第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

業績の概要については「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

2【生産、受注及び販売の状況】

ソニーの生産・販売品目は極めて多種多様であり、エレクトロニクス機器、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト等は、その性質上、原則として見込生産を行っています。なお、ソニーはエレクトロニクス5分野(エレクトロニクスはIP&S分野、ゲーム分野、MP&C分野、HE&S分野、及びデバイス分野の合計)においては、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っていることから、生産状況は販売状況に類似しています。このため生産及び販売の状況については「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」におけるエレクトロニクス5分野の業績に関連付けて示しています。

3【対処すべき課題】

 ソニーの経営陣が認識している経営課題とそれに対処するための取り組みは以下のとおりです。

 

 世界経済は、日本では金融緩和や消費税増税前の駆込み需要による緩やかな景気拡大がみられ、ユーロ圏においては緩やかな景気回復がみられ、また米国では金融緩和政策の規模縮小や公的債務残高の更新にともなう政治的緊張にもかかわらず堅調に推移しましたが、新興国の経済成長に鈍化がみられることや、日本での消費税増税にともなう景気減速等の不安要因があり、全体として景気の先行きは不透明な状況です。

 

 ソニーをとりまく経済環境は、主にエレクトロニクス事業における、競合他社からの価格低下の圧力、一部の主要製品における市場の縮小及び商品サイクルの短期化といった要因によって不透明性が増しています。このような厳しい環境において、ソニーのエレクトロニクス5分野合計の営業損益は2011年度から3年連続で損失を計上しました。

 

 これらの状況の下、ソニーは2014年5月22日に『高収益企業へと変容し持続的な成長を遂げるために、2014年度中にエレクトロニクス事業の構造改革をやりきる、構造改革は2015年度以降に先送りしない』という方針を発表し、2014年度のゲーム&ネットワークサービス、モバイル、イメージング関連のエレクトロニクスのコア三事業及びエンタテインメント、金融事業における重点施策、ならびに2015年度以降の成長に向けた技術戦略の方向性と新規事業創出に取り組んでいきます。

 

(1)エレクトロニクスの事業構造の改革の完遂

 2014年2月6日に発表した内容に従い、PC事業の収束、テレビ事業の分社化、販売会社及び本社の構造改革を着実に進めており、これらの構造改革を2014年度中に完遂します。

 PC事業については、現在各国で販売中の春モデルをもってソニーとしての事業は収束します。また、ソニーがVAIOブランドを付して日本で営んでいるPC事業及びその関連資産の一部について、日本産業パートナーズ株式会社傘下の法人が設立する新会社である「VAIO株式会社」(「VJ株式会社」から商号変更予定)に7月1日を目途に譲渡するための正式契約を締結しました。今後、ソニーとしては、販売済製品のお客様サポートと「VAIO株式会社」の円滑な立ち上げのサポートをしていきます。

 テレビ事業については、2014年7月1日を目途に新会社「ソニービジュアルプロダクツ株式会社」を発足させ、その上で、テレビ事業を支える販売会社と本社間接部門の固定費削減を着実に実施し、外部環境の変化による影響を最小化する事業構造を構築します。また、上記の施策の遂行のほか、4Kを含む高付加価値戦略を一層推し進め、需要等の環境変化に迅速かつ柔軟に対応できるオペレーションを確立し、2014年度にテレビ事業の黒字化を見込みます。

 また、エレクトロニクスの販売会社全体として2015年度までに、2013年度比で約20%の費用削減、また本社間接部門で約30%の費用削減を目指します。

 

(2)2014年度の注力事業における重点施策

ゲーム&ネットワークサービス

 ゲーム&ネットワークサービス事業においては、今後のさらなる収益拡大に向けて、“プレイステーション 4”(以下「PS4TM」)のインストールベースを拡大し、ネットワークサービスを強化します。

 PS4TMは本年度もホームコンソール市場においてNo.1ポジションの堅持を目指します。米国ではストリーミングによるゲーム配信の“PlayStation TM Now”のオープンベータサービスを今夏より開始し、クラウドベースの新しいテレビサービスも年内に導入します。今後も、ゲーム、音楽、ビデオサービス全てを含むネットワーク関連売上のさらなる成長を目指します。

 

モバイル

 モバイル事業においては、引き続きXperiaTMのフラッグシップモデルをタイムリーに市場に投入するとともに、地域ニーズに応じて普及価格帯のラインアップも充実していきます。また、日本、欧州に加え、米国市場においても通信事業者との戦略的な関係構築とお客様のニーズに合致した商品導入を行い、ビジネスを強化していきます。同時に事業環境の急激な変化や需要の落ち込みなどのリスクを含めたビジネス状況のモニタリングを徹底し、安定した事業運営を行います。

 

イメージング関連

 イメージセンサー事業においては、ソニーが最先端の技術力と強い競争力を有しているイメージセンサーと、社内に豊富に蓄積されたカメラ技術を集約し、セットとデバイス双方で事業の拡大を図っていきます。積層型CMOSイメージセンサーの生産能力を増強し、ソニーのリーディングポジションを確固たるものにするとともに、プロフェッショナル及びコンスーマー向けに付加価値の高いイメージング関連商品を展開することで引き続き収益性を確保していきます。

 

 デバイスについては、イメージセンサーに加えバッテリーに注力します。これらのキーデバイスを原動力に魅力的な製品、新しいサービスを創出していきます。また、メディカル事業は、オリンパス株式会社との医療事業合弁会社、ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社における3D、4K技術を活用した外科用硬性内視鏡の開発が順調に進んでおり、2015年度の市場導入を目指しています。

 

エンタテインメント

 コンテンツ配信のあり方が多様化し、ネットワークによる配信チャネルが増えることは、ソニーが有する豊富なコンテンツ資産がさらに強みを発揮できる状況にあると考えています。このような状況の下、ネットワークサービス事業との連携を強化するなど、エンタテインメント事業のイノベーションに取り組んでいきます。映画分野においては、2015年度末までに合計3億米ドルのコスト削減プランを実行するとともに、注力領域であるテレビ番組制作・メディアネットワーク事業では、良質な番組制作とネットワークの確実な成長を目指します。音楽分野においては、アーティスト発掘や新興国市場の開拓などを通じ、マーケットシェアの拡大に注力していきます。

 

金融

 金融分野は生命・損保・銀行3社の順調な業容拡大を背景に、引き続き高品質なサービスの提供により、これまで達成してきた高い顧客満足度を今後も追求し、安定的な利益成長を目指します。また、2013年度に参入した介護事業についても4本目の柱として育てていきます。

 

(3)2015年度以降の成長に向けた技術開発の方向性と新規事業創出への取り組み

技術開発の方向性

 デバイス技術及び情報処理技術のそれぞれの領域で、ソニーが強みをもっている技術を一層強化し、エレクトロニクスのコア事業の差異化を実現するとともに、ホーム及びモバイルの領域で、「ライフスタイルを変える」「人々の生活をより豊かにする」新規製品・サービスの創造を行っていきます。具体的には、デバイス技術については、イメージセンサー、バッテリー及び低消費電力技術、ならびに情報処理技術については認識、ナチュラルUI(ユーザーインターフェイス)及び信号処理技術に注力し、これらの技術をもとに家庭などの空間で自由に映像や音楽を楽しみ、必要な情報にアクセスできる「ライフスペースUX」と、モバイル領域における「ウェアラブル」の開発を進めています。

 

 

イノベーションの促進と新規事業の創出

 スマートフォンに装着可能なレンズスタイルカメラやミュージックビデオレコーダーなど、新しい顧客体験を提案する商品に加え、既存の事業体系の枠を超えるものとして、「ライフスペースUX」をコンセプトとした4K超短焦点プロジェクターや「スマートテニスセンサー」などにも取り組んでいます。さらに2014年4月より新規事業の創出を推進、サポートする専門組織を立ち上げ、社内外の知見を集めてアイデアを創り上げていく仕掛けづくりも進めており、イノベーションの促進と新規事業の創出に取り組んでいきます。

 

グローバル環境計画「Road to Zero」

ソニーは、2010年4月に環境計画「Road to Zero」を発表しました。ソニーは、持続可能な社会の実現をめざし、2050年までに自らの事業活動及び製品のライフサイクルを通して、「環境負荷ゼロ」を達成することを長期的ビジョンとして掲げています。ソニーは、継続的なイノベーションとオフセット・メカニズムの活用を通じて、この長期ビジョン達成をめざします。環境計画「Road to Zero」においては、以下の4つの目標を柱とした総合的なロードマップを設定しています。

・ 気候変動について、エネルギーの使用を削減し、温室効果ガスの排出ゼロをめざす。

・ 資源について、重点資源の新材利用ゼロをめざし、廃棄物を最小化し、水を適正利用する。また回収リサイクルを継続推進する。

・ 化学物質について、予防的措置を通じた化学物質の環境に対するリスクの最小化と特定の物質の削減・代替推進を行う。

・ 生物多様性について、事業活動と地域社会貢献活動を通じて、生物多様性の維持・回復を推進する。

 

上記目標のうち、気候変動については具体的には下記を含む中期目標を設定しています。

・ ソニーグループ全体の事業所から排出されるCO換算温室効果ガスの絶対量を、2015年度までに2000年度比で30%削減をめざす。

・ 製品の消費電力を2015年度までに2008年度比で一台当たり30%削減をめざす。

グローバル環境計画「Road to Zero」及び環境への取り組みの詳細は、ソニーのCSRレポート(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/)をご参照ください。

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。なお、当該事項は、本書提出日現在において入手しうる情報にもとづいて判断したものです。

 

(1) ソニーはコンスーマーエレクトロニクス事業を中心に一層激化する競争を克服しなければなりません。

 ソニーは、コンスーマー製品に関して、新規参入を含む競合他社から販売される製品と、価格や機能などのいくつかの要因で競い合っています。変化し一層多様化する消費者の嗜好に訴求する製品を作るため、また、消費者の多くがソニーと同種の製品をすでに所有しているという状況に対処するために、ソニーはより優れた技術を開発し、消費者の嗜好を予測し競争力ある価格の魅力的な製品を迅速に開発する必要があります。ソニーは、様々なコンスーマー製品において、一層激化する競合企業との価格競争、小売業者の集約化及び製品サイクルの短期化による価格低下圧力の高まりに直面しています。ソニーの業績は、変化し一層多様化する消費者の嗜好に合った製品を、効率的に開発し、様々な販売チャネルを通じて、競争力のある価格で提供し続けるソニーの能力に依存しています。もし、ソニーのコンスーマー製品に対して頻繁に影響を及ぼす価格下落について効果的に予測し対応できない場合、既存の事業モデルが変化する場合、又はコンスーマー製品の平均販売単価の下落スピードが製造原価削減のスピードを上回った場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) ソニーは、競争力を維持し消費者の需要を喚起するため、新製品、半導体やコンポーネント、及びサービスの頻繁な導入及び切り替えを適正に管理しなければなりません。

 ソニーは、非常に変化が激しく厳しい競争環境におかれているコンスーマーエレクトロニクス製品やネットワークサービス、ならびに携帯電話業界において、成熟市場及び成長市場の両方で製品、イメージセンサーなどの半導体やコンポーネント、サービス、及び技術を導入したり、これらを拡充することにより、消費者の需要を喚起し続けていく必要があります。新製品、半導体やコンポーネント、及びサービスの導入及び切り替えの成功は、開発をタイムリーにかつ成功裡に完了させること、市場における認知度、ソニーが効果的なマーケティング戦略を企画・実行する能力、ソニーが新製品や生産立ち上げにともなうリスクを管理できる能力、新製品のためのアプリケーションソフトウエアが入手できること、予測される製品需要に沿って購入契約や在庫水準を効果的に管理できること、予測される需要を満たす適正な数量及びコストの製品を確保できること、導入初期における新製品、半導体やコンポーネント、及びサービスの品質その他の問題に関するリスクなど、数多くの要素に依拠しています。また、競争力を維持するためには、ソニーが、技術革新に対応し、既存の製品やサービスの機能を統合・強化した製品やサービスに対する消費者需要の変化に応えていくことも重要です。したがって、新たな製品、半導体やコンポーネント、及びサービスの頻繁な導入及び切り替えを適切に管理できない場合、ソニーの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 新しい製品やサービスへの消費者の需要のシフトが、ソニーの既存の製品やサービスの売上に悪影響を与える可能性があります。

 技術革新にともない、新しい次世代製品やサービスに消費者の需要がシフトした結果、ソニーが強みを持つ製品やサービスの市場が縮小することがあります。例えば、近年、イメージセンサーやプロセッサ、メモリなどのコンポーネント技術やモバイル製品向けOS技術の向上や、大容量通信インフラ及びネットワークやクラウドサービスなどの技術の進化・拡大に加えて、ダウンロードアプリケーションやソーシャルメディアが進化した結果、それまで別個の製品として購入されてきた携帯用音楽プレーヤーや家庭用ビデオカメラ、コンパクトデジタルカメラならびに携帯用ゲームハードウエアなどからスマートフォンへの需要がシフトし、同様にPCや携帯用ゲームハードウエアからタブレット端末へ需要がシフトしています。その結果として、ソニーはVAIOブランドを付して運営しているPC事業を譲渡することを決定し、2014年5月に当該譲渡に係る契約を締結しました。ソニーは、スマートフォンやタブレットを含む、次世代製品やサービスの市場で魅力的な製品・サービスを提供するとともに、既存の製品やサービスの付加価値向上を継続して図ることで消費者の需要の変化に対応する必要があります。ソニーがこれらの製品やサービスを提供できない場合、ソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。

(4) ソニーは、より高度に専門化した企業や経営資源において優位性を有する企業との競争にさらされています。

 ソニーは、業種の異なる複数のビジネス分野に従事しており、さらにそれぞれの分野において数多くの製品・サービス部門を有するため、大規模な多国籍企業から、数少ないビジネス領域に特化し高度に専門化した企業にいたるまで、業界の既存企業や新規参入企業など広範囲な他企業と競争しています。加えて、ソニーの外部委託生産パートナーが、現在ソニーの供給業者として生産している製品の市場に自社ブランドで参入し、当該市場で競合相手となる可能性もあります。また、既存の、及び潜在的な競合他社がソニーより高度な財務・技術・労働・マーケティング資源を有する可能性があり、いくつかの事業領域で競合他社と同程度の資金投入や投資もしくは製品の値下げを行うことができない可能性もあります。さらに、ソニーの金融分野における各社は、財務、マーケティングなどの経営資源において優位性を有し確立された地位にある競合他社と有効に競争できない可能性があります。このように、既存及び新規参入の競合他社に対して効率的に対応できない場合、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) ソニーの研究開発投資が想定した成果をもたらさない可能性があります。

 ソニーは、消費者の嗜好の変化や急速な技術革新という特徴をもつ厳しい市場で競争しています。技術革新が進み、技術的な模倣が比較的に容易になったことにより、新しい製品やサービスが陳腐化するスピードが早まり、熾烈な競争と継続的な価格下落につながる傾向が強まっています。このような環境の下、ソニーは、製品の競争力を強化するため、高水準の研究開発投資を継続的に行っています。しかしながら、このような研究開発投資が革新的な技術を生み出さなかったり、想定した成果を十分迅速にもたらさなかったり、又は競合企業が技術開発に先行した結果、市場のニーズに合った競争力のある新製品やサービスをタイムリーに商品化できない場合、ソニーの業績及び評判に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) ソニーの事業構造の変革は多額の費用を必要としますが、その目的が達成できない可能性があります。

 ソニーは、グループ全体の事業戦略上の投資計画の見直し、製造事業所の統廃合、人材の再配置及び人員の削減などに焦点を当てた経営体質強化施策を継続して実施しています。2013年度は、総額806億円の構造改革費用を計上しました。2014年度には、約800億円の構造改革費用を計上する見込みですが、景気後退の影響や不採算事業からの撤退などにより、追加的にもしくは将来において多額の構造改革費用を計上する可能性があります。これらの構造改革費用は、主として、売上原価、販売費及び一般管理費、又はその他の営業損益(純額)に計上され、ソニーの営業損益及び当社株主に帰属する当期純損益に悪影響を及ぼします(連結財務諸表注記『20 構造改革にかかる費用及び資産の減損』参照)。ソニーは、製造オペレーションの合理化、低コスト国への生産移管・集約、外部委託生産の活用に継続的に取り組んでいます。また、ソニーはグループ全体の販売費及び一般管理費の削減、間接部門及び情報処理業務の外部委託化、セールス&マーケティング、生産、物流、調達、品質、研究開発などの機能にわたって、ビジネスプロセスの最適化に向け継続的に取り組んでいます。

 内的又は外的な要因により、前述の構造改革施策による効率性の向上及びコスト削減が予定どおり実現しない可能性があり、また構造改革による効果が現れたとしても市場環境の予想以上の悪化により、収益性の改善が予定している水準に達しない可能性もあります。構造改革の目的達成を妨げ得る内的な要因には、構造改革計画の変更、利用可能な経営資源を効果的に用いて構造改革を実行できないこと、事業部門間の連携ができないこと、新しい業務プロセスや戦略の実行の遅れ、構造改革実施後のビジネスオペレーションを効果的に管理及び監視できないこと、などがあります。一方、外的な要因には、例えば、ソニーが構造改革を計画どおりに実行するのを妨げる、地域ごとの労働規制や労働組合との間の協約、日本における労働慣行による追加的な負担があります。構造改革プログラムを完全に成功裡に実行できない場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。加えて、構造改革費用の支出により、営業キャッシュ・フローが減少する可能性があります。

 

(7) 戦略事業におけるソニーの買収、第三者との合弁ならびに出資が成功しない可能性があります。

 ソニーは、技術獲得や効率的な新規事業開発のため、又は事業の競争力強化のため、買収、第三者との合弁及びその他の戦略的出資を積極的に実施しています。また、ソニーは、当初の目的を既に達成したなどの理由により、合弁事業の持分を売却したり、合弁パートナーの持分を買収したりすることがあります。例えば、ソニーは、2012年2月、Telefonaktiebolaget LM Ericsson(以下「エリクソン」)との携帯電話の製造・販売に関する合弁会社であるSony Ericsson Mobile Communications ABにおいてエリクソンが保有する持分50%を取得し、同社をソニーの完全子会社としました。

 ソニーが事業買収を実施し、それを統合するにあたり、多額の費用が生じる可能性があります。加えて、ソニーは、戦略上の目的や予定していた売上増加及び費用削減を実現できなかったり、買収先事業において核となる人材を確保できない可能性もあります。また、買収した事業に関連する債務を承継することにより、ソニーの業績は悪影響を受ける可能性があります。

 ソニーは、現在、いくつかの合弁会社や戦略的パートナーシップに出資を行っており、また、将来新たな出資を行う可能性があります。ソニーと相手企業が競争状況の変化や、戦略や文化の違い、シナジー実現の失敗その他の理由により共通の財務目的を達成できない場合、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、ソニーと相手企業が共通の財務目的を達成する過程にあったとしても、パートナーシップの期間中、ソニーの業績に短期的又は中期的な悪影響を及ぼす可能性があります。これらの合弁や戦略的出資企業について、ソニーが利害の対立に直面するリスクやキャッシュ・フローへの支配権を含む合弁及びその他の戦略的出資に対する支配権を十分に確保できないリスクがあり、またソニー固有の技術やノウハウが漏洩するリスクも増加します。加えて、ソニーブランドを使用する合弁会社の行為もしくは事業活動により、ソニーの評判が傷つけられる可能性があります。さらに、合弁事業が大幅な業績不振に陥ったり、業績不振が一定期間続いた場合などには、ソニーは追加的な出資や債務保証を求められるほか、合弁解消に至る可能性もあります。

 

(8) ソニーには、生産能力増強のための設備投資もしくは出資を回収できないリスクがあります。

 ソニーは、エレクトロニクス事業において、製造設備に対する投資を継続的に行っています。こうした例として、イメージセンサーの旺盛な需要に対応する目的で行うイメージセンサー製造設備に対する追加投資があげられます。ソニーは、2014年3月にルネサスエレクトロニクス㈱から半導体関連資産を約75億円で取得し、ソニーセミコンダクタ㈱(以下、SCK)山形テクノロジーセンター(以下、山形テック)を設立しました。ソニーは、SCK山形テックにおいて、イメージセンサーの生産能力増強のために約275億円の設備投資を2014年度から2015年度にかけて実施予定です。しかしながら、予期せぬ市場環境の変化にともない需要が減少し、想定した販売規模を達成できない場合、あるいは供給過剰により製品の単価が下落した場合、ソニーがこうした設備投資もしくは出資の一部又は全部について、回収することができない、あるいは回収できるとしても想定より長い期間を要する可能性があります。この場合、当該設備投資もしくは出資を行った資産が減損の対象になり、ソニーの収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) ソニーの売上や収益性は卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販売事業者の業績に影響を受ける可能性があります。

