(1)業績
当連結会計年度における経済環境を顧みますと、景気は総じて弱い回復が続いたものの、底堅さが見られました。米国では失業率低下や個人消費の増加などの押し上げ要因により、緩やかな回復となりました。欧州においては、失業率が横ばいとなった一方、生産は底堅い動きとなり、景気は依然弱さが残るものの持ち直しの兆しが見られました。アジアにおいては、中国では景気の拡大テンポが安定化しつつあり、インドでは下げ止まりの兆しが見られました。また、その他のアジア諸国においては、ASEAN地域や台湾では持ち直しの動きが見られたほか、韓国では改善の傾向が見られました。日本は、円安効果による輸出環境の改善や各種政策効果などもあり、景気は緩やかな回復となりました。
エプソンの主要市場においては、以下のとおりとなりました。
インクジェットプリンターの需要は、北米や日本で縮小した一方で、欧州については横ばいの傾向が見られました。大判インクジェットプリンターは、低価格帯モデルが好調であったほか、高価格帯モデルは前半は低迷したものの、後半には企業投資の回復傾向が見られました。シリアルインパクトドットマトリクスプリンター(SIDM)は、米国・欧州の市場が縮小傾向となった一方、中国ではインフラ投資による増加傾向が見られました。POSシステム関連製品は、米州の中小規模小売店向けが安定的に推移したほか、欧州では後半には需要は回復傾向となりました。プロジェクターは、日本では安定的な需要が見られ、米州・亜州では需要が横ばいであった一方で、欧州では投資予算の削減継続により需要が低迷しました。
電子デバイス製品の主要なアプリケーションについては、携帯電話は、従来型は減速が続いた一方、スマートフォンは堅調に推移しました。PC市場は、タブレット型が堅調に推移した一方、ノート型やデスクトップ型は縮小しました。デジタルカメラ市場は、コンパクトレンズ一体型が引き続き低迷したほか、一眼レフやミラーレス式タイプについても需要が鈍化しました。
精密機器製品に関連する市場では、ウオッチは日本を中心に高価格品の需要が拡大傾向となりました。また、産業用ロボットは自動車やスマートフォン関連向けを中心に需要が増加したほか、ICハンドラーは半導体市場の投資の再開もあり、需要は回復傾向となりました。
エプソンは、平成25年3月に「SE15後期 新中期経営計画」(以下「新中期計画」という。)を策定しました。新中期計画の3カ年(2013年度~2015年度)においては、長期ビジョン「SE15」で掲げた戦略の基本的な方向性は堅持しつつ、「売上高成長を過度に追わず、着実に利益を生み出すマネジメントの推進」を基本方針とし、安定的な利益およびキャッシュの創出を最優先した経営を行っており、そのために、既存事業領域では商品構成の見直しとビジネスモデルの転換を図り、新規事業領域では積極的な市場開拓に取り組む方針です。そして、エプソンは、2016年度からの次期中期計画において、「コンシューマー向けの画像・映像出力機器中心の企業」から「プロフェッショナル向けを含む新しい情報ツールや設備をクリエイトし、再び力強く成長する企業」へと脱皮することを目指し、新中期計画の3カ年ではその基礎を築き、着実に歩みを進めることとしています。
なお、当連結会計年度の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ100.23円および134.37円と前年度に比べ、米ドルでは21%の円安、ユーロでは25%の円安で推移しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,003,606百万円(前期比17.9%増)、営業利益は84,968百万円(同299.8%増)、経常利益は78,121百万円(同343.1%増)、当期純利益は83,698百万円(前期は10,091百万円の当期純損失)となりました。なお、繰延税金資産の回収可能性を検討し計上額を見直した結果、税金費用が減少することとなり、法人税等調整額を30,734百万円計上しております。
報告セグメントごとの業績は、次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より従来のセグメント区分の一部を分割・新設しております。主な変更点は、従来の情報関連機器事業セグメント、デバイス精密機器事業セグメント、全社費用に含まれていたFA機器・産業用インクジェット印刷機・センシングシステム機器などを分割し、センサー産業機器事業セグメントとして新設していることです。また、前連結会計年度においてデバイス精密機器事業セグメントに含まれていた光学事業については、事業譲渡にともない全社費用に含めております。
(情報関連機器事業セグメント)
プリンティングシステム事業の売上高は為替影響もあり増加となりました。製品別の内容は以下のとおりです。
インクジェットプリンターは、本体についてはインクカートリッジモデルが数量減少となったものの、大容量インクタンクモデルの数量増加、平均販売単価の上昇などにより全体としては売上増加となりました。また、消耗品についても数量増加効果により売上増加となりました。大判インクジェットプリンターは、高価格帯の本体・消耗品の販売増加にともなう平均販売単価の上昇により売上増加となりました。ページプリンターは、高付加価値製品中心へ販売を絞り込んだことにより数量減少となった結果、売上減少となりました。SIDMは、中国における徴税需要が安定的に推移したことにより、売上増加となりました。POSシステム関連製品は、米州を中心とした数量増加により売上増加となりました。
ビジュアルコミュニケーション事業の売上高は為替影響もあり増加となりました。製品別の内容は以下のとおりです。
ビジネス向け液晶プロジェクターは、販売好調な米州や中国での売上が牽引し数量増加により売上増加となりました。ホームシアター向け液晶プロジェクターも、日本や中国を中心とした数量増加により売上増加となりました。
情報関連機器事業セグメントのセグメント利益につきましては、為替影響に加え、主要製品の売上増加により増益となりました。
以上の結果、情報関連機器事業セグメントの売上高は836,436百万円(前期比22.0%増)、セグメント利益は121,531百万円(同134.9%増)となりました。
(デバイス精密機器事業セグメント)
マイクロデバイス事業の売上高は減少となりました。製品別の内容は以下のとおりです。
水晶デバイスは、為替影響があったものの、音叉型が携帯電話向けの需要減少にともなう数量減少に加えて価格下落が進行したほか、オプトデバイスがデジタルカメラ向けを中心に売上減少となり、全体で売上減少となりました。半導体は、マイクロコントローラーユニットの価格下落などがあったものの、為替影響により売上増加となりました。
プレシジョンプロダクツ事業の売上高は、ウオッチの高価格品の販売増加による平均販売単価の上昇効果や為替影響などにより増加となりました。
デバイス精密機器事業セグメントのセグメント利益につきましては、セグメント全体で為替による増益効果を受けたほか、マイクロデバイス事業の費用削減効果もあり増益となりました。
以上の結果、デバイス精密機器事業セグメントの売上高は148,956百万円(前期比5.8%増)、セグメント利益は9,733百万円(同12.7%増)となりました。
(センサー産業機器事業セグメント)
センサー産業機器事業セグメントの売上高は増加となりました。製品別の内容は以下のとおりです。
FA機器では、産業用ロボットはアジア向けの受注増により売上増加となったほか、ICハンドラーはスマートフォン向け半導体業界からの受注増があり売上増加となりました。
センサー産業機器事業セグメントのセグメント利益につきましては、産業用ロボット・ICハンドラーは増益となったものの、産業用インクジェット印刷機やセンシングシステム機器の損失拡大影響が上回りました。
以上の結果、センサー産業機器事業セグメントの売上高は16,181百万円(前期比41.8%増)、セグメント損失は10,183百万円(前期は9,614百万円のセグメント損失)となりました。
(その他)
当連結会計年度における、その他の売上高は1,334百万円(前期比4.8%増)、セグメント損失は258百万円(前期は165百万円のセグメント損失)となりました。
(調整額)
