第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 今年10月に創立100周年を迎える当社グループは、経営理念の核である「新しい発想でお客様の価値創造に貢献します」というミッションのもと、「Innovation for Customers」をブランドスローガンとして掲げ、全従業員が一丸となり、グローバルに成長し続ける100年企業を目指します。

 経営の基本戦略としては「※グローバルニッチトップ™」戦略(成長するマーケットを選択し、固有の差別化技術を活かせるニッチな分野を対象にして、世界№1シェアを獲得する)と「※エリアニッチトップ™」戦略(エリア固有のニーズにマッチした製品で、世界各地でのトップシェアを獲得する)を掲げ、この両輪で事業の拡大を図ります。

 このような方針のもと、当社グループは新しい発想でお客様の価値創造に貢献し、次の100年間の更なる成長に向け多くのイノベーションを創出していきます。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、「新しい発想でお客様の価値創造に貢献します」という経営理念に基づき、中期経営計画を策定しております。その中期経営計画の中で、具体的な指標として、売上収益及び営業利益の目標値を定めております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 100年に一度と言われる環境変化の中、エレクトロニクス・モビリティ・ライフサイエンスなどテクノロジーの進化が加速しています。今年10月に創立100周年という大きな節目を迎える当社グループは、この変化こそ好機と捉え、次の100年への着実な成長に向け2018年度から3ヶ年の中期経営計画「Jitsugen-2020」をスタートさせました。ニッチトップ戦略で強みを発揮できる「情報インターフェイス」「次世代モビリティ」「ライフサイエンス」というフォーカス領域を明確に打ち出し、これらの領域で変化を先取りし、新たな事業を打ち立てることで事業ポートフォリオを進化させます。

 

① 成長戦略の推進

 Nittoグループの強みを発揮すべく「情報インターフェイス」「次世代モビリティ」「ライフサイエンス」を新たな成長領域とし、これまで培ってきた技術やビジネスモデルとコンバージェンス(融合)させながら、新しい事業の創出に取り組みます。その一例として、次世代の高速大容量通信の実現に向け、プラスチック光ケーブル事業への参入を発表しました。これまで蓄積してきた光学フィルムに関する押し出し技術や幅広い産業へのアクセスを活用しながら、2019年度の量産開始を目指します。

 

② 現行事業の構造改革

 インダストリアルテープ事業やオプトロニクス事業を中心に生産性の向上と高付加価値製品へのシフトにより収益性を高めるともに、ライフサイエンス事業などで新需要を創出してまいります。2017年度はLCD-TV向け大型偏光板について、中国の杭州錦江集団グループと技術提携契約を締結しました。次の100年に向けて、従来のモノづくりだけでなく、このような技術力を活かした新しいビジネスモデルを推進していきます。

 

③ 経営基盤の強化

 事業の成長を推進すると同時に「安心で安全な職場環境づくり」、「事業活動に伴う環境負荷の低減」、「お客様に喜んでいただける品質の追求」、「社会貢献活動への取組み」などの施策に引き続き取り組むことで、次の100年間においてもステークホルダーの皆様へ高い価値を提供してまいります。また2017年から2020年までの4年間、男子プロテニス協会「Association of Tennis Professionals(ATP)」と、ATPワールドツアーのシーズン最終戦「ATPファイナルズ」において、日本企業初となるタイトルスポンサー契約を締結しました。100年企業としてふさわしいブランド力向上を図り、新たな世紀におけるグローバル展開を加速していきます。

 

(4)会社の対処すべき課題

当社グループは、今年10月に創立100周年を迎えます。この記念すべき節目を越え、次の100年に向けてより一層の成長を実現していくためには、当社の強みである技術によって顧客の価値創造に貢献し、激しい変化をチャンスに変えていくことが重要であると認識しています。

 情報技術などが飛躍的に革新する今日、当社グループは社内外の様々な技術や情報をコンバージェンス(融合)させることで新たな価値を創出します。また、従来のビジネスモデルやものづくりに拘らず、新しい手法や考え方を取り入れながら、次の100年も世界中の様々な領域で「Innovation for Customers」を実現していきます。

 セグメント別においては、それぞれ次の取組みを重点的に実施します。

 

