第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度(平成27年3月期)の世界経済は、米国では個人消費や設備投資の増加など景気回復が続き、欧州や新興国でも景気は緩やかに回復に向かいました。国内においても、雇用情勢や企業収益に改善が見られ回復基調が続きました。

このような事業環境の下、OKIグループ(当社及び連結子会社)の業況は、情報通信システム事業をはじめ各事業が堅調に推移したことから、売上高は5,402億円(前連結会計年度比571億円、11.8%増加)となりました。営業利益は、情報通信システム事業における物量増やプリンタ事業での機種構成の良化などにより324億円(同52億円増加)となりました。

経常利益は、為替差益の減少があったものの営業利益の増加により379億円(同12億円増加)となりました。また、当期純利益は、前連結会計年度に発生した事業構造改善費用がなくなったことなどから331億円(同57億円増加)となりました。

 

事業別の状況は、次のとおりであります。

<情報通信システム事業>

外部顧客に対する売上高は、3,525億円(前連結会計年度比489億円、16.1%増加)となりました。ソリューション&サービスは、金融システムが減少したものの官公庁・法人向けシステム等は概ね順調に推移しました。通信システムでは、キャリア向けの既存NWが前倒し需要により増加したほか、ホームNWやGE-PONが順調だったことから増収、社会システムも消防デジタル無線の前倒しや交通関連案件も好調だったことにより増収となりました。メカトロシステムは、中国を中心とした海外向けATMが好調だったことに加え、ブラジル子会社の連結効果、さらに国内でも現金処理機が増加したことから大幅な増収となりました。

営業利益は、各事業とも順調に推移したことからブラジル子会社の連結影響を吸収し、259億円(同25億円増加)となりました。

<プリンタ事業>

外部顧客に対する売上高は、1,293億円(前連結会計年度比45億円、3.6%増加)となりました。カラーLEDプリンタは、機種構成の改善は進んだものの売上高は横ばいとなりました。モノクロLEDプリンタは、大口案件の獲得により増収となりました。ドットインパクトプリンタは、概ね前年並みとなりました。

営業利益は、機種構成の良化に加え構造改革効果により増加し、67億円(同16億円増加)となりました。

<EMS事業、その他>

外部顧客に対する売上高は、EMS事業で403億円(前連結会計年度比32億円、8.6%増加)、その他の事業で181億円(同5億円、2.8%増加)となりました。EMS事業では、ハイエンドEMSとしてOKIブランドが浸透したことによって新規顧客を順調に獲得し、その他の事業ではリードスイッチなど部品関連の好調が持続したことから、それぞれ増収となりました。

営業利益は、EMS事業で20億円(同3億円増加)、その他の事業では35億円(同7億円増加)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び運転資金が改善したこと等により、410億円の収入(前年同期319億円の収入)となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出により、186億円の支出(同140億円の支出)となりました。
 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローとをあわせたフリー・キャッシュ・フローは224億円の収入(同179億円の収入)となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済、普通配当及び優先配当の実施等により、207億円の支出(同43億円の支出)となりました。
 その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末残高の509億円から536億円となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

3【対処すべき課題】

OKIグループ(当社及び連結子会社)は、平成25年11月に策定した「中期経営計画2016」の経営方針、「安定収益の確保により継続投資を行うことで、持続的成長を実現する」に基づく諸施策を実行しております。

「安定収益の確保」に向けては、国内金融システムや中国ATMの市場拡大の機会を確実に捉えることに加え、社会・通信インフラシステムの更改需要を引き続き獲得していきます。また、プリンタ事業の構造改革効果や、情報通信システム事業、EMS事業の効率化を行うことで、安定的に収益を創出していきます。

「持続的成長の実現」については、これまで取り組んできた施策を継続しながら、事業環境の変化を踏まえた新たな切り口を加えて、「グローバル市場での事業拡大」「お客様の『持たない経営』を支援」「次世代社会インフラ分野への参入」を3本柱に今後の諸施策を実行します。

「グローバル市場での事業拡大」に注力し、ロシア、インドネシアに続く新規ATM市場の開拓とブラジルでの事業拡大、加えて現金処理機や保守サービスの展開など商品拡大を目指します。また、コピア・プロフェッショナル市場向け高付加価値プリンタのグローバル展開も進めます。

