第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「先端技術を先端で支える」ことを経営理念とし、「本質を究める」ことを行動指針としております。これらの経営理念と行動指針の下で、持続的な発展と企業価値の向上を目指すとともに、ステークホルダーを尊重し、社会との調和を図り、持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。

 

(2)経営戦略等

 以下は、当社が2018年4月26日に公表した中長期経営方針であります。

 

 当社は、経営理念である「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、これからの10年で当社がどうありたいか、何をなすべきかを定めた、2018年度を起点とする「グランドデザイン(10年)」ならびに「中期経営計画(3年)」を策定しました。

 これらを指針とし、顧客価値の創造と更なる企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

 1.グランドデザイン(10年)〔2018年度~2027年度〕

 

 <ビジョン・ステートメント>

「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」

 

 <戦略>

当社は現在、半導体の量産テスト用システムの開発・販売を中心に事業展開しています。今後は、半導体量産工程の前後にある、半導体設計・評価工程や製品・システムレベル試験工程といった近縁市場へ事業領域を広げることで、業容の拡大と企業価値向上を目指します。

この長期ビジョン達成に向け、「コア・ビジネスの強化、重点投資」、「オペレーショナル・エクセレンスの追求」、「さらなる飛躍への価値探求」、「新事業領域の開拓」の4つの戦略課題に取り組みます。

 

 <長期経営目標>

「売上高3,000億円~4,000億円の達成」

 

 <コスト、利益構造>

売上成長を目指すにあたり、コスト構造のバランスにも配慮します。将来のコスト構造のイメージは、売上高3,000億円レベルで、売上原価率46%、販管費率32%、営業利益率22%を目安とします。

 

 2.中期経営計画(3年)〔2018年度~2020年度〕

 

 <経営指標>

当社では、期間損益の改善と資本の効率的活用の双方を意識しつつ、企業価値の向上に取り組みます。この考えに基づき、中期経営計画期間における当社の重要な経営指標を売上高、営業利益率、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)、1株当たり当期利益(EPS)とし、これらの改善に努めます。

2018年度から2020年度までにおける、各経営指標の3カ年平均の目標は以下のとおりです。

 

 

2018~2020年度(平均)

保守的シナリオ

2018~2020年度(平均)

ベース・シナリオ

半導体試験装置市場 成長率

 

年0%

年4%

売上高

 

2,300億円

2,500億円

営業利益率

 

15%

17%

親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)

 

15%

18%

基本的1株当たり当期利益(EPS)

 

135円

170円

 

 <主な施策>

・半導体・部品テストシステム事業部門

 -HPC(High-Performance Computing)や5G通信向けなど、複雑化・高度化する次世代のテスト需要の波を先駆的に捕捉

 -DRAM、NVM(Non-volatile Memory)での強固なビジネス基盤を堅持

 

メカトロニクス関連事業部門

 -テスタとの統合ソリューションの提供や高度な環境試験需要への対応による販売機会の拡大

 

・サービス他部門

 -工場自動化要求対応などによるポストセールス増収、SSDテスタの拡販、M&Aによる近縁市場への展開

 

・事業マネジメントの強化

 -社内での事業業績評価にROIC(投下資本利益率)ベースの事業管理・評価ツールを導入し、事業マネジメントを強化

 

 <財務方針と株主還元>

 当社は、事業成長基盤の強化と健全な財務状態の維持のため、中期経営計画期間累計で850~1,000億円を目安としたフリー・キャッシュ・フローの創出を目指します。安定した事業活動を担保する現金保有レベルは、500~600億円が適正と考えます。超過資金の使途については、M&A、研究開発、設備増強等の成長に向けた事業投資を優先します。具体的には、中期経営計画期間累計のM&A投資枠として1,000億円を設定します。

 株主還元については、半期連結配当性向30%を基本とし、1株当たり利益の成長を通じて配当水準を向上するという方針を継続します。ただし、長期にわたって余剰資金が留保される場合は、成長投資見込みを勘案しつつ、配当性向の見直しや自己株式取得等の総株主還元を機動的に検討します。

 

 <ESG(環境・社会・ガバナンス)課題への取り組み>

 グローバルな社会的課題の解決のために、今後半導体の役割はますます重要になります。当社は半導体のテストを通じて、社会の「安心・安全・心地よい」と持続可能な未来へ貢献してまいります。

 また、グローバル人財・フロンティア人財の育成やワークスタイルの改革を通じ、長期戦略達成および事業伸長のための基盤を強化します。さらにその人的資本を効果的に活用するため、事業環境および経営戦略に常に則した組織の運営や整備を図ります。
 ガバナンスの面では、2018年6月27日時点において、当社の取締役会は9名のうち4名が社外取締役で構成されております。また、取締役9名のうち、2名は外国人取締役、1名は女性取締役を選任し、取締役の多様性の確保にも努めております。

 

本中長期経営方針において当社の将来の業績指標の予想に用いた数値の為替前提は、1米ドル=110円,1ユーロ=135円です。また親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)、1株当たり当期利益(EPS)の目標値は、2019年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(300億円)全額が株式に転換された場合の数値となります。

 

(3)経営環境

 当連結会計年度における世界経済は、全体として回復基調が維持されました。先進国では、米国経済が堅調に推移したことに加え、欧州や日本でも景気回復が加速する動きが見られました。中国などの新興諸国においても成長が続きました。

 半導体関連市場においては、中国スマートフォンの在庫調整が長引いたことで、スマートフォンに使用される半導体への設備投資は全般的に盛り上がりに欠けました。一方で、自動車電装化の進展を背景に、車載半導体やセンサーの需要が堅調でした。またデータセンター関連の半導体に対する旺盛な需要が維持され、とりわけ3次元NAND型フラッシュメモリやDRAMに対する需要が拡大したことで、各メモリ半導体メーカーで生産能力増強のための投資が積極的に行われました。

