第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当年度の業績(セグメントの業績を含む)は、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しています。

 

(2)キャッシュ・フロー

 

(営業活動に関するキャッシュ・フロー)

 当年度の営業活動により増加したキャッシュ・フローは4,915億円(対前年度差905億円減)となりました。前年度差の主な要因は、前年度に棚卸資産の減少等による運転資本の大幅な良化があったことです。

 

(投資活動に関するキャッシュ・フロー)

 当年度の投資活動により減少したキャッシュ・フローは1,380億円(前年度は121億円の増加)となりました。前年度差の主な要因は、設備投資の増加や、前年度にヘルスケア事業の譲渡に伴う収入があったことです。

 

(財務活動に関するキャッシュ・フロー)

 当年度の財務活動により増加したキャッシュ・フローは2,576億円(前年度は5,323億円の減少)となりました。前年度差の主な要因は、総額4,000億円の無担保普通社債の発行や、有利子負債返済額の減少です。

 

 これらに為替変動の影響を加味した結果、当年度末の現金及び現金同等物の残高は1兆2,804億円(対前年度末差6,879億円増)となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また製品の性質上、原則として見込生産を主体とする生産方式を採っています。

 なお、当社グループは製品の在庫を一定の必要水準に保つように生産活動を行っていることから、生産状況は販売状況に概ね類似しています。

 

3【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題

 平成27年度の世界経済は、資源価格の変動や地政学的リスク、米国の金融政策動向、中国経済の減速懸念などの不透明な要因があるものの、米国経済が好調に推移するとみられること、国内消費も徐々に持ち直す見通しであることなどから、全体としては緩やかな成長が見込まれます。

 こうしたなか、当社グループは平成27年度を、「売上成長による利益創出」の実現へ大きく舵を切る年と位置づけ、「持続的な成長」に向けた取り組みを加速させてまいります。

 まず、過去2年間の事業構造改革効果や固定費の削減によって支えられた収益構造から、売上成長が増益を牽引する構造へと転換してまいります。具体的には、特に全社の売上増・増益への貢献度が大きい、エアコン、ライティング、ハウジングシステム、インフォテインメントシステム、二次電池、パナホームの6事業部を中心に売上高、収益性の改善に注力いたします。

 また、持続的な成長に向けて、既に掲げた平成30(2018)年度、売上高10兆円達成への道筋をより明確にするために、平成27年度、平成28年度および、平成29年度の売上目標を定めました。

 

①家電事業:

海外戦略地域におけるニーズにあった商品・サービスを迅速に市場投入し、成長を実現するため、平成27年4月に開発・製造・販売の機能を集約した組織として、パナソニック アプライアンス アジアパシフィック社、パナソニック アプライアンス社(中国)を設置しました。地域における権限を日本から大幅に委譲し、自己完結型の経営を行うことで、地域密着の「憧れ」を生む商品を創出し、事業拡大を加速いたします。

②住宅事業:

家電、設備、住宅そのものを併せ持つ当社グループの強みを活かし、「新しいくらしの価値」を提供してまいります。国内住宅設備・サービス事業では、物販事業の拡大に加え、エイジフリー事業の展開をさらに加速いたします。パナホーム㈱が主体となる国内住宅事業では、リフォーム事業で、業界No.1に挑戦いたします。また、海外においても、台湾・アセアン地域での住宅事業を本格展開いたします。

③車載事業:

平成26年度の積極的な受注活動の成果により、既に掲げた平成30年度の売上目標2.0兆円に対しては、現時点で既に7割の受注が確定しています。平成27年度はさらなる受注の獲得に向け、「快適」「安全」「環境」のそれぞれの領域において、新規商材の開発、投入や販路拡大などの取り組みを実行してまいります。今後はさらに、非連続な取り組みを含め、平成30年度売上高2.1兆円を目指します。

④BtoBソリューション事業:

航空産業向け事業に次ぐ事業の柱として、ファクトリー向けや、食品流通向け事業といった領域に注力いたします。加えて、平成32年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、当社グループが持つ様々な技術、アイディアを様々なパートナー様との協業の中で具現化してまいります。

⑤デバイス事業:

家電・住宅・車載・BtoBソリューションの各事業の競争力の源泉となるコアデバイスの創出を行うとともに、市場の変化に対応し、グループの収益源として進化し続けてまいります。


 こうした取り組みも踏まえ、5つの事業軸と3つの地域軸を掛け合わせた「5×3のマトリックス」の15ある交点のうち、今後特に大きな売上成長が期待できる、「家電事業×海外戦略地域」、「住宅事業×日本」、「車載事業×日本」、「車載事業×欧・米」、「BtoBソリューション×日本」、「BtoBソリューション×欧・米」の6つを重点領域として、経営資源を重点的に投入してまいります。

 そのなかで、「BtoBソリューション×欧・米」では、平成27年度より、BtoBソリューション事業の中核を担うAVCネットワークス社社長が米国を拠点に活動してまいります。グローバルに事業を展開する企業が多く、世界最大市場の米国に身をおき、「脱・日本発想」で、スピード感を持って、事業創造を図ってまいります。

 また、売上高10兆円の実現に向け、今後、通常の設備投資に加え、非連続な成長を実現するためのM&A投資および一部の研究開発・宣伝投資等を含めた合計で1兆円規模の戦略投資を行ってまいります。このうち、平成27年度においては、約2,000億円の投資を実行する予定です。

 平成30(2018)年度の売上高10兆円実現に向けて、今後「1年1年が勝負の年」との思いで、成長に向けた取り組みを加速してまいります。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

①基本方針の内容

 当社は創業以来、「事業活動を通じて、世界中の人々のくらしの向上と、社会の発展に貢献する」という経営理念をすべての活動の指針として、事業を進めてまいりました。今後も、お客様一人ひとりに対して「いいくらし」を提案し拡げていくなかで、株主や投資家、お客様、取引先、従業員をはじめとするすべての関係者の皆様にご満足いただけるよう、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 当社は、当社株式の大規模な買付行為がなされた場合にこれを受け入れるかどうかは、最終的には、株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えております。しかしながら、大規模な買付行為のなかには、株主の皆様が適切な判断を行うために必要な情報が十分に提供されない場合や、その目的などからみて、企業価値・株主全体の利益を著しく侵害するおそれがある場合もあり得ます。当社は、そのような場合には、当社株主全体の正当な利益を保護するために相当かつ適切な対応をとることが必要であると考えております。

②基本方針の実現のための具体的な取り組み

(a)基本方針の実現に資する特別な取り組み

お客様のくらしに寄り添う「家電のDNA」を継承しながら、様々なパートナーと共に、お客様の「いいくらし」を追求し、拡げてまいります。具体的には、「家電」「住宅」「車載」「BtoBソリューション」「デバイス」の5つの事業領域に注力し、平成30(2018)年度売上高10兆円の達成を目指してまいります。

そのために、これらの5つの事業軸に、「日本」、中南米も含めた「欧・米」、そしてアジア・中国・中東・アフリカからなる「海外戦略地域」の3つの地域軸を掛け合わせた「5×3のマトリックス」で経営資源を集中すべき領域を明確にしたうえで、成長戦略を描き、実行を進めております。

このうち、特に大きな成長が期待できる領域を重点領域と定め、これらを中心に平成30(2018)年度に向けて、今後1兆円規模の戦略投資を実施いたします。こうした成長に向けた投資の積極化も含め、売上高10兆円の達成に向けた取り組みを加速してまいります。