・インダストリアルテープ

基盤機能材料では、既存事業の構造改革を進める一方、豊橋工場でのプロセス材料や関東工場でのふっ素多孔質材料の製造設備で投資を実行し、付加価値の高い製品を拡充しました。市場変化や顧客ニーズにいち早く対応するとともに、他事業との連携による新製品創出なども積極的にチャレンジしていきます。トランスポーテーション事業では、海外エリアごとに、拠点による供給体制の最適化を推進し、収益を改善するとともに、次世代自動車分野や自動車以外のモビリティ分野での新製品開発に取り組み、市場の変化とニーズに応えていきます。

 

・オプトロニクス

情報機能材料では、業界トップの技術力に磨きをかけるとともに、合理化を徹底し高収益事業の維持拡大に努めます。また既存事業の技術供与や材料、製造技術などの知的財産を用いた新たなビジネスモデルをさらに拡大していきます。プリント回路およびプロセス材料においては、ハードディスクドライブ、半導体メモリ向けの既存事業のシェア拡大と微細回路の他用途展開によるポートフォリオ変革に取り組んでいきます。

 

ライフサイエンス

ライフサイエンス事業では、後期臨床や新薬承認を追い風にますます活発化している核酸創薬分野において、新規顧客開拓を強化し受託製造サービスのシェアを拡大するとともに、創薬事業では、線維症および難治性のがん治療薬領域で研究開発を推進し、新たな事業の柱として育てていきます。

 

・その他

メンブレン(高分子分離膜)では、品質マネジメント強化など事業基盤の改革を進め、従来用途で高品質製品を提供していくとともに、エネルギー分野など高成長セグメントでの事業拡大により、収益性向上に向けて取り組んでいきます。新規事業では、プラスチック光ケーブルを始め、開発中案件の一刻も早い事業化を目指します。

 

※「グローバルニッチトップ / Global Niche Top」「エリアニッチトップ / Area Niche Top」は、当社の登録商標です。

 

(5)会社の支配に関する基本方針について

 当社株式の大規模買付け行為に対する基本的な考え方は、以下のとおりであります。

 当社は、株式の大量保有を目的とする買付けが行われる場合において、それに応じるか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えておりますが、一方では高値での売抜け等の不当な目的による企業買収の存在も否定できず、そのような買収者から当社の基本理念やブランドおよび株主を始めとする各ステークホルダーの利益を守るのは、当社の経営を預かる者として当然の責務であると認識しております。

 現在のところ、当社株式の大量買付けに係る具体的な脅威が生じているわけでなく、また当社としても、そのような買付者が出現した場合の具体的な取組み(いわゆる「買収防衛策」)を予め定めるものではありませんが、当社としては、株主から付託を受けた経営者の責務として、当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視するとともに、株式の大量取得を企図する者が出現した場合には、直ちに当社として最も適切と考えられる措置を講じる方針です。

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

(1)政治、社会、経済動向

 当社グループは、世界各国でグローバルな事業展開を行っています。進出国における予想しない雇用関係の悪化や労働争議、人件費の上昇、輸送や電力供給の停止などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、政情の激変によるテロ、戦争、クーデター等の発生、自国優先主義の台頭など世界経済の急変による市場の停滞、想定を超えた為替レートの変動、金融不安なども、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法規制の変化とコンプライアンス

 当社グループは、世界各国の様々な分野で事業を展開しています。すべての活動において、各国の法規制の遵守に努めていますが、法令・税制・規制の強化や大幅な変更、解釈の相違、商習慣の相違などにより、当社グループの活動が制限され、新たなコストが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、役員・従業員がコンプライアンス上の問題を発生させた場合も、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事故・災害

 当社グループは「安全をすべてに優先する」方針のもと事故や災害に備え、事業継続計画(BCP)および事業継続マネジメント(BCM)を推進しています。特に地震は日本において発生確率が高く津波や洪水などを伴うことがあります。さらにその影響から火災、化学物質漏えい、電力・ガスなどインフラ被害が発生し、その結果広範囲にわたるサプライチェーンの分断が発生する可能性もあります。また、人命に深刻な影響を及ぼす感染症の大流行があった場合も、地域や世界経済への影響を免れず、事業継続が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)環境問題

