第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 (1)業績

 当連結会計年度(自 2013年4月1日 至 2014年3月31日)の状況

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

  受注高     (億円)

1,257

1,274

1.3%

  売上高     (億円)

1,329

1,119

△15.8%

  営業利益    (億円)

1

△364

  税引前当期純利益(億円)

△13

△355

  当期純利益   (億円)

△38

△355

 

 当連結会計年度における世界経済は、力強さは欠くものの緩やかな回復軌道をたどりました。日本ではアベノミクス効果による景気回復が続き、米国では個人消費と民間投資に支えられ景気回復傾向が持続しました。欧州経済は全体としては低成長状態が続きましたが、今後持ち直す兆しを見せました。中国をはじめとする新興国諸国は、これまでと比べて成長は鈍化する傾向にありましたが、引き続き世界経済の成長を下支えしました。

 半導体関連市場においては、先端技術への投資は堅調でしたが、パソコンやスマートフォンなど半導体生産を牽引する主要最終製品の需要に力強さを欠いたことで、半導体メーカーの間で生産能力拡張のための設備投資を手控える動きが続きました。当社が主力とする半導体試験装置でも、非メモリ半導体用を中心に昨夏より投資が大幅に抑制された結果、当社の事業環境は厳しいものとなりました。

 このような環境のもと、当社は収益拡大に努め、その結果、受注高は1,274億円(前年同期比1.3%増)と前期を上回りましたが、売上高は1,119億円(同15.8%減)となりました。利益面につきましては、売上高の減少に加え、円安進行に伴い外貨建てコストが増加したこと、事業環境の変化を踏まえて棚卸資産評価損(40億円)、長期性資産の減損(135億円)を第3四半期に計上したことなどにより、営業損失は364億円、税引前当期純損失は355億円、当期純損失は355億円となりました。海外売上比率は89.1%(前連結会計年度89.4%)です。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

(半導体・部品テストシステム事業部門)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

  受注高     (億円)

928

822

△11.4%

  売上高     (億円)

1,011

730

△27.8%

  営業利益    (億円)

110

△267

 当部門では、DRAM半導体やNANDフラッシュメモリの需給が引き締まった状態が続いたことで、顧客各社の生産能力増強意欲が持続し、メモリ半導体用テストシステムの需要が増加しました。非メモリ半導体用テストシステムは、需要の中核となるパソコンやハイエンド・スマートフォンに搭載されるロジック半導体の生産調整や在庫調整が長期化したことで、厳しい状況が続きました。

 以上により、当部門の受注高は822億円(前年同期比11.4%減)、売上高は730億円(同27.8%減)となりました。売上高の減少に加え、棚卸資産評価損(37億円)、長期性資産の減損(128億円)を第3四半期に計上したことで、営業損失は267億円となりました。

(メカトロニクス関連事業部門)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

  受注高     (億円)

130

192

47.3%

  売上高     (億円)

137

150

9.7%

  営業利益    (億円)

△46

△51

 当部門では、ナノテクノロジー事業の新製品への好調な引合いと、デバイス・インタフェース事業での顧客開拓努力により、半導体試験装置市況が悪化する中でも受注高・売上高ともに伸長しました。

 以上により、当部門の受注高は192億円(前年同期比47.3%増)、売上高は150億円(同9.7%増)となりました。棚卸資産評価損(1億円)、長期性資産の減損(7億円)を第3四半期に計上したことで、営業損失は51億円となりました。

(サービス他部門)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

  受注高     (億円)

207

263

27.0%

  売上高     (億円)

201

242

20.3%

  営業利益    (億円)

8

30

288.7%

 当部門では、年間保守契約数の拡大などのサービス事業の収益向上への取り組みが順調に進捗しました。また、新規事業の一部が収益に貢献しました。

 以上により、当部門の受注高は263億円(前年同期比27.0%増)、売上高は242億円(同20.3%増)、営業利益は30億円(同288.7%増)となりました。

 また、地域別売上高の状況につきましては、「第2 事業の状況 7.財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析」の中で記載しておりますのでご参照ください。

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度末より233億円増加し、690億円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純損失(△355億円)を計上しましたが、売上債権の減少(79億円)、棚卸資産の減少(28億円)ならびに減価償却費などの非資金項目等の損益を調整した結果、38億円の支出(前連結会計年度は22億円の支出)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、47億円の支出(前連結会計年度は115億円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の購入(△55億円)、子会社買収による支出(△13億円)および売却可能有価証券の売却による収入(24億円)によるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、272億円の収入(前連結会計年度は29億円の支出)となりました。これは主に、転換社債発行による調達(302億円)および配当金の支払(△35億円)によるものであります。

2【生産、受注および販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

73,584

 △24.6

メカトロニクス関連事業部門

16,087

 21.0

サービス他部門

878

△10.0

合計

90,549

△19.0

 (注)金額表示は販売価格(消費税等抜き)によっております。

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

82,152

 △11.4

18,329

99.3

メカトロニクス関連事業部門

19,189

47.3

6,317

199.2

サービス他部門

26,274

27.0

7,325

40.9

内部取引消去

△219

△4

合計

127,396

1.3

31,967

94.3

 (注)金額表示は販売価格(消費税等抜き)によっており、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体・部品テストシステム事業部門

73,017

 △27.8

メカトロニクス関連事業部門

14,984

9.7

サービス他部門

24,151

20.3

内部取引消去

△274

合計

111,878

 △15.8

 (注)1.金額表示は消費税等抜きであり、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しております。

2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2012年4月1日

  至 2013年3月31日)

当連結会計年度

(自 2013年4月1日

  至 2014年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Samsung Electronics Co., Ltd.

   -

 -

 16,819

 15.0

Intel Corporation

  18,584

  14.0

   -

 -

 

3【対処すべき課題】

当社は、長年における研究開発を通じて培った「計測技術」をコア・コンピタンスとしつつ、ここ数年の損益水準に鑑みた2つの構造転換施策を通じて、企業価値の向上に取り組みます。

まず、市況悪化リスクへの対策として、コスト構造の転換を図ります。具体的には、従業員数のスリム化による人件費の適正化、基幹情報システムのグローバル統合や事業所統廃合による業務効率の向上、製品原価率の改善などで売上高損益分岐点を引き下げ、不況期での利益創出力を高めます。

また、成長市場・重点分野での事業展開を積極的に行うことで、持続的な成長を可能とする事業構造への転換を図ります。半導体試験装置市場における競争力を維持向上することで収益の安定確保に努める一方、デバイス・インタフェースやサービスなど半導体試験装置周辺市場の強化およびナノテクノロジー製品に代表される新規事業の育成により、収益基盤を強化します。この事業構造の転換を加速するため、成熟市場から成長市場・重点分野への経営資源の機動的な再配分を、財務の健全性と効率性に配慮しつつ、これまで以上に進めてまいります。

4【事業等のリスク】

 アドバンテストの事業に関連するリスクは、以下のとおりです。

●アドバンテストの事業と業績は半導体産業の顕著に変動する需要に影響されます。

  アドバンテストの事業は、半導体設計製造会社(IDM)、ファブレス半導体企業、ファウンドリーおよびテストハウスの設備投資に大きく依存しております。これらの企業の設備投資および一般投資は、主に半導体に対する現在および将来の需要、ならびに半導体を利用した製品に対する需要によって決定されます。かかる需要は世界経済の全体的な状況の影響を大きく受けます。今日までの経験として、半導体業界の不況時において、一般的に半導体メーカーのテストシステム投資を含む設備投資は、半導体の世界的な出荷額の減少率よりも大きく減少します。半導体業界では、過剰在庫の時期が繰返し発生するなど今まで周期的な動きを示しており、そのことがアドバンテストの製品を含め、半導体業界のテストシステムに対する需要にしばしば深刻な影響を与えてきました。特にメモリ半導体の市場は非メモリ半導体に比べ、より需要の変動が大きいと思われます。当連結会計年度において、アドバンテストの半導体・部品テストシステムの売上高のうち、メモリ半導体用テストシステムの売上高は、前年の17.6%から14.5ポイント増加し、32.1%を占めております。したがって、メモリ半導体市場の市況は、今後もアドバンテストの事業と業績に対して悪影響を与える可能性があります。

  世界的な半導体市場は、2009年も引き続き金融危機に端を発する世界経済不況の影響を受け、前年比9.0%の減少となりました。しかし2010年は、前年のマイナス成長の反動に加え、新興国の旺盛な電子機器の需要により、前年比31.8%の増加と大幅に回復しました。2011年は、世界経済の低迷、東日本大震災やタイの洪水による一時的な電子機器生産活動の低迷などにより、前年比0.4%の増加に留まりました。2012年は、南欧諸国の債務問題に起因した欧州経済の停滞の長期化や、これまで世界経済の下支え役を担ってきた中国経済の減速などにより前年比2.7%の減少となりました。2013年は、製品毎に多少の差はあったものの全体では堅調に推移し、前年比4.8%の増加となりました。非メモリ半導体の世界的売上は、2009年は、前年からの金融危機に端を発する世界経済不況の影響を大きく受け、前年比で10.3%の減少となりました。2010年は、デジタル家電やスマートフォン、タブレットPCなどの各種電子機器需要の盛り上がりを背景に、前年比26.0%の増加となりました。2011年もスマートフォン、タブレット型端末などの需要の盛り上がりなどにより、前年比4.4%の増加となりました。2012年も引き続きモバイル機器市場の活発な動きを背景に、通信用半導体やLCDドライバ等の半導体が好調に推移したものの、その他の電気機器の低迷から、前年比1.8%の減少となりました。2013年は、スマートフォンやタブレット型端末などが堅調に推移し、前年比1.7%の増加となりました。メモリ半導体の世界的売上は、2009年はPC市場およびスマートフォン等の携帯電話市場が堅調だったものの、世界的な景気低迷からマイナス成長となり、前年比で3.3%の減少となりました。2010年は、携帯機器に搭載されるモバイル用DRAMの需要が堅調に推移したため、前年比55.4%の増加となりました。2011年は、パソコンなどの機器の需要沈滞に端を発したDRAM価格の下落などにより、前年比12.7%の減少となりました。2012年も引き続き、パソコンなどの機器の需要が低調に推移したことにより、前年比6.2%の減少となりました。2013年は、低価格スマートフォン向けのDRAMやLPDDR等の需要の高まりなどにより、前年比17.6%の増加となりました。

