産について時価等が下落し、将来キャッシュ・フローの回収可能性が低下した場合には、減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)株式市場の影響について

当社グループが保有する投資有価証券のうち時価のあるものについて、これらの時価が簿価から著しく下落し、回復の見込みのない場合は、評価損を計上するリスクがあります。また、株価の変動は年金資産の変動を通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入

会社名

相手方

提携品目

契約期間

契約内容(対価の支払方法)

国籍

名称

当 社

米国

Williams Patent Crusher&Pulverizer Co.,Inc.

破砕機の製造技術

平成

12.6

1年毎

自動延長

(1)工場渡販売価格に対し一定料率の実施料(2)技術者招へい費として実費(3)技術サービス料として実費

ドイツ

MAN Diesel&Turbo SE

内燃機関用排ガスターボチャージャー

昭和

56.5

平成

32.12

(1)過給されるエンジンの最大連続出力

KWに対し一定料率の実施料(2)一定額の標準図面代、特殊仕様図面代

MAN B&Wディーゼル機関

46.11

33.12

(1)エンジンの軸馬力に対し一定料率の実施料(2)図面代、技術指導料として実費

ノルウェー

MOSS Maritime a.s.

球型タンク搭載のLNG船

平成

6.3

5年毎

自動延長

(1)建造船毎に一定額の実施料
(2)技術サービス料として実費

オランダ

Howden Thomassen Compressors B.V

往復動コンプレッサ装置

24.1

5年間

(以後1年毎自動延長)

(1)モデル毎の標準価格に対し一定料率の実施料(2)技術サービス料として実費

スイス

ALSTOM Technology LTD

蒸気タービン

22.9

平成

27.9

(1)契約金として一時金(2)一定料率の実施料(3)技術サービス料として実費

デン

マーク

INBICON A/S

バイオエタノール前処理技術

22.2

10年間

(1)契約金として一時金(2)プラント受注案件ごとに一定額の技術使用料

フランス

Gaztransport & Technigaz S.A.S.

メンブレン型LNG船

11.10

5年毎

自動延長

(1)タンク表面積に対し一定料率の実施料(2)技術指導料として実費

三井海洋開発㈱

米国

SEA ENGINEERING ASSOCIATES, INC.

TLPの建造に関する技術提携

8.6

自動更新

プロジェクト受注毎に一定の実施料

AMCLYDE ENGINEERED PRODUCTS, INC.

昭和飛行機工業㈱

ドイツ

スピッツァ社

粉粒体バルク輸送車両及び粉粒体バルク輸送ボデーの製造技術

昭和
42.2

平成
30.3

(1)契約時に一定額(2)売上高に応じた一定率の実施料

 

(注)当連結会計年度に関する開示にあたり、経営上の重要性の観点から、本欄に記載すべき契約を再検討して表示しております。

 

(2) 技術供与

会社名

相手方

供与品目

契約期間

契約内容(対価の受取方法)

国籍

名称

当 社

中国

Shenyang Blower Works Co.,Ltd.

軸流圧縮機

平成

16.11

平成

36.6

(以後5年毎自動延長)

(1)契約金として一時金(2)所要動力に対し、一定料率の実施料(3)技術サービス料として実費

日本

㈱マキタ

MAN-B&W型小口径ディーゼル機関の製造及び販売に関する再実施権

昭和

56.5

29.12

エンジンの出力に対し一定料率の再実施料

㈱ディーゼルユナイテッド

MAN-B&W65及び70型ディーゼル機関の製造及び販売に関する再実施権

平成

22.1

31.12

エンジンの出力に対し一定料率の再実施料

MDエンジニアリング㈱

MD-Gシリーズガスエンジン

23.12

1年毎

自動延長

(1)エンジンの出力に対し一定料率の再実施料(2)一定の技術提携資料代

(注)当連結会計年度に関する開示にあたり、経営上の重要性の観点から、本欄に記載すべき契約を再検討して表示しております。

 

(3) 特定融資枠に関する契約

会社名

国名

 相手方

特定融資枠の総額

当連結会計年度末
借入実行残高

当連結会計年度末
借入未実行残高

契約目的

当 社

日本

取引銀行10行

20,000百万円

20,000百万円

運転資金の効率的な調達

三井海洋開発㈱

日本

取引銀行6行

    US$ 110百万

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運転資金の効率的な調達

 

6【研究開発活動】

当社グループは、4事業分野に対応した研究開発セグメントを設定し、それぞれの事業分野の中核技術を基軸として、製品競争力強化と事業拡大につながる研究開発を積極的に推進しております。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、48億58百万円であり、この中には受託研究等の費用13億50百万円が含まれております。なお、各事業部門における主な研究開発は以下のとおりであります。