「お客様の『持たない経営』を支援」では、「クラウドサービス」や「LCMサービス」などを提供する「EXaaSTM」の強化と、保守やハイエンドEMSでの医療・新エネルギー分野の開拓を行います。また、「次世代社会インフラ分野への参入」では、センシング・ネットワーク技術などのOKIの強みを活かし、防災・減災、社会インフラ老朽化対策等に取り組みます。

これらの取り組みにより2016年度の経営目標である、営業利益率6%、自己資本比率30%以上、DEレシオ1倍以下の達成を目指します。

またこのほか、生産・設計改革や調達コストの削減、運転資本削減に向けた活動、研究開発の強化、さらに成長分野への人材シフトやグローバル人材採用、女性の活躍推進などの人材強化策も実行していきます。

 

4【事業等のリスク】

OKIグループ(当社及び連結子会社)の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のとおりであります。

なお、業績に影響を与える要因は、これらに限定されるものではありません。また、OKIグループはこれらのリスク発生の可能性を認識し、その発生の回避を図るとともに、発生した場合の影響の最小化に取り組んでまいります。

 

(1)政治経済の動向

OKIグループの製品に対する需要は、OKIグループが製品を販売している国または地域の政治経済状況の影響を受けます。すなわち、日本、北米、欧州、アジア、南米を含むOKIグループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小、外国製品に対する輸出入政策の変更等は、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)急激な技術革新

OKIグループの主要な事業領域である情報通信システム事業及びプリンタ事業は、技術革新のスピードが著しい領域です。OKIグループは競争優位性を維持すべく新技術、新製品の開発に努めておりますが、将来において、急激な技術革新に追随できず、かつ、現有技術が陳腐化し、顧客に受け入れられる製品、サービスを提供できない場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)市場の動向

① OKIグループが属している各製品市場と地域市場においては、新規参入等の要因もあり厳しい競争が常態化しております。OKIグループはこの厳しい競争を克服すべく新商品開発やコスト削減等に最善の努力を傾けておりますが、将来において商品開発やコストダウン等の施策が有効に機能せず、シェアの維持や収益性の確保が十分にできない場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 金融機関が金融行政の変化や業績の悪化等の要因により投資動向を変更した場合、通信キャリアが通信行政の変化や事業戦略の変更等の要因で投資動向を変更した場合、国又は地方自治体の政策等の要因で公共投資が大きく減少した場合などは、情報通信システム事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ OKIグループが属するプリンタ市場では、カラープリンタを中心に激しい価格競争がなされています。OKIグループは新製品開発やコストダウンにより、シェア拡大と収益性の確保に努めておりますが、想定を超える価格下落の進行などはプリンタ事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)原材料、部品の調達

OKIグループは生産活動のために多種多様な原材料、部品等を調達しておりますが、災害等の影響などによりそれらの安定的な調達及びその特殊性から仕入先または調達部品の切替えができない可能性があります。そのような場合、製品の出荷が遅れ、取引先への納入遅延や機会損失等が発生し、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、OKIグループは生産活動のため石油や金属などの原材料を直接あるいは間接的に必要としておりますが、これらの原材料価格の高騰はOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品の欠陥、納期遅延

OKIグループが提供する製品及びサービスについて、品質管理の徹底に努めておりますが、欠陥が生じる可能性は排除できません。この場合、欠陥に起因し顧客がこうむった損害の賠償責任が発生する可能性があります。また、欠陥問題によりOKIグループの評価が低下したことによりOKIグループの製品、サービスに対する需要低迷の可能性があります。いずれの場合もOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、OKIグループが提供する製品及びサービスについて、納期管理の徹底に努めておりますが、資材調達、生産管理、設計などにおける予期せぬ要因により納期遅延が生じる可能性は排除できません。この場合、納期遅延に起因し顧客がこうむった損害の賠償責任が発生する可能性があります。

 

(6)戦略的アライアンスの成否

OKIグループは、研究開発、製造、販売等あらゆる分野において他社とのアライアンスを積極的に推進しておりますが、経営戦略、製品・技術開発、資金調達等について相手先との協力関係が維持できない場合や、十分な成果が得られない可能性があります。その場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)海外における事業活動

OKIグループはさまざまな国と地域において生産や販売活動を行っていますが、カントリーリスクや為替変動リスクなど海外事業特有のリスクが存在します。

OKIグループはタイ及び中国、ブラジルに生産拠点を有しますが、これらの国において政治経済状況の悪化、現地通貨価値の変動等、予期せぬ事象が発生した場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、為替変動リスクを最小化するために、OKIグループでは、米ドルやユーロの為替変動に対する為替先物予約や通貨スワップ等の手段を講じておりますが、完全にリスクを排除できるとは限らず、特に急激な為替変動はOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)特許権等の知的財産権

