ソニーのマネジメントが認識している経営課題とそれに対処するための取り組みは以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
世界経済は、中国を始めとする新興国経済に支えられるかたちで回復してきました。先進国経済については、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費に支えられ、総じてみれば緩やかな回復を遂げてきています。しかしながら一方で、地政学的紛争、政治的不和、テロなどに関連した経済以外の要因による不安が、一部の国や地域にのしかかっており、世界の経済活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。
ソニーをとりまく経済環境は、主にエレクトロニクス事業における、競合他社からの価格低下の圧力、一部の主要製品における市場の縮小及び商品サイクルの短期化といった要因によって不透明性が増しています。
これらの状況の下、ソニーは2018年5月22日に2018年度~2020年度の3年間の中期経営計画(以下「第三次中期経営計画」)を発表しました。「感動」と「人に近づく」をキーワードとして、以下の基本的な考え方のもと、エレクトロニクス、エンタテインメント、金融の3つの事業領域において、持続的な社会価値と高収益の創出を目指し、経営に取り組んでまいります。
基本戦略
・ ユーザーに近いDirect to Consumerサービスと、クリエイターに近いコンテンツIPを強化し、それぞれに共通の感動体験や関心を共有する人々のコミュニティ「Community of Interest」を創出します。
・ 映像と音を極める技術を用いてユーザーとクリエイターを繋ぐソニーブランドのエレクトロニクス(以下「ブランデッドハードウェア」)事業を、安定的かつ高いレベルのキャッシュ・フローを創出する事業とします。
・ 人が生きる現実世界を向き、また感動をもたらすコンテンツの創造に欠かせないCMOSイメージセンサーの領域でイメージング用途での世界No.1を維持し、センシング用途でも世界No.1を目指します。
各事業の主たる取り組み
<ゲーム&ネットワークサービス>
・ 「プレイステーション 4」を中心に、ユーザーとクリエイター双方とつながるゲーム&ネットワークサービス分野の経営戦略として、年間の売上が1兆円を超え、月間アクティブユーザー数が8,000万を突破した世界有数のネットワークサービス「PlayStation™Network」(以下「PSN」)を一層成長させます。具体的には、サブスクリプション(有料会員)サービスである「PlayStation®Plus」の会員数を更に拡大することや、「PlayStation®VR」やクラウドゲームサービスの「PlayStation™Now」、映像の「PlayStation™Vue」や「PlayStation™Video」、音楽の「PlayStation™Music」など、商品やさまざまなサービスをお客様にご利用いただくことで、PSNへの訪問頻度と利用時間、すなわちユーザーエンゲージメントを高めていくことに取り組んでいきます。また、コンテンツIPについては、自社制作ソフトウェアにおけるIPの創出と活用、アドオンコンテンツ(追加コンテンツ)等の領域における成長機会を捉え、一層強化していきます。
<音楽>
・ コンテンツIPの強化を基本戦略とします。ストリーミング市場の伸びから得られる事業機会を最大化するため、コンテンツIPの質と量を強化するとともに、アーティストの発掘や育成を通して、新たなIPを生み出していきます。
・ 音楽のIPに加えて、アニメーションのIPも音楽分野の重要な資産であり、引き続き強化していきます。
<映画>
・ 映画分野は、IPの強化と活用、インドを中心としたメディアネットワークの展開を基本戦略として、引き続き利益率の改善に取り組んでいきます。
<ブランデッドハードウェア>
・ ソニーブランドを冠するホームエンタテインメント&サウンド分野、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野、モバイル・コミュニケーション分野の三つのエレクトロニクス事業セグメントで構成される領域をブランデッドハードウェアと定義し、ソニーグループが今後も成長投資を続けていくためのキャッシュカウと位置づけます。ブランデッドハードウェアは2017年度の最高益の原動力となり、また2018年度~2020年度においても最も安定してキャッシュ・フローを生む事業となると見込んでいます。この領域においては、引き続きいたずらに規模は追わず、プレミアム路線を堅持します。
・ ブランデッドハードウェアで培った技術を活かし、「医療」と「AI×ロボティクス」などに長期的に取り組んでいきます。
<半導体>
・ CMOSイメージセンサーは、IoT、AI、自動運転等、今後発展が期待される領域におけるキーデバイスであり、ソニーがCCDの時代から長年培ってきたアナログの技術が競争力の源泉です。イメージング用途での世界No.1を堅持することに加え、将来はセンシング用途でも世界No.1を目指すべく、スマートフォン向けのセンシングアプリケーションから事業を展開し、車載センシングなどの新しいアプリケーションを育てていきます。
<金融>
・ 継続的に高収益を実現し、ソニーグループの安定的な利益基盤の一つである金融分野は、お客様と直接、かつ大変深いつながりを有する事業領域です。ITを活用した金融サービス、いわゆるフィンテックでさらにお客様に近づくことを目指します。
長期的ビジョンと社会価値
・ ソニーは経済価値の創出に加え、地球環境も含めた社会価値での貢献を見据えて、経営に取り組んでいきます。
・ 感動をミッションとするソニーは、「Community of Interest」を創造し、人々の心を豊かにすることに貢献することによって社会価値を生み出していきます。
・ 同時に、地球環境や社会があって事業が成り立っているという認識のもと、環境、人権などに対する取り組みを、長期視点でサプライチェーン全体にわたり継続していきます。
・ イメージングやセンシング技術で、自動運転時代のモビリティの安全への貢献をすべく、事業の育成に取り組んでいきます。
・ 広義での教育(クリエイターの育成、子どもたちへのプログラミング教育ツールの提供、事業インキュベーション)にも取り組みます。
第三次中期経営計画 数値目標
・ 経営をより長期視点で行っていくため、経営指標には3年間累計の指標を用います。
・ 2018年度~2020年度においては、営業活動によるキャッシュ・フロー(以下「営業CF」)を最も重視する経営指標とし、3年間で、金融分野を除くソニー連結ベースで2兆円以上の営業CFの創出を目指します。
・ 創出されたキャッシュの配分については、設備投資に約1兆円を支出することを計画しています。残る1兆円については、戦略投資を最優先としつつ、財務体質強化及び株主還元にも適切なバランスのもと配分し、更なる企業価値の向上を目指します。株主還元については、配当の長期、安定的な増額を進めていく方針です。
・ 連結株主資本利益率(以下「ROE」)は10%以上の水準を継続することを目指します。
・ なお、第二次中期経営計画(2015年度~2017年度)において、2017年度の経営数値目標として掲げていたソニーグループ連結でROE10%以上、営業利益5,000億円以上については、いずれも達成しました。
環境中期目標 「Green Management(グリーンマネジメント) 2020」
2015年6月にソニーは、2016年度~2020年度のグループ環境中期目標 「Green Management(グリーンマネジメント)2020」を策定しました。この中期目標では、以下の3点を注力すべき重点項目とし、環境負荷を低減するための様々な施策を推進しています。
・ エレクトロニクス事業においては、2020年度までに製品の年間消費電力量の平均30%削減(2013年度比)、エンタテインメント事業では、コンテンツの活用を通じて全世界で数億人以上に持続可能性の課題を伝えることをめざすなど、各事業領域で特色を活かした目標を策定し、施策を推進
・ 製造委託先や部品調達先に温室効果ガス排出量や水使用量などの削減を求めるなど、バリューチェーン全体における環境負荷低減の働きかけを強化
・ 再生可能エネルギーの導入を加速
ソニーグループは、2050年までに自社の事業活動及び製品のライフサイクルを通して「環境負荷ゼロ」を達成することを長期的ビジョンとして掲げています。「Green Management 2020」は、「環境負荷ゼロ」達成のために、2020年度までに成し遂げなければならないことを2050年から逆算して定めています。「Green Management 2020」の実行により、「環境負荷ゼロ」達成に向けて環境負荷低減活動をさらに加速していきます。
また、ソニーはWWF(世界自然保護基金)が実施する温室効果ガス排出削減プログラムであるクライメート・セイバーズ・プログラムに引き続き参加します。気候変動にかかる目標については、その難易度及び進捗状況について、WWF及び第三者認証機関による検証を受けています。
グループ環境中期目標 「Green Management(グリーンマネジメント)2020」及び環境への取り組みの詳細は、ソニーのCSRレポート(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/)をご参照ください。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。なお、当該事項は、本書提出日現在において入手し得る情報にもとづいて判断したものです。
(1) ソニーは収益又は営業利益率の低下に繋がりかねない一層激化する競争を克服しなければなりません。
ソニーは、業種の異なる複数のビジネス分野に従事しており、さらにそれぞれの分野において数多くの製品・サービス部門を有するため、大規模な多国籍企業から、単一又は数少ないビジネス領域に特化し高度に専門化した企業にわたって、業界の既存企業や新規参入企業などの多くの企業と競争しています。また、潜在的には現在ソニーに製品を供給している企業も競合相手となる可能性もあります。これらの既存の及び潜在的な競合他社がソニーより高度な財務・技術・労働・マーケティング資源を有する可能性があり、ソニーの財政状態及び業績は、当該既存及び新規参入の競合他社に効率的に対抗する能力にかかっています。
ソニーが直面する競合要因は業種により異なります。例えば、ソニーのエレクトロニクス事業は、競合他社との間で価格や機能を含む様々な要素で競争しています。一方で、ソニーの音楽及び映画事業は、アーティスト、作詞家、俳優、ディレクター、及びプロデューサーといった才能ある人材ならびに製作・制作、取得、ライセンス、又は配信されるエンタテインメント・コンテンツを得るため競争しています。エレクトロニクス事業における価格競争は、費用が価格の下落と比較して比例的に下落しない場合に低い利益率につながり、エンタテインメント事業における才能ある人材と魅力的な作品における競争も、そのような才能ある人材やコンテンツ製作・制作に必要とされる費用の増加を増収により埋め合わせできない場合には、収益力の低下につながる可能性があります。さらに、イメージセンサーのように、現在ソニーが強い競争力を持つと考えられる製品においても、競合他社の技術力の向上により、ソニーがその優位性を保てなくなる可能性もあります。また、コンスーマーエレクトロニクス事業においては、絶えず変化し、一層多様化する消費者の嗜好に訴求する製品を作るため、あるいは、消費者の多くが同種の製品をすでに保有しているという状況に対処するために、ソニーはより優れた技術を開発し、消費者の嗜好を予測し、競争力ある価格と特長を有する、魅力的で差異化された製品を迅速に開発する必要があります。ソニーは、様々なコンスーマー製品において、一層激化する競合他社との価格競争に伴う価格低下圧力の高まり、小売業者の集約化、新規の販売・流通チャネルの構築、及び製品サイクルの短期化に直面しています。音楽及び映画分野における業績は、予測が困難である作品に対する世界中の消費者からの支持による影響、同時期もしくは近接した時期に公開された他の競合作品による影響、ならびに、ソニーの作品に代わり消費者が利用可能な娯楽及びレジャー活動に影響を受ける可能性があります。
仮に、ソニーが技術的、あるいはその他の競争力を持つ分野においてその優位性を保てなくなった場合や、ソニーのコンスーマー製品に対して頻繁に影響を及ぼす継続的な価格下落又はその事業に影響を及ぼすコスト圧力について効果的に予測し対応できない場合、既存の事業モデルや消費者の嗜好が変化した場合、又はソニーのコンスーマー製品の平均価格の下落スピードが当該コンスーマー製品の製造原価削減のスピードを上回った場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) ソニーは、競争力を維持し消費者の需要を喚起し、製品及びサービスの革新を実現するために研究開発投資を行う必要があり、また新しい製品及びサービスの頻繁な導入を適切に管理しなければなりません。
ソニーは、製品及びサービスの競争力を強化するため、特にイメージセンサー及びゲーム&ネットワークサービス(以下「G&NS」)分野といった成長分野において、研究開発投資を継続的に行っています。しかしながら、ソニーとして、著しい成長可能性を持った製品及びサービス、ならびに市場動向を特定できなかった場合やそれらを把握できなかった場合、研究開発投資が成功しない可能性があります。加えて、ソニーの研究開発投資が革新的な技術を生み出さない可能性、想定した成果が十分かつ迅速にもたらされない可能性、又は競合他社に技術開発を先行されてしまう可能性があります。これらは、競争力のある新たな製品やサービスを商品化するソニーの機会を妨げる要因となり得ます。ソニーは、コンスーマーエレクトロニクス製品、ネットワークサービス、及び携帯電話業界において、継続的に製品及びサービスを導入し、これらを拡充させることにより、消費者の需要を喚起し続けていく必要があります。これらの製品及びサービスは、年末商戦における消費者需要に特に影響を受けます。G&NS分野の売上及び収益性には、プラットフォームの導入及び普及の成否が重要な影響を及ぼし、この成否は、魅力的なソフトウェアの品揃えとオンラインサービスが消費者に提供されるか否かに影響されます。しかしながら、外部のソフトウェアの開発事業者や開発・販売事業者、主要な協力業者がソフトウェアの開発や供給をし続ける保証はありません。加えて、ソニーは、売上の拡大及び収益性の向上を図るために、ハードウェア、ソフトウェア、エンタテインメント・コンテンツ及びネットワークサービスの統合を促進させること、ならびにそのような統合の効果を達成するための研究開発への投資が不可欠であると考えています。しかしながら、この戦略は、ネットワークサービス技術のさらなる開発能力、ソニーの様々な事業ユニット・販売チャネル間の戦略上及びオペレーション上の課題の調整と適切な優先順位付け、ユーザーインターフェースを含むネットワークプラットフォームをシームレスに接続するための、消費者にとって革新的かつ価格競争力のある魅力的な高性能ハードウェアの継続的な提供に依存しています。そして、業界内やネットワークに接続可能なソニーの製品や事業ユニット間における技術やインターフェース規格の標準化を行う能力にも依存しています。加えて、G&NS分野、音楽及び映画分野では、消費者の支持を得られるか分かる前に、社内で開発されたソフトウェアのタイトル、アーティスト、映画作品、テレビ番組の製作及び番組の放送に関連して、相当の先行投資を含め、多額の投資を行わなければなりません。さらに、映画作品の初期の流通市場における業績と、その後の流通市場における業績には高い相関性がみられ、初期の流通市場における映画作品の業績が想定を下回った場合、公開年及び将来におけるソニーの業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。
新製品及びサービスの導入ならびに切り替えの成功は、開発をタイムリーにかつ成功裏に完了させること、市場における受け入れ度合、効果的なマーケティング戦略の企画及び実行、新製品の導入の管理、生産立ち上げ時における課題への対処、新製品向けアプリケーションソフトウェアが入手できること、品質管理、及び年末商戦における消費者需要の集中度など、数多くの要素に依存しています。研究開発への投資に対して想定した成果を達成できず、新製品及びサービスの頻繁な導入を適切に管理できず、そして新製品やサービスが消費者に受け入れられない場合、又は統合戦略を実行できない場合、ソニーの評判、業績、及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) ソニーの戦略的目的を達成するための買収、第三者との合弁、投資、資本的支出及び組織再編成は成功しない可能性があります。
ソニーは、技術獲得や効率的な新規事業開発のため、又は事業の競争力強化のため、買収、第三者との合弁、資本的支出及びその他の戦略的出資を積極的に実施しています。例えば、ソニーは2018年5月22日、EMI Music Publishingについて、第三者が保有する約60%の持分を取得することに関する法的拘束力を有する基本合意書を締結しました。(なお、この取引の完了は関係当局の承認及び許可の取得を含む、諸条件を満たすことが条件とされています。)
ソニーが買収を行う場合、多額の買収コスト又は統合費用の発生、シナジーが実現できないこと、期待された収益の創出とコスト改善の失敗、主要人員の喪失や債務の引き受けによって、ソニーの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
ソニーが合弁会社を設立及び戦略的パートナーシップを構築する場合、ソニーの財政状態及び業績は、パートナーとの戦略的又は文化的相違、利害の対立、シナジーが実現できないこと、合弁会社及びパートナーシップ維持のために必要となる追加出資や債務保証、合弁パートナーからの持分買取義務、ソニーが保有する合弁持分の売却義務、もしくはパートナーシップの解消義務、キャッシュ・フローの管理を含む不充分な経営管理、特許技術やノウハウの喪失、減損損失、及びソニーブランドを使用する合弁会社の行為又は事業活動から受ける風評被害により、悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、スマートフォンやその他の製品向けイメージセンサー用製造設備を含むエレクトロニクス事業の生産設備や装置に多額の投資を行っています。ソニーは、競争環境、想定を下回る消費者需要、又はソニーの主要顧客の財政状態やビジネス上の意思決定の変更に起因して、これらの資本的支出の一部又は全部を計画した期間内に回収できない場合があります。ソニーは、イメージセンサーの生産能力増強などのために、2016年度及び2017年度にそれぞれ、450億円及び1,066億円の資本を投資しました。
さらに、ソニーは、収益力、事業の自律性及び株主価値を向上させるため、及びソニー全体の事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけを明確にするため、構造改革及び事業構造変革の施策を実施しています。例えば、ソニーは電池事業を株式会社村田製作所グループへ2017年度に譲渡しました。社内外で生じるビジネス上の阻害要因や予想を上回る市況の悪化が原因となり、想定された収益性レベルの達成を含め、これら施策の実施によって期待される恩恵が得られない可能性があります。ソニーがこれらの戦略的施策を達成できない場合は、ソニーの業績、財政状態、評判、競争力又は収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。ソニーでは2015年度、2016年度、2017年度にそれぞれ383億円、602億円、224億円が構造改革費用として発生しています。
(4) ソニーの売上や収益性は卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者の業績の影響を受ける可能性があります。