(b)基本方針に照らして不適切な者による支配を防止するための取り組み

当社は、平成17年4月28日開催の取締役会において、当社株式の大規模な買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」)の設定を内容とする対応方針(以下、「ESVプラン」)を決定しました。その後、毎年(平成26年は4月28日)の取締役会においてESVプランの継続を決定し、さらに、平成27年4月開催の取締役会においてもESVプランの継続を決議しました。

大規模買付ルールの内容は、特定の株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株式の買付(以下、このような買付行為を「大規模買付行為」、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」)を行おうとする者に対して、買付行為の前に、(ⅰ) 大規模買付者の概要、大規模買付行為の目的および内容、買付対価の算定根拠、買付資金の裏付け、大規模買付行為完了後に意図する当社経営方針および事業計画などの情報提供と、(ⅱ) 当社取締役会による適切な評価期間(60日または90日)の確保を要請するものです。当社取締役会は、提供されたこれらの情報をもとに、株主全体の利益の観点から評価・検討を行い、取締役会としての意見を慎重にとりまとめたうえで開示します。また、当社株主の皆様が適切な判断を行うために必要な情報を提供し、必要に応じて大規模買付者との大規模買付行為に関する条件改善の交渉や、株主の皆様への代替案の提示を行ってまいります。

大規模買付ルールが順守されない場合には、株主全体の利益の保護を目的として、株式の分割、新株予約権の発行(新株予約権無償割当てを含む)など、会社法その他の法律および当社定款が取締役会の権限として認める措置をとり、大規模買付行為に対抗することがあります。このルールが順守されている場合は、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかでない限り、当社取締役会の判断のみで大規模買付行為に対抗するための措置をとろうとするものではありません。

対抗措置の発動は、当社取締役会の決定によりますが、その決定に際しては、弁護士、財務アドバイザーなどの外部専門家の意見も参考にし、社外取締役や監査役の意見も十分尊重するものとします。

上記の対抗措置を発動するに際し、当社取締役会が当社株主全体の利益の観点から株主の皆様の意思を確認させていただくことが適切であると判断した場合には、株主総会を開催することといたします。当社取締役会が株主総会を開催することを決定した場合には、その時点で株主総会を開催する旨および開催理由の開示を行います。

具体的な対抗措置については、その時点で相当と認められるものを選択することになります。当社取締役会が具体的対抗措置として一定の基準日現在の株主に対し株式の分割を行う場合の分割比率は、株式の分割1回につき当社株式1株を最大5株にする範囲で決定することとします。また、具体的対抗措置として株主割当てにより新株予約権を発行する場合は、一定の基準日現在の株主に対し、その所有株式1株につき1個の割合で新株予約権を割り当てます。新株予約権1個当たりの目的である株式の数は1株とします。なお、新株予約権を発行する場合には、大規模買付者を含む特定の株主グループに属する者に行使を認めないことを新株予約権の行使条件とするなど、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、行使条件や、当社が大規模買付者以外の者から当社株式と引き換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条件を設けることがあります。

対抗措置の発動によって、結果的に、大規模買付ルールを順守しない大規模買付者に経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。他方、大規模買付者を除く当社株主の皆様が経済面や権利面で損失を被るような事態は想定しておりませんが、当社取締役会が具体的対抗措置をとることを決定した場合には、法令および金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。

当社は、全取締役の任期を1年としており、取締役は、毎年6月の定時株主総会で選任される体制にあります。当社取締役会は、引き続き、法令改正の動向などを踏まえ、当社株主全体の利益の観点から、ESVプランを随時見直してまいります。

 

ESVプランの詳細については、平成27年4月28日付「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針について(買収防衛策)-ESV(Enhancement of Shareholder Value)プランの概要-」として公表しています。このプレスリリースの全文については、当社ホームページ

(http://news.panasonic.com/press/news/data/2015/04/jn150428-2/jn150428-2-1.pdf)

をご参照ください。

③具体的な取り組みに対する取締役会の判断及びその理由

当社の中期経営計画は、当社の企業価値を持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものです。また、ESVプランは、株主全体の利益を保護するという観点から、株主の皆様に、大規模買付行為を受け入れるかどうかの判断のために必要な情報や、経営を担っている当社取締役会の評価意見を提供し、さらには、代替案の提示を受ける機会を保証することを目的とするものです。

したがって、これらの取り組みは、いずれも①の基本方針に沿い、当社株主全体の利益に合致するものであり、当社取締役・監査役の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

(参考)

株主割当てにより新株予約権を発行する場合の概要

 

1.新株予約権付与の対象となる株主及びその発行条件

取締役会で定め公告する基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有株式(ただし、当社の有する当社普通株式を除く。)1株につき1個の割合で新株予約権を割当てます。なお、株主割当てにより募集新株予約権を発行する方法による場合と、新株予約権無償割当ての方法による場合とがあります。

 

2.新株予約権の目的である株式の種類及び数

新株予約権の目的である株式の種類は当社普通株式とし、新株予約権1個当たりの目的である株式の数は1株とします。

 

3.発行する新株予約権の総数

新株予約権の発行総数は、50億個を上限として、取締役会が定める数とします。取締役会は、発行する新株予約権の総数がこの上限を超えない範囲で複数回にわたり新株予約権の発行を行うことがあります。

 

4.募集新株予約権を発行する方法による場合の募集新株予約権の払込金額

金銭の払込みを要しません。

 

5.新株予約権の行使に際して出資される財産の価額

各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は1円以上で取締役会が定める額とします。

 

6.新株予約権の譲渡制限

譲渡による新株予約権の取得については、取締役会の承認を要することとします。

 

7.新株予約権の行使条件

大規模買付者を含む特定株主グループに属する者(当社の株券等を取得または保有することが当社株主全体の利益に反しないと当社取締役会が認めたものを除く。)等に行使を認めないこと等を新株予約権行使の条件として定めることがあります。詳細については、当社取締役会において別途定めるものとします。

 

8.新株予約権の行使期間等

新株予約権の行使期間、取得条件その他必要な事項については、取締役会にて別途定めるものとします。なお、上記7.の行使条件のため新株予約権の行使が認められない者以外の者が有する新株予約権を当社が取得し、新株予約権1個につき1株を交付することができる旨の条項を定めることがあります。

 

4【事業等のリスク】

当社グループでは、年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグローバル共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを行っています。これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベル(全社、カンパニー、事業部等)において、当該リスクの内容に応じた対策を立案・実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しています。

事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績および財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成27年6月26日)現在において判断したものです。

 

(1) 経済環境に関するリスク

経済状況の変動

当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退およびこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。平成27年度の世界経済については、米国経済が好調に推移するとみられること、国内消費も徐々に持ち直す見通しであることなどから、全体としては緩やかな成長が見込まれます。その一方で、資源価格の変動や地政学的リスク、米国の金融政策動向、中国経済の減速懸念などの不透明な要因もあり、このような状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用の増大等の可能性があります。また、世界経済が想定に反して悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

