文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成30年6月29日)現在において判断したものです。
(1) 会社経営の基本方針
当社は、「事業活動を通じて、世界中の人々のくらしの向上と、社会の発展に貢献する」という創業以来の経営理念を体現したブランドスローガン「A Better Life, A Better World」のもと、お客様一人ひとりにとっての「より良いくらし、より良い世界」の実現に向けて事業活動を行っています。
(2) 会社の経営戦略と対処すべき課題
①平成30年度の主な取り組みについて
当社では平成30年度の会社の経営目標として、営業利益及び当期純利益の目標を有しています。その達成及びその後の持続的成長に向けて、平成29年度は、増収増益を実現・定着させるための「成長戦略」を推進しました。具体的には、平成29年4月1日付で旧AVCネットワークス社を母体に新しいカンパニー「コネクティッドソリューションズ社」を設立し、グループ全体のB2B事業成長の中核を担う顧客密着型事業体制を構築したほか、車載用のリチウムイオン電池に関する設備投資や、パナホーム㈱の完全子会社化、スペインの自動車部品・システムサプライヤーであるフィコサ・インターナショナル㈱の連結子会社化等のM&A関連投資を実施しました。こうした取り組み等が奏功し、平成29年度は増収増益を実現することができました。
平成30年度の経営環境は、地政学的リスクや新興国経済の悪化、各国の政治・政策動向などに不確実性がみられるものの、世界経済全体としては緩やかな回復の継続が見込まれます。日本では、水準は弱めながらも消費が回復傾向にある一方、今後は経済対策による公共投資の押し上げ効果がなくなり、経済成長率は低下する見通しです。このような状況のもと、平成30年度については、経営資源を集中する分野をより明確にしながら、持続的に成長していくための戦略を推進していきます。
②各セグメントにおける代表的な取り組み
アプライアンス
家電事業は、持続的な増収増益の実現を目指し、成長が期待できる空調事業、美・理容器具や調理器具などのスモール・ビルトイン事業への集中投資を進めるとともに、成長率が高いアジア・中国市場に注力していきます。海外への権限移譲をさらに進め、現地のお客様の要望をより反映した商品を提供していきます。また、社外の技術・知見も積極的に活用することで、IoTを駆使した家電の進化を加速し、「新たな憧れ」づくりに挑戦していきます。
エコソリューションズ
「A Better Life」を家、街、社会へ拡げていくことを目指し、人が暮らす場面をより良く、快適にする事業を実現していきます。「空間創造事業」では、電設資材や住設建材に加え、グループの総合力を活かしたパナソニックならではの新たな空間価値を提供していきます。また、建築事業をはじめとする「くらし創造事業」では、住宅元請事業や街づくり事業の強化を進めます。
コネクティッドソリューションズ
お客様企業のテクノロジーパートナーとして、現場業務の生産性向上と、継続的な価値創出で、お客様の事業の成長に貢献する姿を目指します。具体的には、製造業で培ったノウハウや、ロボティクス技術をテコに、消費者ニーズの多様化や高度化、労働力不足等の課題に直面されているお客様がモノをつくる・運ぶ・売るプロセスを革新し、需給のマッチングやトレーサビリティ向上等、お客様のバリューチェーンにまたがる新たな価値を創造していきます。
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
急成長を支える経営基盤の強化に取り組むとともに、収益視点で「選択と集中」を進めます。オートモーティブ事業は、車載インフォテインメント(IVI)、コックピット、先進運転支援システム(ADAS)、車の電動化を支える商品(充電器等)に注力し、収益成長を実現していきます。エナジー事業は、自動車メーカーとの連携をさらに進めることで車載電池が成長を牽引します。インダストリアル事業は、車載・産業向け事業の中でも成長性の高い、車の電動化や自動運転、省人化、ITインフラを支えるデバイスへさらに集中し、高収益を追求します。
③持続的成長を支える基盤
コーポレート・ガバナンス
当社は、コーポレート・ガバナンスを、中長期的な企業価値向上のための重要な基盤と位置づけ、実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制の強化を継続的に推進しています。平成30年4月1日より、顧問制度を見直し、新たな制度に移行しました。従来、相談役・特別顧問が担ってきた各種財団・社団法人の役員等、社外の役割は、会長・社長経験者が「特別顧問」として、その役割を担い、相談役は設けないこととします。また特別顧問は非常勤・無報酬とし、任期は80歳を上限とします。
環境
当社グループは、持続可能な社会の実現を目指して策定した「環境ビジョン2050」に向けて、創・蓄・省・エネルギーマネジメントに関する商品、技術、ソリューションの開発を通じて、当社グループが使うエネルギーの削減と、それを超えるエネルギーの創出・活用を進めていきます。また、CO2排出量削減では、2050年までに自らの事業活動による排出量をゼロにする目標を掲げ、工場等での省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの活用に取り組んでいきます。
人材戦略
当社グループは、今後一層、伸びる市場・顧客の近くで事業創造・成長を牽引していくため、国籍・社歴に関わらず多様な人材が活躍できる環境・仕組みへの転換、最適人材の育成・登用を進めています。具体的には、各地域内の責任者で構成される「タレントマネジメントコミッティ」を現地主体で推進・強化することにより、会社や国を越えた人材配置・キャリア形成を加速しています。また、個々の人材のスキル・経験等を見える化する「グローバル人材データベース」や、グローバル共通の考え方で、成果を測り人材育成を加速する「パフォーマンスマネジメント」などの仕組みも順次導入しています。
(3) 株式会社の支配に関する基本方針
①当社の企業価値向上に向けた取り組み