ソニーは、製品の流通を卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者に依存しており、その多くが競合他社の製品を同時に取り扱っています。例えば、携帯電話キャリアを通して販売されるソニーのスマートフォンは、そのキャリアから補助金を受けている場合があります。これらのキャリアとの契約更新又は新しいキャリアと締結する契約において、今後もそのような補助金が同額で継続し、又は補助金そのものを継続的に受けられる保証はありません。さらに映画分野は、映画配給においては第三者の映画館運営会社に、映画やテレビ番組の配信においてはケーブル、衛星、及びその他配信システムに依存しており、当該第三者からソニーが受領するライセンス料の減少が映画分野の売上に悪影響を与える可能性があります。映画分野における世界中のテレビネットワークを通じた配信も、第三者のケーブル、衛星、その他配信システム経由で行われ、これらの第三者配信会社との契約を更新できない、又は不利な条件で契約更新する場合は、これらの第三者ネットワークを通じた広告販売及び予約販売の実績に悪影響を及ぼす可能性があります。ソニーは、卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者に対して、ソニー製品を市場に導入し、販売を促進するインセンティブを与えることを目的としたプログラムに資金を投入しています。しかしながら、それらのプログラムの提供が、消費者を競合他社の製品の代わりにソニー製品を買うように促し、結果的にソニーに大きな利益や追加収入をもたらすことを保証するものではありません。
多くの卸売業者、小売業者、その他の再販事業者及び第三者販売業者の業績及び財政状態は、特にオンライン小売業者との競争と景気の後退により悪影響を受けています。これらの業者の財政状態が継続的に悪化したり、ソニー製品を取り扱うことを中止したり、もしくはソニー製品に対する需要が不透明になるなどの要因によりこれらの業者がソニー製品の発注数やマーケティング活動、販売奨励金、又は販売を減少させたり縮小させたりするような場合、ソニーの業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。
(5) ソニーはグローバルに事業を展開しているため、多くの国々において広範な法規制の適用を受けるとともに、企業の社会的責任に関する消費者の関心の高まりに直面しています。これらの法規制や消費者の関心は大きく変わる可能性があり、その変化がソニーの事業活動費用の増加、事業活動の制約及びソニーの評判への悪影響につながる可能性があります。
ソニーはグローバルに事業を展開しているため、広告、販売促進、消費者保護、輸出入要件、腐敗防止、反競争的行為、環境保護、プライバシー、データ保護、コンテンツや放送規制、労働、課税、為替管理だけでなく、個人を識別できる情報(以下「個人情報」)の収集、使用、保有、保全及び移転に関する法規制を含む多数の地域における従来及びオンラインの事業に影響を与える世界中の多くの国々の法規制の適用を受けます。
これらの法規制を遵守することは事業活動における負担をともない、また、遵守にともない費用が発生する可能性があります。これらの法規制は継続的に変更されるとともに管轄毎に異なるものとなる可能性があり、その遵守や事業遂行にかかる費用が増加する可能性があります。このような変更が、消費者にとってのソニー製品の魅力の低下、新製品の導入の遅延、あるいはソニーの事業遂行の変更や制約に結びつく可能性があります。例えば、労働法又は労働政策の変更は対象地域の労働環境を著しく変化させる可能性があります。ソニー又は提携先が製造拠点を有する中国又は別の国・地域におけるこのような変化は、ソニーの製品及びそれに使用されている部品の製造と出荷の中断、対象地域における人件費の急激な上昇、又は熟練従業員の不足を招き、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、オンライン上のものを含め、ソニーが事業を行う上で依拠又は適用を受ける法規制又は関連する裁判所の解釈に変化が生じた場合や、ソニーがこのような変化を想定しなかった場合にも、ソニーの法的責任に対するリスクが増加し、法規制遵守のための費用の増加もしくは一部の事業活動に対する制限又は制約ならびに中止を含む事業活動の変更につながる可能性があります。
ソニー、従業員、第三者サプライヤー、ビジネスパートナー、及び代理人が法規制に違反すると、ソニーが罰金、刑罰、法的制裁の対象となり、また、ソニーの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。加えて、企業の社会的責任や調達活動に対し、全世界的に規制当局や消費者の注目が高まっており、また、これらの事項に関する情報開示の法的規制が強化されています。特に、アジア地域で操業する電子部品の製造事業者や製造/設計委託事業者又は「ODM/OEM」、製品製造業者における労働環境を含む労働慣行への注目が高まっています。ソニーは製品の製造に多くの部品や材料を使用しており、それらの部品や材料の供給を第三者サプライヤーに依存しているものの、第三者サプライヤーの調達活動や雇用慣行を直接的に管理していないため、これらの領域における規制の強化もしくは消費者の関心の高まりによって、ソニーの法規制の遵守にかかる費用が増加する可能性があります。さらに、法規制への未遵守、又は消費者の関心の高まりに対してソニーが適切に対処していないとみなされた場合には、それが法的に求められているか否かにかかわらず、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) ソニーは市況変動の大きい環境のなか、部品、ソフトウェア、及びネットワークサービスの在庫量、入手可能性、費用及び品質をコントロールするために第三者のサプライヤー及びその他のビジネスパートナーからの大量かつ増加する調達品を管理する必要があります。
ソニーの製品やサービスは、例えば、半導体、プレイステーションのゲーム機及びモバイル製品向けチップセット、モバイル製品及びテレビに利用されている液晶パネル、ならびにモバイル製品、テレビ、及びサービスに利用されているアンドロイドOSを含め、部品、ソフトウェア、及びネットワークサービスに関して、第三者のサプライヤー及びその他のビジネスパートナーへの依存度が高まっています。第三者サプライヤーやパートナーの不足、当該第三者サプライヤーやパートナーから提供を受ける部品等の価格変動、品質問題、製造の中止、取引条件の変更、又は第三者サプライヤーやパートナーがエレクトロニクス分野以外の顧客あるいはソニーの競合他社を優先させた場合、ソニーの業績、ブランド、及び評判に悪影響を与える可能性があります。また、第三者のソフトウェア及び技術への依存は、競合他社の製品とソニーの製品との差別化をますます難しくする可能性があります。さらに、特にソニーが一社に調達を依存している場合、特注の部品の生産能力に限界がある場合、もしくは新しい技術を使用する製品の初期生産能力に制約がある場合には、部品に供給不足や出荷遅延が生じ、その結果、ソニー又はビジネスパートナーの製造事業所における生産調整又は生産停止が起きる可能性があります。
ソニーは消費者需要の予測にもとづいて事前に決定した生産量及び在庫計画に沿って部品を発注していますが、そうした消費者需要の変動は大きく、また予測が難しいものです。不正確な消費者需要予測や不充分な経営管理は、在庫不足もしくは過剰在庫を招き、その結果、生産計画に混乱が生じることにより売上の機会損失や在庫調整につながる可能性もあります。ソニーでは、部品や製品が陳腐化したり、在庫が使用見込みを上回ったり、もしくは在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。例えば、2016年度においては、モバイル製品向けの一部のイメージセンサーの製品に関する評価減65億円を計上しました。過去にこのような売上機会の損失及び在庫調整、ならびに部品の供給不足がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼしたことがあり、今後も及ぼす可能性があります。
(7) ソニーの売上、収益性及び事業活動は、世界及び地域の経済動向及び政治動向ならびに情勢に敏感です。
ソニーの売上及び収益性は、ソニーが事業を営む主要市場の経済動向に敏感です。2017年度のソニーの売上高及び営業収入において、日本、米国、欧州における構成比はそれぞれ30.7%、21.5%、21.6%でした。これらの市場が深刻な景気後退に陥ると、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。ソニーの主要市場における経済状況の悪化や今後悪化するという見通しにより、最終消費が低迷して法人顧客の事業が悪影響を受け、その結果、ソニーの製品やサービスに対する需要が減少する可能性があります。例えば、映画分野においては、景気低迷を受けて広告市場全体の支出が減少する可能性があり、また、景気低迷を受けて第三者テレビネットワークの収益創出力が低下した場合には、ソニーのコンテンツに対してこれらネットワークが支払うライセンス料が減少すると考えられ、映画分野の収入に悪影響を与える可能性があります。
また、ソニーは世界各地において事業活動を行っており、このような世界規模での事業遂行、特に一部の新興市場での業務遂行には課題が生じることもあります。例えば、エレクトロニクス事業においては、中国やその他のアジアの国々・地域において製品及び部品を生産、調達しているため、これらの地域外の市場に製品を供給するために要する時間が長くなり、変化する消費者需要に迅速に対応することがより難しくなる可能性があります。さらにソニーは、複数の国において、ソニーにとって望ましくない政治的・経済的な要因により、事業を企画・管理する上で困難に直面する可能性があります。この例としては、武力紛争、外交関係の悪化、期待される行動規範からの逸脱、及び十分なインフラの欠如などがあります。不安定な国際又は国内政治・軍事情勢が今後生じた場合、ソニーやそのビジネスパートナーの事業活動が阻害されたりすることにより、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) ソニーの業績及び財政状態は外国為替変動の影響を受ける可能性があります。
ソニーの製品の多くは開発、製造された国・地域と異なる国・地域で販売されるため、ソニーの業績と財政状態は外国為替相場の変動による影響を受けます。例えば、エレクトロニクス事業においては、研究開発費や本社間接費は主に円で、原材料及び部品の調達や外部委託生産を含む製造費用は主に米ドル及び円で発生しています。売上は日本・米国・欧州・中国・新興国市場を含むその他地域に分散して発生し、それぞれの地域の通貨で計上されています。結果として、特に米ドルに対する大幅な円安及びユーロ安や、ユーロに対する大幅な円高、ならびに新興国通貨に対する米ドル高は、ソニーの業績に悪影響をこれまでも及ぼしており、今後も及ぼす可能性があります。また、ソニーの連結損益計算書は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成されていることから、外国為替相場の変動が、かかる換算にともないソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。さらに、近年では中国や新興国市場を含むその他地域におけるビジネス拡大とともに、これらの地域の通貨の米ドル及び円に対する為替レートの変動の影響も大きくなっています。中長期的な為替レート水準の変動は、ソニーの経営資源のグローバルな配分を妨げたり、研究開発、資材調達、生産、物流、販売活動を、為替レート変動の影響後でも収益をあげられるように遂行する能力を低下させたりする可能性があります。
また、ソニーは、短期の外貨建債権債務(純額)の一部を取引予定の事前にヘッジして為替リスクの低下に努めていますが、かかるヘッジ活動によっても、ヘッジされている為替について限られた期間に為替が不利に変動する場合に、全くもしくは一部しか財政状態への悪影響を解消できない可能性があります。
さらに、ソニーの連結貸借対照表は世界中の各子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成されるため、米ドル及びユーロならびにその他の外国通貨に対して円高が進行すると、ソニーの自己資本に悪影響を与える可能性があります。
(9) 格付けの低下や国際金融市場における深刻かつ不安定な混乱状況は、ソニーの資金調達や資金調達コストに悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの業績及び財政状態の悪化は、ソニーの信用格付け評価にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。格付けの低下は、資金調達コストの上昇を招き、ソニーのコマーシャルペーパー(以下「CP」)及び中長期債市場からの受諾可能な条件での調達に悪影響を与える可能性があります。
また、国際金融市場が深刻かつ不安定な混乱状況に陥った場合、金融その他の資産価格全般に下落圧力が生じたり、資金調達に影響が生じたりする可能性があります。従来、ソニーは、営業活動によるキャッシュ・フロー、CP及び中長期債などのその他の債券の発行、銀行やその他の融資機関からの借入金などにより資金を調達してきました。しかしながら、将来にわたってこのような資金源からソニーにとって受諾可能な条件で必要かつ十分な資金調達が可能となる状況が継続するという保証はありません。
その結果、ソニーは弁済期限到来時のCPや中長期債の返済、その他事業遂行上必要ある場合や必要な流動性を賄うために、金融機関と契約しているコミットメントラインや資産の売却など代替的な資金源を活用する可能性がありますが、そのような資金源からソニーにとって受諾可能な条件で必要かつ十分な資金調達ができない可能性があります。その結果、ソニーの業績、財政状態及び流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) ソニーの成功は、高い能力を持った人材との良好な関係の維持と、それら人材の採用・確保に依存しています。
ソニーが、ますます競争が激しくなる市場において、製品やサービスの開発、設計、製造、マーケティング及び販売を継続するためには、マネジメント人材、クリエイティブな人材、及びハードウェアやソフトウェアエンジニアなどのその他の高い能力を持った人材を含む内部及び外部の重要な人材を惹きつけ、確保し、それらの人材との間で良好な関係を維持することが必要となります。しかしながらそのような人材には高い需要があります。加えて、事業譲渡や構造改革及びその他の事業構造変革施策の実施により、経験豊かな人材やノウハウが意図せず喪失又は流出してしまう可能性があります。また、労働組合によるストライキが生じた場合、又はそのおそれがある場合、製品のリリースの遅れやコストの増加につながることもあります。これは特にエンタテインメント事業において生じ得る事象です。もしこれらの事象が起きた場合、あるいは高い能力を持った人材や重要なマネジメント人材を惹きつけ、確保し、良好な関係を維持できなかった場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(11) ソニーの知的財産は不正利用や窃取の被害を受け、また、第三者が保有する知的財産のソニーによる利用が制限される可能性があります。
ソニーは、イメージセンサー等のエレクトロニクス事業の商品を含む製品やサービスに関連する知的財産の不正利用や窃取の被害を受ける可能性があります。例えば、デジタル技術、デジタルメディアの利用及び世界的なインターネットの普及は、ソニーが著作権で保護されたコンテンツを違法コピー及び偽造等から保護することを困難にさせ、正規製品の販売にも悪影響を与えます。ソニーは、知的財産権の保護のために費用を計上しており、今後も引き続き費用を計上します。しかしながら、ソニーが行っているこれらの知的財産保護のための様々な取り組みが想定している効果を達成できない可能性があり、ソニーの競争上の地位や研究開発投資にマイナスの影響を与えるおそれがあります。
さらに、ソニーの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、ソニーの知的財産権が、ソニーの競争力を維持するうえで十分ではない可能性があります。
また、多くのソニー製品やサービスは第三者が保有する特許その他の知的財産権のライセンス供与を受けて設計されています。過去の経験や業界の慣行により、将来的にビジネスに必要な様々な知的財産権のライセンス供与を受け又は更新できるとソニーは考えていますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されない可能性があります。そのような場合には、ソニーは、製品又はサービスの設計変更や、マーケティング、販売、あるいは提供もしくは配信の断念を余儀なくされる可能性があります。
ソニーの製品やサービスに利用されている第三者の部品、ソフトウェア及びネットワークサービスを含め、ソニーの製品やサービスが、第三者の保有する知的財産権を侵害しているという主張がソニーに対してなされており、また、今後もなされる可能性もあります。特に、新規技術やより高度な技術が製品及びサービスに利用されるため、競合他社又は第三者の権利者から、かかる主張がなされる可能性があります。かかる主張により、ソニーは和解やライセンス契約の締結、又は多額の損害賠償金の支払いが必要となる可能性があり、差止命令、あるいはソニーの製品やサービスの一部についてマーケティング、販売、又は提供の中止に直面する可能性があります。
ソニーの知的財産権の不正利用や窃取を防止できない場合、必要とされる第三者の知的財産権のライセンスが受けられない場合、ソニーの知的財産権が無効になる場合、もしくは第三者との間で知的財産の権利侵害の訴えについて和解が成立する場合は、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 新たな技術や配信プラットフォームによる消費行動の変化は、音楽及び映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。
音楽及び映画分野で使用される技術、特にデジタル技術は進化を続け、デジタルコンテンツの配信、消費及び保存の方法は急速に変化しつつあります。このような技術の進歩は、消費者行動を変化させ、消費者が、デジタルコンテンツを消費するタイミング、場所及び方法を、これまでよりも消費者自身がコントロールすることを可能とさせています。高性能なインターネットやその他新規メディアが普及した場合、パッケージメディアの需要が低下し続けるほか、従来型のテレビ放送や劇場での映画鑑賞に影響を与え続けることが考えられ、ソニーのエンタテインメント事業の収入に悪影響を及ぼす可能性があります。サブスクリプション型のストリーミング配信などのデジタル配信に基づく収入は、パッケージメディア売上の減少を十分に補完しない可能性があります。このような状況は、ソニーの音楽及び映画分野の業績に影響を与えてきており、今後も影響を与える可能性があります。ソニーがこのような変化に十分に対応できない場合、もしくは新規市場の変化を効果的に想定又は適応することができない場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(13) 法令改正や金融市場の動向などが、ソニーの金融分野の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
ソニーの金融分野は、日本における保険や銀行といった法規制や監督の対象となる業界で事業を行っています。将来における法規制・政策などの改正・変更は、当該法規制や政策の遵守に対応するための費用の増加や事業活動に対する制約にもつながる可能性があります。なお、当社は、当社の連結子会社であるソニーフィナンシャルホールディングス㈱(以下「SFH」)からの財務支援又は融資ローンの形態による資金の受け入れに関し、日本の監督官庁の指針による制約を受けています。
また、ソニーの金融分野においては、金利及び外国為替レートの変動ならびに日本国債、国内社債、株式、不動産及びその他の投資資産の価値変動が業績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ソニーの生命保険事業では、保有契約から生じる長期の負債特性に見合うように、一般勘定資産のうち大部分を超長期日本国債及び国内社債に投資しています。生命保険事業では、上述の市況変動により投資ポートフォリオの利回りが低下する可能性がある一方で、残存する保険契約の予定利率を保証しています。また、ソニーの銀行事業では、住宅ローンが貸出金の大部分、総資産の過半を占めています。上述の市況変動及び債務者の信用状況の悪化により不良債権の増加や担保不動産価値の減少が生じ、貸倒引当金の積み増しが必要となり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの生命保険事業及び損害保険事業においては、上述の市況変動とこれらの変動に対するソニーの管理体制、又は日本における大地震や感染症などの疫病、あるいはその他の大規模災害の発生が、費用計上額の増加につながり、又は保険契約債務を履行する保険事業の能力に悪影響を及ぼす可能性もあります。