 2018年度の事業環境を展望しますと、非メモリ半導体用テストシステム市場では、AIやブロックチェーンなどの新たなテクノロジーの広がりを背景として、高速ロジックIC向けの投資が増加する見通しです。また車載向けやディスプレイドライバ向けでも、2017年度に引き続き堅調な需要が維持されると見込んでいます。メモリ半導体用テストシステム市場でも、データセンター向けのより高速・大容量なメモリ半導体の一層の生産拡大を背景に、高水準な新規試験装置需要が継続すると予想しています。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に関連するリスクにおいて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性ある事項は、以下のとおりです。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

  a.当社グループの事業と業績は半導体産業の顕著に変動する需要に影響されます。

  当社グループの事業は、半導体設計製造会社(IDM)、ファブレス半導体企業、ファウンドリーおよびテストハウスの設備投資に大きく依存しております。これらの企業の設備投資および一般投資は、主に半導体に対する現在および将来の需要、ならびに半導体を利用した製品に対する需要によって決定されます。かかる需要は世界経済の全体的な状況の影響を大きく受けます。今日までの経験として、半導体業界の不況時において、一般的に半導体メーカーのテストシステム投資を含む設備投資は、半導体の世界的な出荷額の減少率よりも大きく減少します。半導体業界では、過剰在庫の時期が繰返し発生するなど今まで周期的な動きを示しており、そのことが当社グループの製品を含め、半導体業界のテストシステムに対する需要にしばしば深刻な影響を与えてきました。

  世界的な半導体市場は、2015年は、スマートフォン等の電子機器の需要が鈍化したため、前年比0.2%の減少となりました。2016年は、スマートフォンの高機能化と販売台数の拡大などにより、前年比1.1%の増加となりました。2017年は、幅広い電子機器向けの半導体に対する旺盛な需要により、前年比21.6%の増加となりました。非メモリ半導体の世界的売上は、2015年は、スマートフォン等の電子機器の需要が伸びず、前年比0.4%の減少となりました。2016年は、スマートフォン向けの設備投資等が堅調だったため、前年比1.3%の増加となりました。2017年は、自動車電装化の進展を背景に、車載半導体やセンターの需要が堅調だったため、前年比9.6%の増加となりました。メモリ半導体の世界的売上は、2015年は、非メモリ半導体市場と同様にスマートフォン等の電子機器の需要が伸びず、前年比2.6%の減少となりました。2016年は、夏場以降にスマートフォンや高速サーバー向けに需要が高まったものの、前年には及ばず、前年比0.6%の減少となりました。2017年は、データセンター関連の半導体に対する旺盛な需要により、各メモリ半導体メーカーの設備投資が積極的に行われたため、前年比61.5%の増加となりました。

 半導体市場の顕著な需要の変動は、以下の様々な要因から影響を受けます。

· 世界経済の全体的な状況

· 通信インフラ投資の水準およびスマートフォンおよびウエアラブル機器などの通信機器端末の需要の動向

· パソコンおよびデータサーバ業界の需要

· テレビ、ゲーム端末、VR(バーチャルリアリティ)/AR(拡張現実感)機器を含むデジタル・コンシューマー機器に対する消費者の需要

· 自動車、ロボティックスおよび医療機器などの産業機器市場の動向

· 半導体業界の動向

 2015年度の当社グループは、半導体・部品テストシステム事業では新製品投入により、悪化する市況の中でも顧客の投資意欲の喚起に努め、メカトロニクス関連事業やサービス他事業でも、成長分野における顧客獲得など、増収施策の遂行に注力しました。その結果、売上は前年比1.0%減少の162,111百万円となりました。損益面については、円安進行に伴い外貨建てコストが増加したことなどにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は6,694百万円となりました。前連結会計年度は、顧客の投資意欲が大きく改善したメモリ半導体関連の新規需要獲得を中心に、業績向上に向け取り組みました。その結果、売上は円高による減収影響を受けながらも前年比3.8%減少の155,916百万円となりました。損益面については、前期比減収となったものの、採算性の良い製品の売上高比率が前期に比べ上昇したこと、繰延税金資産の計上などにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は14,201百万円となりました。当連結会計年度は、伸長著しいメモリ半導体や車載半導体向けの試験装置需要の取り込み、および半導体試験周辺機器の一層の拡販に努めました。また、足元の急峻な製品需要の伸びに追随すべく、生産能力の改善にも取り組みました。その結果、売上高は前年比32.9%増加の207,223百万円となりました。損益面については、採算性が良い製品の売上高比率の低下、ナノテクノロジー事業における棚卸資産評価損の計上などで売上総利益率は前期を下回ったものの、事業効率改善に努めたことにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は18,103百万円となりました。

 以上のように当社グループの業績は、引き続き半導体業界の顕著な需要変動に大きな影響を受けると考えられます。そのため、半導体業界における大規模な不況が発生した場合や、半導体の供給過剰により半導体の価格水準が低下した場合、半導体メーカーの収益が悪化し、半導体メーカーの設備投資が抑制され、当社グループの財務状況と事業成績に悪影響を及ぼすこととなります。

b.当社グループが顧客の技術面の要求に応える新製品をタイムリーにかつ競争力ある価格で投入しなかった場合、既存の製品が陳腐化し、財務状況と業績に影響を及ぼします。

 当社グループは、技術変化が激しく、新製品・サービスの導入が頻繁であり、製品ライフサイクルが不定で予測しにくく、業界基準が常時進歩するいくつかの業界に向けて製品を販売しております。当社製品への将来の需要の大部分は、現在設置されているシステムでは十分に対応できない、新しい試験ニーズを生み出す半導体の技術革新によるものであると、予測しております。このような技術革新に対する顧客のニーズと市場環境に対応した低コスト化や高効率化の顧客のニーズは、以下のとおりであります。

· より高度なメモリ半導体、ロジックまたはアナログ回路を搭載した非メモリ半導体に対応したソリューション

· 大小のモーター駆動を制御するパワー・デバイスのテスト・ソリューション

· TSV技術により、三次元に高集積化されたICや小型化、高性能化を実現するためにRF、ロジックおよびメモリチップを一つのパッケージに収めた複合ICに対応したソリューション