報告セグメントに帰属しない新規事業および基礎研究に関する研究開発費や本社機能に係る費用を中心とした販売費及び一般管理費の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△35,854百万円(前期の調整額は△29,349百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、111,253百万円の収入(前期は42,992百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益が71,916百万円だったのに対し、売上債権の増加16,060百万円などによる減少要因があった一方で、減価償却費の計上38,725百万円および仕入債務の増加18,401百万円などによる増加要因があったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形・無形固定資産の取得による支出40,379百万円があったことなどにより、39,519百万円の支出(前期は39,511百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入20,000百万円があった一方で、短期・長期借入金の純減72,496百万円および配当金の支払3,577百万円などにより56,567百万円の支出(前期は21,298百万円の収入)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、211,500百万円(前期は184,639百万円)となりました。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) |
前期比(%) |
|
情報関連機器事業(百万円) |
845,168 |
131.3 |
|
デバイス精密機器事業(百万円) |
138,238 |
103.6 |
|
センサー産業機器事業(百万円) |
15,316 |
134.7 |
|
報告セグメント計(百万円) |
998,723 |
126.7 |
|
その他(百万円) |
751 |
109.8 |
|
合計(百万円) |
999,474 |
126.7 |
(注)1.上記金額は、販売価格により示しており、セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記金額には、外注製品仕入高等が含まれております。
(2)受注実績
エプソンでは、製品の性質上、原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) |
前期比(%) |
|
情報関連機器事業(百万円) |
835,988 |
122.0 |
|
デバイス精密機器事業(百万円) |
143,928 |
106.8 |
|
センサー産業機器事業(百万円) |
16,019 |
141.4 |
|
報告セグメント計(百万円) |
995,935 |
119.8 |
|
その他(百万円) |
892 |
104.2 |
|
合計(百万円) |
996,827 |
119.8 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(1)対処すべき課題
エプソンは、平成25年3月に「SE15後期 新中期経営計画」(以下「新中期計画」という。)を策定しました。新中期計画の3カ年(2013年度~2015年度)においては、長期ビジョン「SE15」で掲げた戦略の基本的な方向性は堅持しつつ、「売上高成長を過度に追わず、着実に利益を生み出すマネジメントの推進」を基本方針とし、安定的な利益およびキャッシュの創出を最優先した経営を行っており、そのために、既存事業領域では商品構成の見直しとビジネスモデルの転換を図り、新規事業領域では積極的な市場開拓に取り組む方針です。そして、エプソンは、2016年度からの次期中期計画において、「コンシューマー向けの画像・映像出力機器中心の企業」から「プロフェッショナル向けを含む新しい情報ツールや設備をクリエイトし、再び力強く成長する企業」へと脱皮することを目指し、新中期計画の3カ年ではその基礎を築き、着実に歩みを進めることとしています。
エプソンを取り巻く経済情勢を概観すると、新興国では成長率が鈍化する一方で、米国を中心とする先進国の景気回復を背景として、世界経済は引き続き成長する見通しです。また、持続可能な産業・経済活動への転換などが進展するなか、こうした動きを背景として社会の変容が進むことにより、エプソンが実現すべきお客様価値も変わっていくものと考えられます。
エプソンは、このような経営環境のもと、引き続き独自の強みを発揮できる以下の領域に経営資源を集中し、事業領域の拡大や次世代を担う新規事業の強化を図ることにより、再び力強く成長する企業への転換を進めます。そのうえで、安定的な利益体質が確立された2016年度から開始する次期中期計画においては、できるだけ早いタイミングでROS10%、ROE10%以上を継続的に達成することを目指してまいります。
(各事業の基本戦略)
<プリンティングシステム事業>
プリンティングシステム事業では、インクジェット技術により、新次元のプリンティング環境を創造します。インクジェットプリンターについては、オフィス市場や新興国市場のニーズに適応したモデルを投入することにより、商品構成やビジネスモデルの転換を進めるとともに、新型ピエゾヘッドを搭載したモデルを順次発売し、競争力の強化に取り組みます。同時に、ITソリューションを含めたサービス・サポートなども一層の充実を図ります。また、ビジネスシステム事業については、既存領域でのシェア№1の座を堅持しつつ、新たな需要の開拓により、着実な収益成長を実現します。
<ビジュアルコミュニケーション事業>
ビジュアルコミュニケーション事業では、マイクロディスプレイ技術による全く新しいビジュアルコミュニケーションを創造します。プロジェクターについては、既存領域での取り組みに加え、強化領域である高光束や短焦点モデルでのポジショニングを高めるために、ソリューション提供力や販売体制の強化などにより、事業領域の拡大と収益力の強化を図ります。また、スマートグラスは、人の生活を革新するポテンシャルを持った商品として、シースルーやハンズフリーといった特長を最大限に活かし、コンシューマー向け以外の分野でも新たな用途や価値の創出に取り組みます。
<マイクロデバイス事業/プレシジョンプロダクツ事業>
これらの事業では、尖らせた技術により、他社にできない商品を創出し続けます。マイクロデバイス事業については、これまで取り組んできた商品ポートフォリオの見直しやコスト構造改革により、利益体質への転換が進んでおり、今後、小型化・高性能化を先導するお客様価値を実現した商品を創出し、安定的な収益確保を図ります。また、プレシジョンプロダクツ事業については、GPSや高価格帯ウオッチなどの高付加価値商品の強化のほか、小規模ながらも高収益な金属粉末事業や表面処理加工事業の拡大により、今後も独自の技術を基盤として収益性の向上に努めます。
<インダストリアルソリューションズ事業>
インダストリアルソリューションズ事業では、高度なメカトロニクス技術などにより、生産性を革新するロボットや生産機器を創造します。エプソンは、スカラロボットや小型6軸ロボットなどの分野で高い信頼と実績を得ており、高い販売シェアを持っています。また、捺染印刷機やデジタルラベル印刷機などでも着実に実績を積み重ねてきました。このような取り組みを加速させると同時に、独創のインクジェット技術やインテリジェントロボット技術などの高度なメカトロニクス技術により、生産性を革新する産業用途のロボットやインクジェット印刷機などを提供し、次の成長に向けた柱として育成していきます。
<センシングシステム事業>
センシングシステム事業では、高精度センサーにより、人々の生活を改善する新しい価値を創造します。
従来、リスト型のGPS機能付ランニング機器や脈拍計など、エプソンが蓄積してきた要素技術とセンサーシステム技術を用いた、新しいセンシング機器による新規ビジネスの創出を進めてきました。今後、このような分野での商品開発をさらに進めるとともに、クラウドの技術も組み合わせることにより、健康・スポーツ・医療の分野、さらに設備やインフラの管理などの産業分野において、全く新しい形の、人や生活に密着したデータを可視化・活用する革新的なツールを提供し、新たな成長ドライバーとしていきます。
(2)会社の支配に関する基本方針
当社は、平成20年4月30日開催の取締役会において、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を次のとおり定めております。
