当連結会計年度における世界経済は、米国や欧州等の先進国は回復を続けており、全体としては底堅く推移しているものの、中国及びアセアン、南米をはじめとする新興国においては、減速懸念や急激な原油安が見通しに不安を与え、先行きの不透明感を強める状況となりました。また、日本経済においては、政府の経済対策や日銀の金融政策による企業収支の改善や雇用、所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調でありましたが、足元の円高の影響により輸出環境の悪化が見られました。
このような状況の中で、「JTEKT GROUP VISION」で掲げた「No.1 & Only One –より良い未来に向かって-」を目指し、「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」の3本柱を中心に、当社グループ一丸となって取り組みを進めてまいりました。
また、平成28年1月にジェイテクト設立10周年を迎えたことを機に、環境変化や競争激化を乗り越えて「JTEKT GROUP VISION」を達成するためのジェイテクトグループ共通の価値観を、「JTEKT WAY」として明文化いたしました。今後は、当社グループの文化として定着させるべく、浸透を図ってまいります。
各事業の概況は、以下のとおりです。
自動車部品事業のステアリング部門においては、競争が激化している現状を踏まえ、お客様を設計段階からサポートするフロント・ローディング活動を進めるとともに、つくり方、買い方を抜本的に改善する画期的な原価低減活動、基幹部品の内製化等のコスト競争力強化を強力に推し進めてまいりました。生産供給の面では、地域毎に強弱はあるものの依然として旺盛な自動車需要に対応するため、各国での生産能力の増強を進めてまいりました。当期においては、平成27年8月にメキシコの生産拠点「JTEKT AUTOMOTIVE MEXICO, S.A. DE C.V.(JAMX)」で、電動パワーステアリング(EPS)の主要ユニットの現地生産を開始いたしました。また、平成27年10月29日~11月8日に東京ビッグサイトにて開催された、第44回東京モーターショー2015においては、当社の電動パワーステアリング(EPS)の進化を実際に運転しながら体感できるドライビング・シミュレーター「SODA」や、当社テストコース「ジェイテクト伊賀試験場」の様子を360度映像で体感できる「JGOGGLE」、2014年度末に登場した燃料電池自動車「TOYOTA FCV MIRAI」のカットモデルを出展いたしました。これらを通じて、電動パワーステアリング(EPS)やハブユニット等の従来商品への対応だけでなく、「高圧水素供給バルブ」や「減圧弁」等、燃料電池自動車には欠かせない技術を紹介し、自動車産業を支えるサプライヤとしてあらゆるニーズに応え、社会的課題の解決に貢献する姿をご覧いただきました。
駆動系部品部門においては、既存商品の選択と集中を進める中で、ステアリング部門と連携したフロント・ローディング活動、各商品の原価低減活動やユニット化・モジュール化、グローバル供給体制の再構築等、ドライブラインにおけるシステムサプライヤとしての競争力強化を推進し、基盤固めを行ってまいりました。
軸受(ベアリング)事業においては、事業体質の強化に重点を置き、取り組みを進めてまいりました。構造改革の一環として、地域毎での、品種・サイズ毎の生産工程・サプライチェーンの整理、統合及び整流化を進めております。国内においては、円すいころ軸受(テーパーローラー・ベアリング)の鍛造工程を集約するために、香川工場の第2工場を増築し、平成28年1月より生産を開始いたしました。また、国分工場を大型軸受に集中させるべく、小型軸受の他工場への移転を進めてまいりました。さらに、投資負担を軽減するための投資原単位削減ラインの導入、産業機械・市販分野向けの少量多品種生産への対応、並びに抜本的な生産性改善のための小ロット生産、物流及び在庫管理の改革に着手しております。商品面においては、デフユニットのピニオン支持や自動車のトランスミッション等に使用される円すいころ軸受(テーパーローラー・ベアリング)において当社従来品を超えてNo.1の低トルク性能を誇る「次世代超低トルク円すいころ軸受(LFT-Ⅳ)」を開発いたしました。本商品は、第3世代製品(LFT-Ⅲ)と比較してさらに約30%の損失低減を実現しております。
工作機械・メカトロニクス事業においては、当社グループ内の強みを集約し、導入から運用・保守、オーバーホールまで、設備のライフサイクルに合わせてサポートできる体制を構築してまいりました。また、平成27年11月に当社の刈谷工場及びカスタマーセンターで開催したプライベートショー「JTEKT Technical Fair 2015」では、これまで自動車分野で強みを発揮してきた当社商品を産業機械分野に展開するべく、農建機、エネルギー、発電機、航空機等の大物部品加工に最適な「超大型横形マシニングセンタ FH1600SW5i」、産業ロボットや建設機械、トラック等に使われる大型ギヤ加工向けの「ギヤスカイビングセンタ GS700H」を発表するとともに、来るべきIoT時代をリードすべく、刈谷工場内で取り組んでいる事例を紹介いたしました。