保険事業における責任準備金や繰延保険契約費は、不確実な多くの保険数理上の前提にもとづいて計算されています。その前提が実績と大幅に乖離することで計算前提が変更された場合に、責任準備金の追加計上や繰延保険契約費の前倒し償却が必要となる可能性があります。具体的には、保険数理上の前提にもとづいて、保険料収入や購入される資産の運用益及び補償対象としている事象が発生した場合の支払額などの将来スケジュールを想定し、責任準備金や繰延保険契約費を計算しています。なお、保険数理上の前提は、毎事業年度に最低1回の見直しが求められています。
(14) ソニーの設備や事業活動は、大規模な災害や停電などの場合には被害や損害を受け、それがサプライチェーン、製造及びその他の事業の混乱を引き起こし、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの本社及び半導体のような最先端デバイスの製造拠点の多くは、地震のリスクが比較的高い日本国内にあります。日本で大地震が起きた場合、特にソニーの本社がある東京、完成品の製造事業所が所在する東海地方、又は半導体製造事業所が所在する九州地方及び東北地方で起きた場合には、建物や機械設備、棚卸資産が被害を受けたり、製造事業所では生産活動が中断したりするなど、ソニーの事業は大きな被害を受ける可能性があります。例えば、2016年4月14日以降に発生した平成28年(2016年)熊本地震(以下「熊本地震」)の影響で、九州地方にある半導体製造事業所に損傷があり、その事業所における製造が中断しました。
また、原材料、部品、ネットワーク、情報通信システムインフラ、研究開発、資材調達、製造、映画やテレビ番組の製作・制作、物流、販売及び、オンラインやその他のサービスに使用される、ソニーやサプライヤー、外部サービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの世界各地にあるオフィスや設備は、自然災害、伝染病などの疫病、テロ行為、大規模停電、大規模火災などの予期できない大惨事により、破壊されたり、一時的に機能が停止したり、混乱に陥ったりする可能性があります。これらのオフィスや設備のいずれかが前述の大惨事により重大な損害を受けた場合、事業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、又はオフィスや設備の修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。また、ソニーは、原材料及び部品の価格高騰や、法人顧客の需要減少による影響を受ける可能性があり、これらの場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) ソニーあるいは外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの情報セキュリティに対する侵害又はその他の不正行為があった場合、ソニーのブランドイメージ及び評判や事業への悪影響が及ぶ可能性や、ソニーが法的な、あるいは規制当局に対する責任を追及される可能性があります。
ソニーならびに外部のサービスプロバイダ、サプライヤー及びその他のビジネスパートナーは、情報技術を広範に活用することで営業活動を行い、また顧客にネットワークやオンラインサービスを提供しています。これらの事業及びサービス、ならびにソニーのビジネス情報は、国家が支援する組織を含む悪意をもった第三者、ソニーの従業員、ソニーもしくは外部のサービスプロバイダ又はその他のビジネスパートナーの故意又は不注意により侵害を受ける可能性があります。そのような組織や個人は、悪意のあるソフトウェアをインストールしたり、情報技術の脆弱性を利用したり、ソーシャル・エンジニアリングを用いて従業員やビジネスパートナーのパスワードや機密情報を開示させたり、分散DoS(サービス停止)攻撃を仕組んだりするなど、様々な技術の組み合わせにより、サービスを停止させる可能性があります。サイバー攻撃がますます高度化かつ自動化し、より容易にツールやリソースを利用できるようになりつつあることから、不正な侵入を防止あるいは検知したり、不正な侵入に対応したり、データへのアクセスを制限したり、ビジネス情報の消失、破壊、改変、あるいは流出を防止したり、そういった攻撃の悪影響を抑制したりするためにソニーが行っている対策、セキュリティへの取り組みや管理が、不正アクセスに対して、完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。その結果、個人情報を含むソニーのビジネス情報の消失、破壊、漏洩、悪用、改変、又は承諾を得ない第三者による不正アクセスが発生し、ソニー、あるいは外部のサービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの情報システム又は事業が破壊される可能性があります。また、悪意をもった第三者は、ソニーに知られることなく、ソニーの外部の事業パートナーを侵害するためのプラットフォームとしてソニーのネットワークに不正にアクセスする可能性があります。ソニーは過去に、高度かつ明確に標的を定めた攻撃の対象になったことがあります。例えば、2014年度に、ソニーの映画分野がサイバー攻撃の対象となり、結果的に従業員やその他の情報を含むソニーのビジネス情報が不正にアクセス、窃取、漏洩され、データが破壊されました。また、ソニーのネットワークサービス、オンラインゲーム事業及びウェブサイトは、様々な誘因や幅広い専門知識を持つ団体もしくは個人から、不正アクセスやDoS(サービス停止)攻撃、顧客情報の窃取・漏洩などのサイバー攻撃の対象となったことがあります。
こうした情報セキュリティに対する事象によって、多額の復旧費用が発生する可能性があります。加えて、ソニーのネットワークやオンラインサービス、情報技術への破壊行為、その他のソニーの情報セキュリティに対する侵害行為によって、売上の喪失、ビジネスパートナー及びその他の第三者との関係の悪化、専有情報の不正漏洩、改変、破壊あるいは悪用、ならびに顧客の維持や勧誘の失敗などが生じ、その結果、ソニーの事業や活動が重大な打撃を受ける可能性があります。さらに、これらの破壊や侵害行為がマネジメントの関心や経営資源の分散につながる可能性があります。他にも、メディアの報道に悪影響をもたらし、ソニーのブランドイメージや評判を傷つける可能性があります。また、ソニーは訴訟、及び規制当局による調査や規制措置を含む法的措置の対象となる可能性があります。ソニーが加入しているサイバー攻撃に対する保険は費用や損失の全額を補填できない可能性があり、その結果、ソニー又は外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの情報セキュリティに対するそのような侵害又はその他の不正行為が、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(16) 訴訟及び規制当局による法的手続が不利な結果に終わった場合、ソニーの事業が悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、様々な国において事業の遂行に関して、訴訟及び規制当局による法的手続に服するリスクにさらされています。訴訟及び規制当局による法的手続は、ソニーに多額かつ不確定な損害賠償や事業活動に対する制約をもたらすことがあります。また、その発生の可能性や影響の程度を予測するには相当の期間を要する場合があります。例えば、公正な競争に反する市場慣行に関して規制当局が行う調査が、訴訟や規制当局による法的手続につながる可能性があります。多大な法的責任や規制当局による不利な措置が課された場合や、訴訟及び規制当局による法的手続への対応に多大なコストがかかった場合、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17) ソニーは製品品質や製造物責任による財務上のリスクや評判を損なうリスクにさらされています。
急速な技術の進化や、モバイル製品及びオンラインサービスに対する需要増にともない、コンスーマー製品、ノンコンスーマー製品、部品、半導体、ソフトウェア、ならびにネットワークサービスなどのソニーの製品・サービスは一層高機能かつ複雑になっており、また、多くの製品が常にインターネットやソニー又は第三者が提供するサービスに繋がっている環境におかれています。ソニーは、製品品質を維持しながら、技術の急速な進展や、モバイル製品及びオンラインサービスの需要増加に対応できない可能性があり、これにより、製造物責任問題に関するリスクが高まる可能性があります。その結果、ソニーの評判に悪影響を及ぼし、製品回収やアフターサービスなどの費用が発生する可能性があります。加えて、既存の製品及びサービスへの販売後のアップグレード、機能の拡充、又は新機能の導入に成功しない可能性や、既存の製品及びサービスを、他の技術及びオンラインサービスとの間で便宜的かつ効果的に連携させ続けることができない可能性があります。その上、インターネットに接続されている製品に対するサイバー攻撃は劇的に増加しており、ソニーの製品・サービスが他者からの攻撃にさらされる事態、顧客情報ならびにソニー及び他社の技術情報が流出する事態、又は製品・サービスが利用不能となる事態や他者への攻撃に悪用される事態が生じるおそれがあります。ソニーが導入したセキュリティ対策は、ソニーの製品及びサービスに対する侵害の防止を保証することはできません。
そのため、ソニーの既存の製品及びサービスについて、顧客満足を維持できない可能性や、需要の減少、競争力の低下、あるいは陳腐化を招く可能性があり、その結果、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、根拠の有無にかかわらず、ソニー製品に関するセキュリティ脆弱性、健康面や安全性の問題に関する申立て又は訴訟は、直接的に、もしくはソニーのブランドイメージや、高品質な製品やサービスを提供する企業であるという評価に対して影響を与え、その結果として、間接的にソニーの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題は、ソニーが製造したか否かに関係なく、また、ソニーが直接顧客に販売する製品のみならず、半導体を含むソニー製の部品が搭載された他社製品においても生じる可能性があります。
(18) ソニーの業績及び財政状態は退職給付債務により悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、確定給付年金制度に関する会計基準に従い、確定給付年金制度ごとの予測給付債務から年金制度資産の公正価値を差し引いた金額を未積立年金債務として認識しています。年金数理純損益については、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却することにより年金費用に含めています。運用収益の悪化による年金制度資産価値の減少や、割引率の低下、昇給率の増加やその他の年金数理計算前提となる比率の変動による予測給付債務増加にともない未積立年金債務が増加し、その結果、年金費用が増加し、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの業績及び財政状態は、国内及び海外年金制度の積立状況による悪影響を受ける可能性があります。特にソニーの年金の大部分を占める国内年金は約30%を持分証券に投資しており、厳しい株式市場環境及びクレジット市場のボラティリティが、ソニーの年金制度資産及び将来見積年金負債に対して悪影響を与える可能性があります。その結果、ソニーの業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。
さらにソニーの業績及び財政状態は、日本の確定給付企業年金法の年金積立要求により悪影響を受ける可能性があります。この確定給付企業年金法により、ソニーは定期的な財政再計算や年次の財政決算を含む年金財政の検証を行うことが求められています。年金制度資産の公正価値に対して法定の責任準備金が超過し、法令もしくは特別な政令などにより認められた期間内に制度資産の公正価値が回復しない場合には、ソニーは年金制度への追加拠出が必要となり、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。同様に、海外の年金制度資産についても各国の法令にもとづき追加拠出が必要となる場合、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。また、今後、法令が定める掛金の更新にともなって年金制度資産の長期期待収益率などの前提を見直した際、年金への拠出金の水準が引上げられた場合、ソニーのキャッシュ・フローに対して悪影響を及ぼす可能性があります。
(19) 繰延税金資産に対して評価性引当金を計上している税務管轄におけるさらなる損失の発生、ソニーが繰延税金資産を最大限に利用できないこと、各国の法令にもとづく繰延税金資産の使用の制限、追加的な税金負債あるいは税率の変動がソニーの当期純利益及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において連結会社間の移転価格取引により最終的な税額の決定に不確実な状況が多く生じています。また、ソニーは、多くの税務管轄において税務当局から継続的な調査も受けています。ソニーの税金引当額、及び繰越欠損金や繰越税額控除を含む税金資産の帳簿価額の計算には高度な判断と見積り(将来の課税所得の見積りを含む)が必要です。追加的な証拠が入手可能になると、ソニーは、これら資産の残高の妥当性や評価性引当金による減額の妥当性について判断するため、これら資産の再評価を行います。2018年3月31日現在、総額で8,998億円の評価性引当金が計上されています。評価性引当金の増加は、ソニーの当期純利益及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産は、税務管轄ごとに評価されます。2018年3月31日時点において、ソニーは主に日本及び米国において評価性引当金を計上しています。さらに、充分な課税所得を適切な税務管轄内で生み出せないなど様々な理由により、繰延税金資産は未使用のまま消滅、又は回収できない可能性があります。繰延税金資産が未使用のまま消滅した場合、ソニーの当期純利益及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
一部の税務管轄において、繰越欠損金又は繰越税額控除の使用が、翌期以降の課税所得に対する一定の水準に制限されており、ある特定の要因の所得との相殺にしか使用できない場合があります。したがって、ソニーは、課税所得が発生した税務管轄において、多額の繰越欠損金又は繰越税額控除があるにもかかわらず、税金の支払いが発生するため税金費用を計上する可能性があります。
上記に加え、ソニーの将来における実効税率は、法定税率の変更や異なる法定税率が適用される各国での利益の割合の変化、又はロイヤルティや利息の損金算入制限、及び税額控除の使用制限を含む租税法規の改正やそれらの解釈の変更などにより不利な影響を受ける可能性があります。
(20) ソニーは、営業権、無形固定資産もしくはその他の長期性資産の減損を計上する可能性があります。
ソニーは多くの営業権、無形固定資産ならびにエレクトロニクス事業における製造施設及び設備を含む長期性資産を保有しています。これらの資産については、業績の悪化や時価総額の減少、将来のキャッシュ・フローの見積額の減少、世界経済情勢の変化、減損の判定に用いられる高度な判断を必要とする見積り・前提の変更により、減損を計上する可能性があります。営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産については、年に1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化には、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などが含まれます。なお、ソニーがさらされている国際的な競争環境の激化や技術動向の急激な変化により、減損の判定に用いられる見積り、前提及び判断が変動し、減損の計上の可能性が増加することがあります。保有しかつ使用する長期性資産及び処分予定の長期性資産の回収可能性は、個々の資産又は資産グループの簿価が回収できなくなる可能性を示す事象や状況(営業権や無形固定資産に関する上記の事象や状況を含む)の変化が生じた場合に検討されます。資産又は資産グループの帳簿価額が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損を認識します。例えば、2015年度において、半導体分野のカメラモジュール事業で596億円、コンポーネント分野の電池事業で306億円の長期性資産の減損をそれぞれ計上しました。さらに、2016年度において、半導体分野の外販向けの一部の高機能カメラモジュールの開発・製造中止にともなう長期性資産の減損239億円を、映画分野に関連する営業権の減損1,121億円を、それぞれ計上しました。加えて、2017年度において、MC分野における固定資産の減損313億円を計上しました。このような減損損失の計上は、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り・前提を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な前提にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計方針であると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計方針として考えています。
投資
ソニーの投資は、原価法あるいは持分法により会計処理されている負債及び持分証券を含みます。投資価値に一時的でない下落が認められた場合は減損を認識し、その投資は公正価値まで評価減されます。ソニーは、個々の有価証券の一時的でない減損を判定するため、投資ポートフォリオを定期的に評価しています。公正価値の下落が一時的であるか否かを判断するにあたっては、公正価値が取得原価を下回っている期間及びその程度、発行企業の財政状態、業績、事業計画及び将来見積キャッシュ・フロー、公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスクの増大、ソブリンリスクならびに公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間までソニーが保有し続けることができるか否かなどを考慮します。
公正価値が容易に算定できる売却可能証券の減損の判定において、公正価値が長期間(通常6ヵ月間)取得価額に比べ20%以上下落した場合、公正価値の下落が一時的でないと推定されます。この基準は、その公正価値の下落が一時的でない有価証券を判定する兆候として採用されています。公正価値の下落が一時的でないと推定された場合でも、下落期間又は下落率を上回る、公正価値の下落が一時的であることを裏付ける十分な根拠があれば、この下落は一時的であると判断されます。一方で、公正価値の下落が20%未満又は長期間下落していない場合でも、公正価値の下落が一時的でないことを示す特定要因が存在する場合には、減損が認識されることがあります。
満期保有目的の負債証券に一時的でない減損が発生した場合、損益に認識される一時的でない減損の金額は、この負債証券を売却する意思があるかどうか、又は償却原価まで価値を回復する前にこの負債証券の売却が必要となる可能性の方が高いかどうかに左右されます。負債証券がこのいずれかの基準を満たす場合、損益に認識される一時的でない減損金額は、減損測定日における負債証券の償却原価と公正価値の差額全額です。これらの2つの基準を満たさない負債証券の一時的でない減損については、損益に認識される正味金額は償却原価とソニーの将来キャッシュ・フローの最善の見積りを、負債証券の減損前における計算上の実効金利を用いて割り引くことにより計算される正味現在価値の差額にあたる信用損失です。減損測定日における負債証券の公正価値と正味現在価値の差額は累積その他の包括利益に計上されます。一時的でない減損が損益に認識された負債証券の未実現損益は累積その他の包括利益の独立した項目として計上されます。