為替相場の変動

外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコストおよび価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。一般的に、現地通貨に対する円高は、人民元などの一部通貨を除き、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、一部の事業で生産拠点の海外シフト等を進めてきた結果、事業部によっては、人民元などに対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、業績に悪影響を及ぼすこともあります。平成26年度は、日米の金融政策の相違等を背景に対米ドルで円安が進行する一方、対ユーロでは、ギリシャ不安や欧州中央銀行の金融緩和政策等から、期末に向けて円高となりましたが、前述の生産拠点の海外シフトを進めてきたこともあり、為替相場が当社グループ全体の業績に与える影響は減少しています。しかしながら、今後、過度な相場変動があった場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

金利の変動

金利の変動により営業費用、支払利息、受取利息あるいは金融資産および負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

資金調達環境の変化

当社グループは、事業資金を金融機関からの借入および社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

株式価値の下落

当社グループは、投資有価証券の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株式価値の下落により保有株式の評価損の計上が必要となる可能性があります。また、上場株式の場合、株価下落が、有価証券未実現損益を悪化させることにより、当社株主資本の減少を引き起こす可能性があります。

 

(2) 当社グループの事業活動に関するリスク

競合他社との競争

当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力およびマーケティング資源を有している可能性があります。

 

製品価格の下落

当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフトや、市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

国際的な事業活動における障害

当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教および文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税制または税率の変更等といったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。

 

技術革新・業界標準における競争

当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供できない可能性があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野およびBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。

 

有能な人材確保における競争

当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られているため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

他社との提携・企業買収等の成否

当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。

また、当社グループは、多くの子会社(上場子会社含む)および関連会社を有しており、グループ事業体制を再編することがありますが、現在および将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。

原材料や電力等の供給不足・供給価格の高騰

当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料および部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品により特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、国内の原子力発電所の稼働停止等に起因する火力発電依存による電力料金の上昇により電力調達コストが増加する可能性があります。これらにより当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。

 

顧客の資金状況・財政状態

当社グループの顧客のなかには、代金後払の条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 将来の見通し等の未達リスク

当社グループは、平成25年度から平成27年度までの中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015(略称CV2015)」(平成25年3月28日発表)を設定し、その実現に向けた具体施策を推進しています。これらの計画は、当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しており、既に達成された目標もありますが、今後、事業環境の悪化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。また、今後、新たな中期経営計画を策定した場合には、策定後の事業環境の悪化その他の要因により、当該計画により期待される成果の実現に至らない可能性があります。

 

(4) 法的規制・訴訟に関するリスク

製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生

製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

知的財産権に関連した損害

当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。

 

会計制度・税制の変更等

当社グループが予期しない会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。なお、当社は、平成28年度末の連結財務諸表から、米国会計基準に替えて国際財務報告基準を任意適用することを公表しております。

 

環境に関する規制や問題の発生

当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクルおよび土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRの観点から当社グループが任意に環境問題に取り組んだ場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービスは、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでおりますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

その他の法的規制等による不利益および法的責任

当社グループは、日本および諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制および事業者への課税に関する法規制に加え、事業および投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業および電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、および輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。

 

(5) 災害・事故等に関するリスク

当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、などが発生した場合に、当社グループの拠点の設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性および損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。また、強力な新型インフルエンザなどの感染症が世界的に流行した場合には、当社グループの生産活動および販売活動等に大きな支障をきたす可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。

 

(6) その他のリスク

年金債務

当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社および一部の国内子会社の確定給付年金制度を、平成25年7月1日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行していますが、今後も、過去の積立分については、金利の低下により退職給付債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により年金資産の目減りをもたらす可能性があり、その結果、年金数理上の損失が増加し、将来、年金制度の期間退職給付費用が増加する可能性があります。

 

 

長期性資産の減損

当社グループは、有形固定資産、のれんなど多くの長期性資産を保有しています。当社グループは、長期性資産の連結貸借対照表計上額について、当該資産の公正価値が、資産の帳簿価額を上回っているかどうかを定期的に検討しています。当該資産が十分なキャッシュ・フローを生み出さない場合は減損を認識しなければならない可能性があります。

 

繰延税金資産および法人税等の不確実性の認識

当社グループは、将来の課税所得の予測等に基づく繰延税金資産および不確実な税務ポジションの評価に基づく認識済の税務ベネフィットの一部または全部が実現しない可能性がより確からしいかを検討し、繰延税金資産の回収可能性および法人税等の不確実性を評価しています。今後、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、一時差異および繰越欠損金が将来減算される期間における課税所得により回収できない、あるいは認識済の税務ベネフィットが実現されないと判断された場合には、繰延税金資産に対し評価引当金を認識することおよび未認識税務ベネフィットに対する債務を認識することにより、法人税等が増加する可能性があります。

 

持分法適用関連会社の業績・財政状態

当社は、複数の持分法適用関連会社の株式を保有しています。各関連会社は各々の事業および財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針に一定の影響を及ぼすことはできますが、通常、方針そのものの決定は行いません。当社の関連会社には、損失を計上している会社もあり、こうした関連会社の業績・財政状態により当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術受入契約

相手先

国名

契約の内容

契約期間

MPEG LA LLC.

アメリカ

MPEG-2に関する特許実施の許諾

自 平成23年1月

至 特許満了日

QUALCOMM INC.

 アメリカ

3G携帯電話及び基地局に関する特許実施の許諾

自 平成13年3月

至 特許満了日

 

(2)技術援助契約

相手先

国名

契約の内容

契約期間

MPEG LA LLC.

アメリカ

MPEG-2に関する特許実施の許諾

自 平成9年7月

至 特許満了日

MPEG-4Visualに関する特許実施の許諾

自 平成12年1月

至 特許満了日

 

(3)クロスライセンス契約

相手先

国名

契約の内容

契約期間

Texas Instruments Inc.

アメリカ

半導体・その他製品に関する特許実施の相互許諾

自 平成18年4月

至 平成28年3月

Eastman Kodak Company

アメリカ

デジタルカメラ等に関する特許実施の相互許諾

自 平成19年12月

至 平成29年12月

Koninklijke Philips Electronics N.V.

オランダ

携帯電話・AV製品に関する特許実施の相互許諾

自 平成19年3月

至 特許満了日

SAMSUNG Electronics Co., Ltd.

韓国

半導体特許に関する特許実施の相互許諾

自 平成20年1月

至 特許満了日

パイオニア㈱

日本

主要AV製品に関する特許実施の相互許諾

自 平成18年4月

至 平成30年3月

 

(4) 通信用SAWフィルタ事業に関する新会社設立及び当該新会社株式の譲渡契約の締結

当社は、平成26年4月28日および同年6月26日開催の取締役会において、同年8月1日を効力発生日として、当社の回路部品事業部におけるSAWフィルタ(注)の開発・製造・販売に関する事業(以下、「SAWフィルタ事業」)を吸収分割により当社が新たに設立する国内の株式会社(以下、「新会社」)に承継させるとともに、当社の海外拠点(シンガポール)で営むSAWフィルタ事業について、新会社が保有するシンガポールの100%子会社に事業譲渡したうえで、同日付で新会社の株式の66%を、アメリカのスカイワークス ソリューションズ社に譲渡することを決議しました。

  (注)SAWフィルタ:特定の周波数帯域の電気信号を取り出す機能を持つ、表面弾性波

(Surface Acoustic Wave)を用いたデバイスのこと。

 

上記に従い、当社は、平成26年7月2日にスカイワークス ソリューションズ社等との間で株式譲渡契約書を締結したうえで、同年8月1日にスカイワークス ソリューションズ社及び新会社との間で株主間契約書を締結するとともに、同日付で新会社の株式の66%をスカイワークス ソリューションズ社に譲渡しました。