当社は創業以来、「事業活動を通じて、世界中の人々のくらしの向上と、社会の発展に貢献する」という経営理念をすべての活動の指針として、事業を進めてまいりました。今後も、製造業として培ってきた強みを磨きながら、様々なパートナーとともに、お客様一人ひとりにとっての「より良いくらし、より良い世界」を実現していくなかで、株主の皆様や投資家、お客様、取引先、従業員をはじめとするすべての関係者の皆様にご満足いただけるよう、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
平成30年度については、経営資源を集中する分野を明確にしながら、持続的に成長していくための戦略を推進してまいります。
②大規模買付行為に対する取り組み
当社は、当社株式の大規模な買付行為がなされた場合にこれを受け入れるかどうかは、最終的には、株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えております。ただし、大規模買付行為のなかには、株主の皆様が適切な判断を行うために必要な情報が十分に提供されない場合や、その目的などからみて、企業価値・株主共同の利益を著しく侵害するおそれがある場合もあり得ます。
当社は、当社株式の大規模買付を行おうとする者に対しては、株主の皆様が適切な判断を行うために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を表明・開示し、株主の皆様の検討のための時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法、およびその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。また、取締役会の意見等の表明・開示にあたっては、その内容の客観性を確保するため、社外取締役、社外監査役で構成される独立委員会を設置し、取締役会として意見を諮問するとともに、本委員会の答申を最大限尊重してまいります。
当社グループでは、年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグローバル共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを行っています。これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベル(全社、カンパニー、事業部等)において、当該リスクの内容に応じた対策を立案・実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しています。
事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績および財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成30年6月29日)現在において判断したものです。
(1) 経済環境に関するリスク
経済状況の変動
当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退およびこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。平成30年度の世界経済は、全体としては緩やかな回復の継続が見込まれます。国内でも、力強さはないものの消費は回復傾向にあります。その一方で、地政学的リスクや新興国経済、各国の政治・政策動向などに不確実性が見られ、このような状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。また、世界経済が想定に反して悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
為替相場の変動
外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコストおよび価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、人民元など一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
金利の変動
金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産および負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
資金調達環境の変化
当社グループは、事業資金を金融機関からの借入および社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
株式価値の下落
当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。
(2) 当社グループの事業活動に関するリスク
競合他社との競争
当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力およびマーケティング資源を有している可能性があります。
製品価格の下落
当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフトや、市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
国際的な事業活動における障害
当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教および文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正および移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。
技術革新・業界標準における競争
当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供できない可能性があります。当社グループの主要事業においては、BtoC分野およびBtoB分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。
有能な人材確保における競争
当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られているため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
