(1)業績
当事業年度における経済環境は、欧米では個人消費を中心とした堅調な需要回復に支えられ推移しました。しかし、期後半に入って米国の利上げ、中国経済の減速、資源価格の下落等、停滞感の強い状況となりました。国内においては、設備投資の緩やかな増加や雇用情勢の改善が見られたものの、年明け以降の急激な円高が企業業績に影響を与え、個人消費は足踏みしました。
このような経済環境のもと、日東電工グループは、主力であるオプトロニクス業界で競争力あるポジションを維持しながら、売上と利益の最大化を目指しました。既存領域ではエリアニッチトップ™製品やグローバルニッチトップ™製品の創出に注力しました。加えて、グリーン(環境関連)・クリーン(新エネルギー)・ファイン(ライフサイエンス)の新領域で多軸展開を推進し、事業ポートフォリオの変革へ挑みました。オプトロニクス業界では、液晶用光学フィルムやプリント回路が、スマートフォンやハードディスク駆動装置(HDD)の生産減による影響を受けました。一方、インダストリアルテープ事業では、自動車材料を中心に順調に推移しました。次なる成長に向けて、自動車ワイヤーハーネス結束用PVCテープの台湾における増産投資や、独ミュンヘンにカーエレクトロニクスの拠点を設立するなど、積極的な施策を遂行しました。新領域での需要創造においては、分子標的DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)技術を用いた肝硬変治療薬が順調に進展しました。日本と欧州(ブルガリア)で治験を開始したほか、治験が最も進んでいる米国では、中間結果に基づき米国FDA(食品医薬品局)よりファスト・トラック(優先承認審査制度)の指定を受けました。2016年1月には、米国に創薬専業の新会社(Nitto BioPharma, Inc.)を設立しました。当局からの支援も受けながら事業化の促進を図り、患者様へできるだけ早く製品を提供できるよう、取り組んでまいります。
以上の結果、売上収益は前年度と比較し3.9%減(以下の比較はこれに同じ)の793,054百万円となりました。また、営業利益は4.1%減の102,397百万円、税引前当期利益は3.7%減の101,996百万円、当期利益は5.1%増の81,989百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は4.9%増の81,683百万円となりました。
セグメントの業績概況
① インダストリアルテープ
エレクトロニクス業界向けは、上期にスマートフォン用両面粘着テープの顧客在庫が増加したため、下期に大きな在庫調整が生じました。これは、防塵・緩衝用薄層フォーム材へも影響を与えました。防水・通音機能材料のように好調な需要が継続する製品もありましたが、全体ではスマートフォン用両面粘着テープの落ち込みを補うには至りませんでした。自動車業界向けは、グローバル生産台数が前年比ほぼ横ばいでしたが、伸長する北米市場では三新活動(新用途開拓、新製品開発、新需要創造の三つの新を掲げた固有のマーケティング活動)の成果や、現地オペレーションの効率アップにより、順調に推移しました。また、工業用途全般に使用される汎用性の高い両面粘着テープは、家電OA機器向けに、保護・マスキング材は、建材市場向けに堅調に推移しました。
以上の結果、売上収益は322,155百万円(1.8%増)、営業利益は28,614百万円(34.9%増)となりました。
② オプトロニクス
情報機能材料では、スマートフォンやテレビ向け光学フィルムが好調に推移していましたが、第4四半期に入ると液晶パネルの生産調整が始まり、物量と価格の両面で影響を受けました。対策として、スマートフォン向けに加えテレビ向けへも新型偏光板を納入することで、物量の確保を図りました。タッチパネル用透明導電性フィルムでは、タブレットPCの需要が伸び悩みました。これらにより全体として、期前半は好調に推移しましたが、期末にかけて減速感が強まりました。プリント回路は、パソコン市場低迷によるHDD生産台数の減少の影響を受けました。加えて、中国系スマートフォンの需要低迷の継続により、全体では低調に推移しました。プロセス材料は、主に半導体製造の後工程で使用されるテープですが、スマートフォンの通信高速化に伴うテープ需要増とテープ貼り合わせ装置の拡販により、堅調に推移しました。
以上の結果、売上収益は455,831百万円(10.5%減)、営業利益は65,444百万円(25.2%減)となりました。
③ その他(メディカルおよびメンブレン)
メディカル(医療関連材料)では、核酸医薬の開発が世界的に活発になってきており、受託合成の需要が持続的に高まりました。同事業を米国に加え、日本でも立ち上げ、実績化しました。これらが好調を牽引しました。メンブレン(高分子分離膜)は、工場排水再利用の新規や交換案件を着実に受注することと、海上油田等で収益性の高い案件を受注することで、好調に推移しました。
以上の結果、売上収益は53,367百万円(30.7%増)、営業利益は11,179百万円(364.5%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は240,891百万円となり、前連結会計年度末より26,332百万円増加(前連結会計年度は11,113百万円の増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は140,658百万円(前連結会計年度は119,481百万円の増加)となりました。