投資の公正価値の下落が一時的であるか否かの判定は、多くの場合、主観的であり、発行企業の業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、投資価値の下落が一時的であると判断している有価証券について、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化あるいは市場金利変動の影響等の事後情報の評価にもとづき、将来、公正価値の下落が一時的でないと判断され、投資の未実現評価損が費用として認識され将来の収益を減額する場合があります。
棚卸資産の評価
ソニーは原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で棚卸資産を評価します。棚卸資産原価と正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成及び処分までの費用を控除した額)の差額を評価減計上します。ソニーは、部品や製品が陳腐化したり、在庫量が使用見込みを上回ったり、又は在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。市場環境が予測より悪化してさらなる値下げが必要な場合には、将来において追加の評価減計上が必要となります。
長期性資産の減損
ソニーは、保有して使用される長期性資産及び処分予定の長期性資産又は資産グループの簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、減損の有無を検討しています。保有して使用される長期性資産は割引前将来キャッシュ・フローと長期性資産又は資産グループの簿価を比較することにより減損の検討が行われています。この検討は、主として製品カテゴリーごと、特定の場合には、企業ごとの将来キャッシュ・フローの見積りにもとづいて行われます。資産又は資産グループの簿価が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損損失を認識します。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。
マネジメントは将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは合理的であると考えています。しかしながら、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。
企業結合
ソニーは取得法の適用時に、みなし取得価格を識別可能資産及び引受負債に割り当て、残余の取得価格は営業権として計上しています。取得価格の割当では、識別可能資産及び引受負債、特に無形固定資産の公正価値の決定に重要な見積りが使用されます。通常、独立した外部の第三者が評価プロセスに関与します。重要な見積り及び前提は、収益及び将来キャッシュ・フローの計上時期及び金額、将来キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、ならびにターミナル・バリューを決定する際に適用される永続成長率等を含みます。
見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この取得価格は異なる金額で評価され、取得資産及び引受負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、営業権を含む取得資産の減損損失の計上又は引受負債の増加が必要となる可能性があります。
営業権及びその他の無形固定資産
営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。
2018年3月31日において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、報告単位の公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額の比較による定量的手続を行いました。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権について減損損失は認識されません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、報告単位に配分された営業権の総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産の減損判定では、公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。
営業権の減損判定における報告単位の公正価値の決定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。同様に、非償却性無形固定資産の公正価値の決定においても、見積り・前提が使用されます。これらの見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
これらの減損判定において、ソニーは、社内における評価を行い、またマネジメントが妥当と判断する場合には第三者による評価を活用するとともに、一般に入手可能な市場情報を考慮に入れています。報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、利益倍率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮します。
将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)に使用される前提は、それぞれの報告単位における見込み及び中期計画にもとづいており、過去の経験、市場及び産業データ、現在及び見込まれる経済状況を考慮しています。永続成長率は主に中期計画の3ヵ年予測期間後のターミナル・バリューを決定するために使用されています。映画分野の報告単位など、特定の報告単位においては、より長い見込期間、及び予測期間最終年度の見積キャッシュ・フローに適用される利益倍率を用いた出口価格に、コントロール・プレミアムを加味して算定されたターミナル・バリューを使用しています。割引率は類似企業の加重平均資本コストにより算出されています。
2017年度の減損判定において、営業権を持つ全ての報告単位の公正価値が帳簿価額を超過していたため、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。これらの報告単位において公正価値は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。また、耐用年数の確定できない非償却性資産においても、公正価値が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。
2018年3月31日現在のセグメントごとの営業権の帳簿価額は以下のとおりです。
|
金額 (単位:百万円) |
G&NS |
150,606 |
音楽 |
165,394 |
映画 |
144,412 |
IP&S |
9,517 |
MC |
3,286 |
半導体 |
45,793 |
金融 |
7,225 |
その他 |
4,259 |
合計 |
530,492 |
上述の中期計画を除く、2017年度の減損判定における、ソニーの報告単位の公正価値への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。
・割引率は5.9%から12.4%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1%増加させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
・G&NS分野、IP&S分野、MC分野、半導体分野、金融分野及びその他分野の報告単位におけるターミナル・バリューに適用された永続成長率はおおよそ1.0%から1.5%の範囲です。音楽分野の報告単位における中期計画を超える期間の永続成長率は0%から1.0%の範囲、映画分野では3.0%から4.5%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、永続成長率を1%減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
・映画分野の報告単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は8.0から10.0の範囲です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。
マネジメントは、営業権の減損判定に使用した公正価値の見積りに用いられた前提は合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。
退職年金費用
従業員の退職年金費用及び債務は、最新の統計数値にもとづく割引率、退職率及び死亡率を含む特定の前提条件に加え、年金制度資産の長期期待収益率及びその他の要因にも左右されます。特に割引率と長期期待収益率は、期間退職・年金費用及び退職給付債務を決定する上で、二つの重要な前提条件です。前提条件は、少なくとも年に一度、又はこれらの重要な前提条件に重大な影響を与えるような事象の発生又は状況の変化があった場合に評価されます。
米国会計原則にしたがって、前提条件と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来認識される退職年金費用及び退職給付債務に影響します。マネジメントはこれらの前提条件が適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、ソニーの退職給付債務及び将来の退職年金費用に影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの主要な年金制度は国内年金制度です。個別の海外年金制度に関して、年金制度資産及び退職給付債務の国内及び海外総額にとって重要性のあるものはありません。
ソニーは2018年3月31日現在の国内年金制度の退職給付債務の決定において、0.8%の割引率を適用しました。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の収益率情報を使用し、給付の見込支払額と時期を考慮して決定されます。この収益率情報には、公表されている市場情報及び複数の格付け機関から提供される数値が使用されています。この0.8%の割引率は2016年度に使用された0.9%から0.1ポイントの低下となり、昨今の日本における市場金利状況を反映しています。
年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。国内年金制度における2017年3月31日及び2018年3月31日現在の年金資産の長期期待収益率は、それぞれ2.7%及び2.4%でした。2016年度及び2017年度の実際の収益率は、それぞれ5.2%及び5.6%でした。実際の収益率が期待収益率を上回った要因としては、主に年間を通じて日本国内及び世界的に株式市場が好調だったことが挙げられます。実際の結果と年金制度資産の長期期待収益との差異は、累積され、退職年金費用の一部として将来の平均残存勤務年数にわたって償却されます。その結果、毎年の退職年金費用のボラティリティが軽減されています。2017年3月31日及び2018年3月31日現在における、ソニーの国内年金制度についての年金制度資産の損失を含む年金数理純損失は、それぞれ3,174億円及び2,999億円でした。2017年度において、退職給付債務の決定に使用した割引率は前年度を下回ったものの、年金制度資産の実際の収益率が長期期待収益率を上回ったことにより、年金数理純損失は減少しました。
以下の表は、他の前提条件を2018年3月31日より一定とした場合の、2018年度における国内年金制度の割引率と年金制度資産の長期期待収益率の変動による影響を表しています。
前提条件の変更 |
予測給付債務 |
退職年金費用 |
当期純利益 |
割引率 |
|
|
|
0.25ポイント増/0.25ポイント減 |
-/+380億円 |
-/+19億円 |
+/-13億円 |
年金制度資産の長期期待収益率 |
|
|
|
0.25ポイント増/0.25ポイント減 |
- |
-/+17億円 |
+/-12億円 |
繰延税金資産の評価
繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。
過年度に計上した損失の結果、2018年3月31日現在、繰延税金資産に対して総額で8,998億円の評価性引当金を計上しています。この評価性引当金のうち、日本における当社とその連結納税グループの法人税及び地方税が約5,000億円、米国のSony Americas Holding Inc.(以下「SAHI」)とその連結納税グループの連邦法人税及び州税が約2,500億円含まれています。2018年3月31日現在、評価性引当金を計上している会社の中には、米国のSAHIとその連結納税グループ、日本における当社とその連結納税グループをはじめ、収益性が回復した会社があります。評価性引当金を取崩すためには、収益性の回復は、検討されるべき要素ではありますが、とりわけ日本のように未使用の繰越欠損金の繰越可能期間が制限されている税務管轄では、継続した利益を計上することがさらに必要となります。
ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動、とりわけ連結会社間の移転価格において、最終的な税額の決定が不確実な状況が多く生じています。繰延税金資産の金額は、連結会社間の移転価格の決定による各税務管轄における課税所得の最終的な配分などに関するソニーの判断にもとづき不確実な税務ポジションのうち50%超の可能性で起こり得る最終的な結果を考慮しています。繰延税金資産の評価に関する見積りは、貸借対照表日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産を回収可能額まで減額するために、将来において追加的な評価性引当金の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連する質的要因や不確実性を考慮した上で、税金費用の戻し入れをともなう評価性引当金の取崩しが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの要因や変化は、評価性引当金が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
映画会計
映画会計においては、作品ごとの予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは次の2点において重要となります。第一に、映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。第二に、ある映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいています。
マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優あるいは女優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。
保険契約債務
保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。保険契約債務は1.0%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び契約脱退率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表に拠っています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。
生命保険ビジネスにおける契約者勘定
生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.8%から2.0%です。変額保険については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約、変額個人年金保険及び年金開始後契約が含まれています。投資契約(変額個人年金保険除く)に対する付与利率は、0.01%から6.3%です。変額個人年金保険については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。
(2)生産、受注及び販売の状況
ソニーの生産・販売品目は極めて多種多様であり、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っています。なお、ソニーはエレクトロニクス5分野(G&NS分野、HE&S分野、IP&S分野、MC分野及び半導体分野の合計)においては、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っていることから、生産状況は販売状況に類似しています。このため生産及び販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」内のエレクトロニクス5分野の業績に関連付けて示しています。
(3)経営成績の分析
営業概況
|
2016年度 (億円) |
2017年度 (億円) |
売上高及び営業収入 |
76,033 |
85,440 |
持分法による投資利益 |
36 |
86 |
営業利益 |
2,887 |
7,349 |
税引前利益 |
2,516 |
6,990 |
当社株主に帰属する当期純利益 |
733 |
4,908 |
連結業績
売上高
2017年度の売上高及び営業収入(以下「売上高」)は、前年度比9,407億円増加し、8兆5,440億円となりました。これは、MC分野及びその他分野を除くすべての分野での増収によるものです。また、2017年度の売上高には熊本地震にかかわる逸失利益などに対する保険金の受取67億円が半導体分野に、26億円がIP&S分野に、それぞれ含まれています。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。
(後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、「売上高」については、売上高のうち、純売上高及び営業収入のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、「金融ビジネス費用」は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。)
売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業損(純額)
2017年度の売上原価は、前年度に比べ4,352億円増加して5兆1,883億円となり、売上高に対する比率は前年度の72.9%から70.9%に改善しました。
研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度に比べ111億円増加の4,585億円となり、売上高に対する比率は、前年度の6.9%に対し6.3%になりました。(詳細は「第2 事業の状況」『5 研究開発活動』参照)
販売費及び一般管理費は、前年度に比べ772億円増加して1兆5,832億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前年度の23.1%から21.6%に改善しました。
その他の営業損益(純額)は、前年度に比べ1,449億円改善し、41億円の損となりました。この大幅な改善は、以下の2017年度に発生した要因の寄与及び2016年度に発生した要因による影響がなかったことによるものです。
2017年度に発生した要因
・固定資産の減損 313億円(MC分野)
・カメラモジュール事業の製造子会社の持分全部の譲渡益 283億円(半導体分野)
・子会社が保有していた不動産の譲渡益 105億円(音楽分野)
