第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

※当社グループは当連結会計年度(2015年4月1日から2016年3月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っています。

 

(1) 業績

当社グループは、2016年の創立100周年に向け、「売上高1兆円を支える企業基盤の確立」をビジョンとする3年間の中期経営計画に2013年4月より取り組んできました。事業戦略としては「収益重視の成長」、経営基盤の強化に向けては「1兆円の物量を回す管理能力の構築」を推進してきました。

当連結会計年度の世界経済を概観すると、日本経済は原油安や各種政策効果はあるものの、年初来の急激な円高もあり全体として景気は不透明感が増してきました。米国経済は個人消費を中心に堅調に推移しました。欧州では、ユーロ圏を中心に景気の緩やかな回復の傾向が続きました。また、中国は経済成長の減速傾向が続き、その他アジアでは一部持ち直しの兆しが見られるものの景気の足踏み状態が続きました。

このような経済環境下、当連結会計年度の売上高は9,753億19百万円(前期比+0.0%)、営業利益は895億34百万円(前期比+3.0%)、税引前利益は872億8百万円(前期比+3.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は657億19百万円(前期比+10.7%)となりました。

 

当社グループのセグメントごとの市場環境と業績は次のとおりです。

 

①産業機械事業

産業機械関連需要は、新興国を中心とした景気減速の影響を受け減少しました。地域別にみると、日本では、工作機械向けを中心に減収となりました。米州はアフターマーケット向けの売上高が減少しました。欧州においては、家電向けの売上高は増加しましたが、アフターマーケット向け等の低迷もあり減収となりました。中国では、風力発電向けなどで増収となりましたが、電機向けを中心に売上高が減少しました。その他アジアでは、総じて需要が低迷し減収となりました。

この結果、産業機械事業の売上高は2,597億84百万円(前期比△6.0%)、営業利益は230億90百万円(前期比△25.8%)となりました。

 

②自動車事業

自動車需要は、グローバルに緩やかな拡大が続きました。日本では、軽自動車の販売不振もあり当社グループの売上高が減少しました。米州は北米市場が堅調に推移し電動パワーステアリング(EPS)・自動車軸受ともに増収となりました。欧州は自動車市場の緩やかな回復が続き売上高が増加しました。中国では、自動車市場の成長鈍化がみられたものの、小型車優遇税制効果もあり増収となりました。その他アジアにおいては、各国の市場にばらつきがありましたがEPSを中心に売上高が増加しました。

この結果、自動車事業の売上高は6,891億22百万円(前期比+4.9%)、営業利益は679億9百万円(前期比+12.3%)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,755億15百万円となり、前連結会計年度末に比べて88億58百万円の減少となりました。

 

    当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて430億92百万円増加し、1,086億22百万円の収入となりました。主な収入の内訳は、税引前損益872億8百万円、減価償却費及び償却費430億48百万円であり、一方で主な支出の内訳は、法人所得税の支払額178億31百万円です。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて15億2百万円減少し、452億12百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて623億29百万円増加し、680億73百万円の支出となりました。主な収入の内訳は、長期借入れによる収入97億35百万円であり、一方で主な支出の内訳は、長期借入金の返済による支出477億93百万円、配当金の支払額178億61百万円、非支配株主への配当金の支払額29億74百万円です。

 

(3) 並行開示情報

連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更及びIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、次のとおりです。

なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。

また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を切り捨てて記載しています。

 

① 要約連結貸借対照表 (日本基準)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2015年3月31日)

当連結会計年度

(2016年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

573,157

531,745

固定資産

 

 

有形固定資産

334,896

327,031

無形固定資産

11,791

13,274

投資その他の資産

209,319

166,167

固定資産合計

556,007

506,473

資産合計

1,129,164

1,038,218

負債の部

 

 

流動負債

339,436

307,277

固定負債

307,867

257,381

負債合計

647,304

564,658

純資産の部

 

 

株主資本

394,699

443,765

その他の包括利益累計額

61,347

4,812

新株予約権

252

476

非支配株主持分

25,560

24,505

純資産合計

481,859

473,560

負債純資産合計

1,129,164

1,038,218

 

 

 

 

 

 

② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書 (日本基準)
要約連結損益計算書 (日本基準)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2014年4月1日

 至 2015年3月31日)

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

 至 2016年3月31日)

売上高

974,885

975,319

売上原価

749,374

751,093

売上総利益

225,511

224,225

販売費及び一般管理費

128,183

129,498

営業利益

97,327

94,726

営業外収益

9,090

11,202

営業外費用

15,415

11,965

経常利益

91,002

93,964

特別利益

701

特別損失

3,025

4,218

税金等調整前当期純利益

87,976

90,447

法人税等

22,721

19,665

当期純利益

65,255

70,781

非支配株主に帰属する当期純利益

3,293

3,611

親会社株主に帰属する当期純利益

61,962

67,169

 

 

要約連結包括利益計算書 (日本基準)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2014年4月1日

 至 2015年3月31日)

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

 至 2016年3月31日)

当期純利益

65,255

70,781

その他の包括利益合計

56,138

△58,226

包括利益

121,393

12,554

(内訳)

 

 

親会社株主に係る包括利益

116,215

10,634

非支配株主に係る包括利益

5,178

1,920

 

 

③ 要約連結株主資本等変動計算書 (日本基準)

前連結会計年度(自 2014年4月1日 至 2015年3月31日)

(単位:百万円)

 

株主資本合計

その他の包括利益
累計額合計

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

352,107

7,094

328

22,626

382,155

会計方針の変更による累積的影響額

△4,872

 

 

 

△4,872

会計方針の変更を反映した当期首残高

347,234

7,094

328

22,626

377,283

当期変動額

47,464

54,253

△75

2,934

104,576

当期末残高

394,699

61,347

252

25,560

481,859

 

 

 

当連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)

(単位:百万円)

 

