(1)業績
当事業年度における経済環境は、海外において、英国のEU離脱決定、米国の大統領選挙など政治的に大きなイベントがあり、当初予想と異なる波乱の展開となりました。その後米国経済は持ち直し、また中国経済が持ちこたえたことなどもあり、年度を通じ緩やかな成長が継続しました。国内においても、年度後半にかけ海外経済の回復による輸出の増加や為替市場での円高修正が起きたことなどにより、緩やかながら景気回復が継続しました。
このような経済環境のもと、当社グループは、主力であるオプトロニクスでは、年度前半は低迷したものの、年度後半のIT業界の生産数量回復を着実に取り込むことで、収益を改善させました。インダストリアルテープでは、基盤機能材料で生産性向上による収益性改善を実現しましたが、トランスポーテーション事業ではほぼ横ばいとなりました。また、ライフサイエンスでは、事業ポートフォリオの変革の実現に向けた取組みを進め、核酸医薬の分野において、米国での受託製造事業を大きく伸ばし、さらに長年開発を続けてきた肝硬変治療薬において、米国製薬大手と独占ライセンス契約を締結し、契約一時金を受領しました。なお、平均為替レートは前年度が1米ドル=120.2円でしたが、当年度は108.9円となり、円高の影響を受けました。
以上の結果、売上収益は前連結会計年度と比較し3.2%減(以下の比較はこれに同じ)の767,710百万円となりました。また、営業利益は9.6%減の92,589百万円、税引前当期利益は10.0%減の91,791百万円、当期利益は22.3%減の63,690百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は22.3%減の63,453百万円となりました。
セグメントの業績概況
① インダストリアルテープ
トランスポーテーション事業の自動車材料では、年度後半にかけ主力の北米市場においてアルミ車体用補強材料が伸長し、年度を通じテープ加工部品やカーエレクトロニクス用途としての内圧調整材料は堅調に推移しました。基盤機能材料では、年度前半に在庫調整により伸び悩んだスマートフォン用両面テープが後半にかけ回復し、クリーンルーム空調設備向けのエアフィルターは年度を通じて大きく成長しました。工業用途全般に使用される汎用性の高い両面テープや保護材料も合理化に努め、生産性を上げることで収益力を向上させました。
以上の結果、売上収益は310,416百万円(2.0%減)、営業利益は26,214百万円(5.3%増)となりました。
② オプトロニクス
情報機能材料では、主力の光学フィルムが昨年度末からハイエンドスマートフォンの大幅な在庫調整の影響を受けましたが、年度後半にかけ、大手スマートフォンメーカーの新モデルや新興中国メーカーのハイエンドモデルなどで採用が進み、急速に回復しました。そのため、売上収益、営業利益ともに当初の見通しを上回る水準に到達しました。プリント回路は、HDD生産台数の減少の影響は受けたものの、高容量のデータセンター向け機種の需要拡大もあり挽回することができました。プロセス材料は半導体需要の拡大とともに、高水準での受注が続き、成長を遂げました。
以上の結果、売上収益は419,187百万円(8.1%減)、営業利益は50,623百万円(26.7%減)となりました。
③ ライフサイエンス
ライフサイエンス事業は飛躍を遂げた1年となりました。北米での核酸医薬の受託製造は引き続き好調で、大きく業績を拡大させました。また、核酸医薬を用いた肝硬変治療薬では、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社へ独占ライセンスを許諾することにより、契約一時金1億米ドルを受領しました。
以上の結果、売上収益は44,459百万円(85.4%増)、営業利益は21,357百万円(833.9%増)となりました。
④ その他
メンブレンでは、好調だった昨年度の状況を受け、年度前半は堅調に推移しました。年度後半は海水淡水化プラント等の需要が低迷し、価格競争の影響を受けました。なお、第3四半期からセグメント区分を変更し、当セグメントには、未だ十分な売上収益を伴っていない新規事業が含まれています。
以上の結果、売上収益は26,039百万円(11.9%減)、営業損失は1,034百万円(前連結会計年度は営業利益2,917百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は280,343百万円となり、前連結会計年度末より39,451百万円増加(前連結会計年度は26,332百万円の増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は119,939百万円(前連結会計年度は140,658百万円の増加)となりました。
これは主に、税引前当期利益91,791百万円、減価償却費及び償却費48,556百万円による増加、売上債権及びその他の債権の増減額25,161百万円による減少の結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は49,739百万円(前連結会計年度は57,085百万円の減少)となりました。
これは主に、有形固定資産及び無形資産の取得による支出43,178百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4,796百万円による減少の結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は28,884百万円(前連結会計年度は44,902百万円の減少)となりました。
これは主に、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出3,224百万円、配当金の支払額23,533百万円による減少の結果であります。
(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(退職給付に係る費用)