OKIグループは、グループにて保有する特許の保護、他社との差別化のための特許の獲得に努めておりますが、これらが十分に行えない場合、関連する事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、OKIグループは製品の開発・生産に必要な第三者の特許の使用許諾権の確保に努めておりますが、将来、必要な許諾権が受けられない可能性や不利な条件での使用を余儀なくされる可能性があります。いずれの場合もOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、OKIグループは第三者の知的財産の尊重に努めておりますが、訴訟を提起される可能性を完全に排除できる保証はありません。訴訟が提起された場合の訴訟費用の増加、敗訴した場合の損害賠償等により、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法令及び公的規制の遵守

OKIグループは事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、租税、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、あるいは想定外の変更があった場合、OKIグループの活動が制限される可能性があります。従って、これらの規制はOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)災害等による影響

OKIグループは事故あるいは災害等に起因する製造ラインの中断によるマイナス影響を最小化するため、定期的な事故、災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産施設で発生する事故、災害等による悪影響を完全に防止できる保証はありません。地震、風水害、停電等による製造ラインの中断、さらには販売活動を行っている国々で発生した各種災害による経済活動に対する大きな影響は、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報管理

OKIグループの社内システムについて情報漏洩対策やウィルス防御システムの導入など施しておりますが、人的ミスや新種のウィルス等に起因する情報漏洩やシステムダウンを完全に防御できる保証はありません。こうした事象が発生した場合、追加的に損失が発生する可能性があります。

 

(12)人材の確保及び育成

OKIグループが安定収益企業としてさらなる成長を目指すために、優秀な人材を確保及び育成する必要があります。このため、OKIグループは、新卒、キャリア採用問わず積極的に新規採用を行い、また、優秀な人材を育成するため、職場OJTや研修等様々な支援活動を行っておりますが、優秀な人材が確保及び育成できなかった場合或いは優秀な人材が大量離職した場合、OKIグループの今後の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)金利変動

OKIグループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものが存在します。OKIグループはその影響を回避するために金利スワップ取引を行う等様々な対策を講じていますが、金利上昇が金利負担の増加や、将来の資金調達コスト上昇による運転資金調達への悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)会計制度の変更

OKIグループは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表及び財務諸表を作成していますが、会計基準等の設定や変更により、従来の会計方針を変更した場合に、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)債権回収

OKIグループは、顧客の財政状態を継続的に評価し、貸借対照表日後に発生すると予想される債権回収不能額を見積もり適正に引当金を計上していますが、顧客の財政状態が急激に悪化した場合には、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)固定資産の減損

OKIグループの所有する有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産について減損処理が必要となった場合には、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)繰延税金資産

OKIグループは、繰延税金資産について繰越欠損金及びその他の一時差異に対して適正な金額を計上していますが、将来の業績変動により課税所得が減少し、繰越欠損金及びその他の一時差異が計画通り解消できなかった場合の繰延税金資産の取崩しは、OKIグループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)退職給付債務

OKIグループは、退職給付債務について数理計算上で設定される割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しております。しかし、この前提条件は、市場金利や株式市場の影響を受けることから、実際の結果とは異なる場合があり、退職給付債務が増加する可能性もあります。その場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)株価の変動

OKIグループは、投資有価証券の一部として上場株式を保有しておりますが、当該株式の価格下落による評価損の計上や評価差額金の減少は、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 平成27年3月31日現在における重要な技術援助契約及びその他の経営上の重要な契約は、下記のとおりであります。なお、契約会社はいずれも提出会社であります。

 

① 技術援助契約

相手先

国名

契約対象機器

契約の内容

契約期間

International Business

Machines Corporation

米国

情報処理機器

特許実施許諾

(クロスライセンス)

契約特許存続期間中

キヤノン(株)

日本

プリンタ、FAX、

複合機

特許実施許諾

(クロスライセンス)

契約特許存続期間中

 

② その他の経営上の重要な契約

相手先

国名

契約の内容

Hewlett-Packard Company

米国

平成4年4月7日に情報通信分野でのシステムインテグレーションビジネスを強化することを目的として、双方向かつ長期的な関係を維持・発展させるための基本契約を締結しました。