株主資本合計

その他の包括利益
累計額合計

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

394,699

61,347

252

25,560

481,859

当期変動額

49,066

△56,535

223

△1,054

△8,299

当期末残高

443,765

4,812

476

24,505

473,560

 

 
④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書 (日本基準)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2014年4月1日

 至 2015年3月31日)

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

 至 2016年3月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

67,709

105,273

投資活動によるキャッシュ・フロー

△46,335

△44,422

財務活動によるキャッシュ・フロー

△8,304

△65,514

現金及び現金同等物に係る換算差額

2,364

△4,195

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

15,434

△8,858

現金及び現金同等物の期首残高

168,940

184,374

現金及び現金同等物の期末残高

184,374

175,515

 

 

⑤ 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2014年4月1日 至 2015年3月31日)
(1) 退職給付に関する会計基準等の適用

「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 平成24年5月17日。以下「退職給付会計基準」という。)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 平成27年3月26日。以下「退職給付適用指針」という。)を、退職給付会計基準第35項本文及び退職給付適用指針第67項本文に掲げられた定めについて当連結会計年度より適用し、退職給付債務及び勤務費用の計算方法を見直し、退職給付見込額の期間帰属方法を期間定額基準から給付算定式基準へ変更するとともに、割引率の基礎となる期間の決定方法についても、従業員の平均残存勤務期間に近似した年数とする方法から、退職給付支払ごとの支払見込期間を反映する方法へ変更しています。

退職給付会計基準等の適用については、退職給付会計基準第37項に定める経過的な取扱いに従って、当連結会計年度の期首において、退職給付債務及び勤務費用の計算方法の変更に伴う影響額を利益剰余金に加減しています。

この結果、当連結会計年度の期首の退職給付に係る資産が7,024百万円減少し、退職給付に係る負債が357百万円増加し、利益剰余金が4,872百万円減少しています。また、当連結会計年度の連結損益計算書に与える影響は軽微です。

なお、退職給付会計基準第37項に定める経過的な取扱いに従って、当連結会計年度の1株当たり純資産額が、9.00円減少しています。また、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額に与える影響は軽微です。

 

(2) 企業結合に関する会計基準等の早期適用

 「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日。以下「企業結合会計基準」という。)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日。以下「連結会計基準」という。)、及び「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号 平成25年9月13日。以下「事業分離等会計基準」という。)等が2014年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用できることになったことに伴い、当連結会計年度からこれらの会計基準等(但し、連結会計基準第39項に掲げられた定めを除く。)を適用し、支配が継続している場合の子会社に対する当社の持分変動による差額を資本剰余金として計上するとともに、取得関連費用を発生した連結会計年度の費用として計上する方法に変更しています。また、当連結会計年度の期首以後実施される企業結合については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを企業結合日の属する連結会計年度の連結財務諸表に反映させる方法に変更しています。

企業結合会計基準等の適用については、企業結合会計基準第58-2項(4)、連結会計基準第44-5項(4)及び事業分離等会計基準第57-4項(4)に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首時点から将来にわたって適用しています。
  これによる連結財務諸表に与える影響はありません。

 

当連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)
(1) 企業結合に関する会計基準等の適用に伴う表示方法の変更

「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号 平成25年9月13日)第39項に掲げられた定め等を適用し、当期純利益等の表示の変更及び少数株主持分から非支配株主持分への表示の変更を行っています。当該表示の変更を反映させるため、前連結会計年度については、連結財務諸表の組替えを行っています。

 

⑥ IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(1) 表示方法の変更

日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは財務関連項目を金融収益又は金融費用へ、それ以外の項目については、持分法による投資利益、その他の営業費用等へ表示しています。

 

(2) 退職給付に係る費用

日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用をその他の包括利益として認識した後に、一定の期間で償却していました。IFRSでは、発生した数理計算上の差異はその他の包括利益として認識し、過去勤務費用は純損益として認識することが求められています。

この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価、販売費及び一般管理費が3,158百万円増加し、その他の包括利益が1,950百万円増加しています。

なお、前連結会計年度における差異に関する事項は、「第5 [経理の状況]1[連結財務諸表等][連結財務諸表注記] 30. IFRSへの移行に関する開示」をご参照ください。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループの販売・生産品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また見込み生産を行う製品もあるため、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。このため、販売及び生産の状況については、1 [業績等の概要] に関連づけて記載しています。

 

3 【対処すべき課題】

(1) 企業価値の向上

当社は、2016年11月8日に創立100周年を迎えます。当社グループの企業理念の実現に向けて、創立100周年から10年後の2026年に目指していく姿を「NSKビジョン2026(あたらしい動きをつくる)」として策定しました。
 また当社グループは、この「NSKビジョン2026」の下、2016年度から2018年度迄の第5次中期経営計画を新たにスタートさせました。この中期経営計画では、「次の100年に向けた進化のスタート」をスローガンとし、「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーション&チャレンジ(あたらしい価値の創造)」を方針に据えて、持続的成長、収益基盤の再構築、新成長領域確立の3つの経営課題に取り組んでいきます。

なお、「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」の施策として、

・事業の競争力の追求
 ・効率経営の追求
 ・人づくり、モノつくり

 「イノベーション&チャレンジ(あたらしい価値の創造)」の施策としては、

 ・次の成長への種まき
 ・モノつくりの革新
 ・新商品、新領域技術の開発

を推進していきます。

 

当社は、当社事業を通じ機械製品のエネルギーロスを削減することで、地球環境の保全と持続可能な社会の発展に向けた貢献を果たすために、環境経営のレベルアップに取り組んでいきます。
また、関連法令を遵守すると共に社会の一員としての高い倫理観を持って行動することで、顧客や地域社会等の様々なステークホルダーから信頼される企業として発展し続けることを目指しており、コンプライアンス強化の取組みとして更なる体制・制度の整備、教育・啓発の徹底を図っていきます。
当社は、執行と監督の役割を明確にすることにより、経営の透明性と健全性を高め、公正で迅速な意思決定を行なうために機関設計として指名委員会等設置会社を採用しています。持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しコーポレートガバナンス・コード等の社会的な要請を踏まえたガバナンス体制の強化に取り組んでいきます。

