当連結会計年度における世界経済は、新興国での成長鈍化が見られたものの、米国では引き続き堅調な回復を維持し、欧州でも穏やかな回復が続くなど、総じて底堅い動きを示しました。日本経済においては、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動の影響も全体として和らぎ、総じて景気は堅調に推移しましたが、一方で、当社における主要な市場である自動車業界におきましては、当下半期に消費税増税に伴う反動減の影響が顕在化しました。
このような状況の中で、「JTEKT GROUP VISION」で目指す姿として掲げた「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」の実現に向け、「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」の3本柱を中心に、当社グループ一丸となって取り組みを進めてまいりました。
自動車部品事業のステアリング部門においては、近年要求されている高い安全性を実現するため、自動車向け機能安全国際規格ISO26262 への完全準拠に加え、基幹部(ドライバーの操作を検出するトルクセンサ、アシストトルクを発生させるモータ駆動部)の冗長化や、小型・軽量化、静粛性の向上を実現したコラムタイプ電動パワーステアリング(C-EPS)を開発・量産開始いたしました。また、中・大型車両における省燃費のニーズに対応するため、快適な操舵フィーリングを備えた下流アシストタイプの電動パワーステアリングの受注拡大を進めてまいりました。生産供給の面では、世界的に旺盛な自動車需要に対応するため、各国での生産能力を増強するとともに、平成26年7月には中国でのピニオンタイプ電動パワーステアリング(P-EPS)の生産を新たに開始いたしました。
駆動系部品部門においては、収益力の向上を目指し、既存商品の選択と集中、原価低減に取り組むとともに、次世代主力商品の開発を推進、燃料電池自動車の将来的な普及を見据えた「高圧水素供給バルブ」及び「減圧弁」の市場投入を進めてまいりました。
軸受事業においては、事業体質の強化に重点を置き、取り組みを進めてまいりました。国内においては生産・営業体制両面での取り組みを開始しており、生産体制においては品種・サイズ毎に各工場を整備する中で、国分工場を産業機械分野向けのマザー工場として再編を開始、同時にサプライチェーンの整流化にも着手しております。一方で、営業体制においては平成26年10月に当社連結子会社であった光洋販売株式会社を吸収合併し、即納体制の強化、品揃えの充実、在庫一括管理による在庫削減への取り組みを進めております。海外においては、欧州・中国で品種・サイズ毎の再編を進め、欧州では2拠点(KOYO BEARINGS VIERZON MAROMME SAS Moult工場、KOYO BEARINGS ESPANA S.A. Bilbao工場)の閉鎖並びに再編を行いました。
また、産業機械分野での商品力・提案力を強化するため、各産業分野のニーズに即した新商品を投入するとともに、大形軸受技術開発センター(大阪府 柏原市)においては、新たに鉄鋼製造設備向けの試験機を導入し、開発・解析能力を向上、お客様の期待を超えるビジネスモデルの確立に向け、取り組みを進めてまいりました。
工作機械・メカトロニクス事業においては、平成26年10月末より東京ビッグサイトで開催された第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2014)において、ギヤスカイビング加工を可能とするとともに、加工工程を1台に集約したギヤスカイビングセンタや、実機に熱変位シミュレーション機能を搭載し、予測による補正を可能とした「リアルタイム熱変位補正機能」など、生産現場における新たな基軸となる商品・技術を発表いたしました。ギヤスカイビングセンタにおいては、日刊工業新聞社主催の「2014年(第57回)十大新製品賞 本賞」を受賞しております。生産供給の面では、平成23年より取り組んでいる画期的な生産効率化の取り組みが平成27年3月に完了し、引き続き受注から出荷までのリードタイム短縮に向けて生産管理を中心に営業、設計・開発、調達、製造が一丸となり取り組んでおります。
当連結会計年度の連結業績につきましては、ステアリングを中心に販売が大幅に増加したこと等により、売上高は1兆3,559億92百万円と前連結会計年度に比べて958億円、率にして7.6%の増収となりました。利益につきましては増収及び円安の効果等により、営業利益は741億54百万円と前連結会計年度に比べて159億46百万円、率にして27.4%の増益となり、経常利益は793億79百万円と前連結会計年度に比べて175億22百万円、率にして28.3%の増益となりました。当期純利益につきましては、425億20百万円と前連結会計年度に比べて191億36百万円、率にして81.8%の増益となりました。
セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、変更後の区分に基づいております。
機械器具部品につきましては、ステアリングの販売が大幅に増加したこと等により、売上高は1兆1,977億7百万円と前連結会計年度に比べて781億23百万円、率にして7.0%の増収となりました。営業利益につきましては、増収及び円安の効果等により、631億22百万円と前連結会計年度に比べて107億96百万円、率にして20.6%の増益となりました。