 

(1)船舶海洋

・船舶に関しては、従来よりCO2排出量を削減した次世代環境対応型66,000重量トン型ばら積み貨物運搬船(neo Supramax 66BC)に続き、56,000重量トン型ばら積み貨物運搬船(neo56BC)、60,000重量トン型ばら積み貨物運搬船(neo60BC)を市場投入しています。平成26年度はこれらに加え182,000重量トン型ばら積み貨物運搬船(neo182BC)、中規模汎用ガス運搬船(neo82GC)などの開発を終え、市場への提案を開始しました。引き続き他の船型への技術適用拡大を進め、neoシリーズのラインナップ拡充を図ってまいります。

・船舶に関する基礎的研究では、レーザを使って船体周りの流れを計測する最先端の非接触型流速計測装置を導入しました。計測で得られた詳細な情報を、コンピュータを用いた流れの予測計算(CFD)の精度向上並びに船型及び省エネ付加物の改善に役立てることにより、燃費性能の優れた船舶の開発に適用しています。

・海洋関連では、新造の大型FPSOの船体部を改造型のFPSOと同等の短納期で提供できるように構造設計の標準化等を完了しました。

・水中機器関連では、国立研究開発法人(旧 独立行政法人)科学技術振興機構の「先端計測分析技術・機器開発プログラム」に採択された放射性物質の調査を目的とした水中ロボットの開発を行い、計測装置のモジュール搭載が可能な小型水中テレビロボット(ROV)の試作機が完成しました。

・海洋開発工事に従事する船舶において必須の装置である自動船位保持装置(DPS)に関しては、さまざまな顧客ニーズに対応できる冗長性を備えたシステムの開発を行っております。

・福島県沖に設置した浮体式洋上風力発電設備は、平成25年12月からトラブルの発生がなく安定した運転を継続しております。引き続き各種データを取得し、安全性、経済性の検討を進めます。本実証試験は平成27年度で完了の予定です。

  また、大型風車を搭載する浮体の実証事業に係る提案が、平成26年度にNEDO(国立研究開発法人(旧 独立行政法人)新エネルギー・産業技術総合開発機構)に採択され、フィージビリティ・スタディを開始しました。

・橋梁関連では、各種工法及び橋梁保全関係の技術開発を実施しました。

・沿岸関連では、津波対応型の浮体構造物を開発し、地方自治体へ納入いたしました。

・船舶運航支援サービス事業関連では、実海域での性能を評価する就航船解析サービスの開発を進め、有効な成果を確認しました。本開発は、平成27年度まで継続して行います。

当事業に係る研究開発費は、6億97百万円であります。

 

(2)機械

・基幹製品関連では、高効率発電を実現できるガスエンジンの性能及び信頼性向上のための技術開発を行っております。また、ガスエンジン技術をベースにした二元燃料(DF)機関の開発も進めております。舶用ディーゼルエンジンにおいては、IMO(国際海事機関)排ガス規制への対応として、テストエンジンに装備したEGR(排ガス再循環装置)で、NOx三次規制(TierⅢ)を満足する成果を得ております。EGRを利用することによりTierⅡ海域での燃料消費量削減も可能で、国土交通省の「次世代海洋環境関連技術開発支援事業」の補助対象に採択され、一般財団法人 日本海事協会との共同研究の一環として、日本郵船株式会社及び株式会社MTIと共同で実船試験を実施の予定です。

  また、燃料消費量及びCO2排出量が最大4%削減可能な、油圧を活用した排熱回収システム(THS)を14隻分受注し、初号機の海上公試を終了しています。さらに、未利用低温排熱を回収し、燃料消費量及びCO2排出量が約2%削減可能なシステムを開発し、実証試験に向け準備中です。

・メタノール及び重油を利用する電子制御式リキッドガスインジェクションディーゼル機関(ME-LGI)については、テストエンジンでの検証試験を開始しました。平成27年度には実機によるメタノールでの陸上運転を計画しております。

・物流運搬機事業関連では、空港近隣の高さ制限に配慮したロープロファイル型免震機能付きコンテナクレーンについて構造の最適化を進めています。また、クレーン大型化を伴うリプレースの際に、既存岸壁の土木工事による補強を最小限とするクレーンの軽量化を実現し、東京港のリプレースクレーンを受注しました。さらに、他港への適用に向けた開発も進めています。

  自動化レールマウントクレーン(ARMG)の開発では、自動及び遠隔運転の論理的な確認が完了し、平成27年度に実機にて実証する予定です。

当事業に係る研究開発費は、18億27百万円であります。

 