 ソニーは、卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販事業者に依存しており、その多くが競合他社の製品を同時に取り扱っています。例えば、Sony Mobile Communications AB(以下「ソニーモバイル」)は多くの国でスマートフォンの販売について携帯電話キャリアを通じた販売に依存しています。多くの卸売事業者や小売事業者、ならびにその他の再販売事業者の業績及び財政状態は、オンライン小売業者との競争や低迷する経済環境に悪影響を受けてきました。

 ソニーは、卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販売事業者に対して、これらの業者がソニーの製品を市場に導入し、販売を促進するインセンティブを与えるプログラムに資金を投入しています。しかしながら、それらのプログラムによって消費者が競合他社の製品の代わりにソニー製品を買うように促されることで、大きな利益や追加収入を生むことを保証するものではありません。さらに、ソニーはオンライン小売事業者を通じた場合には、有店舗小売業者を通じた場合ほどにはソニー製品を配置したり、販売促進したり、差別化したりすることができません。また、携帯電話キャリアを通じて販売されるソニーのスマートフォンは、キャリアからの補助金を受ける場合がありますが、今後もそのような補助金が継続する保証はなく、また、これらのキャリアとの契約更新、あるいは別のキャリアとの契約を締結するにあたって、従来と同額の補助金で合意できる保証はありません。

 ソニーは多くの製品を自社のオンラインストアや直営店を通じて消費者に直接販売しています。一部の卸売事業者や小売事業者はソニーの直接販売が、彼らのソニー製品の販売代理店や再販売業者としての営業上の利害と対立すると受け取る可能性があります。そのような場合には、再販売事業者がソニー製品を取り扱ったり、販売するためにリソースを投入する意欲を阻害したり、ソニー製品の取り扱いを限定的なものにとどめたり、中止したりする可能性があります。

 これらの卸売事業者や小売事業者ならびにその他の再販売事業者の財政状態が悪化したり、これらの事業者がソニー製品を取り扱うことを中止したり、ソニー製品に対する需要が不透明になるなどの要因により、これらの事業者がソニー製品の発注やマーケティング、販売を減少させるような場合、ソニーの業績及び財政状態に著しい悪影響を与える可能性があります。

 

(10) 外部のビジネスパートナーへの依存度が高まることにより、ソニーの、財務上のリスク、ブランドイメージや評判を傷つけるリスク、及びその他のリスクが高まる可能性があります。

 限られた経営資源の中で迅速な事業展開や業務効率化を図る必要性が高まっていることから、ソニーは部品及びコンポーネント、ソフトウエア、ならびにネットワークサービスに関して、外部の供給業者及びビジネスパートナーへの依存度が高まっています。また、モバイル製品向けのアンドロイドOSなどのソフトウエア技術や、サービスを提供する外部のビジネスパートナーにも依存しています。このような外部依存の結果、ソニーの製品やサービスが、部品及びコンポーネント、ソフトウエア、又はネットワークサービスに関する品質問題の影響を受ける可能性があります。また、ソニーの製品及びサービスに使用される外部の部品及びコンポーネント、ソフトウエア、ならびにネットワークサービスが、著作権又は特許侵害で訴訟を受ける可能性があります。さらに、外部のビジネスパートナーが、ソニーの製品やサービスではなく、競合の製品やサービスを優先し、ソニー製品やサービスに対するサポートを打ち切ったり、契約条件を変更したりする可能性があります。部品及びコンポーネント、ソフトウエア、ならびにネットワークサービスに関する外部の供給業者及びビジネスパートナーへの依存に起因する問題は、ソニーの業績や、ブランドイメージ又は評判に悪影響を及ぼすことがあります。また、ソニーではコンスーマーエレクトロニクス事業において、製品や部品の供給に関し外部委託生産の依存度が高まっています。ソニーがこのような外部委託関係を円滑に運営できない場合、又は自然災害などがソニーのビジネスパートナーに影響を及ぼす場合、ソニーが目標生産量や品質水準に到達できなくなったり、ソニー固有の技術やノウハウが漏洩することにより、ソニーの生産活動に支障を与える可能性があります。加えて、ソニーは、資材調達・物流・販売・データ処理・人事・経理その他のサービスなど広範囲な業務を外部のビジネスパートナーに委託しています。外部のビジネスパートナーが法規制を十分に遵守しなかった場合や、第三者の知的所有権を侵害した場合、もしくは事故もしくは自然災害などにさらされたり、経営破綻によりその事業やサービスが停止した場合には、ソニーの事業に影響を及ぼす可能性もあります。

 

(11) ソニーは市況変動が大きい部品やコンポーネントの調達及び需要変動の大きい製品、部品やコンポーネントの在庫管理を効率的に行う必要があります。

 エレクトロニクス事業において、ソニーはモバイル製品向けチップセット などの半導体や液晶パネルなど、大量の部品やコンポーネントを自社製品に使用しています。これら部品やコンポーネントの供給量や価格の変動は、ソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。例えば、部品やコンポーネントの供給不足や、原材料の価格変動が生じた場合、これらの価格が高騰しソニーの製品原価が上昇する可能性があります。また、ソニーが一社に調達を依存している部品やコンポーネントが供給不足になったり、その出荷が遅延した場合や、カスタムコンポーネントの生産能力に限界があったり、新しい技術を使用する製品やコンポーネントの初期生産能力に制約がある場合には、ソニー製品の生産事業所で稼動調整もしくは停止となる可能性があります。

 ソニーは消費者需要の予測にもとづいて事前に決定した生産量及び在庫計画に沿って部品やコンポーネントを発注していますが、そうした消費者需要の変動は大きく、また予測が難しいものです。不正確な消費者需要予測や不充分な経営管理により在庫不足もしくは過剰在庫が発生し、その結果生産計画に混乱が生じて売上の機会損失や在庫調整につながる可能性もあります。ソニーでは、部品、コンポーネントや製品が陳腐化したり、在庫が使用見込みを上回ったり、もしくは在庫の帳簿金額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。例えば、過去にソニーは、一部のチップセットや半導体、液晶パネルの不足により製品に対する消費者需要を満たせなかったことがあり、また、一部の半導体や液晶パネルで過剰在庫を抱えた際にそれらの部品やコンポーネントの価格が低下したために在庫の評価減を計上した経験もあります。さらに、2013年度においては、PC事業収束の発表にともない、将来の生産終了によって余剰となった手元部品在庫の評価減や仕入先の発注済部品に対する補償費用を計上しました。さらに、2011年3月に発生した東日本大震災や2011年後半に始まったタイの洪水のような自然災害により供給業者が影響を受けた場合には、部品及びコンポーネントの供給不足が発生する可能性があります。過去にこのような売上機会の損失及び在庫調整、ならびに部品及びコンポーネントの供給不足がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼしたことがあり、将来においても悪影響を与える可能性があります。

 

(12) ソニーの売上及び収益性は、ソニーの主要市場の経済や雇用などの動向に敏感です。

 ソニーの売上及び収益性は、ソニーが事業を営む主要市場の経済、雇用、その他の動向に敏感です。これらの市場が深刻な景気後退に陥り、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。2013年度のソニーの売上高及び営業収入(以下「売上高」)において、日本、欧州、米国における構成比はそれぞれ28.3%、22.6%、16.8%でした。加えて、ブラジル、ロシア、インド、中国その他の新興国市場における成長目標を実現することがソニーの業績にとってますます重要になっています。

 ソニーの業績は、消費者及び法人顧客の需要や、小売業者・卸売業者及び販売代理店の業績に依存しています。ソニーの主要市場における経済状況の悪化や今後悪化するという見通しにより、最終消費者の購買、消費意欲が低下した結果、消費が低迷する可能性があります。また、キャッシュ・フローの不足、資金調達の困難、消費者の需要減などから経営が悪化した法人顧客やそのほかのビジネスパートナーからのソニーの製品やサービスに対する需要が減少する可能性があります。経営が悪化した法人顧客によるソニーに対する義務の不履行も、ソニーの業績やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性もあります。ソニーの外部供給業者も同様の困難を被り、ソニーに対する契約義務の履行能力に影響を受ける可能性があります。その結果、ソニーが競争的な価格で製品やサービスを調達できなくなる場合には、ソニーの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 また、世界的な景気動向は、その他の様々な影響を与える可能性があります。例えば、構造改革費用の積み増し、年金及びその他の退職給付債務にかかる費用の増加及び追加的な資金拠出、資産の減損の追加的な計上などを通じて、ソニーの業績、財政状態及びキャッシュ・フローに悪影響を及ぼしたことがあり、将来も及ぼす可能性があります。

 

(13) ソニーの業績及び財政状態は外国為替変動の影響を受ける可能性があります。

 ソニーの製品の多くは開発、製造された国・地域と異なる国・地域で販売されるため、ソニーの業績と財政状態は外国為替相場の変動に影響を受けます。例えば、エレクトロニクス事業においては、研究開発費や本社間接費は主に円で、原材料、部品及びコンポーネントの調達や外部委託生産を含む製造費用は主に米ドル及び円で発生しています。売上は日本・米国・欧州・中国・新興国市場を含むその他地域に分散して発生し、それぞれの地域の通貨で計上されています。結果として、(現在の状況においては)特に米ドルに対する大幅な円安や、ユーロに対する大幅な円高はソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ソニーの連結損益計算書は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成されていることから、外国為替相場の変動が、かかる換算にともないソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。さらに、近年では中国や新興国市場を含むその他地域におけるビジネス拡大とともに、これら地域の通貨の円に対する為替レートの変動の影響も大きくなっています。中長期的な為替レート水準の変化は、ソニーの経営資源のグローバルな配分を妨げたり、研究開発、資材調達、生産、物流、販売活動を、為替レート変化の影響後でも収益をあげられるように遂行する能力を低下させる可能性があります。

また、ソニーは、輸出入取引により生じる短期の外貨建債権債務(純額)の大部分を取引予定の事前にヘッジしていますが、かかるヘッジ活動によっても、為替レートの変動リスクを完全に取り除くことはできません。

さらに、ソニーの連結貸借対照表は世界中の各子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成されるため、米ドルやユーロならびにその他の外国通貨に対して円高が進行すると、ソニーの自己資本に悪影響を与える可能性があります。

 

(14) 格付けのさらなる低下や国際金融市場における深刻かつ不安定な混乱状況は、ソニーの資金調達や資金調達コストに悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーの業績及び財政状態の悪化は、ソニーの信用格付け評価にマイナスの影響を及ぼしてきました。ソニーの信用格付けのさらなる低下は、資金調達コストの上昇を招き、ソニーのコマーシャルペーパー(以下「CP」)及び中長期債市場からの受諾可能な条件での調達に悪影響を与える可能性があります。

 また、国際金融市場が深刻かつ不安定な混乱状況に陥った場合、金融その他の資産価格全般に下落圧力が生じたり、資金調達に影響が生じる可能性があります。従来、ソニーは、営業キャッシュ・フロー、CP及び中長期債などのその他の債券の発行、銀行やその他の融資機関からの借入金などにより資金を調達してきました。しかしながら、将来にわたってこのような資金源から受諾可能な条件でソニーの必要を満たすのに十分な資金調達が可能となる状況が継続するという保証はありません。

 その結果、ソニーは弁済期限到来時のCPや中長期債の返済、その他事業遂行上必要ある場合や必要な流動性を賄うために、金融機関と契約しているコミットメントラインや資産の売却など代替的な資金源を活用する可能性がありますが、そのような資金源から受諾可能な条件でソニーの必要を満たすのに十分な資金調達ができない可能性があります。その結果、ソニーの業績、財政状態及び流動性に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) ソニーは、様々な国で事業を行うことのリスクにさらされています。

 ソニーは、世界各地において事業活動を行っており、このような国際的な事業遂行には課題が生じることもあります。例えば、エレクトロニクス事業において、中国やその他のアジアの国々において製品、部品及びコンポーネントを生産、調達しているため、これらの地域外の市場に製品を供給するのに必要な時間が長くなり、変化する消費者需要に対応することがより難しくなる可能性があります。さらにソニーは、複数の国において、ソニーにとって望ましくない政治的・経済的な要因により、事業を企画・管理する上で困難に直面する可能性があります。この例としては、武力紛争、外交関係の悪化、当該国・地域内での文化的・宗教的な摩擦、期待される行動規範からの逸脱、現地の各種法規制や貿易政策及び税法の不遵守、ならびに十分なインフラの欠如などがあります。加えて、特に、主要な市場及び地域における現地部品調達規制・事業及び投資許認可要件・為替管理・輸出入管理・資産国有化・海外投資収益の本国送金制限などの現地の法規制や貿易政策及び税法の変更は、ソニーの業績に影響を与える可能性があります。例えば、ソニーやパートナーが生産活動を行う中国やその他の国々において、労働争議の発生及び労働法制や政策の変更など労働環境が著しく変化した場合、ソニーの製品及び部品の生産や出荷が妨げられたり、人件費の高騰や優秀な従業員の不足が発生することなどにより、ソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。不安定な国際又は国内政治・軍事情勢が今後生じた場合、ソニーやそのビジネスパートナーの事業活動が阻害されたり、消費者の購買意欲を低下させたりすることにより、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、一部の国において、前述の要因や、自然災害及び疫病などその他の要因による混乱から回復するのに要する時間が長くなる可能性があります。さらに、ソニーの事業活動にとって新興国市場はより一層重要になってきているため、ソニーが前述のリスクの影響を受けやすくなった結果、業績及び財政状態に悪影響を被る可能性があります。

 

(16) ソニーの成功は、技術やマネジメントなどの分野における有能な人材の採用・確保に依存しています。

 ソニーが、ますます競争が激しくなる市場において、ネットワーク関連製品、ゲーム機やソフトウエア、映像や音楽などのコンテンツ、又は金融商品を含む製品やサービスの開発、設計、製造、マーケティング及び販売において継続的に成功を収めるためには、経営陣やその他のマネジメント、ハードウエアやソフトウエアエンジニアなどクリエイティブで有能な人材を惹きつけ確保することが必要となります。しかしながら、このような有能な人材に対する需要は強く、ソニーが将来の事業に必要な人材を採用・確保できない可能性があります。加えて、事業分離や構造改革ならびにその他の事業構造変革の施策により、経験豊かな人材やノウハウが意図せず喪失してしまう可能性があります。そのような事態が生じた場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(17) ソニーはハードウエア、ソフトウエア、エンタテインメント・コンテンツ、ならびにネットワークサービスの競争力を向上させるための、異なる事業ユニット間の事業戦略及びオペレーションの統合に成功しない可能性があります。

 ソニーは、市場における差異化を図り、それにより、売上の拡大及び収益性の向上を図るために、ハードウエア、ソフトウエア、エンタテインメント・コンテンツ、ならびにネットワークサービスの統合を促進させることが不可欠であると考えています。しかしながら、この戦略は、ネットワークサービス技術の継続的な発展(ソニー内外を問わず)、ソニーの様々な事業ユニットや販売チャネルにおける戦略及びオペレーション上の連携と適切な優先順位付け、業界内や、ネットワークに接続可能なソニーの製品や事業ユニット間における技術やインターフェース規格の標準化に依存しています。さらに、新規参入企業も多く、継続的に変化する厳しい競争環境において、消費者にとって革新的で魅力あるユーザーインターフェースをもち、ネットワークプラットフォームにシームレスに接続可能なハードウエアを、より高い性能かつ競争力のある価格で提供し続ける必要があります。また、ソニーは競争力があり差異化された、ソニー自身の、又は主要な映画製作及びテレビ制作会社、音楽レーベル会社、ゲーム制作会社や出版社などの第三者からライセンスを受けた、音楽・映像・ゲームコンテンツを提供することが不可欠であると考えています。ソニーがこの戦略の実行に成功しない場合、ソニーの評判、競争力及び収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) ソニーのオンライン上の事業活動は、法規制の対象となっており、これによりオペレーションにかかるコストが増加したり活動が制限されたりする可能性があります。

 ソニーは、エレクトロニクス及びエンタテインメント製品の販売・マーケティング、エンタテインメント領域に関するネットワークサービス、金融サービス、インターネットプロバイダサービスなど、オンライン上の事業活動を広範囲にわたって行っており、関連する法規制による制約を受けています。この法規制には、プライバシー、消費者保護、重要インフラ保護、侵害の告知、データの保存及び保護、データの越境・移転、コンテンツ及び放送関連規制、名誉毀損、年齢確認その他のオンライン上の児童保護、アクセスのしやすさ、cookieなどのソフトウエアの最終ユーザーのPC又は他の情報端末へのインストール、価格設定、広告(成人及び児童向け)、租税、著作権や商標権、販促、及び課金などに関わるものが含まれています。これらの法規制(オンライン上の事業活動に対処するために制定された法規制やインターネット普及以前に制定されたものを含むその他のオンライン上の事業活動にも適用される法規制)の運用は、各国により異なり、また、多くの場合、法規制そのものが不明確・不確定であったり、今後変更されたりする可能性があります。ソニーはこれらの法規制遵守のために多額の費用を計上する可能性があります。また、これらの法規制を遵守できなかった場合、多額の罰金、その他の法的責任、ソニーの評判への悪影響などが生じる可能性があります。さらに、これらの法規制遵守のために行われるオンライン上の事業活動の変更や制限はソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。加えて、関連する法規制の変更を予測できなかったり、オンライン上の事業活動を保護する法令の変更が生じた場合、又はこのような保護範囲を狭めるような解釈を裁判所が行った場合、ソニーの法的責任に対するリスクが増加し、法規制遵守のための費用の増加もしくは一部のオンライン上の事業活動に対する制限につながる可能性があります。

 

(19) ゲームハードウエアを始めとするコンスーマー製品の売上は特に消費者需要の季節性の影響を受けます。

 ソニーのゲーム分野が提供するハードウエア(PSP®「プレイステーション・ポータブル」、「プレイステーション 3」、「プレイステーション・ヴィータ」、ならびに「プレイステーション 4」など)は種類が比較的少ない上に、既存及び新製品の需要に占める年末商戦の比率が高くなります。ソニーのその他のコンスーマー製品も年末商戦需要に依存しています。その結果、特にこの時期において、他社との競争状況や市場環境の変化、有力ゲームソフトタイトルを含むコンスーマー製品の発売遅延、ハードウエアの供給不足などが生じた場合、ソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。

(20) ネットワークサービスを含むゲーム分野の売上及び収益性はプラットフォームの普及の成否に依存しており、この普及はソニー及び外部の事業者により制作されるものを含むソフトウエアラインアップの充実度の影響を受けています。

 ゲーム分野の売上及び収益性には、プラットフォームの普及の成否が重要な影響を及ぼします。この普及は、ソニー及び第三者により制作されたものを含む十分なソフトウエアの品揃えや、ネットワーク・ゲーム、クラウド・ゲームやデジタルコンテンツの配信を含むオンラインサービスが消費者に提供されるか否かに影響されます。外部のゲームソフトウエアの開発事業者や開発・販売事業者がソフトウエアの開発や供給を定期的に実施し続ける保証はなく、全く実施されない可能性もあります。ソフトウエア開発の中断や遅れ、又は新しいオンラインサービスの提供の遅れはソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(21) ソニーの映画、音楽及びゲーム分野などのコンテンツ事業は、増加し続ける違法デジタルコピーや違法ダウンロードの影響を受けています。

 デジタル技術の進歩と低価格化、インターネット接続の普及と高速化、ならびにデジタルフォーマットでのコンテンツの普及により、ソニーの映画、音楽及びゲーム分野などのコンテンツの著作権を違法デジタルコピー及び偽造から保護することが難しくなってきました。特に、ソフトウエア及び技術の進歩により、コンテンツ著作権者の許可なくインターネットやその他のサービス経由でデジタルメディアファイルの複製、転送やダウンロードができるようになり、高品質なデジタルメディアファイルの不正な作成、送信や再配信がより簡単にできるようになってきているため、従来の著作権をベースとするビジネスモデルが逆風を受け、脅かされ続けています。こうしたコンテンツの不正入手が可能であることは、正規製品の売上減少や売価の低下圧力につながり、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。ソニーは、知的財産の保護支援、映画、テレビ番組、音楽、ゲームなどの正規のデジタル配信のための新しいサービスの開発や著作権のあるコンテンツの不正なデジタル配信への対抗のために費用を計上しており、今後も引き続き費用を計上します。こうした動向はソニーの短期的な費用の増加にもつながり、また、想定している効果を達成できない可能性もあります。

 