 当社グループは、地域から地球規模までの環境に配慮した誠実な行動を重要方針に掲げ、社会的責任の観点から自主的な環境負荷削減計画を作り、廃棄物削減、大気汚染防止、地球温暖化防止などに取り組んでいます。これまで重大な環境問題を発生させたことはありません。しかし、環境負荷削減において、計画通りの実績が上がらない場合や、予期せぬ事故や自然災害により不測の環境汚染が生じた場合、多額の対策費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)オプトロニクス事業

 液晶表示用材料やタッチパネル用材料は当社グループの中核事業です。これらの市場では多くの企業による厳しい競争が続いています。当社グループの材料が組み込まれた製品の市場動向、技術の革新、顧客である液晶パネルメーカーやタッチパネルメーカーの再編や戦略の変化、需給バランスの変化による製品価格の下落、原材料メーカーの生産能力と需要変化による原材料価格の高騰などが生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)ライフサイエンス事業

 当社グループは、新たな事業分野としてライフサイエンス事業への取組みを強化しています。本事業は、関係する各国の厳格な審査とそれに基づく承認に、当社グループの想定を超えた障害が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)研究開発

 当社グループが事業展開する分野の多くは、技術革新とコスト競争力への厳しい要求があります。そのため当社グループは、グローバルニッチトップ戦略に、エリア特有のニーズに合った製品を供給するエリアニッチトップ戦略を加え、新製品開発、新用途開拓、新需要創造に取り組み、必要な研究開発投資や設備投資を行っています。しかし、市場変化が激しい業界では、その変化の予測は容易ではありません。他社の新技術や新製品により、当社グループ製品が突然予期せぬ陳腐化を起こすこともあります。このような状況が生じた場合、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8原材料確保

 当社グループでは原材料調達先を複数にするなど主要原材料が確保できなくなるリスクを低減するよう努めています。しかし、一部の原材料は特定の購入先に依存しています。その購入先の自然災害による被災、事故、倒産など、止むを得ない事情により、供給量が減少したり停止した場合、需給バランスがくずれ必要な原材料の確保ができなかったりコストが上昇するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9製品品質

 当社グループは、国際的品質管理システムに従い部材を中心とする製品を製造し、お客様に納入しています。しかし、製品の欠陥による賠償リスクを完全に排除することは困難です。生産物賠償責任保険の適用を超える賠償などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)知的財産権

 当社グループは、市場競争力を高める目的から多くの知的財産権を保有し、維持、管理しています。しかし、第三者から無効とされる可能性、特定の地域で十分な保護が得られない可能性、模倣される可能性、訴訟を受ける可能性などがあり、知的財産権による保護が大きく損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)M&A

 当社グループは事業成長を目的として、優れた技術を有する企業の買収や事業提携など様々な形で他企業との関係を構築しています。しかし、買収や事業提携などが期待どおりの効果を生まなかった場合、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)人財確保

 当社グループの事業活動を推進するためには、研究・開発・製造・販売・管理など様々な分野において優秀な人財の確保が必要です。事業の発展に向けたグローバル人財の採用を積極的に進めていますが、人財の継続的な獲得と流出の防止ができない場合、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)顧客の財務状況

 当社グループは、顧客について十分な信用調査のうえ、取引を行っています。しかし、当社グループが売上債権を有する顧客において、事業環境の大きな変化により財務上重大な問題が発生する可能性があります。特に、変化の激しいエレクトロニクスやライフサイエンス分野における債権の大きい顧客で貸倒れが発生した場合、回収不能額が多額となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)情報管理

 当社グループにとって、情報システムは事業活動のあらゆる側面において非常に重要な役割を担っており、年々複雑化・高度化しているうえに、サイバーテロなどの人為的リスクの対象にもなっています。当社グループは、ハード・ソフト両面で様々な情報セキュリティ対策を実施していますが、情報システムに障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、技術情報、顧客情報、取引情報、個人情報などの流出や不正使用を防止するため、様々な情報セキュリティ対策を実施していますが、情報流出や不正使用が発生した場合、その対応のため当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)訴訟

 当社グループが事業活動を進めていく中で、取引先や第三者との間で訴訟が発生する可能性があります。それらの訴訟の結果が、当社グループ側の主張および予測と異なる結果となるリスクは避けられず、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)確定給付負債

 当社グループの確定給付負債は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されており、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金や年金制度の変更などにより、認識および計上される債務に影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1)財政状態

当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べ57,896百万円増加し、937,796百万円となりました。流動資産は58,228百万円増加の622,027百万円、非流動資産は331百万円減少の315,768百万円となりました。

