第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度(平成26年3月期)の世界経済は、米国では失業率の低下や個人消費の増加など景気回復の兆しが見られ、欧州や新興国でも徐々に景気が持ち直してきました。国内においても、個人消費や生産の増加、雇用情勢の良化など経済状況は緩やかに回復に向かいました。

このような事業環境の下、OKIグループ(当社及び連結子会社)の業況は、情報通信システム事業をはじめとする主要セグメントの業績が堅調に推移したことに加え、円安の効果もあり、売上高は4,831億円(前連結会計年度比273億円、6.0%増加)となりました。営業利益は、プリンタ事業の構造改革による固定費等の削減や機種構成の改善効果に加え、円安も寄与し272億円(同137億円増加)となりました。

経常利益は、為替差益の発生等により367億円(同164億円増加)となりました。また、当期純利益は、プリンタ等の事業構造改善費用を計上したことなどから274億円(同138億円増加)となりました。

 

事業別の状況は、次のとおりであります。

<情報通信システム事業>

外部顧客に対する売上高は、3,036億円(前連結会計年度比106億円、3.6%増加)となりました。ソリューション&サービスでは、金融システム関連のソリューションが増加したものの、サービスの大型案件が減少したことなどにより減収となりました。通信システムは、企業NWや保守・工事に加えてコアNWが堅調に推移したことにより増収、社会システムも、消防無線のデジタル化や防災関連の需要が堅調だったことから、増収となりました。メカトロシステムは、国内ではコンビニ向けATMや現金処理機、金融機関向け営業店端末が好調だったことに加え、中国向けATMでは、一部顧客向け出荷が来期へずれたものの概ね堅調だったことにより増収となりました。なお、円安による増収影響は81億円ありました。

営業利益は、価格下落や費用の増加などにより234億円(同4億円減少)となりました。

<プリンタ事業>

外部顧客に対する売上高は、1,248億円(前連結会計年度比134億円、12.1%増加)となりました。LEDプリンタでは、オフィスプリンタ領域においては、販売戦略の見直しにより高付加価値機種へのシフトが進み機種構成が良化し、加えてコピア・プロフェッショナル領域へ向けた新商品の販売も順調だったことから、売上が増加しました。ドットインパクトプリンタは、市場全体の縮小傾向が継続しました。なお、円安による増収影響は170億円ありました。

営業利益は、事業構造改革などによる固定費の削減に加えて機種構成が良化したことなどにより大幅に改善し、51億円(同139億円良化)となりました。

<EMS事業、その他>

外部顧客に対する売上高は、EMS事業で371億円(前連結会計年度比44億円、13.6%増加)、その他の事業で176億円(同11億円、6.3%減少)となりました。EMS事業では、通信機器市場向けが堅調だったことに加え、OKIサーキットテクノロジー(株)(※)の連結効果もあり増収となりました。その他の事業では、部品関連は堅調だったもののアミューズメント市場向けが減少したことなどにより減収となりました。

営業利益は、EMS事業で17億円(同1億円増加)、その他の事業では、28億円(同2億円減少)となりました。

(※)平成26年4月1日より社名変更(旧社名 OKI田中サーキット(株))

 

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び運転資金が改善したこと等により、319億円の収入(前年同期116億円の支出)となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出により、140億円の支出(同92億円の支出)となりました。
 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローとをあわせたフリー・キャッシュ・フローは179億円の収入(同208億円の支出)となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、優先配当の実施及び借入金の返済により、43億円の支出(同211億円の支出)となりました。
 その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末残高の359億円から509億円となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の状況については、「1 業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

3【対処すべき課題】

世界経済は、全般的には回復基調にあるものの、欧州における財政問題の長期化や地政学的リスク、米国での金融緩和縮小による影響などの懸念もあります。国内では、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動影響が一部見られるものの、全般的には引き続き景気は緩やかに回復するものと予想されます。

このような状況の下、OKIグループ(当社及び連結子会社)は、平成25年11月に策定した「中期経営計画2016」の経営方針、「安定収益の確保により継続投資を行うことで、持続的成長を実現する」に基づく諸施策を実行しております。