・製造設備の売却にともなう利益 86億円(半導体分野)
2016年度に発生した要因
・営業権の減損 962百万米ドル(1,121億円)(映画分野)
・電池事業の譲渡にともなう減損 423億円(その他分野)
・外販向けの一部の高機能カメラモジュールの開発・製造の中止にともなう長期性資産の減損 239億円(半導体分野)
・エムスリー㈱の株式の一部売却にともなう売却益 372億円(その他分野)
持分法による投資利益
2017年度の持分法による投資利益は、前年度に比べ50億円増加し、86億円となりました。この増加は、金融分野に含まれるSA Reinsurance Ltd.の持分法投資損益の改善などによるものです。
営業利益
2017年度の営業利益は、前年度比4,462億円増加し、7,349億円となりました。この大幅な増益は、前述の増収の影響、為替の好影響及び前述の2017年度に発生した要因があったことによるものです。なお、前年度の営業利益には、前述の2016年度に発生した要因が含まれています。
その他の収益及び費用
2017年度のその他の収益は、前年度から93億円増加し、237億円となりました。一方、その他の費用は前年度に比べ80億円増加し、595億円となりました。その他の収益からその他の費用を差し引いた純額は、前年度に比べ13億円改善し、358億円の費用となりました。これは主に、為替差損(純額)の増加があったものの、受取利息及び配当金の増加及び投資有価証券評価損の減少があったことによるものです。
為替差損(純額)は、前年度に比べ85億円増加し、306億円を計上しました。なお、受取利息及び配当金は、前年度に比べ83億円増加し、198億円となりました。支払利息は前年度に比べ10億円減少し、136億円となりました。
税引前利益
2017年度の税引前利益は、前年度に比べ4,474億円増加し、6,990億円となりました。
法人税等
2017年度の法人税等は、1,518億円を計上し、実効税率は前年度の49.3%を下回り、21.7%となりました。これは、繰延税金資産に対し評価性引当金を計上しているソニー㈱及び日本の連結納税グループと米国の連結納税グループにおいて、前年度は損失を計上したことに対し当年度は利益を計上したことや、前年度は税務上損金に算入されない営業権の減損を計上したこと、さらに当年度において米国における税制改正により繰延税金負債に関して税務ベネフィットを138億円計上したことなどによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照)
当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度に比べ4,175億円増加し、4,908億円となりました。
非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度に比べ22億円増加し、565億円の利益となりました。
基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の58.07円に対し、2017年度は388.32円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の56.89円に対し、2017年度は379.75円となりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照)
分野別営業概況
以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高及び営業収入は、セグメント間取引を含みます。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『29 セグメント情報』参照)
G&NS分野
主要経営数値
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
製品部門別の外部顧客向け売上高 |
|
|
ネットワーク |
714,924 |
1,033,192 |
ハードウェア・その他 |
866,644 |
815,106 |
外部顧客向け売上高の合計 |
1,581,568 |
1,848,298 |
セグメント間取引 |
68,231 |
95,514 |
セグメント売上高 |
1,649,799 |
1,943,812 |
セグメント営業利益 |
135,553 |
177,478 |
|
|
|
主要製品の売上台数 |
(万台) |
(万台) |
PS4®ハードウェア |
2,000 |
1,900 |
2017年度のG&NS分野の売上高は、前年度比2,940億円増加し、1兆9,438億円となりました。これは主に、ネットワークを通じた販売を含む「プレイステーション 4」(以下「PS4®」)のソフトウェアの増収、為替の影響、及び有料会員サービス「PlayStation®Plus」の加入者数の増加によるものです。
営業利益は、前年度比419億円増加し、1,775億円となりました。これは、販売費及び一般管理費の増加があったものの、主に前述の増収の影響によるものです。
音楽分野
音楽分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Music Entertainment(以下「SME」)及びSony/ATV Music Publishing LLC(以下「Sony/ATV」)の円換算後の業績及び、円ベースで決算を行っている日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの業績が含まれています。また、ソニーの持分法適用会社であるEMI Music Publishingの純利益の39.8%が、持分法投資利益として当分野の営業利益に含まれています。
主要経営数値
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 |
|
|
音楽制作 |
388,948 |
446,960 |
音楽出版 |
66,541 |
74,360 |
映像メディア・プラットフォーム |
175,278 |
263,472 |
外部顧客向け売上高の合計 |
630,767 |
784,792 |
セグメント間取引 |
16,891 |
15,203 |
セグメント売上高 |
647,658 |
799,995 |
セグメント営業利益 |
75,798 |
127,786 |
2017年度の音楽分野の売上高は、前年度比1,523億円増加し、8,000億円となりました。この大幅な増収は、主に映像メディア・プラットフォーム及び音楽制作の増収によるものです。映像メディア・プラットフォームはモバイル機器向けゲームアプリケーション「Fate/Grand Order」が引き続き好調だったことにより、増収となりました。音楽制作も、ストリーミング配信の売上が引き続き増加したことにより、増収となりました。なお、当年度にヒットした音楽作品にはP!NKの「ビューティフル・トラウマ」、DJキャレドの「グレイトフル」、カミラ・カベロの「カミラ」などがあります。
営業利益は、主に前述の増収の影響や前述の不動産の譲渡益により前年度比520億円増加し、1,278億円となりました。
映画分野
映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Pictures Entertainment Inc.(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。
主要経営数値
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 |
|
|
映画製作 |
409,363 |
448,945 |
テレビ番組制作 |
271,886 |
289,024 |
メディアネットワーク |
219,981 |
272,204 |
外部顧客向け売上高の合計 |
901,230 |
1,010,173 |
セグメント間取引 |
1,899 |
894 |
セグメント売上高 |
903,129 |
1,011,067 |
セグメント営業損益 |
△80,521 |
41,110 |
2017年度の映画分野の売上高は、前年度比1,079億円(12%)増加し、1兆111億円となりました(米ドルベースでは10%の増収)。米ドルベースでの大幅な増収は、メディアネットワーク、映画製作及びテレビ番組制作の増収によるものです。メディアネットワークは、主にインドにおけるTEN Sports Networkの買収や視聴率の改善により、テレビネットワークの広告収入及び視聴料収入が増加し、増収となりました。映画製作は、カタログ作品のテレビ局向けライセンス収入の減少があったものの、「スパイダーマン:ホームカミング」及び「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」の劇場興行収入が全世界で好調だったことにより、増収となりました。テレビ番組制作も、カタログ作品のテレビ局向けライセンス収入の減少があったものの、「それいけ!ゴールドバーグ家」、「グッド・ドクター 名医の条件」及び「フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ」などを含む米国のテレビ番組のライセンス収入が増加したことなどにより増収となりました。
営業損益は、前年度の805億円の損失に対し、当年度は411億円の利益となりました。この大幅な損益の改善は、2017年2月に買収したTEN Sports Networkにおける損失があったものの、主に前年度には営業権の減損損失962百万米ドル(1,121億円)が計上されたこと、及び当年度には前述の増収による影響があったことによるものです。
HE&S分野
主要経営数値
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
製品部門別の外部顧客向け売上高 |
|
|
テレビ |
720,557 |
861,763 |
オーディオ・ビデオ |
311,771 |
357,194 |
その他 |
1,887 |
2,777 |
外部顧客向け売上高の合計 |
1,034,215 |
1,221,734 |
セグメント間取引 |
4,789 |
999 |
セグメント売上高 |
1,039,004 |
1,222,733 |
セグメント営業利益 |
58,504 |
85,841 |
|
|
|
主要製品の売上台数 |
(万台) |
(万台) |
テレビ |
1,210 |
1,240 |
2017年度のHE&S分野の売上高は、主にテレビの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善及び為替の影響により、前年度比1,837億円増加し、1兆2,227億円となりました。
営業利益は、研究開発費やマーケティング費用等の増加があったものの、主に前述の増収の影響や為替の好影響により、前年度に比べ273億円増加し、858億円となりました。
IP&S分野
主要経営数値
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
製品部門別の外部顧客向け売上高 |
|
|
静止画・動画カメラ |
351,834 |
415,318 |
その他 |
219,665 |
231,845 |
外部顧客向け売上高の合計 |
571,499 |
647,163 |
セグメント間取引 |
8,134 |
8,729 |
セグメント売上高 |
579,633 |
655,892 |
セグメント営業利益 |
47,257 |
74,924 |
|
|
|
主要製品の売上台数 |
(万台) |
(万台) |
デジタルカメラ *(静止画・動画カメラ事業) |
420 |
440 |
2017年度のIP&S分野の売上高は、前年度比763億円増加し、6,559億円となりました。この大幅な増収は主に前年度には熊本地震の影響があったこと、為替の影響及び静止画・動画カメラにおける高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善によるものです。
営業利益は、前年度比277億円増加し、749億円となりました。この大幅な増益は、前述の製品ミックスの改善、為替の好影響、及び前年度には熊本地震の影響があったことなどによるものです。
* 「主要製品の売上台数」のデジタルカメラは、コンパクトデジタルカメラ、及びレンズ交換式一眼カメラを含みます。
MC分野
主要経営数値
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
外部顧客向け売上高の合計 |
752,688 |
713,916 |
セグメント間取引 |
6,457 |
9,826 |
セグメント売上高 |
759,145 |
723,742 |
セグメント営業損益 |
10,164 |
△27,636 |
|
|
|
主要製品の売上台数 |
(万台) |
(万台) |
スマートフォン |
1,460 |
1,350 |
2017年度のMC分野の売上高は、前年度比354億円減少し、7,237億円となりました。この減収は、スマートフォンの販売台数の減少によるものです。
営業損益は、前年度の102億円の利益に対し、276億円の損失となりました。これは、オペレーション費用を削減したものの、固定資産の減損損失の計上313億円に加え、販売台数の減少、主要部品の価格の上昇などによるものです。
半導体分野
主要経営数値
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
外部顧客向け売上高の合計 |
659,779 |
726,892 |
セグメント間取引 |
113,344 |
123,118 |
セグメント売上高 |
773,123 |
850,010 |
セグメント営業損益 |
△7,811 |
164,023 |
2017年度の半導体分野の売上高は、前年度比769億円増加し、8,500億円となりました。この増収は、事業規模を縮小したカメラモジュール事業の大幅な減収があったものの、モバイル機器向けイメージセンサーの販売数量が大幅に増加したこと及び前年度には熊本地震の影響によるイメージセンサーの生産の減少があったことなどによるものです。
営業損益は、前年度の78億円の損失に対し、当年度は1,640億円の利益となりました。この大幅な損益改善は、前述の増収の影響、前述のカメラモジュール事業の製造子会社の持分全部の譲渡益283億円、製造設備の売却にともなう利益86億円、及び熊本地震にかかる受取保険金67億円を計上したことなどによるものです。
また、前年度の営業損失には、前述のカメラモジュールに関する長期性資産の減損損失239億円、熊本地震に関連する費用(純額)154億円、及びモバイル機器向けの一部イメージセンサーの在庫に関する評価減65億円が計上されていました。
以下の棚卸資産、外部顧客に対する売上高の地域別分析、地域別の生産状況は、エレクトロニクス5分野(G&NS分野、HE&S分野、IP&S分野、MC分野及び半導体分野の合計)に関するものです。
棚卸資産
|
2016年度 (億円) |
2017年度 (億円) |
G&NS |
817 |
740 |
HE&S |
1,141 |
1,213 |
IP&S |
629 |
756 |
MC |
795 |
787 |
半導体 |
2,036 |
2,409 |
エレクトロニクス5分野合計 |
5,418 |
5,905 |
外部顧客に対する売上高の地域別分析
|
2016年度 |
2017年度 |
日本 |
20.1% |
18.1% |
米国 |
22.4% |
22.4% |
欧州 |
26.4% |
26.5% |
中国 |
10.1% |
11.4% |
アジア・太平洋地域 |
14.6% |
15.3% |
その他地域 |
6.4% |
6.3% |
エレクトロニクス5分野合計 |
100% |
100% |
地域別の生産状況
以下の表は、エレクトロニクス5分野合計の年間全生産高の自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳、ならびに年間自社生産高の地域別内訳を示したものです。なお、自社生産高の地域別内訳におけるカッコ内の数値は、各地域からそれ以外の地域に輸出された製品の比率を示しています。
自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳*
|
2016年度 |
2017年度 |
自社生産高 |
63% |
63% |
社外への生産委託による生産高 |
37% |
37% |
エレクトロニクス5分野合計 |
100% |
100% |
自社生産高の地域別内訳*
|
2016年度 |
2017年度 |
日本 |
44%(88%) |
43%(89%) |
中国 |
33%(74%) |
20%(62%) |
アジア・太平洋地域 |
22%(56%) |
34%(66%) |
米州及び欧州 |
2%(5%以下) |
3%(20%) |
エレクトロニクス5分野合計 |
100% |
100% |
*小数点以下を四捨五入して記載しております。したがって、各欄の合計が合計額の欄と一致しない場合があります。
金融分野
ソニーの金融分野には、ソニーフィナンシャルホールディングス㈱(以下「SFH」)及びSFHの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)等の業績が含まれています。
以下に記載されているソニー生命の業績は米国会計原則に則ったものであり、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。
主要経営数値
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
金融ビジネス収入 |
1,087,504 |
1,228,377 |
営業利益 |
166,424 |
178,947 |
2017年度の金融ビジネス収入は、主にソニー生命の増収により、前年度比1,409億円増加し、1兆2,284億円となりました。ソニー生命の収入は、保有契約高の拡大にともない保険料収入が増加したことなどにより、前年度比1,280億円増加し、1兆936億円となりました。
営業利益は、主にソニー生命の増益や持分法による投資損失の縮小により、前年度に比べ125億円増加し、1,789億円となりました。ソニー生命の営業利益は、前年度に比べ48億円増加し、1,591億円となりました。この増益は、当年度に一般勘定において投資目的不動産の売却益を計上したことや、変額保険の最低保証にかかる市場リスクのヘッジを目的としたデリバティブ取引の損益が改善したことなどによるものです。一方、前年度は金利が上昇したことに対し、当年度は金利が低下したことなどにともない、繰延保険契約費償却額が増加した影響もありました。
金融分野を分離した経営成績情報
以下の表は金融分野の要約損益計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約損益計算書です。これらの要約損益計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約損益計算書(3月31日に終了した1年間)
(単位:百万円) |
金融分野 |
金融分野を除くソニー連結 |
ソニー連結 |
|||
|
2016年度 |
2017年度 |
2016年度 |
2017年度 |
2016年度 |
2017年度 |
金融ビジネス収入 |
1,087,504 |
1,228,377 |
- |
- |
1,080,284 |
1,221,235 |
純売上高及び営業収入 |
- |
- |
6,527,499 |
7,329,755 |
6,522,966 |
7,322,747 |
売上高及び営業収入合計 |
1,087,504 |
1,228,377 |
6,527,499 |
7,329,755 |
7,603,250 |
8,543,982 |
売上原価 |
- |
- |
4,761,541 |
5,199,748 |
4,753,010 |
5,188,259 |
販売費及び一般管理費 |
- |
- |
1,501,957 |
1,578,716 |
1,505,956 |
1,583,197 |
金融ビジネス費用 |
917,365 |
1,049,305 |
- |
- |
910,144 |
1,042,163 |
その他の営業損(純額) |
114 |
64 |
148,887 |