 

(2)「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」について

 

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要

 

  当社グループは、株主・投資家、顧客、国内外の製造・販売会社、地域社会、従業員等の様々なステークホルダーとの相互関係に基づき成り立っています。当社は、当社グループの使命は、社会・環境・経済の全ての面においてバランスのとれた経営を行い、全てのステークホルダーに対する社会的責任を果たすと同時に、本業に徹することにより当社グループの企業価値を増大させることであると考えています。

  当社は、資本市場に公開された株式会社であるため、当社に対して投資をしていただいている株主の皆様には、当社のかかる考えにご賛同いただいた上で、そのご判断により当社の経営を当社経営陣に対して委ねていただいているものと理解しています。かかる理解のもと、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方についても、最終的には、株主の皆様のご判断によるべきであると考えています。従いまして、当社株式の大量の買付行為がなされた場合にそれに応じるべきか否かは、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきであると考えます。

  しかしながら、近年のわが国の資本市場の状況を考慮すると、対象となる企業の株主の皆様及び投資家の皆様に対する必要十分な情報開示や熟慮のための機会が与えられることなく、あるいは対象となる企業の取締役会が意見表明を行い、代替案を提示するための情報や時間が提供されずに、突如として、株式の大量の買付行為が強行される可能性も否定できません。このような株式の大量の買付行為の中には、真摯に合理的な経営を行う意思が認められないもの等、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する買付行為もあり得ます。

  かかる当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する当社株式の大量の買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

 

② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要

 

(イ)中期経営計画等による企業価値向上への取り組み

 

当社の中期経営計画等による企業価値向上への取り組みについては、上記(1)企業価値の向上に記載のとおりです。

 

(ロ)コーポレートガバナンスに関する取り組み

 

当社は、社会的責任を果たし、企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保し、持続的に向上させるため、経営に関する意思決定の透明性と健全性の向上に積極的に取り組んできました。2004年に当時の委員会等設置会社に移行する以前から、執行役員制度の導入、社外取締役の招聘及び任意の報酬委員会・監査委員会の設置をしてきました。現在、当社は指名委員会等設置会社であり、指名・監査・報酬の3つの委員会は、それぞれ2名の社外取締役と1名の社内取締役で構成され、経営に関する意思決定の透明性と健全性の確保に大きな役割を果たしています。

なお、当社の社外取締役については4名全員を独立役員として東京証券取引所に届け出ています。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要

 

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号柱書に規定されるものをいい、以下「基本方針」といいます。)に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み(同規則第118条第3号ロ(2))として、2008年6月25日開催の当社定時株主総会において、当社株式の大量買付行為に関する対応策を導入し、その後3年の有効期間が満了するに当たり、2011年6月24日開催の当社定時株主総会において株主の皆様のご賛同を得て、当社株式の大量買付行為に関する対応策(以下「旧プラン」といいます。)を継続しました。旧プランは、2014年6月25日開催の当社定時株主総会終結の時をもって有効期間が満了することから、当社は、社会・経済情勢の変化、買収防衛策をめぐる種々の議論、法令の改正等を踏まえ、買収防衛策を継続するか否かについて検討を続けてまいりました。

その結果、2014年5月23日開催の当社取締役会において、当社定款第35条に基づき、同年6月25日開催の当社定時株主総会において株主の皆様のご賛同を得て承認可決されることを条件として、旧プランから継続して、当社株式の大量買付行為に関する対応策(以下「本プラン」といいます。)を導入することを決議し、同株主総会において承認され、本プランが導入されました。

 

(イ)本プランの対象となる大量買付行為

 

本プランは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為(市場取引、公開買付けその他具体的な買付方法の如何を問いません。以下同じとします。)、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為を適用対象とします。但し、あらかじめ当社取締役会が同意した買付行為は、本プランの適用対象からは除外します。なお、本プランの適用を受ける買付行為を以下「大量買付行為」といい、大量買付行為を行いまたは行おうとする者を以下「大量買付者」といいます。

 

(ロ)大量買付ルールの設定

 

ⅰ.意向表明書の事前提出

大量買付者には、大量買付行為の実行に先立ち、当社代表執行役社長宛に、本プランに定められた所定の手続(以下「大量買付ルール」といいます。)に従う旨の誓約等を日本語で記載した意向表明書をご提出いただきます。

 

ⅱ.本必要情報の提供

当社取締役会は、上記ⅰ.の意向表明書受領後10営業日(初日不算入)以内に、大量買付者から提供していただくべき、大量買付行為に対する株主の皆様のご判断及び当社取締役会の評価・検討等のために必要かつ十分な情報(以下「本必要情報」といいます。)を記載したリスト(以下「本必要情報リスト」といいます。)を当該大量買付者に対して交付します。大量買付者には、当社代表執行役社長宛に、本必要情報リストに従って十分な情報を提供していただきます。

 

次いで、当社取締役会は、大量買付者から提供された情報を精査し、必要に応じて当社取締役会から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計士、弁護士、その他の専門家を含みます。以下「外部専門家等」といいます。)の助言を受けた上で、当該情報だけでは本必要情報として不十分であると合理的に判断する場合には、大量買付者に対して追加的に情報提供を求めることができるものとし、大量買付者から追加的に受領した情報についても同様とします。

 