「安定収益の確保」に向けては、国内金融システムや中国ATMの市場拡大の機会を確実に捉えることに加え、社会・通信インフラシステムの更改需要を引き続き獲得していきます。また、プリンタ事業の構造改革効果や、情報通信システム事業、EMS事業の効率化を行うことで、安定的に収益を創出していきます。

「持続的成長の実現」については、これまで取り組んできた施策を継続しながら、事業環境の変化を踏まえた新たな切り口を加えて、「グローバル市場での事業拡大」「お客様の『持たない経営』を支援」「次世代社会インフラ分野への参入」を3本柱に今後の諸施策を実行します。

「グローバル市場での事業拡大」に注力し、ロシア、インドネシアに続く新規ATM市場の開拓とブラジル子会社の立ち上げ、加えて現金処理機や保守サービスの展開など商品拡大を目指します。また、コピア・プロフェッショナル市場向け高付加価値プリンタのグローバル展開も進めます。

「お客様の『持たない経営』を支援」では、「クラウドサービス」や「LCMサービス」などを提供する「EXaaSTM」の強化と、保守やハイエンドEMSでの医療・新エネルギー分野の開拓を行います。また、「次世代社会インフラ分野への参入」では、センシング・ネットワーク技術などのOKIの強みを活かし、防災・減災、社会インフラ老朽化対策等に取り組みます。

これらの取り組みにより2016年度の経営目標である、営業利益率6%、自己資本比率30%以上、DEレシオ1倍以下の達成を目指します。

またこのほか、生産・設計改革や調達コストの削減、運転資本削減に向けた活動、研究開発の強化、さらに成長分野への人材シフトやグローバル人材採用、女性の活躍推進などの人材強化策も実行していきます。

 

4【事業等のリスク】

OKIグループ(当社及び連結子会社)の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のとおりであります。

なお、業績に影響を与える要因は、これらに限定されるものではありません。また、OKIグループはこれらのリスク発生の可能性を認識し、その発生の回避を図るとともに、発生した場合の影響の最小化に取り組んでまいります。

 

(1)政治経済の動向

OKIグループの製品に対する需要は、OKIグループが製品を販売している国または地域の政治経済状況の影響を受けます。すなわち、日本、北米、欧州、アジア、南米を含むOKIグループの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小、外国製品に対する輸出入政策の変更等は、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)急激な技術革新

OKIグループの主要な事業領域である情報通信システム事業及びプリンタ事業は、技術革新のスピードが著しい領域です。OKIグループは競争優位性を維持すべく新技術、新製品の開発に努めておりますが、将来において、急激な技術革新に追随できず、かつ、現有技術が陳腐化し、顧客に受け入れられる製品、サービスを提供できない場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)市場の動向

① OKIグループが属している各製品市場と地域市場においては、新規参入等の要因もあり厳しい競争が常態化しております。OKIグループはこの厳しい競争を克服すべく新商品開発やコスト削減等に最善の努力を傾けておりますが、将来において商品開発やコストダウン等の施策が有効に機能せず、シェアの維持や収益性の確保が十分にできない場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 金融機関が金融行政の変化や業績の悪化等の要因により投資動向を変更した場合、通信キャリアが通信行政の変化や事業戦略の変更等の要因で投資動向を変更した場合、国又は地方自治体の政策等の要因で公共投資が大きく減少した場合などは、情報通信システム事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ OKIグループが属するプリンタ市場では、カラープリンタを中心に激しい価格競争がなされています。OKIグループは新製品開発やコストダウンにより、シェア拡大と収益性の確保に努めておりますが、想定を超える価格下落の進行などはプリンタ事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)原材料、部品の調達