流動資産の増加は、現金及び現金同等物が24,365百万円増加したこと、売上債権及びその他の債権が18,757百万円増加したこと等によるものであります。

非流動資産の減少は、有形固定資産が前期末に比べ1,123百万円減少したこと、無形資産が1,474百万円減少したこと、繰延税金資産が1,207百万円増加したこと等によるものであります。有形固定資産の減少は、減価償却等によるものです。

当期末の負債合計は、前期末に比べ18,322百万円増加し、243,800百万円となりました。流動負債は12,879百万円増加の187,436百万円、非流動負債は5,443百万円増加の56,364百万円となりました。

流動負債の増加は、仕入債務及びその他の債務が725百万円減少したこと、未払法人所得税等が3,292百万円増加したこと、その他の金融負債が3,701百万円増加したこと、その他の流動負債が3,398百万円増加したこと等によるものであります。

非流動負債の増加は、確定給付負債が3,389百万円増加したこと、その他の非流動負債が5,554百万円増加したこと等によるものであります。

当期末の資本合計は、前期末に比べ39,573百万円増加し、693,995百万円となりました。

これは、利益剰余金が、親会社の所有者に帰属する当期利益等により前期末に比べ61,674百万円増加したこと、自己株式が18,990百万円増加したこと等によるものであります。

 

(2)経営成績

連結会計年度における経済環境は、昨年度からの景気拡大基調が継続し、良好なファンダメンタルズも伴って世界的な成長に支えられました。国内でも良好な雇用環境や人手不足を背景とした効率化投資などは続いており、実体経済は緩やかながらも堅調に拡大しています。しかしながら、2018年に入ると、米国の良好な雇用の状況が米ドル金利上昇を加速させるのではとの懸念から、好調だった先進国の株式市場は高値圏から大きく調整しており、米中などの保護主義的な動きにも、警戒感が高まりつつあります。

このような経済環境のもと、当社グループは、主力であるオプトロニクスでは、変化の激しいスマートフォン市場でのディスプレイの大きな変化に対応し、付加価値の高い新たな製品を投入することで、前連結会計年度から大きく業績を上げることができました。インダストリアルテープでも、エレクトロニクス業界をはじめ、幅広い産業用途で収益を拡大させています。ライフサイエンスでは、これまで収益を牽引してきた核酸医薬の受託製造事業において、お客様の新薬開発中止の影響を受け、業績面では減速となったものの、核酸医薬の創薬開発では着実な進展を見せています。

以上の結果、売上収益は前連結会計年度と比較し、11.5%増(以下の比較はこれに同じ)の856,262百万円となりました。また、営業利益は35.8%増の125,722百万円、税引前当期利益は37.5%増の126,168百万円、当期利益は37.3%増の87,463百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は37.7%増の87,377百万円となりました。

 

セグメントの業績概況

① インダストリアルテープ

トランスポーテーション事業の自動車材料は、構造材料などでは主要市場における自動車生産台数の減少の影響を受けましたが、EV向けなど、車の電装化に向けた製品のスペックイン活動を拡大させました。基盤機能材料は、スマートフォン向け構造接着両面テープや電子部品製造工程用のプロセス材料などのエレクトロニクス関連製品が業績を大きく牽引し、さらにエアフィルター用途などのふっ素多孔質材料や保護材料なども着実に収益を伸ばしたことにより、当セグメント全体の収益性向上に貢献しました。

 以上の結果、売上収益は339,195百万円(9.3%増)、営業利益は34,357百万円(25.2%増)となりました。

 

② オプトロニクス

情報機能材料では、有機EL(OLED)ディスプレイを用いたスマートフォン向けで、製品の材料構成や製造プロセスの変化に対応した、タッチパネル用の透明導電性フィルムや透明粘着シートなどの新製品が業績を大きく牽引しました。プリント回路やプロセス材料も付加価値の高い製品を供給するとともに、構造改革も進め、収益性を更に高めました。当セグメントは第4四半期に入り、通常の季節調整に加え、スマートフォン需要が減速しましたが、前連結会計年度から大きく収益を拡大させることができました。

 以上の結果、売上収益は490,632百万円(17.0%増)、営業利益は92,548百万円(91.0%増)となりました。

 