(22) 映画及び音楽分野の業績は、消費者に全世界で受け入れられるかどうか及び競合作品やその他の娯楽の有無により変動します。

 映画及び音楽分野の業績は、作品が消費者に全世界で受け入れられるかどうかという予測が難しい要因に左右され、変動する可能性があります。映画作品やテレビ番組の製作・制作ならびに番組の放送は、それらの作品が消費者にどの程度受け入れられるか分かる前に多額の投資を行わなければなりません。同様に、音楽分野でもアーティスト自身やその作品が消費者にどう受け入れられるか確定する前に多額の投資を行わなければなりません。さらに、映画及び音楽分野における作品の商業的な成功は、同時期もしくは近接した時期に公開された他の競合作品、ならびに、それらに代わり、消費者が享受できる娯楽及びレジャー活動に影響を受ける可能性があります。特に大型期待作品をはじめ、映画作品やテレビ番組の業績が想定を下回った場合、公開もしくは放映した年度の映画分野の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、作品の公開当初の業績と、それに続く映像ソフトやテレビ局など流通市場から得られる収入には高い相関性がみられることから、将来における映画分野の業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。同様に、音楽作品の業績が想定を下回った場合、作品をリリースした年度の音楽分野の業績に対して、悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(23) エンタテインメント・コンテンツの製作・制作、取得ならびにマーケティング費用の高騰は、音楽及び映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。

 音楽分野の成功は消費者に長期にわたって受け入れられるアーティスト、ソングライター及び楽曲版権のカタログの発掘及び育成に大きく依存しており、有能な新規アーティストやソングライターを発掘・育成できない場合、音楽分野の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。音楽業界各社間における販売競争の激化に加え、このようなアーティストを発掘し、契約を締結し維持するための各社間の競争も激化しています。映画分野では、トップ・タレントに対する高い需要が映画作品やテレビ番組の製作・制作費用の高騰につながっています。プレミアムな映画作品やテレビ番組を獲得するための、他のエンタテインメント企業との競争は激しく、映画作品やテレビ番組の取得費用が上昇する可能性があります。映画分野の作品の製作・制作費用及び取得費用の増加は、これらのマーケティング費用の増加とともに、映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(24) 音楽及び映像パッケージメディア売上の継続的な減少や消費者による新たな技術の受容は、音楽及び映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。

 CD、DVDならびにブルーレイディスクなどのパッケージメディアフォーマットの全般的な成熟化や、デジタル配信への移行、小売事業者の展示スペースをめぐる競争の激化などの業界全体の動向により、音楽及び映像パッケージメディア売上が全地域で減少しており、今後も減少する可能性があります。加えて、急速な技術変化や消費者による新たな技術の受容は、消費者がエンタテインメント作品を取得し視聴するタイミングや方法に影響を与えています。キオスクや宅配レンタル、デジタルダウンロードや定額利用によるストリーミング配信、携帯端末やその他のインターネット接続機器への正規デジタル配信など、エンタテインメント・コンテンツの新しい販売形態が現れているものの、これらの新しい販売経路からの収入は、パッケージメディア売上の減少を十分に補完しない可能性があります。このような状況は、音楽及び映画分野、ディスク製造事業の業績に影響を与えてきており、今後も影響を与える可能性があります。さらに、直近の音楽業界において、デジタル収入の最大部分を占めるデジタルダウンロードの売上が年々減少しています。この減少が加速した場合、音楽分野の業績は悪影響を受ける可能性があります。

 

(25) 広告市場の変化、あるいはテレビ放送契約を更新できないこともしくは更新時における条件悪化により、映画分野の業績が悪影響を受ける可能性があります。

 広告市場の景気は特定の広告主や業界の経済的見通し、広告主の支出の優先順位、及び一般的な経済状態によって変動し、映画分野のテレビ事業の収入に悪影響を与える可能性があります。世界的なテレビネットワークを含む、映画分野のテレビ事業の売上のかなりの部分は、多様なプラットフォーム上での広告収入が占めています。そのため、広告市場に対する宣伝広告支出額全体が減少した場合、映画分野のメディアネットワーク収入に直接的な悪影響を与える可能性があります。映画分野の売上には、顧客である米国内外のテレビネットワークから得られる映画作品やテレビ番組を含む映像ソフトの放映権収入が含まれます。広告市場の景気が後退した場合、これら外部のテレビネットワークの広告収入や視聴料収入が低迷し、ソニーの映像ソフトの放映権収入に悪影響を与える可能性があります。

 さらに、世界的なテレビネットワークでの放映は、外部のケーブルテレビ、衛星テレビやその他の放送システムに依存しています。これらの放送ネットワーク業者とのテレビ放送契約を更新できないこともしくは更新時における契約条件の悪化は、映画分野における世界的なテレビネットワークからの広告収入や視聴料収入に悪影響を与える可能性があります。

 

(26) 映画分野の業績はストライキによる影響を受ける可能性があります。

 映画分野及びその供給業者の一部は、脚本家、監督、俳優、その他のアーティストや専門職・技術スタッフなど、労働協約が適用される、映画作品やテレビ番組の企画・製作に欠かせない専門的技能を有する労働組合員に依存しています。新たな合意や契約締結にいたる見通しが不確実であること、又はそれらが成立しないことによってもたらされる労働組合によるストライキが生じた場合、あるいはストライキ、サボタージュやロックアウトの可能性が生じた場合、製作活動の遅延や停止を招く可能性があります。こうした遅延や停止は、その期間の長さによっては、将来予定されている映画やテレビ番組作品の公開の遅延や中断をもたらす可能性があり、映画分野の業績やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。また、労働協約が合意に至らない場合や好ましくない条件で更新された場合、映画分野における費用が増加し、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(27) 金融分野は、法規制が厳格な業界で事業を遂行しており、新しい法令や監督官庁の施策などが、事業遂行の自由度を妨げ、ソニーの金融分野の業績に悪影響を与える可能性があります。

 ソニーの金融分野は、日本における保険や銀行といった法規制や監督の厳格な業界で事業を行っています。法規制・政策などの将来における改正・変更や、それが与える影響は予測が不可能であり、また、こうしたことが法規制遵守に対応するための費用の増加や事業活動に対する制約にもつながる可能性があります。ソニーという共通のブランドを用いて各会社が事業を行っているため、ソニーの金融分野のいずれかの事業において法規制違反などが発生した場合には、ソニーの金融分野における事業全体の評判に悪影響を及ぼす可能性があります。また、法規制遵守のための追加費用が生じ、ソニーの金融分野の業績に悪影響を与える可能性もあります。なお、ソニー株式会社は、連結子会社であるソニーフィナンシャルホールディングス㈱(以下「SFH」)から財務支援又は融資ローンの形態による資金を受け取ることに関し、日本の監督官庁の指針による制約を受けています。これらの指針が将来変更された場合、ソニー株式会社がSFHから資金を受け取り使用することに関しさらに制約を受ける可能性があります。

 

(28) ソニーの業績及び財政状態は、株価の下落により、特に金融分野において悪影響を受ける可能性があります。

 金融分野において、ソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)は株式に加え、時価が株価指数変動の影響を受ける債券型の複合金融商品を保有しています。株価の下落により、ソニー生命の保有する株式の減損及び売却した場合には売却損が計上される可能性があります。また、株式の売却益の減少や売却損の増加、ならびに当該複合金融商品の未実現利益の減少や未実現損失の増加により、ソニーの金融分野の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。さらに、米国会計基準では、変額保険の最低死亡保証にかかる責任準備金の評価に用いる保険数理上の前提と、繰延保険契約費の償却費見直しも求められています。このため、ソニー生命の特別勘定資産運用利回りの悪化時には、責任準備金の追加計上や繰延保険契約費の前倒し償却が必要となる可能性もあります。その場合、ソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。

 金融分野以外において、ソニーが保有している株式の公正価値の下落は、現金支出をともなわない減損損失の計上につながることもあります。その場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(29) 金融分野の業績及び財政状態は、金利の変動により重大な影響を受ける可能性があります。

 ソニーの金融分野においては、生命保険事業及び損害保険事業における保険引受債務、ならびに銀行事業における預金、借入金その他の債務など、各事業の負債の状況に鑑み、運用資産を適切に管理するため、資産負債管理(以下「ALM」)を行っています。ALMは、長期的な資産負債のバランスを考慮しながら、安定的な収益を確保することを目的としています。ソニーの金融分野がALMを適切に遂行できない場合、あるいはALMにより合理的に対処することができるレベルを超えて市場環境に大きな変化があった場合には、ソニーの金融分野の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特にソニー生命においては、通常、契約者に対して負う債務の期間が、長期日本国債を中心とした運用資産の投資期間よりも長期であるため、低金利の状況においては、残存する保険契約の予定利率(責任準備金計算用)は一般的に変化しない一方で、ソニー生命の投資ポートフォリオからの収益が減少する傾向があります。その結果、ソニー生命の収益性と保険契約債務を履行し続ける長期的な能力に悪影響が生じる可能性があります。

 

(30) 金融分野の投資ポートフォリオは、株価及び金利変動リスク以外の様々なリスクにさらされています。

 ソニーの金融分野では日本の短期国債や地方債、国内社債、外国公社債、国内株式、貸付金、不動産など、様々な投資資産を保有する一方、安定した投資収益を確保するため、日本の長期国債を中心とした資産ポートフォリオを構成しています。金利及び株価変動リスクに加え、ソニーの金融分野の投資ポートフォリオは、為替リスク、信用リスク及び不動産投資リスクなど、様々なリスクにさらされており、そのようなリスクが金融分野の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)では、2014年3月末において住宅ローンが貸出金の89.8%又は総資産の45.9%を占めており、ソニー銀行の住宅ローンに関して不良債権が増加したり、担保設定されている不動産の価値が減少した場合、ソニー銀行の貸出金ポートフォリオの信用力に悪影響を及ぼし、これにより与信関係費用が増加する可能性があります。

 

(31) ソニーの金融分野において、保険金・給付金の支払い実績が見積りと乖離することにより、将来の責任準備金の積み増しを余儀なくされる場合があります。

 ソニーの生命保険事業及び損害保険事業においては、保険業法及び保険業法施行規則に従い、将来の保険金・給付金の支払いに備えた責任準備金を積み立てています。これらの責任準備金は、保険契約の保障対象となる事象の頻度や時期、支払うべき保険金・給付金の額、保険料収入を原資に購入される資産の運用益など、多くの前提と見積りにもとづいて計算されています。これらの前提と見積りは本質的に不確実なものであるため、最終的に支払うべき保険金・給付金の額や支払時期、又は保険金・給付金の支払いより前に、保険契約債務に対応した資産が想定していた水準に達するかどうかを正確に判断することは困難です。保険契約の保障対象となる事象の頻度と時期及び支払う保険金・給付金の額は、以下のようなコントロール困難な多くのリスクと不確実な要素に影響されます。

・ 死亡率、疾病率など、計算の前提と見積りの根拠となる傾向の変化

・ 信頼に堪えるデータの入手可能性、及びそのデータを正確に分析する能力

・ 適切な料率・価格設定手法の選択と活用

・ 法令上の基準、保険金査定方法及び医療費の変化

 保険事業における実績が計算の前提条件や見積りよりも大きく悪化した場合、責任準備金の積立てが不足する可能性があります。また、責任準備金の積立水準に関するガイドラインや基準などに変更があった場合には、より厳しい計算の前提や見積り又は保険数理計算にもとづいて責任準備金の積み増しが必要となる可能性があります。これら責任準備金の引当額の増加は、金融分野における業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 さらに、日本における大地震などの大規模災害や感染症などの疫病の発生により、責任準備金の積み立て前提を超える保険金の支払が生じた場合、もしくは、何らかの要因によって、最低保証付きの変額個人年金保険に係るリスクヘッジの有効性が損なわれた場合など、金融分野の業績及び財政状態は、悪影響を受ける可能性があります。

(32) ソニーの設備や情報システムは、大規模な災害、停電、違法行為などにより、被害を受ける可能性があります。また、これらの予期できない大惨事にともなうサプライチェーンや生産活動の混乱及び法人顧客からの需要減などがソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーの本社、及び半導体生産設備のような最先端デバイス製造拠点の多くは、他国よりも地震のリスクが比較的高い日本の国内にあります。日本において大地震が起きた場合、特にソニーの本社がある東京や、完成品の製造事業所が所在する東海地方及び半導体製造事業所が所在する九州地方で起きた場合には、建物や機械設備、棚卸資産や、製造事業所における生産活動の中断などを含めて、ソニーの事業は東日本大震災時よりも大きな被害を受ける可能性があります。また、ネットワークや情報通信システムインフラ、研究開発、資材調達、製造、映画やテレビ番組の製作・制作、物流、販売、ならびにサービスに使用される、ソニーや、外部サービスプロバイダー及びビジネスパートナーの、世界各地にあるオフィスや設備は、自然災害、伝染病などの疫病、テロ行為、大規模停電、大規模火災などの予期できない大惨事により、破壊されたり、一時的に機能が停止したり、混乱に陥ったりする可能性があります。これらのオフィスや設備のいずれかが前述の大惨事により重大な損害を受けた場合、営業活動の停止、生産・出荷・売上計上の遅れ、オフィスや設備の修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。加えて、ソニーに原材料、部品及びコンポーネントを供給する事業者がかかる大惨事の被害を受けた場合、原材料、部品及びコンポーネントの供給が滞り、それによりソニーの製造拠点は稼働調整や停止を余儀なくされ、出荷が滞り新製品の導入が遅れるなどの影響を受ける可能性があります。また、ソニーは、原材料、部品及びコンポーネントの価格高騰や法人顧客の需要減少の影響を受ける可能性があります。これらにより、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、ソニーの営業活動においてネットワーク及び情報システムの役割がさらに重要になりつつあるなか、ソフトウエア又はハードウエアの欠陥、グループ又は個人によるサイバー攻撃など、前述のもしくはそれ以外の予測できない出来事から生じるネットワーク及び情報システム停止のリスクが高まっています。

 将来において類似した出来事が起こる結果、主要な事業オペレーションの停止、生産・出荷・売上計上の遅れ、設備やネットワーク及び情報システムのセキュリティ強化や修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性もあり、さらにその結果必要となる関連費用及び損失を将来の受取保険金ではカバーしきれない場合や、支払保険料が増加する場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(33) 顧客、ビジネスパートナー及び自社情報の紛失、漏洩、不正流出、又はこれら情報へのアクセスや改変、その他の情報セキュリティ侵害があった場合、ソニーのブランドイメージ及び評判や事業に悪影響を与え、損害賠償責任を負う可能性があります。

 ソニーは、日常業務において外部のサービスプロバイダなどを利用することも含め、情報技術やオンラインサービスを活用し、データ処理の集中化を図っています。したがって、顧客情報を保管・転送するにあたり、万全な安全対策を取ることは、業務上不可欠です。しかしながら、ソニーもしくはサービスプロバイダやビジネスパートナーが保有する、顧客情報の保管・転送のための情報技術やその他のシステム、あるいは情報のセキュリティが、悪意をもった第三者や人為的もしくは自然の事象により侵害を受けたり、ソニーもしくは外部のサービスプロバイダやビジネスパートナーの従業員の故意又は不注意による、行為もしくは不作為の影響を受ける可能性があります。その結果、顧客情報に関して、紛失、漏洩、不正流出、又は顧客の承諾を得ない第三者によるアクセスや改変が発生する可能性があります。例えば、ソニーのネットワークサービス及びオンラインゲーム事業ならびに複数の子会社のウェブサイトが広範な動機や専門性を持つ個人や集団によってサイバー攻撃の対象となり、いくつかの事例においては、顧客情報が不正にアクセスされ、実際に取得され、又はその可能性が生じました。

 加えて、ソニーもしくは外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーは、ソニーのビジネス情報や、ソニーの法人顧客、供給業者その他のビジネスパートナーのデータを処理、保管しています。ソニーもしくは外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーが保有する、これら情報の保管・転送のための情報技術やその他のシステム、あるいは情報のセキュリティが、悪意をもった第三者や人為的もしくは自然の事象により侵害を受けたり、ソニーもしくは外部のサービスプロバイダやビジネスパートナーの従業員の故意又は不注意による、行為もしくは不作為の影響を受ける可能性があります。その結果、ソニーのビジネス情報や法人顧客、供給業者及びその他のビジネスパートナーのデータに関して、紛失、漏洩、不正流出、又は顧客の承諾を得ない第三者によるアクセスや改変が発生する可能性があります。

 さらに、ソニーもしくはそのサービスプロバイダやビジネスパートナーが提供する製品やサービスの機密性、完全性ならびに使用可能性が、同様の侵害や、故意又は不注意による作為もしくは不作為による影響を受ける可能性があります。例えば、ソニーのウェブサイトはDoS(サービス停止)攻撃やその他の攻撃の対象となったことがあります。

 顧客やビジネスパートナーなどの情報の紛失、漏洩、不正流出、もしくはこれらの情報へのアクセスや改変、又は製品やサービスを含めたソニーの情報セキュリティの侵害が生じることにより、規制当局による調査や規制措置を含む法的措置が取られ、ソニーのブランドイメージや評判に重大な影響を及ぼし、ソニーの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。さらに、ソニーのビジネス情報の紛失、漏洩、不正流出、又はこれらの情報へのアクセスや改変、もしくは製品やサービスの機密性、完全性ならびに利用可能性に対する悪影響も、ソニーの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(34) 現在もしくは将来における訴訟及び規制当局による法的手続が不利な結果に終わった場合、ソニーの事業が悪影響を受ける可能性があります。

 ソニーは、様々な国において事業の遂行に関して、訴訟及び規制当局による法的手続に服するリスクにさらされています。訴訟及び規制当局による法的手続は、ソニーに多額かつ不確定な損害賠償や事業活動の制約をもたらすことがあります。その発生の可能性や影響の程度を予測するには相当の期間を要する場合があります。例えば、公正な競争に反する市場慣行に関する政府の監督が、訴訟や規制当局による法的手続につながる可能性があります。多大な法的責任や規制当局による不利な措置が課された場合や、訴訟及び規制当局による法的手続への対応に多大なコストがかかった場合、ソニーの事業活動や業績、財政状態、キャッシュ・フロー及び評判に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(35) ソニーは製品品質や製造物責任による財務上のリスクや評判を損なうリスクにさらされています。

 急速な技術の進化や、モバイル製品及びオンラインサービスに対する需要増にともない、コンスーマー製品、ノンコンスーマー製品、部品及びコンポーネント、半導体、ソフトウエア、ならびにネットワークサービスなどのソニーの製品・サービスは一層高機能かつ複雑になっています。ソニー製品品質を維持しても、技術の急速な進展や、モバイル製品及びオンラインサービスの需要増加に対応できない可能性があり、製造物責任問題に関するリスクが高まる可能性があります。その結果、評判に悪影響を及ぼし、製品回収やアフターサービスなどの費用が発生する可能性があります。また、根拠のあるなしにかかわらず、ソニーの製品に関連する安全性の問題に関する申立て又は訴訟は、直接的に、もしくはソニーのブランドイメージや高品質な製品やサービスを提供する企業という評価への影響の結果として、ソニーの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題は、ソニーが製造したか否かに関係なく、ソニーが直接顧客に販売する製品のみならず、半導体を含むソニー製の部品が搭載された他社製品においても生じる可能性があります。

 

(36) ソニーの業績及び財政状態は退職給付債務により悪影響を受ける可能性があります。

 ソニーは、確定給付年金制度に関する会計基準に従い、確定給付年金制度ごとの予測給付債務から年金制度資産の公正価値を差し引いた金額を未積立年金債務として認識しています。年金数理純損益については、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却することにより年金費用に含めています。運用収益の悪化による年金制度資産価値の減少や、割引率の低下、昇給率の増加やその他の年金数理計算前提となる比率の変動による予測給付債務増加にともない未積立年金債務が増加し、その結果、売上原価又は販売費及び一般管理費として計上される年金費用が増加する可能性があります。

 ソニーの業績及び財政状態は、国内及び海外年金制度の積立状況から悪影響を受ける可能性があります。特にソニーの年金の大部分を占める国内年金は約30%を持分証券に投資しており、不利な株式市場環境及びクレジット市場のボラティリティが、ソニーの年金制度資産及び将来見積年金負債に対して悪影響を与える可能性があります。その結果として、ソニーの業績及び財政状態は、悪影響を受ける可能性があります。