他社との提携・企業買収等の成否
当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。
事業再編の成否
当社グループは、多くの子会社および関連会社等を有しておりますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在および将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。
原材料や電力等の供給不足・供給価格の高騰
当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料および部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品の種類によっては特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらにより当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。
顧客の資金状況・財政状態
当社グループの顧客のなかには、代金後払の条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(3) 将来の見通し等の未達リスク
当社グループは、グループ経営目標として、利益に関する目標値を設定し、その実現に向けた具体施策を推進しています。これらの目標値は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しますが、今後、事業環境の悪化その他の要因により、目標値の達成や期待される成果の実現に至らない可能性があります。
(4) 法的規制・訴訟に関するリスク
製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生
製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
知的財産権に関連した損害
当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
会計制度・税制の変更等
当社グループに適用のある会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
環境に関する規制や問題の発生
当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクルおよび土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでおりますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
その他の法的規制等による不利益および法的責任
当社グループは、日本および諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制および事業者への課税に関する法規制に加え、事業および投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業および電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、および輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。
(5) 災害・事故等に関するリスク
当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性および損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。また、強力な新型インフルエンザなどの感染症が世界的に流行した場合には、当社グループの生産活動および販売活動等に大きな支障をきたす可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。
(6) その他のリスク
退職給付に係る負債
当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社および一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行していますが、移行日前の過去の積立分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。
非金融資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれんおよび無形資産など、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産および繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。
繰延税金資産の認識
当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。
持分法適用会社の業績・財政状態
当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業および財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することが出来る重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、収益認識、棚卸資産の正味実現可能価額、繰延税金資産の回収可能性、確定給付制度債務、非金融資産(のれんを含む)の減損、企業結合により取得した資産及び引き継いだ負債の公正価値の評価及び開示に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。
重要な会計方針及び見積りの内容は、連結財務諸表の注記3「重要な会計方針」に記載しています。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また製品の性質上、原則として見込生産を主体とする生産方式を採っています。