①基本方針の概要
当社は、当社の株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えます。したがって、当社の財務および事業の方針の決定を支配することが可能な数の株式を取得する買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご意思に委ねられるべきものと考えます。
当社は、企業価値や株主共同の利益を確保・向上させていくためには、役職員が一体となって価値創造に向けて取り組むことや、創業以来の風土を大切にしながら創造と挑戦を続けていくこと、お客様の信頼を維持・獲得していくことが不可欠と考えております。
しかし、株式の大量取得行為のなかには、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることにならないものも存在します。当社は、このような不適切な株式の大量取得行為を行う者は当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当ではなく、このような者による大量取得行為に対しては必要かつ相当な手段をとることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
②基本方針の実現に資する取組みの概要
1)基本方針の実現に資する特別な取組み
平成25年度を初年度とする「SE15後期 新中期経営計画」では、長期ビジョン「SE15」で掲げた戦略の基本的な方向性は堅持しつつ、「売上高成長を過度に追わず、着実に利益を生み出すマネジメントの推進」を基本とし、安定的な利益およびキャッシュの創出を最優先した経営を行っております。
今後、エプソンは独自の強みを発揮できる領域に経営資源を集中し、事業領域の拡大や次世代を担う新規事業の強化を図ることにより、再び力強く成長する企業への転換を進めてまいります。
2)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、平成20年6月25日の定時株主総会における株主の皆様のご承認のもと、当社株式の大量取得行為に関する対応策(以下「当初プラン」という。)を導入しました。その後、当初プランが有効期間満了を迎える平成23年6月20日の定時株主総会において、当初プランの内容を一部変更したうえで更新することについて株主の皆様のご承認をいただきました(以下、更新後のプランを「本プラン」という。)。
本プランは、当社株券等に対する大量買付が行われた際に、当該買付に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な時間および情報を確保するとともに、株主の皆様のために、大量買付者と協議交渉などを行うことを可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大量買付を抑止することを目的としております。具体的には、当社の発行済株式総数の20%以上となる株券等の買付または公開買付けを実施しようとする買付者に、意向表明書ならびに株主の皆様の判断および特別委員会の評価・検討などのため必要かつ十分な情報を事前に当社取締役会へ提出すること、本プランに定める手続きを遵守することを求めております。そのうえで、当該買付行為が、本プランに従わない場合や、当社の企業価値・株主共同の利益を侵害する買付であると判断された場合は、当該買付行為を阻止するための対抗措置を発動するプランとなっております。
一方、当社取締役会は、対抗措置の発動について、取締役会の恣意的判断を排除するため、独立性の高い社外者などから構成される特別委員会の判断を経ることとしております。特別委員会は、買付内容の検討、当社取締役会への代替案などの情報の請求、株主の皆様への情報開示、買付者との交渉などを行います。特別委員会は、対抗措置発動の要否を当社取締役会に勧告し、当社取締役会はその勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動または不発動に関する決議を速やかに行うこととしております。
なお、本プランの有効期間は、平成26年6月24開催の定時株主総会終結の時までであったことから、同定時株主総会における株主の皆様のご承認のもと、本プランを更新することといたしました。
③具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
上記② 1)に記載した取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。
また、本プランは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって導入(更新)されたものであり、上記①に記載した基本方針に沿うものです。特に、本プランは、株主総会において株主の皆様のご承認を得たうえで導入(更新)されたものであること、その内容として合理的な客観的発動要件が設定されていること、当社経営陣から独立性の高い者のみから構成される特別委員会が設置されており、対抗措置の発動に際しては必ず特別委員会の判断を経ることが必要とされていること、特別委員会は当社の費用で第三者専門家の助言を得ることができるとされていること、有効期間が導入(更新)から約3年と定められたうえ、取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、高度の合理性を有し、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、エプソンは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針であります。
また、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてエプソンが判断したものであります。
(1)プリンターへの収益の依存について
平成26年3月期における情報関連機器事業セグメントの売上高836,436百万円は、当社の連結売上高1,003,606百万円の8割強を占めており、そのなかでもインクジェットプリンターをはじめとする各種プリンターおよびこれらの消耗品が同事業セグメントの売上高および利益の多くを占めております。したがって、これらのプリンターおよび消耗品の売上高が変動した場合には、エプソンの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合などによる価格低下について
エプソンの主力製品であるプリンターやプロジェクターのほか、一部の電子デバイスについては、競合の激化や低価格品への需要シフトなどにより、今後も市場価格が低下する可能性があります。
エプソンでは、現在、低コスト設計の実施などの製造コストの削減による収益性向上に努めるとともに、高付加価値製品の開発・販売強化などにより、かかる価格低下に対処しております。
しかしながら、今後、これらの施策が成功する保証はなく、エプソンがかかる価格低下に効果的に対応できない場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)他社のテクノロジーとの競合について
エプソンの販売する一部の製品については、他社のテクノロジーと競合しており、例えば、次のような事例があります。
①インクジェットプリンターにおけるエプソンのマイクロピエゾ方式(※1)と他社のサーマルインクジェット方式(※2)との競合
②プロジェクターにおけるエプソンの3LCD(三板透過型液晶)方式(※3)と他社のDLP方式(※4)などとの競合
エプソンは、これらのエプソンの製品において採用している方式について、現時点では競合他社の方式に対する技術的な優位性があると考えておりますが、消費者によるエプソンの技術に対する評価が変化した場合や、エプソンの技術と競合するほかの革新的な技術が出現した場合などには、エプソンの競争優位性が損なわれ、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
※1 マイクロピエゾ方式とは、ピエゾと呼ぶ圧電素子を伸縮させて、インクの小滴をノズルから噴射させるエプソン独自のインクジェット技術をいいます。