日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用を一定の期間で償却しておりました。IFRSでは、発生した数理計算上の差異はその他の包括利益として認識し、過去勤務費用は純損益として認識することが求められております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価・販売費及び一般管理費が3,681百万円減少し、その他の包括利益が3,486百万円増加しております。
(のれんの償却停止)
日本基準では、のれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が648百万円減少しております。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
インダストリアルテープ |
206,569 |
99.9 |
|
オプトロニクス |
411,010 |
93.0 |
|
ライフサイエンス |
31,773 |
135.2 |
|
その他 |
25,155 |
83.4 |
|
合計 |
674,509 |
96.0 |
(注)1 金額は、売価換算値によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
当社グループは、おおむね需要動向から見た見込み生産を行い、それ以外の製品については一部受注生産を行っておりますが、受注生産高の売上高に占める割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
インダストリアルテープ |
296,528 |
97.9 |
|
オプトロニクス |
406,638 |
92.5 |
|
ライフサイエンス |
40,855 |
172.4 |
|
その他 |
23,687 |
89.0 |
|
合計 |
767,710 |
96.8 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対応する割合は、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手が無いため記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
2018年10月に創立100周年を迎える当社グループは、「Innovation for Customers」をブランドスローガンとして掲げ、経営理念の核である「新しい発想でお客様の価値創造に貢献します」というミッションのもと、グローバルに全従業員が一丸となり、今まで以上に企業価値の増大に向け邁進していきます。
経営の基本戦略としては「※グローバルニッチトップ™」戦略(成長するマーケットを選択し、固有の差別化技術を活かせるニッチな分野を対象にして、世界№1シェアを獲得する)と「※エリアニッチトップ™」戦略(エリア固有のニーズにマッチした製品で、世界各地でのトップシェアを獲得する)を掲げ、この両輪で事業の拡大を図ります。
このような方針のもと、当社グループは新しい発想でお客様の価値創造に貢献し、未来に向かって成長し続ける100年企業を目指します。
(2)中長期的な会社の経営戦略
昨今、世界市場は予想以上のスピードで激しく変化しつつあります。テクノロジーの進化に伴い、提供すべき価値は単体の製品のみならず、情報やサービスが融合した高付加価値へと変化しています。このような状況のもと、2018年10月に創立100周年を迎える当社グループは、100周年という節目を越えたさらに先の成長に向け、2017年度から3か年の中期経営計画「Jitsugen-2019」をスタートさせ、以下の3点を重点項目として取り組んでいきます。
① 現行事業の構造改革
基盤機能材料事業やオプトロニクス事業を中心に収益性を改善するとともに、トランスポーテーション事業などでは新需要を創出していくことで、現行事業をさらに強化し、Nittoグループならではの強みを磨いていきます。
② 成長戦略の推進
グリーン(環境関連)、クリーン(新エネルギー関連)、ファイン(ライフサイエンス関連)の領域において、将来の核となる新しい事業の創出に取り組みます。取組みの一例として、2016年には、日東電工アビシア社を通じて米州のIrvine Pharmaceutical ServicesおよびAvrio Biopharmaceuticalsの資産買収を行い、新会社「日東アビシアファーマサービス社(Nitto Avecia Pharma Services Inc.)」を設立しました。買収により得られた新たな分析・製造能力を最大限に活用し、市場拡大が見込まれる核酸医薬で更なる事業拡大を目指します。また、海外においては各国における内需の取込みを強化し、世界の各エリアでさらなる成長を実現していきます。
③ 経営基盤の強化
事業の成長を推進すると同時に「安心で安全な職場環境づくり」、「事業活動に伴う環境負荷の低減」、「環境に優しい製品の提供」、「お客様に喜んでいただける品質の追求」、「社会貢献活動への取組み」などの施策に積極的に取り組むことで、ステークホルダーの皆様に対して提供する価値の一層の向上を図ります。また、ブランド施策については、取組みをグローバルに拡大していきます。さらに、今後更なる成長を支えるため、世界各国でリーダー人財の育成を加速するなど、世界中でNittoグループとして総合力で戦える仕組みづくりを実行していきます。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループは、2018年10月に創立100周年を迎えます。この記念すべき節目を越え、次の100年に向けてより一層の成長を実現していくためには、市場のニーズに一歩先んじて応えることで、激しい変化をチャンスに変えていくことが重要であると認識しています。