工作機械につきましては、国内での販売増加等により、売上高は1,582億84百万円と前連結会計年度に比べて176 億76百万円、率にして12.6%の増収となりました。営業利益につきましては、112億6百万円と前連結会計年度に比べて49億87百万円、率にして80.2%の増益となりました。
連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは1,033億86百万円の資金の増加であり、前連結会計年度に比べて141億60百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは620億72百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が871億11百万円の資金の減少であったことに比べて250億38百万円の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは364億75百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が354億33百万円の資金の減少であったことに比べて10億41百万円の減少となりました。これらに換算差額等を加減算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は654億17百万円となり、前連結会計年度末に比べて34億71百万円の増加となりました。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
機械器具部品 | 1,105,238 | 110.4 |
工作機械 | 112,018 | 115.9 |
合計 | 1,217,256 | 110.8 |
(注) 1 金額は平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、外注加工費及び購入部品費が含まれております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、上記の前年同期比については変更後の区分に基づいております。
当社グループの販売高の多数を占める、自動車業界向け部品については、納入先から提示される生産計画を基に、当社グループの生産能力等を勘案して生産を行っております。
なお、工作機械の受注状況は以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
工作機械 | 114,972 | 120.3 | 36,549 | 111.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | |
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
機械器具部品 | 1,197,707 | 107.0 |
工作機械 | 158,284 | 112.6 |
合計 | 1,355,992 | 107.6 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、上記の前年同期比については変更後の区分に基づいております。
3 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
トヨタ自動車㈱ | 226,941 | 18.0 | 225,894 | 16.7 |
世界経済においては、米国の底堅い成長や欧州の緩やかな経済成長に支えられ、総じて堅調に推移する見込みですが、新興国においては引き続き需要の低迷が続き、不透明な状況にあります。日本経済においては、昨年の消費税増税の反動減の影響が一巡し、安定した為替環境にも支えられ、総じて堅調に推移する見込みです。
このような経営環境の中、当社グループは、「JTEKT GROUP VISION」で目指す姿として掲げた「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」の実現に向け、引き続き「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」の3本柱を中心に、当社グループ一丸となって取り組みを進めてまいります。
当連結会計年度の主な課題としては、国内においては、固定費の増加や軸受事業、工作機械・メカトロニクス事業の生産体制再編のスピードアップによる当社単体での収益向上、海外においては、欧米顧客への対応力強化が挙げられます。これらの課題に対し、当社グループ一丸となった対策を推進してまいります。
なお、当社及び当社の一部子会社は、過去の軸受等の取引に関し、各国競争法違反の疑いがあるとして、海外の競争当局の調査を受けておりましたが、平成26年5月に、当社及び現地子会社は、制裁金の支払は免除されたものの、シンガポール競争法に違反する行為があったとの決定を受け、また、同年8月に、当社は、中国独占禁止法に違反する行為があったとの決定を受け、1億936万人民元の制裁金支払命令を受けました。さらに、同年11月には、当社及び現地子会社は、韓国公正取引法に違反する行為があったとの決定を受け、当社に対し109億1,000万ウォンの課徴金支払が命じられ、かつ当社及び現地子会社に対する刑事告発がなされました。また、同法に違反する行為があったとの決定を、本年4月にも受けましたが、当局への調査協力等を理由に、課徴金の支払等は免除されております。海外の競争当局による調査は現在も継続中であり、当社グループは、引き続きこれらの調査に適時適切に協力しております。