なお、当社グループは製品の在庫を一定の必要水準に保つように生産活動を行っていることから、生産実績は販売実績に概ね類似しています。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
平成29年度の世界経済は、米国では堅調な個人消費に加えて設備投資の回復により好調に推移したほか、中国も外需拡大により輸出が増加するなど、景気の持ち直しの動きがみられました。日本においては、堅調な雇用情勢などを背景に、景気は緩やかに回復しました。
当社では平成30年度の会社の経営目標として、営業利益及び親会社の所有者に帰属する当期純利益の目標を有しています。その達成及びその後の持続的成長に向けて、当社は平成29年度において、経営資源を集中する分野を明確にしながら増収増益を実現・定着させるための「成長戦略」を推進しました。具体的な取り組みとしては、B2B事業では、平成29年4月1日付で旧AVCネットワークス社を母体に新しいカンパニー「コネクティッドソリューションズ社」を設立し、グループ全体のB2B事業成長の中核を担う顧客密着型事業体制を構築しました。車載事業では、車載用電池について、中国大連市の新工場で量産出荷を開始するなど、生産能力の拡大を進めました。また、トヨタ自動車㈱との間で、車載用角形電池の更なる進化を目指すため、協業の可能性を検討することに合意しました。住宅事業では、グループ全体の経営資源活用を通じたシナジーを実現すべく、パナホーム㈱を完全子会社としました。また、ソーラー事業においては、従来のモジュール販売に加え、セル単体のデバイス販売を開始するとともに、モジュール生産体制については、滋賀工場の生産を終息するなどの見直しを行いました。こうした取り組み等が奏功し、平成29年度は増収増益を実現することができました。
①売上高
当年度は、車載・産業向け事業の成長などにより、増収を達成しました。国内売上は堅調に推移し、海外売上はインフォテインメント・車載関連機器を含むオートモーティブ事業や二次電池を含むエナジー事業などの車載事業が大きく成長したことに加え、フィコサ社・ゼテス社の新規連結および為替の影響もあり、連結売上高は、前年度の7兆3,437億円に比べて9%増加し、7兆9,822億円となりました。
②営業利益
売上原価は、前年度の5兆1,572億円に比べて増加し、5兆6,430億円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前年度の1兆8,429億円に比べて増加し、1兆9,380億円となりました。持分法による投資損益は、前年度から増加し、101億円でした。その他の損益は、事業構造改革費用および訴訟関連費用が減少したことなどにより、前年度の752億円の損失に対して、308億円の損失となりました。
これらの結果、営業利益は、前年度の2,768億円に比べて増加し、3,805億円となりました。原材料価格高騰や先行投資による固定費増加を、オートモーティブやインダストリアル事業などの増販益および合理化の取り組みなどによりカバーし、増益となりました。営業利益率も、前年度の3.8%から良化し、4.8%となりました。
③税引前利益
金融収益については、前年度の218億円から増加し、228億円となりました。金融費用については、前年度の235億円から増加し、247億円となりました。この結果、税引前利益は、前年度の2,751億円に対し、3,786億円となりました。
④親会社の所有者に帰属する当期純利益
法人所得税費用は、前年度の1,027億円に対し、1,266億円となりました。この結果、親会社の所有者に帰属する当期純利益は、前年度の1,494億円に対し、2,360億円となりました。また、基本的1株当たり親会社の所有者に帰属する当期純利益は、前年度の64円33銭に対し、101円20銭となりました。
⑤セグメントの業績
当社グループは、経営管理上、4つのカンパニーがそれぞれの担当領域において事業部の自主責任経営を支えグローバルに事業推進を行っており、その成果を「アプライアンス」「エコソリューションズ」「コネクティッドソューションズ」「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」「その他」の5つのセグメントに区分して、開示しております。なお、平成29年度よりセグメント名称を「AVCネットワークス」から「コネクティッドソリューションズ」に変更しております。また、平成29年4月1日に、一部の事業をセグメント間で移管しており、以下の分析では、当年度の形態に合わせた前年度数値と比較しています。
a アプライアンス
当セグメントの売上高は、前年度比で3%増加し、2兆5,884億円となりました。
当年度は、中国などで家電に加えてデバイスの販売が伸長したことにより、増収となりました。
主な事業部の状況では、エアコンカンパニーは、中国などでルームエアコン・大型空調ともに販売が好調で、増収となりました。
ランドリー・クリーナー事業部では、中国およびアジアにおける洗濯機の販売が堅調であったことから、増収となりました。
テレビ事業部では、国内および欧州を中心に有機ELテレビの販売が伸長し、増収となりました。
冷蔵庫事業部では、中国およびアジアの販売が好調で、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、1,044億円となりました。エアコンなどの白物家電を中心に、原材料価格が高騰しましたが、原材料・部材の購入価格抑制や、代替材・代用品の検討などの取り組みを推進し、増販益とあわせて、前年度から55億円増加しました。
b エコソリューションズ
当セグメントの売上高は、前年度比で5%増加し、1兆6,235億円となりました。
当年度は、国内の電材事業や水まわり設備の販売が伸長したことに加え、海外では中国の熱交換気ユニットや、インドおよびベトナムの電材事業などの販売が好調に推移したことなどにより、増収となりました。
主な事業部の状況では、エナジーシステム事業部は、ソーラー事業の国内市場縮小の影響はありましたが、国内およびインド・トルコ・ベトナムなどで配線器具を中心とした販売が好調で、増収となりました。
ライティング事業部では、国内は非住宅用照明、海外では中国事業が伸長し、増収となりました。