 半導体市場の顕著な需要の変動は、以下の様々な要因から影響を受けます。

· 世界経済の全体的な状況

· 通信インフラ投資の水準およびタブレット型端末やスマートフォンなどの通信端末の需要の動向

· パソコンおよびデータサーバ業界の需要

· 薄型テレビ、DVD/Blu-rayディスクレコーダーおよび携帯音楽プレーヤー、電子書籍等のモバイルツールを含むデジタル・コンシューマー機器に対する消費者の需要

· 自動車業界の需要

· 半導体業界の動向

 2009年度のアドバンテストの売上は、半導体価格の上昇や稼働率の高まりを背景として、各半導体メーカーの設備投資が徐々に再開されましたが、前年度後半の受注が低調に推移した影響により、前年比30.6%減の53,225百万円となりました。2010年度は、円高の進展や価格競争の激化などの厳しい事業環境におかれましたが、半導体市場が好転したため、売上は前年比87.2%増の99,634百万円、当期純利益は3,163百万円となりました。2011年度はアプリケーション・プロセッサやCMOSイメージセンサなど、非メモリ半導体市場における成長分野での需要増に対する販売の拡大、2011年7月に買収したVerigy Ltd. (以下、Verigy社)の強みを活かした欧米の顧客への販売の拡大および通信用半導体市場において増加する顧客需要に応える顧客満足度の高い製品の提供などの結果、売上は前年比41.6%増の141,048百万円となりました。ただし、利益面においては、Verigy社との統合関連費用や投資有価証券の評価損を計上したことなどにより、当期純損失が2,195百万円となりました。前連結会計年度は半導体試験装置市場における最大セグメントである通信用半導体向けを中心に拡販に努め、その結果当社の市場シェアは上昇しました。しかし、半導体市場の減速に伴う顧客の設備投資縮小による半導体試験装置需要の減少を補うまでには至らず、売上は前年比5.8%減の132,903百万円となりました。また製品の売上構成比の悪化などにより、当期純損失は3,821百万円となりました。当連結会計年度は、半導体製造装置において、非メモリ半導体用を中心に昨夏より一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制されたため、売上は前年比15.8%減の111,878百万円となりました。損益面については、売上の減少に加え、円安進行に伴い外貨建てコストが増加したこと、事業環境の変化を踏まえて長期性資産の減損や棚卸評価損を計上したことなどにより、当期純損失は35,540百万円となりました。

 以上のようにアドバンテストの業績は、引き続き半導体業界の顕著な需要変動に大きな影響を受けると考えられます。そのため、今後半導体業界の景況がどのように推移していくかは予想できませんが、半導体業界における大規模な不況が発生した場合には、アドバンテストの財務状況と事業成績は、悪影響を受けることとなります。近年の半導体価格はDRAMなど一部底入れの兆しはありますが、半導体の供給過剰により、半導体の価格水準が低下した場合、半導体メーカーの収益が悪化し、半導体メーカーの設備投資がさらに抑制され、アドバンテストの業績に影響を及ぼすことがあります。

アドバンテストが顧客の技術面の要求に応える新製品をタイムリーにかつ競争力ある価格で投入しなかった場合、既存の製品が陳腐化し、財務状況と業績に影響を及ぼします。

 アドバンテストは、技術変化が激しく、新製品・サービスの導入が頻繁であり、製品ライフサイクルが不定で予測しにくく、業界基準が常時進歩するいくつかの業界に向けて製品を販売しております。当社製品への将来の需要の大部分は、現在設置されているシステムでは十分に対応できない、新しい試験ニーズを生み出す半導体の技術革新によるものであると、アドバンテストは予測しております。このような技術革新に対する顧客のニーズと市場環境に対応した低コスト化や高効率化の顧客のニーズは、以下のとおりであります。

· より高度なメモリ半導体、ロジックまたはアナログ回路を搭載した非メモリ半導体に対応したソリューション

· 大小のモーター駆動を制御するパワー・デバイスのテスト・ソリューション

· TSV技術により、三次元に高集積化されたICや小型化、高性能化を実現するためにRF、ロジックおよびメモリチップを一つのパッケージに収めた複合ICに対応したソリューション

· より高速に、正確に、安定的にデバイスを搬送するメカトロニクス関連製品

· 半導体チップに組み込まれる自己診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション

· 試験チップ周辺回路に搭載される診断回路を用いた試験技術に対応したソリューション

· 顧客の後工程テストの技術革新によるテスト時間短縮に対応した、メカトロニクス製品

· 故障時の迅速な対応と修理に要する時間の最短化

· 顧客のテストコストを削減できるようなトータル・ソリューション

· 最先端のフォトマスクの計測および観察に対応したソリューション

 また、アドバンテストは、半導体・部品テストシステムをはじめとする当社製品への需要が、パソコンや高速無線および有線通信のデータ・サービスならびにデジタル・コンシューマー機器、さらにタブレット型端末やスマートフォンなどの通信端末およびデータサーバに対する需要の水準に、強く影響されると考えています。これらの製品とサービスに使用されている技術の発展により、新しいテストシステムが必要となると思われます。アドバンテストが新技術を用いた機器を試験、測定できるテストシステムを迅速に投入しなければ、既存の製品とサービスは時間の経過につれ技術的に陳腐化します。

 アドバンテストが顧客の技術面の要求に競争力のある価格で応えられない場合、または適合性のある製品をタイムリーに提供できない場合、競合先の製品または代替の技術ソリューションにより置き換えられる可能性があります。顧客が要求した性能基準を満たした製品を受入れ可能な価格で提供できないと、その顧客におけるアドバンテストの評価が大きく損なわれることになります。かかる評価の低下により、将来その顧客に対する製品やサービスの営業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

●下請業者に対する依存、部品および部分品に関して独占的または少数のサプライヤーへの依存を原因に、規格に合った製品をタイムリーに提供できない可能性があります。

  アドバンテストは、その製品の製造に関し、組立作業の一部を下請業者に委託しております。また、アドバンテストの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品における多くの部品は、アドバンテストの仕様に沿ってサプライヤーが製造したものであります。下請業者とサプライヤーへの依存により、アドバンテストによる生産工程に対する管理は届きにくく、生産能力の不足、出荷遅れ、基準未満の品質、労働力の不足、高コストなど、重要なリスクに直面することになります。さらに、アドバンテストは、一部の部品または部分品に関して、1社または少数のサプライヤーに依存しております。アドバンテストは、ほとんどのサプライヤーと長期間の供給契約を結んでおらず、ほとんどの部品および部分品を個別の発注で購入しております。サプライヤーが部品または部分品を必要な数量または満足できる価格で提供できなくなる、あるいはサプライヤーの事業の撤退等により、既に採用または今後採用するカスタム部品および汎用部品の生産もしくは販売が中止となった場合、アドバンテストは条件に合った代替品を見つけて仕入れなければならず、それができなければ、テストシステムの供給能力が損なわれる可能性があります。半導体または特殊部品の市場においては、過去に需要に対し供給が不足した時期があります。また、大規模な災害や電力不足が発生した場合も部品が不足する可能性があります。下請業者またはサプライヤーを選び、適切な代替部品または部分品を選定するのは時間のかかる作業であるため、顧客の要求に合った製品をタイムリーに提供できなくなる可能性があります。アドバンテストは過去において、仕入先がアドバンテストの仕様に合った部品を提供できなかったこと、またはその他の部品不足を原因にスケジュールどおりに製品を出荷できなかったことがあります。また、経済環境の悪化により下請業者とサプライヤーの財政状態が悪化し、アドバンテストの需要を充足できなくなる可能性があります。

アドバンテストは激しい競争に直面しており、シェアを維持、拡大できない場合は、アドバンテストのビジネスが損なわれる可能性があります。

 アドバンテストは世界中で激しい競争に直面しております。アドバンテストの主要な競合企業は、半導体・部品テストシステムの市場においては、Teradyne, Inc.、LTX-Credence Corporation、UniTest Inc. および EXICON Ltd.等があります。メカトロニクス関連の市場においては、テスト・ハンドラでは、Delta Design, Inc.、TechWing Inc.、セイコーエプソン株式会社 および Mirae Corporation 等、デバイス・インタフェースでは、TSE Co., Ltd.、Semes Co., Ltd. および SL-link Co., Ltd.等と競合しております。一部の競合企業はアドバンテストよりも多くの資金その他の資源を有しております。

 アドバンテストはその事業において、テストコストの削減につながる半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品を望む顧客からの圧力が強まるなど、多くの課題に直面しております。デバイス・インタフェースについては、競合企業にコア技術部品の供給ベンダーが買収されたり、PCB製造技術が流出した場合、顧客のテストコストの削減や、製品の性能の実現が困難になります。

 アドバンテストが競争に打ち勝ち、シェアを維持、拡大していくためには、継続的にそのビジネス・プロセスを改良して製品コストを削減する、あるいは全体的なテストコストを低減させる必要があります。また、アドバンテストは、競合他社が今後も価格と性能の向上した新製品を投入し、そのカスタマ・サービス/サポートの提供を増強し続けたり、新規参入企業による低価格テスタの投入などを予想しております。競争が大幅に激化した場合、アドバンテストの利益幅が縮小し、利益が減少する可能性があります。

●アドバンテストは、策定した戦略や中期計画の目標を達成できない可能性があります。

 アドバンテストは、2014年度を最終年度とする中期経営目標「ACT2014」を策定し、その達成に向けて取り組んできました。しかし世界的な景気後退の影響、半導体業界の低迷や中期経営目標発表後に発生したその他の要因により、アドバンテストの翌連結会計年度の業績は、当初の目標を大きく下回ると見込まれています。中期目標の達成は、アドバンテストや顧客に影響を及ぼす経済や市場の動向、競合状況、設備投資水準、アドバンテスト製品の需要と為替レートの変動を含む様々な内外の要因に影響されます。したがって、発表される目標値(適時修正される)は、将来の業績予測として見なすべきではありません。中期経営目標達成のためのアドバンテストの戦略とその実行が成功する、戦略の実行が意図する結果をもたらす、中期経営目標またはそれ以外の目標(定量的、定性的を問わない、適時修正される。)が期限までに達成される、あるいはそれらの目標が将来経営陣によって変更されないという保証はありません。