シスコシステムズ合同会社

日本

平成12年2月9日に、同社製品の再販及びこれに付加価値化を行い、トータルソリューションをエンドユーザに提供するパートナーとして基本契約を締結しました。

 

6【研究開発活動】

OKIグループ(当社及び連結子会社)は、「安全で快適な社会の実現」を目指し、OKIの成長戦略に基づいた技術開発を推進しています。

OKIの強みである「センシング」、「音響」、「ネットワーク」、「データ解析・処理」、及び「メカトロニクス」技術の融合と進化を目指した研究開発を実施しています。

当連結会計年度のOKIグループの研究開発費は13,755百万円であり、各事業及び全社共通等における研究開発活動の主な成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

<情報通信システム>

(1)ソリューション&サービス事業のコンセプトとして新たに、統合CRMソリューションを発表しました。そのコンセプトに基づき金融機関向けに、安全で快適なコミュニケーション技術、ATMの通帳・現金処理機のセキュリティを確保した遠隔制御技術を用いた、有人窓口に代わり遠隔テラーによる24時間365日バンキングサービスを提供する「ビデオテラーマシン」を開発しました。さらに、金融機関における入出金・通帳記帳を伴う業務を、外出先で行うことを可能にする「超小型移動店舗」の試作機を開発しました。その他2020年東京五輪開催に向けて、訪日旅行者、国内宿泊、観光業者、海外旅行代理店が利用できるソリューションを試作開発しました。

(2)小規模から大規模システムまでをシングルアーキテクチャーで対応し、規模に依存しない高信頼性を実現するIPコンタクトセンターシステム「CTstage 6MiR」を開発しました。グラフィカルユーザインターフェースで直感的に操作できる管理ツールにより、利用者・利用シーンに応じて自由にカスタマイズができ、視認性・操作性が向上します。さらに、高可用性を実現する冗長化方式を採用し、通話だけでなくCTI機能も含めてサービスレベルを落とさず、自己完結型で問題の早期発見・早期対処を可能にする保守支援ツールを強化し、強固な業務継続性を実現します。

(3)社会インフラ市場向け光通信網への適用をターゲットに従来のGE-PONシステムを改良し、高速起動と耐環境性を向上したGE-PONシステムを開発しました。GE-PONシステムは、これまで主にFTTH市場にて広く運用されていますが、開発したGE-PONシステムは、起動時間を従来比約80%短縮(当社比)し、ONU装置は、耐温度環境性能を従来品の「0℃~40℃」から「-20℃~60℃」へ拡張しました。これらの改良により屋外などの厳しい環境下を含めた社会インフラ市場へ適用を拡大します。

(4)920MHz帯マルチホップ無線ネットワーク技術を利用した、河川の水位状況がリアルタイムで把握可能な「河川監視システム」を開発しました。本システムは、河川各所の観測ポイントに設置した雨量計や水位計などの各種センサーデータを、無線通信により周期的に収集し、監視センターでの「見える化」を実現します。さらに、マルチホップ無線ネットワークであるため、通信経路が寸断された場合でも、短時間で自動的に経路を再選択してネットワークを再構築し、欠測なくデータ収集を行うことができます。

(5)トンネル点検で壁面などの浮き・剥離といった変状を効率的に検診することができる「打音検診装置」を開発しました。本装置は、従来から培ってきた音響処理技術を利用して、トンネル壁面を装置に内蔵された打撃ユニットでたたき、その打音をセンサーで収集し、データ解析を行います。壁面の浮き・剥離などの変状を熟練工のノウハウに頼らず効率的に検診し、点検結果を記録できます。

(6)コンビニエンスストアなどに設置されるATMとして、紙幣容量、紙幣搬送速度、信頼性などの基本性能を大幅に向上させ、運用コスト削減とともに顧客利便性向上も実現した省スペースATM「CP21Z」を開発しました。本装置は、当社従来機に比べ現金容量を最大50%増加させるとともに、装置信頼性を大幅に向上しており、長期間の無人運用に対応します。また、省エネモードの搭載により従来よりも待機時の消費電力を大幅に削減し、紙幣の搬送速度を高速化し取引時間を短縮するとともに、レシートとカードを一括で受け取る構造にして取り忘れを防止するなど、顧客にやさしい操作性を実現しました。