OKIグループは生産活動のために多種多様な原材料、部品等を調達しておりますが、災害等の影響などによりそれらの安定的な調達及びその特殊性から仕入先または調達部品の切替えができない可能性があります。そのような場合、製品の出荷が遅れ、取引先への納入遅延や機会損失等が発生し、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、OKIグループは生産活動のため石油や金属などの原材料を直接あるいは間接的に必要としておりますが、これらの原材料価格の高騰はOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品の欠陥、納期遅延

OKIグループが提供する製品及びサービスについて、品質管理の徹底に努めておりますが、欠陥が生じる可能性は排除できません。この場合、欠陥に起因し顧客がこうむった損害の賠償責任が発生する可能性があります。また、欠陥問題によりOKIグループの評価が低下したことによりOKIグループの製品、サービスに対する需要低迷の可能性があります。いずれの場合もOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、OKIグループが提供する製品及びサービスについて、納期管理の徹底に努めておりますが、資材調達、生産管理、設計などにおける予期せぬ要因により納期遅延が生じる可能性は排除できません。この場合、納期遅延に起因し顧客がこうむった損害の賠償責任が発生する可能性があります。

 

 

(6)戦略的アライアンスの成否

OKIグループは、研究開発、製造、販売等あらゆる分野において他社とのアライアンスを積極的に推進しておりますが、経営戦略、製品・技術開発、資金調達等について相手先との協力関係が維持できない場合や、十分な成果が得られない可能性があります。その場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)海外における事業活動

OKIグループはさまざまな国と地域において生産や販売活動を行っていますが、カントリーリスクや為替変動リスクなど海外事業特有のリスクが存在します。

OKIグループはタイ及び中国、ブラジルに生産拠点を有しますが、これらの国において政治経済状況の悪化、現地通貨価値の変動等、予期せぬ事象が発生した場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、為替変動リスクを最小化するために、OKIグループでは、米ドルやユーロの為替変動に対する為替先物予約や通貨スワップ等の手段を講じておりますが、完全にリスクを排除できるとは限らず、特に急激な為替変動はOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)特許権等の知的財産権

OKIグループは、グループにて保有する特許の保護、他社との差別化のための特許の獲得に努めておりますが、これらが十分に行えない場合、関連する事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、OKIグループは製品の開発・生産に必要な第三者の特許の使用許諾権の確保に努めておりますが、将来、必要な許諾権が受けられない可能性や不利な条件での使用を余儀なくされる可能性があります。いずれの場合もOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、OKIグループは第三者の知的財産の尊重に努めておりますが、訴訟を提起される可能性を完全に排除できる保証はありません。訴訟が提起された場合の訴訟費用の増加、敗訴した場合の損害賠償等により、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法令及び公的規制の遵守

OKIグループは事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、租税、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、あるいは想定外の変更があった場合、OKIグループの活動が制限される可能性があります。従って、これらの規制はOKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)災害等による影響

OKIグループは事故あるいは災害等に起因する製造ラインの中断によるマイナス影響を最小化するため、定期的な事故、災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産施設で発生する事故、災害等による悪影響を完全に防止できる保証はありません。地震、風水害、停電等による製造ラインの中断、さらには販売活動を行っている国々で発生した各種災害による経済活動に対する大きな影響は、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報管理

OKIグループの社内システムについて情報漏洩対策やウィルス防御システムの導入など施しておりますが、人的ミスや新種のウィルス等に起因する情報漏洩やシステムダウンを完全に防御できる保証はありません。こうした事象が発生した場合、追加的に損失が発生する可能性があります。

 

(12)人材の確保及び育成

OKIグループが安定収益企業としてさらなる成長を目指すために、優秀な人材を確保及び育成する必要があります。このため、OKIグループは、新卒、キャリア採用問わず積極的に新規採用を行い、また、優秀な人材を育成するため、職場OJTや研修等様々な支援活動を行っておりますが、優秀な人材が確保及び育成できなかった場合或いは優秀な人材が大量離職した場合、OKIグループの今後の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(13)金利変動

OKIグループの有利子負債には、金利変動の影響を受けるものが存在します。OKIグループはその影響を回避するために金利スワップ取引を行う等様々な対策を講じていますが、金利上昇が金利負担の増加や、将来の資金調達コスト上昇による運転資金調達への悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)会計制度の変更