ⅲ.取締役会による評価期間の設定等

 当社取締役会は、本必要情報の提供が完了した後、必要に応じて外部専門家等の助言を受けた上で、大量買付行為の内容に応じて最長60日間または最長90日間(いずれの場合も初日不算入)を当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案作成のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)として設定します。但し、当社取締役会が、当初設定した取締役会評価期間内に当社取締役会としての意見をとりまとめることができないことについてやむを得ない事由がある場合には、当社取締役会は、必要に応じて外部専門家等の助言を受けた上で、当社取締役全員が出席する取締役会の全会一致の決議により、取締役会評価期間を合理的に必要な範囲内で、最長30日間(初日不算入)延長できるものとします(なお、当該延長は原則として一度に限るものとします。)。

大量買付行為は、取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるものとします。

取締役会評価期間中、当社取締役会は、必要に応じて外部専門家等の助言を受けながら、大量買付者から提供された情報を十分に評価・検討し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の確保・向上の観点から、当社取締役会としての意見をとりまとめ、公表します。また、必要に応じ、大量買付者との間で大量買付行為に関する条件改善について交渉し、また当社取締役会として当社株主の皆様に対し代替案を提示することもあります。

 

(ハ)対抗措置の発動

 

大量買付者が大量買付ルールを遵守した場合、当社取締役会は、仮に当該大量買付行為に反対であったとしても、反対意見の表明、代替案の提示、株主の皆様への説明等を行うことはあり得るものの、原則として、当該大量買付行為に対する対抗措置は発動しません。

但し、当該大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうおそれがあると合理的に認められる場合には、取締役会評価期間満了後に、株主総会を開催し、大量買付行為に対し、対抗措置を発動すべきか否かを株主の皆様のご判断に委ねることができるものとします。

また、当社取締役会は、大量買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合、大量買付者の提案する買収の方法が、いわゆる強圧的二段階買付けに代表される、構造上株主の皆様の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主の皆様に当社株券等の売却を強要するおそれがある場合等、大量買付行為が一定の類型に該当し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると合理的に認められる場合には、例外的に対抗措置を発動することがあります。

 

  これに対して、大量買付者が大量買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上することを目的として、対抗措置を発動する場合があります。大量買付者が大量買付ルールを遵守したか否か及び対抗措置の発動の是非は、外部専門家等の助言を受けた上で、当社取締役会が合理的に判断し、決議します。

但し、当社取締役会が、株主の皆様のご意思を確認することが実務上可能であり、かつ、当社取締役会が株主の皆様のご意思を確認するために株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくことが適切であると合理的に判断した場合には、取締役会評価期間満了後に、株主総会を開催し、大量買付行為に対し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様のご判断に委ねるものとします。

なお、当社は、本プランにおける対抗措置として、原則として、新株予約権無償割当てを行います。

また、対抗措置発動にかかる当社取締役会の決議(株主総会の決議に基づく場合を除きます。)は、取締役全員が出席する取締役会において、全会一致により行うものとします。

 

(ニ)株主意思の確認手続

 

当社取締役会は、上記(ハ)に記載のとおり、株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただく場合には、取締役会評価期間満了後に、法令及び当社定款の定めに従って、速やかに株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様のご判断に委ねるものとします。当社取締役会は、取締役会評価期間満了後60日以内に株主総会を開催し、大量買付行為への対抗措置の発動に関する議案を株主総会に上程するものとしますが、事務手続上の理由から60日以内に開催できない場合は、事務手続上可能な最も早い日において開催するものとします。

株主総会を開催する場合には、大量買付者は、当該株主総会終結時まで、大量買付行為を開始してはならないものとします。

 

 

(ホ)本プランの有効期間

 

本プランの有効期間は、2014年6月25日開催の当社定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで(2017年6月に開催予定の定時株主総会終結の時まで)とし、以降、本プランの継続(一部修正した上での継続を含みます。)については、3年ごとに定時株主総会の承認を得ることとします。

なお、本プランの詳細につきましては、当社ウェブサイト(http://www.jp.nsk.com/company/governance/index.
html#tab4)に掲載しています、2014年5月23日付「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」をご参照ください。

 

④ 上記②の取り組みについての取締役会の判断及びその理由

 

上記②の取り組みは、当社の中長期的な企業価値の向上のための基本的な取り組みの一環であり、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させることを目的として実施しているものです。かかる取り組みを通じて、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させることにより、上記①記載の当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する当社株式の大量の買付行為は困難になるものと考えられ、よって、上記②の取り組みは、上記①の基本方針の実現に資するものであると考えています。

従いまして、上記②の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。

 

⑤ 上記③の取り組みについての取締役会の判断及びその理由

 

  上記③の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保・向上させることを目的として、大量買付者に対して、当該大量買付者が実施しようとする大量買付行為に関する必要な情報の提供、及び、その内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求め、最終判断を行う当社株主の皆様が、株式の大量の買付行為の提案の内容を十分に理解し、適切な判断(インフォームド・ジャッジメント)を行うことができるようにするために導入されるものです。また、上記③の取り組みにおいては、そのような情報提供と検討等の期間の確保の要請に応じない大量買付者に対して取締役会決議により対抗措置を発動できることとするとともに、かかる要請に応じた大量買付者であっても、当該大量買付者が実施しようとする大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうおそれがあると合理的に認められる場合には、株主総会決議により対抗措置を発動できる(但し、一定の類型に該当し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると合理的に認められる場合には、取締役会決議により発動できます。)こととすることで、これらの大量買付者による大量買付行為を防止するものであり、よって、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みです。さらに、上記③の取り組みにおいては、大量買付者が大量買付ルールを遵守している場合において対抗措置を発動しようとする場合には、原則として、株主総会を開催して、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくこととしており、また、大量買付者が大量買付ルールを遵守していない場合を含め、当社取締役会が対抗措置の発動を決議する場合には、独立性のある社外取締役を含む取締役全員が出席する当社取締役会において、全会一致により行うこととしており、当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記③の取り組みの合理性及び公正性を確保するための様々な制度及び手続が確保されているものです。