当連結会計年度の連結業績につきましては、中国と欧州を中心にステアリングの販売が大幅に増加したこと等により、売上高は1兆3,999億87百万円と前連結会計年度に比べて439億95百万円、率にして3.2%の増収となりました。利益につきましては増収及び円安の効果等により、営業利益は819億23百万円と前連結会計年度に比べて77億69百万円、率にして10.5%の増益となり、経常利益は812億60百万円と前連結会計年度に比べて18億81百万円、率にして2.4%の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、486億72百万円と前連結会計年度に比べて61億51百万円、率にして14.5%の増益となりました。
セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
機械器具部品につきましては、中国と欧州を中心にステアリングの販売が大幅に増加したこと等により、売上高は1兆2,351億40百万円と前連結会計年度に比べて374億32百万円、率にして3.1%の増収となりました。営業利益につきましては、増収及び円安の効果等により、712億64百万円と前連結会計年度に比べて81億42百万円、率にして12.9%の増益となりました。
工作機械につきましては、国内での販売増加等により、売上高は1,648億47百万円と前連結会計年度に比べて65億63百万円、率にして4.1%の増収となりました。営業利益につきましては、108億49百万円と前連結会計年度に比べて3億57百万円、率にして3.2%の減益となりました。
連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは1,101億25百万円の資金の増加であり、前連結会計年度に比べて67億38百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは599億23百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が620億72百万円の資金の減少であったことに比べて21億48百万円の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは493億1百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が364億75百万円の資金の減少であったことに比べて128億26百万円の減少となりました。これらに換算差額等を減算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は616億68百万円となり、前連結会計年度末に比べて37億49百万円の減少となりました。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
機械器具部品 | 1,147,749 | 103.8 |
工作機械 | 120,688 | 107.7 |
合計 | 1,268,437 | 104.2 |
(注) 1 金額は平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、外注加工費及び購入部品費が含まれております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの販売高の多数を占める、自動車業界向け部品については、納入先から提示される生産計画を基に、当社グループの生産能力等を勘案して生産を行っております。
なお、工作機械の受注状況は以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
工作機械 | 119,243 | 103.7 | 39,755 | 108.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | |
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
機械器具部品 | 1,235,140 | 103.1 |
工作機械 | 164,847 | 104.1 |
合計 | 1,399,987 | 103.2 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
トヨタ自動車㈱ | 225,894 | 16.7 | 227,925 | 16.3 |
世界経済においては、米国の底堅い経済成長や欧州の緩やかな経済成長に支えられ、全体としては底堅く推移する見込みですが、中国及びアセアン、南米をはじめとする新興国においては、引き続き需要の低迷が続く中で、世界的な金融政策の転換も影響し、不透明な状況にあります。日本経済においては、政府の経済対策や日銀の金融政策による下支えはあるものの、外需の低迷を受け、緩やかな成長となる見込みです。
このような経営環境の中、当社グループは、「JTEKT GROUP VISION」で掲げた「No.1 & Only One –より良い未来に向かって–」の実現に向け、引き続き「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」の3本柱を中心に、一丸となって取り組みを進めてまいります。