(7)ATM画面のプログラミング言語のVB方式からHTML方式への移行により、画面コンテンツはプログラムから切り離され、画面変更の期間短縮と大幅なコスト低減を実現しました。さらに、これに合わせて、画面デザインや操作フローなどの見直しを行い、「見やすさ」「わかりやすさ」「使いやすさ」などユニバーサルデザインに配慮した操作性を実現しました。具体的には、ユニバーサルデザインフォントの採用、頻繁に取引されるメニューを考慮した操作フロー、文字とイラストによる画面説明などにより、使いやすさを追求しています。

 当事業に係る研究開発費は、8,996百万円であります。

 

<プリンタ>

   オフィス市場・基幹業務市場向けA4モノクロLEDプリンタ「B412dn」「B432dnw」「B512dn」、A4モノクロLED複合機「MB472dnw」「MB492dn」「MB562dnw」を開発・販売を開始しました。これらの商品は、ハードウエアやソフトウエアを共通化したプラットフォーム共通化戦略の第一弾となり、複数機種の同時開発・開発期間の大幅な短縮を実現しました。またコンパクトながら自動両面印刷に標準対応すると共に、「MB492dn」「MB562dnw」には、7インチカラータッチパネルを採用し、オフィスで使用する複合機として高い操作性を実現しました。

   また、新商品発売に合わせて、プリンタや複合機などを管理するユーティリティソフト「smart PrintSuperVision」を開発・提供を開始しました。印刷枚数の制限や印刷履歴を管理することで、プリントの適正化や私用データなどの不正プリントを管理・抑制できるため、プリントコスト削減対策やユーザーの意識向上に役立てることができます。

 当事業に係る研究開発費は、2,641百万円であります。

 

<EMS>

   PET(ポリエチレンテレフタレート)製透明シールタイプのハンダ供給用マスク「シールdeマスク」を開発しました。本製品は利用するサイズに応じてカットが可能なシールタイプの使いきりのハンダ供給用マスクです。実装基板のリペア作業では、高密度な狭いリペア部に合わせて自由にカットできるため、基板上にクリームハンダを直接印刷できます。また、粘着層付き透明フィルムであることから位置合わせが容易で段取り時間が短縮でき、使いきりでハンダ洗浄が不要となるため、全体の作業時間を削減できます。

 当事業に係る研究開発費は、48百万円であります。

 

<全社共通等>

(1)多分岐化・長延化を目指した40Gbps級のWDM(波長分割多重)/TDM(時間分割多重)-PON(Passive Optical Network)システムに向けた波長可変送受信器とPONリンク確立技術を開発しました。バースト対応プリアンプとブースターアンプの最適構成による波長可変送受信器の高バジェット化と、波長が異なる複数のチャネルを持つOLTにおいて最適なチャネルを選択する機能を持つディスカバリ方式の実装により、本WDM/TDM-PONシステムにおいて、512台のユーザーのリンク確立の可能性を検証しました。

(2)複数の指向性マイクを収音したいエリアの周囲に配置することで、エリア内の音のみ収音できる「エリア収音システム」を開発しました。複数のマイクの指向性をそれぞれ別の方向から収音したいエリアに向けて交差させ、各マイクに共通に含まれる成分を目的エリアの音と推定し、それ以外の成分を抑圧します。これにより周りがうるさくてもエリア内にいる人の声だけを収音できるようにしました。車内など高騒音下での音声認識アプリケーションや発言者の声がクリアに聞こえるテレビ会議システムなどに応用できます。

 全社共通等に係る研究開発費は、2,067百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 財政状態及び経営成績の分析における将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在(平成27年6月24日)において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表及び財務諸表(財務諸表等)は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しており、重要な会計方針に基づき見積り及び判断を行っておりますが、特に以下の重要な会計方針については、見積りによる不確実性のため実際とは異なる結果となる場合があり、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

・売掛債権

貸借対照表日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適正な引当金を計上しておりますが、顧客の財政状態が悪化した場合は、貸倒引当金の追加計上の可能性があります。

・たな卸資産

通常の販売目的で所有するたな卸資産のうち、営業循環過程にあるたな卸資産については主として期末における正味売却価額により、営業循環過程から外れたたな卸資産については主として規則的に帳簿価額を切り下げる方法により、収益性の低下を反映したうえで貸借対照表価額としておりますが、売価の下落により正味売却価額が低下した場合や、販売不振により営業循環過程から外れたたな卸資産が増加した場合、たな卸資産評価損の追加計上の可能性があります。