4,008 |
149,001 |
4,072 |
売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用合計 |
917,479 |
1,049,369 |
6,412,385 |
6,782,472 |
7,318,111 |
7,817,691 |
持分法による投資利益(損失) |
△3,601 |
△61 |
7,164 |
8,630 |
3,563 |
8,569 |
営業利益 |
166,424 |
178,947 |
122,278 |
555,913 |
288,702 |
734,860 |
その他の収益(費用)(純額) |
- |
- |
△22,728 |
△20,738 |
△37,083 |
△35,811 |
税引前利益 |
166,424 |
178,947 |
99,550 |
535,175 |
251,619 |
699,049 |
法人税等 |
47,604 |
51,825 |
76,454 |
99,945 |
124,058 |
151,770 |
当期純利益 |
118,820 |
127,122 |
23,096 |
435,230 |
127,561 |
547,279 |
控除―非支配持分に帰属する当期純利益 |
107 |
201 |
8,502 |
9,311 |
54,272 |
56,485 |
金融分野の当期純利益 |
118,713 |
126,921 |
- |
- |
- |
- |
金融分野を除くソニー連結の当期純利益 |
- |
- |
14,594 |
425,919 |
- |
- |
当社株主に帰属する当期純利益 |
- |
- |
- |
- |
73,289 |
490,794 |
その他分野
2017年度の売上高は、前年度比433億円減少し、4,072億円となりました。この減収は主に、電池事業の売上高が減少したことによるものです。
営業損失は、前年度比61億円縮小し235億円となりました。この大幅な縮小は、主に前年度に電池事業の譲渡にともなう減損423億円の計上があったことやエムスリー㈱の株式の一部売却にともなう売却益372億円が計上されたことによるものです。
構造改革
厳しい経営環境の中、ソニーはエレクトロニクス事業の再生を実現するため、様々な変革に取り組み、事業や製品カテゴリーからの撤退、従業員数の削減プログラムの実施、販売・間接部門の能率化など、構造改革を実施しました。例えば、2017年度において、ソニーは、ソニーグループの電池事業を村田製作所グループに譲渡しましたが、2016年度において、当該電池事業に関連する資産及び負債を売却予定資産に分類し、公正価値により評価した結果、423億円の減損損失をその他の営業損(純額)に計上しました。また、2017年度において、ソニーは、組織最適化と業績改善のため、主に音楽分野において事業運営の合理化とコスト削減を目的とする数々の構造改革活動を実施しました。
競争環境は今後も一層厳しくなるとみており、事業の規模や環境の変化を考慮して、常にコスト水準や収益構造の見直しを行い、ソニーが適切だと考えるコスト削減を継続します。
2016年度及び2017年度における構造改革に関連する費用(「構造改革に関連する資産の減価償却費」を含む)は以下のとおりです。(詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『20 構造改革にかかる費用』参照)
|
2016年度 (百万円) |
2017年度 (百万円) |
構造改革費用 |
60,215 |
22,405 |
為替変動とリスク・ヘッジ
2017年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ110.9円、129.7円と前年度の平均レートに比べ米ドルは2.5円、ユーロは10.9円の円安となりました。
2017年度の連結売上高は、前年度に比べ9,407億円(12%)増加し、8兆5,440億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約9%の増加となります。
連結営業利益は、前年度比4,462億円増加し、7,349億円となりました。主にエレクトロニクス5分野において為替変動の好影響が生じました。
前述の5分野ごとの為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「経営成績の分析」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。
|
|
2016年度 (億円) |
2017年度 (億円) |
為替変動による影響額 (億円) |
G&NS分野 |
売上高 |
16,498 |
19,438 |
+825 |
|
営業利益 |
1,356 |
1,775 |
+198 |
HE&S分野 |
売上高 |
10,390 |
12,227 |
+564 |
|
営業利益 |
585 |
858 |
+228 |
IP&S分野 |
売上高 |
5,796 |
6,559 |
+229 |
|
営業利益 |
473 |
749 |
+116 |
MC分野 |
売上高 |
7,591 |
7,237 |
+161 |
|
営業利益(損失) |
102 |
△276 |
△53 |
半導体分野 |
売上高 |
7,731 |
8,500 |
+208 |
|
営業利益(損失) |
△78 |
1,640 |
+117 |
なお、音楽分野の売上高は前年度比24%増加の8,000億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、約22%の増収でした。映画分野の売上高は前年度比12%増加の1兆111億円となりましたが、米ドルベースでは、前年度比約10%の増収でした。詳細な分析は、「(3)経営成績の分析」の「音楽分野」及び「映画分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFHを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。
2017年度のエレクトロニクス5分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約210億円の減少、営業損益では約35億円の増加と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約95億円、営業損益では約55億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)
ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。HE&S分野では、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼす一方で、ドル建ての製造コストの割合が高いことから米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。IP&S分野では、円貨建てのコストの割合が相対的に高いのに対して、新興国での売上高の割合が高いことから、新興国通貨、特に中国元に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。MC分野では、売上高に占める円貨建ての割合が相対的に高い一方で、米ドル建ての製造や部品調達コストが大きな割合を占めていることから、米ドルに対する円高は、営業利益に好影響を及ぼします。半導体分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。
これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て売上債権や買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。
ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSとソニー㈱がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前から3ヵ月前までの間にヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主にALMの一環としてデリバティブを活用しています。
また、特にエレクトロニクス5分野では、為替変動が業績に与える影響を極力小さくするために、海外において市場により近い地域での資材・部品調達、設計、生産を推進しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、ただちにその他収益・その他費用に計上されます。2017年度末における外国為替契約の想定元本の合計及び資産に計上された公正価値(純額)の合計は、それぞれ2兆4,206億円、152億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15 デリバティブ及びヘッジ活動』参照)
注:この章において、為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。また、MC分野では独自に為替ヘッジ取引を実施しており、営業損益への為替変動による影響額に同取引の影響が含まれています。前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。音楽分野のSME及びSony/ATV、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。これらの情報は米国会計原則に則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解いただくための有益な分析情報と考えています。
所在地別の業績
所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び営業収入を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 セグメント情報』に記載しています。
(4)財政状態の分析
以下の表は金融分野の要約貸借対照表、及び金融分野を除くソニー連結の要約貸借対照表です。これらの要約貸借対照表はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約貸借対照表
(単位:百万円) |
金融分野 |
金融分野を除くソニー連結 |
ソニー連結 |
||||
|
2016年度末 |
2017年度末 |
2016年度末 |
2017年度末 |
2016年度末 |
2017年度末 |
|
資産 |
|
|
|
|
|
|
|
|
流動資産 |
|
|
|
|
|
|
|
現金・預金及び現金同等物 *1 |
268,382 |
393,133 |
691,760 |
1,193,196 |
960,142 |
1,586,329 |
|
有価証券 *2 |
1,051,441 |
1,176,601 |
- |
- |
1,051,441 |
1,176,601 |
|
受取手形及び売掛金 (貸倒・返品引当金控除後) |
10,931 |
15,612 |
947,602 |
1,003,558 |
953,811 |
1,012,779 |
|
棚卸資産 |
- |
- |
640,835 |
692,937 |
640,835 |
692,937 |
|
未収入金 |
56,807 |
60,819 |
167,127 |
130,393 |
223,632 |
190,706 |
|
前払費用及びその他の流動資産 |
112,085 |
137,539 |
414,420 |
379,893 |
525,861 |
516,744 |
|
流動資産合計 |
1,499,646 |
1,783,704 |
2,861,744 |
3,399,977 |
4,355,722 |
5,176,096 |
|
繰延映画製作費 |
- |
- |
336,928 |
327,645 |
336,928 |
327,645 |
|
投資及び貸付金 *3 |
9,904,576 |
10,560,933 |
285,965 |
272,545 |
10,111,793 |
10,756,058 |
|
金融ビジネスへの投資(取得原価) |
- |
- |
133,514 |
133,514 |
- |
- |
|
有形固定資産 |
21,323 |
22,424 |
735,590 |
715,760 |
758,199 |
739,470 |
|
その他の資産 |
|
|
|
|
|
|
|
無形固定資産 |
30,643 |
34,622 |
553,542 |
492,546 |
584,185 |
527,168 |
|
営業権 |
2,375 |
7,225 |
520,163 |
523,267 |
522,538 |
530,492 |
|
繰延保険契約費 |
568,837 |
586,670 |
- |
- |
568,837 |
586,670 |
|
繰延税金 |
1,868 |
1,684 |
97,090 |
95,088 |
98,958 |
96,772 |
|
その他 |
34,607 |
33,267 |
292,529 |
295,650 |
323,396 |
325,167 |
|
その他の資産合計 |
638,330 |
663,468 |
1,463,324 |
1,406,551 |
2,097,914 |
2,066,269 |
合計 |
12,063,875 |
13,030,529 |
5,817,065 |
6,255,992 |
17,660,556 |
19,065,538 |
|
負債及び資本 |
|
|
|
|
|
|
|
|
流動負債 |
|
|
|
|
|
|
|
短期借入金 *4 |
411,643 |
433,119 |
106,437 |
288,496 |
518,079 |
721,615 |
|
支払手形及び買掛金 |
- |
- |
539,900 |
468,550 |
539,900 |
468,550 |
|
未払金・未払費用 |
31,486 |
37,479 |
1,364,042 |
1,477,875 |
1,394,758 |
1,514,433 |
|
未払法人税及びその他の未払税金 |
13,512 |
19,401 |
92,525 |
126,504 |
106,037 |
145,905 |
|
銀行ビジネスにおける顧客預金 |
2,071,091 |
2,159,246 |
- |
- |
2,071,091 |
2,159,246 |
|
その他 |
173,853 |
181,467 |
422,916 |
435,996 |
591,874 |
610,792 |
|
流動負債合計 |
2,701,585 |
2,830,712 |
2,525,820 |
2,797,421 |
5,221,739 |
5,620,541 |
|
長期借入債務 *4 |
75,511 |
205,373 |
609,692 |
421,817 |
681,462 |
623,451 |
|
未払退職・年金費用 |
31,289 |
33,062 |
365,427 |
361,442 |
396,715 |
394,504 |
|
繰延税金 |
317,043 |
342,405 |
115,781 |
107,458 |
432,824 |
449,863 |
|
保険契約債務その他 *5 |
4,834,492 |
5,221,772 |
- |
- |
4,834,492 |
5,221,772 |
|
生命保険ビジネスにおける契約者勘定 |
2,631,073 |
2,820,702 |
- |
- |
2,631,073 |
2,820,702 |
|
その他 |
21,825 |
17,778 |
317,980 |
284,270 |
314,771 |
278,338 |
|
負債合計 |
10,612,818 |
11,471,804 |
3,934,700 |
3,972,408 |
14,513,076 |
15,409,171 |
|
償還可能非支配持分 |
- |
- |
12,058 |
9,210 |
12,058 |
9,210 |
|
金融分野の株主に帰属する資本 |
1,449,605 |
1,557,062 |
- |
- |
- |
- |
|
金融分野を除くソニー連結の株主に帰属する資本 |
- |
- |
1,770,632 |
2,173,128 |
- |
- |
|
当社株主に帰属する資本 |
- |
- |
- |
- |
2,497,246 |
2,967,366 |
|
非支配持分 |
1,452 |
1,663 |
99,675 |
101,246 |
638,176 |
679,791 |
|
資本合計 |
1,451,057 |
1,558,725 |
1,870,307 |
2,274,374 |
3,135,422 |
3,647,157 |
合計 |
12,063,875 |
13,030,529 |
5,817,065 |
6,255,992 |
17,660,556 |
19,065,538 |
*1 2017年度末の金融分野及び金融分野を除くソニー連結における現金・預金及び現金同等物の増加要因は、「第2 事業の状況」『3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』の『(5)キャッシュ・フローの状況の分析』をご参照ください。
*2 2017年度末の金融分野における有価証券の増加は、主にソニー生命が保有する有価証券が増加したことによるものです。
*3 2017年度末の金融分野における投資及び貸付金の増加は、主にソニー生命において投資及び貸付金が増加したことによるものです。
*4 2017年度末の金融分野を除くソニー連結における短期借入金の増加、及び長期借入債務の減少は、主に1年以内に返済期限の到来する長期借入金が、長期借入債務から短期借入金に振替わったことによるものです。金融分野における長期借入債務の増加は、主にソニー銀行において長期借入債務が増加したことによるものです。
*5 2017年度末の金融分野における保険契約債務その他の増加は、主にソニー生命において保険契約債務が増加したことによるものです。
投資有価証券
売却可能証券及び満期保有目的証券に区分されるものの未実現評価損益は次のとおりです。
項目 |
2018年3月31日現在(単位:百万円) |
|||
取得原価 |
未実現 評価益 |
未実現 評価損 |
公正価値 |
|
金融ビジネス: |
|
|
|
|
売却可能証券 |
|
|
|
|
負債証券 |
|
|
|
|
ソニー生命 |
1,299,105 |
190,736 |
△4,202 |
1,485,639 |
ソニー銀行 |
669,317 |
4,223 |
△1,185 |
672,355 |
その他 |
63,181 |
94 |
△28 |
63,247 |
持分証券 |
|
|
|
|
ソニー生命 |
25,459 |
17,196 |
△264 |
42,391 |
ソニー銀行 |
- |
- |
- |
- |
その他 |
413 |
2,611 |
- |
3,024 |
満期保有目的証券 |
|
|
|
|
負債証券 |
|
|
|
|
ソニー生命 |
6,463,675 |
1,643,497 |
△56,528 |
8,050,644 |
ソニー銀行 |
200 |
1 |
- |
201 |
その他 |
79,079 |
17,186 |
△322 |
95,943 |
計 |
8,600,429 |
1,875,544 |
△62,529 |
10,413,444 |
金融ビジネスを除くその他のビジネス: |
|
|
|
|
売却可能証券 |
29,804 |
51,916 |
△512 |
81,208 |
満期保有目的証券 |
- |
- |
- |
- |
計 |
29,804 |
51,916 |
△512 |
81,208 |
|
|
|
|
|
連結合計 |
8,630,233 |
1,927,460 |
△63,041 |
10,494,652 |