· より高速に、正確に、安定的にデバイスを搬送するメカトロニクス関連製品

· 半導体チップに組み込まれる自己診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション

· 試験チップ周辺回路に搭載される診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション

· 最終製品の性能を保証するシステムレベルテストのソリューション

· 顧客の後工程テストの技術革新によるテスト時間短縮に対応した、メカトロニクス製品

· 故障時の迅速な対応と修理に要する時間の最短化

· 顧客のテストコストを削減できるようなトータル・ソリューション

· 最先端フォトマスクのパターン寸法計測、および欠陥観察に対応したソリューション

· IC試作のターンアラウンドタイム(TAT)の短縮、および高付加価値デバイスの少量生産に対応したソリューション

 

   また、当社グループは、半導体・部品テストシステムをはじめとする当社製品への需要が、パソコンや高速無線および有線通信のデータ・サービスならびにデジタル・コンシューマー機器、先進運転支援システム(ADAS)、さらにスマートフォンおよびウエアラブルなどの通信端末およびデータサーバに対する需要の水準に、強く影響されると考えています。これらの製品とサービスに使用されている技術の発展により、新しいテストシステムが必要となると思われます。当社グループが新技術を用いた機器を試験、測定できるテストシステムを迅速に投入しなければ、既存の製品とサービスは時間の経過につれ技術的に陳腐化します。

 当社グループが顧客の技術面の要求に競争力のある価格で応えられない場合、または適合性のある製品をタイムリーに提供できない場合、競合先の製品または代替の技術ソリューションにより置き換えられる可能性があります。また、回復局面において業容に合わせた人員を十分に確保できなかった場合や、顧客が要求した性能基準を満たした製品を受入れ可能な価格で提供できないと、その顧客による評価が大きく損なわれることになります。かかる評価の低下により、将来その顧客に対する製品やサービスの営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

c.部品および部分品に関して独占的または少数のサプライヤーへの依存を原因に、製品をタイムリーに提供できない、あるいは市場の急拡大に伴う需要に対応しきれない場合には、将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、その製品の製造に関し、組立作業の一部をサプライヤーに委託しております。また、当社グループの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品における多くの部品は、サプライヤーが当社グループの仕様に沿って製造したものであります。サプライヤーへの依存により、生産工程に対する管理は届きにくく、生産能力の不足、出荷遅れ、基準未満の品質、労働力の不足、高コストなど、重要なリスクに直面することになります。さらに、当社グループは、一部の部品または部分品に関して、1社または少数のサプライヤーに依存しております。当社グループは、ほとんどのサプライヤーと長期間の供給契約を結んでおらず、ほとんどの部品および部分品を個別の発注で購入しております。サプライヤーが部品または部分品を必要な数量または満足できる価格で提供できなくなった場合、サプライヤーの事業の撤退等により既に採用または今後採用するカスタム部品および汎用部品の生産もしくは販売が中止となった場合、あるいは大規模な災害や電力不足が発生した場合、条件に合った代替品を見つけて仕入れなければならず、それができなければ、テストシステムの供給能力が損なわれる可能性があります。これまでサプライヤーは、製造ラインおよび人員削減による生産能力の適正化を実施してきました。そのため、今後半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の市場が急激に拡大した場合には、回復局面を活かすために人員増を含む生産能力を大幅に増強することや、需要が増加する部品を、サプライヤーから適時適切に確保することが必要となってきます。半導体または特殊部品の市場においては、過去に需要に対し供給が不足した時期があります。また、大規模な災害や電力不足が発生した場合も部品が不足する可能性があります。サプライヤーを選び、適切な代替部品または部分品を選定するのは時間のかかる作業であるため、顧客の要求に合った製品をタイムリーに提供できなくなる可能性があります。当社グループは過去において、サプライヤーが当社グループの仕様に合った部品を提供できなかったこと、またはその他の部品不足を原因にスケジュールどおりに製品を出荷できなかったことがあります。また、経済環境の悪化によりサプライヤーの財政状態が悪化した場合や製品需要の大幅な増加に対応しきれない場合、既存の大口顧客を失う、または今まで取引関係の少なかった、あるいは全く無かった潜在的な大口顧客と強い関係を築く機会を失う結果となる可能性があります。このような機会損失は、当社グループの将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

d.当社グループは激しい競争に直面しており、シェアを維持、拡大できない場合は、ビジネスが損なわれる可能性があります。

 当社グループは世界中で激しい競争に直面しております。当社グループの主要な競合企業は、半導体・部品テストシステムの市場においては、Teradyne, Inc.、Xcerra Corporation、UniTest Inc. および EXICON Ltd.等があります。メカトロニクス関連の市場においては、テスト・ハンドラでは、Cohu, Inc.、TechWing Inc.、Hon. Technologies, Inc.およびセイコーエプソン株式会社等、デバイス・インタフェースでは、TSE Co., Ltd.、Semes Co., Ltd.、SL-link Co., Ltd. および Techwing Inc.等と競合しております。一部の競合企業は当社グループよりも多くの資金その他の資源を有しております。

 当社グループはその事業において、テストコストの削減につながる半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品を望む顧客からの圧力が強まるあるいは顧客によるテストシステムの内製化など、多くの課題に直面しております。デバイス・インタフェースについては、競合企業にコア技術部品の供給ベンダーが買収されたり、PCB製造技術が流出した場合、顧客のテストコストの削減や、製品の性能の実現が困難になります。

 当社グループが競争に打ち勝ち、シェアを維持、拡大していくためには、継続的にそのビジネス・プロセスを改良して製品コストを削減する、あるいは全体的なテストコストを低減させる必要があります。また、競合他社が今後も価格と性能の向上した新製品を投入し、そのカスタマ・サービス/サポートの提供を増強し続けたり、新規参入企業による低価格テスタの投入などを予想しております。競争が大幅に激化した場合、当社グループの利益幅が縮小し、利益が減少する可能性があります。

e.当社グループは、策定した戦略や中長期の経営目標を達成できない可能性があります。

 中長期の経営目標等の達成は、当社グループや顧客に影響を及ぼす経済や市場の動向、競合状況、設備投資水準、当社グループ製品の需要と為替レートの変動を含む様々な内外の要因に影響されます。したがって、戦略や中長期の経営目標値(適時修正される)は、将来の業績予測として見なすべきではありません。中長期経営目標達成のための戦略の実行が成功する、その実行が意図する結果をもたらす、中長期経営目標またはそれ以外の目標(定量的、定性的を問わない、適時修正される。)が期限までに達成される、あるいはそれらの目標が将来経営陣によって変更されないという保証はありません。

f.当社グループの売上高は、上位顧客の数社が大きな割合を占めるため、これらの1社または数社を顧客として失うことや設備投資の変動が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの上位顧客の財務状態が悪化した場合、売上債権の回収リスクが発生します。