情報技術などが飛躍的に革新する今日、当社グループはこれまで以上に変化を早く捉え、社内外の様々な技術や情報をコンバージェンス(融合)させることで新たな価値を創出します。そのために、従来のビジネスモデルやものづくりに拘らず、新しい手法や考え方を取り入れながら、世界中で「Innovation for Customers」を実現していきます。
セグメント別においては、それぞれ次の取組みを重点的に実施いたします。
・インダストリアルテープ
基盤機能材料では、粘着テープから機能材料へのシフトを進め、他事業との連携による新製品創出など、高付加価値製品を市場へ提供していきます。トランスポーテーション事業では、生産効率化を推進するとともに、次世代自動車分野やモビリティー分野での新製品開発に取り組み、輸送機全般のニーズに応えていきます。
・オプトロニクス
情報機能材料では、モバイルやテレビ、車載などの成長市場に注力し、高収益事業の拡大と事業構造の改革を実行します。プリント回路およびプロセス材料においては、HDD・半導体メモリ向けの既存事業の強化とコスト構造の改革に取り組んでいきます。
・ライフサイエンス
ライフサイエンス事業では、増強した設備や買収したサービスを活用し、核酸医薬の受託製造において、業界での高いシェアを維持すべく、M&Aによるバリューチェーンの拡大と設備投資による生産能力の拡張で、高い成長を目指します。また、核酸医薬を用いた肝硬変治療薬は、早期上市に向け、米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と協力していきます。一方、がん治療薬を含む他の治療薬については、創薬事業を行うNitto BioPharma, Inc.を中心に、当社グループの新しい事業の柱とすべく、活動を強化していきます。
・その他
メンブレン(高分子分離膜)では、強固な事業基盤の構築を進めるとともに、高成長セグメントへの注力、新市場の開拓など、収益性向上に向けて活動していきます。新規事業では、早期の事業化を目指し、活動を推進していきます。
※「グローバルニッチトップ / Global Niche Top」「エリアニッチトップ / Area Niche Top」は、当社の登録商標です。
(4)会社の支配に関する基本方針について
当社株式の大規模買付け行為に対する基本的な考え方は、以下のとおりであります。
当社は、株式の大量保有を目的とする買付けが行われる場合において、それに応じるか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えておりますが、一方では高値での売抜け等の不当な目的による企業買収の存在も否定できず、そのような買収者から当社の基本理念やブランドおよび株主を始めとする各ステークホルダーの利益を守るのは、当社の経営を預かる者として当然の責務であると認識しております。
現在のところ、当社株式の大量買付けに係る具体的な脅威が生じているわけでなく、また当社としても、そのような買付者が出現した場合の具体的な取組み(いわゆる「買収防衛策」)を予め定めるものではありませんが、当社としては、株主から付託を受けた経営者の責務として、当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視するとともに、株式の大量取得を企図する者が出現した場合には、直ちに当社として最も適切と考えられる措置を講じる方針です。
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
(1)政治、社会、経済動向
当社グループは、世界各国でグローバルな事業展開を行っています。進出国における予想しない雇用関係の悪化や労働争議、人件費の上昇、輸送や電力供給の停止などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、政情の激変によるテロ、戦争、クーデター等の発生、自国優先主義の台頭など世界経済の急変による市場の停滞、想定を超えた為替レートの変動、金融不安なども、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法規制の変化とコンプライアンス
当社グループは、世界各国の様々な分野で事業を展開しています。すべての活動において、各国の法規制の遵守に努めていますが、法令・税制・規制の強化や大幅な変更、解釈の相違、商習慣の相違などにより、当社グループの活動が制限され、新たなコストが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、役員・従業員がコンプライアンス上の問題を発生させた場合も、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事故・災害
当社グループは「安全をすべてに優先する」方針のもと事故や災害に備え、事業継続計画(BCP)および事業継続マネジメント(BCM)を推進しています。特に地震は日本において発生確率が高く津波や洪水などを伴うことがあります。さらにその影響から火災、化学物質漏えい、電力・ガスなどインフラ被害が発生し、その結果広範囲にわたるサプライチェーンの分断が発生する可能性もあります。また、人命に深刻な影響を及ぼす感染症の大流行があった場合も、地域や世界経済への影響を免れず、事業継続が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)環境問題
当社グループは、地域から地球規模までの環境に配慮した誠実な行動を重要方針に掲げ、社会的責任の観点から自主的な環境負荷削減計画を作り、廃棄物削減、大気汚染防止、地球温暖化防止などに取り組んでいます。これまで重大な環境問題を発生させたことはありません。しかし、環境負荷削減において、計画通りの実績が上がらない場合や、予期せぬ事故や自然災害により不測の環境汚染が生じた場合、多額の対策費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)オプトロニクス事業