③ ライフサイエンス

ライフサイエンス事業では、核酸医薬の受託製造において、お客様の新薬開発中止を受け、収益面で影響を受けました。この受託案件では、契約に基づき支払われるものの一部について収益認識をしましたが、前連結会計年度との比較では、セグメント全体の収益は大きく減少しています。一方で、核酸医薬の創薬開発ではライセンスを供与した肝硬変治療薬、さらに独自で開発を進めている肺線維症治療薬がいずれも次の治験フェーズに入り、着実な進展を遂げています。

 以上の結果、売上収益は36,171百万円(18.6%減)、営業利益は5,985百万円(71.8%減)となりました。

 

④ その他

メンブレンでは、当連結会計年度を通じ、成長セグメントへの注力や収益性の向上に向けた構造改革を着実に進めてきました。今後は環境規制の厳しい地域に向けた水資源の再生用途で、効率性の高い新製品を投入し、環境関連事業を拡大していきます。このほか、当セグメントには未だ十分な売上収益を伴っていない新規事業が含まれています。

 以上の結果、売上収益は25,279百万円(2.9%減)、営業損失は140百万円(前年同期は営業利益61百万円)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は304,709百万円となり、前連結会計年度末より24,365百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は122,551百万円(前連結会計年度は119,939百万円の増加)となりました。

 これは主に、税引前当期利益126,168百万円、減価償却費及び償却費49,283百万円による増加、売上債権及びその他の債権の増減額18,493百万円、法人税等の支払額又は還付額35,153百万円による減少の結果であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は50,215百万円(前連結会計年度は49,739百万円の減少)となりました。

 これは主に、有形固定資産及び無形資産の取得による支出48,466百万円、定期預金の増減額2,811百万円による減少の結果であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、減少した資金は44,919百万円(前連結会計年度は28,884百万円の減少)となりました。

 これは主に、自己株式の増減額19,354百万円、配当金の支払額25,166百万円による減少の結果であります。

 

なお当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

 親会社所有者帰属持分比率(%)

71.5

74.4

74.3

73.9

 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

155.0

123.0

158.7

136.3

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.1

0.0

0.0

0.0

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

148.5

263.0

311.2

292.1

 

(注)1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

 親会社所有者帰属持分比率(%)       親会社所有者帰属持分÷総資産

 時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) 株式時価総額÷総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)  有利子負債÷キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)   キャッシュ・フロー÷利払い

2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

4 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を
対象としております。

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

インダストリアルテープ

220,577

106.8

オプトロニクス

471,353

114.7

ライフサイエンス

33,765

106.3

その他

24,621

97.9

合計

750,317

111.2

 (注)1 金額は、売価換算値によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注実績

 当社グループは、おおむね需要動向から見た見込み生産を行い、それ以外の製品については一部受注生産を行っておりますが、受注生産高の売上高に占める割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

インダストリアルテープ

325,548

109.8

オプトロニクス

476,776

117.2

ライフサイエンス

30,919

75.7

その他

23,016

97.2

合計

856,262

111.5

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対応する割合は、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手が無いため記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度(以下「当期」という。)は、売上収益は前連結会計年度(以下「前期」という。)と比べて11.5%増の856,262百万円となりました。これは情報機能材料等の売上収益が増加したこと等によるものです。

 売上原価は、前期比8.8%増の574,879百万円となりました。売上収益に対する売上原価の比率は、前期比1.7

ポイント減の67.1%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前期比8.3%増の118,421百万円となりました。売上収益に対する販売費及び一般管理費の比率は、前期より0.4ポイント減少し13.8%となりました。研究開発費は、前期比2.9%増の31,243百万円となりました。売上収益に対する研究開発費の比率は、前期より0.3ポイント減少し3.6%となりました。

 以上の結果、営業利益は前期比35.8%増の125,722百万円となりました。

 税引前当期利益は前期比37.5%増の126,168百万円となりました。

 法人所得税費用は、前期の28,101百万円から、当期は38,704百万円となり、税効果会計適用後の法人税等の負担率は30.7%(前期は30.6%)となりました。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比37.7%増の87,377百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期比37.9%増の538円99銭となりました。

 