次期の主な課題としては、平成28年初めからの急激な円高状況をはじめ、欧州の政情不安、中国の景気停滞など世界的な経済状況の変化にフレキシブルに対応してゆくことはもちろんのこと、各事業で推進している構造改革における成果出しの推進、国内においては固定費の低減、生産性改善のスピードアップによる当社単体の収益改善等が挙げられます。これらの課題に対し、当社グループ一丸となり対策を推進してまいります。
なお、当社及び当社の一部子会社は、過去のベアリング(軸受)等の取引に関し、各国競争法違反の疑いがあるとして、海外の競争法当局の調査を受けておりましたが、平成27年4月に、当社は、課徴金の支払いは免除されたものの、韓国独占規制及び公正取引に関する法律に違反する行為があったとの決定を受けました。また、同年7月には、当社及び当社の一部子会社は、ブラジル競争保護法違反に関し、同国経済擁護行政委員会との間で、309万ブラジルレアル(約115百万円)の支払いにつき合意いたしました。海外の競争法当局による調査は現在も継続中であり、当社グループは、引き続きこれらの調査に適時適切に協力しております。
当社グループは、今後も再発防止に向けたコンプライアンス徹底の取り組みを継続し、信頼回復に向け一層の努力をしてまいります。
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループは東海・東南海・南海地震や暴風、豪雨などの大規模自然災害及び火災、疾病発生を想定し、災害発生時の被害の最小化を図るために各種事前対策、発生時対策を講じております。しかしながらこれらにより、罹災時リスクの一掃を図ることは難しいものと考えております。取引先の罹災による生産活動停止等の外部要因も含め、当社グループの業績は災害による影響を受けることがあります。
当社グループは、欧州、米州、アジア等多くの国・地域で製品の生産と販売活動を展開しており、また取引先も多岐の産業分野に属しております。従いまして、当社グループの事業は、生産、販売している特定の国・地域の経済状況の変動や、取引先の属する産業の景気変動の影響を受けることがあります。
当社グループは機械器具部品(主力製品:ステアリング、ベアリング等)及び工作機械等の製造販売を主な事業としております。
ステアリングは、自動車の進行方向を自由に変えるためのハンドル操作を適切にタイヤに連動させる操舵装置であり、大半を自動車業界向けに製造販売しております。ベアリングは、各産業において広く使用される部品であり、その役割は軸を円滑に回転させ、摩擦によるエネルギー損失や発熱を減少させる重要な要素部品であります。当社グループでは、売上高の過半が自動車業界向けであります。工作機械につきましても、その受注は自動車業界からのものが中心であります。
なお、当社の筆頭株主であるトヨタ自動車株式会社との取引金額は、連結売上高の16.3%を占めております。
また当社グループは、日本をはじめグローバルな自動車の需要見通し及び顧客より提示される自動車の販売見通し等を総合的に検討し、判断の上で経営資源の効率的な投入を行っておりますが、将来の需要が現在の見通しどおりに推移する保証はありません。
これらのことから、当社グループの業績は自動車業界及び自動車市場の動向による影響を受けることがあります。
当社グループは、欧州、米州、アジア等多くの国・地域で製品の生産と販売活動を展開しております。海外の関係会社の財務諸表は現地通貨で作成されておりますが、連結財務諸表の作成のために円換算しております。従いまして、現地通貨における価値が変わらなくとも、円換算後の当社グループの連結財務諸表は為替レートの変動による影響を受けます。
また、当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、相対的な価格競争力を低下させる可能性があります。当社グループは為替予約等により短期的な為替変動リスクの軽減を図っておりますが、それによって、全てのリスクを排除することは不可能であります。
従いまして、当社グループの業績は、為替レートの変動の影響を受けることがあります。
自動車業界における価格競争はたいへん厳しいものとなっており、当社グループは、各製品及び市場において、競争の激化に直面すると予想されます。競争先には他自動車部品メーカーがあり、その一部は当社グループよりも低コストで製品を提供しています。さらに、モータリゼーションの進展に伴い、新しい競合先の台頭又は既存競合先の連携により、競合先が市場での大きなシェアを急速に獲得する可能性があります。