 当社グループの成功は、重要顧客との関係を継続的に発展させ管理することにかかっております。現在ではこれらの少数の顧客が売上高の大きな割合を占めております。顧客上位5社による売上高は、前連結会計年度の売上高全体の約32%および当連結会計年度の同約37%を占めております。これら主要顧客の1社または数社を失うことや主要顧客の設備投資の変動あるいは主要顧客の主要な製品の敗退が、当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、多額の債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払が得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります

g.当社グループの製品は価格低下圧力を受けております。

 当社グループが事業において受けている価格低下圧力は、営業利益率に悪影響を及ぼしております。半導体の需要が数量ベースで増加している時においても、半導体価格の低下は進行しているため、半導体・部品テストシステム事業およびメカトロニクス関連製品に対する価格低下圧力が続いております。顧客である半導体メーカーや、ファウンドリーおよびテストハウスは、急激な半導体価格の低下が起きている時期に、生産能力を増強しようとしながらも、設備投資額を抑えようとします。デジタル・コンシューマー機器とパソコン市場に加え、スマートフォンおよびウエアラブルなどのモバイル機器市場、データサーバ市場および車載半導体市場における競争激化により価格が低下し、それにより当社グループの製品にも強い値下げ圧力がかかります。半導体価格の低下が止まらない場合、顧客は既存の設備の改造や使い方の工夫により、新品の設備投資を抑える可能性もあります。今後、価格低下圧力がさらに強まれば、当社グループの将来の財務状況と事業成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

h.為替変動が収益性に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの売上高の大半は日本国外の顧客への販売によるものです。当連結会計年度の売上高の93.2%は、海外顧客への製品売上によるものです。当連結会計年度の売上高のうち約78%は、米ドルを主とする円以外の外貨によるものです。当社グループが販売にあたり使用する外国の通貨(主に米ドル)が円高に転じた場合、必ずしも製品価格に転嫁することは出来ないため、当社グループの売上に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なおユーロについては、現状ユーロ建ての売上よりも費用の発生額の方が大きいため、円安水準で推移した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、円と外貨(特に米ドル)の間の大きな為替変動により、海外において円建てで販売される製品価格を引き下げなければならない場合や、また米ドルやその他の外貨建てで販売される製品売上の円相当額が減少した場合には、収益性に影響を及ぼす可能性があります。これらの変動により、製品価格が相対的に高くなり、潜在的な顧客による発注の取消しまたは先送りが生じる可能性があります。過去において、当社グループが販売にあたり使用する外貨と円との間の為替レートに、大きな変動が生じたことがあります。

 また、子会社の報告通貨の外国為替レートが円に対して変動した場合、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。外国為替レートの変動は、連結財務諸表の報告通貨である円に換算する必要のある外貨建ての金額に影響し、為替変動の向きによっては当社グループの財政状態、経営成績および純資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

i.当社グループは新製品の開発コストを回収できない可能性があります。

 既存製品の改良と新世代製品の開発は、ほとんどの場合多額な費用を必要とします。さらに、半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品の購入決定は高額な投資を伴うため、一般的に販売活動に要する期間が長く、販売に至るまで多大な支出と営業活動を必要とします。当社グループが製品を改良し新世代の製品を投入したとしても、顧客ニーズの変化、競合他社による新技術・新機能搭載製品の投入、顧客による異なる試験機能を必要とする新製品投入、または顧客の製品が当社グループの期待する速度、レベルで成長しないことにより短期間で時代遅れとなれば、開発と営業の費用を上回る売上高を上げられない可能性があります。場合によっては、業界動向を先取りし、顧客側の製品実用化よりも先に製品の開発を行わなければならないため、革新的技術によるビジネス上の実現可能性を判断する前に、多額の投資を行わなければなりません。したがって、顧客がそれらの製品を迅速に投入できない場合や、またはそれらの製品が市場に受け入れられない場合、当社グループは販売量の増加による製品開発投資のコストの回収に失敗する可能性があります。

j.当社グループの主な製品の市場は極めて集中しており、販売機会が限られているため、製品の売上を拡大できない可能性があります。

 半導体・部品テストシステム事業の中でも、特にメモリ半導体用テストシステムの市場は極めて集中したものであり、少数の大きな半導体メーカーとファウンドリーおよびテストハウスが業界全体の売上に大きな割合を占めております。このような業界状況は、近年の半導体業界において、大手の半導体メーカー、ファウンドリーおよびテストハウスによる企業の買収や事業の統廃合などの再編が進むことにより、一層加速していると考えられます。当社グループの売上の増加は、大口顧客から受注を獲得し増加させることができるかどうかに大きく依存します。また、半導体メーカーの統廃合により過剰な設備が中古市場に流れた場合や、あるいは製品が個別仕様への対応に遅れをとった場合にも、製品の販売機会を失うリスクがあります。

k.有形固定資産、のれんおよび無形資産は、多額の減損損失を計上し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 有形固定資産、のれんおよび無形資産については、減損の兆候が存在する場合に、減損テストを行っております。のれんについては、減損の兆候が存在する場合のほか、年次で減損テストを行っております。

 減損損失は、資産、資金生成単位(CGU)またはCGUグループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に認識しております。したがって有形固定資産、のれんおよび無形資産は、資産、CGUまたはCGUグループの将来キャッシュ・フローの見込みによっては、多額の減損損失を計上し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

l.主要な研究開発施設、生産施設、情報技術関連施設、製造委託先またはサプライヤーの施設が巨大な損害を被った場合、業績に重大な打撃を受けることになります。

 当社グループの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の主要な研究開発施設、生産施設ならびにサービスの拠点は、群馬県、埼玉県および宮城県にあります。また、主要な基幹システムサーバーとネットワークのハブは、ISMS(情報セキュリティマネージメントシステム)の承認を受けたシステムセンタに設置され、さらに、日本の一部の事業所にもローカルにネットワークサーバーが設置されております。