当社グループは、平成23年の公正取引委員会による調査開始以降、独占禁止法違反に繋がる恐れのある一切の行為を排除しておりますが、今後も再発防止並びにコンプライアンス徹底の取り組みを継続し、社会からより信用・信頼される企業グループを目指してまいります。
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループは東海・東南海・南海地震や暴風、豪雨などの大規模自然災害及び火災、疾病発生を想定し、災害発生時の被害の最小化を図るために各種事前対策、発生時対策を講じております。しかしながらこれらにより、罹災時リスクの一掃を図ることは難しいものと考えております。取引先の罹災による生産活動停止等の外部要因も含め、当社グループの業績は災害による影響を受けることがあります。
当社グループは、欧州、米州、アジア等多くの国・地域で製品の生産と販売活動を展開しており、また取引先も多岐の産業分野に属しております。従いまして、当社グループの事業は、生産、販売している特定の国・地域の経済状況の変動や、取引先の属する産業の景気変動の影響を受けることがあります。
当社グループは機械器具部品(主力製品:ステアリング、ベアリング等)及び工作機械等の製造販売を主な事業としております。
ステアリングは、自動車の進行方向を自由に変えるためのハンドル操作を適切にタイヤに連動させる操舵装置であり、大半を自動車業界向けに製造販売しております。ベアリングは、各産業において広く使用される部品であり、その役割は軸を円滑に回転させ、摩擦によるエネルギー損失や発熱を減少させる重要な要素部品であります。当社グループでは、売上高の過半が自動車業界向けであります。工作機械につきましても、その受注は自動車業界からのものが中心であります。
なお、当社の筆頭株主であるトヨタ自動車株式会社との取引金額は、連結売上高の16.7%を占めております。
また当社グループは、日本をはじめグローバルな自動車の需要見通し及び顧客より提示される自動車の販売見通し等を総合的に検討し、判断の上で経営資源の効率的な投入を行っておりますが、将来の需要が現在の見通しどおりに推移する保証はありません。
これらのことから、当社グループの業績は自動車業界及び自動車市場の動向による影響を受けることがあります。
当社グループは、欧州、米州、アジア等多くの国・地域で製品の生産と販売活動を展開しております。海外の関係会社の財務諸表は現地通貨で作成されておりますが、連結財務諸表の作成のために円換算しております。従いまして、現地通貨における価値が変わらなくとも、円換算後の当社グループの連結財務諸表は為替レートの変動による影響を受けます。
また、当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、相対的な価格競争力を低下させる可能性があります。当社グループは為替予約等により短期的な為替変動リスクの軽減を図っておりますが、それによって、全てのリスクを排除することは不可能であります。
従いまして、当社グループの業績は、為替レートの変動の影響を受けることがあります。
当社グループの事業は、同業他社との激しい企業間競争に晒されております。一方、近年、顧客のニーズは多様化し、かつ開発期間の短縮も求められております。当社グループとしては製品開発力の強化はもちろんのこと、生産準備期間の短縮、生産の仕組改革等さまざまな面から施策を講じて顧客の要求を満たすべく努力しております。しかしながらこれらの施策が顧客のニーズを満足させ、将来にわたって常に他社を上回る競争力を保持し続けることができるかどうかは予測困難であります。経営資源の効率的な投入、組織再編等、競争力強化に向けてさまざまな施策を講じておりますものの、当社グループの業績は企業間競争の結果の影響を受けることがあります。
当社グループはグローバルな事業展開を行っており、連結売上高に占める海外売上高の割合は、62.1%を占めております。海外での事業展開におきましては、事業活動に係る内部要因リスク以外に、政治的又は経済的に不利な要因の発生、社会的共通資本(インフラ)が未整備であることによる事業活動への影響、潜在的に不利な税制変更、人材採用の難しさや労務問題、自然災害や疾病の発生、社会的又は経済的混乱等のリスクが内在しており、これらのリスクを排除することは不可能であります。
従いまして、当社グループの業績は、海外事業展開における潜在的リスクの影響を受けることがあります。
当社グループは、「品質」を経営の最重要事項の一つとして掲げ、さまざまな取り組みを行っております。しかしながら、製品の開発・製造等における品質上のリスクの全てを将来にわたって完全に排除することは、困難なものと認識しております。また、製品保証引当金による会計上の手当て、保険加入による製造物責任等のリスクヘッジも行っておりますが、訴訟等により高額の賠償請求を受けた場合には、十分にカバーできないケースも想定されます。
これらに伴う社会的信用の低下、取引停止等も含め、当社グループの業績は品質問題の影響を受けることがあります。
当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数のグループ外の供給元から調達しております。これらの供給元とは、取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っておりますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、供給元の生産能力不足や火災、倒産、東日本大震災のような自然災害等の理由により原材料や部品の調達に支障をきたす可能性があります。その場合、当社グループの業績は、当社グループ製品の製造原価の上昇や生産停止等により悪影響を受けることがあります。