当社グループは、技術的に進化した高品質で高付加価値な自動車関連製品を送り出す世界的なリーディングメーカーであると考える一方で、将来においても有効に競争できるという保証はありません。価格面での圧力又は有効に競争できないことによる顧客離れは、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、同業他社との激しい企業間競争に晒されております。一方、近年、顧客のニーズは多様化し、かつ開発期間の短縮も求められております。当社グループとしては製品開発力の強化はもちろんのこと、生産準備期間の短縮、生産の仕組改革等さまざまな面から施策を講じて顧客の要求を満たすべく努力しております。しかしながらこれらの施策が顧客のニーズを満足させ、将来にわたって常に他社を上回る競争力を保持し続けることができるかどうかは予測困難であります。経営資源の効率的な投入、組織再編等、競争力強化に向けてさまざまな施策を講じておりますものの、当社グループの業績は企業間競争の影響を受けることがあります。
当社グループは継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えていますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
・新製品と新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
・長期的な投資と大量の資源投入が、新製品又は新技術の創造につながる保証はありません。
・当社グループが顧客からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれ らの製品の販売が成功する保証はありません。
・技術の急速な進歩と市場のニーズの変化により、当社グループの製品が時代遅れになる可能性があります。
・現在開発中の新技術の商品化の遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性があります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績又は財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはグローバルな事業展開を行っており、連結売上高に占める海外売上高の割合は、63.4%を占めております。海外での事業展開におきましては、事業活動に係る内部要因リスク以外に、政治的又は経済的に不利な要因の発生、社会的共通資本(インフラ)が未整備であることによる事業活動への影響、潜在的に不利な税制変更、人材採用の難しさや労務問題、自然災害や疾病の発生、社会的又は経済的混乱等のリスクが内在しており、これらのリスクを排除することは不可能であります。
従いまして、当社グループの業績は、海外事業展開における潜在的リスクの影響を受けることがあります。
当社グループは、「品質」を経営の最重要事項の一つとして掲げ、さまざまな取り組みを行っております。しかしながら、製品の開発・製造等における品質上のリスクの全てを将来にわたって完全に排除することは、困難なものと認識しております。また、製品保証引当金による会計上の手当て、保険加入による製造物責任等のリスクヘッジも行っておりますが、訴訟等により高額の賠償請求を受けた場合には、十分にカバーできないケースも想定されます。
これらに伴う社会的信用の低下、取引停止等も含め、当社グループの業績は品質問題の影響を受けることがあります。
当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数のグループ外の供給元から調達しております。これらの供給元とは、取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っておりますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、供給元の生産能力不足や火災、倒産、東日本大震災、熊本地震のような自然災害等の理由により原材料や部品の調達に支障をきたす可能性があります。その場合、当社グループの業績は、当社グループ製品の製造原価の上昇や生産停止等により悪影響を受けることがあります。
当社グループは、これまでの製品開発において蓄積してきた技術を知的財産権として権利化し、活用してまいりましたが、無体物に関わる権利という特殊性から、全ての国・地域にわたり知的財産権として活用することは困難な状況にあります。従いまして、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、当社グループは第三者の知的財産権を尊重した対応をしておりますが、全ての権利を完全に事前調査できない可能性もあり、将来的に当社グループが第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。
これらのことから、当社グループの業績は、知的財産権問題の影響を受けることがあります。
当社グループは事業活動において、継続的なコンプライアンスの実践に努めております。しかしながら、当社及び当社の一部子会社は、現在、軸受(ベアリング)等の取引に関して、海外の競争当局より競争法違反の疑いがあるとして調査を受けております。
従いまして、当社グループの業績は、当該調査の結果等により、影響を受けることがあります。
当社グループは機械器具部品及び工作機械を製造販売するメーカーであり、製造物責任に関する訴訟リスクを負っております。当社グループは、保険付保等の一定のリスクヘッジを行っておりますが、それによって賠償負担をすべてカバーするものではありません。