 当社グループでは、当期より開始する中期経営計画において、2019年度に売上収益930,000百万円、営業利益130,000百万円を達成する目標を掲げておりました。これに対し、当期実績は、売上収益856,262百万円、営業利益125,722百万円となり、営業利益については、2019年度の達成目標に近い水準の業績を前倒しで達成することができました。当期の業績を受け、ローリングを行った2018年度から2020年度までの3か年を対象期間とする新たな中期経営計画「Jitsugen-2020」では、より高い目標として、グループ全体の業績目標として、2020年度に売上収益1,000,000百万円、営業利益175,000百万円を掲げています。

 

 なお、経営成績の概況およびセグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は、材料購入の他、経費の支払い、設備投資、配当金の支払い等であります。

 2018年1月31日に2018年2月から7月の期間において50,000百万円を上限とする自己株式取得を決議し、当連結会計年度において19,275百万円の買付を行いました。

 当社グループの資金の源泉は、主として自己資金であり、また、グループ内の資金を効率的に活用し、有利子負債を極力削減することを基本方針としております。

 なお、当連結会計年度末の連結有利子負債は前連結会計業年度末に比べ48百万円減少し、4,049百万円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は304,709百万円となっております。

 

経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

(退職給付に係る費用)

 日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用を一定の期間で償却しておりました。IFRSでは、発生した数理計算上の差異はその他の包括利益として認識し、過去勤務費用は純損益として認識することが求められております。
 この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価・販売費及び一般管理費が3,968百万円減少し、その他の包括利益が3,024百万円増加しております。

 

(のれんの償却停止)

 日本基準では、のれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。

 この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が1,137百万円減少しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

  当社は、2018年1月31日開催の取締役会において、連結子会社であるNitto Denko (Suzhou) Co., Ltd.の全出資持分(当社及び当社の子会社であるNitto Denko (China) Investment Co., Ltd.の全出資持分)を日本メクトロン株式会社に譲渡することについて決議いたしました。

 

(1)目的

Nitto Denko (Suzhou) Co., Ltd.はIT・電子関連材料(フレキシブル回路材料、液晶表示用偏光フィルム、電子用テープ類ほか)の製造、開発および輸出を含む販売を行う子会社です。当社の中国蘇州子会社でのフレキシブルプリント基板事業については、中国エリア対応の為の生産規模が競合各社に対し小規模であり、汎用化の加速している本市場でのコスト削減が限定的で、価格競争力が低下していました。一方、日本メクトロン株式会社では中国市場での市場競争力強化を企図していました。今回、日本メクトロン株式会社に当社子会社の事業を譲渡することが、当該事業価値を最大限に高めることができると判断し、双方合意に至ったものであります。

 

(2)出資持分の譲渡先の概要

名称   日本メクトロン株式会社

所在地  東京都港区芝大門1丁目12番15号

事業内容 電子部品の製造販売

 

(3)出資持分譲渡契約締結日

2018年1月31日

 

(4)出資持分譲渡実行日

2018年5月9日

5【研究開発活動】

 当社グループ(当社および当社の関係会社)における当連結会計年度の研究開発は、新規事業の創出と、“グローバルニッチトップ”(GNT)、“エリアニッチトップ”(ANT)製品の開発という方針を掲げ、さまざまな産業分野での市場ニーズを捉えて、それをNittoグループの全技術で解決することに取り組んでいます。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースにして様々な技術を組み合わせて、新たな価値を提供しています。

 全社技術部門においては、研究開発本部(基幹技術研究センター、サステナブル技術研究センター、ライフサイエンス研究センター)と新規事業本部(情報インターフェイス技術センター、スペースイノベーション技術センター)を両輪として、知的財産本部とプロセス技術本部が、密接に連携して、将来の事業とそれを支える技術を育成していきます。

 研究開発拠点として、国内では、研究開発と人財育成のために2016年3月大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核としており、海外では、日東電工テクニカル(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東(青島)研究院(中国-青島)を配置しています。

 当連結会計年度は、産学でのオープンイノベーションにも取り組み、情報通信領域においてNittoの光学材料の設計技術を融合してさまざまな新製品開発を進めてきました。その中でも、2017年9月にニュースリリースした高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルの開発も事業化に向け着実に進展しています。また、ライフサイエンス領域においてもドラッグデリバリー技術を強みにして核酸医薬分野での新しい展開も進めてきました。これら技術をしっかりした知的財産やモノづくりで支えながら、結果をともなった実行力“実現力”を発揮して事業化につなげていきます。