 日本は地震が起こる可能性の高い地域であり、これらの施設、特に半導体・部品テストシステムの工場が地震等による巨大な損害を受けた場合、事業に支障を来し、製造、出荷および収益に遅れが生じ、施設の修理または建て直しのために巨額の費用が発生します。当社グループは、地震以外の原因によるほとんどの潜在的な損失をカバーする保険に加入しておりますが、これらの保険は起こり得る損失すべてを十分にカバーしない可能性があります。また、製造委託先、サプライヤーの施設、または情報サービス網の施設が同様の重大な損害を受けた場合も、当社グループの事業に支障を来す可能性があります。

 当社グループは、大規模災害等の危機発生時に備え、各部門で対応手順書を定めておりますが、さらに、基幹事業を停止させないこと、停止した場合でも重要な設備を含め可能な限り短期間で再開させることを目的として、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し実施しております。しかしこの事業継続計画が有効に機能しない場合には、大規模災害等の危機発生時に基幹業務が停止し、再開に長期間を要する可能性があります。

m.当社グループの事業は、国際的な事業展開に伴う経済的、政治的またはその他のリスクを有します。

 当社グループは世界中で部品の調達、製品の生産および販売を行うため、その事業は国際的な事業展開に伴うリスクを有しております。当社グループの当連結会計年度の総売上高に対し、台湾、中国および韓国への売上が大半を占めるアジア地域(日本を除く)は84.0%、米州は5.4%、欧州は3.7%を占めております。海外事業での売上高は、今後も継続して売上高全体の大きな割合を占めると予想されます。また、当社の販売・サポートの子会社は米州、欧州および台湾、シンガポール、韓国、中国等のアジア諸国に展開し、サプライヤーや生産工場も韓国やマレーシアなどの海外に展開しております。したがって、当社グループの将来の業績は、以下を含む様々な要因から悪影響を受ける可能性があります。

· 部品を調達し、製品を生産および販売する国における政治的、経済的な混乱、紛争、自然災害、疫病またはその他のカントリー・リスク

· 貿易保護政策と輸出入の許認可制度

· 税法の改定による潜在的なマイナス影響

· 移転価格税制等の国際税務に関するリスク

· 事業展開が広範囲に及ぶための人事・管理面の困難性

· 異なる知的財産保護制度

· 遠隔地であることおよび法規制が異なることによる売上債権回収の困難性

· テロ・戦争あるいは政治や経済の両方もしくはいずれかにおける外国との関係悪化等による社会的・政治的混乱が発生するリスク

· サプライヤーや生産工場が、機械加工および組み立てのインフラのレベルが発展途上の国にある場合の調達および生産における品質低下のリスク

· サプライチェーンにおいて低品質品および模造品が混入した場合の、コストの増加や納期の遅延および商品修理費用が発生するリスク

n.当社グループは、設備投資を回収できない可能性があります。

 当社グループは、設備投資を継続的に行っていますが、2012年度から2013年度にかけて、韓国の大手顧客への販売シェア拡大のため、韓国に新工場を建設し2013年5月に操業を開始しました。このような設備投資に対して、顧客の設備投資の抑制により想定した販売規模を達成できない、あるいは競合他社との激しい競争による製品単価の下落などにより、設備投資を回収することができない、または回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。そのような場合、当該資産が減損の対象になり、当社グループの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

o.当社グループの財務状況および事業成績は、その営業・販売力およびブランド力に関係する要因からマイナスの影響を受ける可能性があります。

 当社グループの財務状況および事業成績は、その営業・販売力およびブランド力に関係する以下のような要因からマイナスの影響を受ける可能性があります。

· 半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス製品の長期間にわたる販売プロセス

· 半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス製品市場の比較的に少ない総販売台数

· 顧客側による発注キャンセルまたは設備投資の先送り

· 顧客の財務状況を原因とする売掛金回収の遅延や貸倒れおよび貸倒引当金の増加

· 製品保証費や棚卸資産評価損の増加

· 製品の性能または信頼性の事実上または風評上の低下、またはそのことによるブランド力の低下

p.利用している化学物質に対する規制が強化され、その対策に多額の費用が発生する可能性があります。

 当社グループが利用している化学物質の中で、その製造、処理および販売に関し、日本の政府機関や外国の様々な業界組織、またはその他の規制機関の環境関連法と規則が適用されるものがあります。そしてこれらの規制機関は、当社グループが使用する化学物質に対して、適用される既存の規制強化や、新たな規制に乗り出す可能性があります。当社グループは、製品に組み込む部材に含まれる有害物質の排除を進めておりますが、製品の信頼性の確保を優先するため、電子部品の取付けにおいては、一部の製品を除き鉛を含むはんだを使用しております。また、半導体・部品テストシステムやメカトロニクス関連製品の冷却方式では、使用に関わる法的規制を受けていないフッ素系液体を一部使用しております。当社グループは、製品の安全性や信頼性の確保を第一に、製品の環境対策を進め、化学物質の使用における規制を遵守していると考えておりますが、特定の国において規制要件が変更された場合には、かかる変更に対応しなければなりません。新しい要件への対応のために多額の費用がかかる可能性があります。関連する政府または業界規制への対応ができない場合、販売の継続または拡大の妨げとなる可能性があります。

q.第三者がその知的財産を当社グループによって侵害されたと主張する可能性があり、その結果高額な賠償、裁判費用またはライセンス料を支払わなければならなくなり、製品を販売できなくなる可能性があります。

