当連結会計年度の世界経済は、欧州の長期景気低迷に底打ちの傾向が見られ、米国での消費も堅調に拡大するなど先進諸国の景気は回復基調にありましたが、新興国では先行きが不透明な状況にありました。日本経済においては、金融緩和政策や各種経済政策による円高是正と株価向上が進み、緩やかな回復が見られました。
このような経営環境の中、当社グループでは、安全、品質・納期、CSRを基本に置いた変化に左右されない磐石な基盤の確立を図るとともに、世界中のお客様から信頼・安心を感じていただけるブランドへ飛躍することを目ざし、「量」から「質」へビジネスモデルの転換を進め、お客様にさらなる価値を提供できるよう、取り組んでまいりました。
自動車部品事業においては、平成25年11月の東京モーターショーに、当社が世界で初めて電動パワーステアリング(以下、EPS)を量産してから25周年を記念し初代EPSを出展するとともに、欧米市場を中心とした大型車両での快適な操舵フィーリングへのニーズに対応する高出力のラックパラレルタイプEPSを出展しました。生産供給の面では、成長市場である南米地域での需要の拡大に対応する為に、平成26年2月にブラジルでコラムタイプEPSの現地生産を開始し、平成24年に立ち上げたテクニカルセンターとあわせ、顧客ニーズに即応する体制を整えました。
軸受事業においては、産業機械分野での商品力・提案力の強化を狙い、風力・鉄道分野においてお客様の使用環境を忠実に再現する試験設備を備えた大型軸受技術開発センター(大阪府 柏原市)を設置し、稼動を開始いたしました。平成26年10月には鉄鋼製造設備向けの試験設備も導入し、お客様のニーズを捉えた提案活動を行ってまいります。
工作機械事業においては、平成25年11月には、当社のプライベートショーであるジェイテクト・テクニカル・フェアを開催し、自動車部品事業本部との共同開発であるギヤスカイビング加工機をはじめ、研削盤、横形マシニングセンタなど4機種の新商品を発表いたしました。また、平成26年2月に、一般市場向けの汎用円筒研削盤を『誰でも簡単に高度なモノづくりができる機械』をコンセプトに、熱変位制御技術や簡単操作パネルを搭載し、20年ぶりにフルモデルチェンジいたしました。生産供給の面においては、平成23年より取り組んでいる刈谷工場の生産効率化の取り組みが実を結び、大幅な納期短縮を実現しております。
なお、当社及び当社の一部子会社は、過去の軸受等の取引に関し、各国競争法違反の疑いがあるとして、米国、EU等海外の競争当局の調査を受けておりましたが、当社は、平成25年7月に、カナダ競争法違反に関し、同国ケベック州の裁判所において5百万カナダドルの罰金支払命令を受け、平成25年9月には、米国反トラスト法違反に関し、米国司法省との間で、罰金103.27百万米ドルの支払につき合意いたしました。また、当社の子会社は、平成25年10月に、オーストラリア競争・消費者法違反に関し、同国連邦裁判所において2百万オーストラリアドルの制裁金支払を命じられました。本年3月には、当社及び当社の一部子会社は、制裁金の支払いは免除されましたものの、EU競争法に違反する行為があったとの決定を欧州委員会より受けました。
海外のその他の競争当局による調査は現在も継続中であり、当社グループは、引き続きこれらの調査に適時適切に協力しております。また、本件に関連し、米国及びカナダにおいて、当社及び当社の一部子会社に対して損害賠償を求める集団訴訟が提起されております。
当社は、これらの事態を真摯に受け止め、法令遵守に関するトップメッセージの定期的な発信、コンプライアンス教育の徹底、グループ会社を含めたコンプライアンス点検の実施、同業他社との接触に関する社内ルールの運用・改定、内部監査部門によるモニタリング等、再発防止の取り組みを継続するとともに、本年度は風通しのよい職場づくりを目的とし、コンプライアンスについて各職場で議論するための話題を毎月提供する等の新たな施策を講じ、社員一人ひとりの遵法意識の向上に、絶えず努めております。
当連結会計年度の連結業績につきましては、ステアリングを中心に販売が大幅に増加したこと等により、売上高は1兆2,601億92百万円と前連結会計年度に比べて1,926億65百万円、率にして18.0%の増収となりました。利益につきましては増収及び円安の効果等により、営業利益は582億7百万円と前連結会計年度に比べて290億49百万円、率にして99.6%の増益となり、経常利益は618億56百万円と前連結会計年度に比べて276億16百万円、率にして80.7%の増益となりました。当期純利益につきましては、233億84百万円と前連結会計年度に比べて95億21百万円、率にして68.7%の増益となりました。
セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
機械器具部品につきましては、ステアリングの販売が大幅に増加したこと等により、売上高は1兆1,042億33百万円と前連結会計年度に比べて1,824億35百万円、率にして19.8%の増収となりました。営業利益につきましては、増収及び円安の効果等により、520億27百万円と前連結会計年度に比べて345億32百万円、率にして197.4%の増益となりました。