※2 サーマルインクジェット方式とは、インクに熱を加えることで発生する気泡の圧力により、インクを噴射する技術をいいます。なお、バブルジェット方式といわれることもあります。
※3 3LCD(三板透過型液晶)方式とは、ライトバルブに高温ポリシリコンTFT液晶パネルを用いる方式であり、光源から出射された光を特殊な鏡を使って赤、緑、青の3原色に分離し、各色専用のLCDで絵を作った後、合成し投影します。
※4 DLP方式とは、表示デバイスにDMD(Digital Micromirror Device)を用いる方式です。DMDとは、ミクロンサイズの微極小な鏡が多数並んだ半導体で、1つの鏡が1画素に対応し光源からの光を反射することで映像を投影します。なお、DLPおよびDMDは、米国テキサス・インスツルメンツ社の登録商標です。
(4)第三者によるインクジェットプリンター用消耗品の販売について
インクジェットプリンターの主な消耗品であるインクカートリッジは、エプソンの売上高および利益にとって相当重要なものとなっております。インクカートリッジなどのインクジェットプリンター用消耗品については、第三者によりエプソンのプリンター本体で使用することができる代替品が供給されています。これらの第三者からの代替品は、一般的にエプソンの純正品に比して廉価で販売されており、また、先進国市場と比較し新興国市場においてより流通している状況にあります。
エプソンは、こうした第三者によるインクジェットプリンター用消耗品の販売について、純正品としての高い品質の訴求のほか、大容量インクタンクを搭載したモデルの販売など、各市場における顧客ニーズに的確に対応したインクジェットプリンターを提供し、顧客の利便性を高めることによって引き続き顧客価値の実現を図っていく方針です。また、エプソンが保有するインクカートリッジに係る特許権および商標権の侵害に対しては適宜法的措置を講じてまいります。
しかしながら、これらの施策が必ずしも有効である保証はなく、将来において代替品の販売が拡大し、純正品のシェア低下にともなう価格引下げが必要となることなどにより、インクカートリッジの売上高が減少した場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)事業環境などの急激な変化について
エプソンは、プリンティングシステム事業、ビジュアルコミュニケーション事業、センシングシステム事業およびインダストリアルソリューションズ事業など、独自の強みが活かせる領域や今後の成長が見込まれる次代を担う新規領域に経営資源を集中し、事業基盤の強化に取り組んでおります。
しかしながら、エプソンが経営資源を集中しているこれらの製品の属する市場は、全般的に技術革新の速度が速く、製品ライフサイクルが短いため、エプソンがかかる変化に柔軟に対応して競争力のある製品を開発・販売することができない場合があります。また、世界景気の変動にともなうエプソンの主要市場における需要・投資動向はエプソンの製品の販売に影響を及ぼし、今後も影響を受ける可能性があります。
これらにより、エプソンが市場の技術革新に適切に対応できない場合のほか、景気後退などにより需要が回復しない場合や、主要市場における急激な需要変動に適切に対応できない場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)他社との競合について
エプソンは、現在、豊富な資金力または強固な財務体質を有する大企業または市場における供給力・価格競争力のある国内外の企業との間で競合関係にあり、これらの他社との競合はエプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、現在、エプソンと競合していない企業が、ブランド力、技術力、資金調達力、マーケティング力、販売力および低コストの生産能力などを活かしてエプソンの事業領域へ新規参入してくる可能性もあります。
(7)海外での事業展開について
エプソンは、グローバルに事業を展開しており、平成26年3月期の連結売上高のうち7割強は海外における売上高が占めています。エプソンは、中国、インドネシア、シンガポール、マレーシアおよびフィリピンなどのアジア地域をはじめ、アメリカやイギリスなどにも生産拠点を有し、販売会社も世界各地域に設立しております。また、平成26年3月末における海外従業員数はエプソンの全従業員数の7割強を占めております。
エプソンでは、こうしたグローバルな事業展開は地域ごとの市場ニーズを的確にとらえたマーケティング活動を可能とし、また、製造コストの削減およびリードタイムの短縮による高いコスト競争力の確保につながるなど、事業上の多くのメリットがあると考えております。一方で、海外における製造・販売に関しては、各国政府の製造・販売に係る諸法令・規制、社会・政治および経済状況の変化、輸送の遅延、電力などのインフラの障害、為替制限、熟練労働力の不足、地域的な労働環境の変化、税制変更、保護貿易諸規制、そのほかエプソンの製品の輸出入に対する諸法令・規制など、海外事業展開に不可避のリスクがあります。
(8)急激な技術革新について
エプソンは、高度な技術を必要とする製品の製造・販売を行っているため、技術の優位性はエプソンの競争力にとって大変重要な要素です。エプソンは、独自の強みである「省・小・精の技術」を、競争力を裏付けるコアテクノロジーの源泉とし、そこから生み出されたマイクロピエゾ、マイクロディスプレイ、センシング、GPS、画像処理、省電力および精密メカトロニクス技術などを進化させるとともに、プラットフォームとして融合させることにより、顧客ニーズに対応した製品の開発・製造を行っております。
エプソンの多くの製品の市場では技術革新が非常に速いことから、技術変化に基づく顧客ニーズに迅速に対応するために、エプソンでは、製品市場予測による長期的な投資および資源投入が必要な場合があります。エプソンでは、市場や顧客のニーズの把握に努め、かかる急激な技術革新に対応していく方針ですが、これらの市場の動向や顧客ニーズを的確に把握することができない場合や、技術革新に適切に対応できない場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製品ライフサイクルおよび新製品切替えへの対応について
エプソンは、コンシューマー向け製品など、一般的にライフサイクルが短い製品を製造・販売しております。エプソンは、世界各地に自社グループの販売網を構築しており、各販売子会社・各支店を通じて地域ごとに異なる顧客ニーズを的確に把握するとともに、開発・設計のプラットフォーム化などにより、新製品の発売までのリードタイムの短縮を図るなどの対策を講じておりますが、既存製品から新製品への移行を円滑に行うことができない場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
新製品への切替えを困難にする要因としては、エプソンの新製品の開発および量産の遅延、競合他社の新製品導入の時期、顧客ニーズの変化の予測の難しさ、既存製品の買い控えまたは既存製品と新製品間での競合などが考えられます。
(10)部品などの調達について
エプソンは、第三者から部品、半製品および完成品を調達しておりますが、一般的に長期仕入契約を締結することなく継続的な取引関係を維持しております。また、エプソンは、部品などに関して複数社からの調達を原則としておりますが、一部の部品については、他社からの代替調達が困難であるために1社のみからの調達としている場合もあります。エプソンでは、品質の維持・改善やコスト低減活動に調達先と協同で取り組むことによって、安定的かつ効率的な調達活動を展開していますが、仮にこれらの第三者からの供給の不足または供給された部品などの品質不良などにより調達活動に支障を来たした場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人材の確保について
エプソンの高度な新技術・新製品の開発・製造には、国内外における優秀な人材の確保が重要ですが、これらの人材の獲得競争は激しいものとなっております。エプソンは、役割に基づいた処遇制度の導入や現地人材の積極的な登用などによって、優秀な人材の確保に注力しておりますが、仮にこれらの人材を十分に採用または雇用し続けることができない場合には、エプソンの事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
(12)為替変動について