 さらにソニーの業績及び財政状態は、日本の確定給付企業年金法の年金積立要求により悪影響を受ける可能性があります。この確定給付企業年金法により、ソニーは定期的な財政再計算や年次の財政決算を含む年金財政の検証を行うことが求められています。年金制度資産の公正価値に対して法定の責任準備金が超過した場合、また法令もしくは特別な政令などにより猶予された期間内に制度資産の公正価値が回復しない場合には、ソニーは年金制度への追加拠出が必要となり、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。同様に、海外の年金制度資産についても各国の法令にもとづき追加拠出が必要となる場合、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。また、今後、法令が定める掛金の更新にともなって年金制度資産の長期期待収益率などの前提を見直した際、年金への拠出金の水準が引上げられ、ソニーのキャッシュ・フローに対して悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(37) 繰延税金資産に対して評価性引当金を計上している税務管轄におけるさらなる損失の発生、ソニーが繰延税金資産を最大限に利用できないこと、追加的な税金負債あるいは税率の変動が当社株主に帰属する当期純損益及びソニーの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において最終的な税額の決定が不確実な状況が多く生じ、このような状況が長期間に及ぶ場合もあります。ソニーの税金引当や税金資産、税金負債の帳簿価額の計算は高度な判断と見積り(将来の課税所得の見積りを含む)を必要とします。

 繰延税金資産は、税務管轄ごとに評価されます。一部の税務管轄において、ソニーは繰越欠損金に対応するものを含めた繰延税金資産のうち、50%超の可能性をもって回収可能ではないと結論付けられたものに対して評価性引当金を計上しています。2014年3月31日時点において、ソニーは主に(1)日本の当社とその連結納税グループ及び日本の一部子会社の地方税、(2)米国のSony Americas Holding Inc.とその連結納税グループ、(3)スウェーデンのソニーモバイル、ならびに(4)英国のSony Europe Limitedにおいて評価性引当金を計上しています。評価性引当金を計上した税務管轄において損失を計上し続けた場合、税金費用の戻し入れは計上されず、当社株主に帰属する当期純損益及びソニーの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、ソニーが税務戦略を実行できない場合、営業活動や税務戦略から繰越欠損金を使用するために充分な課税所得を適切な税務管轄内で将来に生み出せない場合、あるいは繰越欠損金の使用を法的に制限される場合に、繰延税金資産は未使用のまま消滅、又は回収できず、将来において利用可能な税金支出の減額ができなくなる可能性があります。評価性引当金を計上せずに残存している繰延税金資産のいずれかが、50%超の可能性をもって未使用のまま消滅し将来の課税所得と相殺することができない場合や他の理由で回収ができない場合には、ソニーは追加の評価性引当金を認識しなければならず、税金費用が増加します。繰延税金資産が未使用のまま消滅した時点あるいは追加の評価性引当金が計上された期間において、当社株主に帰属する当期純損益及びソニーの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 繰延税金資産及び評価性引当金の評価において、連結会社間の移転価格に関して調整される不確実な税務ポジションの決定が重要な要素となります。ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において連結会社間を含む多くの取引がありますが、最終的な税額の決定は不確実です。ソニーは、税務当局から税務申告に対して継続的な調査を受けており、その結果、法人税の引当の妥当性を決定する税務調査の結果を受けて起こり得る悪影響を定期的に評価しています。これらの評価には高度な判断が要求され、翌期以降に追加的な証拠が入手可能になることにより、ソニーの不確実な税務ポジションの最終的な結果とそれにともなう評価性引当金の計上が、当社株主に帰属する当期純損益及びソニーの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 上記に加え、ソニーの将来における実効税率は、法定税率の変更や異なる法定税率が適用される各国での利益の割合の変化、又は繰越欠損金及び繰越税額控除の使用制限や制約を含む租税法規の改正やそれらの解釈の変更などにより不利な影響を受ける可能性があります。

 

(38) ソニーは、営業権、無形固定資産もしくはその他の長期性資産の減損を計上する可能性があります。

 ソニーは多くの営業権、無形固定資産及び長期性資産を保有しており、業績の悪化や時価総額の減少、減損の判定に用いられる高度な判断を必要とする見積り・前提の変更により、減損を計上する可能性があります。ソニーは、営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産について、年一回第4四半期に減損の判定を行い、また、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などの要因や兆候による減損判定の必要性を継続的に評価しています。保有しかつ使用する長期性資産及び処分予定の長期性資産の回収可能性は、個々の資産又は資産グループの簿価が回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に検討されます。保有しかつ使用する長期性資産については、長期性資産又は資産グループの簿価と割引前将来見積キャッシュ・フローを比較することにより減損の有無が検討され、帳簿価額が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損を認識します。

 営業権、無形固定資産及びその他の長期性資産の減損の判定もしくは金額の算定において、公正価値は将来見積キャッシュ・フローの現在価値、又は比較可能な市場価額により算定されており、この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、適切な類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。将来見積キャッシュ・フローの現在価値に影響を与える見積り・前提の変更は、営業権の減損の判定の際に使用される報告単位の公正価値の減少もしくは無形固定資産や長期性資産、資産グループの公正価値の減少を招く可能性があります。公正価値の減少は、現金支出をともなわない減損損失の計上につながることもあります。2013年度において、ソニーはデバイス分野における電池事業の長期性資産の減損321億円、その他分野における日本及び米国以外のディスク製造事業の長期性資産及びディスク製造事業全体の営業権の減損256億円、ならびにモバイル・プロダクツ&コミュニケーション分野におけるPC事業の長期性資産の減損128億円を計上しました。減損損失の計上となった場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(39) ソニーは第三者の知的財産権の侵害を追及され、重大な損害賠償責任を負う可能性があります。

 ソニーの製品は広範囲にわたる技術を利用しています。その技術が第三者の保有する知的財産権を侵害しているという主張がソニーに対してなされており、今後なされる可能性もあります。特に、市場競争が激しくなり、一層多くの知的財産を用いた新規技術やより高度な技術が製品に搭載されることで、自らの製品やサービスを守るため、あるいは競争優位を追求するための事業戦略として、競合他社又はそれ以外の特許権者からかかる主張がなされる可能性があります。かかる主張により、和解やライセンス契約の締結あるいは多額の損害賠償金を支払うことが必要となった場合や、ソニーの製品の一部について一時的又は恒久的に市場での販売が差し止められることとなった場合は、ソニーの事業活動や業績、財政状態及び評判に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(40) ソニーは第三者の知的財産権につき必要なライセンスを継続して取得できない可能性があります。また、ソニーの事業遂行に必要な知的財産権につき、継続して十分な保護を受けたり、行使したりできない可能性があります。

 多くのソニー製品は第三者の特許その他の知的財産権のライセンス供与を受けて設計されています。過去の経験や業界の慣行により、将来的に必要かつビジネスに有効な様々な知的財産権のライセンスの供与を受け又は更新できるとソニーは考えていますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されない可能性があります。そのような場合には、ソニーは、製品の設計変更や、営業・販売の断念を余儀なくされる可能性があります。さらに、ソニーの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、ソニーの知的財産権が、ソニーの競争力を維持するうえで十分ではない可能性があります。そのような場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(41) ソニーは、環境や労働安全衛生、人権などの社会的責任に関する広範な法規制の対象となっており、これによりオペレーションにかかるコストが上昇したり、ソニーの活動が制限されたり、評判に影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーは、大気汚染、水質汚染、有害物質の使用の管理、廃止、削減や一部製品の省エネ、廃棄物管理、製品や電池、包装材料のリサイクル、土壌浄化、従業員や消費者の安全衛生、調達や生産工程における人権侵害といった課題に関する法規制を含む、特に環境や労働安全衛生、人権などの社会的責任に関する広範囲な法規制の対象となっています。例えば、ソニーは以下のような法規制を遵守することが求められています。

・有害物質の使用規制の指令(“The Restriction of Hazardous Substances“RoHS”Directive”)、電気・電子機器の廃棄に関する指令(“The Waste Electrical and Electronic Equipment“WEEE”Directive”)、エネルギー関連製品に対するエコデザイン要求指令(“The ecodesign requirements for Energy-related Products(“ErP”)Directive”)、ならびに化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則(“The Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals“REACH”regulation”)など、EUが施行した環境に関する法規制

・温室効果ガス排出量に関する開示、温室効果ガス排出削減、炭素税やエレクトロニクス製品の省エネなど気候変動問題に関する法規制や政策

・米国のドッド・フランク・ウォール街改革及び消費者保護に関する法律の第1502条により、ソニーが製造する製品の機能又は生産に必要な「紛争鉱物とその派生物」に関して年次情報開示の必要があります。「紛争鉱物」とは、スズ鉱石(cassiterite)、タンタル鉱石(columbite-tantalite)、金(gold)、タングステン鉱石(wolframite)と、米国政府によってコンゴ民主共和国あるいはその周辺国で紛争の資金源になると規定されたその他の鉱物を指します。

 

 加えて、企業の社会的責任に対する消費者の関心が全世界的に高まり、特にアジア地域で操業するエレクトロニクス業者や製品の製造/設計委託業者における労働環境を含む労働慣行に関する関心が持たれています。

 これらの社会的責任に関する法規制がより強化されたり、また将来新たな法規制が導入される可能性があります。さらに、新興国を含むその他の国々において、上記と同様の環境に対する法規制が施行されつつあり、その結果、ソニーにおいて法規制の遵守にかかる費用が増加する可能性があります。また、様々な分野における既存又は新たな法規制にソニーが対応していないとみなされた場合には、罰金、刑罰、法的制裁、その他の費用や原状回復義務の対象になる可能性があり、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、法規制を遵守できない場合や、消費者の関心が高まっているこれらの問題にソニーが適切な対応をとることができないとみなされた場合には、それが法的に求められているかどうかに関わらず、ソニーの評判が傷つけられる可能性があります。その結果、消費者が製品の購入にあたって他社製品を選択する場合にも、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 PS3®及びPS4™ハードウエアを含むソニーのDVDビデオプレーヤー機能付製品は、米国のMPEG LA LLC及びDolby Laboratories Licensing Corporationとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、DVD規格上特定されている技術に関する特許に大きく依存しています。PS3®及びPS4™ハードウエアを含むソニーのブルーレイディスク™プレーヤー機能付製品は、DVD規格上特定されている技術に関する上記の特許に加え、米国のMPEG LA LLC、AT&T Inc.及びOne-Blue, LLCとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、ブルーレイディスク規格上特定されている技術に関する特許にも大きく依存しています。また、ソニーのスマートフォン製品は、MPEG LA LLC、AT&T Inc.及びVia Licensing Corporationとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、特定のコーデック規格上の技術に関する特許、並びに米国のQualcomm Incorporatedとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、通信規格団体により特定されているCDMA関連技術に関する特許に大きく依存しています。

 

6【研究開発活動】

ソニーは、2013年5月の経営方針説明会にて、エレクトロニクス事業を再生、そして成長へ転換し、新たな価値創造の実現をめざし、コア事業のさらなる強化や新規事業の創出/イノベーションの加速を図ることを発表しました。

  2013年度の研究開発活動は上述の方針を反映したものとなっており、以下の領域の研究開発に注力しました。

(1)モバイル事業領域

(2)デジタルイメージング事業領域

(3)ゲーム事業領域

(4)4K関連事業領域

(5)新規事業創出に向けた既存技術の転用

 更なるデバイス・システム・ソフトウェア技術の統合加速を目的に、2013年6月1日付けの機構改革において、ソニー本社が直轄する研究開発組織である、アドバンストデバイステクノロジープラットフォーム、コーポレートR&D、システム&ソフトウェアテクノロジープラットフォームを改組し、R&Dプラットフォーム、ソフトウェア設計本部としました。

 R&Dプラットフォーム及びソフトウェア設計本部は、最先端技術を追求しそれを統合することで、お客様の好奇心を刺激し、感動をもたらすプロダクツ・サービスを創出する原動力となる事をミッションとし、先進的テクノロジーによって、新しい顧客価値を創造します。

 2013年度の連結研究開発費は、前年同期に比べ76億円(1.6%)減少の4,660億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は前年同期の8.2%から6.9%になりました。この減少は、主に、IP&S分野、デバイス分野及びHE&S分野において、ソニーのエレクトロニクス事業におけるAV/IT市場の規模が縮小したことにともなうコスト削減への取り組みによるものです。一方、「プレイステーション 4」(以下「PS4™」)の発売にともない、ゲーム分野において研究開発費が増加しました。

 エレクトロニクス事業における研究開発費の内訳は次の通りです。

項目

2012年度

(億円)

2013年度

(億円)

増減率(%)

MP&C

938

949

+1.2

ゲーム

750

887

+18.3

IP&S

731

615

△15.9

HE&S

643

549

△14.6

デバイス

1,074

971

△9.6

 

 なお、2013年度の主な研究開発活動及び成果には、以下のものがあげられます。

 

 ソニーは、高い描写力と処理性能、新たなコンテンツとの出会いのサポート、ソーシャルとの融合、そしてPlayStation®Vitaやさまざまなモバイル端末との連携を通じて、没入感のある豊かなゲーム体験を実現するPS4™を発売しました。

 PS4™には専用に開発された8つのx86-64アーキテクチャーのCPUコアと最先端のGPUが搭載された高性能プロセッサーを搭載しています。GPUは様々な面から性能の強化が図られ、物理演算など汎用的な計算処理も容易に行えます。搭載されている18個のコンピュートユニットは全体で1.84テラフロップスの演算能力を有し、その性能をグラフィック機能やコンピューティング機能、またはその二つに自由に割り当てることが可能です。

 PS4™向けに開発された専用カメラPlayStation®Cameraは、広角レンズを持った二つの高感度カメラを搭載しており、空間の奥行きを正確に検出します。これによって2人のプレイヤーの前後の位置関係を把握することが可能となり、ゲームの楽しみ方がさらに拡がります。また、4つのマイクを搭載したことで、音源の方向を検出することが可能で、プレイヤーの体の動きや音声により直感的にゲームを楽しむことが出来ます。加えて、プレイヤーの顔の画像をあらかじめPS4™本体に登録しておくことで、顔認識によりPS4™にログインできます。

 PlayStation®Cameraは、ワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK®4)と連携させることにより空間を立体的に把握して、ゲームにさらなる臨場感を与えます。PS4™にプリインストールされたゲーム『プレイルーム』により、空間認識機能を最大限に生かしたAR(拡張現実)の世界を体験出来ます。

 ソニーは、デジタルカメラやディスプレイ等で培った最先端技術を搭載したスマートフォンのフラッグシップモデル『Xperia™ Z1』を発売しました。

 カメラには、1/2.3型、約2,070万画素の積層型CMOSイメージセンサーExmor RS®(エクスモア アールエス) for mobile、高精細撮影を可能にする画像処理エンジンBIONZ®(ビオンズ)for mobile、明るく広角撮影が可能なGレンズ™など、ソニーがカメラ開発で培ってきた技術を搭載しました。暗所でもノイズを低減し明るく、動く被写体もブレを抑えて鮮明に撮影でき、更に解像感を保ったまま約3倍まで拡大できるソニー独自の全画素超解像技術等により、コンパクトデジタルカメラ並の高画質撮影を『Xperia Z1』で体験できます。

 また、スマートフォンならではの新しいカメラの使い方を提案する、Xperia独自の特徴的なアプリケーションも新たに搭載。ARエフェクト(エーアールエフェクト)を使えば、ソニーが開発したSmartAR™エンジンが、3D空間を自動認識。選べるテーマや被写体によって多彩なエフェクトがかかり仮想世界に入ったかのような写真を撮影できます。

 約5.0インチのフルHDディスプレイには、広い色再現領域を持つトリルミナス®ディスプレイ for mobileを採用。ソニー独自の超解像技術、X-Reality®(エックスリアリティ)for mobileも新たに搭載し、画像分析により失われている画素を復元することで、動画をリアリティー豊かに再現します。

 

 ソニーは、世界で初めて35mmフルサイズイメージセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラ『α7』シリーズを発売しました。『α7』シリーズは一般的なフルサイズイメージセンサー搭載のレンズ交換式デジタル一眼カメラと比較して約1/2の軽量・コンパクトなボディに、新開発の画像処理エンジンを搭載することで、高速・高精度AF(オートフォーカス)と、さらなる高画質を実現しています。

 35mmフルサイズExmor®(エクスモア)CMOSイメージセンサーは、独自のオンチップカラムAD変換や、デュアルノイズリダクション回路の搭載により、高感度撮影時でも圧倒的な低ノイズを実現。常用ISO100-25600(拡張ISO50)の幅広い感度領域で、解像力と低ノイズを高いレベルで両立。さらにマルチショットNR(ノイズリダクション)機能により最高ISO51200相当の高感度撮影を実現しました。

 『α7』は有効約2,430万画素、『α7R』は有効約3,640万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。『α7R』では、この高解像度を最大限に生かすため光学ローパスフィルターレス仕様を選択。さらにギャップレスオンチップレンズ構造やソニーの最先端のプロセス技術を結集し、集光効率を大幅に向上。高解像度と低ノイズ・高感度を両立した圧倒的なリアリティーを実現しました。

 本シリーズは、従来比約3倍の高速処理性能を実現する新世代画像処理エンジン BIONZ Xを搭載しています。この高速処理に加え、忠実で自然な描写を実現する「ディテールリプロダクション技術」で質感描写力を大幅に向上させました。また、深い被写界深度での撮影時に解像感を高める「回折低減処理」など、最新の画像処理技術を結集して、優れた質感描写を実現しています。

 本シリーズは、合焦精度の高いコントラスト検出方式AFに空間被写体検出アルゴリズムを採用した、新開発の「ファストインテリジェントAF」を搭載。BIONZ Xの高速処理と合わせることで、高速かつ高精度なAFが可能となりました。

 『α7』には、「ファストインテリジェントAF」に加えて、イメージセンサーの撮像面に配置された117点像面位相差AFセンサーを組み合わせることで、動体追従性にも優れた高速かつ精密なAFを実現する、進化した「ファストハイブリッドAF」を搭載し、AF追随約5コマ/秒連写を実現しました。

 

 ソニーは幅広い写真愛好家に向けて、小型のフルサイズミラーレス一眼カメラという新たなカテゴリーを提案します。

 

 ソニーは、色再現能力を向上させた新開発トリルミナスディスプレイによる広色域映像と、業界初採用の磁性流体スピーカーによるクリアで伸びのあるサウンドを組み合わせ、さらなる臨場感を実現した4K対応液晶テレビ〈ブラビア〉『KD-X9200A』を発売しました。

 新開発のトリルミナスディスプレイは、米国QD Vision社が開発した発光半導体技術を用いた光学部品をソニー独自のディスプレイ技術と組み合わせることで色の再現領域を大幅に拡大しました。さらに、このトリルミナスディスプレイとソニー独自の4K対応超解像エンジン4K X-Reality PROのカラーマネジメント性能を組み合わせることで、繊細な色の違いを描き出すことが可能になり、光の三原色である赤、緑、青、さらに中間色であるエメラルドグリーンなどの色を、より自然かつ色彩豊かに再現できるようになりました。

 音質面では、ソニー独自開発の磁性流体スピーカーを業界で初めてテレビに搭載。ダンパーレスの磁性流体スピーカーは2次音圧の発生が無く、ボイスコイルから振動板までの伝達経路を短くできるので、スリム化とともに伝達ロスも低減。中高域で伸びのある明瞭なサウンドを実現します。

 

 ソニーは、内視鏡からの映像を、頭部に装着したディスプレイに表示する「ヘッドマウントモニター」を発売しました。

 3D対応の内視鏡は、精度の高い立体映像で手術患部を把握でき、内視鏡手術精度の向上に寄与するものとして注目を集めています。これに伴い、精度の高い3D映像/モニターの需要が高まっています。

 ソニーは、これまで蓄積してきたディスプレイ及び3D関連の技術を凝縮した、「ヘッドマウントモニター」を外科用の3D内視鏡に導入し、医療に求められる精度の高い3D映像を実現することで、新しいワークフローを提案します。

 「ヘッドマウントモニター」にはソニー独自の0.7型HD有機ELパネル(1280×720)を搭載。有機ELパネルの高コントラスト、色再現性、高速応答性能と合わせ、奥行きがあり、対象物の細部や繊細な情報を表示します。

 本機は左目用、右目用それぞれのパネルに独立した左右用の3D映像を常に表示する「デュアルパネル3D方式」を採用しているため、原理的にクロストークがありません。ぶれない確かな3D映像を表示し、対象物の奥行きなど繊細な情報までも確認でき、3D内視鏡手術に貢献します。

 ソニーは新たな医療機器として本機を導入し、医療現場への更なる貢献を目指すと共に、今後も医療現場に向けて、高品位で革新的な製品を提供していきます。

 

 ソニーは「2014 International CES」(国際家電ショー:2014年1月7日~1月10日、米国ネバダ州ラスベガス)において、従来の場所や機器からの制約を超えて、より自然に、より自由に、生活の一部としてエンターテインメントコンテンツを楽しめる新たな環境を創出し、そして空間そのものを活用して体験を創出するという新たなコンセプト「Life Space UX(ライフ スペース ユーエックス)」を発表しました。