●半導体・部品テストシステム事業およびメカトロニクス関連事業の市場の急拡大に伴う需要に対応しきれない場合には、将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 アドバンテストは、製品に使用する部品をサプライヤーから調達しておりますが、それらのサプライヤーは、製造ラインおよび人員削減による生産能力の適正化を実施してきました。そのため、今後半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の市場が急激に拡大した場合には、回復局面を活かすために人員増を含む生産能力を大幅に増強することや、需要が増加する部品を、サプライヤーから適時適切に確保することが必要となってきます。需要の回復の際、製品需要の予期せぬ増加に対応しきれない場合、アドバンテストが既存の大口顧客を失う、または今まで取引関係の少なかった、あるいは全く無かった潜在的な大口顧客と強い関係を築く機会を失う結果となる可能性があります。このような機会損失は、アドバンテストの将来の市場シェアおよび業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●アドバンテストの売上高は、上位顧客の数社が大きな割合を占めるため、これらの1社または数社を顧客として失うことや設備投資の変動が、アドバンテストの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの上位顧客の財務状態が悪化した場合、売上債権の回収リスクが発生します。

 アドバンテストの成功は、重要顧客との関係を継続的に発展させ管理することにかかっております。現在ではこれらの少数の顧客がアドバンテストの売上高の大きな割合を占めております。最上位顧客による売上高は、2011年度の売上高全体の約29%、前連結会計年度の同約14%および当連結会計年度の同約15%を占めております。顧客上位5社による売上高は、2011年度の売上高全体の約56%、前連結会計年度の同約37%および当連結会計年度の同約36%を占めております。これら主要顧客の1社または数社を失うことや主要顧客の設備投資の変動が、アドバンテストの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、多額の債権を有する顧客の財政状態が悪化し、アドバンテストが期限どおりの支払が得られない場合、アドバンテストの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

●アドバンテストの製品は価格低下圧力を受けております。

 アドバンテストが事業において受けている価格低下圧力は、営業利益率に悪影響を及ぼしております。半導体の需要が数量ベースで増加している時においても、半導体価格の低下は進行しているため、半導体・部品テストシステム事業およびメカトロニクス関連製品に対する価格低下圧力が続いております。アドバンテストの顧客である半導体メーカーやテストハウスは、急激な半導体価格の低下が起きている時期に、生産能力を増強しようとしながらも、設備投資額を抑えようとします。デジタル・コンシューマー機器とパソコン市場に加え、スマートフォンやタブレット型端末などのモバイル機器市場およびデータサーバ市場における競争激化により価格が低下し、それによりアドバンテストの製品にも強い値下げ圧力がかかります。半導体価格の低下が止まらない場合、顧客は既存の設備の改造や使い方の工夫により、新品の設備投資を抑える可能性もあります。今後、価格低下圧力がさらに強まれば、アドバンテストの将来の財務状況と事業成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

●アドバンテストは新製品の開発コストを回収できない可能性があります。

 既存製品の改良と新世代製品の開発は、ほとんどの場合多額な費用を必要とします。さらに、半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連製品の購入決定は高額な投資を伴うため、一般的に販売活動に要する期間が長く、販売に至るまで多大な支出と営業活動を必要とします。アドバンテストが製品を改良し新世代の製品を投入したとしても、顧客ニーズの変化、競合他社による新技術・新機能搭載製品の投入、顧客による異なる試験機能を必要とする新製品投入、または顧客の製品がアドバンテストの期待する速度、レベルで成長しないことにより短期間で時代遅れとなれば、開発と営業の費用を上回る売上高を上げられない可能性があります。非メモリ半導体製品の市場投入の頻度はメモリ半導体製品よりも高いため、非メモリ半導体用テストシステムに関しては、一般的にこのリスクは特に大きいと思われます。場合によっては、アドバンテストは業界動向を先取りし、顧客側の製品実用化よりも先に製品の開発を行わなければなりません。そのためアドバンテストは、革新的技術のビジネス上の実現可能性を判断する前に、多額の投資を行わなければなりません。したがって、アドバンテストの顧客がそれらの製品を迅速に投入できない場合や、またはそれらの製品が市場に受け入れられない場合、アドバンテストは販売量の増加による製品開発投資のコストの回収に失敗する可能性があります。

●アドバンテストの主な製品の市場は極めて集中しており、販売機会が限られているため、アドバンテストが製品の売上を拡大できない可能性があります。

 半導体・部品テストシステム事業の中でも、特にメモリ半導体用テストシステムの市場は極めて集中したものであり、少数の大きな半導体メーカーとファウンドリーおよびテストハウスが業界全体の売上に大きな割合を占めております。このような業界状況は、近年の半導体業界において、大手の半導体メーカー、ファウンドリーおよびテストハウスによる小規模企業の買収や事業の統廃合などの再編が進むことにより、一層加速していると考えられます。アドバンテストの売上の増加は、大口顧客から受注を獲得し増加させることができるかどうかに大きく依存します。また、半導体メーカーの統廃合により過剰な設備が中古市場に流れ、製品の販売機会を失うリスクがあります。

●為替変動が収益性に影響を及ぼす可能性があります。

 アドバンテストの売上高の大半は日本国外の顧客への販売によるものです。当連結会計年度の売上高の89.1%は、海外顧客への製品売上によるものです。当連結会計年度の売上高のうち約61%は、米ドルを主とする円以外の外貨によるものです。アドバンテストが販売にあたり使用する外国の通貨(主に米ドルであるが、僅かながら他の外貨を含む)に対して、円高に転じた場合、アドバンテストの製品価格は米ドルまたはかかるその他の外貨ベースでは上昇し、かかる国での売上に打撃を与えます。

 なおユーロについては、現状ユーロ建ての売上よりも費用の発生額の方が大きいため、円安水準で推移した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、円と外貨(特に米ドル)の間の大きな為替変動により、海外において円建てで販売される製品価格を引き下げなければならない場合や、また米ドルやその他の外貨建てで販売される製品売上の円相当額が減少した場合には、収益性に影響を及ぼす可能性があります。これらの変動により、アドバンテストの製品価格が相対的に高くなり、潜在的な顧客による発注の取消しまたは先送りが生じる可能性があります。過去において、アドバンテストが販売にあたり使用する外貨と円との間の為替レートに、大きな変動が生じたことがあります。

 また、子会社の報告通貨の外国為替レートが円に対して変動した場合、アドバンテストの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。外国為替レートの変動は、アドバンテストの連結財務諸表の報告通貨である円に換算する必要のある外貨建ての金額に影響し、為替変動の向きによってはアドバンテスト全体の財政状態、経営成績および純資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

●アドバンテストの主要な研究開発施設、生産施設、情報技術関連施設、製造委託先またはサプライヤーの施設が巨大な損害を被った場合、業績に重大な打撃を受けることになります。

 アドバンテストの半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス関連事業の主要な研究開発施設、生産施設ならびにサービスの拠点の多くは、特に群馬県と埼玉県に集中しております。また、主要な基幹システムサーバーとネットワークのハブは、ISMS(情報セキュリティマネージメントシステム)の承認を受けたシステムセンタに設置され、さらに、日本の一部の事業所にもローカルにネットワークサーバーが設置されております。日本は2011年3月に東日本大震災が発生したように、頻繁に地震が起こる可能性の高い地域であります。

 これらの施設、特に半導体・部品テストシステムの工場が巨大な損害を受けた場合、アドバンテストの事業に支障を来し、製造、出荷および収益に遅れが生じ、施設の修理または建て直しのために巨額の費用が発生します。アドバンテストは、地震以外の原因によるほとんどの潜在的な損失をカバーする保険に加入しておりますが、これらの保険は起こり得る損失すべてを十分にカバーしない可能性があります。また、アドバンテストの製造委託先、サプライヤーの施設、または情報サービス網の施設が同様の重大な損害を受けた場合も、アドバンテストの事業に支障を来す可能性があります。

 アドバンテストは、大規模災害等の危機発生時に備え、各部門で対応手順書を定めていますが、さらに、基幹事業を停止させないこと、停止した場合でも重要な設備を含め可能な限り短期間で再開させることを目的として、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し実施しております。しかしこの事業継続計画が有効に機能しない場合には、大規模災害等の危機発生時にアドバンテストの基幹業務が停止し、再開に長期間を要する可能性があります。

●アドバンテストは、Verigy社との事業統合の成果を十分には出せない可能性があります。

アドバンテストは、2011年7月にVerigy社を買収し、2012年4月に完全統合しました。この統合により、変化の激しい半導体関連市場において、高品質で幅広い範囲の製品の開発・販売による顧客ニーズの充足や、安定的な財務基盤に基づく技術革新を通じた顧客ニーズへの対応が可能となり、持続的な成長を実現しつつあると考えております。

  しかし、2つの異なる企業の事業統合は複雑であり、業務プロセスの一本化までには、さらに一定の時間を要するものもあります。また業務プロセスが一本化されたとしても、期待されている事業統合の成果が出ない可能性があります。以下を含め、事業統合の様々なプロセスで、困難な状況が引き起こされる可能性があります。

· 二社の異なる研究開発、生産、販売、保守プロセスおよび業務システムの統合

· 二社間の重複する部門やプロセスによって引き起こされる非効率性の解消

· 企業文化と使用言語が異なる二社の融合

  以上を含め、困難な状況が起きた場合、アドバンテストの将来の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、アドバンテストは、2011年7月にVerigy 社から引き継いだ社員に対し、アドバンテストのストック・オプションを付与しています。社員がこのストック・オプションの権利を大量に行使した場合、アドバンテスト株主の議決権および一株当りの総資産ならびに株価に希薄化の影響を与える可能性があります。

●アドバンテストの事業は、国際的な事業展開に伴う経済的、政治的またはその他のリスクを有します。

 アドバンテストは世界中で部品の調達、製品の生産および販売を行うため、その事業は国際的な事業展開に伴うリスクを有しております。アドバンテストの当連結会計年度の総売上高に対し、台湾、中国および韓国への売上が大半を占めるアジア地域(日本を除く)は73.0%、米州は9.6%、欧州は6.5%を占めております。海外事業での売上高は、今後も継続して売上高全体の大きな割合を占めると予想されます。また、アドバンテストの販売・サポートの子会社は米州、欧州および台湾、シンガポール、韓国、中国等のアジア諸国に展開し、サプライヤーや生産工場も韓国やマレーシアなどの海外に展開しております。したがって、アドバンテストの将来の業績は、以下を含む様々な要因から悪影響を受ける可能性があります。