工作機械につきましては、アジアでの販売増加等により、売上高は1,559億58百万円と前連結会計年度に比べて102億29百万円、率にして7.0%の増収となりました。営業利益につきましては、65億19百万円と前連結会計年度に比べて58億70百万円、率にして47.4%の減益となりました。
連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは892億26百万円の資金の増加であり、前連結会計年度に比べて392億92百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは871億11百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が1,010億23百万円の資金の減少であったことに比べて139億12百万円の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは354億33百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が 58億37百万円の資金の減少であったことに比べて295億96百万円の減少となりました。これらに換算差額を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は619億45百万円となり、前連結会計年度末に比べて319億44百万円の減少となりました。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
機械器具部品 | 990,523 | 119.6 |
工作機械 | 107,689 | 97.5 |
合計 | 1,098,213 | 117.0 |
(注) 1 金額は平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、外注加工費及び購入部品費が含まれております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの販売高の多数を占める、自動車業界向け部品については、納入先から提示される生産計画を基に、当社グループの生産能力等を勘案して生産を行っております。
なお、工作機械の受注状況は以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
工作機械 | 95,566 | 99.3 | 32,874 | 87.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) | |
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
機械器具部品 | 1,104,233 | 119.8 |
工作機械 | 155,958 | 107.0 |
合計 | 1,260,192 | 118.0 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成24年4月1日 至 平成25年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成25年4月1日 至 平成26年3月31日) | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
トヨタ自動車㈱ | 222,605 | 20.9 | 226,941 | 18.0 |
世界経済においては、米国の底堅い成長や欧州の緩やかな景気回復に支えられ、先進国を中心に堅調に推移する見込みですが、新興国においては総じて需要の低迷が続き、引き続き先行きが不透明な状況にあります。一方で、ウクライナ情勢の緊迫化も新たな不安材料として浮上しており、予断を許さない状況です。日本経済においては、消費税増税の反動による一時的な景気減速があるものの、外需・内需ともに緩やかに回復する中、安定した為替環境にも支えられ、総じて堅調に推移する見込みです。
このような経営環境の中、当社グループは、強靭な体質へのステップアップの好機と捉え、「JTEKT GROUP VISION」及び「中期経営計画」を策定しました。
「JTEKT GROUP VISION」では、目指す姿として「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」を掲げ、「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」の3本柱を中心に、当社グループの数々の「No.1 & Only One」の技術や商品をさらに強化・拡大し、人々の幸福と豊かな社会づくりに貢献してまいります。
中期経営計画は、「JTEKT GROUP VISION」の実現に向けた道筋を明確にするために、3つの事業(自動車部品、軸受、工作機械・メカトロニクス)を基軸にグループ・グローバルでの方策を5ヵ年で策定しました。環境の変化に応じて年度毎にローリングすることにより、変化を先取りし、攻めの経営を実現してまいります。
自動車部品は、ステアリング事業においては、圧倒的な商品力により、トップシェアの維持と収益力の強化により、世界No.1サプライヤを目指します。駆動系部品事業では、4WDビジネスのトップシェア確立と注力事業の見極めを行い、採算性の改善を図ります。