これは主に、税引前当期利益101,996百万円、減価償却費及び償却費48,537百万円、売上債権及びその他の債権の増減額32,082百万円による増加、法人税等の支払額又は還付額34,146百万円による減少の結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は57,085百万円(前連結会計年度は53,857百万円の減少)となりました。
これは主に、有形固定資産及び無形資産の取得による支出63,047百万円による減少、有形固定資産及び無形資産の売却による収入2,823百万円および投資有価証券の売却による収入3,009百万円による増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は44,902百万円(前連結会計年度は68,966百万円の減少)となりました。
これは主に、自己株式の増減額20,007百万円による減少、配当金の支払額22,297百万円によるものであります。
(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(退職給付に係る費用)
日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用を一定の期間で償却しておりました。IFRSでは、発生した数理計算上の差異はその他の包括利益として認識し、過去勤務費用は純損益として認識することが求められております。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価・販売費及び一般管理費が2,009百万円減少し、その他の包括利益が1,811百万円増加しております。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
インダストリアルテープ |
206,691 |
100.3 |
|
オプトロニクス |
442,025 |
94.0 |
|
その他 |
53,682 |
137.4 |
|
合計 |
702,399 |
98.2 |
(注)1 金額は、売価換算値によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
当社グループは、おおむね需要動向から見た見込み生産を行い、それ以外の製品については一部受注生産を行っておりますが、受注生産高の売上高に占める割合の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
インダストリアルテープ |
303,637 |
103.4 |
|
オプトロニクス |
439,106 |
89.3 |
|
その他 |
50,309 |
126.5 |
|
合計 |
793,054 |
96.1 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対応する割合は、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手が無いため記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)対処すべき課題
当社グループは、2018年10月に創立100周年を迎えます。この記念すべき節目を越え、次の100年に向けてより一層の成長を実現していくためには、市場のニーズに一歩先んじて応えることで、激しい変化をチャンスに変えていくことが重要であると認識しております。
このような認識のもと、市場に身を置き変化をいち早く捉え、社内外の様々な技術や情報を融合させることで、顧客の期待を越える価値を創出してまいります。また、世界の各地域に密着することにより、それぞれに最も適したビジネスモデル(開発・調達・生産・販売・物流・管理などの事業体制)の構築を推進してまいります。
セグメント別においては、それぞれ次の取り組みを重点的に実施いたします。
・インダストリアルテープ
基盤機能材料事業では、当社グループの基幹技術を多方面に展開し、様々な成長分野において新規事業創出を図ります。自動車事業は、2016年4月に「トランスポーテーション事業部門」を創設したことを契機に、自動車のみならず航空機・鉄道・船舶といった輸送機全般の次世代ニーズに、当社グループの総合力を活かし応えてまいります。
・オプトロニクス
情報機能材料事業は、モバイルやテレビなどの市場における高シェアを維持する一方、車載や医療分野など新しい市場にも注力してまいります。半導体用材料およびプリント回路ならびにプロセス材料においては、IoT分野における進化を予測することで、スピーディーに需要を取り込んでまいります。
・その他(メディカルおよびメンブレン)
メディカル(医療関連材料)は、好調な核酸医薬事業をさらに拡大するほか、医薬品や衛生材料の海外市場における取組みを強化いたします。メンブレン(高分子分離膜)は、強固な事業基盤の構築を進めるとともに、ガス分離など新たな用途への展開を目指し、グローバルに活動してまいります。