 当社グループは意図しないまま第三者の知的財産権を侵害し、その結果侵害の責任を負わされる可能性があります。今日まで、当社グループに対して知的財産権侵害に関わる重大な申立てが行われたことはありません。しかし、特許またはその他の知的財産権の侵害をめぐる裁判は、多大な出費と時間を伴い、経営陣または重要な人材が事業運営に注力できなくなる可能性があります。当社グループが勝訴できなかった場合、多額の賠償金の支払、ライセンス料の支払、製品または工程の変更、製品の製造中止または工程の使用中止などを余儀なくされる可能性があります。ライセンスは非常に高価な場合もあり、または全く取得できない場合もあります。第三者の知的財産権を侵害しないように製品または工程に変更を加えることは、多大な出費を要する場合や、実行不可能な場合があります。

r.当社グループの知的財産権を侵害している疑いのある製品を入手し調査することは困難なため、知的財産権を保護できない可能性があります。

 当社グループは、その独自の権利を保護するために、各国で取得した特許権、実用新案権、意匠権、商標権および著作権などに依存しております。例えば、デバイス・インタフェース市場において、模造品を販売するメーカーに対して特許権および実用新案権に基づく法的手段を講じ、場合によっては販売を差し止めてきました。しかし、知的財産権が侵害されていると思われる製品を入手し調査することは一般的に困難であります。そのため、保有している知的財産権によって自社の権利を十分に保護していると保証できるわけではありませんが、当社グループはその知的財産権を第三者の侵害から保護することに積極的であり、今後も引き続きその知的財産権を監視し、権利行使を行ってまいります。

s.労働力市場は競争が激しいため、当社グループが多様な専門技術スタッフや経営上の重要スタッフを採用し保持できない場合、事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、変化の激しいエレクトロニクス業界において事業を発展させるため、多様な専門技術に精通した人材や、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の採用および育成を継続的に行い、保持していくことが重要であると考えております。そのため、新卒採用のみならず経験者の通年採用、さらに人事諸制度の見直しや社員教育を通じて社員の定着と育成に努めております。しかしながら、必要な人材を継続的に採用し保持するための競争は激しく、計画どおりに進まなかった場合、当社グループの事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

t.当社グループの情報技術ネットワークやシステムが被害を受けたり妨害されたり停止した場合、業務の継続を妨げ、社会的信用を失いかつ多額の費用負担が発生する可能性があります。

 当社グループは、機密データや個人情報を含む電子情報の処理、送信、蓄積のために、また製造、研究開発、サプライチェーンの管理、販売、会計などを含む様々なビジネス活動およびそのサポートのために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムに頼っています。当社グループは情報セキュリティ委員会が、情報セキュリティ対策の方針制定を行っております。また、情報技術ネットワークやシステムについては、前述の方針に基づき、IT部門が構築・運用しております。しかし、ハッカーやコンピューターウイルスによる攻撃、情報セキュリティシステムの誤用、不注意な使用、事故や災害などがあった場合には、当社が実施する防御を超え、業務の継続を妨げ、情報の漏洩やその情報が改竄される恐れがあるだけでなく、法的請求、訴訟、損害責任、罰金を払う義務などが発生し、社会的信用、業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

u.当社グループは、製品の欠陥や製造物責任による顧客の信用の喪失などにより、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、ISO9001など世界的に認められている品質管理基準にしたがって製品の生産を行っておりますが、これらの製品について欠陥が無いという保証はありません。一方、製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできる保証はありません。したがって部品の品質不良や製品の製造不良による出荷停止や納期遅延、製品の欠陥による大規模な事故の発生、製品の障害発生および不適切な障害対応により、顧客の信用の喪失、顧客対応費用の増大、損害賠償請求があった場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)重要な会計方針および見積り

 当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。

 この連結財務諸表を作成するために、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす会計上の判断、見積りおよび仮定を用いております。見積りおよび仮定は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいております。しかしながら実際の結果は、その性質上、見積りおよび仮定と異なることがあります。

重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」(以下、「連結財務諸表の注記」という。)の注3、注4に記載しております。

 

(2) 経営成績の状況の分析

  ①業績

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前年同期比

(百万円)

前年同期比

(%)

売上高

155,916

207,223

51,307

32.9

 売上原価

 販売費および一般管理費

 その他の損益

△66,176

△76,174

339

△100,635

△82,645

544

△34,459

△6,471

206

52.1

8.5

60.8

営業利益

13,905

24,487

10,582

76.1

 営業利益率

8.9%

11.8%

2.9%

 金融損益

1,117

△205

△1,322

税引前利益

15,022

24,282

9,260

61.6

 法人所得税費用

△821

△6,179

△5,358

652.6

当期利益

14,201

18,103

3,902

27.5

当期利益の帰属:

 親会社の所有者

 

14,201

 

18,103

 

3,902

 

27.5

 

当連結会計年度における世界経済は、全体として回復基調が維持されました。先進国では、米国経済が堅調に推移したことに加え、欧州や日本でも景気回復が加速する動きが見られました。中国などの新興諸国においても成長が続きました。

半導体関連市場においては、中国スマートフォンの在庫調整が長引いたことで、スマートフォンに使用される半導体への設備投資は全般的に盛り上がりに欠けました。一方で、自動車電装化の進展を背景に、車載半導体やセンサーの需要が堅調でした。またデータセンター関連の半導体に対する旺盛な需要が維持され、とりわけ3次元NAND型フラッシュメモリやDRAMに対する需要が拡大したことで、各メモリ半導体メーカーで生産能力増強のための投資が積極的に行われました。

 当連結会計年度の平均為替レートは、米ドルが111円(前期108円)、ユーロが129円(前期119円)となりました。

 

(売上高)

 当社グループは、伸長著しいメモリ半導体や車載半導体向けの試験装置需要の取り込み、および半導体試験周辺機器の一層の拡販に努めました。また足元の急峻な製品需要の伸びに追随すべく、生産能力の改善にも取り組みました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前年度に比べ51,307百万円(32.9%)増加の207,223百万円となり、2006年度以来11年ぶりとなる高水準の実績を収めました。

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は、前年度に比べ売上高の大幅な増加、採算性が良い製品の売上高比率の低下、ナノテクノロジー事業における棚卸資産評価損の計上などにより、34,459百万円(52.1%)増加の100,635百万円となりました。

(販売費および一般管理費)

 当連結会計年度の販売費および一般管理費は、当会計年度は、前年度に比べ売上高の大幅な増加に対し、事業効率の改善により、前年度に比べ6,471百万円(8.5%)増加の82,645百万円に留まりました。

(営業利益)