さらに、当社は、本プランの運用における取締役会の判断の恣意性を排除し、本プランの運用の合理性を確保することを目的として、本プランの運用に関して取締役会が準拠すべき手続等を定めた「大量買付行為への対応に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます。)を制定しています。ガイドラインの制定により、大量買付ルールの適用、対抗措置の発動または不発動等に関する取締役会の判断の客観性が高まり、本プランの運用につき十分な合理性が確保されることになります。

従いまして、上記③の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。

 

 

 


 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある主なリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2016年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 国、地域、産業の経済状況

当社グループは、グローバルに広範囲の国と地域で製品を製造、販売しています。また、取引先も自動車をはじめとする多岐の産業にわたっています。従いまして、これらの国、地域または産業における経済状況の変化は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場変化への対応と競争環境

当社グループ製品の販売は、厳しさを増す企業間競争や取引先のグローバル展開等、急速な市場環境の変化にさらされています。

例えば、産業機械事業における標準玉軸受に関しましては、中国地場の軸受メーカーの台頭は汎用品のグローバルな市場価格の下落となってあらわれてきています。当社グループは高品質軸受分野における事業の拡大や技術サービスの向上等、価格面以外での競争力強化を図っていますが、中国軸受メーカー等の低価格品の急速な伸張は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、自動車事業におきましては、取引先のグローバルな生産展開や車種及び仕様の世界共通化等の変化に対応して、グローバルな供給拠点を有することが取引の必要条件となる場合も出てきています。当社グループは早くから海外における競争力のある生産拡充を進めていますが、事業または地域によっては、進出の遅れによる販売機会の逸失や需要変動への対応が遅れることにより、当社グループの業績と財務状況へ悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 特定分野への依存

当社グループは、販売全体の過半を自動車軸受及び自動車部品が占め、また、精密機器関連製品におきましては半導体製造装置産業、工作機械産業向け販売比率が高い等、特定需要分野への依存率が高くなっています。産業機械軸受、精密機器関連製品におきまして需要の裾野の広い一般産業機械分野やアフターマーケット向けの相対的販売比率を高め、依存度の高い分野の需要の下方変動による影響の緩和を図っていますが、高依存度の特定産業分野における急激な需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 取引先の信用リスク

当社グループの販売は大手の比較的安定した取引先向けの比率が高く、売上債権等にかかる回収リスクは全体としては軽微であると認識しています。また、貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して引当金を計上しています。

  取引先の信用状況に関しましては、常日頃から情報収集の体制を築いていますが、予測していない事業環境の変化等による債権回収リスクが発生する可能性はあります。取引先の信用力低下、債務不履行等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 事業提携

当社グループはグローバルに複数の企業との提携によって事業を行い、相互の経営資源の有効活用を図るとともに、技術開発、生産活動等において提携効果の創出に取組んでいます。しかしながら、提携先の経営戦略の変更、財務状況の悪化等により期待した効果を実現できない場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 特定供給元への依存

当社グループは原材料並びに部品の調達につきましては併注を基本とし、1社に偏った供給依存を回避する方針を原則としています。しかしながら、その特性によっては技術的に供給元が限定される場合もあり、供給元の生産能力不足や品質不良または火災、地震等の自然災害、あるいは倒産その他の理由により必要な調達が出来なくなり、当社グループ製品の取引先への供給に支障をきたすリスクもあります。このような場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 原材料の価格上昇

国際的な景気動向、需給関係の影響などにより、鉄鉱石、原料炭、スクラップ、原油等の原材料価格は大きく変動し、原材料の価格上昇局面では、当社グループの製品に使用する原材料及び部品の値上りが懸念されます。当社グループでは、国際調達やVA・VE活動などを通じて原価低減に努めると同時に、原材料費上昇分の製品価格への転嫁に努めますが、コストアップを吸収できない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 品質問題

当社グループの製品は多くの産業分野や最終製品で使用され、かつ高精度の機能を必要とする部位や自動車、鉄道車両、航空機等、人命を担う最終製品にも多く使用されています。当社グループは品質の重要性を認識し高い品質保証体制を確立していますが、万が一大規模なリコールや製造物賠償責任訴訟につながるような製品の不具合が起きた場合には、多大な費用の発生や社会的信用の低下等につながる危険性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループはグローバルな製造物賠償責任保険及び一部の製品に関するリコール保険に加入していますが、損害賠償等の損失を十分にカバーできるとは限りません。

 

(9) 新製品開発

当社グループの新製品開発活動は、収益拡大のための重要な課題である新製品の市場への投入を目的に進めています。当社グループの製品に対する市場からの開発ニーズはその多様性を増し、ニーズの変化する速度も以前に増して速くなってきています。

新製品開発は製品が市場から評価され、販売されてはじめて収益に寄与しますが、新製品開発には以下にあげるものをはじめ、様々なリスクが存在しており、これらのリスクが回避できない場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

① 当社グループが市場ニーズを正確に捉えきれず、開発した新製品の販売が目標に達しない可能性があります。

② 製品開発と量産化の遅れにより、当社グループの製品の販売が低下する可能性があります。

③ 競合他社の開発品または技術が知的財産権として保護され、当社の新製品開発を阻害する可能性があります。

④ 当社グループが新たに開発した製品を代替する他社の新技術製品が出現する可能性があります。

 

(10) 知的財産権

当社グループは、開発した技術を特許等の知的財産権として権利化することが重要と考え、事業競争力維持拡大のために、国内外で知的財産権を取得しています。

しかしながら、知的財産権の重要性が増すに従い、以下のケースが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性を完全に排除できるものではありません。

① 当社グループの知的財産権に対し、無効請求等を起こされる場合。

② 事業展開のためには、第三者の知的財産権につき実施許諾を得る必要があり、ロイヤルティの支払いが生じる場合、又は実施許諾が得られない場合。

③ 第三者により知的財産権侵害の主張をされる場合。

④ 特定の国または地域において、法的実効性が必ずしも十分でないため、不正競争品を効果的に排除できない場合。

 