· アドバンテストが部品を調達し、製品を生産および販売する国における政治的、経済的な混乱、紛争、自然災害、疫病またはその他のカントリー・リスク

· 貿易保護政策と輸出入の許認可制度

· 税法の改定による潜在的なマイナス影響

· 移転価格税制等の国際税務に関するリスク

· 事業展開が広範囲に及ぶための人事・管理面の困難性

· 異なる知的財産保護制度

· 遠隔地であることおよび法規制が異なることによる売上債権回収の困難性

· テロ・戦争あるいは政治や経済の両方もしくはいずれかにおける外国との関係悪化等による社会的・政治的混乱が発生するリスク

· アドバンテストのサプライヤーや生産工場が、機械加工および組み立てのインフラのレベルが発展途上の国にある場合の調達および生産における品質低下のリスク

●長期性資産およびのれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込みによっては、多額の減損を計上し、アドバンテストの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 長期性資産について、減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合、当該長期性資産について帳簿価額を公正価値まで減額し、当該減少額を損失として計上する可能性があります。

 なおアドバンテストは、当連結会計年度に事業環境の変化を踏まえ、将来の期待されるキャッシュ・フローを見直した結果、有形固定資産および無形資産に関する減損損失を13,495百万円計上しました。

 また、アドバンテストの連結貸借対照表には、米国会計基準に基づき相当額ののれんが計上されています。のれんについては、1年に1回減損テストを実施しており、減損テストにおいて、のれんの対象となっている事業ののれんを含む公正価値が当該帳簿価額を下回っている場合、のれんの額を再度算定し直し、現在ののれんの額と再算定したのれんの額の差額を減損として認識することになります。したがって、長期性資産やのれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込みによっては、多額の減損を計上し、アドバンテストの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

●アドバンテストは、設備投資を回収できない可能性があります。

 アドバンテストは、設備投資を継続的に行っていますが、前連結会計年度から当連結会計年度にかけて、韓国の大手顧客への販売シェア拡大のため、韓国に新工場を建設し2013年5月に操業を開始しました。 このような設備投資に対して、顧客の設備投資の抑制により想定した販売規模を達成できない、あるいは競合他社との激しい競争による製品単価の下落などにより、アドバンテストが設備投資を回収することが出来ない、または回収出来るとしても想定より長い期間を要する可能性があります。そのような場合、当該資産が減損の対象になり、アドバンテストの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

●東日本大震災と同様の災害が発生した場合、アドバンテストのビジネスが損なわれる可能性があります。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災と同様の災害が発生し、サプライヤーの施設が被災したり、サプライヤーの施設で電力やガス、水道などの公共サービスが停止された場合や、国内産業に必要かつ十分なエネルギー供給ができなくなった場合、アドバンテストは必要とする部品が調達できず、製品供給が市場の要求に対応できない可能性があります。また、半導体市場、家電製品、各種コンピュータ機器や自動車など半導体と関連の深い最終製品の市況の動向も、不透明な状況に陥る可能性があります。これらの要因により、アドバンテストのビジネスが損なわれる可能性があります。

 福島第一原子力発電所の事故で経験したように、地震や津波により原子力発電所が甚大な被害を受けることにより、放射性物質が大量に漏洩し、アドバンテストの製品に放射性物質が付着したり、あるいはアドバンテストの主要拠点における事業活動に制約がかかった場合、または原子力発電所の運転停止等により長時間にわたり電力供給が不安定になった場合、製品の競争力が損なわれたり、製品供給が市場の需要に対応できず、アドバンテストのビジネスが損なわれる可能性があります。

●アドバンテストの財務状況および事業成績は、その営業・販売力およびブランド力に関係する要因からマイナスの影響を受ける可能性があります。

 アドバンテストの財務状況および事業成績は、その営業・販売力およびブランド力に関係する以下のような要因からマイナスの影響を受ける可能性があります。

· 半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス製品の長期間にわたる販売プロセス

· 半導体・部品テストシステムおよびメカトロニクス製品市場の比較的に少ない総販売台数

· 顧客側による発注キャンセルまたは設備投資の先送り

· 顧客の財務状況を原因とする売掛金回収の遅延や貸倒れおよび貸倒引当金の増加

· 製品保証費や棚卸資産評価損に必要な引当金額の増加

· アドバンテスト製品の性能または信頼性の事実上または風評上の低下、またはそのことによるブランド力の低下

●アドバンテストで利用されている化学物質に対して規制が強化され、その対策のために多額の費用が発生する可能性があります。

 アドバンテストが利用している化学物質の中で、その製造、処理および販売に関し、日本の政府機関や外国の様々な業界組織、またはその他の規制機関の環境関連法と規則が適用されるものがあります。そしてこれらの規制機関は、アドバンテストが使用する化学物質に対して、適用される既存の規制強化や、新たな規制に乗り出す可能性があります。アドバンテストは、製品に組み込む部材に含まれる有害物質の排除を進めておりますが、製品の信頼性の確保を優先するため、電子部品の取付けに鉛を含むはんだを使用しております。また、半導体・部品テストシステムやメカトロニクス関連製品の冷却方式では、使用に関わる法的規制を受けていないフッ素系液体を一部使用しております。アドバンテストは、製品の安全性や信頼性の確保を第一に、製品の環境対策を進め、化学物質の使用における規制を遵守していると考えておりますが、特定の国において規制要件が変更された場合にはかかる変更に対応しなければなりません。新しい要件への対応のために多額の費用がかかる可能性があります。関連する政府または業界規制への対応が出来ない場合、販売の継続または拡大の妨げとなる可能性があります。

●第三者がその知的財産をアドバンテストによって侵害されたと主張する可能性があり、その結果アドバンテストが高額な賠償、裁判費用またはライセンス料を支払わなければならなくなり、製品を販売できなくなる可能性があります。

 アドバンテストは意図しないまま第三者の知的財産権を侵害し、その結果侵害の責任を負わされる可能性があります。今日まで、アドバンテストに対して知的財産権侵害に関わる重大な申立てが行われたことはありません。しかし、特許またはその他の知的財産権の侵害をめぐる裁判は、多大な出費と時間を伴い、経営陣または重要な人材がアドバンテストの事業運営に注力できなくなる可能性があります。アドバンテストが勝訴できなかった場合、多額の賠償金の支払、ライセンス料の支払、製品または工程の変更、製品の製造中止または工程の使用中止などを余儀なくされる可能性があります。ライセンスは非常に高価な場合もあり、または全く取得できない場合もあります。第三者の知的財産権を侵害しないように製品または工程に変更を加えることは、多大な出費を要する場合や、実行不可能な場合があります。

●アドバンテストの知的財産権を侵害している疑いのある製品を入手し調査することは困難なため、アドバンテストが知的財産権を保護できない可能性があります。

 アドバンテストは、その独自の権利を保護するために、各国で取得した特許権、実用新案権、意匠権、商標権および著作権などに依存しております。例えば、アドバンテストはデバイス・インタフェース市場において、模造品を販売するメーカーに対して特許権および実用新案権に基づく法的手段を講じ、場合によっては販売を差し止めてきました。しかし、知的財産権が侵害されていると思われる製品を入手し調査することは一般的に困難であります。そのため、保有している知的財産権によって自社の権利を十分に保護していると保証できるわけではありませんが、アドバンテストはその知的財産権を第三者の侵害から保護することに積極的であり、今後も引き続きその知的財産権を監視し、権利行使を行ってまいります。

●技術労働力市場は競争が激しいため、アドバンテストが技術者やその他の重要スタッフを採用し保持できない場合は、その事業に支障を来します。

 アドバンテストの今後の成功は、その研究開発部門およびカスタマ・サービス/サポート部門で適任のエンジニアを採用し保持できるかにもよります。これらの人材を十分に採用し保持できなかった場合、事業の維持と拡大が不可能になります。現在の役員や従業員の雇用を維持し、将来に必要と思われる追加の人材を採用するためには、賃金制度やその他の人事諸制度の見直しが必要となってくる可能性もあります。

●アドバンテストの情報技術ネットワークやシステムが被害を受けたり妨害されたり停止した場合、業務の継続を妨げ、社会的信用を失いかつ多額の費用負担が発生する可能性があります。

 アドバンテストは、機密データを含む電子情報の処理、送信、蓄積のために、また製造、研究開発、サプライチェーンの管理、販売、会計などを含む様々なビジネス活動およびそのサポートのために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムに頼っています。アドバンテストは情報セキュリティ委員会および総務・法務部が、情報セキュリティ対策の方針制定を行っております。また、情報技術ネットワークやシステムについては、前述の方針に基づき、IT部門が構築・運用しております。しかし、ハッカーやコンピューターウイルスによる攻撃、情報セキュリティシステムの誤用、不注意な使用、事故や災害などがあった場合には、当社が実施する防御を超え、業務の継続を妨げ、情報の漏洩やその情報が改竄される恐れがあるだけでなく、法的請求、訴訟、損害責任、罰金を払う義務などが発生し、アドバンテストの社会的信用、業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

●アドバンテストは、製品の欠陥や製造物責任による顧客の信用の喪失などにより、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

アドバンテストは、ISO9000など世界的に認められている品質管理基準にしたがって製品の生産を行っておりますが、これらの製品について欠陥が無いという保証はありません。また、製造物責任賠償については、保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできる保証はありません。製品の欠陥により大規模な事故が発生した場合や、当社の製品に障害が発生したり、障害対応が不適切だったことにより、顧客の信用を失ったり、顧客対応費用が増大したり、損害賠償請求を受けたりする場合には、アドバンテストの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 アドバンテストは、「先端技術を先端で支える」ために、エレクトロニクス、情報通信、半導体製造を支える計測技術の分野で、今後の事業の中心となる製品の研究開発を進めております。アドバンテストの研究開発は、新製品の開発と既存製品の改良に注力しております。特に半導体・部品テストシステム事業においては、市場競争力を保ち、顧客の様々なニーズに対応した多くの種類の製品を供給するために多額の研究開発投資を継続的に行う必要があります。また、アドバンテストは新しい基盤技術の基礎研究も行っております。アドバンテストの研究開発費は、前連結会計年度は331億円、当連結会計年度は327億円でありました。アドバンテストはその研究開発部門に1,000名以上のエンジニアおよびその他の人員を雇用しております。