・有形固定資産及び無形固定資産

将来の収益獲得等が確実なものであると判断しておりますが、将来の収益獲得等が不確実になった場合は、減損損失計上の可能性があります。

・投資

回復可能性があると認められない株式等は評価減を実施しておりますが、株式市況の悪化等によりOKIグループ(当社及び連結子会社)が保有する株式等の時価が下落した場合や、投資先の財政状態が悪化した場合は、評価損の追加計上の可能性があります。

・繰延税金資産

将来の回収可能性を十分に検討して回収可能な額を計上しておりますが、今後の回収可能性の判断の結果、回収可能な額が減少した場合、費用が増加する可能性があります。

・退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務について数理計算上で設定される割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しておりますが、前提条件の変化等により悪影響を受け退職給付債務及び退職給付費用が増加する可能性があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析及び経営成績に重要な影響を与える要因について

当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は、前連結会計年度比571億円、11.8%増加の5,402億円となりました。情報通信システム事業を中心に各セグメントの業績が堅調に推移し、加えてブラジル子会社の連結効果もありました。なお、セグメント別の内容は「1「業績等の概要」(1)業績」に記載の通りです

売上原価については、前連結会計年度から450億円増加し、売上原価率は前連結会計年度比0.6ポイント悪化の74.0%となり、売上総利益は1,405億円(同120億円増加)となりました。

販売費及び一般管理費については、連結子会社の増加などにより、前連結会計年度から68億円増加し1,081億円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度比1.0ポイント良化の20.0%となりました。

その結果、営業利益については、売上物量の増加やプリンタの機種ミックスの改善効果などにより、324億円(同52億円増加)となりました。

営業外損益については、主に為替差益の計上により55億円の収益(純額)となりました。この結果、経常利益については、379億円(同12億円増加)となりました。

特別損益については、固定資産の処分損などにより4億円の損失(純額)となりました。

税金等調整前当期純利益については、375億円(同57億円増加)となりました。法人税、住民税及び事業税については、42億円を計上し、法人税等調整額については、24億円の収益を計上しました。少数株主損失については、9億円を計上しました。

これらの結果、当期純利益については、331億円(同57億円増加)となりました。

 

(3)経営戦略の現状と見通し及び経営者の問題意識と今後の方針について

経営戦略の現状と見通し及び経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「3「対処すべき課題」」に記載の通りです。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要は以下のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び運転資金が改善したこと等により、410億円の収入(前年同期319億円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出により、186億円の支出(同140億円の支出)となりました。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローとをあわせたフリー・キャッシュ・フローは224億円の収入(同179億円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済、普通配当及び優先配当の実施等により、207億円の支出(同43億円の支出)となりました。

その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末残高の509億円から536億円となりました。

 

②資金需要

OKIグループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料及び部品の購入費、人件費、外注費等の製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。

 

③借入金及びリース債務

当連結会計年度末の概要は以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

契約債務

年度別要支払額

合計

1年以内

1年超

3年以内

3年超

5年以内

5年超

短期借入金

450

450

長期借入金

626

183

251

191

リース債務

67

22

28

11

5

 

なお、所有権移転外ファイナンス・リース取引のうち、リース取引開始日が平成20年3月31日以前のリース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理によっており、この未経過リース料期末残高相当額は0億円、オペレーティング・リース取引の未経過リース料は109億円であります。

OKIグループの第三者に対する保証は、従業員の住宅融資借入金に対する債務保証であります。保証した借入金の債務不履行が保証契約期間中に発生した場合、OKIグループが代わりに弁済する義務があります。当連結会計年度末のOKIグループの債務保証に基づく将来の潜在的な要支払額の合計は4億円であります。

 

④財務政策

OKIグループは現在、運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は借入金等により充当することとしています。このうち、運転資金については短期借入金及び長期借入金で調達しています。生産設備などの長期資金については長期借入金で調達しています。当連結会計年度末現在、金融機関他からの短期借入金の残高は450億円、長期借入金の残高は626億円となっています。長期資金については固定金利が中心ではありますが、金利情勢を勘案した上で変動金利も利用しています。

OKIグループは財務の健全化のため、今後もフリー・キャッシュ・フローを原資として有利子負債の圧縮に努めていきます。必要資金のリファイナンスについては、主に長期借入金と社債をバランスよく利用することを基本とします。

また、運転資金の効率的な調達を行うため、当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末現在の未使用残高は、248億円となっております。