(11) 海外事業展開

当社グループはグローバルに事業を展開しており、当連結会計年度における海外売上高は概ね6割強です。これらの海外市場での事業には、以下に掲げるような海外事業展開に共通のリスクがあります。

① 各国政府の予期しない法律または規制の変更

② 社会・政治及び経済状況の変化または治安の悪化

③ 輸送の遅延、電力等のインフラの障害

④ 為替制限、為替変動

⑤ 各種税制の不利な変更または課税

⑥ 保護貿易諸規制の発動

⑦ 異なる商習慣による取引先の信用リスク等

⑧ 異なる雇用制度、社会保険制度

⑨ 労働環境の変化や人材の採用と確保の難しさ

⑩ 疫病の発生

 

(12) 災害・テロ等

当社グループ及び当社グループ取引先の事業拠点が地震、洪水、火災、雪害、原発事故、新型感染症の発生等の災害やテロ攻撃または政治情勢の変化に伴う社会的混乱による物的・人的被害を受けた場合、当社グループの生産・販売活動に悪影響が及ぶ可能性があります。

また、火災、自然災害等による被害につきましては保険によりその全てが補償されるわけではありません。災害及びテロへの対策は重要な経営課題の1つであり、被害を最小化するための事前対策及び事業を継続するための対策を実施していますが、完全にリスクを回避することは困難です。

 

(13) コンプライアンス

当社グループでは、法令・倫理遵守(コンプライアンス)の徹底を目的に「NSK企業倫理規則」を制定し最も重要と考えられる以下の16項目についてコンプライアンスのための行動指針を定め、イントラネット等による掲示・配布、eラーニングや集合研修等による教育を通じて役員・従業員に周知することにより、コンプライアンス・リスクの軽減を図っています。しかしながら、このような対策にもかかわらず、従業員の不注意や誤った認識等によりコンプライアンス違反が発生し、それに伴い当社グループが刑事上、民事上、行政上の責任を負い、さらには社会的信用を失い、また経済的損害を受ける可能性がないとは言えません。

① 競争法の遵守

② 輸出入関係法令の遵守

③ 贈収賄行為の禁止(接待、贈答などの取扱い)

④ 公的機関との取引及び政治献金の取扱い

⑤ 正確な記録及び処理

⑥ インサイダー取引の禁止

⑦ 知的財産権の取扱い

⑧ 違法行為・反社会的行為の禁止

⑨ 会社財産の保護

⑩ 企業秘密・個人情報の取扱い

⑪ お客様との関わり

⑫ 調達取引先との関わり

⑬ 競合他社の信用毀損行為の禁止

⑭ 差別の禁止と健全な職場環境の整備

⑮ 労働における基本的権利の尊重

⑯ 地球環境の保全

 

なお、当社及び当社の一部子会社は、その製品の取引に関して競争法違反の疑いがあるとして海外の関係当局による調査等を受けており、当社グループは、これに対して全面的に協力しています。

上記調査等の結果として、今後、課徴金等による損失が発生する可能性がありますが、現時点ではその金額を合理的に見積ることは困難であり、当社の経営成績等に与える影響は明らかではありません。

 

(14) 訴訟対応

当社グループは製造業であり、従来及び現在の訴訟の多くは製品の取引に関するものです。特に製造物責任に関する訴訟リスクを負っていると言えます。

製造物責任に関する訴訟に至った場合の応訴と賠償につきましては、当社グループは製造物賠償責任保険に加入していますので、保険が適用される場合もありますが、この保険は無制限、無条件に当社グループの賠償負担を担保するものではありません。

当社並びに当社の米国、カナダ及び欧州の一部子会社は、米国及びカナダにおいて、他の被告らとともに、原告である軸受製品等の購入者の代表者等から複数の集団訴訟(州政府による訴訟を含む。)の提起を受けています。原告は、被告らが共謀してこれらの国において軸受製品等の取引に関する競争を制限した等と主張し、被告らに対して損害賠償、対象行為の差止めをはじめとする請求を行っています。また、当社及び当社の欧州の一部子会社は、英国において、他の被告らとともに、原告である一部顧客から過去の欧州競争法違反行為に関連して損害賠償請求訴訟の提起を受けています。

これらの詳細につきましては、後記「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] [連結財務諸表注記] 28.偶発事象 (2)訴訟事項等」をご参照ください。

当社又は当社の子会社若しくは関係会社は、上記訴訟と同種又は類似の訴訟等を今後提起される可能性があります。当社グループとしましては、原告等による請求に対して、適切に対処していきます。また、当社グループは、上記訴訟等の状況に応じて、原告等との間で個別に和解の可能性も検討していきます。

上記訴訟等の結果として、今後、損害賠償金等による損失が発生する可能性がありますが、現時点ではその金額を合理的に見積ることは困難であり、当社の経営成績等に与える影響は明らかではありません。

 

(15) 情報システム

当社グループは、販売・製造・物流・研究開発・会計を含む様々な業務の運営を管理・サポートするため、様々なネットワーク及びシステムを利用しています。これらシステムには十分な安全対策を施していますが、ハッカーからのサイバー攻撃、外部システム提供者のサービス停止、天災等により障害が発生した場合は、復旧に長時間を要する可能性があります。このような事態が生じた場合、生産活動・物流管理・販売活動などに支障をきたすと共に、製品出荷の混乱により顧客の生産計画に影響を及ぼし、損害賠償や顧客の信頼を損なう可能性があります。

 