OKIグループは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表及び財務諸表を作成していますが、会計基準等の設定や変更により、従来の会計方針を変更した場合に、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)債権回収

OKIグループは、顧客の財政状態を継続的に評価し、貸借対照表日後に発生すると予想される債権回収不能額を見積もり適正に引当金を計上していますが、顧客の財政状態が急激に悪化した場合には、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)固定資産の減損

OKIグループの所有する有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産について減損処理が必要となった場合には、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)繰延税金資産

OKIグループは、繰延税金資産について繰越欠損金及びその他の一時差異に対して適正な金額を計上していますが、将来の業績変動により課税所得が減少し、繰越欠損金及びその他の一時差異が計画通り解消できなかった場合の繰延税金資産の取崩しは、OKIグループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)退職給付債務

OKIグループは、退職給付債務について数理計算上で設定される割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しております。しかし、この前提条件は、市場金利や株式市場の影響を受けることから、実際の結果とは異なる場合があり、退職給付債務が増加する可能性もあります。その場合、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)株価の変動

OKIグループは、投資有価証券の一部として上場株式を保有しておりますが、当該株式の価格下落による評価損の計上や評価差額金の減少は、OKIグループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)株式の希薄化

OKIグループは、安定した収益を創出し続けられる堅固な事業基盤の構築と財務基盤の抜本的な改善を図るため、第三者割当によるA種優先株式を平成22年12月22日に発行しております。当該A種優先株式には、普通株式を対価とする取得請求権(取得請求期間 平成26年4月1日から平成36年3月31日まで)及び取得条項(一斉取得日 平成36年4月1日)が付与されており、将来、当該普通株式を対価とする取得請求及び取得条項により普通株式が発行された場合には既発行普通株式の希薄化が起こり、株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 平成26年3月31日現在における重要な技術援助契約及びその他の経営上の重要な契約は、下記のとおりであります。なお、契約会社はいずれも提出会社であります。

 

① 技術援助契約

相手先

国名

契約対象機器

契約の内容

契約期間

International Business

Machines Corporation

米国

情報処理機器

特許実施許諾

(クロスライセンス)

契約特許存続期間中

キヤノン(株)

日本

プリンタ、FAX、

複合機

特許実施許諾

(クロスライセンス)

契約特許存続期間中

 

② その他の経営上の重要な契約

相手先

国名

契約の内容

Hewlett-Packard Company

米国

平成4年4月7日に情報通信分野でのシステムインテグレーションビジネスを強化することを目的として、双方向かつ長期的な関係を維持・発展させるための基本契約を締結しました。

シスコシステムズ合同会社

日本

平成12年2月9日に、同社製品の再販及びこれに付加価値化を行い、トータルソリューションをエンドユーザに提供するパートナーとして基本契約を締結しました。

 

 

6【研究開発活動】

OKIグループ(当社及び連結子会社)は、「安全で快適な社会の実現」を目指し、OKIの成長戦略に基づいた技術開発を推進しています。

OKIの強みである「センシング」、「音響」、「ネットワーク」、「データ解析・処理」、及び「メカトロニクス」技術の融合と進化を目指した研究開発を実施しています。

当連結会計年度のOKIグループの研究開発費は12,959百万円であり、各事業及び全社共通等における研究開発活動の主な成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

<情報通信システム>

(1)「持たない経営」を支援するEXaaSTMクラウドサービスにおいて、金融機関向けサービスを拡充しました。為替OCRシステムや経費システム、最新のスマートフォンやタブレット端末を活用した通帳管理システムなどを共同利用型にサービス化し、金融市場では従来慎重であった勘定系システムのクラウドサービス提供を可能としました。さらに為替OCRシステムについては、各行と共同で業務フロー、帳票共通化、共通アプリケーション仕様の策定により、開発コストを低減するとともに、クラウドサービス化により、これまで各行でそれぞれ必要であったシステムの構築・運用・保守費用の大幅な低減が期待できます。