エプソンの売上高の相当部分は、米ドルおよびユーロなどの外貨建てとなっています。エプソンは、海外調達の拡大および生産拠点の海外移転などを進め、これにより米ドル建ての費用が増加したため、米ドル建ての売上高と費用は拮抗しておりますが、ユーロ建ての売上高は依然としてユーロ建ての費用よりもかなり多い状況にあります。また、エプソンは、為替変動リスクをヘッジするために為替予約取引などを行っておりますが、米ドルおよびユーロなどの外国通貨の日本円に対する為替変動は、エプソンの財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)年金制度について
エプソンの設けている確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度および退職一時金制度があります。
エプソンは、確定給付型の退職年金制度について、年金資産の運用収益率の低下や受給権者の増加といった状況を踏まえ、今後の環境変化に適応するとともに、将来にわたり安定的に維持運営することを目的として平成26年4月に制度改定を実施しましたが、年金資産の運用成績の変動および退職給付債務の数理計算の基礎となる割引率の見積数値の変動などが発生した場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)知的財産権について
エプソンにとって、特許権およびそのほかの知的財産権は競争力維持のために非常に重要です。エプソンは、自らが必要とする多くの技術を自社開発してきており、それを国内外において特許権、商標権およびそのほかの知的財産権として、あるいは他社と契約を締結することにより、製品および技術上の知的財産権を設定し保持しております。また、知的財産権の管理業務に人員を重点的に配置し、知的財産権の強化を図っています。
しかしながら、次のような知的財産権に関する問題が発生した場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
①エプソンが保有する知的財産権に対して異議申立や無効請求などがなされる可能性、その結果、当該知的財産権が無効と認められる可能性
②第三者間での合併または買収の結果、従来、エプソンがライセンスを付与していない第三者がライセンスを保有し、その結果、エプソンが知的財産権の競争優位性を失う可能性
③第三者との合併または買収の結果、従来、エプソンの事業に課せられなかった新たな制約が課せられる可能性およびこれらを解決するために支出を強いられる可能性
④エプソンが保有する知的財産権が競争上の優位性をもたらさない、またはその知的財産権を有効に行使できない可能性
⑤エプソンまたはその顧客が第三者から知的財産権の侵害を主張され、その解決のために多くの時間とコストを費やし、または経営資源などの集中が妨げられることになる可能性
⑥第三者からの侵害の主張が認められた場合に多額の賠償金やロイヤリティの支払い、該当技術の使用差し止めなどの損害が発生する可能性
⑦エプソンの従業員などにより発明などに対する報酬に関する訴訟が提起され、その解決のために多くの時間とコストを強いられる可能性、その結果、多額の報酬の支払いが決定される可能性
(15)品質問題について
エプソンの製品保証の有無および内容は顧客との個別の契約により異なります。エプソンの製品に不良品または規格に適合しないものがあった場合には、エプソンは当該製品の無償での交換または修理など、不良品を補償するコストを負担し、また、当該製品が人的被害または物的損害を生じさせた場合には、製造物責任などの責任を負う可能性があります。
このほか、エプソンの製品の性能に関し適切な表示または説明がなされなかったことを理由として、顧客などに対し責任を負うことや、改良のためのコストが発生する可能性があります。さらに、エプソンの製品にこのような品質問題が発生した場合には、エプソン製品への信頼性を損ない、顧客の喪失または当該製品への需要の減少などにより、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)環境問題について
エプソンは、国内外において製造過程で発生する廃棄物および大気中への排出物などについて、さまざまな環境規制を受けております。エプソンでは、環境保全活動を重要な経営方針の一つとして掲げ、環境負荷を低減した製品の開発・製造、使用エネルギー量の削減、使用済み製品の回収・リサイクルの推進および環境管理システムの改善など、あらゆる側面から環境保全活動に取り組んでおります。こうした取り組みの結果、エプソンでは、これまで重大な環境問題が発生したことはありませんが、将来において環境問題が発生し、損害の賠償、浄化などの費用負担、罰金または生産中止などの影響を受ける可能性、あるいは新しい規制が施行され多額の費用負担が必要となる可能性があり、このような事態が実現した場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)独占禁止法令に基づく手続について
エプソンは、グローバルに事業を展開しており、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律など、国内外の独占禁止法令に基づく手続の対象となることがあります。海外の関係当局も特定の業界などを対象に調査または情報収集を行うことがあり、その一環としてエプソンも市場状況および販売方法一般に関する調査などを受けることがあります。これらの調査・手続が実施された場合や関連法規の違反があった場合には、エプソンの販売活動に支障が生じ、またはエプソンの社会的信用を損なうこともしくは多額の制裁金が課されることなどにより、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社および関係する連結子会社は、現在、液晶ディスプレイの価格カルテル嫌疑に基づき、欧州委員会そのほかの競争法関係当局による調査を受けていますが、現時点においてかかる調査の結果および終結の時期を予測することは困難です。
(18)重要な訴訟について
エプソンは、情報関連機器、デバイス精密機器およびセンサー産業機器などの開発、製造、販売およびこれらに付帯するサービスの提供を主な事業として、国内外において事業活動を展開しておりますが、その事業の特性上、知的財産権、製造物責任、独占禁止法、環境規制などに関連して訴訟が提起される場合や、法的手続が開始される可能性があります。
有価証券報告書提出日現在、エプソンに係争している重要な訴訟は、次のとおりであります。
ドイツでは、PCやプリンターなどのデジタル機器が著作物の複製を可能にしているとして、著作権者に代わり著作権料を徴収する団体であるVerwertungsgesellschaft Wort(以下「VG Wort」という。)が、デジタル機器を輸入販売する各社に対して著作権料の支払いを求める一連の訴訟を提起しています。
エプソンにおいては、シングルファンクションプリンターについて、平成16年1月に当社の連結子会社であるEpson Deutschland GmbH(以下「EDG」という。)が、VG Wortにより著作権料の支払いを求める民事訴訟を提起されました。かかる訴訟の第1審では当該プリンターが著作権料の賦課の対象となるという判断がなされ、当該プリンターの1分間当たりの印刷可能枚数に応じ、1台当たり10ユーロから256.70ユーロまでの料率による著作権料の支払いをEDGに対し命じる判決が下されましたが、第2審および連邦最高裁判所では原告側の請求が棄却され、原告は、かかる判決を不服として憲法裁判所に上訴いたしました。これに対して、平成22年12月に憲法裁判所は、平成20年8月の連邦最高裁判所の判決がドイツ連邦憲法第14条に定める権利を侵害していると判断し、連邦最高裁判所の判決を破棄するとともに、審理を連邦最高裁判所に差し戻すという判断を下しました。その後、平成23年7月に連邦最高裁判所は、本件を欧州司法裁判所に付託する手続をとり、平成24年10月から審理が開始されましたが、平成25年6月に欧州司法裁判所は、EU加盟国がプリンターやPCの製造業者に対して著作権料を課すことを認める旨の判断を示しました。これを受け、平成25年10月からドイツの裁判所において審理が再開されました。
なお、エプソンを含む各企業および業界団体は、こうした著作権料の適用範囲の拡大に反対の姿勢を示しております。