(2)会社の支配に関する基本方針について
当社株式の大規模買付け行為に対する基本的な考え方は、以下のとおりであります。
当社は、株式の大量保有を目的とする買付けが行われる場合において、それに応じるか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えておりますが、一方では高値での売抜け等の不当な目的による企業買収の存在も否定できず、そのような買収者から当社の基本理念やブランドおよび株主を始めとする各ステークホルダーの利益を守るのは、当社の経営を預かる者として当然の責務であると認識しております。
現在のところ、当社株式の大量買付けに係る具体的な脅威が生じているわけでなく、また当社としても、そのような買付者が出現した場合の具体的な取組み(いわゆる「買収防衛策」)を予め定めるものではありませんが、当社としては、株主から付託を受けた経営者の責務として、当社株式の取引や株主の異動状況を常に注視するとともに、株式の大量取得を企図する者が出現した場合には、直ちに当社として最も適切と考えられる措置を講じる方針です。
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
(1)政治、社会、経済動向
当社グループは、世界各国でグローバルな事業展開を行っています。進出国における予想しない雇用関係の悪化や労働争議、人件費の上昇、輸送や電力供給の停止などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、政情の激変によるテロ、戦争、クーデター等の発生、世界経済の急変による市場の停滞、想定を超えた為替レートの変動、金融不安なども、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法規制の変化とコンプライアンス
当社グループは、世界各国の様々な分野で事業を展開しています。すべての活動において、各国の法規制の遵守に努めていますが、法令・税制・規制の強化や大幅な変更、解釈の相違、商習慣の相違などにより、当社グループの活動が制限され、新たなコストが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、役員・従業員がコンプライアンス上の問題を発生させた場合も、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事故・災害
当社グループは「安全をすべてに優先する」方針のもと事故や災害に備え、事業継続計画(BCP)および事業継続マネジメント(BCM)を推進しています。特に地震は日本において発生確率が高く津波や洪水などを伴うことがあります。さらにその影響から火災、化学物質漏えい、電力・ガスなどインフラ被害が発生し、その結果広範囲にわたるサプライチェーンの分断が発生する可能性もあります。また、人命に深刻な影響を及ぼす感染症の大流行があった場合も、地域や世界経済への影響を免れず、事業継続が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)環境問題
当社グループは、地域から地球規模までの環境に配慮した誠実な行動を重要方針に掲げ、社会的責任の観点から自主的な環境負荷削減計画を作り、廃棄物削減、大気汚染防止、地球温暖化防止などに取り組んでいます。これまで重大な環境問題を発生させたことはありません。しかし、環境負荷削減において、計画通りの実績が上がらない場合や、予期せぬ事故や自然災害により不測の環境汚染が生じた場合、多額の対策費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)オプトロニクス事業
液晶表示用材料やタッチパネル用材料は当社グループの中核事業です。これらの市場では多くの企業による厳しい競争が続いています。当社グループの材料が組み込まれた製品の市場動向、技術の革新、顧客である液晶パネルメーカーやタッチパネルメーカーの再編や戦略の変化、需給バランスの変化による製品価格の下落、原材料メーカーの生産能力と需要変化による原材料価格の高騰などが生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)研究開発
当社グループが事業展開する分野の多くは、技術革新とコスト競争力への厳しい要求があります。そのため当社グループは、グローバルニッチトップ戦略に、エリア特有のニーズに合った製品を供給するエリアニッチトップ戦略を加え、新製品開発、新用途開拓、新需要創造に取り組み、必要な研究開発投資や設備投資を行っています。しかし、市場変化が激しい業界では、その変化の予測は容易ではありません。他社の新技術や新製品により、当社グループ製品が突然予期せぬ陳腐化を起こすこともあります。このような状況が生じた場合、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)原材料確保