また、一連の競争当局による処分等に関連し、米国及びカナダにおいて、当社及び当社の一部子会社に対して損害賠償を求める集団訴訟が提起されており、当社又は当社の子会社もしくは関連会社は、今後、同種の訴訟を提起される可能性があります。さらに、平成28年2月25日、英国において、Peugeot S.A.及び同社グループ会社より、当社を含む軸受メーカー各社に対して、訴訟が提起されております。
上記以外の訴訟についても、そのリスクを全て排除することは不可能であります。
これらのことから、当社グループの業績は訴訟の影響を受けることがあります。
該当事項はありません。
当社グループは、「JTEKT GROUP VISION」で掲げた「No.1 & Only One –より良い未来に向かって–」を平成26年4月に策定し、必要な要素として「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」という3本の柱を掲げております。研究部門では、ステアリング、駆動系部品、ベアリング、工作機械・メカトロ商品を中心に、今までには存在していなかった価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。
お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出し続けるために、先を見据えた将来の商品に繋げる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化と融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗等を対象とする科学技術)・材料技術、超精密加工技術、システム制御技術、要素・基盤技術等をベースにしております。また、「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は462億96百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
ステアリング部門では、自動車の低燃費・高機能化に貢献できる電動パワーステアリングの全ラインナップを品揃えしており(Only One)、また、グローバルシェアは30%を超え世界トップであります(No.1)。今後も社会ニーズ、顧客ニーズにお応えした商品を提供するため、次世代商品の開発に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。
ボールねじ機構を介して直接出力軸へ伝えるラックパラレルタイプ電動パワーステアリング(RP-EPS)の開発を完了し市場投入を平成28年度末に予定しております。また、すでに量産しておりますデュアルピニオンタイプ電動パワーステアリング(DP-EPS)の適用領域を広げる高出力化の開発も推進しております。この開発により当社の電動パワーステアリングの競争力を高めることで、従来の油圧パワーステアリングが搭載された車種領域にも、電動パワーステアリングを採用していただくことで低燃費/高機能化に貢献してまいります。
駆動系部品部門では、走行安定性・安全性向上へのニーズに対応を図る一方で、低燃費貢献技術にも取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、平成26年度までに開発して国内展開した次の二つの商品を北米にも展開いたしました。構成部品の強度バランスを最適化することで小型・軽量化した新型等速ジョイント(Constant Velocity Universal Joint)と、電磁クラッチの表面形状の工夫などで温度によるトルク変化を大幅に低減した第3世代電子制御カップリングITCC(Intelligent Torque-Controlled Coupling)です。
ベアリング部門では、将来への弾込めとして、新たな領域での新商品創造を目指した活動を、技術戦略の柱としております。当連結会計年度における主な成果は、次のとおりであります。
自動車用ベアリングでは、年々厳しさを増す環境規制への対応商品を継続的に市場投入してまいります。当社の強みである低トルク円すいころ軸受において、今後も業界No.1を維持すべく「次世代超低トルク円すいころ軸受(LFT-Ⅳ)」の先行開発を完了いたしました。現在、国内外のお客様に積極的に技術PRをしております。また、CVTやHVなどの自動車変速機用軸受として、従来品より軸受サイズをアップさせることなく耐クリープ性能を向上させた「アンチクリープ軸受」の開発を完了いたしました。足回りを支えるハブユニットでは、大幅なトルク低減と信頼性、耐久性を両立させた、新しい「低トルクハブユニット」も先行開発を完了し、量産化に向けた取り組みを推進しております。
産業機器用ベアリングでは、従来のセラミック玉軸受よりも、幅広い温度環境への対応を可能とする新セラミック材料を採用した玉軸受を開発いたしました。この新しいセラミック材料は、ベアリングの軌道輪(内輪・外輪)に使用される金属材料に近い熱膨張率特性を有しており、モータ用など、電食によるベアリング損傷が発生しやすいアプリケーションでも安心して使用していただける新商品として、国内で初めて平成28年度より、量産開始の予定であります。