 普段は何も無いリビングルームの壁に最大147インチの大画面・高精細の映像を出現させる「4K超短焦点プロジェクター」や、食卓の表面に高品位な映像を映し出して大きなタッチスクリーンとして使用する「テーブルトップスクリーン」等、「Life Space UX」を実現する商品群の試作機を「2014 International CES」で参考展示いたしました。

 「4K超短焦点プロジェクター」は特殊な設置工事は不要で、本機を壁際に置くだけで、人の影の映り込みを気にすることなく、没入感ある大画面映像を楽しめます。このプロジェクターは4K対応のため、4K対応ハンディカム™で撮影した4K映像や、高精細な静止画像も壁一面に投影して楽しめます。

 「テーブルトップスクリーン」は超小型レーザープロジェクターを備えた照明システムで、高精度な深度認識アルゴリズムによって指の動きを認知するプロセシングシステムを搭載しており、食卓の表面を巨大なタッチスクリーンとして使いながら、テーブル上にニュースを映したり、写真やコンテンツをシェアしたりする等、家族が集うダイニングという場に、新しいコミュニケーションを創造します。

 ソニーは、この臨場感や利便性をさらに発展させ、場所や機器の制約を超えて、より自然に、より自由に、生活の一部としてエンターテインメントコンテンツを楽しめる環境を考え、空間そのものが新しい体験を創出することを目指します。

 

 パナソニック株式会社とソニーは、デジタルデータを長期保存するアーカイブ事業の拡大に向けて、業務用次世代光ディスク規格Archival Disc(アーカイバル・ディスク)を策定しました。

 光ディスクは、保存時に温度・湿度の変化の影響を受けにくく、防塵性及び耐水性などの対環境性に優れ、またフォーマット世代間の互換性が保証されているために将来にわたってもデータの読み出しが可能になるなど、コンテンツの長期保存に適しています。

 映像制作業界に加え、ネットワークサービスの進展に伴うデータ容量の増大により、ビッグデータを扱うクラウドデータセンター等でもアーカイブのニーズが高まっています。両社は今後拡大が期待されるアーカイブ市場に対応するには、光ディスク1枚あたりの記録容量を上げることが必須であるとの考えで一致し、それぞれが有する技術をベースに開発効率を高め、業務用次世代光ディスク規格の共同開発を進めてきました。

 1ディスクあたりの記憶容量が300GBのArchival Discシステムを、2015年夏以降に各社が順次市場導入していくことを目指しています。その後さらに、両社が保有する技術をベースに、1ディスクあたりの記憶容量を500GB、1TBに拡大していく計画です。

 ブルーレイディスク™フォーマットの技術開発で実績のある両社が、業務用領域において次世代の大容量光ディスク規格も積極的に推進することで、貴重なデータを次世代に繋ぐソリューションの提案をしていきます。

 

 ソニーは、公益社団法人発明協会主催の平成25年度全国発明表彰において、裏面照射型CMOSイメージセンサーの発明により「内閣総理大臣発明賞」を受賞しました。

 裏面照射型CMOSイメージセンサーの発明は、その構造と製造方法の基本特許であり、今回の受賞は、次世代CMOSイメージセンサー技術の確立および発展に貢献したことが高く評価されたものです。

 本発明は、従来の表面照射型では入射光の一部を遮っていた配線層をシリコン基板の下部に配置し、シリコン基板の裏面側から光を照射する構造にするとともに、シリコン基板内のフォトダイオードの上部の面積を下部よりも広く形成することで、大幅な光学特性の向上を実現したCMOSイメージセンサーです。

 現在、裏面照射型CMOSイメージセンサーは、デジタルビデオカメラをはじめ、デジタルスチルカメラやスマートフォンなど様々な種類のカメラに搭載されています。今後もさらなる性能の向上により、デジタルイメージングの一層の高画質化への貢献が期待されています。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)重要な会計方針

 米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り・前提を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な前提にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計方針であると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計方針として考えています。

投資

 ソニーの投資は、原価法あるいは持分法により会計処理されている負債及び持分証券を含みます。投資価値に一時的でない下落が認められた場合は減損を認識し、その投資は公正価値まで評価減されます。ソニーは、個々の有価証券の一時的でない減損を判定するため、投資ポートフォリオを定期的に評価しています。公正価値の下落が一時的であるか否かを判断するにあたっては、公正価値が取得原価を下回っている期間及びその程度、発行企業の財政状態、業績、事業計画及び将来見積キャッシュ・フロー、公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスクの増大、ソブリンリスクならびに公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間までソニーが保有し続けることができるか否かなどを考慮します。

 公正価値が容易に算定できる売却可能証券の減損の判定において、公正価値が長期間(通常6ヵ月間)取得価額に比べ20%以上下落した場合、公正価値の下落が一時的でないと推定されます。この基準は、その公正価値の下落が一時的でない有価証券を判定する兆候として採用されています。公正価値の下落が一時的でないと推定された場合でも、下落期間又は下落率を上回る、公正価値の下落が一時的であることを裏付ける十分な根拠があれば、この下落は一時的であると判断されます。一方で、公正価値の下落が20%未満又は長期間下落していない場合でも、公正価値の下落が一時的でないことを示す特定要因が存在する場合には、減損が認識されることがあります。

 満期保有目的の負債証券に一時的でない減損が発生した場合、損益に認識される一時的でない減損の金額は、この負債証券を売却する意思があるかどうか、又は償却原価まで価値を回復する前にこの負債証券の売却が必要となる可能性の方が高いかどうかに左右されます。負債証券がこのいずれかの基準を満たす場合、損益に認識される一時的でない減損金額は、減損測定日における負債証券の償却原価と公正価値の差額全額です。これらの2つの基準を満たさない負債証券の一時的でない減損については、損益に認識される正味金額は償却原価とソニーの将来キャッシュ・フローの最善の見積りを、負債証券の減損前における計算上の実効金利を用いて割り引くことにより計算される正味現在価値の差額にあたる信用損失です。減損測定日における負債証券の公正価値と正味現在価値の差額は累積その他の包括利益に計上されます。一時的でない減損が損益に認識された負債証券の未実現損益は累積その他の包括利益の独立した項目として計上されます。

 投資の公正価値の下落が一時的であるか否かの判定は、多くの場合、主観的であり、発行企業の業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、投資価値の下落が一時的であると判断している有価証券について、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化あるいは市場金利変動の影響等の事後情報の評価にもとづき、将来、公正価値の下落が一時的でないと判断され、投資の未実現評価損が費用として認識され将来の収益を減額する場合があります。

棚卸資産の評価

 ソニーは低価法により棚卸資産を評価します。棚卸資産原価と正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成及び処分までの費用を控除した額)の差額を評価減計上します。ソニーは、部品や製品が陳腐化したり、在庫量が使用見込みを上回ったり、又は在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。市場環境が予測より悪化してさらなる値下げが必要な場合には、将来において追加の評価減計上が必要となります。

長期性資産の減損

 ソニーは、保有して使用される長期性資産及び処分予定の長期性資産又は資産グループの簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、減損の有無を検討しています。保有して使用される長期性資産は割引前将来キャッシュ・フローと長期性資産又は資産グループの簿価を比較することにより減損の検討が行われています。この検討は、主として製品カテゴリーごと(例:液晶テレビ)、特定の場合には、企業ごとの将来キャッシュ・フローの見積りにもとづいて行われます。資産又は資産グループの簿価が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損を認識します。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。

 マネジメントは将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは合理的であると考えています。しかしながら、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。

 2012年度及び2013年度においてソニーは減損をそれぞれ合計14,494百万円、72,724百万円計上しました。2012年度において計上された減損金額14,494百万円には、HE&S分野における液晶テレビ資産グループの減損7,617百万円が含まれています。2013年度において計上された減損金額72,724百万円には、デバイス分野における電池事業資産グループの減損32,107百万円、その他分野におけるディスク製造事業資産グループの減損12,303百万円及びMP&C分野におけるPC事業資産グループの減損12,817百万円が含まれています。これらの減損は主に有形固定資産及び一部の無形固定資産の見積公正価値の減少を反映しています。電池事業資産グループでは、収益性改善の進捗が十分でないこと、及び市場トレンドを踏まえた戦略の精査を行った結果、長期性資産の計上金額の全額を回収する十分な将来キャッシュ・フローが得られないと判断したため、減損を計上しました。ディスク製造事業資産グループでは、日本及び米国以外の、主に2014年3月に追加の構造改革を開始した欧州に起因するキャッシュ・フローの低下予想及びディスクメディアの想定以上の市場縮小の加速を将来キャッシュ・フロー見込みに反映させた結果、減損の計上が必要となりました。PC事業資産グループでは、戦略の見直しを行い、モバイル領域ではスマートフォン及びタブレットにリソースを集中し、最終的にはPC事業を収束することを、将来キャッシュ・フロー見込みに反映させた結果、減損の計上が必要となりました。

企業結合

 ソニーは取得法の適用時に、みなし取得価格を識別可能資産及び引受負債に割り当て、残余の取得価格は営業権として計上しています。取得価格の割当では、識別可能資産及び引受負債、特に無形固定資産の公正価値の決定に重要な見積りが使用されます。通常、独立した外部の第三者が評価プロセスに関与します。重要な見積り及び前提は、収益及び将来キャッシュ・フローの計上時期及び金額、将来キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、ならびにターミナル・バリューを決定する際に適用される永久成長率等を含みます。

 見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この取得価格は異なる金額で評価され、取得資産及び引受負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況はこのような見積りに影響を与える可能性があることから、営業権を含む取得資産の減損損失の計上又は引受負債の増加が必要となる可能性があります。

営業権及びその他の無形固定資産

 営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は償却せず、年一回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。減損の可能性を示す事象とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。営業権及び非償却性無形固定資産の減損判定において、ソニーは報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値がその帳簿価額を下回る可能性が50%超でないことを証明できる事象又は状況の存在についての定性的評価を最初に行うことが認められています。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。ソニーは、報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値がその帳簿価額を下回る可能性が50%超であると判断しない場合、その後の営業権及び非償却性無形固定資産の減損判定を行う必要がなくなります。しかしながら、ソニーが定性的評価を行わない場合は、二段階での手続により減損判定を行う必要があります。2014年3月31日において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、二段階での手続により減損判定を行いました。

 第一ステップは、報告単位の見積公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額とを比較することにより、減損の可能性を判定するために行われます。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権は減損していないとみなされ、第二ステップは行われません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、減損金額を測定するため、営業権の減損判定のための第二ステップを行います。営業権の減損判定のための第二ステップでは、報告単位の営業権の公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。営業権の公正価値は企業結合において認識される営業権の金額と同様の方法により決定されます。すなわち、その報告単位があたかも企業結合により取得され、その公正価値が報告単位を取得するために支払われた買収価格であるかのように、公正価値を報告単位の全ての資産・負債(未認識の無形固定資産を含む)に配分します。非償却性無形固定資産の減損判定は、その無形固定資産の公正価値と帳簿価額との比較により行います。無形固定資産の帳簿価額が公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。

 営業権の減損判定の第一ステップにおける報告単位の公正価値や、第二ステップにおける報告単位の個々の資産・負債(未認識の無形固定資産を含む)の公正価値の決定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。同様に、非償却性無形固定資産の公正価値の決定においても、見積り・前提が使用されます。これらの見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。これらの減損判定において、ソニーは、社内における評価を行い、またマネジメントが妥当と判断する場合には第三者による評価を活用するとともに、一般に入手可能な市場情報を考慮に入れています。報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。将来キャッシュ・フローの見積りに加えて、報告単位の公正価値を決定する際の将来キャッシュ・フローに使用する最も重要な前提は、割引率と、割引キャッシュ・フロー分析に使用するターミナル・バリューを決定する際に適用される永続成長率の二つです。営業権の減損判定のための割引キャッシュ・フロー分析に使用された割引率は、それぞれの報告単位に対する特定リスク要因と同様に、市場及び産業データを考慮します。ターミナル・バリューを決定するためにそれぞれの報告単位に使用される永続成長率は、一部の報告単位はより長期の予測期間を使用するものの、通常は当初の3ヵ年予測期間の後、過去の経験、市場及び産業データにもとづいて設定しています。

 以下に記載するものを除き、営業権及び非償却性無形固定資産を持つ報告単位の公正価値が帳簿価額を超過したため、減損が生じていないと考え、減損判定の第二ステップは行なわれず、その結果、営業権及び非償却性無形固定資産の重要な減損の計上はありませんでした。営業権の減損を判定する際に、営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮しました。

 2013年度において、ソニーはその他分野に含まれるディスク製造事業において13,264百万円の減損損失を認識しました。これは当該報告単位の公正価値の減少によるものです。当該報告単位の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積現在価値にもとづき算定されています。

 

 2014年3月31日現在のセグメントごとの営業権の帳簿価額は以下のとおりです。

 

 

金額

(単位:百万円)

MP&C

180,179

ゲーム

150,572

IP&S

6,187

デバイス

37,400

映画

187,307

音楽

122,780

金融

2,314

その他

5,064

合計

691,803

 

 マネジメントは、営業権の減損判定に使用した将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損を認識することになる可能性があります。2013年度の減損判定における公正価値の計算の感応度分析を実施するため、ソニーはそれぞれの報告単位の見積公正価値が10%下落したと仮定して計算を行いました。その結果、公正価値の10%下落により営業権の減損判定の第一ステップが不合格となる報告単位はありませんでした。

退職年金費用

 従業員の退職年金費用及び債務は、最新の統計数値にもとづく割引率、退職率及び死亡率を含む特定の前提条件に加え、年金制度資産の長期期待収益率及びその他の要因にも左右されます。特に割引率と長期期待収益率は、期間退職・年金費用及び退職給付債務を決定する上で、二つの重要な前提条件です。前提条件は、少なくとも年に一度、又はこれらの重要な前提条件に重大な影響を与えるような事象の発生又は状況の変化があった場合に評価されます。

 米国会計基準にしたがって、前提条件と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来認識される退職年金費用及び退職給付債務に影響します。マネジメントはこれらの前提条件が適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、ソニーの退職給付債務及び将来の退職年金費用に影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーの主要な年金制度は国内年金制度です。個別の海外年金制度に関して、年金制度資産及び退職給付債務の国内及び海外総額にとって重要性のあるものはありません。

 ソニーは2014年3月31日現在の国内年金制度の退職給付債務の決定において、1.4%の割引率を適用しました。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の収益率情報を使用し、給付の見込支払額と時期を考慮して決定されます。この収益率情報には、公表されている市場情報及び複数の格付け機関から提供される数値が使用されています。この1.4%の割引率は2012年度に使用された1.5%から0.1ポイントの低下となり、昨今の日本における市場金利状況を反映しています。

 年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。国内年金制度における2013年3月31日及び2014年3月31日現在の年金資産の長期期待収益率は、それぞれ3.0%でした。2012年度及び2013年度の実際の収益率は、それぞれ12.5%及び8.8%でした。実際の収益率が見込み収益率を上回った要因としては、期首から第3四半期までの株式市場が好調であったことに加え、円安による外貨建て資産時価が高くなったことなどが挙げられます。実際の結果と年金制度資産の長期期待収益との差異は、累積され、退職年金費用の一部として将来の平均残存勤務年数にわたって償却されます。その結果、毎年の退職年金費用のボラティリティが軽減されています。2013年3月31日及び2014年3月31日現在における、ソニーの国内年金制度についての年金制度資産の損失を含む年金数理純損失は、それぞれ2,646億円及び2,370億円でした。2013年度において、退職給付債務の決定に使用した割引率が前年を下回った影響があったものの、年金制度資産の実際の収益率が長期期待収益率を大幅に上回ったことにより、年金数理純損失は減少しました。

 以下の表は、他の前提条件を2014年3月31日より一定とした場合の、2013年度における国内年金制度の割引率と年金制度資産の長期期待収益率の変動による影響を表しています。

 

前提条件の変更

予測給付債務

退職年金費用

純資産

(税効果後)

割引率

 

 

 

0.25ポイント増/0.25ポイント減

-/+307億円

-/+15億円

+/-9億円

年金制度資産の長期期待収益率

 

 

 

0.25ポイント増/0.25ポイント減

-/+16億円

+/-10億円

 

 

繰延税金資産の評価

 繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。

 日本の当社及び一部子会社、米国のSony Americas Holding Inc.(以下「SAHI」)及びその連結納税グループ、スウェーデンのSony Mobile Communications AB、英国のSony Europe Limited(以下「SEU」)及び他の税務管轄における一部の会社は、それぞれ累積で税引前損失を計上しています。累積損失の計上は、繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたり、繰延税金資産に対する評価性引当金は計上不要であると判断することが困難な重要な否定的証拠とみなされます。

 当社、SAHI、㈱ソニー・コンピュータエンタテインメント、Sony Computer Entertainment Europe Limited及びSEUに関して回収可能とみなされている繰延税金資産の金額は、連結会社間の移転価格に関して50%超の可能性をもって調整される不確実な税務ポジションを考慮しています。これらの移転価格は、米国、英国及び日本での二国間事前確認制度(Bilateral Advance Pricing Agreements、以下「APAs」)の申請を受けて、関係する政府間で検討されています。ソニーは、貸借対照表日時点での様々な法人間の繰延税金資産の配分や金額を含む税務処理に関して、これらの政府間交渉による最終的な結果を見積もることが要求されます。ソニーは見積もられた税金費用を、通常これらの手続の進捗や移転価格の税務調査の進捗に応じて見直し、必要に応じて見積りを調整しています。

 事前確認制度による交渉は、マネジメントによる損益配分の現在の見積評価と異なる結果となる場合があり、その配分がソニーの繰延税金資産の金額又は回収可能性に有利もしくは不利な影響をもたらし、評価性引当金の計上金額が見直される可能性があります。その結果、追加的な証拠が入手可能となり、不確実な税務ポジションに対する引当とともに評価性引当金の評価を調整する可能性があります。

 繰延税金資産の評価に関する見積りは、貸借対照表日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込を反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、APAの交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産を回収可能額まで減額するために、将来において追加的な評価性引当金の計上が要求される可能性があります。一方、将来の業績改善やビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連する質的要因や不確実性を考慮した上で、税金費用の戻し入れをともなう評価性引当金の取崩しが計上される可能性があります。現在の見込において予想していないこれらの要因や変化は、評価性引当金が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

映画会計

 映画会計においては、作品ごとの予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは次の2点において重要となります。第一に、映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。第二に、ある映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいています。

 マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優あるいは女優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、DVD、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、DVD、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。

保険契約債務

 保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。保険契約債務は1.5%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び契約脱退率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表に拠っています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。

生命保険ビジネスにおける契約者勘定

 生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.9%から2.0%です。変額保険については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約及び年金開始後契約が含まれています。投資契約に対する付与利率は、0.1%から6.3%です。

(2)経営成績の分析

営業概況

 過年度の財務数値の一部を見直しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『3 主要な会計方針の要約 (5)過年度調整』参照)

 

2012年度

(億円)

2013年度

(億円)

増減率

(%)

売上高及び営業収入

67,955

77,673

+14.3

持分法による投資損失

△69

△74

営業利益

2,265

265

△88.3

税引前利益

2,421

257

△89.4

当社株主に帰属する当期純利益(損失)

415

△1,284

 

連結業績

売上高

 2013年度の売上高及び営業収入(以下「売上高」)は、前年度比14.3%増加の7兆7,673億円となりました。この増収は、主に為替の好影響、「プレイステーション 4」(以下「PS4TM」)の発売、及びスマートフォンの大幅な増収によるものです。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。

 2013年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ100.2円、134.4円となり、前年度の平均レートに比べ、米ドルに対しては17.1%、ユーロに対しては20.3%の円安となりました。

 (後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、「売上高」については、売上高のうち、純売上高及び営業収入のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、「金融ビジネス費用」は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。)

 

売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業損益(純額)

 2013年度の売上原価は、前年度に比べ6,546億円(14.6%)増加して5兆1,401億円となり、売上高に対する比率は前年度の77.4%から75.8%に改善しました。

 研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度に比べ76億円(1.6%)減少の4,660億円となり、売上高に対する比率は、前年度の8.2%に対して2013年度は6.9%になりました。

 販売費及び一般管理費は、早期退職費用等の減少がありましたが、主に円安の影響により、前年度に比べ2,709億円(18.6%)増加して1兆7,285億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、前年度の25.1%から25.5%に悪化しました。