当社グループでは原材料調達先を複数にするなど主要原材料が確保できなくなるリスクを低減するよう努めています。しかし、一部の原材料は特定の購入先に依存しています。その購入先の自然災害による被災、事故、倒産など、止むを得ない事情により、供給量が減少したり停止した場合、需給バランスがくずれ必要な原材料の確保ができなかったりコストが上昇するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)製品品質
当社グループは、国際的品質管理システムに従い部材を中心とする製品を製造し、お客様に納入しています。しかし、製品の欠陥による賠償リスクを完全に排除することは困難です。生産物賠償責任保険の適用を超える賠償などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産権
当社グループは、市場競争力を高める目的から多くの知的財産権を保有し、維持、管理しています。しかし、第三者から無効とされる可能性、特定の地域で十分な保護が得られない可能性、模倣される可能性、訴訟を受ける可能性などがあり、知的財産権による保護が大きく損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)M&A
当社グループは事業成長を目的として、優れた技術を有する企業の買収や事業提携など様々な形で他企業との関係を構築しています。しかし、買収や事業提携などが期待どおりの効果を生まなかった場合、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人財確保
当社グループの事業活動を推進するためには、研究・開発・製造・販売・管理など様々な分野において優秀な人財の確保が必要です。事業の発展に向けたグローバル人財の採用を積極的に進めていますが、人財の継続的な獲得と流出の防止ができない場合、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)顧客の財務状況
当社グループは、顧客について十分な信用調査のうえ、取引を行っています。しかし、当社グループが売上債権を有する顧客において、事業環境の大きな変化により財務上重大な問題が発生する可能性があります。特に、液晶パネルメーカーやタッチパネルメーカーである顧客は、一顧客当たりの債権額が大きいため、貸倒れが発生した場合、回収不能額が多額となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報管理
当社グループにとって、情報システムは非常に重要な役割を担っており、年々複雑化・高度化しています。また情報システムは、自然災害や火災に加え、サイバーテロなどの人為的リスクの対象にもなっています。当社グループは、ハード・ソフト両面で様々な情報セキュリティ対策を実施していますが、情報システムに障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、技術情報、顧客情報、取引情報、個人情報などの流出や不正使用を防止するため、様々な情報セキュリティ対策を実施していますが、情報流出や不正使用が発生した場合、その対応のため当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)訴訟
当社グループの事業活動を進めていく中で、取引先や第三者との間で訴訟が発生する可能性があります。それらの訴訟の結果が、当社グループ側の主張および予測と異なる結果となるリスクは避けられず、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(15)確定給付負債
当社グループの確定給付負債は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されており、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金や年金制度の変更などにより、認識および計上される債務に影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社グループ(当社および連結子会社)における当連結会計年度の研究開発は、『C・S・C with Passion』のスローガンのもと、“危機感(C)”“スピード(S)”“コミュニケーション(C)”を念頭に、Passion(情熱)をもって成長戦略を進めてきました。“エリア・ニッチ・トップ”(ANT)や、“多軸創出”という方針を掲げ、お客様が本当に困っていることを見出して、それをNittoの全技術で解決することに取り組んでいます。今後もCTO(Chief Technology Officer)を中心とするR&Dマネジメント体制を強化して、「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースにして様々な技術を融合し、“グリーン”“クリーン”“ファイン”の事業領域において、新たな価値を提供していきます。