当社グループはこれまでの製品開発において蓄積してきた技術を知的財産権として権利化してまいりましたが、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあります。従いまして、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、将来的に当社グループが第三者の知的財産権を侵害していると主張される可能性があります。
これらのことから、当社グループの業績は、知的財産権問題の影響を受けることがあります。
当社グループは事業活動において、継続的なコンプライアンスの実践に努めております。しかしながら、当社及び当社の一部子会社は、現在、軸受の取引に関して、海外の競争当局より競争法違反の疑いがあるとして調査を受けております。
従いまして、当社グループの業績は、当該調査の結果等により、影響を受けることがあります。
当社グループは機械器具部品及び工作機械を製造販売するメーカーであり、製造物責任に関する訴訟リスクを負っております。当社グループは、保険付保等の一定のリスクヘッジを行っておりますが、それによって賠償負担をすべてカバーするものではありません。
また、一連の競争当局による処分等に関連し、米国及びカナダにおいて、当社及び当社の一部子会社に対して損害賠償を求める集団訴訟が提起されており、当社又は当社の子会社もしくは関連会社は、今後、同種の訴訟を提起される可能性があります。
上記以外の訴訟についても、そのリスクを全て排除することは不可能であります。
これらのことから、当社グループの業績は訴訟の影響を受けることがあります。
該当事項はありません。
当社グループは、「JTEKT GROUP VISION」で目指す姿として掲げた「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」を平成26年4月に策定し、必要な要素として「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」という3本の柱を掲げております。そのなかの「価値づくり」が技術の分野では特に重要であり、ステアリング、駆動系部品、ベアリング、工作機械・メカトロニクス商品を中心に、まだない価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。
お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出し続けるために、先を見据えた将来の商品に繋げる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化、融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗等を対象とする科学技術)・材料技術、要素・基盤技術、システム制御技術、超精密加工技術などをベースにしております。また、「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は413億20百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
ステアリング商品では、社会ニーズ、顧客ニーズに今まで以上にお応えした商品を提供するため、特に環境及び安全貢献を中心とした次世代商品の開発に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。
まず、環境面では、世界で初めて電動パワーステアリングの開発・製造を行い、開始以来、昨年で25周年を迎えました。現在、当社は他社にはない電動パワーステアリングの全ラインナップを品揃えしており(Only One)、また、グローバルシェアは30%を超え世界トップであります(No.1)。今後も引き続きトップシェアを維持していくために、すでに量産化しております、デュアルピニオンタイプ電動パワーステアリング(DP-EPS)に加えて、ボールねじ機構を介して直接出力軸へ伝える、ラックパラレルタイプ電動パワーステアリング(RP-EPS)を新たに市場投入すべく、事業部一丸となって取り組んでおります。
次に、安全面では、自動車向け機能安全国際規格ISO26262において電動パワーステアリング(EPS)に要求される高い安全水準の要求に応えるために、運転者の操作を検知するトルクセンサ及びアシストトルクを発生させるモータコントローラユニット(MCU)に二重化設計(冗長設計)を採用し、世界に先駆けて量産化を実施いたしました。
駆動系商品では、走行安定性・安全性向上へのニーズに対応を図る一方で、低燃費貢献技術にも取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。独自シール構造により消費流量を低減した小型軽量リニアソレノイドバルブ、構成部品の強度バランスを最適化することで小型・軽量化した新型等速ジョイント(Constant Velocity Universal Joint)、電磁クラッチの表面形状の工夫などで温度によるトルク変化を大幅に低減した第3世代電子制御カップリングITCC(Intelligent Torque-Controlled Coupling)、小型・軽量化したプロペラシャフト用ダブルオフセットジョイント(Double Offset Joint)といった新商品を平成26年には順次展開いたしました。現在も、より魅力のある商品を市場に投入すべく新商品開発に取り組んでおります。