(2)IPネットワークを介して、各地の拠点を結ぶ内線ネットワークをシームレスに構築することができる中小規模オフィス向けのオフィス・コミュニケーションシステム「CrosCoreR(クロスコア) M/L」を開発しました。「CrosCoreRシリーズ」は、スマートフォンやコードレス電話機など30機種におよぶ多彩なコミュニケーション端末に加え、ルーター内蔵によるインターネット接続や簡易的なLAN、さらに侵入者検知や緊急地震速報対応などのセキュリティ機能も提供し、オフィスワーカーの活躍の場所・シーンに応じたコミュニケーションと、安全・安心な日常のビジネス活動をサポートします。さらに「CrosCoreR M/L」は、一般的なビジネスホンの機能に加え、コールセンターやホテル病院など多彩な業種・業態向けシステムとも連携したオフィスネットワークの構築が可能です。

(3)920MHz帯無線マルチホップネットワーク技術を活用し、産業機器や各種センサー機器への組み込みが可能な「920MHz帯無線通信モジュール」を開発しました。産業機器や各種センサーなどに本モジュールを組み込むことで、「920MHz帯マルチホップ無線ユニット」と組み合わせて、電力、温湿度、照度などのセンサーからのデータ収集や、空調、接点などの制御の無線化が可能となります。さらに、標準機能としてRS485通信を透過する機能を搭載したモデルは、ソフトウェアのカスタマイズなしでRS485に対応した機器に組み込みが可能です。

(4)ビデオ会議システム「Visual NexusR(ビジュアルネクサス)」に対応するAndroid及びiPadタブレット版ビデオ会議アプリケーションを開発しました。外出先で顧客対応する営業担当者を遠隔支援する「遠隔コンサルティング」や、社外で作業中のエンジニアが現場で発生中のトラブルについて本部の指示を仰ぐ「遠隔作業支援」、事故や災害発生時に現地の様子を対策本部にビデオ会議で伝達する「BCP対策」など、タブレット端末を用いた様々な用途で「Visual NexusR」を簡単に活用できます。

(5)高齢者・要介護者の見守りやセキュリティ管理を目的とした、呼吸などの微細な動きを検知できる「電波型超高感度人感センサー」を開発しました。人の呼吸成分を効率よく検出するアルゴリズムを開発し、ドップラー効果を利用したマイクロ波電波センサーに実装しました。同センサーを利用することにより、活動時だけでなく就寝時などの安静状態においても、体調変化や生活リズムの変化をリアルタイムに把握して可視化することが可能となります。

 当事業に係る研究開発費は、8,870百万円であります。

 

<プリンタ>

(1)プロフェッショナル向けA3ノビ対応カラーLEDプリンタMICROLINE VINCIシリーズ(「C941dn」「C931dn」「C911dn」の3機種)を開発しました。「C941dn」は、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)にホワイトまたはクリアー(透明)のトナーを5色目としてプラスし、豊かな色の再現性を実現しています。また、「C931dn」「C911dn」と共に、用紙に負荷をかけないフラット・ペーパーパス方式を採用しており、媒体対応力にも優れています。ホワイトやクリアーのトナーを搭載したプリンタは、主にデザイン現場における各種パッケージのデザイン確認やダミー制作、カタログ制作、POP制作など、幅広い表現でのオンデマンドプリントで使われます。

(2)オフィス・ソリューション向けA4カラーLED複合機の新商品として、初めてオープン・プラットフォーム技術(注)を搭載したA4カラーLED複合機「MC760dn」「MC770dn」「MC780dn」の3機種を開発しました。「MC760dn」「MC770dn」「MC780dn」は、オープン・プラットフォーム技術を搭載しているA4カラーLED複合機であり、システムインテグレータはワークフロー改善などのソリューションを開発・提供することができます。また、9インチの大型カラータッチパネル採用により、高い操作性を実現し、高機能と使いやすさを両立しました。

 