液晶表示用材料やタッチパネル用材料は当社グループの中核事業です。これらの市場では多くの企業による厳しい競争が続いています。当社グループの材料が組み込まれた製品の市場動向、技術の革新、顧客である液晶パネルメーカーやタッチパネルメーカーの再編や戦略の変化、需給バランスの変化による製品価格の下落、原材料メーカーの生産能力と需要変化による原材料価格の高騰などが生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)ライフサイエンス事業
当社グループは、新たな事業分野としてライフサイエンス事業への取組みを強化しています。本事業は、関係する各国の厳格な審査とそれに基づく承認のほか、万一にも製品による副作用が発生した際には販売停止や製品回収など、多くの要因によって業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)研究開発
当社グループが事業展開する分野の多くは、技術革新とコスト競争力への厳しい要求があります。そのため当社グループは、グローバルニッチトップ戦略に、エリア特有のニーズに合った製品を供給するエリアニッチトップ戦略を加え、新製品開発、新用途開拓、新需要創造に取り組み、必要な研究開発投資や設備投資を行っています。しかし、市場変化が激しい業界では、その変化の予測は容易ではありません。他社の新技術や新製品により、当社グループ製品が突然予期せぬ陳腐化を起こすこともあります。このような状況が生じた場合、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)原材料確保
当社グループでは原材料調達先を複数にするなど主要原材料が確保できなくなるリスクを低減するよう努めています。しかし、一部の原材料は特定の購入先に依存しています。その購入先の自然災害による被災、事故、倒産など、止むを得ない事情により、供給量が減少したり停止した場合、需給バランスがくずれ必要な原材料の確保ができなかったりコストが上昇するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製品品質
当社グループは、国際的品質管理システムに従い部材を中心とする製品を製造し、お客様に納入しています。しかし、製品の欠陥による賠償リスクを完全に排除することは困難です。生産物賠償責任保険の適用を超える賠償などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権
当社グループは、市場競争力を高める目的から多くの知的財産権を保有し、維持、管理しています。しかし、第三者から無効とされる可能性、特定の地域で十分な保護が得られない可能性、模倣される可能性、訴訟を受ける可能性などがあり、知的財産権による保護が大きく損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)M&A
当社グループは事業成長を目的として、優れた技術を有する企業の買収や事業提携など様々な形で他企業との関係を構築しています。しかし、買収や事業提携などが期待どおりの効果を生まなかった場合、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)人財確保
当社グループの事業活動を推進するためには、研究・開発・製造・販売・管理など様々な分野において優秀な人財の確保が必要です。事業の発展に向けたグローバル人財の採用を積極的に進めていますが、人財の継続的な獲得と流出の防止ができない場合、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)顧客の財務状況
当社グループは、顧客について十分な信用調査のうえ、取引を行っています。しかし、当社グループが売上債権を有する顧客において、事業環境の大きな変化により財務上重大な問題が発生する可能性があります。特に、変化の激しいエレクトロニクスやライフサイエンス分野における債権の大きい顧客で貸倒れが発生した場合、回収不能額が多額となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)情報管理
当社グループにとって、情報システムは事業活動のあらゆる側面において非常に重要な役割を担っており、年々複雑化・高度化しているうえに、サイバーテロなどの人為的リスクの対象にもなっています。当社グループは、ハード・ソフト両面で様々な情報セキュリティ対策を実施していますが、情報システムに障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、技術情報、顧客情報、取引情報、個人情報などの流出や不正使用を防止するため、様々な情報セキュリティ対策を実施していますが、情報流出や不正使用が発生した場合、その対応のため当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)訴訟
当社グループが事業活動を進めていく中で、取引先や第三者との間で訴訟が発生する可能性があります。それらの訴訟の結果が、当社グループ側の主張および予測と異なる結果となるリスクは避けられず、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(16)確定給付負債
当社グループの確定給付負債は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されており、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金や年金制度の変更などにより、認識および計上される債務に影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社グループ(当社および当社の関係会社)における当連結会計年度の研究開発は、新規事業の創出と、“エリアニッチトップ”(ANT)製品の開発という方針を掲げ、お客様が困っていることを見出して、それをNittoの全技術で解決することに取り組んでいます。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースにして様々な技術を組み合わせて、“グリーン”“クリーン”“ファイン”の事業領域において、新たな価値を提供していきます。