ベアリング部門では、5ヵ年中期計画のさらに先を見据えた長期ビジョンを、「継続して価値を創造し、お客様へ感動を与え賞賛される事業 ~Koyoブランドを世界のTOPブランドへ~」といたしました。これは、平成33年に軸受事業創業100年を迎える歴史を持つKoyoブランドを、今後も守り発展させたいという想いを込めたものです。中期計画では、自動車及び産業機器各分野の将来動向を捉え、これまで培ってきた基盤技術をさらに進化・深化させた、№1 & Only One の高付加価値商品を開発していくことと、将来への弾込めとして、新たな領域での新商品創造を目指した活動を、技術戦略の柱としております。当連結会計年度における主な成果は、次のとおりであります。
自動車用軸受では、トランスミッションやディファレンシャル用として、これまで多くの自動車にご採用いただき、燃費向上に貢献してまいりました、円すいころ軸受の低トルク化技術LFT(Low Friction-Torque Bearing)シリーズ(LFT-Ⅰ、-Ⅱ、-Ⅲ)を、さらに進化させた次世代の超低トルク円すいころ軸受、LFT-Ⅳの開発の目処付けを完了いたしました。駆動系ユニットの駆動力の損失低減に大きく寄与するNo.1商品として自動車各社のみならず、産業機器分野へも広く推奨してまいります。
産業機器用軸受では、従来の自動調心ころ軸受の耐久性や高速性を大幅に向上させた、JHS(JTEKT HYPER STRONG)シリーズ自動調心ころ軸受を開発いたしました。材料及び軸受内部設計の最適化により、当社従来品比で、寿命は最大4倍、高速性能は最大25%向上し、200℃までの高温環境への対応も実現しております。過酷な使用条件下で産業機械の安定稼動に貢献する高機能軸受として拡販してまいります。
また、大形軸受技術開発センターには、風力発電機主軸用、高速鉄道車両用に続き、鉄鋼圧延設備用軸受を実機と同じサイズ・条件で評価可能な試験機の導入も完了し、稼動しております。現在、圧延水の飛散、高温、高速、高荷重の過酷条件下で、耐腐食性やシール性能などの評価試験を行っており、蓄積したデータを設計にフィードバックすることで、鉄鋼圧延機の安定稼動に貢献する高信頼軸受をお客様に提案してまいります。
工作機械では、「お客様から信頼される真の総合生産システムインテグレータ」を目指し、機械のみならず、制御技術・搬送技術及び加工技術などを包括して、お客様の生産全体にわたって価値を提案いたします。
当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。
昨年開発いたしましたCNC円筒研削盤GE4iの熱変位低減技術を生産型円筒研削盤GL5iに展開し、シリーズ化を図りました。これにより、従来は多段のプランジ加工において全工程で定寸装置を用いて測定しながら加工をしておりましたが、定寸装置の使用は第1工程のみで、他工程では不要となり、寸法精度の安定化とサイクルタイムの短縮を可能にしました。熱変位低減と振動低減に取り組んだカムシャフト研削盤GC20Miにおきましては、ダイレクトドライブ砥石軸を搭載して、ベルトの回転振動及びプーリのアンバランス振動を除去し、さらなる高精度化と高能率化を可能にしました。
また、クーラント液に残るスラッジや砥粒によるワークの傷を防止するため、ろ過後の液内の異物を5ppm(1mg/ℓ=1ppm)まで削減した高清浄度クーラント装置を開発し、ライン向けに30ppmのシリーズを追加いたしました。従来の3倍の寿命をもつ新しいCBN砥石タフViなど、当社グループの連携を密にして世界最高水準の研削技術を提供しております。
切削機では、低熱変形設計された横形マシニングセンタFH630SX-iに、さらにリアルタイム熱変位補正機能を搭載し熱変位を従来から30%低減いたしました。これにより、温度変化の大きな環境下においても安定した加工精度が確保でき、短時間での機械の暖機運転も可能となり、生産の効率化と省エネルギーに貢献しております。
昨年開発いたしましたギヤスカイビングセンタにおきましては、加工技術を進化させ、クラウニング加工やさらに大きなモジュールのギヤ加工まで対応可能となりました。その成果が認められ、本機は日刊工業新聞社主催の「2014年(第57回)十大新製品賞 本賞」を受賞することができました。今後は、さらに大型のギヤスカイビングセンタを開発し、ギヤ加工を大きな柱として育てていく予定です。
日本における安全PLC(*1) のパイオニアとして平成16年に商品化し、今回、日本初のボード型安全PLC TOYOPUC-Plus Safetyを商品化いたしました。TOYOPUC-Plus Safetyは、ボード型モジュールの追加(アドオンコンセプト)により、簡単な手動設備から半自動設備、そして全自動設備まで、あらゆる規模の設備安全制御に対応し、作業者の安全を守ります。
(*1)安全PLC 国際安全規格を取得した危険故障確率が極めて低いプログラマブルロジックコントローラ(PLC)
また、生産マネジメントシステムは、トヨタ生産方式で培ってきたラインの見える化技術により、お客様の生産性向上に寄与するものです。ネック工程の特定を可能にする仕組みを構築し、ネットワーク対応により生産現場の状況を事務所でも把握できるシステムです。これらのシステムをIoE(*2)、Industrie4.0につながる技術として進化させまいります。
(*2)Internet of Everything IoT(Internet of Things)の概念をより広範に捉えるべく当社が提唱しているもの