2018年3月31日現在、ソニー生命が保有する負債証券及び持分証券の未実現評価損の総額は610億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある有価証券に関するものは94.7%です。ソニー生命は、原則として、国内外の公社債に投資しており、その多くはStandard & Poor's Ratings Services(以下「S&P」)、Moody's Investors Service(以下「ムーディーズ」)等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
2018年3月31日現在、ソニー銀行が保有する負債証券の未実現評価損の総額は12億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある有価証券に関するものは93.2%です。ソニー銀行は、原則として、日本の国債、社債及び外国債券に投資しており、その多くはS&P、ムーディーズ等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。
これらの未実現評価損は多数の有価証券から構成されており、個々の有価証券の未実現評価損に金額的な重要性はありません。さらに、個々の公正価値の下落金額及び下落率とも僅少であり、公正価値の下落は一時的であると判定されていることから、これらの未実現評価損を認識した有価証券の中に、減損の基準に合致したものはありません。
2018年3月31日現在、ソニー生命が保有する償還期日を有する有価証券のうち、未実現評価損(607億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。
1年以内 -
1年超5年以内 -
5年超10年以内 -
10年超 100.0%
2018年3月31日現在、ソニー銀行が保有する償還期日を有する有価証券のうち、未実現評価損(12億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。
1年以内 15.1%
1年超5年以内 65.1%
5年超10年以内 1.9%
10年超 17.9%
2016年度及び2017年度において、ソニー生命が計上した売却可能証券の実現利益(純額)は、それぞれ13億円及び0億円です。
ソニーは通常の事業において、多くの非公開会社の株式を長期の投資有価証券として保有し、これらは投資有価証券その他に含まれています。2018年3月31日におけるこれらの非公開会社に対する投資の簿価合計は524億円です。非上場会社の持分証券は公正価値が容易に算定できない場合、主に取得原価で計上されています。非上場会社に対する投資の価値が下落したと評価され、その下落が一時的でないと判断される場合は直ちに減損を認識し、公正価値まで評価減を行います。
2016年度及び2017年度において実現した減損は、総額でそれぞれ76億円及び52億円計上されました。このうち、2016年度及び2017年度において、それぞれ0.5億円及び2億円が、金融分野の子会社により金融ビジネス収入として計上されています。金融分野の子会社以外の実現した減損額は、主として金融分野以外の戦略投資に関するもので、その他の費用として計上されています。この戦略投資は、主にソニーが新技術の開発及びマーケティングのために戦略的関係を有する日本及び米国所在の企業に関するものです。これらの減損の計上は、過去2年間において、これら新技術の開発及び販売に成功しなかったため、これらの企業の業績が以前の見通しより悪化したことにより、これらの企業の公正価値の下落が一時的でないと判断されたことにもとづくものです。個々の減損につき、金額的に重要性のあるものはありません。
有価証券の減損が生じたと判断された場合には、その公正価値にもとづく価額まで評価減を行います。活発な市場における取引価格が入手可能な有価証券の公正価値は、減損の判断が行われた時点での未調整の取引価格にもとづき測定されます。前述以外の有価証券の公正価値は通常、類似特性を持った有価証券の取引価格にもとづき測定され、もしくは、価格決定モデル、割引キャッシュ・フロー法、又は市場参加者が価格決定に使用するであろう前提に関するマネジメントの重要な判断もしくは見積りを必要とする類似評価手法を用いて算定されます。過去2年間において計上された減損は、個々の有価証券に固有な要因及び状況によるもので、他の有価証券に対して重要な影響を与えるものではありません。
金融分野の投資額は主にソニー生命とソニー銀行により構成されています。2018年3月31日現在、ソニー生命、ソニー銀行の投資額はそれぞれ金融分野全体の投資額の約92%及び約7%を占めています。
借入債務、オペレーティング・リースによる最低賃借料、契約債務及び偶発債務
2018年3月31日現在におけるソニーの既発債務及び契約債務は以下のとおりです。(「注記」は、連結財務諸表注記)
項目 |
期限別支払額(単位:百万円) |
|||||
合計 |
1年未満 |
1年以上 3年未満 |
3年以上 5年未満 |
5年以上 |
||
|
既発債務及び契約債務 |
|
|
|
|
|
|
短期借入債務(注記12) |
496,093 |
496,093 |
- |
- |
- |
|
長期借入債務(注記9、12) |
|
|
|
|
|
|
キャピタル・リース未払金等 |
52,929 |
13,483 |
23,559 |
7,751 |
8,136 |
|
その他長期借入債務 |
796,044 |
212,039 |
190,551 |
213,114 |
180,340 |
|
その他長期借入債務に係る利息 |
5,377 |
3,015 |
1,332 |
601 |
429 |
|
オペレーティング・リース取引による最低賃借料(注記9) |
287,263 |
57,810 |
102,875 |
45,273 |
81,305 |
|
契約債務(注記28) |
|
|
|
|
|
|
映画作品及びテレビ番組の製作又は配給権購入のための予定支払額 |
118,914 |
62,352 |
41,492 |
13,947 |
1,123 |
|
音楽アーティストならびに音楽ソフトやビデオの制作・販売会社との長期契約 |
73,259 |
24,073 |
24,835 |
11,720 |
12,631 |
|
広告宣伝の権利に関する長期スポンサーシップ契約 |
6,379 |
4,931 |
944 |
504 |
- |
|
長期番組供給契約 |
26,227 |
14,875 |
11,352 |
- |
- |
|
その他の契約債務 |
143,212 |
105,482 |
32,381 |
3,055 |
2,294 |
|
生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定(注記11) * |
22,951,646 |
490,578 |
1,084,792 |
1,203,235 |
20,173,041 |
|
総未認識税務ベネフィット(注記22) ** |
95,425 |
902 |
- |
- |
- |
|
合計 |
25,052,768 |
1,485,633 |
1,514,113 |
1,499,200 |
20,459,299 |
* 生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定の期限別支払額は、保険契約者等に対する将来の予測支払額です。これらの支払額は罹患率、死亡率及び契約脱退率等の予測にもとづいて算定されています。上記の支払額合計の22兆9,516億円は、連結貸借対照表の計上額である7兆9,871億円より大きくなっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11 保険関連科目』参照)
** 総未認識税務ベネフィットの合計額は、未認識税務ベネフィットに関する会計基準にもとづく総未認識税務ベネフィットに関する負債を示しています。ソニーは、この負債のうち9億円は、1年以内に解決すると予想しています。それ以外の残高の945億円については、様々な税務当局との合意の時期の不確実性により、その解決時期を合理的に見積もることはできません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照)
以下の項目は、上記の表及び下記の2018年3月31日現在における契約債務の総額には含まれていません。
• 将来における年金支払の合計額については、現時点では確定できないため、含まれていません。なお、ソニーは2018年度において、給付建年金制度に対して日本国内制度で約110億円、海外制度で約60億円を拠出する予定です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『16 年金及び退職金制度』参照)
• 金融子会社が提供する、顧客に対する貸付契約にもとづく貸付の未実行残高は、現時点では顧客による借入金額を予測できないため、上記の表には含まれていません。なお、2018年3月31日現在、これらの貸付未実行残高は約312億円です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 契約債務、偶発債務及びその他』参照)
• 特定の部品組立業者及び生産受託業者からの購入は、ソニーにおける製造のための供給の継続及び最善の価格を達成するために通常の業務過程に組み込まれており、典型的な拘束力を有する購入義務ではないことから含まれていません。購入義務は、ソニーに対して法的拘束力を有する、物品あるいはサービスの購入に関する契約義務として定義されます。これらの義務には購入数量や価格、取引時期に関する条項など、重要な条項が含まれますが、違約金の支払をともなわずに解約できる契約は含まれません。購入には、ソニーが特定の部品組立業者との間で締結している、これらの部品組立業者のために部品を含む物品を調達し、関連する再購入の際に支払から控除する契約が含まれます。これにより、在庫リスクを最小化する、ソニーのフレキシブルなサプライチェーン・マネジメントと、これらの会社との間における相互に利点のある調達関係の実現が可能となります。業界の慣行にしたがい、ソニーが提供する需要予測や生産計画にもとづき、部品組立業者から技術的基準を満たす部品の購入を行っています。
訴訟及び製品保証を含む保証債務については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 契約債務、偶発債務及びその他』をご参照ください。
オフバランス取引
ソニーは流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。
これらの取引は、ソニーが売掛債権に対する支配を放棄したことから、売却として会計処理されます。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『7 金融資産の移転』参照)また、一部の売掛債権売却プログラムには変動持分事業体(以下「VIE」)が関与していますが、ソニーは第一受益者ではないためこれらのVIEを連結対象とはしていません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『24 変動持分事業体』参照)
(5)キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フロー:2017年度において営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比4,457億円増加し、1兆2,550億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、7,717億円の受取超過となり、前年度比3,259億円の受取の増加となりました。この増加は、当期純利益に非資金調整項目(有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費、投資有価証券売却益、ならびにその他の営業損益)を加味した後の金額が前年度に比べて増加したことや、その他の流動負債に含まれる未払費用が増加したことなどによるものです。
金融分野では4,986億円の受取超過となり、前年度比1,224億円の受取の増加となりました。この増加は、主にソニー生命における保険料収入の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー:2017年度において投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比4,318億円減少し、8,222億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、1,631億円の支払超過となり、前年度比1,363億円の支払の減少となりました。この減少は、半導体製造設備等の固定資産の購入による支払いが減少したこと、固定資産や電池事業などのビジネスの売却による収入が前年度に比べて増加したことなどによるものです。
金融分野では6,593億円の支払超過となり、前年度比2,939億円の支払の減少となりました。この減少は、ソニー生命及びソニー銀行における投資及び貸付が前年度に比べて減少したことなどによるものです。
金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの当年度における受取超過の合計*は、前年度比4,622億円増加し、6,086億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー:2017年度において財務活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比2,058億円減少し、2,465億円となりました。
金融分野を除いたソニー連結では、541億円の支払超過となり、前年度比1,193億円の支払の減少となりました。この減少は、長期借入金の返済額が前年度に比べて減少したことや、前年度においてはSony/ATVの非支配持分の取得に対する支払いがあったことなどによるものです。他方で、前年度には、普通社債の発行による資金の受取がありました。
金融分野では2,854億円の受取超過となり、前年度比3,262億円の受取の減少となりました。この減少は、ソニー生命における短期借入金が減少したことなどによるものです。
現金・預金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2018年3月末の現金・預金及び現金同等物期末残高は1兆5,863億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の2018年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2017年3月末に比べ5,014億円増加し、1兆1,932億円となりました。金融分野の2018年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2017年3月末に比べ1,248億円増加し、3,931億円となりました。
* ソニーは、その経営指標として用いる「金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの合計」を開示情報に含めています。この情報は、金融分野を除く事業が流動性の保持、借入金の返済、及び配当金の支払いに必要な資金を確保できるかを評価するために重要な情報と考えています。この情報は金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報をもとに作成しています。これらのキャッシュ・フロー情報はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則で要求されているものではなく、また米国会計原則に則って作成されているものではありません。金融分野の大部分を構成する、日本で上場している金融持株会社のSFHと傘下の子会社は独自に流動性を確保しているため、金融分野のキャッシュ・フローはこの情報に含まれていません。この情報は他の企業の開示情報と比較できない可能性があります。また、この指標は負債返済に必要な元本返済支出の控除は行っておらず、裁量支出に使用可能な残余キャッシュ・フローを表しているものではないという限界があります。したがって、ソニーはこの情報を連結キャッシュ・フロー計算書に対する補足情報として、投資や利用可能な融資枠、及び流動性に関する情報とあわせて開示しており、連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。
連結キャッシュ・フロー計算書と「金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの合計」の差異の照合調整表は以下のとおりです。
科目 |
2016年度 金額(億円) |
2017年度 金額(億円) |
連結キャッシュ・フロー計算書上の営業活動から得た 現金・預金及び現金同等物(純額) |
8,093 |
12,550 |
連結キャッシュ・フロー計算書上の投資活動に使用した 現金・預金及び現金同等物(純額) |
△12,540 |
△8,222 |
小計(1) |
△4,447 |
4,328 |
控除:金融分野における営業活動から得た 現金・預金及び現金同等物(純額)(2) |
3,762 |
4,986 |
控除:金融分野における投資活動に使用した 現金・預金及び現金同等物(純額)(3) |
△9,532 |
△6,593 |
消去 ** (4) |
141 |
151 |
金融分野を除く営業活動及び投資活動から得た 連結キャッシュ・フローの合計 (1)-(2)-(3)+(4) |
1,463 |
6,086 |
** 消去は主にセグメント間の配当金の支払いです。
金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報
以下の表は、金融分野の要約キャッシュ・フロー計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約キャッシュ・フロー計算書です。この要約キャッシュ・フロー計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。
要約キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円) |
金融分野 |
金融分野を除くソニー連結 |
ソニー連結 |
|||
|
2016年度 |
2017年度 |
2016年度 |
2017年度 |
2016年度 |
2017年度 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
|
|
|
|
|
|
1 当期純利益(損失) |
118,820 |
127,122 |
23,096 |
435,230 |
127,561 |
547,279 |
2 営業活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額)への当期純利益(損失)の調整 |
|
|
|
|
|
|
(1) 有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費(繰延保険契約費の償却を含む) |
47,056 |
79,843 |
279,992 |
281,601 |
327,048 |
361,444 |
(2) 繰延映画製作費の償却費 |
- |
- |
297,505 |
359,274 |
297,505 |
359,274 |
(3) その他の営業損(益)(純額) |
114 |
64 |
148,887 |
4,008 |
149,001 |
4,072 |
(4) 投資有価証券売却損益及び評価損(純額) |
47 |
220 |
7,404 |
3,438 |
7,451 |
3,658 |
(5) 売買目的有価証券の評価損益(純額) |
△55,789 |
△47,339 |
- |
- |
△55,789 |
△47,339 |
(6) 資産及び負債の増減 |
|
|
|
|
|
|
受取手形及び売掛金の増加(△)・減少 |
△1,163 |
△3,880 |
△37,148 |
△77,793 |
△37,529 |
△80,004 |
棚卸資産の増加(△)・減少 |
- |
- |
11,199 |
△51,508 |
11,199 |
△51,508 |
繰延映画製作費の増加(△)・減少 |
- |
- |
△331,179 |
△362,496 |
△331,179 |