パナソニック エコシステムズ㈱では、大型案件の受注反動による環境エンジニアリング事業の減収を、国内外での換気システムの増販で補い、増収となりました。
ハウジングシステム事業部では、システムキッチンなど水まわり設備の販売が伸長したことにより、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、725億円となりました。原材料・部材の購入価格高騰や市場における販売価格下落の影響はあったものの、増販益や原価改善効果などで、前年度から83億円増加しました。
c コネクティッドソリューションズ
当セグメントの売上高は、前年度比で6%増加し、1兆1,193億円となりました。
当年度は、スマートフォンメーカー向け実装機やモバイルノートパソコンなどの販売が好調に推移し、全体では増収となりました。
主な事業部の状況では、パナソニック アビオニクス㈱は、通信サービス・保守メンテナンスサービスが堅調でしたが、市場の需要減少により航空機内エンターテインメントシステムが伸びなやみ、減収となりました。
モバイルソリューションズ事業部では、フィーチャーフォンの販売が減少しましたが、ノートパソコンの販売伸長や、ベルギーの物流ソリューション会社 ゼテス・インダストリーズ㈱の新規連結などで、増収となりました。
プロセスオートメーション事業部では、実装機の販売が伸長したほか、自動車業界向け溶接機器の品ぞろえを拡充したことにより、増収となりました。
メディアエンターテインメント事業部では、高輝度プロジェクターや映像制作市場向け業務用カメラシステム新商品の販売好調を受け、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、1,057億円となりました。モバイルソリューションズ事業部とプロセスオートメーション事業部の増販益や、メディアエンターテインメント事業部の高付加価値商品への転換による利益率向上、法務関連費用の引当金の見直しなどによるその他損益の良化などで、前年度から553億円増加しました。
d オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
当セグメントの売上高は、前年度比で16%増加し、2兆8,035億円となりました。
当年度は、環境対応車の市場成長や、先進運転支援システム(ADAS)の需要拡大により、車載分野で電子化・電動化関連の販売が伸長しました。また、産業分野も中国でのデバイス販売が好調に推移し、増収となりました。
主な事業の状況では、オートモーティブ事業は、ディスプレイオーディオやコックピットシステムなどのインフォテインメント関連および車載カメラやソナーなどのADAS関連の販売が伸長したことに加え、フィコサ・インターナショナル㈱の新規連結により、増収となりました。
エナジー事業では、環境対応車の市場成長に伴い、車載電池が角形・円筒形ともに販売が伸長したことや、国内における乾電池新商品の発売、海外におけるマイクロ電池の販売好調により、増収となりました。
インダストリアル事業では、中国産業機器向けモーターやセンサー、環境対応車向けフィルムコンデンサーのほか、データサーバーや半導体ストレージ向け導電性コンデンサーの販売が好調で、増収となりました。
当セグメントの営業利益は、914億円となりました。インダストリアル事業を中心とした車載・産業向け商品や車載電池の増販益が大きかったものの、前年度に計上した引当金戻入益や事業譲渡益の反動により、前年度から16億円減少しました。
e その他
当セグメントの売上高は、前年度と同水準の6,759億円となりました。
当年度は、パナホーム㈱では、国内の内装リフォームや分譲マンションの販売が好調に推移するも、新築戸建ておよびアパートの受注減が響き、わずかに減収となりました。
当セグメントの営業利益は、108億円となり、前年度から28億円増加しました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載しています。
(5)財政状態及び流動性
①流動性と資金の源泉
当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針としております。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資などのため所要の資金が生じる場合には、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。
(資金)
当年度末の現金及び現金同等物残高は、前年度末の1兆2,708億円から減少し、1兆896億円となりました。
(有利子負債)
有利子負債は、普通社債の償還があったものの、短期社債の発行等により、前年度末の1兆1,240億円から当年度末には1兆2,394億円へ増加しました。
(格付け)
当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(S&P)、およびムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。
R&I:A (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期)
S&P:A-(長期、アウトルック:安定的)、A-2 (短期)
ムーディーズ:A3 (長期、アウトルック:安定的)
②キャッシュ・フロー
当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な運転資本の圧縮、保有資産の見直しなどによるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。
当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは4,232億円、投資活動により減少したキャッシュ・フローは4,588億円となり、両者を合計したフリーキャッシュ・フローは、マイナス356億円(前年度はマイナス347億円)となりました。フリーキャッシュ・フローは、当年度、当期純利益の増加があったものの、設備投資の増加などにより、前年度と同水準になりました。