 その他の営業損益(純額)は、前年度の2,352億円の利益に対して2013年度は487億円の損失を計上しました。この悪化は、主に、前年度において連結子会社であったエムスリー㈱(以下「エムスリー」)株式の一部売却にともなう売却益及び残りの持分に対する再評価益1,222億円、ニューヨーク市マジソン・アベニュー550番地の米国本社ビル(以下「米国本社ビル」)の売却益691百万米ドル(655億円)、「ソニーシティ大崎」の敷地・建物(以下「ソニーシティ大崎」)の売却益423億円、ならびにケミカルプロダクツ関連事業売却益91億円が計上されたことに対して、2013年度は、エムスリー株式の一部売却益128億円が含まれますが、デバイス分野における電池事業の長期性資産の減損321億円、その他分野における日本及び米国以外のディスク製造事業の長期性資産及びディスク製造事業全体の営業権の減損256億円、ならびにモバイル・プロダクツ&コミュニケーション(以下「MP&C」)分野におけるPC事業の長期性資産の減損128億円など総額860億円の減損を計上したことなどによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『6 関連当事者取引』『9 リース』参照)

 

持分法による投資損失

 営業損益に含まれる持分法による投資損失は、前年度に比べ4億円拡大し、当年度は74億円となりました。

 

営業損益

 2013年度の営業利益は、前年度に比べ2,000億円減少し、265億円となりました。この大幅な減益は、資産売却にともなう売却益や再評価益が前年度に比べて減少したこと、構造改革費用も含めたPC事業に関連する損失が前年度の386億円から917億円に拡大したこと、ならびに、電池事業やディスク製造事業において減損を計上したことなどによるものです。一方、為替の好影響、携帯電話事業での大幅な損益改善、ならびに、テレビの大幅な損失縮小などの損益改善要因もありました。

 2013年度のPC事業に関連する損失917億円には、PC事業の収束を決定したことにともなう費用583億円が含まれており、分野別では、455億円がMP&C分野に、128億円が全社(共通)及びセグメント間取引消去に計上されています。128億円は、PC事業の収束にともなって発生した販売会社の規模縮小にともなう構造改革費用です。また、583億円のうち、409億円が構造改革費用として認識され、残りの174億円は、余剰となった手元部品在庫に対する評価減などの費用です。2013年度のPC事業収束に関する損失の内訳は以下のとおりです。

 

MP&C

全社(共通)及び

セグメント間取引消去

連結

 

 

億円

億円

億円

(Ⅰ)

長期性資産の減損

128

128

(Ⅱ)

仕入先の発注済部品に対する補償費用

80

80

(Ⅲ)

早期退職費用など

73

128

201

(ア)

構造改革費用(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの合計)

281

128

409

(イ)

手元部品在庫に対する評価減など

174

174

PC事業収束にともなう費用(ア、イの合計)

455

128

583

PC事業収束にともなう費用を除く営業損失

△333

△333

PC事業の営業損失合計

△788

△128

△917

 

 また、2013年度の営業利益には、2011年度に発生したタイの洪水による損害や損失に対する保険収益(純額)119億円が含まれています。なお、前年度には、前述の保険収益(純額)400億円が計上されていました。

 

その他の収益及び費用

 2013年度のその他の収益は、前年度から262億円(38.2%)減少し、425億円となりました。一方、その他の費用は前年度に比べ99億円(18.6%)減少し、432億円となりました。その他の収益からその他の費用を差し引いた純額は、前年度の156億円の収益に対し、当年度は8億円の費用を計上しました。これは、支払利息が減少しましたが、主に、投資有価証券売却益が減少したことによるものです。2013年度の投資有価証券売却益には、2013年12月に売却した㈱スカパーJSATホールディングス株式の売却益74億円が、前年度の有価証券売却益には2013年3月に売却した㈱ディー・エヌ・エー(以下「DeNA」)株式の売却益409億円がそれぞれ含まれます。為替差損は、前年度の104億円に対し、当年度は92億円を計上しました。この為替差損(純額)は、主にソニーが為替変動のリスクを低減するために締結している通常のデリバティブ契約から生じた損失によるものです。なお、受取利息及び配当金は前年度に比べ53億円(24.3%)減少して167億円となりました。支払利息は前年度に比べ32億円(12.0%)減少し、235億円となりました。

 

税引前利益

 2013年度の税引前利益は、前年度に比べ2,163億円(89.4%)減少し、257億円となりました。

 

法人税等

 2013年度の法人税等は、946億円となり、実効税率は日本の法定税率を上回りました。これは、繰延税金資産に対し評価性引当金を計上しているソニー株式会社及び一部の子会社において計上した損失に対して税金費用の戻し入れを計上しなかったこと、及び税金引当が増加したことによるものです。なお、税金に関する米国会計基準にしたがって、その他の包括利益の計上にともない一部税金費用の戻し入れを計上しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照)

 

当社株主に帰属する当期純損益

 当社株主に帰属する当期純損益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度の415億円の利益に対し、1,284億円の損失となりました。

 非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度に比べ6億円減少し、2013年度は595億円の利益となりました。この減少は主に、非支配持分が40%であるSFHにおいて利益が増加しましたが、前年度は連結対象であったエムスリーが2013年度は連結対象から外れたことによるものです。

 基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純損益は前年度の41.32円の利益であったのに対し、2013年度は124.99円の損失、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の38.79円の利益に対して124.99円の損失になりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照)

分野別営業概況

 以下の情報はセグメント情報に基づきます。各分野の売上高及び営業収入は、セグメント間取引を含みます。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『29 セグメント情報』参照)

 

ビジネスセグメント情報

売上高及び営業収入

 

 

 

2012年度

(億円)

2013年度

(億円)

増減率(%)

MP&C

12,576

16,301

+29.6

ゲーム

7,071

9,792

+38.5

IP&S

7,562

7,412

△2.0

HE&S

9,948

11,686

+17.5

デバイス

8,486

7,942

△6.4

映画

7,327

8,296

+13.2

音楽

4,417

5,033

+13.9

金融

10,024

9,938

△0.9

その他

5,630

5,946

+5.6

全社・セグメント間取引消去

△5,086

△4,673

連結合計

67,955

77,673

+14.3

 

営業利益(損失)

 

 

 

2012年度

(億円)

2013年度

(億円)

増減率(%)

MP&C

△972

△750

ゲーム

17

△81

IP&S

14

263

+1,725.7

HE&S

△843

△255

デバイス

439

△130

映画

478

516

+8.0

音楽

372

502

+34.9

金融

1,422

1,703

+19.7

その他

1,015

△586

小計

1,943

1,182

△39.1

全社・セグメント間取引消去*

322

△917

連結合計

2,265

265

△88.3

 

*全社・セグメント間取引消去には、各セグメントに配賦不能な本社の構造改革費用及びその他本社費用、ならびにソニーモバイルの支配権取得時にエリクソンから取得した無形資産であるクロスライセンス契約等の知的財産の償却費が含まれています。

 

モバイルプロダクツ&コミュニケーション分野

 2013年度のMP&C分野の売上高は、前年度比29.6%増加し、1兆6,301億円となりました。当年度において、PCの販売台数は大幅に減少しましたが、スマートフォンの販売台数の大幅な増加及び平均販売価格の上昇、ならびに為替の好影響などにより、分野全体で大幅な増収となりました。

 営業損失は、前年度に比べ221億円縮小し、750億円となりました。当年度において、構造改革費用の増加やPC事業の損失拡大がありましたが、主に、携帯電話事業で大幅に損益が改善し、営業利益を計上したことにより、分野全体で大幅な損失縮小となりました。

 

 MP&C分野における、構造改革費用を含めたPC事業の営業損失は、前年度の386億円に対し、当年度は788億円となりました。この営業損失788億円には、PC事業の収束を決定したことにともなう費用455億円が含まれます。この455億円のうち、281億円が構造改革費用として認識され、残りの174億円は、余剰となった手元部品在庫に対する評価減などの費用です。

 当年度の分野全体の構造改革費用(純額)は、前年度に比べ266億円増加し、325億円となりました。325億円の構造改革費用のうち、281億円はPC事業収束にともなう費用でした。この281億円には、長期性資産の減損128億円、将来の生産終了にともなって発生した仕入先の発注済部品に対する補償費用80億円、早期退職費用など73億円が含まれます。

 

 製品部門別の外部顧客向け売上高及び主要製品の売上台数は以下のとおりです。

 

製品部門別の外部顧客向け売上高

 

 

 

2012年度

(百万円)

構成比

(%)

2013年度

(百万円)

構成比

(%)

増減率

(%)

モバイル・コミュニケーション

733,622

60.1

1,191,787

73.1

+62.5

パーソナル・モバイルプロダクツ

480,132

39.4

431,378

26.5

△10.2

その他

6,259

0.5

6,360

0.4

+1.6

合計

1,220,013

100.0

1,629,525

100.0

+33.6

 

主要製品の売上台数

 

 

 

2012年度

(万台)

2013年度

(万台)

台数増減

(万台)

増減率(%)

スマートフォン(モバイル・コミュニケーション事業)

3,300

3,910

610

+18.5

PC(パーソナル・モバイルプロダクツ事業)

760

560

△200

△26.3

 

ゲーム分野

 2013年度のゲーム分野の売上高は、前年度比38.5%増加し、9,792億円となりました。この大幅な増収は、主に、PS4TMの発売及び為替の好影響によるものです。「プレイステーション 3」(以下「PS3®」)ハードウエアの販売数量は減少しましたが、ソフトウエアの売上高は増加しました。

 営業損益は、前年度の17億円の利益に対し、当年度は81億円の損失となりました。当年度は、前述の増収による影響がありましたが、PS4TM発売にともなう費用の増加、ならびに、Sony Online Entertainment LLCが提供する一部のPC向けゲームソフトウエアタイトルの評価減62億円を計上したことなどにより、前年度に比べ損益が悪化しました。

 

 ゲーム事業に含まれる各ハードウエア及びソフトウエアに関する売上台数・本数は以下のとおりです。

 

各ハードウエアに関する売上台数及びソフトウエア売上高

 

 

ハードウエア売上台数

2012年度

(万台)

2013年度

(万台)

台数増減

(万台)

増減率(%)

据置型ハードウエア(PS4TM、PS3、PS2)*

1,650

1,460

△190

△11.5

携帯型ハードウエア(PS Vita及びPSP)

700

410

△290

△41.4

 

 

2012年度

(億円)

2013年度

(億円)

増減率(%)

ソフトウエア(売上高)**

2,660

3,740

+40.6

 

*2013年度はPS2を含みません。

**パッケージソフトウエア及びネットワークソフトウエアの売上高を含みます。

 

 

イメージング・プロダクツ&ソリューション分野

 2013年度のIP&S分野の売上高は、前年度比2.0%減少し、7,412億円となりました。当年度において、為替の好影響がありましたが、主に、市場縮小の影響を受けたコンパクトデジタルカメラ及びビデオカメラの大幅な販売台数の減少により、分野全体で減収となりました。

 営業利益は、前年度に比べ249億円増加し、263億円となりました。当年度は、前述のビデオカメラの減収による影響がありましたが、主に、為替の好影響及び構造改革費用の減少により、前年度に比べ大幅な増益となりました。なお、当年度の構造改革費用(純額)は、前年度に比べ95億円減少し、34億円となりました。

 

 製品部門別の外部顧客向け売上高及び主要製品の売上台数は以下のとおりです。

 

製品部門別の外部顧客向け売上高

 

 

 

2012年度

(百万円)

構成比

(%)

2013年度

(百万円)

構成比

(%)

増減率

(%)

デジタルイメージング・プロダクツ

449,724

59.7

413,255

56.0

△8.1

プロフェッショナル・ソリューション

285,698

38.0

306,885

41.6

+7.4

その他

17,181

2.3

17,334

2.4

+0.9

合計

752,603

100.0

737,474

100.0

△2.0

 

主要製品の売上台数

 

 

 

2012年度

(万台)

2013年度

(万台)

台数増減

(万台)

増減率

(%)

家庭用ビデオカメラ

(デジタルイメージング・プロダクツ事業)

370

230

△140

△37.8

デジタルカメラ

(デジタルイメージング・プロダクツ事業)*

1,700

1,150

△550

△32.4

 

*デジタルカメラは、コンパクトデジタルカメラ、レンズ交換式一眼カメラ、及びレンズスタイルカメラを含みます。

 

ホームエンタテインメント&サウンド分野

 2013年度のHE&S分野の売上高は、前年度比17.5%増加し、1兆1,686億円となりました。この大幅な増収は、為替の好影響及び高付加価値モデルの導入による液晶テレビの製品ミックスの改善などによるものです。

 営業損失は、前年度に比べ588億円縮小し、255億円となりました。この損益改善は、主に、液晶テレビの製品ミックスの改善及び費用の削減によるものです。また、当年度の構造改革費用(純額)は、前年度に比べ108億円減少し、16億円となりました。

 なお、テレビについては、売上高は、前年度比29.7%増加の7,543億円となりました。営業損失*は前年度に比べ、439億円縮小し、257億円となりました。

* 分野全体に含まれる構造改革費用は製品カテゴリーには配賦されておらず、テレビの営業損失には含まれていません。

 

 製品部門別の外部顧客向け売上高及び主要製品の売上台数は以下のとおりです。

 

製品部門別の外部顧客向け売上高

 

 

 

2012年度

(百万円)

構成比

(%)

2013年度

(百万円)

構成比

(%)

増減率

(%)

テレビ

581,475

58.5

754,308

64.7

+29.7

オーディオ・ビデオ

405,024

40.8

400,828

34.4

△1.0

その他

7,323

0.7

10,871

0.9

+48.5

合計

993,822

100.0

1,166,007

100.0

+17.3

 

主要製品の売上台数

 

 

 

2012年度

(万台)

2013年度

(万台)

台数増減

(万台)

増減率

(%)

液晶テレビ(テレビ事業)

1,350

1,350

+0

 

デバイス分野

 2013年度のデバイス分野の売上高は、前年度比6.4%減少し、7,942億円となりました。当年度において、為替の好影響及びモバイル機器向けの需要増加によるイメージセンサーの大幅な増収がありましたが、主にPS3®向けシステムLSIの減収や前年度にはケミカルプロダクツ関連事業の売上が含まれていたことなどにより、分野全体で減収となりました。なお、外部顧客に対する売上高は、前年度比0.9%増加しました。

 営業損益は、前年度の439億円の利益に対し、当年度は130億円の損失となりました。この大幅な損益悪化は、主に電池事業において321億円の長期性資産の減損を計上したこと、及び、2011年度に発生したタイの洪水による損害や損失に対する保険収益(純額)が前年度に比べ減少したことによるものです。なお、当年度の構造改革費用(純額)は、前年度に比べ102億円減少し、89億円となりました。

 

 製品部門別の外部顧客向け売上高は以下のとおりです。

 

製品部門別の外部顧客向け売上高

 

 

 

2012年度

(百万円)

構成比

(%)

2013年度

(百万円)

構成比

(%)

増減率

(%)

半導体

301,915

51.7

336,845

57.2

+11.6

コンポーネント

271,654

46.5

249,856

42.4

△8.0

その他

10,399

1.8

2,493

0.4

△76.0

合計

583,968

100.0

589,194

100.0

+0.9

 

棚卸資産

 エレクトロニクス5分野合計(MP&C分野、IP&S分野、ゲーム分野、IP&S分野、HE&S分野、及びデバイス分野の合計)の2013年度末の棚卸資産は、前年度末比164億円(2.6%)増加の6,429億円となりました。

 

外部顧客に対する売上高の地域別分析

 エレクトロニクス5分野合計の2013年度の外部顧客に対する地域別売上高は、前年度に比べ、日本で6%、米国で22%、欧州で34%、中国で11%、アジア・太平洋地域(日本及び中国を除く)では29%、その他地域では9%の増加となりました。全地域の合計で19%の増加となりました。

 日本においては、イメージセンサーの売上が減少しましたが、スマートフォンなどの売上が増加しました。米国においては、ゲーム事業などの売上が増加しました。欧州においては、スマートフォンやゲーム事業などの売上が増加しました。中国においては、イメージセンサーや液晶テレビなどの売上が増加しました。アジア・太平洋地域では、スマートフォンなどの売上が増加しました。その他地域では、デジタルカメラなどの売上が減少しましたが、スマートフォンなどの売上が増加しました。

 

地域別の生産状況

 エレクトロニクス5分野合計の2013年度の年間全生産高の約55%が自社生産、約45%が社外への生産委託によるものです。

 年間自社生産高のうち、約30%は日本における生産であり、コンパクトデジタルカメラ、家庭用ビデオカメラ、液晶テレビ、PC、放送用・業務用機器、半導体、コンポーネント(電池、記録メディアなど)などを生産しました。日本の年間自社生産高のうち約75%は輸出されました。中国における生産高は年間自社生産高の約45%で、そのうちの約70%は輸出されました。日本と中国を除いたアジアでは年間自社生産高の約20%を生産し、そのうちの約50%が米州、日本、欧州、中国向けに出荷されました。年間自社生産高の約5%が米州と欧州で生産され、ほとんどがそれぞれ生産された地域で販売されました。

 

映画分野

 2013年度より、映画分野の外部顧客に対する売上高につき、「映画製作」「テレビ番組制作」「メディアネットワーク」の3つのカテゴリーに分けて内訳の開示を行っています。映画製作には映画作品の製作・買付・配給・販売、テレビ番組制作にはテレビ番組の制作・買付・販売、メディアネットワークには、テレビ、デジタルのネットワークオペレーションなどが含まれています。

 映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Pictures Entertainment(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。

 2013年度の映画分野の売上高は、米ドルに対する円安の好影響により、前年度比13.2%増加し、8,296億円となりました。米ドルベースでは約6%の減収となりました。米ドルベースでの映画製作の売上は、劇場興行収入及び映像ソフト収入の減少により前年度に比べ大幅に減少しました。これは、前年度に「007 スカイフォール」、「アメイジング・スパイダーマン」、「メン・イン・ブラック 3」といった作品が好調な成績を収めたこと、及び映像ソフトの発売タイトル数が前年度に比べて少なかったことによるものです。一方、米ドルベースでのテレビ番組制作の売上は、前年度に比べ大幅に増加しました。これは、主に「Wheel of Fortune」を含むSPEが制作するクイズ番組に関するライセンス契約を対象範囲を拡大した上で更新したこと、及び米国のテレビ番組シリーズ「ブレイキング・バッド」の映像ソフト収入・会員制ビデオ・オン・デマンドからの収入の増加があったことによるものです。なお、メディアネットワークの売上も、広告収入及びデジタルゲーム収入等の増加により、前年度に比べ米ドルベースで増加しました。

 営業利益は、主に米ドルに対する円安の好影響により、前年度に比べ38億円増加し、516億円となりました。米ドルベースの営業損益は、前述のテレビ番組制作の増収、及びSPEが保有していた音楽出版カタログを当年度に売却したことによる106百万米ドル(103億円)の利益計上がありましたが、映画製作の減収、及び構造改革費用の増加などにより、前年度に比べ減益となりました。なお、2013年度においては「ホワイトハウス・ダウン」及び「アフター・アース」の劇場興行収入が想定を下回りました。

 

 2013年度末の未認識の放映権収入は約13億米ドルでした。すでに完成した映画作品やテレビ番組を放送局に提供する契約を放送局との間で締結しているため、SPEは今後10年間この金額を収入として計上することができると見込んでいます。放映権収入は放送可能となった年度において、放映権収入として認識されます。

 

ビジネス部門別の外部顧客向け売上高

 

 

 

2012年度

(百万円)

構成比

(%)

2013年度

(百万円)

構成比

(%)

増減率

(%)

映画製作

446,254

61.0

422,255

50.9

△5.4

テレビ番組制作

159,794

21.8

247,568

29.9

+54.9

メディアネットワーク

126,079

17.2

158,845

19.2

+26.0

合計

732,127

100.0

828,668

100.0

+13.2

 

音楽分野

 2013年度より、音楽分野の外部顧客に対する売上高につき、「音楽制作」「音楽出版」「映像メディア・プラットフォーム」の3つのカテゴリーに分けて内訳の開示を行っています。音楽制作にはパッケージ及びデジタルの音楽制作物の販売やアーティストのライブパフォーマンスからの収入、音楽出版には、楽曲の詞、曲の管理及びライセンス、映像メディア・プラットフォームには、音楽・映像関連商品の様々なサービス提供、アニメーション作品の制作・販売などが含まれています。

 音楽分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Music Entertainment(以下「SME」)の円換算後の業績、円ベースで決算を行っている日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの業績、及びソニーが株式の50%を保有する音楽出版事業の合弁会社であり、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony/ATV Music Publishing LLC(以下「Sony/ATV」)の円換算後の業績を連結したものです。