△362,496 |
支払手形及び買掛金の増加・減少(△) |
- |
- |
△1,386 |
△87,939 |
△1,386 |
△87,939 |
保険契約債務その他の増加・減少(△) |
433,803 |
495,419 |
- |
- |
433,803 |
495,419 |
繰延保険契約費の増加(△)・減少 |
△93,234 |
△86,779 |
- |
- |
△93,234 |
△86,779 |
売買目的有価証券の増加(△)・減少 |
△81,456 |
△89,797 |
- |
- |
△81,456 |
△89,797 |
(7) その他 |
8,031 |
23,714 |
47,400 |
267,836 |
56,267 |
289,688 |
営業活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額) |
376,229 |
498,587 |
445,770 |
771,651 |
809,262 |
1,254,972 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
|
|
|
|
|
|
1 固定資産の購入 |
△12,296 |
△13,386 |
△321,200 |
△249,770 |
△333,509 |
△262,989 |
2 投資及び貸付 |
△1,232,059 |
△963,210 |
△17,106 |
△13,801 |
△1,250,498 |
△977,011 |
3 投資の売却又は償還及び貸付金の回収 |
289,901 |
317,159 |
16,078 |
6,596 |
305,979 |
323,755 |
4 その他 |
1,262 |
162 |
22,793 |
93,887 |
24,055 |
94,048 |
投資活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額) |
△953,192 |
△659,275 |
△299,435 |
△163,088 |
△1,253,973 |
△822,197 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
|
|
|
|
|
|
1 借入債務の増加・減少(△) |
358,010 |
140,055 |
△46,516 |
△24,379 |
311,223 |
115,676 |
2 顧客預り金の増加・減少(△)(純額) |
277,152 |
169,479 |
- |
- |
277,152 |
169,479 |
3 配当金の支払 |
△23,926 |
△23,921 |
△25,301 |
△28,490 |
△25,301 |
△28,490 |
4 その他 |
408 |
△174 |
△101,608 |
△1,214 |
△110,772 |
△10,209 |
財務活動から得た又は使用した(△)現金・預金及び現金同等物(純額) |
611,644 |
285,439 |
△173,425 |
△54,083 |
452,302 |
246,456 |
為替相場変動の現金・預金及び現金同等物に対する影響額 |
- |
- |
△31,061 |
△53,044 |
△31,061 |
△53,044 |
現金・預金及び現金同等物純増加・減少(△)額 |
34,681 |
124,751 |
△58,151 |
501,436 |
△23,470 |
626,187 |
現金・預金及び現金同等物期首残高 |
233,701 |
268,382 |
749,911 |
691,760 |
983,612 |
960,142 |
現金・預金及び現金同等物期末残高 |
268,382 |
393,133 |
691,760 |
1,193,196 |
960,142 |
1,586,329 |
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及びソネット・メディア・ネットワークス㈱を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野については当該項目の最後に別途説明しています。
流動性マネジメントと資金の調達
ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全なバランスシートを維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金・預金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。
流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フローの合計及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて金融・資本市場からの資金調達を行う能力も有しています。また金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及び金融機関とのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。
ソニーは、主として当社及びSGTSを通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。
当社及びSGTSは運転資金需要に対応するため、市場環境によって左右されることはありますが、日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なコマーシャルペーパー(以下「CP」)のプログラム枠を有しています。2017年度末時点で当社とSGTSは、円換算で合計8,187億円分のCPプログラム枠を保有しています。2017年度は年間を通じてCPの発行実績はありません。2018年4月10日、米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)において、2,000百万米ドルのCPプログラム枠を新たに設定しました。この目的は米国における短期の運転資金を機動的に確保することです。
ソニーは通常は上記の普通社債、CPに加え、シンジケートローンを含めた銀行借入などの手段を通じて調達を行っています。市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2017年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で4,594億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる3,000億円の円貨コミットメントライン(2018年4月2日付で、金額を2,750億円に変更し、2020年7月満期に更新。)、日本の銀行団と結んでいる1,500百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン(2018年4月2日付で、金額を1,700百万米ドルに変更し、2023年12月満期に更新。)です。また、外国の銀行団と結んでいる525百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン(2018年3月満期)を、2018年4月2日付で、2020年3月満期に更新しています。これらは全て当社及びSGTSが借入主体となっており、日本の銀行団と結んでいる複数通貨建コミットメントラインについては、2018年4月2日付で、SCCが借入主体に追加されています。これらの目的は、金融・資本市場の混乱期においても機動的・安定的な資金調達を可能とし十分な流動性を確保することです。
グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。また、ほとんどの借入金に使途制限はありませんが、例外として一部に米国連邦準備制度理事会などの規制に従い、米国の証券取引所に上場されている有価証券や米国の店頭市場において取引されている有価証券の取得に関して使途制限があります。
格付け
ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。
ソニーは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うにあたり、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱及びムーディーズ・ジャパン㈱の2社より格付けを取得しています。また、日本国内の資本市場からの調達にあたっては、日本の格付会社である㈱格付投資情報センター及び㈱日本格付研究所からも格付けを取得しています。
またソニーは現時点において、引き続き金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持していると考えています。(将来の格付け低下によるリスクについては、「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)
キャッシュ・マネジメント
ソニーはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、SGTSにより純額ベースで運用又は調達しています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合はSGTSに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合にはSGTSを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーはSGTSの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。
金融分野
SFH、ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行の各マネジメントは、業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しています。ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行は、法令(保険業法及び銀行法など)や金融庁及びその他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、それに準拠した社内規程を制定、運用しながら、十分な現預金等を準備し、支払能力を確保することに努めています。ソニー生命及びソニー損保は、受取保険料を主な資金の源泉とし、有価証券を中心とした投資を行うにあたり、保険金等の円滑な支払等に十分な水準の流動性を確保しています。ソニー銀行は、顧客からの円貨・外貨建て預金を主な資金の源泉とし、住宅ローンを中心とする貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。外貨建て顧客預金で得られた資金は、主に同じ通貨建の金融商品に投資されています。
なお、金融分野の子会社は、保険業務、銀行業務の公共性から、その信用を維持し、契約者や預金者の保護を確保することが保険業法、銀行法で定められております。したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されており、金融分野の子会社は、上記のSGTSを介したグローバルなキャッシュ・マネジメントからも隔離されています。
PS3®及びPS4®ハードウエアを含むソニーのDVDビデオプレーヤー機能付製品は、米国のDolby Laboratories Licensing Corporationとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、DVD規格上特定されている技術に関する特許に大きく依存しています。PS3®及びPS4®ハードウエアを含むソニーのブルーレイディスク™プレーヤー機能付製品は、DVD規格上特定されている技術に関する上記の特許に加え、米国のMPEG LA LLC及びOne-Blue, LLCとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、ブルーレイディスク規格上特定されている技術に関する特許にも大きく依存しています。また、ソニーのスマートフォン製品は、MPEG LA LLC及びVia Licensing Corporationとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、特定のコーデック規格上の技術に関する特許、ならびに米国のQualcomm Incorporated及び日本の株式会社NTTドコモとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、通信規格団体により特定されているCDMA関連技術に関する特許に大きく依存しています。
ソニーは、「感動」と「人に近づく」をキーワードとして、創業精神である「創造と挑戦の理念」に基づいて研究開発を推進していきます。HE&S、IP&S、MCの三つのエレクトロニクス事業セグメントで構成されるブランデッドハードウェアの商品力強化に向けた研究開発を継続します。G&NS分野では、ハードウェアとネットワークサービスが一体となったエコシステムの拡充をめざします。また、エンタテインメント、金融などのBtoB領域へも技術の活用を広げていきます。半導体分野ではセンシング技術強化に向けた研究開発にも取り組んでいきます。
ソニーは、個々の事業の競争力強化及び責任と権限の明確化を目的として事業の分社化を進めてきました。これら事業の分社化と並行して、より機動的なグループ体制の構築をめざし、各事業を支える本社機能及びプラットフォーム機能などの再編も実施してきました。ソニー本社では、技術革新によりソニーの差異化と創造を先導するための研究開発活動(コーポレートR&D)を推進していきます。
2017年度の研究開発費は、前年度に比べ110億円(2.5%)増加の4,585億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は前年度の6.9%から6.3%になりました。
研究開発費の主な内訳は次のとおりです。
項目 |
2016年度 (億円) |
2017年度 (億円) |
増減率 (%) |
G&NS |
956 |
1,062 |
+11.2 |
HE&S |
473 |
580 |
+22.8 |
IP&S |
586 |
586 |
△0.1 |
MC |
549 |
554 |
+1.1 |
半導体 |
1,176 |
1,072 |
△8.8 |
コーポレートR&D |
444 |
449 |
+1.2 |
なお、2017年度の主な研究開発活動及び成果には、以下のものがあげられます。
(1)G&NS
・プレイステーション™ネットワーク(PSN)
2018年3月末時点でPSNの月間アクティブユーザー数は8,000万以上を超え、着実にサービスの基盤を拡大しています。充実したソフトウェアラインアップ及び革新的なネットワークサービスにより、プレイステーション®4プラットフォームの普及・拡大を推進し、ユーザーエンゲージメントを高めていくことに取り組んでいきます。
・PlayStation®VR『CUH-ZVR2』
プレイステーション®4の魅力を高め、ゲーム体験をより豊かにするバーチャルリアリティシステムPlayStation®VRの最新モデルを開発しました。プロセッサーユニットがHDR映像のパススルーに対応したことで、より圧倒的な臨場感と没入感を実現しています。
(2)HE&S
・高画質プロセッサー「X1™ Ultimate」
2018年1月に開催された「CES 2018」において、次世代の高画質プロセッサー「X1 Ultimate」を搭載した8Kディスプレイを参考展示しました。同プロセッサーは、4K高画質プロセッサー「X1 Extreme」に対し約2倍のリアルタイム画像処理能力を実現し、ブラビア™として最高レベルの画質の実現をめざします。
・ウェアラブルネックスピーカー『SRS-WS1』
肩にのせることで手軽に映画やライブ映像、ゲームを臨場感あふれるサウンドで楽しめる、ウェアラブルネックスピーカーを開発しました。スピーカー開口部から放射状に効果的に音が広がるソニー独自のボディー構造とデジタル音声処理により、今までにない音に包まれるような新しい視聴体験を実現します。
(3)IP&S
・フルサイズミラーレス一眼カメラ『α7RⅢ』『α7Ⅲ』及び『α9』
新たに開発した有効約4240万画素の裏面照射型フルサイズイメージセンサーを搭載し、低感度時約15ストップの広いダイナミックレンジを備えた『α7RⅢ』、高感度ISO204800、693点の像面位相差検出AFを実現した『α7Ⅲ』を開発しました。また、裏面照射型フルサイズイメージセンサーを積層構造とし、メモリーと高速信号処理回路を内蔵した革新的なイメージセンサーを搭載した『α9』を開発しました。
・フルフレームセンサー搭載CineAlta™カメラ VENICE™
デジタルシネマ用に新規開発した36×24mmフルフレームセンサーを搭載し、映像コンテンツ制作における表現の広がりや効率的な操作性を一層追求したCineAltaカメラ最上位機種を開発しました。ソニーは1980年代にHDの開発を開始して以来、高画質技術の開発を継続し、映像制作業界をリードしてきました。映像制作においては、デジタルの新たな映像表現の可能性を切り拓き、2000年よりデジタルシネマカメラCineAltaを展開しています。
・8K 3板式カメラシステム『UHC-8300』
新たに開発した1.25型のイメージセンサーを3板式とし、新開発のプリズムと組み合わせることで、高精細な8K解像度(7680×4320)による最大120pの高速撮影や、広色域(ITU-R BT.2020対応)でのHDR制作に対応したカメラシステムです。これにより、被写界深度を深く、動体も鮮明に8K映像が撮影できる機会を提供します。
(4)MC
携帯通信関連・国際展示会「Mobile World Congress 2018」において、最高ISO感度51200(静止画撮影時)/ 12800(動画撮影時)の超高感度撮影をスマートフォンで実現する最新カメラ技術を紹介しました。新たに独自開発した二眼カメラと画像融合処理プロセッサーにより、高感度と低ノイズの両立を実現します。
(5)半導体
・車載カメラ向け積層型CMOSイメージセンサー
先進運転支援システム(ADAS)用途の前方センシングカメラ向けに、1/1.7型で業界最高解像度となる有効742万画素RCCCフィルタ採用の積層型CMOSイメージセンサーを開発しました。本イメージセンサーは遠方撮影で約160m先にある交通標識の高精細な撮像を実現し、月明かりに相当する暗さでも歩行者や障害物を撮像することが可能です。
・低消費電力広域(LPWA)ネットワーク技術
遠距離や高速移動中でも安定的な無線通信を実現できる新たな低消費電力広域(LPWA: Low Power Wide Area)ネットワーク技術を開発しました。本技術には、光ディスクに使われている誤り訂正などのデジタル信号処理技術のほか、テレビチューナーなどに搭載の高周波アナログ回路技術及び低消費電力のLSI回路技術など、ソニーが長年培ってきたノウハウを応用しています。
(6)コーポレートR&D
・エンタテインメントロボット aibo™
家庭における新たな楽しみを提案する進化した自律型エンタテインメントロボットを開発しました。超小型1軸・2軸アクチュエーターを自社開発し、コンパクトなボディーに計22軸の自由度を持たせることで、滑らかで柔らかな身体の駆動を可能にしました。また、状況に応じたふるまいの表出を可能にするために多彩なセンサーを搭載し、画像、音声の認識・解析にはソニーが培ったディープラーニング技術を活用しました。本体とクラウドが連携して実現するソニー独自のAI技術によってオーナーとのやり取りを学び、aiboを個性的に成長させます。
・ディープラーニング統合型開発環境「Neural Network Console」
ディープラーニング(深層学習)のプログラムを生成できる統合開発環境のクラウドサービスを開発し、オープンベータ版として無償提供を開始しました。プログラムエンジニアやデザイナーは、ウェブブラウザーでアクセスするだけで本格的なGUIを持つコンソールソフトウェアを利用でき、ディープラーニングのプログラムを開発して各種製品やサービスに搭載できる環境を提供しました。