工作機械では、狙い市場を明確化し、戦略的に研削盤、マシニングセンタとギヤスカイビング加工機及び制御システムの商品力強化を図ってまいりました。お客様から信頼される真の総合生産システムインテグレータを目指し、モノづくりすべてのフェーズでバリューを提供してまいります。
当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。
自動車用量産部品対応設備では、これまで以上の安定した加工精度、コスト低減のための高生産性と、さらに製品ライフサイクルの短縮、多様化等に伴う設備のフレキシブル性を実現する設備開発を行いました。
新開発のミッションシャフトの量産加工に最適なCNC円筒研削盤「e500G」では、砥石軸に、静圧と動圧を組み合わせたハイブリッドタイプの「TOYODA STAT BEARING」を採用し、研削精度を向上するとともにクラス最速サイクルタイムや段取り替えレス、CBN砥石採用による生産性の向上とクラス最少スペース、かんたん操作の改良も加え競合他社の市場の切り崩しを図ります。
また、エンジンのバルブ駆動用カムシャフト研削盤では、自動車のさらなる低燃費、性能向上を図る凹プロフィールカムに対応して、定評のあるGC20Mi、GC20Riカムシャフト研削盤に、小径かつ高剛性の砥石軸を開発し搭載することで、他社に先駆け凹プロフィールカムの高能率研削加工を実現し、カム研削盤のシェアNo.1を維持いたします。
高付加価値商品では、CNC円筒研削盤GE4iのバリエーション拡大として、匠の技を生かすプロ仕様を追加したCNC円筒研削盤GE4i-PROにおいて、「誰でも簡単に高度なモノづくりができる」CNC機能と、熟練作業者の「匠の技」を生かす油圧機のハンドル操作性の両立でTOYODA研削盤を長くお使いのプロの仕事にお応えいたします。
高付加価値商品として、大物部品切削加工を行う当社最大の横形マシニングセンタFH1600SW5iを開発いたしました。本機は、クラス最大の工作物サイズを誇り、農建機、エネルギー、発電機、航空機等の大型部品加工に最適であります。従来の大型部品加工では、門形マシニングセンタや横中ぐり盤等を使用しておりますが、本開発機では、パレットチェンジャと高速性能、高剛性クイル主軸による高い生産性を実現することにより、門形マシニングセンタと横中ぐり盤の2台を1台に工程集約が可能となります。
また小型マシニングセンタにはDD(Direct Drive)テーブルを搭載し生産性向上を図りました。
自動車用量産設備の開発を進めてまいりましたが、特に今年はTNGA(Toyota New Global Architecture)対応TE704生産型マシニングセンタを開発、更なる高生産性を実現するとともに、設備の高さを抑えコンパクトで見通しの良い新しい発想のライン構築を可能とし、日・米へ展開いたしました。
当社が新分野として重点的に取り組んでおりますギヤの歯切り加工設備において、従来のGS300Hギヤスカイビングセンタは、工作物外径が最大220mmであり主に自動車に使用されるギヤを対象としておりましたが、今回、新開発の大型ギヤスカイビングセンタGS700Hでは、工作物外径が250~700mmの大型ギヤ加工を可能とし、産業ロボット、建設機械及びトラック等の今後需要が見込める大型ギヤ加工市場への販売強化を図ります。
お客様のさらなる効率的な生産を支援する生産マネジメントシステムを開発、個々の設備の見える化だけではなく、生産ライン全体、工場全体の見える化を行い、ライン管理者の生産状況の正確な把握と異常時の迅速な解決を支援いたします。
また当社のマシニングセンタに新たにHMIであるTOYOPUC-Touchを新開発し搭載、19インチの大画面タッチスクリーンを備え、スマートフォン感覚で使える簡単操作とともに、機械状態、生産状況情報管理及び遠隔診断等を実現しております。
IoT(Internet of Things)の概念をより広範に捉えるべく当社はIoE(Internet of Everything)を提唱、生産のIoE・品質のIoE・保全のIoEの3つのIoEに取り組み「モノ」だけではなく、人、サービスなどの「コト」も含めた全てをつなげて、新たな価値を創出することに拘って、取り組んでおります。
IoEを実現する、ビッグデータ情報の高速通信と処理を行うPLCであるTOYOPUC-Nanoと高度なビッグデータ解析を実現するPLCであるTOYOPUC-AAAの開発を実施、またそれらを使い予兆管理等を可能とするソフト開発にも併せて取り組み中であります。
お客様のスマート工場づくりのために、ハードのみではなくソフト開発も進め、まず当社の社内設備に搭載し実証した上で広く外販できるソフトビジネスにつなげてまいります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しており、その作成にあたっては、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りにおいて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となることがあります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