 アドバンテストの当連結会計年度の研究開発活動の成果および内容は以下を含みます。

(基盤技術)

· テラヘルツ波領域の要素技術開発。

· 半導体・部品テストシステムやミリ波計測器に用いる高速・低消費電力マイクロ・スイッチおよび高速サンプラー等の要素技術。

· 高いビットレート信号のタイミング揺らぎを測定する手法の開発。

· 半導体・部品テストシステムに用いる低歪デバイスなどの化合物半導体デバイスの開発。

(半導体・部品テストシステム事業部門)

· 超高速メモリ半導体を実動作速度で試験する半導体・部品テストシステムの開発。

· DRAM半導体およびフラッシュ・メモリ半導体の試験の機能性を向上し、省スペース化した半導体・部品テストシステムの開発。

· 多ピン化、複雑化が進むSoC半導体を多数個同時測定でき、省スペース化した半導体・部品テストシステムの開発。

· 応用が特化されたデバイス専用の半導体・部品テストシステムの開発。

· 超高周波数で作動する計測モジュールおよび高密度伝送ネットワークに対応した計測モジュールの開発。

· 多ピン高速対応伝送技術および高速伝送信号コンタクト技術の開発。

· 半導体設計環境と半導体・部品テストシステムとのインタフェース用応用ソフトウエアの開発および半導体不良解析用ソフトウエアの開発。

(メカトロニクス関連事業部門)

· 多数個同時測定ができ、高スループット試験を目的としたメモリ半導体用テスト・ハンドラの開発。

· 多様化するデバイス品種やパッケージに対応したSoC半導体用テスト・ハンドラの開発。

· 高速、高発熱デバイスにおける高低温のリアルタイム温度コントロール技術の開発。

 アドバンテストの研究開発施設は、日本、米国、欧州および中国にあります。

 アドバンテストは世界中の研究者の力を活用するために、研究所間の共同開発活動の促進に取り組んでおります。日本における半導体・部品テストシステム研究開発チームは、米国および欧州の研究開発チームと、ハードウエア開発ならびにソフトウエア開発で緊密な共同作業を行っております。

 アドバンテストは現在、半導体ウエハに回路パターンを直接描画するための電子ビーム露光技術の研究開発やフォトマスクの微細な回路パターン寸法を測定する電子ビーム測長システムの研究開発を行っております。現在の電子ビーム露光装置は、スループット上の制限から、高付加価値の半導体の少量生産または半導体プロトタイプの生産にのみ使われています。次世代装置への要求に対応する為に、スループットを向上させる技術開発と共に、先端の半導体設計および製造プロセスに必要な高精度技術に関して、更なる研究開発が必要になるとアドバンテストは考えております。

7【財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

 アドバンテストは、半導体・部品テストシステムの製品群とテスト・ハンドラやデバイス・インタフェース等のメカトロニクス関連製品群の製造・販売を主な事業内容とし、その他にこれらに関連する研究開発および保守・サービス等の事業活動を展開しております。

 半導体・部品テストシステム事業部門は、半導体・電子部品産業においてテストシステム製品を顧客に提供することを事業としております。この事業部門は、メモリ半導体用テストシステムおよび非メモリ半導体用テストシステムを事業内容としております。非メモリ半導体用テストシステムには、SoC半導体用テストシステム、LCDドライバIC用テストシステムおよび車載半導体用テストシステムなどの製品群があります。当事業セグメントは当連結会計年度において売上高の65.3%を占めており、アドバンテストの最も重要な事業セグメントであります。

 メカトロニクス関連事業部門は、半導体デバイスをハンドリングするメカトロニクス応用製品のテスト・ハンドラ、被測定物とのインタフェースであるデバイス・インタフェースおよびナノテクノロジー関連の製品群を事業内容としております。当事業セグメントは当連結会計年度において売上高の13.4%を占めております。

 サービス他部門の内容は、上記の事業に関連した総合的な顧客ソリューションの提供、サポート・サービスおよび機器リース事業等で構成されております。当事業セグメントは当連結会計年度において売上高の21.6%を占めております。

(半導体・部品テストシステム事業)

 半導体・部品テストシステムの市場は、需要の変動が大きく競争の激しい市場であり、顧客の設備投資意欲に依存しております。顧客の設備投資は、以下の要因によって影響を受けます。

 · 半導体および電子部品等に対する需要

 · 半導体および電子部品等に関する技術の革新

 · 半導体および電子部品等の生産技術の変革

  当連結会計年度におけるアドバンテストの半導体・部品テストシステム事業を取り巻く経営環境は、パソコンやスマートフォンなど半導体生産を牽引する主要最終製品の需要に力強さを欠いたことで、半導体メーカーの間で生産能力拡張のための設備投資を手控える動きが続きました。

 このような市況の下、アドバンテストの主力とする半導体試験装置でも、非メモリ半導体用を中心に昨夏より一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制された結果、当社の事業環境は厳しいものとなりました。

 以上の結果、半導体・部品テストシステム事業の当連結会計年度の売上は、前年度比27.8%減少の73,017百万円となりました。

  半導体・部品テストシステムの内、非メモリ半導体用テストシステムは、需要の中核となるパソコンやハイエンド・スマートフォンに搭載されるロジック半導体の生産調整や在庫調整が長期化したことで、一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制された結果、厳しい状況が続きました。

  メモリ半導体用テストシステム分野では、DRAM半導体やNANDフラッシュ・メモリの需給が引き締まった状態が続いたことで、顧客各社の生産能力増強意欲が持続し、メモリ半導体用テストシステムの需要が増加しました。

  半導体需要が数量ベースで増加しているにもかかわらず、半導体価格の低下圧力を受けている時期が、半導体・部品テストシステムに対する価格低下圧力が最も強いと考えられます。アドバンテストは激しい価格低下圧力に直面し続けています。半導体業界の回復期においても、デジタル・コンシューマー機器やパソコン市場における競争の激化により製品価格の低下を招き、それによりアドバンテストの製品に対する大きな価格低下圧力や投資の抑制に繋がっています。

(メカトロニクス関連事業)

  当事業においては、ナノテクノロジー事業の新製品への好調な引合いと、デバイス・インタフェース事業での顧客開拓努力により、順調に推移しました。

  以上の結果、メカトロニクス関連事業の当連結会計年度の売上高は、前年度比9.7%増加の14,984百万円となりました。

(サービス他)

  サービス他事業では製品の設置・修理等の保守サービスと当社製品のリース・レンタル事業を中心として、総合的な顧客ソリューションを提供してまいりました。当連結会計年度のサービス他の売上高は、年間保守契約数の拡大などのサービス事業の収益向上への取り組みが順調に進捗しました。また、新規事業の一部が収益に貢献しました。

  以上の結果、サービス他の当連結会計年度の売上高は、前年度比20.3%増加の24,151百万円となりました。

(研究開発)

  研究開発費はアドバンテストの年間営業費用の重要部分であります。アドバンテストの研究開発費は、前連結会計年度は33,062百万円、当連結会計年度は32,670百万円となりました。その結果、売上高に対する研究開発費の割合は、前連結会計年度は24.9%、当連結会計年度は29.2%でありました。

(人員)

 アドバンテストの従業員数(臨時従業員を除く)は2014年3月31日現在、4,625名となり、2013年3月31日に比べ50名(1.1%)増加しました。

  アドバンテストは、中長期的な戦略として、新卒者の定期募集を継続する予定であります。これらの新入社員は、アドバンテストの事業の成長を支えるために、半数以上が半導体・部品テストシステム事業部門およびメカトロニクス関連事業部門に配置される予定です。その他の新入社員は保守サポート部門または管理部門に配属されます。これらの新規雇用により、アドバンテストの販売費および一般管理費ならびに研究開発費が将来的に増加する可能性があります。

(為替の変動)

 アドバンテストは為替レートの変動からある程度の影響を受けます。アドバンテストは日本円の、主に米ドルおよびその他の事業展開国の通貨に対する価値の変動から影響を受けます。日本円で表示されるアドバンテストの連結財務諸表は、換算リスクおよび取引リスクにより為替変動の影響を受けます。

 換算リスクとは、特定会計期間または特定日の連結財務諸表が、アドバンテストの子会社が財務諸表を作成する際に使用する通貨の、日本円に対するその時々の為替変動から影響を受けるリスクであります。日本円に対する通貨の変動が大きい場合、以前の会計期間または他の地域と比較する際に大きく影響することがありますが、換算リスクは報告上の問題点に過ぎず、アドバンテストの元来の営業成績を左右するものではありません。

 取引リスクとは、コストと債務の通貨構成が売上と資産の通貨構成と異なることによるリスクであります。

  アドバンテストは、取引リスクの一部に対処するための為替予約取引等を行っております。これにより日本円に対する為替レートの変動による影響は軽減できますが、すべて排除するまでには至らず、年によってその影響が大きい場合もあります。

  一般的に、他の通貨に対する円安、特に米ドルに対する円安は、営業利益と当期純利益に好影響を与えます。他の通貨に対する円高、特に米ドルに対する円高は、営業利益と当期純利益に悪影響を与えます。ただし、ユーロについては、現状ユーロ建ての売上よりも費用の発生額の方が大きいため、他の通貨とは逆の効果を及ぼします。2011年度は80円台前半から円高が進行し、第2四半期以降は70円台後半まで推移しました。第3四半期には一時76円を切る戦後最高値を更新しましたが、年度末には80円台前半まで戻しました。前連結会計年度は80円台前半から円高が進行し、第2四半期にかけて70円台後半で推移しましたが、第3四半期は円安に推移し、年度末には90円台前半に達しました。当連結会計年度は第1四半期に90円前半から103円台まで上昇した後、90円台前半まで下落しました。第2四半期は90円台後半で推移し、第3四半期には105円台半まで上昇しましたが、その後第4四半期は新興国通貨への懸念やウクライナ情勢の激化を背景に100円前半で推移しました。

 アドバンテストの事業は、国際的な事業展開に伴うリスクを負い、貿易保護措置や輸出入免許制度をはじめとする、政府、経済、金融、通貨、税制または政治に関する政策もしくは要因により、直接または間接に大きな影響を受ける場合があります。