なお、キャッシュ・フローの分析の詳細は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは4,232億円(前年度は3,854億円の増加)となりました。前年度差の主な要因は、実質的な売上増に伴う運転資金の増加はありましたが、当期純利益の増加に加え、未払法人所得税の増加や前年度に引当金等の大幅な減少があったことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当年度の投資活動により減少したキャッシュ・フローは4,588億円(前年度は4,201億円の減少)となりました。前年度差の主な要因は、前年度にハスマン社取得のための多額の支出はありましたが、当年度に設備投資が増加したことです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当年度の財務活動により減少したキャッシュ・フローは1,288億円(前年度は2,946億円の増加)となりました。前年度差の主な要因は、今年度、短期社債2,400億円の新規発行をしましたが、パナホーム等の追加取得や1,500億円の普通社債の償還に加え、前年度に総額4,000億円の普通社債を発行したことです。
これらに為替変動の影響を加味した結果、現金及び現金同等物の残高は、前年度末の1兆2,708億円から減少し、1兆896億円となりました。
③設備投資額と減価償却費
当社グループは、将来の成長に向けて、重点事業を中心に投資を着実に行っていくという考え方のもと、設備投資を行っています。
当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度の3,116億円から26%増加し、3,922億円となりました。主要な設備投資は、車載用リチウムイオン電池の生産設備(米国・中国)です。
減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度の2,244億円から1%増加し、2,266億円となりました。
④資産、負債及び資本
当社グループの当年度の連結総資産は、前年度末から3,082億円増加し、6兆2,911億円となりました。これは、売上増に伴う営業債権や棚卸資産の増加、設備投資による固定資産の増加などによるものです。
負債は、短期社債の発行や営業債務の増加などにより前年度末に比べ1,858億円増加し、4兆4,088億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分は、当期純利益の計上などにより前年度末に比べ1,357億円増加し、1兆7,076億円となりました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は前年度末の26.3%から増加し、27.1%となりました。また、親会社の所有者に帰属する持分に非支配持分を加味した資本合計は1兆8,823億円となりました。
(1)技術受入契約
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相手先 |
国名 |
契約の内容 |
契約期間 |
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QUALCOMM INC. |
アメリカ |
3G携帯電話及び基地局に関する特許実施の許諾 |
自 平成13年3月 至 特許満了日 |
(2)技術援助契約
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相手先 |
国名 |
契約の内容 |
契約期間 |
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MPEG LA LLC. |
アメリカ |
MPEG-4Visualに関する特許実施の許諾 |
自 平成12年1月 至 特許満了日 |
(3)クロスライセンス契約
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相手先 |
国名 |
契約の内容 |
契約期間 |
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Koninklijke Philips Electronics N.V. |
オランダ |
携帯電話・AV製品に関する特許実施の相互許諾 |
自 平成19年3月 至 特許満了日 |
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パイオニア㈱ |
日本 |
主要AV製品に関する特許実施の相互許諾 |
自 平成18年4月 至 平成30年3月 |
(4)パナホーム㈱の完全子会社化
当社は、平成29年4月21日開催の取締役会において、平成28年12月20日に締結した、当社を株式交換完全親会社とし、連結子会社であるパナホーム㈱を株式交換完全子会社とする株式交換契約を合意により解約し、パナホーム㈱の普通株式を金融商品取引法に基づく公開買付け(以下、「本公開買付け」)により取得することを決議しました。そして、パナホーム㈱との間で、平成29年4月21日付で同株式交換契約を合意解約し、一定の条件が成就していることを前提条件に当社が本公開買付けを実施することなどを定めた覚書を締結し、本公開買付けは同年6月に完了しています。
また、パナホーム㈱は、平成29年8月31日開催の臨時株主総会において、株式併合、単元株式数の定めの廃止及び定款の一部変更について決議し、平成29年10月2日付のパナホーム㈱による株式併合及びその後の当社による端数株式の買取りを通じて、当社は、パナホーム㈱を完全子会社としました。
(5)国内中間持株会社の新設に係る会社分割
当社は、平成29年12月22日開催の取締役会において、当社の一部の100%子会社の株式等を会社分割により新設会社に承継させること(以下、「本会社分割」)を決議しました。
①会社分割の目的
国内子会社に係る投資・回収管理を強化することを目的としています。
②会社分割の方法
当社を分割会社とし、新設会社を承継会社とする新設分割(簡易新設分割)です。
③分割期日(効力発生日)
平成30年4月2日
④会社分割に係る割当ての内容
新設会社は、本会社分割に際して普通株式1株を発行し、その全てを当社に割当交付します。なお、本会社分割は当社単独での新設分割であり、新設分割設立会社の株式の全てが当社に割り当てられるため、第三者機関による株価算定は実施していません。