また、当社の連結子会社であるEpson Europe B.V.(以下「EEB」という。)は、平成22年6月にベルギーにおける著作権料徴収団体であるLa SCRL REPROBEL(以下「REPROBEL」という。)に対して、マルチファンクションプリンターに関する著作権料の返還などを求める民事訴訟を提起しました。その後、REPROBELがEEBを提訴したことにより、これら二つの訴訟は併合され、かかる訴訟の第1審ではEEBの主張を棄却する判決がなされましたが、EEBは、これを不服として上訴する方針です。
このほか、当社および関係する連結子会社は、液晶ディスプレイの価格カルテル嫌疑に基づき、米国などにおいて複数の取引先などから民事訴訟を提起されています。
現時点において上記の訴訟の結果および終結の時期を予測することは困難ですが、訴訟または法的手続の結果によっては、エプソンの業績や今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(19)財務報告に係る内部統制について
エプソンは、財務報告の信頼性に係る内部統制の構築および運用を図っております。エプソンでは、財務報告に係る内部統制の構築および運用を重要な経営課題の一つとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制などの点検・改善などに取り組んでおりますが、常に有効な内部統制システムを構築および運用できる保証はなく、また、内部統制システムに本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合や、財務報告に係る内部統制の不備または開示すべき重要な不備が発生した場合には、エプソンの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
(20)他社との提携について
エプソンは、事業戦略の選択肢の一つとして、他社と業務提携などを行うことがあります。しかしながら、当事者間における提携などの見直しにともない、提携関係が解消される可能性があるほか、提携内容の一部変更が行われる可能性があります。また、提携などによる事業戦略が必ずしも想定どおり成功し、エプソンの業績に寄与する保証はありません。
(21)災害などについて
エプソンは、研究開発、調達、製造、物流、販売およびサービスの拠点を世界に展開していますが、これらの地域において予測不可能な自然災害、コンピュータウィルスの感染、新型インフルエンザなどの新型感染症の流行、顧客データの漏洩、社内重要基幹システムの障害発生、部品調達先などの罹災によるサプライチェーン上の混乱、戦争・テロなどが発生した場合には、エプソンの業績に影響を及ぼす可能性があります。
特にエプソンの主要な事業拠点が所在する長野県中部には、東海地震発生時の大規模被災の可能性が高いとされる「地震防災対策強化地域」に指定されている市町村が多く存在し、また、糸魚川静岡構造線に沿った活断層帯があるなど、地震発生リスクが比較的に高い地域であります。
エプソンでは、平成14年4月に東海地震の防災対策強化地域が見直されたことを受けて地震対策の見直しを行い、耐震構造を採用していない数箇所の建物の補強や重要部品材料の損失回避策を検討し、防災訓練などの地震防災計画を策定するとともに、一部生産拠点の他地域への分散などの対策を行っております。
しかしながら、長野県中部に大規模な地震が発生した場合には、これらの施策にもかかわらず、エプソンが受ける影響は甚大なものになる可能性があります。
なお、エプソンは、地震により発生する損害に対しては地震保険を付保しているものの、その補償範囲は限定されております。
(22)法規制または許認可などについて
エプソンは、日本国内および諸外国・地域において事業活動を展開しておりますが、公的機関などを含む新規顧客への営業活動の強化のほか、健康・医療などの新規分野の開拓にも取り組んでおり、これらに際しては法規制やコンプライアンス(法令遵守)への対応が一層必要になることがあります。
エプソンでは、コンプライアンスに関する体制強化や、社内的な啓蒙活動を通じて各種の法規制に対応するように努めていますが、法規制への違反またはそのおそれが生じた場合や、今後、より厳格な法規制の導入や関係当局による法令運用の強化などが行われた場合には、エプソンの社会的信用の毀損や多額の制裁金が課されるおそれがあるほか、事業活動に制約が生じ、またはこれらの法規制を遵守するための費用が増加するなど、エプソンの業績や今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(1)技術導入契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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当社 |
Research Corporation |
アメリカ |
プリンター印刷技術に関する特許実施権の許諾 |
平成12年12月22日から許諾特許の権利満了日まで |
(2)相互技術援助契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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当社 |
Hewlett-Packard Company |
アメリカ |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
平成24年5月1日から許諾特許の権利満了日まで |
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当社 |
International Business Machines |
アメリカ |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
平成18年4月1日から許諾特許の権利満了日まで |
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当社 |
Microsoft Corporation |
アメリカ |
情報関連機器およびこれに用いるソフトウエアに関する特許実施権の許諾 |
平成18年9月29日から許諾特許の権利満了日まで |
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当社 |
Eastman Kodak Company |
アメリカ |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
平成18年10月1日から許諾特許の権利満了日まで |
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当社 |
Xerox Corporation |
アメリカ |
電子写真およびインクジェットプリンターに関する特許実施権の許諾 |
平成20年3月31日から許諾特許の権利満了日まで |
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当社 |
Texas Instruments Incorporated |
アメリカ |
半導体および情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
平成20年4月1日から平成30年3月31日まで |
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当社 |
キヤノン株式会社 |
日本 |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
平成20年8月22日から許諾特許の権利満了日まで |
エプソンは、長期ビジョン「SE15」に基づき、「省・小・精の技術」におけるイノベーションを追求し、コア技術を活かした「強い事業の集合体」となることを目指して、強みを活かせる分野への経営資源の集中による競争力の向上や事業基盤の強化のほか、保有する技術などの社内資産の活用による新規事業の創出を主眼とした研究開発活動を展開しております。