その推進体制としては、全社技術部門として、国内には、基幹技術研究センター、環境ソリューション研究センター、エネルギーマテリアル研究センター、ライフサイエンス研究センターを、海外には、アドバンストテクノロジーセンター(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東電工ヨーロッパテクニカルセンター(スイス-ローザンヌ)、日東(青島)研究院(中国-青海)を配置しています。また、お客様との共創でイノベーションを生み出すために、2016年3月に研究と人財育成の新しい拠点“inovas”(イノヴァス)を大阪府茨木市にオープンしました。
さらに、新規事業創出を目的として、2015年4月には多軸創出統括部を新設しました。グローバルの研究開発拠点と連携しながら、推進テーマの早期事業化、新規事業の拡大を積極的に進めており、窓用遮熱&断熱フィルム ペンジェレックスをはじめとした当社の成長を支える新規事業を継続的に生み出します。
当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で948名、グループ全体で1,488名です。また、当グループが支出した研究開発費の総額は32,120百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は11,854百万円です。
セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。
(1)インダストリアルテープ
モバイル市場向けのテープ製品の次の柱となる事業に向けて製品開発しています。具体的には新たな事業展開としてアグリカルチャー分野において農水路補修用テープ、さつま芋苗生育保護シートを製品化しました。引き続き本分野における製品の拡充・展開を行っています。
継続的に成長するエレクトロニクス市場においては、環境対応によるガラス材からの変更やクリーンルーム用でフッ素樹脂膜の需要が大幅に増加しました。
自動車関係では、将来の環境対応型、自動運転化を見据えた最適な自動車関連材料を提案するため、実際の部材を使ってその効果を評価・検証するAutomotive Technical Center(ATC)を日本、ベルギー、アメリカ、中国、タイの世界5カ国で連携し、グローバルでお客様の新たな価値創造に努めていきます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は5,110百万円です。
(2)オプトロニクス
テレビ用途関係では、LCD(液晶ディスプレイ)は大画面化、狭額縁化、薄型化が進み、当社の偏光板製品に対しても、薄型、低収縮の要望がますます増えてきています。このような市場の要求に対して、大きく製法改革して開発した薄型低収縮偏光板をテレビ用にも展開を進め、ロール to パネル技術と組み合わせた提案を進めています。
モバイル用途関係では、LCDだけでなく有機ELディスプレイにも、視認性向上のための当社の円偏光板が広く使われています。今後のディスプレイのフレキシブル化やウェアラブル化にむけて、偏光板だけではなく、タッチパネル用部材、窓用フィルムなどとの複合化製品も開発しながら、お客様に新規光学フィルムの提案を進めていきます。
プリント回路関係では、動きの激しいスマートフォン業界等に対応するため、高精細化、高密度化、薄型化等に対応できる技術の整備を進めてきました。結果として、多様なFPC(フレキシブルプリント回路基板)に対応できる環境が整いつつあり、次の成長市場への展開へ踏み出すことができました。
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)関係においては、次世代HDDに向けた技術開発が進み、高密度記録に対応した高精度の読み出しの技術確立を完了しました。新用途展開である光伝送基板も量産ラインの整備を進めています。
半導体関係では、フラッシュ・DRAMメモリー向けに使用されるダイアタッチフィルムが引き続き堅調に成長しました。メモリー以外への展開も進んでいます。さらに放熱や導電といった機能の付加を進め、次世代への対応を進めています。
電子部品関係では、昨年度上市した熱硬化型封止シートが順調に売り上げを伸ばしており、今後はスマートフォン等向け電子部品での採用により大きく伸ばす活動を推進します。
当連結会計年度における研究開発費の金額は13,564百万円です。
(3)その他(メディカルおよびメンブレン)
医薬品関係では、世界初となる経皮吸収型統合失調症薬の製剤開発を進めました。
医療衛生材料関係では、日本市場向けにフィット感に優れる極薄フィルムを用いた皮膚保護テープの開発を行いました。アジア諸国・欧州で医療用テープ類の販売が伸展いたしました。
核酸関係ではグローバルに開発市場が活発化し、東北事業所の少量合成サービス(OliGrow® Japan)も順調に滑り出しました。
メンブレン関係では、従来の事業領域である、海水淡水化、かん水脱塩、廃水再利用の用途向けの製品は引き続き膜性能向上とコストダウンの取り組みを行い、世界各地のお客様の需要に応えていきます。また、新しい市場へのアプローチとして、油田注入水処理用途の膜製品、中国、インドなどで成長している家庭用浄水器用途への膜製品を投入し、売上拡大に努めています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は1,590百万円です。
(1)財政状態