(16) 情報管理

当社グループは、多くの重要情報や個人情報を適切な手続きに基づき入手すると共に利用しています。これら情報の外部への流出及び目的以外への流用等が起こらないよう情報セキュリティーポリシーを定め、周知徹底及び運用を図っていますが、サイバー攻撃等、予期せぬ事態により流出する可能性は皆無ではなく、このような事態が生じた場合、重要な業務の中断や、法的請求、社会的信用の失墜、その対応のために生じる多額の費用負担等のリスクが存在しています。 その結果、当社グループのブランドイメージや経営、財政状態及びキャッシュフローに悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 情報開示及び株主利益

当社グループは適時開示に関わる運用体制を整備し、会社情報の公正かつ適時適切な開示及び財務報告の信頼性の確保等に努めていますが、法令・通達等の制定・変更あるいは証券取引所のルール改定等、社会的要請の変化への適切な対応が十分でない場合、情報開示の適切性を欠き、市場での株主価値の下落並びに株主にとっての不利益を招来する可能性がないとは言えません。

また、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の有効性の評価又は監査において、重要な欠陥又は不備を指摘される可能性もないとは言えません。

 

 

(18) 環境問題

当社グループの事業活動は、大気汚染、水質汚濁、環境負荷物質、廃棄物処理、地球温暖化防止、エネルギーなどに関する様々な環境関連法令の適用を受けています。当社グループは環境保全活動を重要な経営方針のひとつとして掲げ、環境マネジメントシステムの充実を図っており、これまで重大な環境問題を生じさせたことはありません。しかし、将来不測の事態により環境問題が生じ、損害の賠償、製品の回収、生産の停止、浄化等の費用負担、罰金等の行政処分を受けることや社会的信用を失墜する可能性、あるいは新しい規制が施行され多額の費用負担が生じる可能性がないとは言えません。

 

(19) 人材確保

当社グループは競争力を維持するため、優秀な人材を継続的に確保・採用し、育成することが必要であると考えています。各分野での有能な人材確保における競争は高まっており、当社グループが人材を確保し育成できない場合には、事業の拡大にも支障をきたし、悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 労使関係及び労働環境

当社グループは安定した労使関係の構築に努めています。日本におきましては労使協議会を定期的に開催し、職場環境、労働条件の改善について協議しており、労使関係の悪化による事業リスクは少ないと考えています。しかし、海外においては、労使慣行の相違が存在し、また法制度の変化、経済環境の変化、社会環境の変化等予期せぬ事象を起因とした労使関係の悪化、労働争議の可能性があり、その場合には事業の遂行に制約が生じる可能性があります。

また、安全で働きやすい職場環境作りを目指して取組んでいますが、設備の不具合、作業者の標準作業の不遵守等により、労働災害が発生する可能性があります。特に重大な労働災害が発生した場合には、事業に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

(21) 為替及び金利の変動

当社グループはグローバルに販売及び生産等の事業活動を展開しており、外貨建商取引及び投資活動等の損益は為替変動の影響を受けます。また、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化に努めていますが、金利上昇は支払利息の増加を招き、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは為替変動及び金利変動の悪影響を軽減すべく、外貨建債権債務の均衡を図り、また、社内規定に従い必要に応じヘッジ取引を行っていますが、その影響を完全に回避できるとは限りません。

さらに、為替変動により、売上高が目減りしたり、材料・部品の仕入れ価格が上昇し、製造コストに悪影響を及ぼす可能性もあります。

その他、海外関係会社の財務諸表は主に現地通貨で表示されていますが、連結財務諸表の作成の際に円換算しています。従いまして、現地通貨における価値が変わらない場合でも、円換算後の当社グループの資産及び負債、収益及び費用は為替変動の影響を受けます。

 

(22) 退職後給付

当社及び一部の国内子会社は、従業員の退職後給付に充てるため、確定給付型の年金制度及び退職一時金制度を有しています。また英国等の海外子会社でも確定給付型の制度が一部存続しています。

当社グループの退職給付費用、確定給付制度債務及び制度資産は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。従いまして、その前提条件の変更や制度資産の運用成績の悪化、信託している株式の株価下落、並びに会計基準の変更等が当社グループの業績及び財務状況へ悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2015年4月21日開催の臨時取締役会において、当社の100%子会社であるNSKテクノロジー株式会社の株式を、株式会社ブイ・テクノロジーに譲渡することを決議し、同日に株式譲渡契約を締結、2015年6月1日に譲渡しました。

 

6 【研究開発活動】

(1) 基本方針

当社グループは、企業理念に定める「円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」を実現するため、お客様や社会のニーズを的確にとらえ、4つのコアテクノロジー(トライボロジー(摩擦、潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術)を駆使した製品や技術の開発を進めています。

 

(2) 研究開発の成果

 

産業機械事業

産業機械分野では、幅広い産業の多様な用途に対し、環境負荷低減、省エネ化、安全性向上が求められています。当社グループでは、これらニーズに対応できる製品を開発し、社会・産業界の要求に応えています。軸受製品としては、需要が拡大している水素・天然ガス用液化ガスポンプ向けに使用可能な新セラミック玉軸受「spaceaCRYO™(クライオ) 」、空調・冷凍設備等の省エネ化のために採用が拡大しているインバータモータにおいて軸受の電食を防止する「インバータモータ用絶縁軸受」などを開発しました。精密機器関連製品では、電動駆動化が進んでいる射出成形機やプレス機向けに、型締め力3,000トン級設備まで対応可能な「世界最大級の負荷容量を持つ超大型ボールねじ」を開発しました。これにより、大型設備まで電動化が可能となり、設備の省エネ化、油圧廃止による耐火安全性や環境性能の向上に貢献します。一方、NSKのメカトロ技術を適用した製品として、広範囲を高速で非接触検出可能な「近接覚センサ」を開発しました。ロボットと人の安全な協働環境を実現させるセンサとしての活用が期待されます。また、NSKのモータ技術を活用して、二つの異なる動作を同一筐体内で実現する「2軸一体型モータ」を開発しました。これにより、生産設備の小型化・省スペース化が可能となります。

 