事業部開発部門では、短期から長期的視野で市場における位置付けを強化するために、コア技術の開発および技術基盤の共通化(プラットフォーム化)を行っています。一方、本社開発部門では、既存技術に加えて、新規事業創出および事業革新を目指した新たなコア技術・技術基盤(プラットフォーム技術)の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費総額は50,531百万円であり、各セグメントの内訳は、情報関連機器事業が25,783百万円、デバイス精密機器事業が4,800百万円、センサー産業機器事業が6,983百万円、その他および全社が12,964百万円であります。
各セグメントの主な開発成果は、次のとおりであります。
(情報関連機器事業セグメント)
プリンティングシステム事業においては、カラリオ・プリンターの新商品として、コンパクトボディでA3サイズのプリントを実現したフラッグシップモデルを発売しました。本商品は、従来のA3対応プリンターの本体サイズでは設置スペースの確保が難しい場所にも手軽に置いて使用でき、普段はA4サイズで印刷し、必要なときにA3サイズで気軽にプリントが可能です。
また、ノズルの高密度化を実現した新開発の「PrecisionCore(プレシジョンコア)プリントヘッド」を採用し、印刷スピード、耐久性および給紙容量ともにページプリンター並みの機能を備えた、本格的なビジネスインクジェットプリンターのラインアップを拡充しました。新フラッグシップモデルは、当社ビジネスインクジェットプリンターで最高速となるカラー/モノクロ24ipm(※1、従来はカラー8ipm/モノクロ15ipm(※2))の高速印刷を実現するとともに、普通紙への印刷解像度は初期設定値で600dpi(従来は360dpi(※2))と細かい文字や線も鮮明に印刷できる高画質印刷を可能としました。耐久性は、ビジネスインクジェットプリンターラインアップの中で最大の30万ページ(従来は6万ページ(※2))を実現し、印刷枚数が多いお客様でも安心してお使いいただけます。
さらに、業務用インクジェットプリンターの新商品として、「PrecisionCoreプリントヘッド」と4色インクでも広い色域を持つ新開発の「UltraChrome DS インク」搭載により、繊細なグラデーションの表現を可能とし高画質プリントを実現した、スポーツアパレル、ソフトサイン用途向け昇華転写(※3)プリンターを発売しました。
ビジュアルコミュニケーション事業においては、メガネのように装着して映像や情報を楽しむことができるウエアラブル情報機器である「スマートグラス」の新商品を開発しました。本商品は、ヘッドセット部の重量が従来機の約3分の1となる88gを実現し、明るさや操作性も向上しています。
※1 ipm(image per minute)は、ISO(国際標準化機構)が策定したプリンティング生産性測定方法規格のオフィスカテゴリに基づき、プリンタードライバーのデフォルト設定で、1分あたりに印刷可能な面の数を示す。
※2 当社ビジネスインクジェットプリンター「PX-1700F」の基本仕様。
※3 昇華転写とは、昇華型インクで転写紙に印刷し、熱を加えインクを気化させて転写することでポリエステル生地に色材を定着させる技術。
(デバイス精密機器事業セグメント)
マイクロデバイス事業においては、温度補償水晶発振器を内蔵したリアルタイムクロックモジュール(※4)の新商品を開発しました。リアルタイムクロックモジュールは、一般的に、構成される部品の小型化や高密度での実装を進めるほど、精度の維持・向上が難しくなる傾向にありますが、エプソン独自の強みである高精度の音叉型水晶振動子を製造できるQMEMS(※5)技術と、その振動子を最適な条件下で駆動する半導体技術を活用し、高精度・小型を両立しつつ、消費電流も当社従来商品同等レベルの0.70µA(Typ.)を実現しています。
※4 リアルタイムクロックモジュールとは、時計・カレンダー機能などを持ったリアルタイムクロックICと32.768kHz水晶振動子を一つのパッケージに内蔵した製品。
※5 QMEMSとは、高安定・高精度などの優れた特性を持つ水晶素材である「QUARTZ」と「MEMS」(微細加工技術)を組み合わせた造語。水晶素材をベースに精密微細加工を施し、小型・高性能を提供する水晶デバイスを「QMEMS」と呼び、当社の登録商標。
(センサー産業機器事業セグメント)
GPS機能により、ランニング時の走行距離やペースなどを正確に計測し、記録を保存することを可能にするリスト型GPS機能付ランニング機器として、GPS Sports Monitor「WristableGPS」の新商品を発売しました。本商品は、低消費電力化を実現し毎秒測位でGPS稼働30時間を可能にしたほか、電波の乱れまたは誤差が生じやすいビル街や電波の届きにくい山間部においても、高精度に距離や標高の計測データが得られるよう、日本の真上を通過する準天頂衛星「みちびき」に対応するとともに、GPSチップおよびアンテナを新規開発しました。加えて、GPS信号の高速サーチおよびスキップ機能により、GPSサーチが完了していなくても計測を開始できるなど、利便性をさらに高めています。
また、いつでも、どこでも自分のゴルフスイングを高精度で計測・解析でき、学術的理論に基づいた理想的な数値との比較により、正しいゴルフスイングの習得をサポートするゴルフスイング解析システム「M-Tracer (※6)For Golf」を開発しました。
さらに、生産現場の自動化領域を拡大できる、見て、感じて、考えて、働く「自律型双腕ロボット」を開発しました。本開発品は、対象を認識し、自在に力を加減して、自律的に判断しながら作業を行える、エプソンの自動化提案領域を大きく広げるロボットであり、2015年度内の商品化を予定しています。
※6 M-Tracerとは、エプソンが開発した高精度・高安定で角速度と加速度のデータ計測ができる高精度センサーと、運動データの解析や3D可視化をするソフトウェア技術を融合させた無線運動解析システムであり、米国と日本における当社の登録商標。
(1)経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前連結会計年度と比較して152,309百万円(17.9%)増加し、1,003,606百万円となりました。
報告セグメントごとの売上高は、次のとおりです。
情報関連機器事業セグメントの売上高は836,436百万円となり、前連結会計年度と比較して150,573百万円(22.0%)増加しました。変動要因として寄与が大きかったものは、以下のとおりです。
インクジェットプリンターは、本体についてはインクカートリッジモデルが数量減少となったものの、大容量インクタンクモデルの数量増加、平均販売単価の上昇などにより全体としては売上増加となりました。また、消耗品についても数量増加効果により売上増加となりました。大判インクジェットプリンターは、高価格帯の本体・消耗品の販売増加にともなう平均販売単価の上昇により売上増加となりました。ページプリンターは、高付加価値製品中心へ販売を絞り込んだことにより数量減少となった結果、売上減少となりました。SIDMは、中国における徴税需要が安定的に推移したことにより、売上増加となりました。POSシステム関連製品は、米州を中心とした数量増加により売上増加となりました。ビジネス向け液晶プロジェクターは、販売好調な米州や中国での売上が牽引し数量増加により売上増加となりました。ホームシアター向け液晶プロジェクターも、日本や中国を中心とした数量増加により売上増加となりました。その結果、セグメント全体で為替影響もあり、情報関連機器事業セグメントの売上高は増加しました。
デバイス精密機器事業セグメントの売上高は148,956百万円となり、前連結会計年度と比較して8,165百万円(5.8%)増加しました。変動要因として寄与が大きかったものは、以下のとおりです。
水晶デバイスは、為替影響があったものの、音叉型が携帯電話向けの需要減少にともなう数量減少に加えて価格下落が進行したほか、オプトデバイスがデジタルカメラ向けを中心に売上減少となり、全体で売上減少となりました。半導体は、マイクロコントローラーユニットの価格下落などがあったものの、為替影響により売上増加となりました。ウオッチは高価格品の販売増加による平均販売単価の上昇効果や為替影響などにより増加となりました。
センサー産業機器事業セグメントの売上高は16,181百万円となり、前連結会計年度と比較して4,767百万円(41.8%)増加しました。FA機器では、産業用ロボットはアジア向けの受注増により売上増加となったほか、ICハンドラーはスマートフォン向け半導体業界からの受注増があり売上増加となりました。