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前年度に比べ10,582百万円(76.1%)増加の24,487百万円となり、売上高に対する営業利益の比率は、前年度比2.9ポイント増加の11.8%となりました。

(金融損益)

 当連結会計年度の金融収益と金融費用を合わせた金融損益は、前年度に比べ1,322百万円減少の205百万円の損失となりました。これは主に、当連結会計年度の期末レートが前年度末に比べてユーロ高ドル安であったため、米ドル建て資産において為替差損が発生したことによります。

(税引前利益)

 以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、前年度に比べ9,260百万円(61.6%)増加の24,282百万円となりました。

法人所得税費用

 当社グループの法人所得税費用の実際負担税率は、当連結会計年度は25.4%、前連結会計年度は5.5%でありました。当社グループの当連結会計年度および前連結会計年度の法人所得税に関しては、連結財務諸表の注記16に記載しております。

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 以上の結果、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度に比べ3,902百万円(27.5%)増加の18,103百万円となり、売上高に対する親会社の所有者に帰属する当期利益の比率は、前年度比0.4ポイント減少の8.7%となりました。

 ②生産、受注および販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

143,511

38.9

メカトロニクス関連事業部門

36,849

76.9

サービス他部門

5,263

62.7

合計

185,623

45.7

 (注)1.金額表示は販売価格(消費税等抜き)によっております。

    2.「メカトロニクス関連事業部門」セグメントの主な増加理由は、テスト・ハンドラおよびデバイス・インタフェースの受注の増加によります。

3.「サービス他部門」セグメントの主な増加理由は、SSDテスタの受注の増加によります。

 b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

169,735

59.8

53,328

117.5

メカトロニクス関連事業部門

44,010

63.5

14,750

122.4

サービス他部門

34,099

8.1

14,679

32.9

内部取引消去

△66

合計

247,778

50.5

82,757

96.1

 (注)1.金額表示は販売価格(消費税等抜き)によっており、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。

    2.「半導体・部品テストシステム事業部門」と「メカトロニクス関連事業部門」セグメントの受注の主な理由につきましては、「③セグメントの業績」に記載しております。

 c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

140,930

39.2

メカトロニクス関連事業部門

35,893

42.5

サービス他部門

30,466

3.3

内部取引消去

△66

合計

207,223

32.9

 (注)1.金額表示は消費税等抜きであり、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。

    2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Samsung Electronics Co., Ltd.

20,771

13.3

29,558

14.3

 

 ③セグメントの業績

(半導体・部品テストシステム事業部門)

  当部門は、当連結会計年度において売上高の68.0%を占めております。

  当部門では、非メモリ半導体用テストシステム事業は、車載半導体、有機ELディスプレイドライバ、液晶ディスプレイドライバ用の製品への需要が期を通じて好調でした。スマートフォン関連の半導体試験装置は、期初から需要停滞が続きましたが、2017年の年末から需要に持ち直しの動きが見られました。メモリ半導体用テストシステム事業は、メモリ半導体メーカー各社で旺盛な設備投資が実行されたことと、当社が市場シェアを伸ばしたことで、受注高、売上高とも前期比で大きく伸長しました。

 以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて39,664百万円(39.2%)増加の140,930百万円、セグメント利益は前年度に比べて12,265百万円(73.7%)増加の28,917百万円となりました。

 

(メカトロニクス関連事業部門)

  当部門は、当連結会計年度において売上高の17.3%を占めております。

 当部門では、メモリ半導体メーカーで生産能力増強投資が積極的に展開されたことで、メモリ半導体用テストシステムと事業関連性の高いデバイス・インタフェース製品の需要が伸びました。車載半導体の量産投資が堅調に進む中、テスト・ハンドラの需要も伸長しました。一方でナノテクノロジー事業において一部のプロジェクト中止を決定したことで、関連する棚卸資産の評価損約33億円を第3四半期に計上しました。

  以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて10,701百万円(42.5%)増加の35,893百万円、セグメント利益は、前年度1,529百万円の損失から1,209百万円悪化し2,738百万円の損失となりました。

(サービス他部門)

  当部門は当連結会計年度において売上高の14.7%を占めております。

 当部門では、半導体市場の活況を背景に、保守サービスに対する需要が安定的に推移しました。また旺盛なデータセンター関連投資を背景に、SSDテスタの引き合いも順調に伸びました。並行してフィールドサービス事業やSSDテスタ事業で、今後の事業拡大に向けた体制強化を行いました。

  以上の結果、当部門の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べて970百万円(3.3%)増加の30,466百万円、セグメント利益は前年度に比べて620百万円(12.9%)減少の4,197百万円となりました。

 

④地域別売上高

   当連結会計年度の海外売上比率は93.2%(前連結会計年度88.2%)となりました。

 

(日本)

  当連結会計年度の日本における売上高は、前年度に比べ4,261百万円(23.1%)減少の14,182百万円となりました。

日本以外のアジア

  当連結会計年度の日本以外のアジアにおける売上高は、前年度に比べ59,939百万円(52.5%)増加の174,062百万円となりました。これは主に、韓国と中国においてDRAM向けとフラッシュ向けメモリ半導体用テストシステムが好調だったこと、台湾においては、DRAM向けとフラッシュ向けメモリ半導体用テストシステムと、先端プロセスを適用するハイエンド向け非メモリ半導体用テストシステムが好調だったことによります。

(米州)

  当連結会計年度の米州における売上高は、前年度に比べ3,550百万円(23.9%)減少の、11,290百万円となりました。

(欧州)

  当連結会計年度の欧州における売上高は、前年度に比べ821百万円(9.6%)減少の、7,689百万円となりました。

(3) 財政状態およびキャッシュフローの状況の分析

  ①流動性および資金源

 当社グループの資金・財務政策は、当社の経理部門が所管しております。当社は資金需要に関して、営業活動により稼得した現預金ならびに手許の現金および現金同等物から充当するほか、必要に応じて債券の発行および株式等の発行ならびに金融機関からの借入により資金を調達することが可能であります。

 また、中期的に半導体業界および半導体・部品テストシステム業界の状況が低迷する場合、当社は将来の設備投資またはその他の運転資金需要のために追加の債券の発行または希薄化効果を伴う株式等の発行等を行う可能性があります。