その中でも、当年度は“ファイン”=ライフサイエンスの領域において、核酸分野での薬剤設計や受託合成が事業業績に貢献しただけでなく、ドラッグデリバリー技術を強みにして、免疫分野や経皮吸収薬での新しい展開も進めてきました。
研究開発の推進体制としては、2016年3月に大阪府茨木市に開設した研究と人財育成の拠点“inovas”(イノヴァス)を中核として、国内の基幹技術研究センター、環境ソリューション研究センター、エネルギーマテリアル研究センター、ライフサイエンス研究センターを、海外には、アドバンストテクノロジーセンター(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東電工ヨーロッパテクニカルセンター(スイス-ローザンヌ)、日東(青島)研究院(中国-青島)を配置しています。
さらに、2017年度からは、これまでの研究開発本部に加えて、新規事業本部、知的財産本部、プロセス技術本部を設置して、全社技術部門を4本部体制としています。変化の速い情報通信分野においても、Nittoの光学材料の設計技術を融合して新製品を生み出し、しっかりした知的財産やモノづくりで支えながら、結果をともなった実行力=“実現力”を発揮して事業化につなげていきます。
当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で886名、グループ全体で1,426名です。また、当社グループの研究開発費の総額は30,366百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は6,584百万円です。
セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。
(1)インダストリアルテープ
モバイル市場向けのテープ製品の次の柱となる事業に向けて、機能製品の開発を進めております。具体的にはストレージ関連や住宅関連、クリーンルーム用のフッ素樹脂フィルターなどの製品拡充・展開に力を掛けてきました。
今後は足元のモバイル市場への継続的な新製品開発を行いながらも、機能付加した新規製品の開発で新市場へ展開し、さらにグリーン環境対応技術に力を入れた活動を行ってまいります。
自動車関係では、NVH製品の拡販に加えて、次世代自動車に向けた新製品創出を加速しております。主機モーターに向けた絶縁材料、車載電池に向けた内圧調整材料においては、グローバルの顧客にて採用が拡大しております。
また、自動運転を見据えた安全系分野においては、欧州(ドイツ)マーケティング拠点の設置により、顧客との接点が増えてきております。光学材料を中心とした社内技術を融合することにより、新たな価値創造・新製品創出に努めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は5,370百万円です。
(2)オプトロニクス
テレビ用途関係では、LCD(液晶ディスプレイ)は大画面化、狭額縁化、薄型化が進み、弊社の偏光板製品に対しても、薄型、低収縮の要望がますます増えてきています。このような市場の要求に対して、大きく製法改革して開発した薄型低収縮偏光板をテレビ用にも展開を進め、ロール to パネル技術と組み合わせた提案を進めています。引き続き性能向上とコストダウンに取り組み、お客様のご要望にお応えしていきます。
モバイル用途関係では、LCDだけでなく有機ELディスプレイにも、視認性向上のための弊社の円偏光板が広く使われています。両分野において高機能偏光板を展開することにより、ディスプレイの更なる高性能化に貢献していきます。更に、偏光板だけではなく、タッチパネル用部材、光学透明粘着剤などとの複合化製品やディスプレイ周辺光学フィルムも開発し、お客様に価値提供を行ってまいります。
プリント回路関係では、小型化、低背化が要望されるアプリケーションに対応するため、高精度、高密度、薄膜回路を形成できる技術の構築を進めてきました。現在、新たな技術ラインナップを拡充し、多様な市場への展開を試みています。また、今後の信号の大容量化、高速化を見据えた光伝送基板の開発、試作ラインの構築を進めております。並行して光信号市場での実績化を目指しお客様への提案を進めております。
半導体関係では、メモリー向けのダイアタッチフィルムは好調を維持しました。新規構造のメモリー向けに使用されるダイアタッチフィルムの開発は完了、今後実績化を図っていきます。
また、電子部品関連では、熱硬化性封止シートの売上げが伸びており、さらに機能を付加させた新製品での新規提案を進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は12,024百万円です。
(3)ライフサイエンス
核酸関係ではグローバルに開発市場が活発化しており、顧客要求への対応を着実に進めました。
医薬品関係では、世界初となる経皮吸収型統合失調症薬の製剤開発が進展いたしました。さらに、幅広い薬物に対応可能な次世代経皮吸収型製剤の技術開発を進めています。
医療衛生材料関係では南アジア諸国での経済発展に伴う需要増に対応し、医療用テープ類の販売が伸長しました。グループ企業のニトムズとの連携によるブランド価値向上に向けた製品開発を推進しています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は3,496百万円です。
(4)その他
メンブレン関係では、中国、インドなどで成長している家庭用浄水器用途への逆浸透膜の売上が増加しました。今後もこの分野に注力し、この地域の民間レベルでの水環境の向上に貢献し、事業を拡大していきます。また、従来の事業領域である、超純水、海水淡水化、かん水脱塩の用途向けはもとより油田注入水処理用途への最適で付加価値の高い新製品の開発を行い、多様化する市場の要求に応えていきます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は2,891百万円です。