軸受事業は、国内外工場の構造改革、優位性のあるNo.1、オンリーワン商品の開発、販売力・生産(技術)力の強化により、市場の伸びに追随できる体質の強化に取り組みます。
工作機械・メカトロ事業においては、グローバルな販売・サービス体制の整備、旧来の専用機体質から脱却した設計、生産方式の確立、グループ会社と連携した商品力の向上により、真の総合生産システムサプライヤを目指します。
また、各事業戦略を確実に推進していくために、業務改革の推進、グローバル人材の育成、財務体質の強化に取り組んでまいります。
なお、過去の軸受等の取引に関し、各国競争当局より罰金等の処分を受けるに至ったことにつきましては、株主様、お取引先様をはじめ、関係者の皆様に多大なご心配をおかけしておりますことを心よりお詫び申し上げます。当社グループは、平成23年の公正取引委員会による調査開始以降、独占禁止法違反に繋がる恐れのある一切の行為を排除し、社員の意識改革、再発防止に取り組んでまいりました。今後もコンプライアンス徹底の取り組みを継続するとともに、グループ一丸となって、内部統制システム全般の運用の強化を図っていくことで、社会からより信頼・信用される企業グループを目指してまいります。
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループは東海・東南海・南海地震や暴風、豪雨などの大規模自然災害及び火災、疾病発生を想定し、災害発生時の被害の最小化を図るために各種事前対策、発生時対策を講じております。しかしながらこれらにより、罹災時リスクの一掃を図ることは難しいものと考えております。取引先の罹災による生産活動停止等の外部要因も含め、当社グループの業績は災害による影響を受けることがあります。
当社グループは、欧州、米州、アジア等多くの国・地域で製品の生産と販売活動を展開しており、また取引先も多岐の産業分野に属しております。従いまして、当社グループの事業は、生産、販売している特定の国・地域の経済状況の変動や、取引先の属する産業の景気変動の影響を受けることがあります。
当社グループは機械器具部品(主力製品:ステアリング、ベアリング等)及び工作機械等の製造販売を主な事業としております。
ステアリングは、自動車の進行方向を自由に変えるためのハンドル操作を適切にタイヤに連動させる操舵装置であり、大半を自動車業界向けに製造販売しております。ベアリングは、各産業において広く使用される部品であり、その役割は軸を円滑に回転させ、摩擦によるエネルギー損失や発熱を減少させる重要な要素部品であります。当社グループでは、売上高の過半が自動車業界向けであります。工作機械につきましても、その受注は自動車業界からのものが中心であります。
なお、当社の筆頭株主であるトヨタ自動車株式会社との取引金額は、連結売上高の約20%を占めております。
また当社グループは、日本をはじめグローバルな自動車の需要見通し及び顧客より提示される自動車の販売見通し等を総合的に検討し、判断の上で経営資源の効率的な投入を行っておりますが、将来の需要が現在の見通しどおりに推移する保証はありません。
これらのことから、当社グループの業績は自動車業界及び自動車市場の動向に影響を受けることがあります。
当社グループは、欧州、米州、アジア等多くの国・地域で製品の生産と販売活動を展開しております。海外の関係会社の財務諸表は現地通貨で作成されておりますが、連結財務諸表の作成のために円換算しております。従いまして、現地通貨における価値が変わらなくとも、円換算後の当社グループの連結財務諸表は為替レートの変動による影響を受けます。
また、当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、相対的な価格競争力を低下させる可能性があります。当社グループは為替予約等により短期的な為替変動リスクの軽減を図っておりますが、それによって、全てのリスクを排除することは不可能であります。
従いまして、当社グループの業績は、為替レートの変動の影響を受けることがあります。
当社グループの事業は、同業他社との激しい企業間競争に晒されております。一方、近年、顧客のニーズは多様化し、かつ開発期間の短縮も求められております。当社グループとしては製品開発力の強化はもちろんのこと、生産準備期間の短縮、生産の仕組改革等さまざまな面から施策を講じて顧客の要求を満たすべく努力しております。しかしながらこれらの施策が顧客のニーズを満足させ、将来にわたって常に他社を上回る競争力を保持し続けることができるかどうかは予測困難であります。経営資源の効率的な投下、組織再編等、競争力強化に向けてさまざまな施策を講じておりますものの、当社グループの業績は企業間競争の結果の影響を受けることがあります。
当社グループはグローバルな事業展開を行っており、連結売上高に占める海外売上高の割合は、約5割で推移しております。海外での事業展開におきましては、事業活動に係る内部要因リスク以外に、政治的または経済的に不利な要因の発生、社会的共通資本(インフラ)が未整備であることによる事業活動への影響、潜在的に不利な税制変更、人材採用の難しさや労務問題、自然災害や疾病の発生、社会的または経済的混乱等のリスクが内在しており、これらのリスクを排除することは不可能であります。