自動車事業

自動車の環境対応(効率向上、省燃費化)、安全性向上、あるいは過酷環境対応のため、自動車向け製品にはさらなる高機能化が要求されています。例えば、省燃費化を狙ったダウンサイジングエンジン普及に伴い、エンジン補機ベルト用プーリーが小径化されます。そのため、ベルト張力を調整するアイドラ・テンショナ用軸受においては、プーリー小径化に伴う高速化への対応が必要になります。一方、今後需要が伸びる新興国市場は道路環境が過酷であるため、水やダストなどへの耐性が必要となります。当社グループでは、独自のシール技術を用い、高速性と高密封性を兼ね備えたアイドラ・テンショナ用「高速高密封シール付き玉軸受」を開発し、自動車の省燃費化と信頼性向上に貢献します。急速に搭載が拡大している電動パワーステアリング(EPS)には、自動車の省燃費化はもとより、より一層の安全性・快適性の向上に貢献することが求められています。当社グループでは、チルト式コラムタイプEPSのラインナップの一つとして「世界最軽量電動パワーステアリング」を開発しました。本製品はギヤボックスの小型化により軽量化するとともに、始動時のトルクセンサ自動点検機能を改良することにより安全・信頼性を向上させました。当社グループでは、人がクルマと一体感を感じられるステアリングを理想とし、開発を進めています。当社調べ

 

 

当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で111億55百万円であり、その内訳は、産業機械事業31億5百万円、自動車事業77億32百万円、その他3億17百万円です。

 

なお、主な成果は次のとおりです。

(産業機械事業)

・ 液化ガスポンプ用高機能新セラミック玉軸受 「spaceaCRYO™(クライオ)」
・ 一般産業機械向け「インバータモータ用絶縁軸受」
・ 小型高吸引力掃除機向け「超高速回転モータ用玉軸受」
・ 射出成形機・大型プレス機向け「世界最大級の負荷容量を持つ超大型ボールねじ」
・ 「高機能 精密位置決めテーブル」
・ 自動車・半導体製造装置等の電動化用「タフキャリア™ 左右ねじシリーズ」
・ 対象物の広範囲・高速検出が可能な「近接覚センサ」
・ 多軸アクチュエータ用「2軸一体型モータ」、「一体型 昇降-回転アクチュエータ (Z-θアクチュエータ)」
・ 改良型「ナビゲーション機能付き障害物回避先導ロボットLIGHBOT™ (ライボット)」

 

(自動車事業)

・ 自動車エンジン ベルト アイドラ・テンショナ用「高速高密封シール付き玉軸受」
・ 自動変速機向け遊星歯車機構用「世界最小ころ スラストニードル軸受」
・ 自動車エンジン ファンクラッチ用「高密封シール付き玉軸受」
・ ハイブリッドカー・電気自動車向け「次世代クリープフリー軸受」
・ 「アクティブオンセンタリング制御搭載 電動パワーステアリング」
・ 「世界最軽量 電動パワーステアリング」
・ 「アドバンスドアシストステアリングⅡ」

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2016年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。

なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 3.重要な会計方針の要約」に記載のとおりです。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度における当社グループの経営成績の分析については、「第2[事業の状況] 1[業績等の概要](1) 業績」に記載のとおりです。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2[事業の状況] 4[事業等のリスク]」に記載のとおりです。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 

①  財政状態の分析

  資産合計は1兆323億74百万円となり、前連結会計年度末に比べて931億35百万円減少しました。主な減少は現金及び現金同等物88億58百万円、売上債権及びその他の債権179億18百万円、棚卸資産116億6百万円、有形固定資産81億69百万円、その他の金融資産(非流動)207億68百万円、退職給付に係る資産274億63百万円です。負債合計は5,535億3百万円となり、前連結会計年度末に比べて852億4百万円減少しました。主な減少は仕入債務及びその他の債務71億88百万円、その他の金融負債(流動)201億20百万円、金融負債(非流動)305億21百万円、繰延税金負債157億53百万円です。資本合計は4,788億71百万円となり、前連結会計年度末に比べて79億30百万円減少しました。主な増加は親会社の所有者に帰属する当期利益657億19百万円であり、主な減少はその他の資本の構成要素557億31百万円です。

  流動資産は、前連結会計年度末に比べて423億57百万円減少し5,112億53百万円となり、また、流動負債は、前連結会計年度末に比べて342億32百万円減少し2,932億47百万円となりました。その結果、流動比率は、前連結会計年度末の1.69倍に対して1.74倍となりました。有利子負債につきましては、有利子負債総額は前連結会計年度末から508億7百万円減少して2,781億52百万円となり、純有利子負債(有利子負債残高から現金及び現金同等物残高を差し引いたもの)は前連結会計年度末から419億48百万円減少し1,026億36百万円となりました。ネットD/Eレシオは、前連結会計年度の0.31から0.23となりました。1株当たり親会社所有者帰属持分は、前連結会計年度の852.83円から839.56円へ減少しました。また親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度の41.0%から44.0%となりました。

 

②  キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、1 [業績等の概要] (2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。

 

③  財政政策

  当社グループは現在、自己資金及び借入れ等により資金調達することとしています。運転資金につきましては、借入れによる資金調達を行う場合、期限が一年以内の短期借入金で、各々の連結会社が使用する現地通貨で調達することが一般的です。2016年3月末現在、短期借入金の残高は610億80百万円となっています。また、生産設備などの長期資金は、主として長期借入金及び社債で調達しています。2016年3月末現在、長期借入金・社債の残高は2,170億72百万円となっており、内訳は金融機関からの借入金1,570億72百万円、無担保社債600億円となっています。

  今後も当社グループは、財務及び収益体質の強化により、有利子負債の削減を目指します。当社グループは、その健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、コミットメントライン契約150億円及びコマーシャルペーパー発行枠500億円などにより、当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。