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しており、その作成にあたっては、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りにおいて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となることがあります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
退職給付費用及び債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出されており、これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率や年金資産の期待運用収益率等の見積りが存在しております。したがって、実際の結果が前提条件と異なる場合、あるいは前提条件が変更された場合には、その影響は累積され、将来にわたって規則的に償却されるため、将来の退職給付費用及び債務に影響を与える可能性があります。
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存することから、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは得意先及び金融機関の株式を保有しており、これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っております。したがって、将来、株式市場の悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価額に反映されていない損失又は簿価額の回収不能が発生した場合、評価損を計上する可能性があります。
当社グループは製品納入後に発生する製品保証費用の支出に充てるため、過去のクレーム発生割合を基礎にして当連結会計年度に対応する発生予想額を計上しております。クレームの発生割合は不確実な面が多く、実際の製品保証費用は見積額と異なることがあり、将来の製品保証費用及び債務に影響を与える可能性があります。
当社グループは建物及び設備等に使用されているアスベスト及びポリ塩化ビニフェル(PCB)の除去、処分等に係る支出に備えるため、今後発生すると見込まれる費用を計上しておりますが、将来において法規制の強化や社会状況の変化によって更なる費用負担が生じる可能性があります。
当連結会計年度の売上高は1兆3,559億92百万円と前連結会計年度に比べて958億円(7.6%)の増収となりました。
機械器具部品におきましては、ステアリングの販売が大幅に増加したこと等により、1兆1,977億7百万円と前連結会計年度に比べて781億23百万円(7.0%)の増収となりました。
工作機械におきましては、国内での販売増加等により1,582億84百万円と前連結会計年度に比べて、176億76百万円(12.6%)の増収となりました。
当連結会計年度の営業利益は、増収及び円安の効果等により、741億54百万円と前連結会計年度に比べて159億46百万円(27.4%)の増益となりました。
なお、売上高営業利益率は5.5%と前連結会計年度より0.9%増加しております。
営業外収益及び費用につきましては、52億25百万円の利益となりました。為替差益が増加したこと等により、36億49百万円の利益であった前連結会計年度と比べて、収支が改善しました。
以上により、当連結会計年度の経常利益は793億79百万円と前連結会計年度に比べて175億22百万円(28.3%)の増益となりました。
当連結会計年度末における総資産は、有形固定資産の増加等により1兆1,262億35百万円と前連結会計年度末に比べて597億65百万円の増加となりました。負債につきましては、有利子負債の減少等により、6,264億62百万円と前連結会計年度末に比べて211億43百万円の減少となりました。また、純資産は、当期純利益の計上等により、4,997億73百万円と前連結会計年度末に比べて809億9百万円の増加となりました。
なお、1株当たり純資産額は前連結会計年度の1,157円79銭から1,380円51銭に増加いたしました。
また、有利子負債については、2,266億円と前連結会計年度末に比べて191億44百万円減少しました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、654億17百万円と前連結会計年度末に比べて、34億71百万円の増加となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは1,033億86百万円の資金の増加であり、前連結会計年度に比べて141億60百万円の増加となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは固定資産の取得による支出などにより620億72百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が871億11百万円の資金の減少であったことに比べて250億38百万円の増加となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは364億75百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が354億33百万円の資金の減少であったことに比べて10億41百万円の減少となりました。