⑤新設会社が承継する資産・負債の額
新設会社は、国内子会社に係る投資・回収管理の強化を遂行する上で必要と判断される当社の一定の100%子会社の株式及び当該100%子会社向けの長期貸付金債権を承継します。
資産合計 660,652百万円(平成30年3月31日現在)
⑥新設会社の資本金・事業の内容等
名称 パナソニック出資管理㈱
資本金 10百万円
事業内容 国内子会社に係る投資・回収管理
所在地 大阪府門真市
上記に従い、当社は平成30年4月2日に、本会社分割を実施しました。
当社グループは、各セグメントの主要領域における成長戦略に基づき、将来を担う新技術や新製品の開発に注力しました。
カンパニーや事業部などの組織を横断した主な取り組みと成果は、以下のとおりです。
・IoT機器を用いた「みまもり安心サービス」を開発、介護施設や遠隔在宅ケアサービスに展開
エアコンやルームセンサーを活用して、部屋の温湿度や在宅者の睡眠リズム、活動量を遠隔監視するサービスソリューションを開発しました。これをサービス付き高齢者住宅などの施設に導入し、ケアスタッフの業務効率向上を図るサービスを実用化しました。
また、さらなる用途拡大を見据え、大阪府箕面市、大阪府交野市、愛知県豊田市と遠隔在宅ケアサービスの実証実験を開始しました。2025年には、3人に1人が高齢者となる時代となり、介護人材の需給ギャップが課題となります。こうした中で当社は、IoTを活用した地域包括ケアシステムの実現により、在宅介護の効率化や自立支援に向けたケアサービスに貢献します。
・三相電力線を通信に利用する高速電力線通信技術を開発、大規模施設におけるIoT活用の実証を開始
電力線を高速通信として利用する技術「HD-PLC」と、複数の端末を経由してデータを安定的に送るマルチホップ技術との融合により、既存の電力線を用いて数km程度の長距離通信と端末1,000台規模のネットワークを実現できる通信技術を開発しました。さらに、モーター系動力や基幹電力系に用いる三相電力線での実証を当社佐賀工場で開始しました。本技術により、通信専用回線が不要となることで柔軟なレイアウト変更が可能となり、さらに、無線通信に比べセキュリティ強度の高いネットワークを安価に構築することができます。
今後「HD-PLC」をIoTの基盤技術の一つと位置付け、さらなる普及拡大を図っていきます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、4,489億円となりました。主な内訳は、「アプライアンス」1,187億円、「エコソリューションズ」574億円、「コネクティッドソリューションズ」870億円、「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」1,900億円です。各セグメントの主な成果は以下のとおりです。
(1) アプライアンス
主に当社の研究開発部門を中心として白物家電や情報家電、空調機器等の研究開発を行っています。主な成果としては、
・高感度撮影に強く、世界初Cinema4K/60p動画記録が可能なミラーレス一眼カメラを開発
専用回路を1画素ごとに2系統備えた「デュアルネイティブISOテクノロジー」を搭載したイメージセンサーを開発。従来、高感度になるほど増幅されていたノイズを、「低ISO感度回路」と「低ノイズ・高ISO感度回路」の2系統を切り換えることで、低減することが可能になりました。さらに、最新の画像処理ヴィーナスエンジンとの組み合わせで、暗部まで美しく描写できる高感度画質を実現しました。
また、ミラーレス一眼としては世界初「Cinema4K/60p」動画記録や「4:2:2 10bit Cinema4K/30p」動画記録機能を搭載し、映像制作の現場でも活躍できるプロフェッショナル動画性能をも可能にしています。
・テクニクスの高音質技術を継承したオールインワンタイプのプレミアムオーディオシステムを開発
部屋の環境や設置場所に合わせて最適な音質に調整する「Space Tune」を開発し、テクニクスの上位機種で採用したフルデジタルアンプ「JENO Engine」や振幅と位相の周波数特性を平坦化するスピーカー負荷適応アルゴリズム「LAPC(Load Adaptive Phase Calibration)」などの高音質技術とともに一体型ボディに凝縮したオールインワンタイプを実現しました。また、スピーカー部のツィーターには「逆ドーム形状フィン」構造の音響レンズを新たに開発し、前面に実装したルーバーをフィンの間隔に合わせることで音道の連続性を高めました。
これらの技術により、一体型でありながら豊かな広がりのある音場を実現します。
・業界初「液体洗剤・柔軟剤自動投入」機能とスマートフォンで操作が可能な、ななめドラム洗濯乾燥機を開発
近年の主流である液体合成洗剤・柔軟剤に対応し、計量・投入の手間削減ができる、業界初の「液体洗剤・柔軟剤自動投入」機能を開発しました。この機能は、銘柄や温度環境などで違いが生じる洗剤や柔軟剤の粘度に対応し、様々な環境下においても自動的に適量の洗剤・柔軟剤を投入するピストン方式の機構を新たに開発したことにより実現しています。
また、スマートフォン操作で外出先からも運転予約や状況確認が可能となるアプリ「スマホで洗濯」も併せて開発することで、洗濯乾燥機の使いやすさを向上させました。
(2) エコソリューションズ
主に当社の研究開発部門を中心として、エネルギーマネジメントをはじめ、住宅設備や建材、環境空質機器等の研究開発を行っています。主な成果としては、
・工業化住宅業界初、住む人の健康と快適に配慮した新概念の空調システム「エアロハス」を開発
「専用エアコン+換気システム」による換気・空調システムを開発し、家中を快適な温度に保ちながら、自然の力(地熱)の活用と各室を温度センサーで制御することにより、快適性と省エネを実現し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)への対応が容易になりました。
このシステムにより、①住宅内でヒートショックを引き起こす原因となる室内の温度差の解消、②高い除湿能力で空調がOFFでもダクトのカビを抑制、③地熱活用と高断熱な建物等による省エネ、④PM2.5にも対応できる空気浄化能力など、様々な特長を実現しました。