当連結会計年度末(以下、「当期末」という。)の資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べ29,527百万円減少し、825,905百万円となりました。流動資産は16,992百万円減少の502,253百万円、非流動資産は12,534百万円減少の323,651百万円となりました。
流動資産の減少は、売上債権及びその他の債権が41,768百万円減少したこと、現金及び現金同等物が26,332百万円増加したこと等によるものであります。
非流動資産の減少は、有形固定資産が前期末に比べ4,956百万円減少したこと、無形資産が2,202百万円減少したこと、有価証券の売却等により金融資産が4,867百万円減少したこと等によるものであります。有形固定資産の減少は、減価償却等によるものです。
当期末の負債合計は、前期末に比べ31,642百万円減少し、208,014百万円となりました。流動負債は43,602百万円減少の153,817百万円、非流動負債は11,960百万円増加の54,196百万円となりました。
流動負債の減少は、仕入債務及びその他の債務が11,965百万円減少したこと、未払法人所得税等が16,583百万円減少したこと、その他の金融負債が7,967百万円減少したこと等によるものであります。
非流動負債の増加は、確定給付負債が13,551百万円増加したこと、その他の金融負債が642百万円減少したこと等によるものであります。
当期末の資本合計は、前期末に比べ2,114百万円増加し、617,891百万円となりました。
これは、利益剰余金が、当期利益等により前期末に比べ50,787百万円増加したこと、自己株式が19,783百万円増加したこと、為替変動等によりその他の資本の構成要素が28,514百万円減少したこと等によるものであります。
(2)経営成績
当連結会計年度(以下「当期」という。)は、売上収益は前期比3.9%減の793,054百万円となりました。これはアジア・オセアニア向けの情報機能材料等の売上収益が減少したこと等によるものです。
売上原価は、前期比5.3%減の548,354百万円となりました。売上収益に対する売上原価の比率は、前期比1.0%減の69.1%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比0.1%増の115,040百万円となりました。売上収益に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度(以下「前期」という。)より0.6ポイント増加し14.5%となりました。研究開発費は、前期比13.7%増の32,120百万円となりました。売上収益に対する研究開発費の比率は、前期より0.6ポイント増加し4.1%となりました。
以上の結果、営業利益は前期比4.1%減の102,397百万円となりました。
税引前当期利益は前期比3.7%減の101,996百万円となりました。
法人所得税費用は、前期の27,918百万円から、当期は20,006百万円となり、税効果会計適用後の法人税等の負担率は19.6%(前期は26.4%)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比4.9%増の81,683百万円となりました。基本的1株当たり当期利益金額は、前期比5.0%増の495円23銭となりました。
なお、セグメント別の売上収益および営業利益の概況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。
(3)キャッシュ・フロー
当期のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。
|
|
2014年3月期 |
2015年3月期 |
2016年3月期 |
|
親会社所有者帰属持分比率(%) |
66.5 |
71.5 |
74.4 |
|
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) |
104.1 |
155.0 |
123.0 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.8 |
0.1 |
0.0 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
82.8 |
148.5 |
263.0 |
(注)1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。
親会社所有者帰属持分比率(%) 親会社所有者帰属持分÷総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) 株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) 有利子負債÷キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) キャッシュ・フロー÷利払い
2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を
対象としております。