従いまして、当社グループの業績は、海外事業展開における潜在的リスクの影響を受けることがあります。
当社グループは、「品質」を経営の最重要事項の一つとして掲げ、さまざまな取り組みを行っております。しかしながら、製品の開発・製造等における品質上のリスクの全てを将来にわたって完全に排除することは、困難なものと認識しております。また、製品保証引当金による会計上の手当て、保険加入による製造物責任等のリスクヘッジも行っておりますが、訴訟等により高額の賠償請求を受けた場合には、十分にカバーできないケースも想定されます。
これらに伴う社会的信用の低下、取引停止等も含め、当社グループの業績は品質問題の影響を受けることがあります。
当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数のグループ外の供給元から調達しております。これらの供給元とは、基本取引契約を締結し、安定的な取引を行っておりますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、供給元の生産能力不足や火災、倒産、東日本大震災のような自然災害等の理由により原材料や部品の調達に支障をきたす可能性があります。その場合、当社グループの業績は、当社グループ製品の製造原価の上昇や生産停止等により悪影響を受けることがあります。
当社グループはこれまでの製品開発において蓄積してきた技術を知的財産権として権利化してまいりましたが、特定の地域及び国では法的制限のため知的財産権として完全な保護が不可能な状況にあります。従いまして、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、将来的に当社グループが第三者の知的財産権を侵害していると主張される可能性があります。
これらのことから、当社グループの業績は、知的財産権問題の影響を受けることがあります。
当社グループは事業活動において、継続的なコンプライアンスの実践に努めております。しかしながら、当社及び当社の一部子会社は、現在、軸受の取引に関して、海外の競争当局より競争法違反の疑いがあるとして調査を受けております。
従いまして、当社グループの業績は、当該調査の結果等により、影響を受けることがあります。
なお、当社及び当社の子会社であるKOYO SINGAPORE BEARING (PTE) LTD.は、平成26年5月27日、シンガポール競争委員会より、過去のシンガポールにおけるアフターマーケット向け軸受の一部取引に関し、シンガポール競争法に違反する行為があったとする決定を受けましたが、制裁金の支払いにつきましては、シンガポール競争委員会による調査への協力の結果、全額免除されております。
当社グループは機械器具部品及び工作機械を製造販売するメーカーであり、製造物責任に関する訴訟リスクを負っております。当社グループは、保険付保等の一定のリスクヘッジを行っておりますが、それによって賠償負担をすべてカバーするものではありません。
製造物責任以外の訴訟についても、そのリスクを全て排除することは不可能であります。
また、一連の競争当局による処分等に関連し、米国及びカナダにおいて、当社及び当社の一部子会社に対して損害賠償を求める集団訴訟が提起されており、当社又は当社の子会社もしくは関連会社は、今後、同種の訴訟を提起される可能性があります。
これらのことから、当社グループの業績は、訴訟の影響を受けることがあります。
当社は、平成26年3月24日開催の取締役会において、当社の連結子会社である光洋販売株式会社を吸収合併することを決議し、平成26年10月1日を合併期日とする合併契約を締結いたしました。
概要につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
当社グループは、「Creating the next value -モノづくりで、まだない価値を。-」をブランドキャッチコピーとして、ステアリング、駆動系部品、ベアリング、工作機械・メカトロ商品を中心に、まだない価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。
研究開発面では、2011年に策定いたしましたJTEKT VISION 2015の実現に向けた研究開発活動に加え、その先を見据えた将来の商品に繋げる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化と融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗等を対象とする科学技術)・材料技術、超精密加工技術、システム制御技術、要素・基盤技術などをベースにしております。「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は401億51百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
ステアリング商品では、社会ニーズ、顧客ニーズに今まで以上に応えた商品を提供するため、特に環境貢献を中心とした次世代商品の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。