 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で842名、グループ全体で1,443名です。また、当社グループの研究開発費の総額は31,243百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は6,591百万円です。

 セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。

 

(1)インダストリアルテープ

 スマートフォンなどモバイル機器市場での変化を捉えて新製品を市場に投入することができました。さらに機能製品の開発を進めており、半導体、電子部品、家電エアフィルター、住宅関連などの分野へ製品を拡充・展開しています。今後は足元のモバイル機器市場への継続的な新製品開発を行いながら、機能付加した新規製品の開発で新市場へ展開し、さらにグリーン環境対応技術にも注力していきます。

 トランスポーテ―ション分野では、自動車・鉄道車両・航空機などの輸送機の性能向上、生産効率化、環境負荷低減に役立つ新製品の開発を推進しています。自動車材料としては、車体軽量化や電動化を見据えてアルミニウム合金用補強材や主機モーター用の絶縁材料、車載電池やランプ用の内圧調整材料を開発しました。また自動運転の安全レベル向上のために、光学技術とのコンバージェンスで新たな価値創造と新製品開発に取り組んでいます。

 当連結会計年度における研究開発費の金額は7,399百万円です。

 

(2)オプトロニクス

 大型ディスプレイ用途関連では、これまでの家庭用TVに加え、デジタルサイネージや車載ディスプレイの大型化などの特殊用途への需要が広がりを見せており、当社の偏光板製品に対しても日射のもとでの耐久性向上の要望が増えてきています。これに対して高耐久偏光板の開発に取り組み、これら用途への展開と提案を進めています。また、液晶ディスプレイ(LCD)に加え、有機ELディスプレイ(OLED)の大型化も進んでおり、視認性向上のための円偏光板の大型化を進めています。

 モバイルディスプレイ用途関係では、ディスプレイのフルアクティブ化、異形化、フレキシブル化が進んでおり、当社偏光板にも低収縮化、加工精度の向上、フレキシブルディスプレイへの対応が求められています。このような要望に対して製法改革して開発した薄型低収縮偏光板に加えて、粘着材技術や、切断、貼りあわせなどの加工技術を向上して、ディスプレイの高付加価値化に貢献していきます。

 さらに、偏光板だけではなく、タッチパネル用部材、光学透明粘着剤などとの複合化製品やディスプレイ周辺光学フィルムも開発し、さまざまな光学部材・インターフェイス材の製品を通じて、ディスプレイとそれを組み込む機器のお客様への価値提供を行っています。

 プリント回路製品では、ハードディスク(HDD)市場で培った技術を展開し、小型化や低背化の要望に対応するため、高精度、高密度、薄膜回路を形成できる技術の構築を進めてきました。現在は、信号の大容量化、高速化、5G通信を見据えて、超低誘電ポリイミドを開発するなど、新たな技術ラインナップを拡充して、多様な市場への展開を試みています。

 半導体分野では、新規構造のメモリー向けに使用されるプロセス材、構造材を開発しました。今後の市場の成長とともに売り上げ拡大が期待されます。また、環境法規制に準拠したプロセス材の開発を進めました。

 当連結会計年度における研究開発費の金額は10,706百万円です。

(3)ライフサイエンス

 核酸薬関連ではグローバルに開発が活発化しており、お客様からの要望への対応を着実に進めています。

 医薬品関連では、経皮吸収型統合失調症薬の国内臨床第3相試験で良好な結果が得られました。さらに、幅広い薬物に対応可能な次世代経皮吸収型製剤の技術開発を進めています。

 医療衛生材料関連では社内他事業部門との協業により、新しい市場及び地域への展開を進めるとともに、グループ企業のニトムズとの連携によるブランド価値向上に向けた製品開発を推進しています。

 当連結会計年度における研究開発費の金額は3,447百万円です。

 

(4)その他

 分離膜・メンブレン関連では、中国市場の超純水システム用途や油田注入水処理用途への逆浸透膜の売上が好調に推移しました。また、省エネ性と高透水性を両立した新製品も大型プロジェクトへの採用が決まりました。今後も、超純水、海水淡水化、かん水脱塩などの用途向けはもとより、油田注入水処理など付加価値の高い新製品を継続的に投入し、多様化する水資源確保に貢献していきます。

 当連結会計年度における研究開発費の金額は3,099百万円です。