注:オープン・プラットフォーム技術

デバイスと連携するアプリケーションを開発する際に必要となる、公開されたインターフェース技術。

 当事業に係る研究開発費は、2,006百万円であります。

 

<EMS>

   『EMSグループの一貫ソリューション提供』を強みとした「高品質・高信頼性」、「多品種少量」、かつ「低コスト」を追及する日本型EMSのサービス提供のための、技術開発をしています。

 当事業に係る研究開発費は、30百万円であります。

 

<全社共通等>

(1)広範囲のセンサー情報を効率的に収集する無線センサーネットワークに有効な省電力無線マルチホップ技術を開発しました。この技術により、中継器(ルーター装置)を含む全ての無線センサーが間欠動作(スリープ)可能となり、ネットワーク全体の電池駆動が望めます。ZigBeeに代表される従来のセンサーネットワークでは、スリープ可能な端末はネットワークの末端に設置される無線センサーのみで、途中のルーター装置には電源供給が必要でした。今回の開発により、ルーター装置も電池駆動が可能となることで、無線センサーネットワークの適用範囲が格段に広がり、電源敷設が困難な橋梁やトンネル等の社会インフラ維持管理やビル・プラント監視にも適用することが期待できます。

(2)次世代光アクセスネッワークを目指した40Gbps級のWDM(波長分割多重)/TDM(時間分割多重)-PON(Passive Optical Network)システムに向けた波長可変バーストトランシーバーを開発しました。本WDM/TDM-PONシステムにおける上りバースト多重信号のビートノイズの影響評価より、トランシーバーの仕様を抽出し、ON/OFFの消光比が高いSOA(半導体型光増幅器)を用いてバースト信号を発生させる構成により、その仕様を実現しました。さらに、このSOAを搭載したトランシーバーのプロトタイプを作製し、128ユーザーを超える40Gbps級のPONシステムの実現可能性を実証しました。

(3)カメラに対して正面を向いていない顔画像から、年齢と性別を高精度に判定する属性推定技術を開発しました。カメラで捉えた顔画像に対して射影変換により顔向きの正規化を行い、顔の部分ごとに推定した属性を顔の角度に応じて補正することで顔向き変化への耐性を向上させました。この技術開発により、顔画像から属性を推定するためのカメラ設置条件が緩和でき、商店街やショッピングセンターの既設のカメラを利用した客層分析や販促効果測定が可能になるなど、幅広い分野でのマーケティングツールとしての活用が期待できます。

 全社共通等に係る研究開発費は、2,052百万円であります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 財政状態及び経営成績の分析における将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在(平成26年6月25日)において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表及び財務諸表(財務諸表等)は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しており、重要な会計方針に基づき見積り及び判断を行っておりますが、特に以下の重要な会計方針については、見積りによる不確実性のため実際とは異なる結果となる場合があり、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

・売掛債権

貸借対照表日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適正な引当金を計上しておりますが、顧客の財政状態が悪化した場合は、貸倒引当金の追加計上の可能性があります。

・たな卸資産

通常の販売目的で所有するたな卸資産のうち、営業循環過程にあるたな卸資産については主として期末における正味売却価額により、営業循環過程から外れたたな卸資産については主として規則的に帳簿価額を切り下げる方法により、収益性の低下を反映したうえで貸借対照表価額としておりますが、売価の下落により正味売却価額が低下した場合や、販売不振により営業循環過程から外れたたな卸資産が増加した場合、たな卸資産評価損の追加計上の可能性があります。

・有形固定資産及び無形固定資産

将来の収益獲得等が確実なものであると判断しておりますが、将来の収益獲得等が不確実になった場合は、減損損失計上の可能性があります。

・投資

回復可能性があると認められない株式等は評価減を実施しておりますが、株式市況の悪化等によりOKIグループ(当社及び連結子会社)が保有する株式等の時価が下落した場合や、投資先の財政状態が悪化した場合は、評価損の追加計上の可能性があります。