 当社は2012年5月25日に、総額25,000百万円の国内無担保社債を発行し、このうち、10,000百万円は、2015年5月に、残りの15,000百万円は、2017年5月に償還しました。また、当社は2014年3月14日に、総額30,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行しました。本新株予約権付社債はゼロ・クーポンで発行され、償還期限は2019年3月14日であります。

  ②キャッシュ・フロー

  当連結会計年度末の現金および現金同等物は前年度末より8,649百万円増加の103,973百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フロー

  当連結会計年度は、税引前利益24,282百万円、営業債務およびその他の債務の増加(14,486百万円)、棚卸資産の増加(△10,479百万円)の他、減価償却費などの非資金項目等の損益を調整した結果、28,254百万円の収入となりました。前連結会計年度の15,833百万円の収入と比べ12,421百万円の増加となった主な要因は、税引前利益の増加や営業債務およびその他の債務の増加によりますが、一方で棚卸資産の増加により一部相殺されています。

(投資活動によるキャッシュ・フロー

  当連結会計年度は、有形固定資産の取得(△4,121百万円)、有形固定資産の売却(1,882百万円)等により、2,329百万円の支出となりました。前連結会計年度の3,521百万円の支出と比べ1,192百万円の支出の減少となった主な要因は、有形固定資産の売却が増加したことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還(△15,000百万円)、配当金の支払(△3,718百万円)や自己株式の処分による収入(3,493百万円)等により、15,237百万円の支出となりました。前連結会計年度の1,002百万円の支出と比べ14,235百万円の支出の増加となった主な要因は、当連結会計年度に社債を償還(△15,000百万円)したことによります。

③資産、負債および資本

 当連結会計年度末の資産は、前年度末に比べ22,956百万円増加し、254,559百万円となりました。この主な要因は、受注の増加に伴う棚卸資産の10,534百万円の増加、売上の増加等による現金および現金同等物の8,649百万円の増加、営業債権およびその他の債権の5,478百万円の増加によります。

 

 負債は、前年度末に比べ7,863百万円増加し、129,949百万円となりました。この主な要因は、社債の償還により15,000百万円減少となりましたが、仕入の増加に伴う営業債務およびその他の債務が14,769百万円増加したこと、前受金や未払法人所得税の増加したことによります。

 

 資本または親会社の所有者に帰属する持分は、前年度末に比べ15,093百万円増加し、124,610百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加と自己株式の処分によります。

  親会社所有者帰属持分比率は、前年度末に比べ1.7ポイント増加の49.0%となりました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しております。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループは、「先端技術を先端で支える」ために、エレクトロニクス、情報通信、半導体製造を支える計測技術の分野で、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めております。当社グループの研究開発は、新製品の開発と既存製品の改良に注力しております。特に半導体・部品テストシステム事業においては、市場競争力を保ち、顧客の様々なニーズに対応した多くの種類の製品を供給するために多額の研究開発投資を継続的に行う必要があります。また、当社グループは新しい基盤技術の基礎研究も行っております。当社グループの研究開発費は、前連結会計年度は312億円、当連結会計年度は335億円でありました。当社グループは、研究開発部門に1,000名以上のエンジニアおよびその他の人員を雇用しております。

 当社グループの当連結会計年度における研究開発活動の成果および内容は以下を含みます。

(基盤技術)

· テラヘルツ波領域の要素技術開発

· 半導体・部品テストシステムやミリ波計測器に用いるASIC、高速・低消費電力マイクロ・スイッチおよび高速サンプラー等の要素技術

· 次世代のプロトコルに対応するテスト手法や高いビットレート信号のタイミング揺らぎを測定する手法の開発

· 半導体・部品テストシステムに用いる低歪デバイス、高電圧大電流デバイスなどの化合物半導体の開発

(半導体・部品テストシステム事業部門)

· 超高速メモリ半導体を実動作速度で試験する半導体・部品テストシステムの開発

· DRAM半導体およびフラッシュメモリ半導体の試験の機能性を向上し、省スペース化した半導体・部品テストシステムの開発

· メモリデバイスの信頼性と機能性を多数個同時に測定可能な高速メモリ・バーイン・システムの開発

· 多ピン化、複雑化が進むSoC半導体を多数個同時測定でき、省スペース化した半導体・部品テストシステムの開発

· 応用が特化されたデバイス専用の半導体・部品テストシステムの開発

· 超高周波数および高密度伝送ネットワークに対応した半導体・部品テストシステムの開発

· 多ピン高速対応伝送技術および高速伝送信号コンタクト技術の開発

· 半導体設計環境と半導体・部品テストシステムとのインタフェース用応用ソフトウエアの開発および半導体不良解析用ソフトウエアの開発

· 物理的刺激を各種センサーに印加するシステムの開発

(メカトロニクス関連事業部門)

· 多数個同時測定ができ、高スループット試験を目的としたメモリ半導体用テスト・ハンドラの開発

· 多様化するデバイス品種やパッケージに対応したSoC半導体用テスト・ハンドラの開発

· 高速、高発熱および高信頼性デバイスにおける高低温のリアルタイム温度コントロール技術の開発

· 高速デバイスを計測する為のデバイス・インタフェース部(基板/回路技術)の開発

· 半導体の小型/狭ピッチ化に対応した搬送技術とデバイス・インタフェース部の開発

· ウエハ上のメモリデバイスを試験する為のプローブカードの開発

· 最先端フォトマスクのパターン寸法計測、および欠陥観察・解析を目的とした、電子ビーム計測装置の開発

· 多種多様なサブストレート上に、高分解能/高精度でパターニング可能な電子ビーム露光装置の開発

サービス他部門

· 最終製品の総合的な性能保証を目的とした、半導体とそれを組み込んだモジュールのテスト技術および手法の開発

 

 当社グループの研究開発施設は、日本、米国、欧州および中国にあります。

 当社グループは世界中の研究者の力を活用するために、研究所間の共同開発活動の促進に取り組んでおります。日本における半導体・部品テストシステム研究開発チームは、米国および欧州の研究開発チームと、ハードウエア開発ならびにソフトウエア開発で緊密な共同作業を行っております。