退職給付費用及び債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出されており、これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率や年金資産の期待運用収益率等の見積りが存在しております。したがって、実際の結果が前提条件と異なる場合、あるいは前提条件が変更された場合には、その影響は累積され、将来にわたって規則的に償却されるため、将来の退職給付費用及び債務に影響を与える可能性があります。
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存することから、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは得意先及び金融機関の株式を保有しており、これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っております。したがって、将来、株式市場の悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価額に反映されていない損失又は簿価額の回収不能が発生した場合、評価損を計上する可能性があります。
当社グループは製品納入後に発生する製品保証費用の支出に充てるため、過去のクレーム発生割合を基礎にして当連結会計年度に対応する発生予想額を計上しております。クレームの発生割合は不確実な面が多く、実際の製品保証費用は見積額と異なることがあり、将来の製品保証費用及び債務に影響を与える可能性があります。
当社グループは建物及び設備等に使用されているアスベスト及びポリ塩化ビフェニル(PCB)の除去、処分等に係る支出に備えるため、今後発生すると見込まれる費用を計上しておりますが、将来において法規制の強化や社会状況の変化によって更なる費用負担が生じる可能性があります。
当連結会計年度の売上高は1兆3,999億87百万円と前連結会計年度に比べて439億95百万円(3.2%)の増収となりました。
機械器具部品におきましては、中国と欧州を中心にステアリングの販売が大幅に増加したこと等により、1兆2,351億40百万円と前連結会計年度に比べて374億32百万円(3.1%)の増収となりました。
工作機械におきましては、国内での販売増加等により1,648億47百万円と前連結会計年度に比べて、65億63百万円(4.1%)の増収となりました。
当連結会計年度の営業利益は、増収及び円安の効果等により、819億23百万円と前連結会計年度に比べて77億69百万円(10.5%)の増益となりました。
なお、売上高営業利益率は5.9%と前連結会計年度より0.4%増加しております。
営業外収益及び費用につきましては、6億62百万円の損失となりました。為替差損益の悪化等により、52億25百万円の利益であった前連結会計年度と比べて、収支が悪化しました。
以上により、当連結会計年度の経常利益は812億60百万円と前連結会計年度に比べて18億81百万円(2.4%)の増益となりました。
当連結会計年度末における総資産は、有形固定資産の減少等により1兆758億35百万円と前連結会計年度末に比べて504億円の減少となりました。負債につきましては、有利子負債の減少等により、5,957億69百万円と前連結会計年度末に比べて306億93百万円の減少となりました。また、純資産につきましては、為替換算調整勘定等の減少により、4,800億66百万円と前連結会計年度末に比べて197億7百万円の減少となりました。
なお、1株当たり純資産額は前連結会計年度の1,380円51銭から1,327円34銭に減少いたしました。
また、有利子負債については、1,901億80百万円と前連結会計年度末に比べて364億19百万円減少しました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、616億68百万円と前連結会計年度末に比べて、37億49百万円の減少となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは1,101億25百万円の資金の増加であり、前連結会計年度に比べて67億38百万円の増加となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは固定資産の取得による支出などにより599億23百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が620億72百万円の資金の減少であったことに比べて21億48百万円の増加となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは493億1百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が364億75百万円の資金の減少であったことに比べて128億26百万円の減少となりました。