(3)エンジニアリング

・バイオエタノール関連では、油やしの空果房(EFB)を原料として、平成23年よりマレーシアで実施してきた第2世代バイオエタノール製造の実証運転を平成25年9月に完了し、商業化に向けたフィージビリティ・スタディを継続しています。

・環境関連では、通常の排水処理では処理が難しい難分解性物質等の分解を目的に、促進酸化技術の開発を実施しています。

・風車関連では、洋上風力発電への進出を狙って5MWクラスの増速機の開発を検討中です。

当事業に係る研究開発費は、34百万円であります。

 

(4)その他

・平成23年度に、波力発電技術の開発がNEDOの「海洋エネルギー発電システム実証研究」テーマの一つに採択され、実海域実証試験に向けた技術開発とフィージビリティ・スタディを行っています。

・その他、環境・エネルギー関連技術、バイオ関連技術等の新規技術開発並びに材料・制御・CAE解析技術等の基盤技術開発を実施しております。

・連結子会社の三井造船システム技研株式会社は、ビッグデータ活用等で必要な「データ収集/制御用システム基盤」の整備/検証に着手しています。医薬安全性試験システム「MiTOX」については、機能強化及びその周辺システムの開発を継続するとともに勤怠管理システム「TIME-3」についても同様に、機能強化を継続しています。また、電子ソリューション分野では、産業用機械向け蓄電池マネジメントシステムの開発を継続しています。

当事業に係る研究開発費は、22億98百万円であります

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって、期末時点において連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与える判断、見積りを行う場合があります。当社グループの重要な会計方針のうち、判断、見積りを行う割合が高いものは、貸倒引当金、受注工事損失引当金などの各種引当金、繰延税金資産の回収可能性及び工事進行基準による売上などがあります。見積りにあたっては、それぞれ合理的な方法によっており、その方法は、「第5 経理の状況 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計処理基準に関する事項」に記載しております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 経営成績

当社グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に受注した船舶海洋部門及びエンジニアリング部門の大型プロジェクトの工事進捗が着実に進んだことなどにより、前連結会計年度比1,464億52百万円増加の8,165億20百万円となりました。

営業利益は、エンジニアリング部門の連結子会社における化学プラント工事の採算が大幅に悪化したことなどにより、前連結会計年度比66億70百万円減少の132億98百万円となりました。

営業外損益は、前期に為替差益があったこと及びデリバティブ評価損の増加などにより、前連結会計年度から46億9百万円減少し、16億円の利益(純額)となりました。

以上により、経常利益は、前連結会計年度比112億80百万円減少の148億99百万円となりました。

また、当期純利益は、経常利益の減少に加えて、前期に負ののれん発生益、段階取得に係る差益を計上していたことなどにより、前連結会計年度比333億91百万円減少の94億63百万円となりました。

 

② 財政状態

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べて1,416億67百万円増加の1兆745億63百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が995億10百万円、短期貸付金が250億14百万円及び投資有価証券が212億50百万円それぞれ増加した一方、現金及び預金が38億86百万円、有形固定資産が19億57百万円及び長期貸付金が173億46百万円それぞれ減少したことなどによります。

負債は、支払手形及び買掛金が694億20百万円、前受金が184億14百万円及び1年内償還予定の社債が100億円それぞれ増加した一方、短期借入金が44億8百万円及び長期借入金が39億74百万円それぞれ減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べて1,179億70百万円増加の7,272億58百万円となりました。

純資産は、為替換算調整勘定が84億53百万円、少数株主持分が73億33百万円及び利益剰余金が63億88百万円それぞれ増加した一方、繰延ヘッジ損益が70億69百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べて236億96百万円増加の3,473億5百万円となりました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については銀行借入又はCPによる短期資金調達、あるいはコミットメントラインの利用等によって流動性を保持しております。

また、当社と連結子会社間は「CMS預貸制度(キャッシュ・マネージメント・システム)」により資金融通を行うことで資金効率を高めております。一方、設備資金、投融資資金等の長期的な資金については、設備投資・事業投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、社債及び長期借入金によって流動性を維持しております。また、設備投資の一部はリース取引によっております。

当社グループの当連結会計年度末の資金は、営業活動によるキャッシュ・フローが151億67百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは323億85百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは43億74百万円の支出となったこと等により、前連結会計年度と比べ172億61百万円減少の946億64百万円となりました。

 

なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。

                                               (単位:百万円)

 

合計

償還1年以内

償還1年超

短期借入金

17,468

17,468

   -

長期借入金

130,846

32,833

98,012

社債

40,000

10,000

30,000

リース債務

11,292

2,662

8,629

その他有利子負債

1,378

609

769

合計

200,985

63,574

137,411