・繰延税金資産

将来の回収可能性を十分に検討して回収可能な額を計上しておりますが、今後の回収可能性の判断の結果、回収可能な額が減少した場合、費用が増加する可能性があります。

・退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務について数理計算上で設定される割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき適正な金額を計算しておりますが、前提条件の変化等により悪影響を受け退職給付債務及び退職給付費用が増加する可能性があります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析及び経営成績に重要な影響を与える要因について

当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は、前連結会計年度比273億円、6.0%増加の4,831億円となりました。主要事業セグメントの業績が堅調に推移し、加えて円安の効果もありました。なお、セグメント別の内容は「1「業績等の概要」(1)業績」に記載の通りです。

売上原価については、前連結会計年度から172億円増加したものの、情報通信システム事業を中心に増収となったこと等により、売上原価率は前連結会計年度比0.6ポイント良化の73.4%となり、売上総利益は1,285億円(同101億円増加)となりました。

販売費及び一般管理費については、プリンタ事業構造改革の効果などにより、前連結会計年度から36億円減少し1,013億円となり、売上高に対する比率は前連結会計年度比2.0ポイント良化の21.0%となりました。

その結果、営業利益については、プリンタ事業構造改革による固定費の削減や機種ミックスの改善効果に加えて、円安の寄与により、272億円(同137億円増加)となりました。

営業外損益については、主に為替差益の計上により95億円の収益(純額)となりました。この結果、経常利益については、367億円(同164億円増加)となりました。

特別損益については、主にプリンタなどの事業構造改善費用の計上により49億円の損失(純額)となりました。

税金等調整前当期純利益については、318億円(同132億円増加)となりました。法人税、住民税及び事業税については、38億円を計上し、法人税等調整額については、4億円の費用を計上しました。少数株主利益については、2億円を計上しました。

これらの結果、当期純利益については、274億円(同138億円増加)となりました。

 

 

(3)経営戦略の現状と見通し及び経営者の問題意識と今後の方針について

経営戦略の現状と見通し及び経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「3「対処すべき課題」」に記載の通りです。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概要は以下のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び運転資金が改善したこと等により、319億円の収入(前年同期116億円の支出)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出により、140億円の支出(同92億円の支出)となりました。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローとをあわせたフリー・キャッシュ・フローは179億円の収入(同208億円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、優先配当の実施及び借入金の返済により、43億円の支出(同211億円の支出)となりました。

その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末残高の359億円から509億円となりました。

 

②資金需要

OKIグループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料及び部品の購入費、人件費、外注費等の製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。

 

③借入金及びリース債務

当連結会計年度末の概要は以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

契約債務

年度別要支払額

合計

1年以内

1年超

3年以内

3年超

5年以内

5年超

短期借入金

554

554

長期借入金

636

491

131

14

リース債務

75

26

32

12

6

 

なお、所有権移転外ファイナンス・リース取引のうち、リース取引開始日が平成20年3月31日以前のリース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理によっており、この未経過リース料期末残高相当額は0億円、オペレーティング・リース取引の未経過リース料は128億円であります。

OKIグループの第三者に対する保証は、従業員の住宅融資借入金に対する債務保証であります。保証した借入金の債務不履行が保証契約期間中に発生した場合、OKIグループが代わりに弁済する義務があります。当連結会計年度末のOKIグループの債務保証に基づく将来の潜在的な要支払額の合計は5億円であります。

 

④財務政策

OKIグループは現在、運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は借入金等により充当することとしています。このうち、運転資金については短期借入金及び長期借入金で調達しています。生産設備などの長期資金については長期借入金で調達しています。当連結会計年度末現在、金融機関他からの短期借入金の残高は554億円、長期借入金の残高は636億円となっています。長期資金については固定金利が中心ではありますが、金利情勢を勘案した上で変動金利も利用しています。

OKIグループは財務の健全化のため、今後もフリー・キャッシュ・フローを原資として有利子負債の圧縮に努めていきます。必要資金のリファイナンスについては、主に長期借入金と社債をバランスよく利用することを基本とします。

また、運転資金の効率的な調達を行うため、当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末現在の未使用残高は、156億円となっております。