 

 

(5) システムLSI事業の統合に伴う事業統合契約等の締結

当社は、平成26年7月31日開催の取締役会において、富士通㈱の100%子会社である富士通セミコンダクター㈱と当社のそれぞれが営む、システムLSI事業の設計・開発機能などを統合するため、富士通㈱が新設する株式会社(以下、「新会社」)に、当社が営むシステムLSI事業及び関連資産等(以下、「統合対象事業」)を吸収分割により承継させることを主な内容とする事業統合契約書(同契約書及びそれに規定される統合対象事業にかかる吸収分割契約に基づく吸収分割を、以下、「本吸収分割」)、㈱日本政策投資銀行から新会社に対する出資に関する出資契約書、新会社の運営及びガバナンス等に関する株主間契約書をそれぞれ締結することを決議し、同日付で、富士通㈱及び富士通セミコンダクター㈱との間で事業統合契約書、富士通㈱、富士通セミコンダクター㈱及び㈱日本政策投資銀行との間で出資契約書、並びに富士通㈱及び㈱日本政策投資銀行との間で株主間契約書を締結しました。

また当社は、平成26年11月28日開催の取締役会において、新会社との間で吸収分割契約書を締結することを決議し、同日付で吸収分割契約書を締結しました。事業統合及び本吸収分割の概要は、次のとおりです。

 

①事業統合及び新会社の概要

平成26年9月に富士通㈱が、事業内容を「システムLSI及びそれを核とするソリューション/サービスの設計、開発及び販売」とする新会社を設立しました。そのうえで、平成26年度第4四半期連結会計期間中に、以下の取引を実施します。

・当社は、統合対象事業を本吸収分割により新会社に承継します。その対価として新会社の普通株式を受領します。

・富士通セミコンダクター㈱は、システムLSI事業及び関連資産等を吸収分割により新会社に承継し、その対価として新会社の普通株式及び議決権を有しない種類株式を受領します。なお、富士通セミコンダクター㈱は、割り当てられた新会社の株式を富士通㈱に現物配当を行います。

・当社は、新会社に対して現金50億円を出資し、その対価として新会社の普通株式及び議決権を有しない種類株式の割当てを受けます。

・㈱日本政策投資銀行は、新会社に対して、現金200億円を出資します。

これら全ての取引実行後の新会社の純資産額は604億円、資本金は302億円を見込んでおり、当社、富士通㈱、㈱日本政策投資銀行の新会社に対する議決権比率はそれぞれ20%、40%、40%となります。

 

②当社が実施する本吸収分割の目的

システムLSI事業に関して、マーケティング・設計・開発機能に特化(ファブレス化)すると共に、富士通㈱と当社が保有する技術・人材・知的財産・顧客基盤等の経営資源を利益の出る形で集約してグローバルに競争力のある事業体制を構築するためです。

 

③分割の方法

当社を分割会社とし、新会社を承継会社とする吸収分割です。なお、新会社は、本吸収分割に際して、普通株式13,200,000株を発行し、当社に割当て交付します。また、当社は、新会社に対して現金出資を行い、新会社の普通株式6,800,000株及び議決権を有しない種類株式3,200,000株の割当てを受けます。

 

④承継する資産・負債の額

資産合計 約73億円、負債合計 約7億円(平成27年3月1日現在)

 

上記に従い、当社は、平成27年3月1日に統合対象事業を本吸収分割により新会社である㈱ソシオネクストに承継するとともに、現金50億円を出資し、その対価として㈱ソシオネクストの株式を受領しました。

 

 

(6) スペイン車載ミラーメーカーへの出資に関する出資契約等の締結

当社は、平成26年9月30日開催の取締役会において、スペイン、バルセロナ市の自動車向けメカトロニクス、電子システム等のエンジニアリング・製造・販売を行っている車載ミラーメーカーであるフィコサ・インターナショナル S.A.(以下、「フィコサ社」)の株式の49%を取得するため、フィコサ社及びその株主との間で、出資契約等を締結することを決議し、同日付で出資契約を締結しました。

 

 

(7) リチウムイオン電池セル生産・供給に関する包括契約等の締結

当社は、平成26年9月30日開催の取締役会において、米国のテスラモーターズ(以下、「テスラ社」)との間で、テスラ社のギガファクトリー(原材料から電池ユニットまでを一貫生産する大規模電池工場)内において、当社が円筒形リチウムイオン電池セルを生産・供給することに関して、包括契約及び価格合意契約等を締結することを決議し、同年10月1日付で同契約等を締結しました。

 

 

(8) パナソニック エクセルスタッフ㈱の株式の一部譲渡に関する株式譲渡契約書等の締結

当社は、平成26年12月22日開催の取締役会において、当社100%出資の連結子会社であるパナソニック エクセルスタッフ㈱の普通株式の66.61%を、テンプスタッフ㈱に譲渡することを決議し、平成26年12月24日付で、テンプスタッフ㈱との間で、株式譲渡契約書及び株主間契約書を締結しました。

 

上記に従い、当社は、平成27年3月31日に、パナソニック エクセルスタッフ㈱の普通株式の66.61%を、テンプスタッフ㈱に譲渡しました。

 

 

(9) パナソニック インフォメーションシステムズ㈱の完全子会社化ならびに株式交換契約の締結

当社は、平成27年2月3日開催の取締役会において、当社を株式交換完全親会社とし、パナソニック インフォメーションシステムズ㈱(以下、「パナソニックIS」)を株式交換完全子会社とする株式交換(以下、「本株式交換」)を行うことを決議し、当社とパナソニックISとの間で株式交換契約を締結しました。

 

①パナソニックISの資本金、事業内容

資本金:1,040百万円(平成27年3月31日現在)

事業内容:情報サービス事業の提供

 

②当社の資本金、事業内容

資本金:258,740百万円(平成27年3月31日現在)

事業内容:電気・電子機器等の製造・販売

 

③本株式交換の効力発生日

平成27年8月1日(予定)

 

④本株式交換の目的

パナソニックISをグローバルなIT中核会社と位置づけ、当社グループの全事業領域を総合的にカバーし、グループ経営を支える最適なITシェアードサービスの実現を目指します。

 

⑤本株式交換に係る割当ての内容

本株式交換における株式の割当比率は、パナソニックIS株式1株に対して当社株式2.5株であり、当社が交付する株式は、全てその保有する自己株式にて対応する予定です。ただし、当社が保有するパナソニックIS株式については、本株式交換による株式の割当ては行いません。

 

⑥株式交換比率の算定根拠

株式交換比率の算定にあたって、当社は野村證券㈱を、パナソニックISはSMBC日興証券㈱を、それぞれの第三者算定機関に選定しました。野村證券㈱は当社については市場株価平均法、パナソニックISについては市場株価平均法、類似会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下、「DCF法」)をそれぞれ採用して算定を行いました。SMBC日興証券㈱は当社については市場株価法、パナソニックISについては市場株価法、類似上場会社比較法及びDCF法をそれぞれ採用して算定を行いました。

これらの算定結果を参考に、両社それぞれが慎重に検討し、両社間で交渉・協議し、株式交換比率を決定しました。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、「家電」「住宅」「車載」「BtoBソリューション」「デバイス」の5つの事業領域の成長に向け、それぞれのカンパニーにおいて、成長戦略に基づき、強みを持つ事業をさらに強化すべく、将来を担う新技術や新製品の開発に注力しました。加えて、新規領域における中長期の革新的な研究は、新設の先端研究本部がその役割を担っていきます。