(1)財政状態
当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べ53,993百万円増加し、879,899百万円となりました。流動資産は61,545百万円増加の563,798百万円、非流動資産は7,551百万円減少の316,100百万円となりました。
流動資産の増加は、現金及び現金同等物が39,451百万円増加したこと、売上債権及びその他の債権が24,056百万円増加したこと等によるものであります。
非流動資産の減少は、有形固定資産が前期末に比べ14,104百万円減少したこと、のれんが4,637百万円増加したこと、無形資産が3,194百万円増加したこと等によるものであります。有形固定資産の減少は、減価償却等によるものです。
当期末の負債合計は、前期末に比べ17,463百万円増加し、225,477百万円となりました。流動負債は20,740百万円増加の174,557百万円、非流動負債は3,276百万円減少の50,920百万円となりました。
流動負債の増加は、仕入債務及びその他の債務が14,694百万円増加したこと、未払法人所得税等が12,224百万円増加したこと、その他の金融負債が2,817百万円減少したこと等によるものであります。
非流動負債の減少は、確定給付負債が4,755百万円減少したこと、その他の金融負債が727百万円増加したこと等によるものであります。
当期末の資本合計は、前期末に比べ36,529百万円増加し、654,421百万円となりました。
これは、利益剰余金が、親会社の所有者に帰属する当期利益等により前期末に比べ44,535百万円増加したこと、為替変動等によりその他の資本の構成要素が4,785百万円減少したこと等によるものであります。
(2)経営成績
当連結会計年度(以下「当期」という。)は、売上収益は前期比3.2%減の767,710百万円となりました。これはアジア・オセアニア向けの情報機能材料等の売上収益が減少したこと等によるものです。
売上原価は、前期比3.6%減の528,592百万円となりました。売上収益に対する売上原価の比率は、前期比0.3%減の68.9%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比5.0%減の109,317百万円となりました。売上収益に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度(以下「前期」という。)より0.3ポイント減少し14.2%となりました。研究開発費は、前期比5.5%減の30,366百万円となりました。売上収益に対する研究開発費の比率は、前期より0.1ポイント減少し4.0%となりました。
以上の結果、営業利益は前期比9.6%減の92,589百万円となりました。
税引前当期利益は前期比10.0%減の91,791百万円となりました。
法人所得税費用は、前期の20,006百万円から、当期は28,101百万円となり、税効果会計適用後の法人税等の負担率は30.6%(前期は19.6%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比22.3%減の63,453百万円となりました。基本的1株当たり当期利益金額は、前期比21.1%減の390円94銭となりました。
なお、セグメント別の売上収益および営業利益の概況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
(3)キャッシュ・フロー
当期のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。
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2014年3月期 |
2015年3月期 |
2016年3月期 |
2017年3月期 |
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親会社所有者帰属持分比率(%) |
66.5 |
71.5 |
74.4 |
74.3 |
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時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) |
104.1 |
155.0 |
123.0 |
158.7 |
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キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.8 |
0.1 |
0.0 |
0.0 |
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インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
82.8 |
148.5 |
263.0 |
311.2 |
(注)1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。
親会社所有者帰属持分比率(%) 親会社所有者帰属持分÷総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) 株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) 有利子負債÷キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) キャッシュ・フロー÷利払い
2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を
対象としております。