・約6mmの薄さで業界最高クラスの断熱性能を有する真空断熱ガラスの開発および量産化に成功
プラズマディスプレイパネルの開発・製造技術を応用することで、従来のアルゴンガス入りトリプルガラス(総厚約30mm)と同等以上の断熱性能を有しながら、総厚約6mmの薄型真空断熱ガラスの開発および量産化に成功しました。真空層内で発生するガスを吸着する薄型のガス吸着剤や、2枚のガラス間に0.1mm程度の隙間を形成する低熱伝導性材料などを新たに開発することで、総厚約6mmのガラスとしては業界最高クラスの断熱性能である熱貫流率(Ug値)0.7(W/m²・K)を実現しています。さらに、独自の真空断熱ガラス製造方法により、2枚のガラス間に真空空間を形成する際に必要な排気孔の封止部をガラス表面からなくすことができ、フラットですっきりとした外観を可能にしました。
・4K・8K高精細テレビ放送において、より高品位な色再現を可能にするLED投光器を開発
次世代テレビ放送に配慮した独自の照明設計により、広色域4K・8K放送に対応したLED投光器を開発しました。大規模スポーツ競技場の夜間照明にも適した、広色域4K・8K超高精細テレビ放送(UHDTV)向けの演色性指標と推奨値をクリアし、高品質な映像表現をサポートします。
また、スーパースロー撮影時に適した点灯技術により、チラツキを抑制します。さらに、独自の配光設計技術の開発により、光源からの光を絞る配光を実現し、まぶしさの原因となる光の重なりを減らすことで、グレア(まぶしさ)を低減しています。
(3) コネクティッドソリューションズ
主に当社の研究開発部門を中心として、企業・法人向けの機器やIoTソリューションの研究開発を行っています。主な成果としては、
・経年・化粧・表情の影響を受けずに本人確認ができる顔認証技術を開発
デジタルカメラなどで培ってきた画像センシング技術と多くの人を識別し学習したAI技術との組合せで、ひげや化粧、しわやしみなどに対応した顔認証技術を開発しました。この技術を顔認証ゲートに搭載、人間工学に基づくユニバーサルデザインとの融合で初心者や高齢者が直感的に使える顔認証自動審査ゲートを実現しました。本ゲートは、羽田空港に導入され、帰国手続きの合理化に貢献しています。
なお、本ゲートは、「2017年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
・世界初「イメージセンサー先端搭載 次世代血管内視鏡カテーテル」の開発
国立大学法人 大阪大学と連携し、世界で初めてイメージセンサーをカテーテル先端に搭載した次世代血管内視鏡カテーテルを開発・実用化し、フルカラーで血管の前方方向を観察することを可能にしました。また、長年培ってきたカメラの超精密加工技術や超解像技術により、先端部は直径1.8mmでありながら48万画素相当という高画質を実現しました。
本技術により、血管内の動脈硬化の様子や、血栓、ステント(狭心症や心筋梗塞の手術時に、血管内に留置されるメッシュ状の金属筒)留置後の状態を、高画質のフルカラー画像で把握することが可能になります。
・B2B向けIoTサービス「μSockets(ミューソケッツ)」の構築
IoT向けテクノロジープラットフォーム「Panasonic Digital Platform」を使って、当社の豊富なIoT対応商品・デバイスと、業界トップレベルのセンシング技術や解析技術(エッジコンピューティング技術)、ネットワーク技術、アクチュエーション技術など先進コア技術に加え、これまで、企業・官公庁様向けシステム納入で培った豊富な現場ノウハウをB2B向けIoTサービス、μSockets(ミューソケッツ)として体系化しました。
これにより、お客様の現場で生まれる様々なデータをリアルタイムに可視化・分析し、ボトルネックの解消や業務効率改善などの課題解決や、快適な現場環境やサービス向上を実現します。
(4) オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
主に当社の研究開発部門を中心として、車載向けなどのインフォテインメント関連機器、二次電池をはじめとした電子部品、電子材料等の研究開発を行っています。主な成果としては、
・眠気を非接触で検知・予測し、快適に覚醒状態を維持させる眠気制御技術を開発
カメラ画像から測定した、瞬き、表情などをAI処理することにより、初期段階の浅い眠気を非接触で高精度に検知する技術を開発しました。また、人の放熱量や照度といった車室内環境の計測データを用いた眠気推移の予測に成功し、これに人の温熱快適性のモニタリングを併用することで、目的地まで快適に覚醒状態を維持させる眠気制御技術を開発しました。これらの技術をシステム化することで、居眠り運転の抑制に貢献します。
本技術は日刊工業新聞社主催「2017年十大新製品賞 60回記念特別賞」を受賞しました。
・福井県、永平寺町と共同で自動運転車両走行の実証実験を実施
福井県と永平寺町との連携により、当社がこれまで社内の車両試験場や構内で検証を重ねてきた自動運転技術を用いて、公道に準じる環境の「永平寺参(まい)ろーど」で自動運転走行システムの技術的な実証と、自動運転EVコミューターを用いたモビリティサービスの社会受容性への検証を実施しました。また、平成30年3月より京都府のけいはんな学研都市においても公道での実証実験を開始しました。
これらの実験により、自動運転EVコミューターの公道走行における技術課題を確認し、今後の自動運転技術及び、モビリティサービスの実用化を目指していきます。
・自律移動ロボットの普及に貢献する三次元距離計測センサ「3D LiDAR(ライダー)」を開発
光ディスクドライブ事業で培った光学設計技術とモーター制御技術の活用により、独自構造を用いたレーザスキャン技術を開発し、垂直方向60度、水平方向270度の広角スキャンができる三次元距離センサ3D LiDARを開発しました。これにより、単一センサによる広範囲な三次元距離計測を可能とし、他センサと組み合わせることなく、自律移動ロボットの走行制御システムの構成を単純にすることが可能となります。
また、垂直方向のスキャン範囲と解像度を数種類のモードから設定できるため、利用シーンに適したスキャン範囲や解像度で距離計測が可能となり、ロボットの安定かつ効率的な走行を実現します。