〔重要な会計方針および数値の推計〕

  アドバンテストは連結財務諸表の作成の際、資産・負債の表示および偶発資産・債務の開示に関して、米国会計基準に基づき一定の推計と仮定を行いました。重要な会計方針とは、経営陣に困難な、主観的または複雑な判断が求められる会計方針で、多くの場合経営陣は本質的に不確実な事象に関し、その影響を推計しなければならず、それが将来期間にわたって変化する可能性があります。以下はアドバンテストの会計方針をすべて網羅したリストとして意図されているものではありません。アドバンテストの重要な会計方針は、本年次報告書に含まれる連結財務諸表注記の注2にてより詳しく説明しております。米国会計基準では多くの場合、特定取引について会計処理の方法を定めており、その適用に関しては判断を必要としておりません。また、経営陣の判断により別の選択肢を選んだとしても、大きく異なる結果が生じない場合もあります。以下は、アドバンテストの事業および報告の中におけるアドバンテストの財務成績および財務状況を理解する上で重要と思われる米国会計基準の会計方針を説明しております。

(収益の認識)

 アドバンテストは以下の条件を満たした時に収益を認識しております。それらの条件とは、取引を裏付ける説得力のある証拠が存在すること、製品の納入および役務の提供が行われたこと、販売価格が固定もしくは確定可能であること、回収が合理的に保証されていることであります。

 <製品売上>

 設置作業を必要とする製品の売上は、設置がその製品の機能に対して必要不可欠であるということから、関連する設置作業が完了した時点で計上しております。なお、検収に不確実性のあるものについては、顧客の検収時点で売上を計上し、最終支払に関する請求権が得られるまでは、一部の収益を繰り延べております。

 設置作業を必要としない製品および部品の売上は、所有権およびリスクの移転が出荷時の場合は出荷時に、顧客納入時の場合は顧客納入時に、それぞれ計上しております。

 <長期役務提供契約に基づく売上>

 金額が固定されている長期の役務提供契約からの収益は、契約期間にわたり均等に計上しております。

 <オペレーティング・リース>

 オペレーティング・リースによる収益は、主としてリース期間にわたり均等に計上しております。

 <複数の製品・サービスの提供>

 アドバンテストは、販売価格に基づき複数の製品・役務の提供する契約に対して収益を各々の要素に配分しており、各々の製品・役務の提供に対して収益の認識基準が満たされた時点で収益を認識しております。 販売価格は、まず公正価値の客観的な証拠を使用し、それが無い場合には第三者証拠を使用し、それも無い場合には見積販売価格にて決定しております。

(棚卸資産)

 棚卸資産は手元在庫(顧客側にあるものを含む)および受注済在庫(解除不能の契約により受注されたもの)であります。棚卸資産は、原価または時価のいずれか低い金額で評価しております。原価は平均法によって算出しております。製品の時価は正味実現可能価額、原材料の時価は再調達価額に基づいております。アドバンテストは毎月棚卸資産をレビューし、これらの評価に基づき定期的に棚卸資産評価損の適正な金額を算定しております。評価損は、製品の販売が打切られた場合、棚卸資産が推計必要量を超えた場合、新製品の投入により棚卸資産が陳腐化した場合、ならびに顧客に貸し出している棚卸資産の正味実現可能価額が減少した場合に発生します。棚卸資産評価損は売上原価に計上されております。将来の事業不況により棚卸資産の価値が下がった場合、アドバンテストは翌会計年度以降の会計期間に、過剰または陳腐化した棚卸資産に関して評価損を計上せざるを得ない可能性があります。また、予想されていない試験技術の変革により、アドバンテストの棚卸資産が陳腐化する可能性があります。アドバンテストは製品需要の推計と予測を元に棚卸資産の水準の評価を行っております。

 棚卸資産は、当連結会計年度に1,649百万円(5.2%)減少し、2014年3月31日現在では30,200百万円でありました。

(有形固定資産)

 有形固定資産は取得原価から減価償却累計額を控除して表示しております。

 減価償却費は、見積耐用年数に基づき主として定額法により、計算しております。

 主な設備の減価償却期間は、建物については15年から50年、機械装置については4年から10年、工具器具備品については2年から5年であります。

 前連結会計年度および当連結会計年度の減価償却費は、5,778百万円および6,106百万円であります。

(長期性資産の減損)

  アドバンテストは、明確な耐用年数を持つ特定の識別可能な無形資産(非償却性資産を除く)を含む長期性資産について、資産の帳簿価額が回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の検討を行っております。会社が所有および使用している資産の回収可能性は、その帳簿価額を、当該資産から生じると期待される割引前キャッシュ・フローと比較することによって判断しております。資産に減損が発生していると考えられる場合、資産の公正価値が当該資産の帳簿価額を下回る金額を減損額として算定しております。

 アドバンテストは、2011年度と前連結会計年度に、売却予定資産に関する減損損失をそれぞれ920百万円および134百万円計上いたしました。また、事業環境の変化を踏まえ、将来の期待されるキャッシュ・フローを見直した結果、当連結会計年度に、半導体・部品テストシステム事業に属する有形固定資産および無形資産に関する減損損失を1,099百万円および11,671百万円、メカトロニクス関連事業に属する有形固定資産および無形資産に関する減損損失を497百万円および228百万円計上いたしました。

(企業結合)

 アドバンテストは、買収対価の公正価値を、見積公正価値に基づき取得した有形資産、引受けた負債および仕掛研究開発資産を含む無形資産へ配分しております。取得対価の公正価値がこれらの識別可能資産および負債の公正価値を上回る部分は、のれんとして計上しております。アドバンテストは、取得した資産および引受けた負債の公正価値の決定に際して、独立した第三者の評価会社による支援を受けております。当該評価には、特に無形資産について、経営者による重要な見積りおよび仮定が含まれます。

 無形資産の評価における重要な見積りには、将来の期待キャッシュ・フローおよび割引率等が含まれます。経営者は、公正価値の見積りが合理的な仮定に基づくものであると考えておりますが、不確実性および予見不能な事象の発生により、結果として実績が見積りと異なる可能性があります。

(のれんおよび無形資産)

 アドバンテストは、のれんおよび耐用年数を見積ることができない無形資産について年次の減損テストを行っており、一定の事象や状況によりその帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合には、その都度、減損テストを実施しております。

 なお、2012年7月に、米国財務会計基準審議会は、非償却性無形資産の減損テストに関する基準を改訂しました。当該基準では、企業が実施する非償却性無形資産の減損テストにおいて、非償却性無形資産の公正価値を算定する前に、定性的要因を評価することが認められ、企業は非償却性無形資産の公正価値が帳簿価額を下回るという確率が50%超であると判断した場合を除き、非償却性無形資産の公正価値を算定する必要はありません。アドバンテストは、2013年4月1日に開始する第1四半期から当該基準を適用しました。当該基準の適用による経営成績および財政状態への重要な影響はありません。

 のれんおよびその他の無形資産に関する会計基準は、二段階の定量的な減損テストを実施するか否かを決定するための定性的評価の実施を認めています。アドバンテストは、当連結会計年度において定量的な減損テストを実施しております。第一段階では、各報告単位の公正価値と帳簿価額を比較します。アドバンテストの報告単位は連結財務諸表の注記の注20に記載の報告可能セグメントと整合しております。アドバンテストは、報告単位の公正価値をインカムアプローチにより決定しております。インカムアプローチにおいては、期待将来キャッシュ・フローの現在価値に基づき報告単位の公正価値を算定します。報告単位の公正価値がその報告単位に配分された純資産の帳簿価額を上回る場合には、のれんの減損はなく、追加のテストは求められません。報告単位の公正価値がその報告単位に配分された純資産の帳簿価額を下回る場合には、その報告単位ののれんの公正価値を決定するため減損テストの第二段階を実施しなければなりません。報告単位の公正価値がそののれんの帳簿価額を下回る場合、その差額をのれんの減損損失として計上します。

 報告単位の公正価値の決定には性質上判断を要し、重要な見積りと仮定を用います。これらの見積りや仮定には、予想将来キャッシュ・フローの算定に用いられる収益の成長率、利益率および割引率が含まれます。アドバンテストは、公正価値の見積りに用いた仮定を合理的であると考えておりますが、これらは予見が難しく不確実性を有しております。実際の将来の結果は見積りと異なる可能性があります。また、アドバンテストは、各報告単位の帳簿価額を決定するための全社資産および負債の配分に際して一定の判断および仮定を用いております。

 アドバンテストは、年次テストの結果、のれんの減損はないと判断しております。アドバンテストは、のれんの減損判定における公正価値の計算に関する感応度分析を行うため、各報告単位の公正価値がおよそ10%下落したと仮定し、計算を行いました。感応度分析の結果、2014年3月31日現在、公正価値が帳簿価額を下回ることが合理的に見込まれる報告単位はありません。

 耐用年数の見積りが可能な無形資産は、主として顧客関係およびその他の無形資産により構成されており、顧客関係の加重平均償却年数はそれぞれ7年であり、無形資産全体の加重平均償却年数は6年であります。(売上債権)

 2014年3月31日現在、貸倒引当金を差し引いた売上債権は20,404百万円であり、それに対し2013年3月31日現在では26,953百万円でありました。アドバンテストは顧客の不払いに備えてその見積損失額を貸倒引当金として計上しております。貸倒引当金の計上は回収できない確率が高いと判断した債権について個別に行っております。

 アドバンテストは定期的に貸倒引当金の算定額を評価し、かかる評価には顧客の支払実績、直近の財政状況、その他一般に入手できる情報およびその信用度を考慮しております。また、顧客の財務状況および半導体業界に関して重大な変化があった場合にも評価を行っております。貸倒引当金への繰入額は、販売費および一般管理費として計上しております。

 当連結会計年度末のアドバンテストの貸倒引当金は、前年度に比べて74百万円増加の128百万円でありました。顧客の財務内容の回復やアドバンテストの回収努力次第で、引当金が計上された債権について回収が行われ、引当金が回復した場合、当該会計期間の販売費および一般管理費を減少させる結果となります。逆に、将来アドバンテストの一部の顧客が進出する業界で短期的に状況が改善しない場合、更なる引当金の計上が必要となる可能性があります。

(製品保証引当金)