 

 カンパニーや事業部などの組織を横断した主な取り組みと成果は、以下のとおりです。

・家電で培った光学技術を大口径非球面レンズや車載用ヘッドアップディスプレイに展開

デジタルカメラやプロジェクターの開発で得たナノメートル精度を有する独自の成形用金型・プロセス技術・計測設備とノウハウを、業務用途や車載用途に応用展開しました。業務用途では、曇りや割れのない大口径(直径75mm)ガラスモールド非球面レンズの量産化が可能となりました。車載用途では、車の曲面形状のフロントガラスに、ナビ情報などを画面歪みの無い状態で投影することができる特殊な形状のミラーを開発することで、業界最小のヘッドアップディスプレイユニットを実現することができました。

 

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、4,573億円となりました。主な内訳は、「アプライアンス」930億円、「エコソリューションズ」571億円、「AVCネットワークス」1,113億円、「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」1,812億円です。各セグメントの主な成果は以下のとおりです。

 

 

(1) アプライアンス

 主に当社の研究開発部門を中心として白物家電や情報家電、空調機器等の研究開発を行っています。主な成果としては、

・ハイレゾ音源対応の「Technics」オーディオアンプ向け高音質化技術を開発

ノイズや歪みの影響を受けないフルデジタル構成とするために、低域から高域まで幅広い範囲でブレの少ないクロック信号を生成するデジタル回路技術と、ハイレゾ音源の持つダイナミックレンジを損なうことなくパルス幅変調波へ変換する高精度な信号変換技術を開発しました。これにより従来の最高級A級アナログアンプに匹敵する音質を実現しました。この結果、CD音源よりも原音に近いハイレゾ音源の特長を最大限に引き出すオーディオアンプを実現し、「Technics」ブランドとしてかつてない「驚き」と「感動」の音をお届けすることが可能になりました。

・紙パック式掃除機向け軽量化技術を開発

綾織した繊維を積層することで、一般的に使用する樹脂材料(ABS樹脂)よりも強度がアップした先端材料「PPFRP(ポリプロピレン繊維強化樹脂)」を開発し、業界で初めて掃除機本体に採用しました。この材料により従来品の約1/2の薄さで同じ強度を確保することができます。さらに、この材料の持つ織り目を生かした「綾織」デザインを本体ボディに採用し、一枚の布に優しく包まれた様な素材感が際立つ本体フォルムに仕上げました。また、小型軽量化を追及した「アルミ素材高効率モーター」や部品の小型化とレイアウトの最適化などにより、家庭用床移動型掃除機において世界最軽量の本体質量2.0kgを実現しました。

・冷凍ショーケース向け「新温度制御システム」を開発

従来、店舗用ショーケースの庫内温度は外気条件の変化に影響を受けていました。今回、庫内の冷気の吐出部、吸引部および庫内空気の温度を検知する3つのセンサーからの温度情報を、マイコンコントローラーで冷却不足、適正、冷えすぎといった冷却状況を自動で判断し、冷気が吐出される空気温度を電子的に制御する技術を開発しました。これによりショーケースの庫内温度を一定に保てるようになりました。この技術を自然冷媒(CO2)採用の冷凍機システムに採用することにより、冷設機器用冷媒のノンフロン化と機器の省エネ化の両立が可能となりました。

(2) エコソリューションズ

 主に当社とパナソニック エコシステムズ㈱の研究開発部門を中心として、エネルギーマネジメントをはじめ、住宅設備や建材、環境空質機器等の研究開発を行っています。主な成果としては、

・シリコン系太陽電池セルで世界最高の変換効率25.6%を研究レベルで達成

太陽電池モジュール「HIT」の中核技術として永年にわたり蓄積してきた、結晶シリコン基板表面にアモルファスシリコン層を形成することで受光面を安定化させる高出力化技術をさらに進化させたことに加え、太陽光をより有効に活用できる新電極構造を採用することで、シリコン系太陽電池の変換効率の世界記録を実用サイズ(セル面積:143.7cm2)で15年振りに塗り替えました。

・自然の力を積極的に活用するパッシブハウス型農業プラント向け環境制御システムを開発

電気エネルギーにできるだけ頼らず、自然光や水、風などの自然エネルギーを最大限に直接利用するパッシブ技術により、作物周辺の温度、湿度などの環境をバランス良く整えるトータルな環境制御システムを開発しました。このシステムにより、エアコンや暖房機を使用せずエネルギーコストを抑制することができます。また、ハウス外の照度、外気温度、ハウス内の温度・湿度を計測して、遮光、送風、散水を行う機器制御を行う事により、ハウス内の作物の成長に合わせた制御や季節や時間に合わせた自動制御も可能となります。こうしたシステムにより、農産物の生産効率の向上を図り、生産者の方々の負担を軽減することができるようになりました。

・ベッドからの移動を支援する「自立支援型起立歩行アシストロボット」を開発

長年、製造現場の重量物搬送支援向けに研究し続けてきた人との協調制御技術を介護福祉分野に適用しました。この技術を用いて、被介助者の起立・着座・静止などの動作をセンシングし、足りない力をモーターでアシストすることで、被介助者の自立的動作を支援するロボットのプロトタイプを開発しました。

 

(3) AVCネットワークス

 主に当社の研究開発部門を中心として、AVとICTとを融合し、企業・法人向けの機器やソリューションの研究開発を行っています。主な成果としては、

・スマートフォンをかざすだけで対象物の情報をすばやく受信する新たな通信技術を開発

対象物を照らすLED光源の光を目に見えない速さで高速に点滅させ、専用アプリを搭載したスマートフォンのカメラを用いて、その点滅による明暗を情報として、従来技術の数百倍の通信速度(数キロbps)で、すばやく情報を読み取る技術を独自に開発しました。この結果、本技術を適用したLED照明やディスプレイに、スマートフォンをかざせば関連情報をお客様に表示するなど、新しいBtoBソリューションの創出が可能となりました。

・最大直径75mmのガラスモールド非球面レンズ・ミラーを開発

小型化・高解像度化が進むカメラやプロジェクター用の交換レンズに適用可能な、直径75mmの大口径ガラスモールド非球面レンズを開発しました。さらに、デジタルカメラなどの開発・生産で蓄積した技術力と生産ノウハウを活かし、金型・成形・計測設備を自社開発し、大口径化に伴うレンズ成形時の曇りや割れを防ぎ、形状精度を保つ量産化技術を確立しました。このレンズの採用により、カメラ・プロジェクター用交換レンズの小型化・軽量化を実現し、業務用途のレンズ事業を幅広い業界に向けて展開することが可能になりました。

・ネットワークカメラの画像と連動し必要な場所の音声のみを指定できる収音技術を開発

全方位カメラと複数のマイクロホンを組み合わせ、1台で360度全方位から目的方向の音を抽出する収音技術を開発しました。従来は周辺のもの音や話している様子などを確認するレベルにとどまっていましたが、この技術により、全方位カメラの画像を見ながら、指定した方向の音声を最大2箇所までピンポイントで音声を確認することが可能になりました。これにより、例えば同時に複数の人が話しているような場合でも、特定の話者の声だけを選んで確認できるだけでなく、映像と高性能な音声の確認・記録との組合せで、多様なセキュリティ用途への対応が可能となりました。