 2013年度の音楽分野の売上高は、主に米ドルに対する円安の好影響により、前年度比13.9%増加し、5,033億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合は、前年度比ほぼ横ばいとなりました。前年度の為替レートを適用した場合の売上高は、日本以外の多数の地域ではデジタル配信売上の増加や、多くのヒット作品がありましたが、日本の音楽市場縮小の影響などにより、音楽制作において減収となりました。一方、音楽出版、映像メディア・プラットフォームは増収となり、分野全体でほぼ前年度並みとなりました。当年度にヒットした作品には、ワン・ダイレクションの「ミッドナイト・メモリーズ」、ダフト・パンクの「ランダム・アクセス・メモリーズ」、ビヨンセの「ビヨンセ」、マイリー・サイラスの「バンガーズ」などがあります。

 営業利益は、前年度に比べ130億円増加し、502億円となりました。この増益は、EMI Music Publishingを中心とした持分法投資損益の改善、米ドルに対する円安の好影響、構造改革費用の減少などによるものです。

 

ビジネス部門別の外部顧客向け売上高

 

 

 

2012年度

(百万円)

構成比

(%)

2013年度

(百万円)

構成比

(%)

増減率

(%)

音楽制作

307,788

71.3

347,684

70.7

+13.0

音楽出版

52,764

12.2

66,869

13.6

+26.7

映像メディア・プラットフォーム

71,167

16.5

77,505

15.7

+8.9

合計

431,719

100.0

492,058

100.0

+14.0

 

金融分野

 ソニーの金融分野には、SFH及びSFHの連結子会社であるソニー生命保険㈱(以下「ソニー生命」)、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)の3社の業績が含まれています。

 以下に掲載されているソニー生命の業績は米国会計原則に則ったものであり、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。

 

 過年度の財務数値の一部を見直しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『3 主要な会計方針の要約 (5)過年度調整』参照)

 

 2013年度の金融ビジネス収入は、外貨建て顧客預金に関する為替差損益が改善したことなどによるソニー銀行の大幅な増収がありましたが、ソニー生命の減収により前年度比0.9%減少し、9,938億円となりました。ソニー生命の収入は、前年度比3.7%減少し、8,824億円となりました。この減少は、一時払養老保険等、保険料を主として収入ではなく預り金として計上する商品の新契約に占める割合が増加したことなどから保険料収入が減少したことによるものです。

 営業利益は、前述のソニー銀行における外貨建て顧客預金に関する為替差損益の改善などにより、前年度に比べ281億円増加し、1,703億円となりました。ソニー生命の営業利益は、前年度に比べ24億円増加し、1,598億円となりました。この増益は、利息配当金等収入の増加などにより、一般勘定における運用損益が改善したことによるものです。

 

金融分野を分離した経営成績情報

 以下の表は、金融分野の経営成績情報及び金融分野を除くソニー連結の経営成績情報です。この金融分野を分離した要約情報は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこの情報を金融分野を除く業績の分析に用いており、このような表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。

 

 過年度の財務数値の一部を見直しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『3 主要な会計方針の要約 (5)過年度調整』参照)

 

要約損益計算書(3月31日に終了した1年間)

 

金融分野

金融分野を除くソニー連結

ソニー連結

 

2012年度

2013年度

2012年度

2013年度

2012年度

2013年度

科目

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金融ビジネス収入

1,002,389

993,846

999,276

988,944

純売上高及び営業収入

5,799,582

6,780,504

5,796,228

6,778,322

売上高及び営業収入

1,002,389

993,846

5,799,582

6,780,504

6,795,504

7,767,266

金融ビジネス費用及び営業費用

857,877

821,218

5,713,090

6,921,294

6,562,053

7,733,397

持分法による投資利益(損失)

△2,303

△2,336

△4,645

△5,038

△6,948

△7,374

営業利益(損失)

142,209

170,292

81,847

△145,828

226,503

26,495

その他の収益・費用-純額

100

2

23,147

7,800

15,581

△754

税引前利益(損失)

142,309

170,294

104,994

△138,028

242,084

25,741

法人税等その他

43,328

54,161

117,013

53,290

200,544

154,110

金融分野の当期純利益

98,981

116,133

金融分野を除くソニー連結の当期純損失

△12,019

△191,318

当社株主に帰属する当期純利益(損失)

41,540

△128,369

 

その他分野

 2013年度の売上高は、前年度に比べ5.6%増加し、5,946億円となりました。この増収は、主にネットワーク事業の売上の増加と、為替の好影響によるものです。

 営業損益は、前年度の1,015億円の利益に対し、2013年度は586億円の損失となりました。この損益悪化は、主に、前年度にソニーの連結子会社であったエムスリー株式の一部売却にともなう売却益及び残りの持分に対する再評価益1,222億円の計上があったこと、また当年度にはエムスリーの株式の一部売却にともなう売却益128億円、Sony Corporation of Americaの完全子会社であったグレースノート社の全株式の売却にともなう売却益54百万米ドル(56億円)を計上したものの、日本及び米国以外のディスク製造事業の長期性資産及びディスク製造事業全体の営業権の減損256億円を計上したことによるものです。

 

構造改革

 厳しい経営環境の中、ソニーは、エレクトロニクス事業の再生と成長を実現するため、様々な変革に取り組んでいます。2014年2月、PC事業とテレビ事業の抜本的改革、及び販売・製造・本社間接部門の人員削減について発表しました。この人員削減にともなう効果として、2015年度以降に2013年度比1,000億円以上の固定費削減を見込んでいます。

 2013年度の構造改革費用は、前年度の775億円に対し、806億円となりました。(2013年度の金額には、50億円の構造改革に関する資産の減価償却費が含まれています。前年度には、構造改革に関する資産の減価償却費を31億円計上しました。)2013年度の構造改革費用は、前年度比31億円(4.0%)増加しました。2013年度の806億円の費用のうち418億円は人員関連の費用です。連結損益計算書上、この費用は主に販売費及び一般管理費に計上されています。人員関連の費用は前年度に比べ33.4%減少しました。2013年度の構造改革費用は、主に、エレクトロニクス事業及び本社の構造改革によるものです。

(「第2 事業の状況」で記載している構造改革費用は、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『20 構造改革にかかる費用及び資産の減損』に記載されている「構造改革に関する資産の減価償却費」を含んでいます。)

 

為替変動とリスク・ヘッジ

 2013年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ100.2円、134.4円と前年度の平均レートに比べ米ドルは17.1%、ユーロは20.3%の円安となりました。

 2013年度の連結売上高は、前年度に比べ14.3%増加し、7兆7,673億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合は約2%の減少となりました。前年度の為替レートを適用した場合の情報については、この章の最後の注記をご参照ください。

 連結営業利益は、前年度に比べ2,000億円減少し、265億円となりました。一方、前年同期の為替レートを適用した場合は、前年同期に比べ約2,860億円の減少となります。連結営業損益における為替変動の好影響は、主にエレクトロニクス5分野において生じたものです。

 前述の5分野ごとの為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「業績等の概況」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。

 

 

 

2012年度

2013年度

増減

前年同期の為替レートを適用した場合の増減

為替変動による影響額

 

 

(億円)

(億円)

 

 

(億円)

MP&C分野

売上高

12,576

16,301

+29.6%

+6%

+2,935

 

営業損失

△972

△750

+221億円

+293億円

△72

ゲーム分野

売上高

7,071

9,792

+38.5%

+16%

+1,564

 

営業利益(損失)

17

△81

△98億円

△198億円

+100

IP&S分野

売上高

7,562

7,412

△2.0%

△16%

+1,080

 

営業利益

14

263

+249億円

△133億円

+382

HE&S分野

売上高

9,948

11,686

+17.5%

△2%

+1,983

 

営業損失

△843

△255

+588億円

+537億円

+51

デバイス分野

売上高

8,486

7,942

△6.4%

△19%

+1,069

 

営業利益(損失)

439

△130

△569億円

△995億円

+426

 

 なお、映画分野の売上高は前年度比13.2%増加の8,296億円となりましたが、米ドルベースでは、約6%の減収でした。音楽分野の売上高は前年度比13.9%増加の5,033億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、ほぼ横ばいでした。詳細な分析は、「経営成績の分析」の「映画分野」及び「音楽分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFHを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。

 2013年度において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約500億円の減少、営業損益では約30億円の増加と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約100億円、営業損益では約70億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」4.事業等のリスク『(13)ソニーの業績及び財政状態は外国為替変動の影響を受ける可能性があります。』参照)

 ソニーの連結業績は、主に生産地と販売地の通貨が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。これらの変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て売上債権や買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。

 ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)をロンドンに設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSとソニー㈱がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しております。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前から3ヵ月前までの間にヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主にALMの一環としてデリバティブを活用しています。

 また、特にエレクトロニクス5分野では、為替変動が業績に与える影響を極力小さくするために、海外において市場により近い地域での資材・部品調達、設計、生産を推進しています。

 キャッシュ・フローヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられています。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、ただちにその他収益・その他費用に計上されています。2013年度末における外国為替契約の想定元本の合計及び負債に計上された公正価値(純額)の合計は、それぞれ2兆141億円、31億円となっています(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15 デリバティブ及びヘッジ活動』参照)。

注:この章において、前年度の為替レートを適用した場合の売上高は、2013年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して計算した売上高を指しています。為替変動による営業利益(損失)への影響は、前年度為替レートを適用した売上高から、前年度為替レートを適用した売上原価ならびに販売費及び一般管理費を差し引いた形で見込まれています。前年度の為替レートを適用した場合の、売上原価、販売費及び一般管理費は、今年度の現地通貨建て月別原価ならびに販売費及び一般管理費に対し、前年度の月次平均レートを適用して計算した原価ならびに販売費及び一般管理費を指しています。映画分野及び音楽分野のSME及びSony/ATVにおいては、前年度の為替レートを適用した金額が、米ドルベースとなっている場合もあります。前年度の為替レートを適用した場合の売上高及び営業利益(損失)は、米国会計基準に則って開示されるソニーの財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、前年度の為替レートを適用した場合の売上高及び営業利益(損失)は、投資家の皆様にソニーの営業概況を理解頂くための有益な分析情報と考えております。

 

所在地別の業績

 所在地別の業績は、企業のセグメント及び関連情報に関する開示にもとづく地域(顧客の所在国)別情報について、前述の「分野別営業概況」に含め関連付けて分析的に記載しています(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 セグメント情報』参照)。

 

資産及び負債・資本

 

資産

 2013年度末の総資産は、前年度末に比べ1兆1,227億円(7.9%)増加し、15兆3,337億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の総資産は、前年度末に比べ3,406億円(5.9%)増加し、6兆1,323億円となりました。金融分野では主にソニー生命の業容拡大により、7,778億円(9.1%)増加し、9兆3,479億円となりました。

 

流動資産

 2013年度末の流動資産は、前年度末に比べ5,584億円(15.3%)増加し、4兆2,049億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の流動資産は、前年度末比3,914億円(15.1%)増加し、2兆9,906億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結の現金・預金及び現金同等物は、前年度末に比べ1,813億円(29.0%)増加し、2013年度末において8,061億円となりました。これは主に、営業キャッシュ・フローの受取の増加によるものです(後述の「キャッシュ・フロー」参照)。

 金融分野を除いたソニー連結の受取手形及び売掛金(貸倒・返品引当金控除後)は、前年度末に比べ904億円(11.7%)増加し、8,642億円となりました。この増加は、主に、PS4TMの販売開始によるものです。

 金融分野を除いたソニー連結のその他流動資産は、部品組立業者との取引に関する未収入金が増加したことなどにより、前年度末比1,195億円(10.0%)増加し、1兆3,167億円となりました。

 棚卸資産は、前年度末に比べて239億円(3.4%)増加し、7,339億円となりました。一方、為替を除くと201億円(2.8%)減少し、6,900億円となりました。これは主に、PS4TMが好調な影響で、ゲーム分野全体として在庫が減少したことによるものです。売上原価に対する棚卸資産回転月数(各年度末とその前年度末の平均棚卸資産にもとづく)は前年度末の1.90ヵ月に対し、2013年度末は1.69ヵ月となりました。

 金融分野における2013年度末の流動資産は、主にソニー生命の業容拡大による有価証券の増加により前年度末比1,645億円(15.6%)増加の1兆2,165億円となりました。

 

投資及び貸付金

 投資及び貸付金は、前年度末に比べ6,019億円(8.2%)増加し、2013年度末において7兆9,190億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結の投資及び貸付金は、前年度末に比べ189億円(5.2%)増加し、3,811億円となりました。これは、主に、株価上昇による売却可能証券の評価額の増加によるものです。

 2013年度末の金融分野の投資及び貸付金は、前年度比5,813億円(8.3%)増加の7兆5,672億円となりました。これは主として、ソニー生命において国内債券を中心に投資金額が増加したこと、及びソニー銀行において住宅ローン貸付が増加したことなど、両社における業容の拡大によるものです(後述の「投資有価証券」参照)。

 

有形固定資産(減価償却累計額控除後)

 2013年度末の有形固定資産は、前年度末に比べ1,115億円(12.9%)減少し、7,500億円となりました。

 2013年度末の金融分野を除いたソニー連結の有形固定資産は、前年度末比1,137億円(13.4%)減少の、7,330億円となりました。この減少は主に、電池事業の長期性資産の減損、PC事業の長期性資産の減損、ならびに日本及び米国以外のディスク製造事業の長期性資産の減損を計上したことなどによるものです。2013年度の設備投資額(有形固定資産の増加額)は、前年度に比べ240億円(12.7%)減少し、1,646億円となりました。この減少は、主に半導体事業における投資が減少したことによるものです。

 金融分野の有形固定資産は、前年度末に比べ22億円(14.6%)増加し、2013年度末において171億円となりました。

 

その他の資産

 2013年度末のその他の資産は、ディスク製造事業全体の営業権の減損があったものの、米ドルとユーロに対する円安の影響にともなう営業権の増加、及びソニー生命における保有契約高の増加による繰延保険契約費の増加により、前年度末比683億円(3.2%)増加し、2兆1,840億円になりました(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『10 営業権及び無形固定資産』と『11 保険関連科目』参照)。

 

負債

 2013年度末の流動負債及び固定負債合計は、前年度末に比べ1兆104億円(8.8%)増加し、12兆5,465億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の流動負債及び固定負債合計は、前年度末に比べ3,366億円(8.5%)増加し、4兆3,145億円となり、金融分野では6,696億円(8.8%)増加し、8兆2,669億円となりました。

 

流動負債

 2013年度末の流動負債は、前年度末に比べ4,685億円(10.9%)増加し、4兆7,836億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の流動負債は、前年度末に比べ4,352億円(19.1%)増加し、2013年度末において2兆7,142億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結の短期借入金及び1年以内に返済期限が到来する長期借入債務は、前年度末に比べ1,377億円(58.9%)増加し、3,716億円となりました。これは主に、2014年度中に償還期限が到来する第25回無担保社債(1,100億円)などの長期借入債務が、流動負債に振替えられたことによるものです。

 金融分野を除いたソニー連結の支払手形及び買掛金は、主にPS4TMハードウエアの生産や販売開始により、前年度末比1,407億円(24.6%)増加し、7,128億円となりました。

 2013年度末の金融分野の流動負債は、前年度末比309億円(1.5%)増加の2兆717億円となりました。これは主として、ソニー銀行における顧客預金の増加によるものです。

固定負債

 2013年度末の固定負債は、前年度末に比べ5,419億円(7.5%)増加し、7兆7,629億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結の固定負債は、前年度末に比べ986億円(5.8%)減少し、1兆6,004億円となりました。また、金融分野を除いたソニー連結の長期借入債務は、前年度末に比べ396億円(4.3%)減少し、8,754億円となりました。この減少は、前述のとおり長期借入債務が流動負債へ振替えられたことなどによるものです。2013年度末の金融分野の固定負債は、前年度末に比べ6,387億円(11.5%)増加し、6兆1,952億円となりました。これは主として、ソニー生命における保有契約高の増加によるものです。

 

有利子負債

 2013年度末の短期借入金と長期借入債務を合わせた有利子負債残高合計は、前年度に比べ1,118億円(9.5%)増加し、1兆2,944億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の有利子負債残高合計は、前年度に比べ982億円(8.5%)増加し、1兆2,470億円となりました。

 

償還可能非支配持分

 2013年度末の償還可能非支配持分は、前年度に比べ11億円(37.3%)増加し、41億円となりました。

 

当社株主に帰属する資本

 2013年度末の当社株主に帰属する資本は、前年度に比べ659億円(3.0%)増加し、2兆2,581億円となりました。利益剰余金は、当社株主に帰属する当期純損失1,284億円の計上により、前年度末比1,545億円(14.1%)減少の9,403億円となりました。一方、累積その他の包括利益は、主に外貨換算調整額1,589億円を計上したことにより、前年度末に比べ1,879億円(29.4%)改善し、4,516億円の損失となりました。なお、2013年度末の当社株主に帰属する資本比率は、前年度末の15.4%から0.7ポイント下落して14.7%になりました。

 

金融分野を分離した財務情報

 以下の表は、金融分野の財務情報、金融分野を除くソニー連結の財務情報、及びソニー連結の財務情報です。この情報は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこの情報を金融分野を除く業績の分析に用いており、このような表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。なお、2012年度の財務数値の一部を見直しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『3 主要な会計方針の要約(5)過年度調整』参照)

 

要約貸借対照表

(単位:百万円)

金融分野

金融分野を除く

ソニー連結

ソニー連結

 

2012年度

2013年度

2012年度

2013年度

2012年度

2013年度

資産

 

 

 

 

 

 

 

流動資産

1,051,990

1,216,517

2,599,170

2,990,587

3,646,533

4,204,886

 

現金・預金及び現金同等物

201,550

240,332

624,811

806,134

826,361

1,046,466

 

有価証券

694,130

828,944

3,467

3,622

697,597

832,566

 

受取手形及び売掛金(貸倒・返品引当金控除後)

6,834

7,855

773,784

864,178

776,492

871,040

 

その他

149,476

139,386

1,197,108

1,316,653

1,346,083

1,454,814

 

繰延映画製作費

270,089

275,799

270,089

275,799

 

投資及び貸付金

6,985,918

7,567,242

362,188

381,076

7,317,125

7,919,011

 

金融ビジネスへの投資(取得原価)

111,476

111,476

 

有形固定資産

14,886

17,057

846,664

732,953

861,550

750,010

 

その他の資産

517,287

547,100

1,602,061

1,640,385

2,115,736

2,184,014

 

繰延保険契約費

465,499

497,772

465,499

497,772

 

その他

51,788

49,328

1,602,061

1,640,385

1,650,237

1,686,242

 

8,570,081

9,347,916

5,791,648

6,132,276

14,211,033

15,333,720

負債及び資本

 

 

 

 

 

 

 

流動負債

2,040,749

2,071,670

2,278,968

2,714,163

4,315,089

4,783,614

 

短期借入金

10,322

6,148

233,859

371,606

244,182

377,754

支払手形及び買掛金

572,102

712,829

572,102

712,829

銀行ビジネスにおける顧客預金

1,857,448

1,890,023

1,857,448

1,890,023

その他

172,979

175,499

1,473,007

1,629,728

1,641,357

1,803,008

固定負債

5,556,552

6,195,243

1,698,983

1,600,384

7,220,943

7,762,850

長期借入債務

27,008

44,678

915,032

875,440

938,428

916,648

未払退職・年金費用

21,195

22,404

290,274

262,558

311,469

284,963

保険契約債務その他

5,251.142

5,848,044

5,251,142

5,848,044

その他

257,207

280,117

493,677

462,386

719,904

713,195

償還可能非支配持分

2,997

4,115

2,997

4,115

金融分野の株主に帰属する資本

970,877

1,079,740

金融分野を除くソニー連結の株主に帰属する資本

1,722,296

1,722,743

当社株主に帰属する資本

2,192,262

2,258,137

非支配持分

1,903

1,263

88,404

90,871

479,742

525,004

8,570,081

9,347,916

5,791,648

6,132,276

14,211,033

15,333,720

 

投資有価証券

 売却可能証券及び満期保有目的証券に区分されるものの未実現評価損益は次のとおりです。

 

項目

2014年3月31日現在(単位:百万円)

取得原価

未実現

評価益

未実現

評価損

公正価値

金融ビジネス:

 

 

 

 

売却可能証券

 

 

 

 

負債証券

 

 

 

 

ソニー生命

1,051,959

114,238

△37

1,166,160

ソニー銀行

739,173

20,876

△172

759,877

その他

24,765

73

△2

24,836

持分証券

 

 

 

 

ソニー生命

13,677

10,065

△3

23,739

ソニー銀行

その他

730

287

1,017

満期保有目的証券

 

 

 

 

負債証券

 

 

 

 

ソニー生命

4,422,302

417,682

△1

4,839,983

ソニー銀行

8,323

460

8,783

その他

74,288

4,647

△3

78,932

6,335,217

568,328

△218

6,903,327

金融ビジネスを除くその他のビジネス:

 

 

 

 

売却可能証券

77,269

81,805

△62

159,012

満期保有目的証券

77,269

81,805

△62

159,012

 

 

 

 

 

連結合計

6,412,486

650,133

△280

7,062,339

 

 2014年3月31日現在、ソニー生命が保有する負債証券及び持分証券の未実現評価損の総額は、それぞれ38百万円及び3百万円でした。ソニー生命は、原則として、国内外の公社債に投資しており、その多くはStandard&Poor's Ratings Services(以下「S&P」)、Moody's Investors Service(以下「ムーディーズ」)等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。

 2014年3月31日現在、ソニー銀行が保有する負債証券の未実現評価損の総額は2億円でした。このうち12ヵ月超継続して未実現評価損の状況にある有価証券に関するものは8.7%です。ソニー銀行は、原則として、日本の国債、社債及び外国債券に投資しており、その多くはS&P、ムーディーズ等の格付け会社によりBBB、又は同等以上に格付けされています。

 これらの未実現評価損は多数の有価証券から構成されており、個々の有価証券の未実現評価損に金額的な重要性はありません。さらに、個々の公正価値の下落金額及び下落率とも僅少であり、公正価値の下落は一時的であると判定されていることから、これらの未実現評価損を認識した有価証券の中に、減損の基準に合致したものはありません。

 2014年3月31日現在、ソニー生命が保有する償還期日を有する有価証券のうち、未実現評価損(38百万円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。

 

1年以内                    100.0%

1年超5年以内               -

5年超10年以内         -

10年超                     -

 

 2014年3月31日現在、ソニー銀行が保有する償還期日を有する有価証券のうち、未実現評価損(2億円)を有するものの満期日は、以下のとおりです。

 

1年以内                     11.6%

1年超5年以内              80.3%

5年超10年以内         8.1%

10年超                     -

 

 ソニーは通常の事業において、多くの非公開会社の株式を長期の投資有価証券として保有し、これらは投資有価証券その他に含まれています。2014年3月31日におけるこれらの非公開会社に対する投資の簿価合計は548億円です。非上場会社の持分証券は公正価値が容易に算定できない場合、主に取得原価で計上されています。非上場会社に対する投資の価値が下落したと評価され、その下落が一時的でないと判断される場合は直ちに減損を認識し、公正価値まで評価減を行います。

 2012年度及び2013年度において実現した減損は、総額でそれぞれ86億円及び18億円計上されました。このうち、2012年度及び2013年度において、それぞれ8億円及び2億円が、金融分野の子会社により金融ビジネス収入として計上されています。金融分野の子会社以外の実現した減損額は、主として金融分野以外の戦略投資に関するもので、その他の費用として計上されています。この戦略投資は、主にソニーが新技術の開発及びマーケティングのために戦略的関係を有する日本及び米国所在の企業に関するものです。これらの減損の計上は、過去2年間において、これら新技術の開発及び販売に成功しなかったため、これらの企業の業績が以前の見通しより悪化したことにより、これらの企業の公正価値の下落が一時的でないと判断されたことにもとづくものです。個々の減損につき、金額的に重要性のあるものはありません。

 有価証券の減損が生じたと判断された場合には、その公正価値にもとづく価額まで評価減を行います。活発な市場における取引価格が入手可能な有価証券の公正価値は、減損の判断が行われた時点での未調整の取引価格にもとづき測定されます。前述以外の有価証券の公正価値は通常、類似特性を持った有価証券の取引価格にもとづき測定され、もしくは、価格決定モデル、割引キャッシュ・フロー法、又は市場参加者が価格決定に使用するであろう前提に関するマネジメントの重要な判断もしくは見積りを必要とする類似評価手法を用いて算定されます。過去2年間において計上された減損は、個々の有価証券に固有な要因及び状況によるもので、他の有価証券に対して重要な影響を与えるものではありません。

 金融分野の投資額は主にソニー生命とソニー銀行により構成されています。2014年3月31日現在、ソニー生命、ソニー銀行の投資額はそれぞれ金融分野全体の投資額の約87%及び約11%を占めています。

 

借入債務、オペレーティング・リースによる最低賃借料、契約債務及び偶発債務

 2014年3月31日現在におけるソニーの既発債務及び契約債務は以下のとおりです。(「注記」は、連結財務諸表注記)

 

項目

期限別支払額(単位:百万円)

合計

1年未満

1年以上

3年未満

3年以上

5年未満

5年以上

 

既発債務及び契約債務

 

 

 

 

 

 

短期借入債務(注記12)

111,836

111,836

 

長期借入債務(注記9、12)

 

 

 

 

 

 

キャピタル・リース債務

90,560

38,487

40,169

6,462

5,442

 

その他長期借入債務

1,092,006

227,431

277,134

428,982

158,459

 

その他長期借入債務に係る利息

31,793

8,219

12,440

7,464

3,670

 

オペレーティング・リース取引による最低賃借料(注記9)

302,497

62,152

88,008

46,192

106,145

 

契約債務(注記28)

 

 

 

 

 

 

映画作品及びテレビ番組の製作又は配給権購入のための予定支払額

125,268

54,484

55,839

14,942

3

 

音楽アーティストならびに音楽ソフトやビデオの制作・販売会社との長期契約

60,121

24,038

21,308

7,572

7,203

 

広告宣伝の権利に関する長期スポンサーシップ契約

52,389

9,363

12,890

11,795

18,341

 

その他の契約債務

74,106

33,585

28,641

7,962

3,918

 

生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定(注記11)*

15,722,745

382,426

852,585

933,135

13,554,599

 

総未認識税務ベネフィット(注記22) **

214,795

 

合計

17,878,116

952,021

1,389,014

1,464,506

13,857,780

 

*  生命保険ビジネスにおける保険契約債務その他及び契約者勘定の期限別支払額は、保険契約者等に対する将来の予測支払額です。これらの支払額は罹患率、死亡率及び契約脱退率等の予測にもとづいて算定されています。上記の金額は割引現在価値ではありません。上記の合計金額の15兆7,227億円は、主として金銭の時間的価値の違いにより、連結貸借対照表の計上額である5兆8,104億円より大きくなっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11 保険関連科目』参照)

** 総未認識税務ベネフィットの合計額は、未認識税務ベネフィットに関する会計基準にもとづく総未認識税務ベネフィットに関する負債を示しています。この負債のうち、1年以内に解決すると予測している残高はありません。それ以外の残高の214.8億円については、様々な税務当局との合意の時期の不確実性により、その解決時期を合理的に見積もることはできません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照)

 

 以下の項目は、上記の表及び下記の2014年3月31日現在における契約債務の総額には含まれていません。

• 将来における年金支払の合計額については、現時点では確定できないため、含まれていません。なお、ソニーは2014年度において、給付建年金制度に対して日本国内制度で約130億円、海外制度で約70億円を拠出する予定です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『16 年金及び退職金制度』参照)

• 金融子会社が提供する、顧客に対する貸付契約にもとづく貸付の未実行残高は、現時点では顧客による借入金額を予測できないため、上記の表には含まれていません。なお、2014年3月31日現在、これらの貸付未実行残高は242億円です。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 契約債務、偶発債務及びその他』参照)

• 特定の部品組立業者及び生産受託業者からの購入は、ソニーにおける製造のための供給の継続及び最善の価格を達成するために通常の業務過程に組み込まれており、典型的な拘束力を有する購入義務ではないことから含まれていません。購入義務は、ソニーに対して法的拘束力を有する、物品あるいはサービスの購入に関する契約義務として定義されます。これらの義務には購入数量や価格、取引時期に関する条項など、重要な条項が含まれますが、違約金の支払をともなわずに解約できる契約は含まれません。購入には、ソニーが特定の部品組立業者との間で締結している、これらの部品組立業者のために部品を含む物品を調達し、関連する再購入の際に支払から控除する契約が含まれます。これにより、在庫リスクを最小化する、ソニーのフレキシブルなサプライチェーン・マネジメントと、これらの会社との間における相互に利点のある調達関係の実現が可能となります。業界の慣行にしたがい、ソニーが提供する需要予測や生産計画にもとづき、部品組立業者から技術的基準を満たす部品の購入を行っています。

• 法人顧客からの将来の供給に対する前受金は、S&P又はムーディーズによる格付けの低下(S&Pは“BBB-”未満、又は、ムーディーズは2014年3月の条件改訂により”Baa3”から“Ba1”未満に緩和)を含む一定の条件に抵触した場合のみ一括返済の義務を負うことから含まれていません。起こり得る最大の返済額は355億円であり、これらは前受金の充当予定期間に応じて、連結貸借対照表の流動負債のその他に284億円、固定負債のその他に71億円を計上しています。前受金は、契約に定められた期間中の法人顧客に対する製品の売上代金に充当されます。

 

 ソニーはこれらの資金需要のために、保有資金やそれぞれのビジネスの営業活動から得た資金を充当し、可能であればグループ内資金融通を行った上、必要があればCPプログラム、社債発行や銀行のクレジットラインにもとづき資金を調達します。

 

 訴訟及び製品保証を含む保証債務については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 契約債務、偶発債務及びその他』をご参照ください。

 

オフバランス取引

 ソニーは流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。

 これらの取引は、ソニーが売掛債権に対する支配を放棄したことから、金融資産の譲渡に関する会計基準にもとづき売却として会計処理されます。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『7 金融資産の移転』参照)また、一部の売掛債権売却プログラムには変動持分事業体(以下「VIE」)が関与していますが、ソニーは第一受益者ではないためこれらのVIEを連結対象とはしていません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『24 変動持分事業体』参照)

(3)キャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フロー:2013年度において営業活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比1,880億円(39.5%)増加し、6,641億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結では、2,572億円の受取超過となり、前年度比2,187億円(568.5%)の受取の増加となりました。この受取の増加は、主にPS4TMハードウエアの生産拡大にともない、支払手形及び買掛金が減少から増加に転じたことなどのキャッシュ・フローを改善させる要因によるものです。一方、PS4TMハードウエアの生産拡大や販売台数の増加にともない、受取手形及び売掛金やその他の流動資産に含まれる部品組立業者との取引に関する未収入金が減少から増加へ転じたことや、棚卸資産の減少額の縮小といったキャッシュ・フローを悪化させる要因もありました。なお、2013年度の受取手形及び売掛金には、映画分野において米国における売掛債権売却プログラムを実施した影響も含まれます。

 金融分野では4,136億円の受取超過となり、前年度比297億円(6.7%)の減少となりました。この減少は、主に、ソニー生命における保険料収入の減少によるものです。

 

 投資活動によるキャッシュ・フロー:2013年度において投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比52億円(0.7%)増加し、7,105億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結では943億円の支払超過となり、前年度比445億円(89.3%)の増加となりました。この増加は主に、2013年度の固定資産やビジネスの売却による収入が前年度に比べて減少したことによるものです。2013年度の固定資産やビジネスの売却には、機械装置に関して実施したセール・アンド・リースバック取引による収入及び米国グレースノート社の全株式の売却が含まれます。前年度の固定資産やビジネスの売却には、ソニーシティ大崎、米国本社ビル、及びケミカルプロダクツ関連事業の売却が含まれます。

 金融分野では6,162億円の支払超過となり、前年度比396億円(6.0%)の減少となりました。この減少は、主に、ソニー銀行における投資有価証券の売却にともなう収入が前年度に比べて増加したことによるものです。

 金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの2013年度における合計*は、前年度の支出超過から1,743億円改善し、1,629億円の受取超過となりました。

 

 財務活動によるキャッシュ・フロー:2013年度において財務活動から得た現金・預金及び現金同等物(純額)は、前年度比1,193億円(134.8%)増加し、2,079億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結では、402億円の支出超過となり、前年度比1,154億円(74.2%)の減少となりました。この減少は主に、2013年度において、前年度に比べ長期借入の返済(純額)が減少したことや、前年度にソネットエンタテインメント㈱(現:ソネット㈱)の株券等に対する公開買付けがあったことと、2013年度において、前年度に比べ短期借入金が増加したことによるものです。

 金融分野では2,415億円の受取超過となり、前年度比25億円(1.0%)の増加となりました。この増加は、ソニー銀行において借入が増加したことなどによるものです。

 

 現金・預金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2014年3月末の現金・預金及び現金同等物期末残高は1兆465億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の2014年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2013年3月末に比べ1,813億円(29.0%)増加し、8,061億円となりました。2013年12月末比では1,978億円(32.5%)の増加となりました。ソニーは各子会社に資金余剰、もしくは資金不足が生じた場合にはSGTSを通じてグローバルに資金の貸し借りを行うことでグループ内の資金を有効活用するシステムを整えています。一部の地域において資金の移動が現地の法律により制限されることはありますが、影響を受ける金額は軽微と考えています。(「第2 事業の状況」『7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』の『(4)流動性と資金の源泉』の“キャッシュ・マネジメント”に参照)なお、ソニーではこの他に円換算で総額7,333億円の未使用の金融機関とのコミットメントラインを保持しており、十分な流動性を継続的に確保していると考えています。金融分野の2014年3月末における現金・預金及び現金同等物期末残高は、2013年3月末に比べ388億円(19.2%)増加し、2,403億円となりました。2013年12月末比では6億円(0.3%)の減少となりました。

 

*ソニーは、その経営指標として用いる「金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの合計」を開示情報に含めています。この情報は、金融分野を除く事業が流動性の保持、借入金の返済、及び配当金の支払いに必要な資金を確保できるかを評価するために重要な情報と考えています。この情報は金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報をもとに作成しています。これらのキャッシュ・フロー情報はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則で要求されているものではなく、また米国会計原則に則って作成されているものではありません。金融分野の大部分を構成する、日本で上場している金融持株会社のSFHと傘下の子会社は独自に流動性を確保しているため、金融分野のキャッシュ・フローはこの情報に含まれていません。この情報は他の企業の開示情報と比較できない可能性があります。また、この指標は負債返済に必要な元本返済支出の控除は行っておらず、裁量支出に使用可能な残余キャッシュ・フローを表しているものではないという限界があります。したがって、ソニーはこの情報を連結キャッシュ・フロー計算書に対する補足情報として、投資や利用可能な融資枠、及び流動性に関する情報とあわせて開示しており、連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。なお、2012年度の財務数値の一部を見直しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『3 主要な会計方針の要約(5)過年度調整』参照)

 連結キャッシュ・フロー計算書と「金融分野を除く営業活動及び投資活動による連結キャッシュ・フローの合計」の差異の照合調整表は以下のとおりです。

科目

2012年度

金額(億円)

2013年度

金額(億円)

連結キャッシュ・フロー計算書上の営業活動から得た

現金・預金及び現金同等物(純額)

4,762

6,641

連結キャッシュ・フロー計算書上の投資活動に使用した

現金・預金及び現金同等物(純額)

△7,053

△7,105

 

△2,291

△464

控除:金融分野における営業活動から得た

現金・預金及び現金同等物(純額)

4,433

4,136

控除:金融分野における投資活動に使用した

現金・預金及び現金同等物(純額)

△6,559

△6,162

消去 **

52

67

金融分野を除く営業活動及び投資活動から得た(に使用した)

連結キャッシュ・フローの合計

△113

1,629

 

**消去は主にセグメント間の配当金の支払いです。

 

金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報(監査対象外)

 以下の表は、金融分野のキャッシュ・フロー情報、金融分野を除くソニー連結のキャッシュ・フロー情報、及びソニー連結のキャッシュ・フロー情報です(監査対象外)。このキャッシュ・フロー情報は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこの情報を金融分野を除く業績の分析に用いており、このような表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。なお、2012年度の財務数値の一部を見直しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『3 主要な会計方針の要約(5)過年度調整』参照)

 

 

要約キャッシュ・フロー計算書

 

金融分野

金融分野を除く

ソニー連結

ソニー連結

 

2012年度

2013年度

2012年度

2013年度

2012年度

2013年度

科目

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

営業活動から得た現金・預金

及び現金同等物(純額)

443,284

413,555

38,478

257,224

476,165

664,116

投資活動に使用した現金・預金及び現金同等物(純額)

△655,859

△616,223

△49,801

△94,279

△705,280

△710,502

財務活動から得た(財務活動に使用した)現金・預金及び現金同等物(純額)

238,974

241,450

△155,663

△40,236

88,528

207,877

為替相場変動の現金・預金及び現金同等物に対する影響額

72,372

58,614

72,372

58,614

現金・預金及び現金同等物純増加・減少(△)額

26,399

38,782

△94,614

181,323

△68,215

220,105

現金・預金及び現金同等物

期首残高

175,151

201,550

719,425

624,811

894,576

826,361

現金・預金及び現金同等物

期末残高

201,550

240,332

624,811

806,134

826,361

1,046,466

 

(4)流動性と資金の源泉

 以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野については当該項目の最後に別途説明しています。

 

流動性マネジメントと資金の調達

 ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全なバランスシートを維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金・預金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけており、連結月次売上高の50%及び半年以内に期限が到来する債務返済額の合計額を、十分にカバーできる流動性を通年にわたり維持することを基本方針としています。

 流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フローの合計及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて金融・資本市場からの資金調達を行う能力も有しています。また金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及び金融機関とのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。

 ソニーは、主として当社及び英国における金融子会社であるSGTSを通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。当社は2013年6月に国内個人向け無担保普通社債(総額1,500億円)を発行しました。この発行により調達した資金は、債務返済資金及び設備資金に充当しました。詳細は連結財務諸表注記『12 短期借入金及び長期借入債務』に記載のとおりです。

 当社及びSGTSは運転資金需要に対応するため、市場環境によって左右されることはありますが、日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なコマーシャルペーパー(以下「CP」)のプログラム枠を有しています。2013年度末時点で当社とSGTSは、円換算で合計8,088億円分のCPプログラム枠を保有していますが、2013年度は年間を通じてCPの発行実績はありません。

 ソニーは通常は上記の普通社債、CPに加え、シンジケートローンを含めた銀行借入などの手段を通じて調達を行っています。市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2013年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で7,333億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる4,750億円の円貨コミットメントライン(2016年11月満期)、日本の銀行団と結んでいる1,500百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン(2018年12月満期)、外国の銀行団と結んでいる1,010百万米ドルの複数通貨建コミットメントライン(2015年4月満期)であり、全て当社及びSGTSが借入主体となっています。これらの目的は、金融・資本市場の混乱期においても機動的・安定的な資金調達を可能とし十分な流動性を確保することです。

 グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。なお、法人顧客との契約においては、ソニーの格付け低下を含む一定の場合に、前受金の返済義務が生じるものがあります。詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 契約債務、偶発債務及びその他』に記載のとおりです。また、ほとんどの借入金に使途制限はありませんが、例外として一部に米国連邦準備制度理事会などの規制に従い、米国の証券取引所に上場されている有価証券や米国の店頭市場において取引されている有価証券の取得に関して使途制限があります。

 

格付け

 ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。

 ソニーは、グローバルな資本市場から円滑な資金調達を行うにあたり、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」)及びムーディーズ・ジャパン㈱(以下「ムーディーズ」)の2社より格付けを取得しています。また、日本国内の資本市場からの調達にあたっては、日本の格付会社である㈱格付投資情報センター(以下「R&I」)及び㈱日本格付研究所からも格付けを取得しています。

 2013年度において、S&P及びムーディーズによる格付けが引き下げられました。しかしながら、これらの格下げによってソニーの流動性や財務柔軟性に重大な悪影響は出ておりません。またソニーは現時点において、引き続き金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持していると考えています。(将来の格付け低下によるリスクについては、「第2 事業の状況」『4 事業等のリスク』参照)

 

キャッシュ・マネジメント

 ソニーはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、SGTSにより純額ベースで運用又は調達しています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合はSGTSに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合にはSGTSを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーはSGTSの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。

 

金融分野

 SFH、ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行の各マネジメントは、業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しています。ソニー生命、ソニー損保、ならびにソニー銀行は、法令(保険業法及び銀行法など)や金融庁及びその他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、それに準拠した社内規程を制定、運用しながら、十分な現預金等を準備し、支払能力を確保することに努めています。ソニー生命及びソニー損保は、受取保険料を主な資金の源泉とし、有価証券を中心とした投資を行うにあたり、保険金等の円滑な支払等に十分な水準の流動性を確保しています。ソニー銀行は、顧客からの円貨・外貨建て預金を主な資金の源泉とし、住宅ローンを中心とする貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。外貨建て顧客預金で得られた資金は、同じ通貨建の金融商品に投資されています。

 なお、金融分野の子会社は、保険業務、銀行業務の公共性から、その信用を維持し、契約者や預金者の保護を確保することが保険業法、銀行法で定められております。したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されており、金融分野の子会社は、上記のSGTSを介したグローバルなキャッシュ・マネジメントからも隔離されています。