  アドバンテストの製品には、一般に製品保証が付いております。また、アドバンテストは一定の場合に、欠陥のある部品を修理する責任を負います。アドバンテストは、製品の収益を認識する際に、販売費および一般管理費として製品保証費の見積額に相当する引当金を計上しております。見積製品保証費に対する引当金の金額は、保証期間内に故障する部品を修理または交換するための総コストに関して、アドバンテストの経営陣が販売時点で行った最善の見積であります。見積製品保証費に対する引当金の金額は、製品売上に対する修理費用の発生率等に基づいております。前述の見積は、各製品に関する修理費と故障率の見積を含むため、本質的に不確実なものであります。実際の製品保証費が製品保証引当金を大きく超えた場合、アドバンテストの将来業績は悪影響を受ける可能性があります。

 当連結会計年度末の製品保証引当金は、前連結会計年度末の1,889百万円より300百万円減少の、1,589百万円となりました。

(転換社債)

 アドバンテストが、2014年3月に発行した総額30,000百万円の2019年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債は、組込デリバティブの分離会計を必要とされておりません。

 (株式に基づく報酬)

 アドバンテストは、株式に基づく報酬費用を公正価値で評価し、連結損益計算書で認識しております。株式に基づく報酬と引き換えに従業員により提供されるサービスの費用は、従業員に付与されるストック・オプションの付与日における公正価値により測定され、当該報酬を得る条件として従業員がサービスを提供しなければならない期間にわたり定額法で認識されます。ストック・オプションに係る公正価値はブラックショールズ・オプションプライシングモデルにより算定されています。

  期待配当率は、アドバンテストの過去の配当率などを考慮のうえ決定しております。リスクフリーレートは、予想権利行使期間に相当する期間の付与時の国債利回りなどを考慮のうえ決定しております。期待ボラティリティは、アドバンテストの過去の株価に関するボラティリティおよびそのすう勢などを考慮のうえ決定しております。予想権利行使期間は、アドバンテストの過去の権利行使状況、権利確定後の退職状況などに基づき決定しております。

 前連結会計年度および当連結会計年度における株式に基づく報酬費用はそれぞれ861百万円および1,283百万円を計上しております。

(未払退職および年金費用)

 当社および一部の国内子会社は、退職一時金制度(ポイント制)を採用しております。なお、この制度は非拠出の制度であります。この制度では、各年度に従業員の職階と成績に応じて付与されるポイントの累計数に基づいて、給付額が計算されます。当社および一部の国内子会社はほとんどすべての従業員を対象とする確定給付企業年金制度(キャッシュバランス類似型プラン)を採用しております。この制度では、従業員の職階と成績に応じて付与されるポイントの累計数、市場金利に上限および下限を定め計算される一定の利率に基づいて給付額が計算されます。

 一部の海外子会社は、ほとんどすべての従業員を対象とする確定給付型年金制度を採用しております。この制度では、退職年金の給付額は従業員の給与および勤続年数に基づいております。

 当社は、数理計算によって退職給付債務を算出しております。この評価には、死亡率、脱退率、退職率、給与の変更、割引率、年金資産の期待収益率等の年金資産を見積る上で重要な前提条件が含まれています。当社は、人員の状況、現在の市況および将来の金利の動向等の多くの要素を考慮に入れて、主要な前提条件を見積る必要があります。割引率は、高格付けで固定利率の公社債の収益率に関して利用可能な情報を参考に決定されます。したがって、割引率はこれらの率の変化に基づき変わる可能性があります。割引率の低下は、数理上の退職給付債務の増加をもたらします。退職給付債務の増減は、従業員の勤務期間に亘って償却される数理上の差異の金額に影響します。主要な前提条件の変化は、当社の財政状態および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社は、基礎となる要素に基づき、主要な前提条件の見積りは合理的であると考えております。

 前連結会計年度および当連結会計年度におけるその他の包括利益(△損失)に含まれている年金債務調整はそれぞれ△1,779百万円および342百万円であります。

 前連結会計年度および当連結会計年度における年金費用はそれぞれ3,166百万円および3,426百万円を計上しております。

(繰延税金資産)

 繰延税金資産の実現可能性を評価する際、経営者は、繰延税金資産の一部または全部が実現しない可能性が高いかどうかを考慮します。繰延税金資産の最終的な実現は、一時的な差異が税務上減算可能である期間内に、十分な課税所得が発生するかどうかによります。経営者は、繰延税金負債の将来加算、予想課税所得および税務戦略を勘案して、繰延税金資産の実現可能性の評価を行っております。予想課税所得を半導体市場および半導体・部品テストシステム市場の将来予測等を勘案して見積もった結果、その実現可能性が低いものについて、評価性引当金を計上しております。当連結会計年度における評価性引当金は、主に繰越欠損金増加の影響により、3,762百万円増加しました。なお、評価性引当金は、前連結会計年度においては、8,884百万円の増加でした。

 2013年3月31日現在、アドバンテストは、連結貸借対照表上、繰越欠損金に係る繰延税金資産38,912百万円を含む、69,414百万円の繰延税金資産を計上しておりましたが、評価性引当金を59,072百万円計上したため、評価性引当金控除後の繰延税金資産は10,342百万円となりました。2014年3月31日現在、アドバンテストは、連結貸借対照表上、繰越欠損金に係る繰延税金資産49,097百万円を含む、74,022百万円の繰延税金資産を計上しておりましたが、評価性引当金を62,834百万円計上したため、評価性引当金控除後の繰延税金資産は11,188百万円となりました。前連結会計年度および当連結会計年度の繰越欠損金の使用額は、14,728百万円および2,712百万円でした。

 経営者は、評価性引当金控除後の繰延税金資産は、実現する可能性の高いものと考えています。実現可能性が高いと判断された繰延税金資産は、将来の見積もり課税所得が変動すれば、それに伴い増減することもあり、それがアドバンテストの連結財務諸表に重要な影響を与えることもありえます。

法人税等

 アドバンテストは、税法の解釈に基づき、税務ポジションが税務当局による調査において50%超の可能性をもって認められる場合に、その影響を財務諸表において認識しております。税務ポジションのベネフィットは、50%超の可能性で実現が期待される最大金額で測定されます。未認識税務ベネフィットに関連する利息および罰金については、連結損益計算書の法人税等に含めております。

(公正価値)

<投資有価証券>

 売却可能有価証券は、市場性のある持分証券からなっており、決算日におけるそれらの市場の終値を基準にした公正価値で評価しております。

<年金資産>

 年金資産は主に市場性のある持分証券、合同運用信託、ヘッジファンドおよび生保一般勘定から構成されております。市場性のある持分証券につきましては、決算日におけるそれらの市場の終値により、合同運用信託およびヘッジファンドにつきましては、運用機関が計算した純資産価値により、生保一般勘定につきましては転換価格により、それぞれ公正価値評価されております。

<最近公表された新会計基準>

 2014年5月に、米国財務会計基準審議会は、「顧客との契約から生じる収益」に関する基準を公表しました。当該基準は、収益認識に関する現行の基準をすべて置き換えるものであり、一部の例外を除くすべての顧客との契約から生じる収益に、5つのステップから構成される単一の収益認識モデルの適用を要求しています。さらに、顧客との契約、収益認識に関する重要な判断やその変更、履行するために要した費用のうち資産となる部分、これらすべてに関する定量的・定性的な開示を求めています。当該基準の適用にあたっては、財務諸表に表示される全ての会計年度に亘って当該基準を遡及的に適用する方法、または、初めて当該基準を適用する会計期間の期首において、適用による累積的影響を認識する方法を選択することができます。当該基準は、2016年12月16日以降に開始する連結会計年度ならびにその四半期に適用され、アドバンテストにおいては、2017年4月1日に開始する第1四半期から適用になります。アドバンテストは、現在、当該基準の連結財務諸表に与える影響を検討しております。

〔事業成績 - 当連結会計年度と前連結会計年度との比較〕

(売上高)

 当連結会計年度におけるアドバンテストの売上高は、非メモリ半導体用テストシステムを中心に昨夏より一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制されたことなどにより、前年度に比べ21,025百万円(15.8%)減少の111,878百万円となりました。なお、当連結会計年度における為替変動は、当連結会計年度の売上高を12,083百万円押し上げたと推計されます。

  以下はアドバンテストの半導体・部品テストシステム、メカトロニクス関連およびサービス他の事業セグメントにおける売上高に関する説明であります。以下に記載される売上高の金額には、セグメント間の内部売上高が含まれております。

(半導体・部品テストシステム事業)

 当連結会計年度における半導体・部品テストシステム事業の売上高は、全体的な売上高の65.3%を占めております。半導体・部品テストシステム事業の当連結会計年度の売上高は前年度に比べ28,102百万円(27.8%)減少の73,017百万円となりました。当連結会計年度における為替変動は、当連結会計年度の半導体・部品テストシステムセグメントの売上高を7,229百万円押し上げたと推計されます。

 当連結会計年度における非メモリ半導体用テストシステムの売上高は、前年度に比べ33,754百万円(40.5%)減少の49,614百万円となりました。この減少は主に、需要の中核となるパソコンやハイエンド・スマートフォンに搭載されるロジック半導体の生産調整や在庫調整が長期化したため、一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制されたことによります。

 当連結会計年度におけるメモリ半導体用テストシステムの売上高は、前年度に比べ5,652百万円(31.8%)増加の23,403百万円となりました。この増加は主に、DRAM半導体やNANDフラッシュ・メモリの需給が引き締まった状態が続いたことで、顧客各社の生産能力増強意欲が持続し、メモリ半導体用テストシステムの需要が増加したことによります。

(メカトロニクス関連事業)

 テスト・ハンドラおよびデバイス・インタフェース等のメカトロニクス関連事業の当連結会計年度の売上高は、前年度に比べ1,331百万円(9.7%)増加し、14,984百万円となりました。この増加は、ナノテクノロジー事業の新製品が好調だったことと、デバイス・インタフェース事業での顧客開拓努力による売上の増加によります。

(サービス他)

 サービス他事業の当連結会計年度の売上高は、年間保守契約数の拡大などのサービス事業の収益向上への取り組みが順調だったことや、新規事業の一部が収益に貢献したことにより、前年度に比べ4,074百万円(20.3%)増加し、24,151百万円となりました。サービス他の主な事業は保守サービス、リース・レンタルおよび新規事業であります。

(地域別市場)