 

(4) オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

 主に当社の研究開発部門を中心として、車載向けなどのインフォテインメント関連機器、二次電池をはじめとした電子部品、電子材料等の研究開発を行っています。主な成果としては、

・ナノファイバーを常温で大量生産できる世界最高レベルの製造技術を開発

髪の毛の1/1000以下の細さを持つ繊維状の物質であるナノファイバーは、従来の合成繊維にはない新しい特性を有する新素材ですが、これまで大量に生産することが課題でした。今回、紡糸ノズル内のポリマー溶液に高電圧を加えてナノファイバーにする方法に独自の工夫を加え、常温で様々な高分子のナノファイバー化が可能な製造方法を開発しました。さらに、この技術を適用した大型の製造装置の開発にも成功しました。

これにより、IT分野、バイオ・医療分野、環境分野など様々な分野への新規応用が期待されます。なお、本技術は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトを元に開発された成果です。

・業界最小、低損失なSiCパワーモジュールを開発

大電流・高電圧用途での省エネルギー化のキーデバイスとして注目されているSiC(炭化ケイ素)パワーデバイスにおいて、当社の持つSiCパワートランジスタ技術と㈱三社電機製作所の持つパワーモジュール工法の強みを生かし、複数のSiCトランジスタを組み込んだ、業界最小のSiCパワーモジュールを共同開発しました。このパワーモジュールは従来比で約1/3の小型化とともに、電力変換損失の要因となるオン抵抗の低減も実現しました。これにより、機器の省エネルギー化と共に、パワーデバイスと放熱器を大幅に小型化でき、機器の設計自由度を向上させる事が可能となりました。

・高速マルチユーザ伝送に向けた無線通信技術を開発

4K・8K映像などのリッチコンテンツ(大容量データ)を複数の端末で同時に送受信でき、最大2Gbpsの通信速度を実現する60GHz帯無線LAN規格に対応した高速無線技術を開発しました。電波の送受信方向を制御するビームフォーミング技術により、送受信可能な角度範囲を従来比2.4倍の120度に拡大することができました。また、この技術を3つ組み合わせて360度の全範囲をカバーすることで、通信速度を落とさずに複数ユーザが大容量データをストレスなく送受信が可能になります。加えて、端末位置に追従する機能を適用することで途切れない高速通信を実現しました。この技術を適用した無線アクセスポイントができれば、多くのユーザが集まる場所でも高速な無線通信を提供することが期待できます。本技術は、総務省の委託を受けて実施した「ミリ波帯における高度多重化干渉制御技術等に関する研究開発」による成果です。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は米国会計基準に基づいて作成されています。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、収益認識、貸倒引当金、棚卸資産の評価、長期性資産の減損、のれんの減損、環境負債、繰延税金資産の評価、不確実な税務ポジション、退職給付債務、企業結合により取得した資産及び引き継いだ負債の評価及び開示に反映しています。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。

 

① 長期性資産の減損

当社は、長期性資産の減損または処分に関する会計処理について、会計基準編纂書360「有形固定資産」の規定を適用しています。同規定に基づき、有形固定資産や償却対象となる無形固定資産を含む長期性資産について、当該資産または資産グループの帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を行っています。会社が保有及び使用している資産の回収可能性は、帳簿価額と資産から生じる割引前の将来の見積りキャッシュ・フローとを比較することによって判定されます。資産の帳簿価額が将来のキャッシュ・フローを上回った場合、資産の帳簿価額が公正価値を上回った金額について減損が認識されます。

平成26年度に計上した長期性資産の減損損失は400億円であり、主として「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」セグメントに関連するものです。

 

② のれんの減損

取得した事業に対する投資額がその事業の純資産の公正価値を超える部分が、のれんとして認識されます。当社は、会計基準編纂書350「無形資産―のれん及びその他の無形資産」の規定を適用しています。のれんについては、償却を行わずに少なくとも年1回の無形固定資産の公正価値の評価に基づく減損テストを実施しています。のれんが配分されたレポーティングユニットの減損テストの基準日は1月1日です。

のれんの減損テストは2段階で行っています。第1段階では、レポーティングユニットごとの公正価値を、のれんを含む帳簿価額と比較します。当該公正価値が当該帳簿価額を下回る場合は、のれんの減損兆候があると判断し、第2段階の減損金額の測定を行うこととなり、上回る場合は第2段階の減損金額の測定は不要となります。第2段階において、のれんの減損金額は、帳簿価額が公正価値を超過する分として認識されます。のれんの公正価値は、企業結合における買収価値の配賦に準じた方法でレポーティングユニットの公正価値を配賦し、決定されます。当該配賦後の余剰公正価値は、レポーティングユニットののれんの公正価値となります。

レポーティングユニットの公正価値は、類似取引法、類似上場会社比較法及び将来の割引キャッシュ・フロー分析などにより決定されます。

平成26年度に計上したのれんの減損損失は160億円であり、平成26年度末現在、当社はのれんを4,571億円計上していますが、現在の事実及び仮定の変更に応じて、将来の期間において減損を認識する可能性があります。

 

③ 繰延税金資産の評価

法人税等は、資産・負債法に基づいて計上しており、連結財務諸表上での資産及び負債の計上額とそれらに対応する税務上の金額との差異、並びに繰越欠損金及び税額控除の繰延べに関連する将来の見積り税効果について、繰延税金資産及び負債が認識されます。

繰延税金資産及び負債は、それらの一時差異が解消すると見込まれる年度の課税所得に対して適用される法定税率を使用して測定しています。税率変更による繰延税金資産及び負債への影響は、その税率変更に関する法律の制定日を含む期間の損益として認識されます。

予測される将来の課税所得に基づく繰延税金資産の実現可能性の評価において、当社は繰延税金資産の一部または全部が実現しない可能性が50%超であるか否かを考慮しています。繰延税金資産の最終的な実現については、一時差異が解消するまでの期間における将来の課税所得の評価に依存します。繰延税金資産の評価に際しては、繰延税金負債の解消スケジュール、将来課税所得、タックス・プランニングを考慮しています。

平成26年度において、パナソニック㈱の繰延税金資産に対して130,159百万円の評価引当金の減少を認識しました。これは、事業構造改革の完遂や不採算事業の終息、主要事業への注力などによる近年や将来の収益性の向上を踏まえ、過去の業績、複数の内部シナリオや前提条件、合理的な外部データに基づく、将来課税所得の見通しから、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産が実現する可能性がより確からしいと認められたためです。今後、繰延税金資産に影響を及ぼす事象を認識した場合、評価引当金の修正を適時行います。もし将来予測課税所得が現時点の見積りより大幅に悪化した場合は、繰延税金資産を減額し、見積りより良化した場合については、評価引当金を減少します。

平成26年度末現在の繰延税金資産・負債(純額)は2,372億円(借方)です。

 

④ 退職給付債務

年金制度及び一時金制度について、当社は、会計基準編纂書715「報酬―退職給付」の規定を適用しています。同規定に基づき、年金制度の財政状況(すなわち、年金資産と退職給付債務の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果調整後で、「その他の包括利益(損失)累積額」に計上しています。