世界で初めて電動パワーステアリングを世に送り出して25周年という節目において、今や世の中の電動パワーステアリングの3台に1台は当社商品が採用されており、今後も引き続きトップシェアを維持していくために、大型車にも採用可能な高出力(従来比30%以上の高出力化)の電動パワーステアリングの開発に注力しております。2011年に欧州OEM向けに生産を開始したデュアルピニオンタイプ電動パワーステアリング(DP-EPS)のさらなる進化に取り組む一方で、アシスト用モータ動力をボールねじ機構を介して直接出力軸へ伝えるラックパラレルタイプ電動パワーステアリング(RP-EPS)を新たに市場投入すべく、事業部一丸で取り組んでおります。
駆動系商品では、走行安定性・安全性向上へのニーズへの対応を図る一方で、低燃費貢献技術にも取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果としては、高性能新電磁クラッチを用いた第3世代電子制御AWD(全輪駆動)カップリングITCC(Intelligent Torque Controlled Coupling)が挙げられます。これは、当社の駆動事業を代表する商品で、AWDシステムにおいて最適なトルク配分を実現いたします。このITCCの低温環境下における流体の粘性低下により起こる性能変化を、電磁クラッチの表面形状などを改良することにより、引きずりトルクは50%低減、トルクの温度依存性は85%低減の改善に成功いたしました。この改善は、駆動力を伝えるドライブシャフト類の軽量化につながり、燃費向上に貢献しております。
ベアリング商品では、将来の成長分野を見据え、日々の研究開発により培った基盤技術をさらに進化・深化させ、お客様の期待を超える高付加価値商品の開発強化に取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。
自動車用では、ピックアップトラック・大型SUVの高性能化・信頼性向上に貢献する、第3世代テーパーローラーハブユニットを開発し、量産を開始いたしました。当社独自の低トルク技術『LFT』を採用し、大幅なトルク低減を図るとともに、内輪と軸の一体化による高強度と軽量化の両立、シール設計の最適化による苛酷環境での信頼性向上を実現しております。
産業機器用では、今後の成長が見込まれる、液晶フィルム・医薬品・食品などの製造装置のニーズに対応し、水中や化学溶液中などの特殊環境における軸受の摩耗寿命と耐食性を大幅に向上させた、長寿命高耐食軸受 『コロガードプロベアリング』 を開発いたしました。
また、産業機械分野で使用される大型軸受の評価・解析を行うための大型軸受技術開発センターの稼動を開始しております。同センターでは現在、風力発電機の主軸用超大型軸受や鉄道車両用軸受を、実機に近い環境で評価可能な大型試験機を導入し、蓄積されたデータを開発期間の短縮、高付加価値商品の開発に活かす取り組みを加速させております。
工作機械では、「お客様から信頼される真の総合生産システムサプライヤ」を目指し、工作機械製品の「領域を広げる開発」と「価値を高める開発」を進めております。機械のみならず、制御技術・搬送技術や加工技術などを包括し、お客様の生産全体にわたって技術提案をしております。
当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。
真に素性のよい機械を提供し、精度のばらつきがない安定した高精度加工が誰にでも簡単に実現できるように思いを込めて、熱変位低減と振動低減に取り組んだカムシャフト研削盤『GC20Mi』と高精度円筒研削盤『GL4P-100SⅢ』プレミアムを開発するとともに、CNC円筒研削盤を『GE4i』として20年ぶりに刷新いたしました。これらの機械には、世界トップクラスの演算処理能力をもつCNC制御装置『TOYOPUC@-GC70』を搭載しております。また、クーラント液に残るスラッジや砥粒によるワークのキズを防止するため、濾過後の液内の異物を5ppm(1ppm=1mg/L)まで削減した高清浄度クーラント装置、従来の3倍の寿命をもつ新しいCBN砥石『タフVi』など、当社グループの連携を密にして世界最高水準の研削技術を提供しております。
切削機では、主力である横形マシニングセンタ『FH630SX-i』、自動車部品などの量産ライン向けの『i-TOP』、スカイビング工法により複合ギヤの加工を可能としたマシニングセンタ『e500GS』を開発いたしました。『e500GS』は、従来、ホブ盤やブローチ盤などの多くの専用機で構成されていた歯車加工ラインを汎用のマシニングセンタで置き替えることができます。これにより設備投資の大幅削減が可能になるとともに、多種ワークへの対応が可能となります。また、当社CNCの『MC70』において容易に加工プログラムが作成できます。さらに、お客様ワークに適したスカイビングカッターを設計製作して提供することにより、機械、プログラム及び加工にいたるまで総合的なサポートを実現しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成しており、その作成にあたっては、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りにおいて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となることがあります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