 当連結会計年度のアドバンテストの売上高は前年度に比べて15.8%減少いたしました。特に米州の減少が大きく影響しております。

 当連結会計年度の日本における売上高は、前年度に比べ1,824百万円(13.0%)減少し、12,221百万円となりました。この減少は主に、デジタル家電の落ち込みを受けて、一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制された結果、非メモリテスタの需要が低調だったことによります。

 当連結会計年度の米州における売上高は、前年度に比べ9,863百万円減少し、10,720百万円となりました。この減少は主に、PC市場の停滞に伴い、一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制された結果、非メモリテスタが低調であったことによります。当連結会計年度における為替変動は、米ドルに対する円安が進んだことにより、当連結会計年度の米州の売上高を約1,707百万円押し上げたと推計されます。

 当連結会計年度の欧州における売上高は、前年度に比べ1,785百万円減少し、7,276百万円となりました。この減少は主に、ハイエンド・スマートフォンの落ち込みの影響を受け、一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制された結果、非メモリテスタの売上が低調であったことによります。当連結会計年度における為替変動は、当連結会計年度の欧州の売上高を約1,219百万円押し上げたと推計されます。

 当連結会計年度の日本以外のアジアにおける売上高は、前年度に比べ7,553百万円(8.5%)減少し、81,661百万円となりました。韓国と台湾における売上高は、前年度に比べそれぞれ783百万円(2.5%)、2,479百万円(6.9%)減少いたしました。この減少は主に、ハイエンド・スマートフォンの落ち込みの影響を受け、一部顧客の設備投資が抑制された結果、非メモリテスタの売上が低調であったことによります。中国およびその他のアジア地域(日本、台湾、韓国を除く)における売上高は、前年度に比べ4,291百万円(19.9%)減少いたしました。この減少は主に、PC市場の停滞に伴い、一部主要顧客の設備投資が大幅に抑制された結果、非メモリテスタが低調であったことによります。当連結会計年度における為替変動は、当連結会計年度のアジアにおける売上高を約8,837百万円押し上げたと推計されます。

 なお、当連結会計年度の海外売上比率は89.1%(前年度89.4%)となりました。

(営業費用)

 当連結会計年度の営業費用は、前年度に比べ15,424百万円(11.6%)増加の148,247百万円となりました。売上が減少したにもかかわらず、営業費用が大幅に増えた主な理由は以下のとおりです。

 当連結会計年度の売上原価は、前年度に比べ1,438百万円(2.2%)減少の62,545百万円となりました。この減少は主に21,025百万円の売上高の減少によりますが、一方で、当連結会計年度第3四半期に事業環境の変化を踏まえ、棚卸資産評価損3,952百万円、長期性資産の減損427百万円を計上したことにより一部相殺されています。

 当連結会計年度の研究開発費は、前年度に比べ392百万円(1.2%)減少し、32,670百万円となりました。

 当連結会計年度の販売費および一般管理費は、前年度に比べ4,186百万円(11.7%)増加し、39,964百万円となりました。これは主に、円安の進行による外貨建てコストの増加によります。

 当連結会計年度には、売上原価に計上した以外に一時費用として長期性資産の減損費用を13,068百万円計上しております。

(営業利益(損失))

 当連結会計年度の営業利益は、前年度に比べ36,449百万円減少し、36,369百万円の損失となりました。

(営業外損益)

 当連結会計年度の受取利息および受取配当金は、前年度に比べ14百万円(6.6%)減少し、199百万円となりました。

 当連結会計年度の支払利息は、前年度に比べ8百万円増加の140百万円となりました。

 当連結会計年度の投資有価証券売却益は、前年度に比べ1,008百万円増加の1,396百万円となりました。

 当連結会計年度のその他の営業外損益は、前年度に比べ1,255百万円改善の587百万円の損失となりました。その他の営業外損益の改善は、主に米ドルに対して日本円が円安方向で推移したため、為替差損が前年度に比べ772百万円減少したことによります。為替差損益は外貨建て売上の取引当時の為替換算価額と、(i)同年度内に決済された金額(為替予約で決済されたものを含む)または(ii) 現預金、売掛金および買掛金の残高を2014年3月31日現在の為替レートで再換算した場合の金額との差額を表しております。

(法人税)

 アドバンテストの実効税率は、当連結会計年度は0.2%、前連結会計年度は192.8%でありました。当社および国内連結子会社の当連結会計年度の法定税率は37.7%であります。アドバンテストの前連結会計年度および当連結会計年度の法人税に関しては、連結財務諸表の注記の注14をご参照ください。

(当期純利益(損失))

 前述の要因により、当期純利益は当連結会計年度において、前年度に比べ31,719百万円悪化し、35,540百万円の損失となりました。

(その他の包括利益(損失))

 その他の包括利益(損失)は当連結会計年度において、前年度に比べ3,390百万円減少し、12,255百万円の利益となりました。これは主に、当連結会計年度の為替換算調整額において、前連結会計年度の17,250百万円の利益から4,695百万円減少し12,555百万円の利益となったためですが、一方で当連結会計年度の年金債務調整が前連結会計年度の1,779百万円の損失から2,121百万円改善し342百万円の利益となった事により一部相殺されています。

(流動性および資金源)

  アドバンテストの資金・財務政策(設備投資資金を含む)は経理部が所管するものであり、その政策ではアドバンテストは資金需要に関して、営業活動からの現預金、手元の現金および現金同等物から充当するほか、必要に応じて債券の発行および株式等の発行ならびに金融機関からの借入により資金を調達することが可能であります。

  中期的に半導体業界および半導体・部品テストシステム業界の状況が低迷する場合、将来の設備投資またはその他の運転資金需要のために追加の債務負担または希薄化効果を伴う株式等の発行等を行う可能性があります。

  アドバンテストは2012年5月25日に、総額25,000百万円の国内無担保社債を発行し、Verigy社の買収対価の支払いに充当するために行なった短期借入金を返済いたしました。また、アドバンテストは2014年3月14日に、総額30,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行しました。本新株予約権付社債はゼロ・クーポンで発行され、償還期限は2019年3月14日であります。

  当連結会計年度末の現金および現金同等物は前期末より23,329百万円増加の68,997百万円となりました。当連結会計年度末における現金および現金同等物のうち、約46%は日本円建てで保有しております。前連結会計年度末の20%から大幅に増加した理由は、2014年3月に総額30,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行したことによります。

  当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純損失35,540百万円、売上債権7,891百万円の減少の他、減損費用および減価償却費などの非資金項目等の損益を調整した結果、3,776百万円の支出となりました。前連結会計年度の2,215百万円の支出と比較して1,561百万円の悪化となった主な要因は、当連結会計年度は売上の減少により当期純損失が増加したためですが、一方で売掛債権の減少と、買掛金の増加により一部相殺されています。

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,711百万円の支出となりました。前連結会計年度の11,498百万円の支出と比較して6,787百万円の支出の減少でありました。この支出の減少の主な理由は、有形固定資産の購入による支出が、前連結会計年度は天安工場の新設などで11,386百万円発生したことに対し、当連結会計年度は5,511百万円であったことによります。

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、27,202百万円の収入となりました。前連結会計年度の2,914百万円の支出と比較すると30,116百万円の改善でありました。この改善の主な理由は、前連結会計年度は社債発行により25,000百万円を調達したものの短期借入金25,000百万円を返済したため、借入の増加が無かったことに対し、当連結会計年度は、総額30,000百万円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行したことによります。

 当連結会計年度の現金および現金同等物に係る換算差額は、前連結会計年度に比べて537百万円改善し、4,614百万円の収入となりました。

 アドバンテストは、資金需要に応じた効率的な資金の調達を確保するため、金融機関との間でコミットメントラインを設定しております。アドバンテストは、2012年3月26日から契約期間3年で期間満了時に2年間の借入を選択可能なコミットメントライン契約を締結しております。コミットメントライン契約には、一般的に財務制限条項等が含まれますが、アドバンテストのコミットメントライン契約においても、各年度の決算日における連結貸借対照表の資本の部の金額をある一定以上に維持すること、および㈱格付投資情報センター(R&I)の発行体格付けをBBB-以上に維持することの条件が付されております。2014年3月31日現在のアドバンテストのコミットメントライン契約に係る借入未実行残高は100億円であります。なお、アドバンテストのR&Iの発行体格付けの状況は、A-となっておりますが、2014年1月29日に格付けの方向性が安定的からネガティブに変更されております。

 アドバンテストは、主に従業員年金基金からなる確定給付退職制度をはじめとして、いくつかの従業員退職給付制度を設けております。連結財務諸表注記の注17で記載されているとおり、2014年3月31日現在における連結貸借対照表では未払退職および年金費用として28,641百万円が認識されております。アドバンテストは、日本の政府規制に定める積立基準に基づき、従業員年金基金への拠出を行っております。当該現金拠出義務は、金利の変動、年金資産の利回りおよび政府規制により、影響を受ける可能性があります。従業員年金基金への拠出金は、前連結会計年度は1,785百万円、当連結会計年度は1,901百万円でありました。なお、翌連結会計年度は1,470百万円を従業員年金基金への拠出として見込んでおります。

(オフバランス取引)

 アドバンテストは、2014年3月31日現在において、オフバランス取引を行っておりません。

 アドバンテストは、オフバランス取引を容易にする目的またはその他限定的な目的で、非連結事業体、高度な財務戦略または特別目的事業体を通じて、資産または負債を財務諸表から除くというような取引は行っておりません。

(契約債務の表形式開示)

 以下の表は、アドバンテストが2014年3月31日現在、契約や契約上の債務および事業上の約束に基づき負担している将来の支払債務または義務を示しております。

 

各期間に到来する債務

 

単位:百万円

契約上の現金支払義務

 

合計

 

1年未満

 

1‐3年未満

 

3‐5年未満

 

5年以上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期債務

 

 

 

 

 

長期債務(1年以内に到来するものを含む)

 

55,000

 

 

10,000

 

45,000

 

オペレーティング・リース

 

3,368

 

834

 

1,086

 

604

 

844

契約債務

 

5,195

 

5,195

 

 

 

契約上の現金支払義務総額

 

63,563

 

6,029

 

11,086

 

45,604

 

844

 

 なお、この契約債務の表には、支払時期について確実性の高い見積もりができないため、不確実な税務ポジションに関する長期税金負債を含めておりません。詳細は、連結財務諸表の注記の注14をご参照ください。