年金数理上の純損益については、回廊(退職給付債務と年金資産の公正価値のいずれか大きい方の10%)を超える部分について、従業員の平均残存勤務年数で、定額償却しています。ただし、移行日以降の積立分(将来分)を確定拠出年金制度へ移行した当社及び一部の国内子会社については、従来の確定給付年金制度(過去分)に基づく年金数理上の純損益のうち、回廊を超える部分を、従業員及び退職者の平均余命年数で、定額償却しています。

当社は安全な固定利付債券の利回りを元に割引率を決定し、また、年金資産の運用先ごとの過去及び将来の収益率だけでなく、現在及び予想される資産配分を考慮して、期待収益率を決定しています。割引率の減少は給付債務の増加をもたらし、その結果、数理計算上の差異の償却を通じて償却費の増加につながります。0.5%の割引率の減少は約7%の退職給付債務の増加につながります。市場の株式価値の下落は、一般的に、期待収益率の低下をもたらし、その結果、将来の退職給付費用の増加につながります。

平成26年度末現在の年金資産を上回る退職給付債務(予測給付債務)は3,139億円です。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 平成26年度の世界経済は、中国やアセアン諸国の一部では景気が伸び悩み、欧州でも概ね低成長となる一方で、米国では雇用や消費が堅調に推移し、日本でも円高の是正などを背景に、消費税増税の影響による一時の落ち込みから徐々に持ち直しました。資源価格の下落や、地政学的な不安要因などの経済環境の変化はありましたが、全体としては緩やかな回復基調となりました。

 このような経営環境のもと、当社グループでは、中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015(略称CV2015)」の2年目として、事業部基軸の経営を推し進め、「CV2015達成への基盤を固める」とともに、「平成30(2018)年の『新しいパナソニック』に向けた成長戦略を仕込む」ための取り組みを推進してまいりました。

 主要な課題事業と位置付けた、テレビ・パネル、半導体、回路基板、光デバイス、携帯電話、エアコン、デジタルカメラの、7つの主要課題事業については、方向付けを完了し、打つべき手を打ち終えました。当年度に赤字が残る事業もありますが、黒字化に向けた道筋を付け終えたという意味で、CV2015における構造改革を完遂したと認識しています。

 

① 売上高

当年度の連結売上高は、円安による押し上げ効果もありましたが、課題事業の販売絞込みや事業譲渡による販売減などから、前年度と同水準の、7兆7,150億円となりました。国内では、住宅関連事業や家電事業を中心に、消費税増税による反動影響を受けたことなどにより、減収となりましたが、住宅用ソーラーの販売は好調に推移しました。海外では、堅調な需要に支えられる車載関連事業が好調に推移したことに加え、円安による押上げ効果もあり、増収となりました。為替の影響を除く実質ベースでは、連結売上高は、前年度比で3%の減少となりました。

地域別売上高については、国内は、特に家電や住宅関連を中心に増税後の需要減少の影響を受け、前年度の3兆8,979億円に比べて5%減少し、3兆6,920億円となりました。海外は、前年度の3兆8,386億円に比べて5%増加し、4兆230億円となりましたが、為替の影響を除く実質ベースでは、前年度比で2%の減少となりました。米州は、1兆2,180億円と前年度からは増加しましたが、実質ベースでは1%の減少となりました。欧州は、7,294億円と前年度から1%減少し、実質ベースでも4%の減少となりました。アジア・中国他は、2兆756億円と前年度からは増加しましたが、実質ベースでは1%の減少となりました。

 

② 営業利益

売上原価は、前年度の5兆6,388億円に比べて減少し、5兆5,272億円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前年度の1兆7,926億円に比べて増加し、1兆8,059億円となりました。

これらの結果、営業利益は、前年度の3,051億円に比べて増加し、3,819億円となりました。事業構造改革の効果も含む課題事業の収益改善、固定費圧縮および材料合理化の取り組みなどが寄与し、大幅な増益となりました。営業利益率も、前年度の3.9%から良化し、5.0%となりました。

 

③ 税引前利益

営業外収益については、受取利息は、前年度の106億円から増加し、150億円となりました。受取配当金は、前年度の20億円に比べて減少し、15億円となりました。また、事業譲渡および固定資産売却に伴う収益等を957億円計上しました。

営業外費用については、支払利息は、前年度の219億円から減少し、176億円となりました。また、固定資産減損損失を含む事業構造改革費用949億円、家庭用ヒートポンプ給湯機の市場対策費用246億円、ブラウン管、リチウムイオン電池などの独占禁止法違反について訴訟関連費用592億円等を計上しました。

これらの結果および前年度に年金制度変更に伴う一時益を計上したことなどから、営業外損益は、前年度の989億円の損失に対し、1,994億円の損失となり、税引前利益は、前年度の2,062億円に対し、1,825億円となりました。

 

④ 当社株主に帰属する当期純利益

法人税等は、前年度の897億円の損に対し、20億円の益となりました。これは、当年度に連結決算においてパナソニック㈱の繰延税金資産1,302億円を再計上したことによるものです。

持分法による投資利益は、前年度の51億円から増加し、119億円となりました。非支配持分帰属利益は前年度の12億円に対し、169億円となりました。

これらの結果、当社株主に帰属する当期純利益は、前年度の1,204億円に対し、1,795億円となりました。また、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前年度の52円10銭に対し、77円65銭となりました。

 

⑤ セグメントの業績

当社グループのセグメントは、「アプライアンス」、「エコソリューションズ」、「AVCネットワークス」、「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」、「その他」の5セグメントで構成されています。セグメントごとの業績は以下のとおりです。なお、平成26年4月1日及び平成26年7月1日に、一部の事業をセグメント間で移管しており、以下の分析では、平成26年7月1日付の形態に合わせた前年度数値と比較しています。

 

a アプライアンス

当セグメントの売上高は、前年度と同水準の1兆7,697億円となりました。

当年度は、国内では消費税増税前の駆け込み需要の反動やテレビの急激な価格下落の影響がありましたが、海外ではエアコンなどの白物家電やモーターが堅調に推移し、全体では前年度並みとなりました。

主な事業部の状況では、ホームエンタテインメント事業部は、国内を中心にビデオ機器の販売が堅調に推移しました。しかしながら、テレビで4K高付加価値の新製品を発売したものの、急激な価格の下落や為替の影響を受けたことにより、事業部全体では減収となりました。エアコン事業部では、国内の夏場の天候不順や消費税増税の影響があったものの、家庭用エアコン・大型エアコンとも、海外を中心にそれぞれ販売を伸ばし増収となりました。ランドリー・クリーナー事業部では、洗濯機、掃除機の販売が堅調に推移し、増収となりました。冷熱空調デバイス事業部では、空調用コンプレッサーが、国内、中国で堅調に推移し、増収となりました。

当セグメントの営業利益は、405億円となりました。テレビの収益悪化を、エアコンの収益改善やモーターなどのデバイスの増益が補い、前年度から110億円増加しました。

 

b エコソリューションズ

当セグメントの売上高は、前年度比で1%減少し、1兆6,660億円となりました。

当年度は、トルコのヴィコ エレクトリック㈱が新しく連結対象に加わったことなどにより海外売上は伸長しましたが、国内では消費税増税前の駆け込み需要の反動で、住宅関連が市場の縮小に伴って減収となったため、全体ではわずかに減収となりました。