退職給付費用及び債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出されており、これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率や年金資産の期待運用収益率等の見積りが存在しております。したがって、実際の結果が前提条件と異なる場合、あるいは前提条件が変更された場合には、その影響は累積され、将来にわたって規則的に償却されるため、将来の退職給付費用及び債務に影響を与える可能性があります。
当社グループは繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存することから、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは得意先及び金融機関の株式を保有しており、これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っております。したがって、将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価額に反映されていない損失または簿価額の回収不能が発生した場合、評価損を計上する可能性があります。
当社グループは製品納入後に発生する製品保証費用の支出に充てるため、過去のクレーム発生割合を基礎にして当連結会計年度に対応する発生予想額を計上しております。クレームの発生割合は不確実な面が多く、実際の製品保証費用は見積額と異なることがあり、将来の製品保証費用及び債務に影響を与える可能性があります。
当社グループは建物及び設備等に使用されているアスベスト及びポリ塩化ビニフェル(PCB)の除去、処分等に係る支出に備えるため、今後発生すると見込まれる費用を計上しておりますが、将来において法規制の強化や社会状況の変化によって更なる費用負担が生じる可能性があります。
当連結会計年度の売上高は1兆2,601億92百万円と前連結会計年度に比べて1,926億65百万円(18.0%)の増収となりました。
機械器具部品におきましては、ステアリングの販売が大幅に増加したこと等により、1兆1,042億33百万円と前連結会計年度に比べて1,824億35百万円(19.8%)の増収となりました。
工作機械におきましては、アジアでの販売増加等により1,559億58百万円と前連結会計年度に比べて、102億29百万円(7.0%)の増収となりました。
当連結会計年度の営業利益は、増収及び円安の効果等により、582億7百万円と前連結会計年度に比べて290億49百万円(99.6%)の増益となりました。
なお、売上高営業利益率は4.6%と前連結会計年度より1.9%増加しております。
営業外収益及び費用につきましては、36億49百万円の利益となりました。為替差益が減少したこと等により、50億82百万円の利益であった前連結会計年度と比べて、収支が悪化しました。
以上により、当連結会計年度の経常利益は618億56百万円と前連結会計年度に比べて276億16百万円(80.7%)の増益となりました。
当連結会計年度末における総資産は、設備投資による有形固定資産の増加及び投資有価証券の増加等により1兆664億69百万円と前連結会計年度末に比べて395億36百万円の増加となりました。負債につきましては、会計基準の変更に伴う退職給付に係る負債の増加等により、6,476億5百万円と前連結会計年度末に比べて49億15百万円の増加となりました。また、純資産は、当期純利益の計上及びその他有価証券評価差額金・為替換算調整勘定の増加等により、4,188億64百万円と前連結会計年度末に比べて346億21百万円の増加となりました。
なお、1株当たり純資産額は前連結会計年度の1,063円74銭から1,157円79銭に増加いたしました。
また、有利子負債については、2,457億44百万円と前連結会計年度末に比べて194億14百万円減少しました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、619億45百万円と前連結会計年度末に比べて、319億44百万円の減少となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは892億26百万円の資金の増加であり、前連結会計年度に比べて392億92百万円の増加となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは固定資産の取得による支出などにより871億11百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が1,010億23百万円の資金の減少であったことに比べて139億12百万円の増加となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは354億33百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が58億37百万円の資金の減少であったことに比べて295億96百万円の減少となりました。