「その他」の売上高は1,334百万円となり、前連結会計年度と比較して60百万円(4.8%)増加しました。
(売上原価・売上総利益)
売上原価は、前連結会計年度と比較して63,772百万円(10.3%)増加し、680,630百万円となりました。売上原価の増加は、為替影響のほか、増収にともない材料費や加工費が増加したことなどによるものです。
以上の結果、売上総利益は、前連結会計年度と比較して88,536百万円(37.8%)増加し、322,976百万円となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して24,823百万円(11.6%)増加し、238,007百万円となりました。販売費及び一般管理費の増加は、為替影響のほか、業績改善にともなう賞与を中心とした人件費が増加したことなどによるものです。
以上の結果、営業利益は、前連結会計年度と比較して63,713百万円(299.8%)増加し、84,968百万円となりました。
報告セグメントごとのセグメント利益は、以下のとおりです。
情報関連機器事業セグメントのセグメント利益は、前連結会計年度と比較して69,784百万円(134.9%)増加し、121,531百万円となりました。これは主に、為替影響に加え、主要製品の売上増加の影響によるものです。
デバイス精密機器事業セグメントのセグメント利益は、前連結会計年度と比較して1,094百万円(12.7%)増加し、9,733百万円となりました。これは主に、セグメント全体で為替による増益効果を受けたほか、マイクロデバイス事業の費用削減効果によるものです。
センサー産業機器事業セグメントのセグメント利益は、前連結会計年度の9,614百万円の損失に対して、10,183百万円の損失となり、569百万円の損失増加となりました。これは主に、産業用ロボット・ICハンドラーは増益となったものの、産業用インクジェット印刷機やセンシングシステム機器の損失拡大影響が上回りました。
「その他」のセグメント利益は、前連結会計年度の165百万円の損失に対して、258百万円の損失となり、92百万円の損失増加となりました。
調整額は、主に特許料収入と、報告セグメントに帰属しない新規事業および基礎研究に関する研究開発費や本社機能に係る費用を中心とした販売費及び一般管理費が計上されており、前連結会計年度の29,349百万円の損失に対して、35,854百万円の損失となり、6,504百万円の損失増加となりました。
(営業外損益)
営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、前連結会計年度の3,625百万円の損失計上から6,847百万円の損失計上となり、3,221百万円の損失増加となりました。これは主に、前連結会計年度と比較して受取利息などが増加した一方で、前連結会計年度は為替差損が2,944百万円であったのに対して、当連結会計年度は為替差損が9,632百万円となったことによるものです。
(経常利益)
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度と比較して60,492百万円(343.1%)増加し、78,121百万円となりました。
(特別損益)
特別利益から特別損失を差し引いた純額は、前連結会計年度の21,108百万円の損失計上に対して、6,204百万円の損失計上となり、14,903百万円の損失減少となりました。これは主に、特別損失について、前連結会計年度と比較して、ディスプレイの価格カルテル嫌疑に関する訴訟の和解金支払いなどによる訴訟関連損失が14,041百万円減少したことによります。
(税金等調整前当期純利益)
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度と比較して75,395百万円増加し、71,916百万円となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は、前連結会計年度と比較して18,468百万円減少し、△12,025百万円となりました。これは主に、当連結会計年度の業績実績および翌期の業績見通しを踏まえ、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、税金費用が減少することとなり、法人税等調整額を△30,734百万円計上したことによります。
(少数株主利益)
当連結会計年度の少数株主利益は、前連結会計年度と比較して74百万円(44.0%)増加し、243百万円となりました。
(当期純利益)
以上の結果、当期純利益は、前連結会計年度と比較して93,789百万円増加し、83,698百万円となりました。
(2)流動性および資金の源泉
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して68,260百万円増加し、111,253百万円の収入となりました。これは主に、売上債権増加による影響22,922百万円、たな卸資産増加による影響22,892百万円などの減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益の増加75,395百万円、仕入債務増加による影響35,570百万円などの増加要因があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して支出額が7百万円増加し、39,519百万円の支出となりました。これは主に、有形・無形固定資産の取得による支出の減少3,466百万円があった一方で、前連結会計年度には事業譲渡による収入3,147百万円が含まれていたことに加え、投資有価証券の取得による支出の増加499百万円などがあったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比較して収入額が77,866百万円減少し、56,567百万円の支出となりました。これは主に、有利子負債の純増減が78,920百万円の減少となったことによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度と比較して26,861百万円増加し、211,500百万円となりました。なお、手元流動性は十分に確保しております。
短期借入金、長期借入金および社債の合計額は、有利子負債全体の返済を進めたことにより、前連結会計年度と比較して50,671百万円減少し、220,455百万円となりました。
長期借入金(1年以内に返済予定のものを除く)の当連結会計年度末残高は50,500百万円であり、加重平均利率は0.73%、返済期限は平成29年11月までに到来します。これらの借入金は、無担保での銀行借入を中心に調達しております。
(財務状況)
資産合計は、前連結会計年度末と比較して87,325百万円増加し、865,872百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が23,893百万円増加したことに加え、商品及び製品などのたな卸資産の増加20,098百万円、現金及び預金と有価証券合計の増加26,893百万円、受取手形及び売掛金の増加13,795百万円などによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末と比較して5,599百万円減少し、514,141百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加15,571百万円、退職給付に係る負債の増加14,917百万円に加え、賞与引当金が9,718百万円増加した一方で、短期、長期借入金および社債が合計で50,671百万円の純減となったことなどによるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末と比較して92,924百万円増加し、351,730百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加80,120百万円および円安進行にともなう為替換算調整勘定の変動19,394百万円などによるものです。
運転資本(流動資産から流動負債を差し引いた金額)は、前連結会計年度末と比較して96,046百万円増加の288,815百万円となりました。
総資産に対する有利子負債の比率は、前連結会計年度の34.9%から25.5%に低下しました。