主な事業部の状況では、エナジーシステム事業部は、住宅用太陽光発電システムの売上が伸長し、また配線器具、ブレーカなどの海外売上が伸長したことにより、増収となりました。ハウジングシステム事業部では、タンクレストイレは好調でしたが、国内の住宅市場悪化の影響により、事業部全体では減収となりました。ライティング事業部では、海外売上や国内の非住宅用照明の売上は伸長しましたが、LED化による既存光源需要の縮小と、消費税増税前の駆け込み需要の反動による住宅用照明の苦戦が影響し、事業部全体ではわずかに減収となりました。パナソニック エコシステムズ㈱では、国内のエンジニアリング事業の大型件名に加え、海外での換気設備などが好調に推移したことにより増収となりました。

当セグメントの営業利益は、953億円となりました。住宅用太陽光発電システムなどの増販益に加え、合理化推進や固定費削減などが寄与し、前年度から32億円増加しました。

 

c AVCネットワークス

当セグメントの売上高は、前年度と同水準の1兆1,543億円となりました。

当年度は、前年度来の事業構造改革に伴う販売減少を、堅調な企業向け事業の販売増加と円安による増収効果で補い、全体では前年度並みとなりました。

主な事業の状況では、アビオニクス事業部などのバーティカルソリューション事業において、航空機内AVシステムの装着加速の取り組みと円安による増収効果が寄与し、売上が大幅に伸長しました。ビジュアルシステム事業部などの映像・イメージング事業では、高輝度モデルのプロジェクターが堅調に推移しましたが、デジタルカメラの機種絞込みによる販売減少や、プラズマディスプレイパネルからの撤退の影響などにより、全体の売上は減少しました。ITプロダクツ事業部などのモビリティ事業では、円安による増収効果とともに、欧米地域での堅牢パソコンおよび堅牢タブレットの販売が堅調に伸長し、増収となりました。コミュニケーションプロダクツ事業部などのコミュニケーション事業では、市場が縮小したものの、海外向け固定電話機の販促活動強化やオフィス用電話機の新製品などが奏効し、全体の売上は堅調に推移しました。

当セグメントの営業利益は518億円となりました。事業構造改革の効果に加え、企業向け事業の販売増加に伴う利益改善が寄与し、前年度から161億円増加しました。

 

d オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

当セグメントの売上高は、前年度比で2%増加し、2兆7,825億円となりました。

当年度は、不採算事業の縮小や事業譲渡などによる販売減があったものの、車載事業の需要が北米や欧州地域を中心に海外で堅調に推移したことに加え、円安による増収効果により、全体では増収となりました。

主な事業部の状況では、インフォテインメント事業部は、ディスプレイオーディオの販売が好調に推移したことに加え、カーナビゲーションなどの海外販売が堅調であったことから、増収となりました。小型二次電池事業部では、ニカド電池やICT(情報通信技術)分野向けリチウムイオン電池は減少したものの、米国電気自動車メーカー向けの車載用をはじめ、蓄電・電動工具向けリチウムイオン電池の販売が拡大し、事業部全体では売上が大きく増加しました。制御機器事業部では、スマートフォン向けコネクタの販売不振を、車載および産業分野向けデバイスで補い、事業部全体では売上が堅調に推移しました。

当セグメントの営業利益は、1,057億円となりました。為替の影響に加え、液晶パネルや半導体事業をはじめとする構造改革効果や合理化推進により、前年度から365億円増加しました。

 

e その他

当セグメントの売上高は、前年度比で14%減少し、7,645億円となりました。

当年度は、パナホーム㈱では、消費税増税前の駆け込み需要の反動により戸建住宅の販売は低調となりましたが、都市部を中心とした相続税制改正への関心の高まりに対して、都市型賃貸住宅やエイジフリー住宅の販売を推進したことにより、前年度並みとなりました。しかしながら、ヘルスケア事業を前年度末に売却した影響などにより、全体としては大幅な減収となりました。

当セグメントの営業利益は、146億円となりました。ヘルスケア事業の売却の影響などにより、前年度から97億円減少しました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

「4 事業等のリスク」に記載しています。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

「3 対処すべき課題」に記載しています。

 

(5)財政状態及び流動性

① 流動性と資金の源泉

当社グループでは、事業活動に必要な資金は自ら生み出すことを基本方針とし、事業を推進しています。また、生み出した資金については、グループ内ファイナンスにより効率的な資金活用を行っています。その上で、運転資金や事業投資などのため所要の資金が生じる場合には、財務体質や金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からの資金調達を行っています。

 

(資金)

当年度末の現金及び現金同等物残高は、前年度末の5,925億円から増加し、1兆2,804億円となりました。

 

(有利子負債)

有利子負債は、総額4,000億円の国内無担保普通社債の発行などから、前年度末の6,421億円から当年度末には9,729億円へ増加しました。

 

ネット資金については、全社をあげた資金創出の取り組みの継続により、前年の476億円のマイナスから、3,315億円のプラスとなりました。

(注)ネット資金は、「現金及び現金同等物」、定期預金(1年超含む)などの資金から有利子負債(「短期負債及び一年以内返済長期負債」と「長期負債」の合計)を差し引いて算出しています。

 

(格付け)

当社は、㈱格付投資情報センター(R&I)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱(S&P)、およびムーディーズ・ジャパン㈱(ムーディーズ)から格付けを取得しています。当年度末の当社の格付けは、次のとおりです。

R&I:A (長期、アウトルック:安定的)、a-1 (短期)

S&P:BBB+ (長期、アウトルック:ポジティブ)、A-2 (短期)

ムーディーズ:Baa1 (長期、アウトルック:ポジティブ)

 

② キャッシュ・フロー

当社グループは、事業収益力強化によりフリーキャッシュ・フローを向上させ、中長期的に事業を発展させていくことが重要と考えています。同時に、継続的な運転資本の圧縮、保有資産の見直しなどによるキャッシュ・フローの創出にも徹底して取り組んでいます。

当年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローの合計)は3,535億円(対前年度差2,406億円減)となりました。前年度に、運転資本の急速な良化やヘルスケア事業の譲渡に伴う収入があったことから対前年度では減少していますが、当年度も、当期純利益の計上や運転資本の良化、事業および保有株式の売却などにより、大幅なプラスとなりました。

なお、キャッシュ・フローの分析の詳細については、「1 業績等の概要」に記載しています。

 

③ 設備投資額と減価償却費

当年度の設備投資額(有形固定資産のみ)については、前年度の2,170億円から4%増加し、2,267億円となりました。主要な設備投資は、国内(大阪府)における車載用を中心とする小型二次電池の生産設備です。

減価償却費(有形固定資産のみ)は、前年度の2,788億円から13%減少し、2,421億円となりました。

 

④ 資産、負債及び資本

当社グループの当年度末の連結総資産は、前年度末から7,440億円増加し、5兆9,569億円となりました。これは、円安の影響に加え、社債発行による現金及び現金同等物の増加や繰延税金資産の再計上などによるものです。

負債については、無担保普通社債の発行などにより、前年度末に比べて3,378億円増加し、3兆9,644億円となりました。

当社株主資本については、前年度末から2,751億円増加し、1兆8,233億円となりました。これは、複数の連結子会社において追加持分を取得したことに伴い資本剰余金が減少したものの、当期純利益の計上に加え、円安に伴うその他の包括利益(損失)累積額の良化によるものです。この結果、株主資本比率は前年度末の29.7%から増加し、30.6%となりました。また、当社株主資本に非支配持分を加味した資本合計は、1兆9,925億円となりました。